第13話.コーヒーの有機栽培へ

「人を大切にしたい」という想いから、ジャカランダ農場での農薬の使用を停止させ、さらに福祉活動にまで深く関わってきたカルロスは、また新たな取り組みを決意する。農薬だけでなく、化学肥料も使わない有機栽培への挑戦が1993年から始まった。

コーヒーの有機栽培に欠かせない草刈り作業
コーヒーの有機栽培に欠かせない草刈り作業

その決意を固めた背景には、近代農業に対する疑問があった。その疑問、というより憤りについてカルロスは以下のように語る。「近代農業は多額の投資を強要します。しかし、農業生産者にはほかの産業のような見返りはありません。農薬、化学肥料、農業機械を販売する商売人と、大量にコーヒー豆を生産する巨大な農場と、それを買い占める商社だけがますます儲けていくシステムのなかで、小さな生産者や生産基盤を持たない農村労働者はますます貧しくなっていきます。近代農業がもたらしたこうした状況に対して私は強い憤りを抱いています」 「小さな生産者」として生きる道を模索するなかで、幼い頃から慣れ親しんだ有機農業と再会したカルロスは、さらに言葉を加える。

「人類の抱えている全ての問題の解決策などあるのもではありません。私は、私のできる仕事の範囲のなかで、出来ることから取り組みたいと思っています。そのような理由から私は有機農業に入ってきました。有機農業は自然を痛めません。多くの手間を必要とするため、たくさんの人の仕事をつくりだしてくれます。病気の力を弱め、餓鬼を追放する食糧の生産が可能です。豊かさを生み、あらゆる階層の人々にそれを配分できます」

近代農業において、有機農業の生産者として生きること。カルロスはそれを「戦い」と、表現する。そして、「自然環境の保全にも優れ、また資金運営の面から見ても、農薬、化学肥料、農業機械に資金を費やす必要のない有機栽培により、きっとこの戦いに勝つことを確信しています」と断言するのであった。

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「ジャカランダコーヒー物語」

ブラジルにて「不可能」と言われていたコーヒーの有機栽培を丁寧な土作りと「いのちを大切にしたい」という想いから成し遂げたジャカランダ農場。農場主の故カルロス・フランコさんとジャカランダ農場の軌跡をお伝えします。

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