第14話.リスクを背負って

1970年頃から化学肥料は、急速にブラジルの大地に浸透するようになっていった。

現場監督のニーノと農場を歩くカルロス
現場監督のニーノと農場を歩くカルロス

化学肥料を多用すると、最終的には土壌のバランスが崩れ、地力は衰える。そのためコーヒー樹は病害虫に抵抗できず、殺虫剤や殺菌剤の助けなくしては実をつけることもできなくなる。

しかし、化学肥料の投入により人工的に豊富な養分を与えられたコーヒー樹は、一時的ではあるが、安定した収穫を約束してくれる。ジャカランダ農場でも化学肥料は、カルロスの父イザウチーノの時代から使用されていた。

即効性のある化学肥料を使わずにコーヒーを栽培するためには、堆肥を施し、時間をかけて地力の豊かな土壌を培っていかなくてはならない。そして、その土作りの過渡期においては、大幅に収穫が減少する可能性が高かった。

農場への被害を軽減するために、カルロスは1993年から段階的な有機栽培への移行を試みる。

86ヘクタールの耕地を4つの地区に分け、1年を経るごとに有機栽培の地区を1つずつ増やした。そして1996年には全ての地区で有機栽培のコーヒーを生産することができた。

有機栽培を試みるなかで、カルロスが多くの時間をかけているのが土壌の分析である。86ヘクタールの耕地を22の地区に分け、深さ20センチまでの土を採取。それからは土壌分析の専門会社に送付し、土中に含まれる13種類の要素の含有量を分析する。その数値に応じて、それぞれの耕地に必要な堆肥の量、土壌矯正用の石灰の散布量、不足している養分の補給量を決め、年間作業計画のなかに組み込んでいく。

この他に、カルロスは現場監督のニーノと一緒に農場内を歩き、コーヒー樹を観察する。できるだけ多くの場所の葉や土に触れることは、農場全体の様子を把握するためには欠かせない。

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「ジャカランダコーヒー物語」

ブラジルにて「不可能」と言われていたコーヒーの有機栽培を丁寧な土作りと「いのちを大切にしたい」という想いから成し遂げたジャカランダ農場。農場主の故カルロス・フランコさんとジャカランダ農場の軌跡をお伝えします。

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