青山貞一「福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染」

福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染
(2012年02月07日00:00 青山貞一ブログ)から抜粋

◆青山貞一「福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染」

 昨年4月、日本政府がグリーンピースの虹の戦士号の領海内立ち入りを2~3ヶ月待たせたあげく却下したこと、福島県内の漁業関係者が環境総合研究所に魚介類の分析を依頼しながら、その後なしのつぶてとなったことなどの裏事情についても言及しています。

 動画の時間は44分です。 

 原発事故以来、官民を問わず膨大な量のモニタリングデータが公にされてきたが、なぜか魚介類に含まれる放射性物質汚染に関するデータは、きわめて限られている。

 理由はやはり太平洋側の海洋汚染が相当深刻なためだろう。

 日本の気象庁の気象研究所が2011年11月16日に発表したシミュレーション結果によると、放射性物質のうち、とくに放射性セシウムは今年の4月までに70~80%が海に落ち、陸地に降ったセシウムは30%程度と推測している。

 気象研究所の研究チームによれば、2011年3~4月は偏西風で運ばれるために陸地に落ちる量は少なく、その分海洋が汚染されたとみている。ヨウ素131は放出量の約65%が海に落ちたとしている。

 ちなみに私たち環境総合研究所が2011年春に行った放射性物質の3次元の移流、拡散シミュレーションでも類似の結果がでている。

 陸側におちた放射性物質も最終的に海に流れ込む。今後、近海魚や回遊魚だけでなく、底生魚介類の汚染が深刻になると推察される。

 本動画は、この分野第一線で漁民やNPOとも議論しあう中で調査研究をしてきた青山貞一さんに詳しくその実態、裏事情、一般国民はどうすればよいかなどについてのご意見を伺った。

 池田こみち 環境総合研究所副所長/インタビューア 2012年2月6日 

★追加情報

 視聴者からの情報提供もあり、いろいろ新事実も分かってきました。とくに重要と思えるのは、国が公表している魚介類に含まれる放射能データが、多くの魚を計りながら、低い値だけを選択して公表している可能性が大であることです。

 昨年秋以降は、海底近くに棲むアイナメ、ヒラメ、ホウボウ、メバル、カレイ、アンコウ、タチウオなどの底生魚の濃度が高くなっているはずです。事実、最近1800Br/kgを超える底生魚が福島県北部から報告されています(これは新聞などにはでていません)。

 鷹取敦さんの調査では、魚介汚染が深刻化する昨年秋以降、国の魚介調査の件数は減少しているとのことです。今年に入ってからの測定数は極端に少なくなっています(以下参照のこと)。

鷹取敦:水産物の放射能汚染の解析(1)生息域と汚染の変化
 

 高い値の底生魚が発見されても、国、県、漁協はいずれもその対策にまともに応えず、たらい回しし、マスコミも一切書かず、うやむやのうちに、産地偽装で食卓に高濃度魚介が到着している可能性があります。

 底生魚の濃度が今後高くなることは、先のNHKの特別番組の調査でも明らかになったことです。

 福島県北部海域は、親潮、黒潮、潮流が複雑に混ざりあうため、動画に掲載しましたフランス、米国の研究機関による海洋汚染シミュレーションにも明確にあるように、近海魚、沿岸魚、底生魚だけでなく、かなり沖合にも汚染が広がる可能性が大です。

 チェルノブイリ事故時でさえ、日本近海で2,3年汚染が続いたことからして、今後10年以上、海洋汚染が続き、太平洋側の魚介の汚染は継続する可能性があります。その意味でも、水産庁などがしっかり定期的かつ大規模に定点近くで試料採取した魚類を測定分析し、すべてを公表する必要があります。

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