2012/02/14

『人間と環境への低レベル放射能の脅威』

西岡昌紀さん(神経内科医)のブログを転載します。

低レベル放射線は本当に常に安全か?(1)

今、ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著『人間と環境への低レベル放射能の脅威』(あけび書房・2011年)を読んで居ます。

凄い本です。

カナダ原子力公社の研究員から同公社の医学・生物物理学主任と成った医師のアブラム・ペトカウ(Petkau)博士が1972年に発見した現象「ペトカウ効果」を中心に低レベル放射能が、場合によっては、細胞膜への作用を介して、生体に深刻な有害作用を与えうる可能性を論じた一書で、今、この時点で、私は、このペトカウ効果について、医師として責任有る見解は述べられませんが、とにかく、驚くべき内容の本です。

この本の冒頭に書かれた訳者(肥田舜太郎、竹野内真理)による序文「福島第一原発事故のさなかに――本書の概略と意義」)の冒頭箇所を以下に御紹介します。

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 本書は、ラルフ・グロイブとアーネスト・スターングラスの著書「The Petkau Effect」(ペトカウ効果)の初の邦訳出版である。

 詳細は後述するが、「ペトカウ効果」とは、約20年間、カナダ原子力公社の研究所で医学・生物学・物理学主任だった、アブラム・ペトカウ博士が発表した、低線量放射線による生体レベル、細胞レベル、分子レベルでの影響のことである。(一部の研究者からはノーベル賞に値すると言われている)。本書は、「ペトカウ効果」を詳細に紹介すると同時に、原爆、核実験、そして原子力発電所がもたらす様々な放射線被害、および今日までの政府当局による放射線防護基準の欠陥を、世界各国の数多くの研究者の論文と当局側からの発表という双方からの視点を交え、膨大な量の貴重な資料をもとに記している。

 ところで、奇しくもこの本の下刷りにかかろうとしていた2011年3月11日、マグニチュード9.0という東日本大震災が発生し、東北では地震と津波により多大な犠牲者を生みだした。

 悲劇に追い打ちをかけたのが、福島原発の大事故である。外部電源喪失、水素爆発、燃料棒破損、核燃料プール冷却不能という尋常でない事態に至っている。そのうえ、余震により、原発の何十倍以上もの放射能があるという六ヶ所村再処理工場まで外部電源喪失という、一歩間違えれば日本全体が壊滅状態になるところまで一時期達してしまった。今回の事故はなぜか「想定外の津波」のせいにばかりされているが、これは事実と異なる。そもそも今回の電源喪失の直接の原因は「地震」であり、津波の及ばなかった場所に立っていた受電鉄塔の倒壊によって引き起こされた。そして電気系統も破壊されたため、電源車が来ても役に立たなかった。さらに、1号炉では、地震発生の夜、原子炉建屋内に高濃度の放射能漏れがあり、配管か重要機器いずれかの破損の可能性が高く、3号炉でも、圧力の激減から冷却系の配管が破損したと見られている。両方とも水素爆発の前の話だ。地震による重要配管の破損は、全国の原発すべての耐震安全性にかかわる緊急課題である。

 それでも政府と電力会社は、国の原子力政策を続行する予定である。東京電力は、柏崎刈羽原発のうち、1、5、6、7号機を、3月11日以降もそのまま動かしている。2007年に中越沖地震で地盤自体が変形し、しかも原発の機器そのものへの応力や塑性変形が危惧されているにもかかわらずである。伊方原発は世界有数の大活断層「中央構造線」の目の前であり、敦賀、もんじゅ、美浜、六ヶ所再処理工場はなんと敷地内に活断層が見つかっている。まともな感覚であれば、これらの原発および再処理工場は、冷却以外の運転をすべて停止し、さらには現存する使用済み核燃料の安全性をいかに高めるかの対策を早急に練るのが常識だと思う。これでは運転中だた1から3号炉、そして運転中でなかった4号炉の事故から何も学んだことにならない。

(ラルフ・クロイブ、アーネスト・スターングラス著 肥田舜太郎、竹野内真理訳『人間と環境への低レベル放射能への脅威』(あけび書房・2011年)1~2ページより訳者(肥田舜太郎、竹野内真理)による序文「福島原発事故のさなかに――本書の概略と意義」から)

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繰り返して言ひますが、今、この日記を書いて居るこの時点で、私は、ペトカウ博士の主張について医師としての見解を述べる事が出来る段階にはありませんが、それが、重大な問題提起である事は間違い無いと言っておきます。

本書の購読を強くお薦めします。

平成24年(西暦2012年)2月12日(日)

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