2013/10/14

【秘密保護法案】 国民的な議論を尽くせ

◆福島の原発事故では、メルトダウン(炉心溶融)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報公開が遅れるなど秘密にされた事実は少なくない。原発の安全性をめぐる幾多の訴訟でも、重要な資料の隠ぺいや破棄が次々に露呈してきた。「原発がテロの標的になるのを防ぐ」との名目で、多くの情報が特定秘密に指定される恐れは大きい。 

◆80年代中頃、中曽根政権の下で今回の法案と類似した「国家秘密法」の制定が図られようとしたが、多くの国民の反対で実現しなかった。

秘密保護法案:国民的な議論を尽くせ

【秘密保護法案】 国民的な議論を尽くせ 川副正敏
(2013年10月13日 西日本新聞 提論―明日へ)

政府が今臨時国会に「特定秘密の保護に関する法律案」(特定秘密保護法案)を提出し、成立を図ろうとしている。しかし、この法案は情報公開の原則に背を向け、民主主義の根幹を揺るがす深刻な懸念がある。

法案では、防衛、外交、外国の利益を図る目的による安全脅威活動及びテロ活動防止に関する広範囲な事項の情報について、その漏えいがわが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるものを原則5年間「特定秘密」に指定し、これを漏えいした公務員などを10年以下の拘禁刑に処するとしている。

しかし、特定秘密を指定するのは行政機関の長(大臣など)自身である。そこでは「安全保障」の名による、時の政府当局者の利害や保身の意図が入り込んだ恣意的な指定や過度の拡張的指定、無用な指定期間の更新など、乱用を防ぐ手だてはない。

現に、1972年の沖縄返還では、米国の負担すべき軍用地復元補償費を日本政府が肩代わりし、事実上、核兵器の持ち込みを容認する密約が存在したことが今日では明らかとなっている。このことはその後の沖縄の米軍基地問題をめぐり、政府に対する不信の根源の一つであり続けた。

今回の福島の原発事故では、メルトダウン(炉心溶融)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報公開が遅れるなど秘密にされた事実は少なくない。

原子力発電所の安全性をめぐる幾多の訴訟でも、重要な資料の隠ぺいや破棄が次々に露呈してきた。「原発がテロの標的になるのを防ぐ」との名目で、多くの情報が特定秘密に指定される恐れは大きい。

                     ◆

処罰の対象となる行為の範囲は意図的な漏えいだけでなく、過失も含まれる。外部の人間が情報の保有者に対し、脅迫、窃盗のほか、「その他管理を害する行為」により取得すること、さらにはその未遂、共謀、教唆または扇動など広範な行為が取り込まれている。

これではジャーナリストの取材活動さえも重罰に処せられる可能性があり、著しい萎縮効果を生む。これにより、報道の自由が事実上強く制約され、国民の知る権利が侵害されることを危惧する。与党は、「知る権利」を明記する方向で調整し、批判をかわそうとしているようだが、歯止めになるとは思われず、むしろ問題が浮き彫りとなった。

80年代中頃、中曽根政権の下で今回の法案と類似した「国家秘密法」の制定が図られようとしたが、多くの国民の反対で実現しなかった。今、中国や韓国との領土をめぐる確執や北朝鮮情勢などを理由に国民の耳目をふさごうとするのは本末転倒だ。法案の必要性の理由として挙げられている過去の秘密漏えい事件は、いずれも自衛隊法や国家公務員法など既存の法律で対処できたものばかりであり、新たな立法を必要とする事実は見当たらない。

                    ◆

憲法9条改正や集団的自衛権容認論が高まる時だからこそ、冷静な議論をするためにも、これらに関する情報が広く国民の間で共有されなければならない。

私は福岡市の情報公開審査会で、市民からの情報公開請求を行政側が拒んだ案件の当否を検討してきた。為政者の政策決定と遂行において、情報の積極的な公開は、説明責任を尽くす源であり、市民との信頼関係を築き適正な世論を形成する基盤だと痛感している。

国の外交・安全保障政策は、地方自治と次元を異にする面はあるものの、国民主権の原理に照らすと、情報公開の重要性に変わりはなく、むしろ国民生活全体に重大な影響を及ぼす点で、その意義は一層大きい。

秘密情報を設ける場合に何よりも必要なことは、それが「国民の知る権利」に対するあくまでも例外であることを前提とし、為政者にとって不都合な事実が隠されることのないよう、司法手続きを含めた第三者機関による厳格なチェックシステムを確立することだ。

法案の要綱に対する国民の意見聴取期間はわずか2週間だった。日本の民主主義の在り方を大きく左右しかねない重大な法案成立を拙速に進めてはならない。あらためて原点に返り、国民的な議論を尽くして、慎重な審議を求めたい。

川副正敏 弁護士 1949年、福岡県生まれ
06年4月~07年3月 日本弁護士連合会連副会長
13年3月から法務省法制審議会委員


◆民意も新聞社説も大半が【秘密保護法案に反対】している中で
「自由民主党」は、自由と民主主義を破壊する法案を通そうとしている
【資料 2013年 新聞社説】 
秘密保護法 「報道配慮」 の見当違い 信濃毎日新聞 社説 9/30
秘密保護法原案 国民の目をふさぐ悪法だ 琉球新報 社説 9/28
【秘密保護法案】 危険な本質は変わらない 高知新聞 社説 9/26
秘密保護法案 危険性に変わりはない 北海道新聞 社説 9/24
秘密保護法案 現行法で対処可能だ 琉球新報 社説 9/23
秘密保護法案 取り繕いでは済まされぬ 西日本新聞 社説 9/23
秘密保護法 かつて来た道たどる懸念 信濃毎日新聞 社説 9/22
知る権利 保護を最優先に議論を 神奈川新聞 社説 9/22
秘密保護法案  「知る権利」 担保できぬ 京都新聞 社説 9/20
秘密保護法案―知る権利はつけ足しか 朝日新聞 社説 9/19
秘密保護法案/「知る権利」 を保障できるか 福島民友 社説 9/18
特定秘密保護法案 「知る権利」 守れるか疑問だ 宮崎日日新聞 社説 9/17
秘密保護法案 「知る権利」 が脅かされる 新潟日報 社説 9/17
秘密保護法案 軍事国家への入り口だ 東京新聞 社説 9/13
危惧は払拭されていない/秘密保護法案 東奥日報 社説 9/11
疑問点があまりに多い秘密保護法案 日経新聞 社説 9/7
秘密保護法案/人権害しては本末転倒だ 神戸新聞 社説 9/7
秘密保護法案 社会ゆがめる情報統制 岩手日報 論説 9/7
「秘密保護法案」/「知る権利」 に重大な懸念 山陰中央新報 論説 9/6
秘密保護法案 報道の自由への配慮が必要だ 読売新聞 社説 9/6
[秘密保護法案] 「知る権利」 侵害するな 沖縄タイムス 社説 9/6
秘密保護法案 情報管理の行き過ぎを懸念 熊本日日新聞 社説 9/6
秘密保護法案 法制化は見送るべきだ 京都新聞 社説 9/6
特定秘密保護法案 知る権利に重大な影響も 岐阜新聞 社説 9/6
秘密保護法案 知る権利に重大な懸念 茨城新聞 論説 9/6
特定秘密保護法/知る権利を保障できるのか 河北新報 社説 9/6
秘密保護法案 国民主権と民主制の否定だ 琉球新報 社説 9/5
秘密保護法案 拭えぬ 「知る権利」 の侵害 西日本新聞 社説 9/5
秘密保護法案 国民の知る権利守れるか 徳島新聞 社説 9/5
秘密保護法 危険な法案は断念せよ 信濃毎日新聞 社説 9/5
秘密保護法案 懸念材料が多すぎる 毎日新聞 社説 9/4
「秘密保護法案」 解釈で統制強化の恐れも 佐賀新聞 論説 9/3
特定秘密保護法 漏えい防ぐ効果は薄い 神奈川新聞 社説 8/31
[秘密保護法案] 国会での慎重な議論を 南日本新聞 社説 8/29
特定秘密保護法案 政府は国会提出方針の撤回を 愛媛新聞 社説 8/29
秘密保護法案 「知る権利」 は大丈夫か 中国新聞 社説 8/29
秘密保護法案 国民不在の法制化やめよ 琉球新報 社説 8/27
秘密保護法案 情報の国家統制は危うい 山陽新聞 社説 8/27
秘密保護法案 脅かされる 「知る権利」 北海道新聞 社説 8/26
秘密保全法案―権利の侵害は許されぬ 朝日新聞 社説 8/25
【秘密保全法案】 国民の権利に大きな懸念 高知新聞 社説 8/24
秘密保全法案 情報の国家統制は危険 京都新聞 社説 8/21
秘密保全法 社会を息苦しくする 信濃毎日新聞 社説 8/20
秘密保全法制 「知る権利」 侵害は許されない 愛媛新聞 社説 5/2
日常生活も縛られる危険/秘密保全法案 東奥日報 社説 4/19

*このサイトで、社説を読むことができます。

◆◆秘密保護法案 意見公募で8割反対
(2013年9月27日 東京新聞朝刊)

東京新聞:意見公募で8割反対

 政府は26日、自民党の特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム(PT)の会合で、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ同法案の概要に対するパブリックコメント(意見公募)の実施結果を明らかにした。今月3日から17日の間に約9万件が寄せられ、反対が8割近くを占めた。

 意見公募は、政府が法案を閣議決定する前などに、国民の意見を聞く制度。意見が数件しか寄せられないケースも多く、9万件は異例だ。今回の募集期間が、一般的である30日の半分しかない15日だったことを考えれば、国民が強く懸念している実態を示したといえる。

 反対意見は「原発問題やTPP(環太平洋連携協定)交渉など重要な情報を知ることができなくなる」「取材行為を萎縮させる」など、国民の知る権利や報道の自由を懸念する内容がほとんどだった。

 「スパイを取り締まれる状況にしてほしい」など、賛成意見は約1割にとどまった。

 反対意見が圧倒的に多かったことについて、法案成立を推進するPT座長の町村信孝元外相は「組織的にコメントする人々がいたと推測しないと理解できない」と記者団に述べた。

全文

反対意見が圧倒的に多かったことについて、法案成立を推進するPT座長の町村信孝元外相は「組織的にコメントする人々がいたと推測しないと理解できない」と記者団に述べた≫・・・民意を理解できない人が法案推進のトップに座っている

「自由民主党」が強くなるほどに、自由と民主主義が危うくなっていく
                      ↓
特定秘密保護法案、臨時国会成立目指す 自民・石破幹事長
(2013.10.13 23:20 産経ニュース)

 自民党の石破茂幹事長は13日夜、BS?TBSの番組で、国家機密を漏らした国家公務員への罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案について「来年の通常国会に送る必然性があるとは思わない」と述べ、15日召集の臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案とセットで成立を目指す考えを示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131013/plc13101323220005-n1.htm 

 ただ、規定は努力目標にすぎず、どんな表現が盛り込まれても「知る権利」が制限される懸念は消えない。


【秘密保護法案】真実究明に大きな懸念
(2013年10月14日 福島民報)

 第66回新聞週間があす15日から始まる。報道の使命と責任をあらためて自省、自戒するとともに、新聞を一層身近にするのが目的だ。努力をさらに重ねたい。
 「いつの日も 真実に 向き合う記事がある」を今週間の代表標語に掲げた。日々の出来事を早く正しく伝えるのはもちろん、背後に横たわる問題や隠された事実を明らかにするのは新聞に課せられた大きな役割といえる。

 特定秘密保護法案が、あす召集の臨時国会中に提出される見通しだ。真実の究明を妨げかねない条項が盛り込まれる。疑問や批判に応え、議論をもっと尽くすべきだ。

 法案原案は、政府が防衛や外交などの分野で「漏えいすると安全保障に著しく支障を与える恐れがある」情報を「特定秘密」に指定し、公務員の漏えいには最高10年の懲役刑を科す?としている。

 秘密を取得したり、漏えいを唆したりした者も処罰対象となる。新聞・放送・雑誌などの関係者をはじめ、民間業者、行政を監視・調査しようとする市民団体までが広く罪に問われかねない。

 特定秘密の指定は閣僚ら行政機関の長に委ねられる。テロ防止などに関する事項も対象に想定されている。管理者の都合に合わせて取り扱われる可能性はないのか。指定の期間を限る予定ながら、延長できる。重大な情報が国民の目に触れないまま、闇から闇へ埋もれる心配も出よう。

 日本新聞協会は「取材や報道の自由が制約されかねず、国民の知る権利が損なわれる恐れがある」と強い危惧を表明する意見書を2日、政府に提出した。野党や日弁連や市民団体からも反対や懸念の声が上がっている。

 政府は、知る権利や取材の自由への配慮を規定した修正案を11日に示した。ただ、あくまで「努力規定」にとどめたい姿勢だ。法案を所管する森雅子少子化担当相(参院本県選挙区)は、秘密を指定する第三者機関の設置などを検討する考えを明らかにしたが、法案への規定導入は「確定的ではない」という。

 東京電力福島第一原発事故の取材では、放射線被ばくの危険に加え、保安対策などを理由に制限が加えられてきた。安倍晋三首相が先日、第一原発を視察した際には「特殊な場所のため、大勢での取材が不可能」を理由に県内報道機関に公開しなかった。

 秘密保護法で制限に拍車が掛かることはないのか。安倍首相が「制御されている」とした汚染水の実態はどうだろう。県民が知るべき真実はまだ山ほどある。(鈴木 久)

2013/10/12

給食に福島米を推進する中で、セシウム基準値超え120ベクレル

福島のコメ、セシウム基準値超え 今年初、120ベクレル
(2013年10月8日 19:39 共同通信)から抜粋

 福島県は8日、南相馬市の農家が収穫したコメの一部から、食品基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える120ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。福島県産米の基準値超えは、今年初めて。

 栽培していた水田は、東京電力福島第1原発から20~30キロ圏。3日に収穫した52袋(1袋30キロ)の検査で、2袋が120ベクレルだった。


今年度産米で初の基準超え
(南相馬市旧太田村産120ベクレル/kg)

(2013.10.10 内部被ばくを考える市民研究会)から抜粋

NHK:10月8日今年度産米で初の基準超え

今年度産米で初の基準超え(南相馬市旧太田村産120ベクレル/kg)
(2013年10月8日19時53分NHKニュース 福島県のニュース)から抜粋

県産のコメの放射性物質の検査を行う「全袋検査」で、南相馬市の一部の農家が収穫したコメから、国の基準を超える放射性物質が検出されました。「全袋検査」で今月3日、基準を超えるコメ袋が44袋みつかったため、県が精密検査をしたところ、このうちの2袋から、国の基準を20ベクレル上回る、1キログラムあたり120ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。

南相馬市旧太田村産玄米の放射性セシウム濃度(2013年10月3日採取)
厚生労働省が2013年10月8日公表した食品中の放射性物質の検査結果データ45袋の玄米セシウム合計は、ほぼ60~80ベクレル/kg


国体などで福島県産米使い支援
(2013年10月3日 NHK)から抜粋

国体などで福島産の米を使い支援

原発事故による風評被害にあっている福島県の農業を支援しようと、東京都は国民体育大会とそれに続く全国障害者スポーツ大会に参加する選手団やスタッフに配る弁当に福島産の米を使う取り組みを始めています。

東京で先月28日に開幕した国体と今月12日に開幕する全国障害者スポーツ大会には、あわせて2万8000人の選手や役員が参加します。

また国体の競技会場がある25の市区町村も都の要請を受けて選手団などに配る弁当に福島産の米を使っています。

これらのコメは、すべて放射性物質を調べる検査によって安全性が確認されているということです。

東京都スポーツ振興局の神田明課長補佐は「東北の被災地ではまだ風評被害が続いていると聞いているので、東京都としてさまざまな形で支援していきたい」と話しています。


放射性セシウム「20ベクレル未満」を福島市の小中学校給食に使用再開
福島市産米 給食使用きょう再開 市、安全確保へ5回検査
(2013年1月8日 河北新報)

 福島市は7日、福島第1原発事故で中止していた小中学校給食への市内産米使用を3学期初日の8日に再開すると発表した。放射性セシウムが1キログラム当たり20ベクレル未満という独自基準を設け、全量と抽出を合わせて5度の検査で安全を確保する。

 国の基準は1キログラム当たり100ベクレル以下であれば食品として流通可能だが、地元食材に対する保護者の不安に配慮する。県の全袋検査で25ベクレル未満だった市内産のコシヒカリ玄米を調達し、精米工場で2回、学校給食会と給食センターで各1回の検査を行い、精米前、精米後とも市などの検査機器で検出下限値の20ベクレル未満のコメだけを使う。

 市は原発事故が起きるまで市内産のコシヒカリを週3?4回の米飯給食に用いてきたが、震災で保管庫が被災し確保が困難になったのを機に、福島県会津産に切り替えた。

 2011年産は使用再開を見送ったが、12年産は県全体の全袋検査に加え、検査機器導入も進んだことから安全を保てると判断した。市教委の野地正栄教育部長は「国よりもはるかに厳しい基準と検査で、日本一安全な学校給食を提供する」と話した。

 市教委によると、年間に給食で使うコメは約250トンで、震災前は使用率40.4%だった市内産食材の8割弱を占めた。県内13市では、いわき、相馬、南相馬、伊達の4市が市外産米を利用している。


ユーリ・バンダジェフスキー博士(元ゴメリ医科大学学長)の警告
子どもの体重1kgあたり、セシウム137が10ベクレル(体重5kgの子どもなら50ベクレル)蓄積するだけで遺伝子に影響を与え、不整脈を引き起こす可能性がある(不整脈は、心臓病につながる)と警告していまます。
体重5kgの幼児が、セシウム137を毎日0.32ベクレル摂取し続けると体内10ベクレル/kgになります

バンダジェフスキー研究 セシウム濃度と不整脈

子どもの体重1kgあたり0~5ベクレル セシウム137が蓄積している子どもでは、80%の子どもたちは正常な心電図です。しかし、子どもの体重1kgあたり12~26ベクレル セシウム137が蓄積している子どもたちでは、正常な子どもは40%になります。60%の子どもたちが不整脈を引き起こしています。

この割合は、セシウム137の体内蓄積量が大きくなるほど、深刻な影響を与えていることをデータは示しています。子どもの体重1kgあたり74~100ベクレル セシウム137が蓄積すると、正常な心電図の子どもは12%に激減します。

国際放射線防護委員会(ICRP)は一度に1000ベクレル摂取した場合、毎日1ベクレル摂取した場合、毎日10ベクレル摂取した場合の体内セシウム137蓄積量のグラフを公表しています。(ICRP Publication 111)

毎日1ベクレル摂取で、2年後には体内蓄積200ベクレルに

毎日1ベクレル摂取しただけで、700日後(約2年後)には体内蓄積量は200ベクレル近くにもなります。毎日10ベクレル摂取していると、700日後(約2年後)には体内蓄積量は1400ベクレルを超えます。


◆心臓病が急増
今、全国で心臓病が増加しています。私たちは、チェルノブイリの経験から学ぶことがたくさんあります。チェルノブイリ原発事故後、放射能汚染地の住民に心臓病が激増していきました。原発事故から22年が過ぎた2008年、ベラルーシで亡くなった人の半数以上(52.7%)が心臓病でした。何故、心臓病が激増したのか――私たちは学ぶ必要があります。

2008年のベラルーシの死因 52.7%心臓病

チェルノブイリ原発事故後のベラルーシで、バンダジェフスキー博士が病気で亡くなった人を解剖して分かったことは、心臓病の多くは、放射性セシウムが心筋(心臓の壁を構成する筋肉)に蓄積して起こったということです。

2012年12月26日の東京新聞によると、茨城県取手市(放射能汚染地=ホットスポット)の小中学生に心臓病が急増しています。一次検診を受けた小中学生1655人のうち73人が要精密検査と診断され、11年度の28人から2.6倍になっています。中学生だけで見ると、17人→ 55人と3倍強に増えています。

取手市 心臓病の増加

心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も10年度9人から11年度21人、12年度24人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、10年度の1人、11年度の2人から8人へと急増しています。

また、心疾患死亡に関する人口統計において、福島県の心疾患死亡率が2011年度の全国一位になっています。(秋田県が公開したデータ)

◆2011年度 心疾患死亡率は、福島が全国一位
福島は、2010年度の8位から2011年度(2011年4月~2012年3月)は1位に、岩手が6位から4位になっています。

福島と周辺県の心疾患死亡率が増加

     2010年度  2011年度  増加率   
福島   197.6   226.0   14.4%  
宮城   141.3   160.0   13.2%  
茨城   150.1   165.9   10.5%  
岩手   202.6   219.3    8.2%  

全国平均 149.7  154.4    3.1%  

心疾患死亡率 2011年と2012年度の比較


福島米の安全性のアピールに貢献するのは
国体選手と障害者、地元の学童たち

(2013年10月3日 みんな楽しくHAPPYがいい)から抜粋

「自分で食べないものを」といわれて福島市のJA新ふくしま組合長、吾妻雄二(66)は考えた。自分たちが食べるしかない。とくに、学校給食に福島市産米を使うことだ。子どもたちが福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる――。

プロメテウスの罠 給食に福島米

福島 給食で地元米の使用再開
福島県内の学校給食 「県産食材」震災後も使用 
さらに新年度、県産食材使用市町村に食材購入費を補助
県は新年度、県産食材を給食に使う市町村に食材購入費を補助する。


ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』
京都大学原子炉実験所の今中哲二さんや小出裕章さんが翻訳したジョン・W・ゴフマン博士の名著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』について、小出さんは講演などで「放射線被ばくに関して最も信頼できる本」として、よく引用されていますが、ゴフマン博士の【年齢別、がん死率】の研究によれば、55歳以上と子どもを比べると(同じ放射線量を浴びたときに)10歳の児童は200倍以上、0歳の乳児は300倍以上もガン死率が高くなります。

ゴフマンのグラフ(520サイズ)


日本では、チェルノブイリの経験がまったく生かされていない
【ウクライナで5万人の子どもを診察したエフゲーニャ・ステパノワ博士】
日本人へのアドバイス 病気予防対策の一番目
放射能に汚染されていない食べ物をとること

加えて、充分なビタミンをとること。体力増進に努めること。
汚染地域を離れて保養施設などで休むこと(最低でも4週間)

・・・・・・

児童が10~20ベクレル/kg汚染された給食を食べているというのは、55歳以上の大人が、その200倍の2000~4000ベクレル以上に汚染されたものを食べているのと同じである
 
福島県と小中学校は、まず、福島米の給食での使用を取りやめ、ゴフマン博士やバンダジェフスキー博士の研究、チェルノブイリの被害の全貌を時間をかけて慎重に検討した上で、どのような食材を給食に使用するかを決めてほしい。JAと農家の方は、国策で原発を進めてきた政府と東電に補償を求めてほしい。

そして、未だに年間被ばく量を20ミリシーベルトから1ミリシーベルトに戻さない政府に目先の経済より「放射能から子どもを守ることを最優先させる」ように国民運動を起こす必要がある。

宮城県産米で基準値超え 福島以外で初、流通せず
(2013.1.10 産経ニュース)

宮城県は10日、同県栗原市の旧沢辺村で収穫された自家消費用のコメから食品の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える186?208ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。厚生労働省によると、福島県以外でコメが新基準値を超えたのは初めて。

流通はしていない。宮城県は栗原市に旧沢辺村産米の出荷自粛を要請した。

検出限界値 福島県庁食堂『1ベクレル』 学校給食『10ベクレル』

2013/10/10

『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』 解説:崎山比早子さん

一人でも多くの人に読んでほしい本

『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌

『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』刊行記念 
アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会 2013年5月18日

(書き起こし みんな楽しくHappy がいい)から抜粋

解説:崎山比早子さん(元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士)

福島原発事故から2年が過ぎました。事故が起きた当時、毎日テレビを見て、原子炉の破壊状況を見ていた時に、2年後にこのような生活があるなどとは、その時は想像もできませんでした。事故現場で被ばくをしながら懸命に働いていらっしゃる労働者のみなさんのおかげで、幸いにして私たちの今日があるのだと思います。

しかし今、福島から離れた都会、あるいは福島県の中ですら 事故当時のあの衝撃は徐々に薄れてきて、放射線に対する注意を忘れてきていると思います。この時期に報告書が刊行された意味は大きいのではないかと思います。

この報告書には、いま日本において沢山の方が放射線のリスクを考え、これから自分たちの生活をどうするか、判断する基礎になる情報があります。特に注目されるのは、これまで国際原子力機関とか、国際放射線防護委員会、ICRPですね。WHO等の国際機関で否定され続けてきた放射線による非がん性疾患の発症を豊富な資料に基づいて紹介している事です。

これまで西側でほとんど読まれる事が無かったロシア、ベラルーシ、ウクライナ国内で発表されてきた論文に加えて、ドイツ、スウエーデン、トルコなどチェルノブイリ事故によって放射能汚染が起こった国々からの報告も入っています

チェルノブイリ原発事故によるヨーロッパの汚染地図

また放射線の人体影響だけではなく、チェルノブイリ地方における野菜や果物などの汚染の程度。汚染食物を取り込んでしまった場合の対処の仕方など、実生活に役立つ情報。それから環境汚染による野生の動植物への影響も網羅しています。

そういう意味でこれは大変貴重で、私たちの実生活に役立てたい報告書です。

福島事故以来、日本では低線量被ばくのリスクに関して、これまで決められていた公衆の年間被ばく限度制御1ミリシーベルトが20ミリシーベルトに見逃されてしまいました。事故があったからといって、人の放射線に対する感受性が20分の1になったわけではありません。

1ミリシーベルトという限度線量自体安全量ではありません。それは理論的にも、基礎実験でも、それから広島・長崎原爆被爆者をはじめとする疫学調査でも、放射線に安全量は無いということは明らかに証明されているからです。

1ミリシーベルトと決めたのは、原発を運転し電気を売るためのコストとリスクをはかりにかけて、「これ以下に限度線量を下げるともう採算が取れなくなる」という事情からです。その事は原子力産業の影響下にあると言われているICRPの委員長であるゴンザレスさんも、昨年福島のシンポジウムでそんなふうにおっしゃっていた事です。

1ミリシーベルト自体が安全量ではなく、経済的政治的な要因で決まっているのに、日本の放射線専門家が「100ミリシーベルトまではリスクがあるという証拠は無い」といかにも科学的であるかのように主張しているのはおかしなことです。

しかも見る気にさえなれば100ミリシーベルト以下でも、統計的に有意に白血病や脳腫瘍などの癌が増えるという論文はあるんです。放射線リスクにしきい値が無いという事は、水爆の父と言われたアンドレイ・サハロフが1958年に発表した本のタイトルにすでに書いてあります

自然放射線科学というのは、新しい事実が発見されるとその発見をベースにして前にどんどん進んで行くというのが普通の姿です。しかし放射線のリスクに関しては、いくら科学が進んでも、それが取り入れられず、分かっていることも分かっていない事にされ、何時まで経っても同じ議論を蒸し返しているという事があります。

これは明らかに問題が科学からずれて、経済的政治的な領域に入っているのに、相変わらず科学であるかのような装いのもとに論争しているからだと思います。

放射線による非がん性の疾患が無い事にされ、チェルノブイリ事故による脳神経系の疾患に対しては「放射線恐怖症」という診断名が発明されたのも、同じような事情によると思います。

放射線の障害は基本的に放射線が体内を透過した時にできる反応性の高いフリーラジカルを通して生じます。がんの原因になるのも、多くがこのフリーラジカルがDNAを傷つけるからです。

このフリーラジカルがどのように細胞の中のいろいろな分子を傷つけて、報告書に出てくるようなあらゆる病気を引き起こし、老化を促進するのか。これから研究が必要です。

しかし病気に対して最も効果的なのは予防です。予防は被ばくをしない事です。そのために政府は住民を汚染地域から避難させる義務がありますし、これ以上汚染が広がらないように、国家的なプロジェクトとして、一日も早く事故現場を安定させることが急務です。

政府をそのように動かしていくのは市民の力です。その力のベースになるのは、科学的に正確な知識です。そのような意味で、今日ヤブロコフ博士のお話を伺う事が出来るのは、大変有力ですし、幸運だと思います。

よろしくお願いいたします、どうもありがとうございました。

           *             *

岩波書店 『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(内容の一部)

アマゾン 『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』

書評から一部抜粋

チェルノブイリの大惨事に関する、金字塔ともいうべき決定版, 2013/5/15

 3・11いらい、旧ソ連邦崩壊の前夜、ウクライナ共和国チェルノブイリで起こった原発事故(1986年4月26日)にたいする関心が高まっている。チェルノブイリ原発事故の実態を知らずして、フクシマ原発事故の帰趨をおしはかることはできないからである。

 チェルノブイリの大惨事(catastrophe)が人びとと環境にいかなる影響を及ぼしたか、そして事故いらい四半世紀がたつ今、いかなる影響を及ぼしつつあるか。それを知るために逸することのできない、最新の、金字塔ともいうべき決定版が本書である。

 本書の特徴を三つほど指摘してみたい。

 第一に、本書の扱う主題がきわめて包括的であること。

 本書の内容は、第1部「チェルノブイリの汚染(概観)」にはじまり、第2部「チェルノブイリ事故の人びとの健康への影響」で、罹病率老化の加速がん及び非がん疾患死亡率などを論じ、第3部「環境への影響」で、大気、水、土壌の汚染、植物相・動物相への悪影響、ウィルスなどの微生物への悪影響を詳述し、第4部「チェルノブイリ後の放射線防護」において具体的な提言(食物にふくまれる放射線核種の低減、ペクチン剤による体外排出、放射線防護の新しい原則の提示)に及んでいる。その記述の詳細にして包括的なことは他に類を見ない。

 第二に、本書は「メタ分析」とよぶ戦略的方法によって書かれていること。

 これまでにもチェルノブイリの大惨事についての報告、著書、論文はあったが、本書を「決定版」とするのは、従来、欧米や日本の研究者、一般読者には容易に近づくことのできなかった数千点におよぶ厖大な、ロシア語をはじめとするスラブ系言語で書かれた文献を収集・総覧して、それらの基礎のうえに築かれた「一大伽藍」(cathedral, カテドラル)だからである。

 本書の「方法論的アプローチ」の特徴を著者らは「メタ分析」(meta-analysis, or meta-review)とよぶ。「厳密な数量化」や「統計的に有意」な相関関係を見出すだけの手法にはおのずから限界があるとみて、ヨリ有効な方法として民族的、生物学的、社会経済的など、さまざまな特徴において互いに比較可能な集団間(地域、サブグループを含む)の差異を比較照合することによって、チェルノブイリの大惨事の全貌を明らかにする手法を著者らは戦略的に編み出したのである。

 第三に、本書はチェルノブイリの大惨事を過少評価するあらゆる見方を粉砕する論争と論駁の書(polemique, ポレミック)でもある。 

 事故から20周年にあたる2005年、「チェルノブイリ・フォーラム」を開催しながら、チェルノブイリの放射能汚染の悪影響を示す厖大なデータを無視して、大惨事の過小評価で国際的コンセンサス(合意)をはかるIAEA(国際原子力機関)、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)、WHO(世界保健機関)などの「科学的に正当化できない」諸見解に、本書の著者らは厳しく対峙しているのである。

 待望の、部厚い本書を読みおえて、思わず胸に抱きしめて目をつむっていたら、涙があふれ出た。

 このひとことをもって本書推奨のことばとしたい。

           *            *

5つ星のうち 5.0 圧倒的な情報量と深刻な内容, 2013/4/30

グロジンスキー教授(ウクライナ国立放射線被曝防護委員会委員長、ウクライナ国立科学アカデミー一般生物学部長)による前書きにあるとおり「本書はおそらく、チェルノブイリが人びとの健康と環境に及ぼした悪影響に関するデータを、もっとも多く広く包括的に集めたもの」です。

IAEA/WTOの報告書が数百の英語文献に基づいていたのに対して、本書は現地語を中心とする5千以上の資料に基づいています。原書はニューヨーク科学アカデミーの紀要であり科学的な裏づけのある内容です。福島原発事故に20数年先行する事例として、日本にとって極めて重要な文献と言えます。

個々の資料の報告内容を小さなパラグラフにまとめて列挙する形式は文献解題のような趣があります。その間に貴重な図表が掲載されています。たとえば第3章の最後に、事故から6年後の北ウクライナ汚染地域における罹患率(成人および15~17歳)が出ています。循環器98%、筋肉・骨73%、消化器63%、皮膚・皮下組織60%で、いずれも事故の翌年より数十倍に増えています。健康状態は事故発生時に原子炉の消火作業にあたった人たち(リクビダートル群)より悪いかもしれないとのことです。

再びグロジンスキー教授によれば本書で「悪影響は減少するどころか増大しており、将来にわたって増え続けることが示されて」おり、「この先幾世代にもわたって、人びとの健康も自然の健全性も悪影響を受け続けることになるだろう」とのことです。

目次は以下のとおり。

序論 チェルノブイリについての厄介な真実

第1部 チェルノブイリの汚染――概観

 第1章 時間軸と空間軸を通して見たチェルノブイリの汚染

第2部 チェルノブイリ大惨事による人びとの健康への影響

 第2章 チェルノブイリ事故による住民の健康への影響――方法上の問題点

 第3章 チェルノブイリ大惨事後の総罹病率と認定障害

 第4章 チェルノブイリ大惨事の影響で加速する老化

 第5章 チェルノブイリ大惨事後に見られたがん以外の各種疾患

 第6章 チェルノブイリ大惨事後の腫瘍性疾患

 第7章 チェルノブイリ大惨事後の死亡率

第3部 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響

 第8章 チェルノブイリ事故後の大気,水,土壌の汚染

 第9章 チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響

 第10章 チェルノブイリ由来の放射能による動物相への悪影響

 第11章 チェルノブイリ由来の放射能による微生物相への悪影響

第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護

 第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染

 第13章 チェルノブイリ事故に由来する放射性核種の体外排出

 第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策

 第15章 チェルノブイリ大惨事の25年後における住民の健康と環境への影響

         *           *

偏見と独断によるまとめ, 2013/8/19
福島の今後を考える上で、本書は最良にして、最大とも言えるテキストです。チェルノブイリ事故(1986年4月26日)から27年経って、今もなお拡大しつつある被害の実態は私の想像をはるかに超えていました。以下では、各章ごとに私なりにとらえた要点、もしくは印象に残った内容をまとめると共に、背景となる本文中の事例を紹介しました。長文になるので第4部(12―15章)は省略しました。

第1章 時間と空間軸を通して見たチェルノブイリの汚染

まとめ 放射性物質による汚染地域は、ヨーロッパだけではなく、北太平洋、南北アメリカ、アジア、南半球(タヒチ島等)と地球全土に拡がっていた

第2章 チェルノブイリ事故による住民の健康への影響

まとめ 政府(旧ソ連等)、IAEA(国際原子力機関)、UNDP(国連開発計画)、WHO(世界保健機関)の公式発表を信用してはいけない

  (1) ソ連政府による機密主義とデータの組織的な改ざんにより、真実のデータが隠蔽されてしまった。  

  (2) IAEA 、 UNDP 、そして WHO の公式報告書では、人々の健康に関する悪影響はそれまで考えられていたほど重大なものではないと結論された

  (3) 本書の目的は、知られている限りにおいて、その影響の規模と範囲を明らかにすることにある。

第3章 チェルノブイリ大惨事後の総罹病率と認定障害

まとめ 放射性物質による高濃度汚染地域では、 2000 年以降、大人も子供も健康な人の割合が 20 % 前後(5人に1人)にまで低下し、慢性疾患による障害者が今も増大しつつある

  (1) 事故前には 90 % の子供が「健康と言える状態」にあったが、2000 年には、そのようにみなせる子供は 20 %以下となった〔ベラルーシ〕

  (2) 1988 ― 2002 年にかけて、健康な避難者(成人)の割合が 68 % から 22 % に下降し、「慢性的に病気」の人が 32 % から 77 % に上昇した。

第4章 チェルノブイリ大惨事の影響で加速する老化

まとめ チェルノブイリ由来の放射性核種に汚染された全ての人々に、老化の加速が見られた

  (1) 重度汚染地域の子供には早発性の脱毛症が、また、汚染地域の中年男女は、平均的一般人より 8 歳若く心臓発作で死亡した〔ベラルーシ〕。

  (2) 老化の加速はリクビダートル(事故処理作業員)に典型的な特徴であり、多くは平均的な一般集団より 10 ― 15年早く疾患を発症した。

第5章 チェルノブイリ大惨事後に見られたがん以外の各種疾患

まとめ 血液および循環器・リンパ系疾患が、チェルノブイリ事故に由来する主要な障害であり、リクビダートル(事故処理作業員)の主な死因でもあった。また、放射線による被曝は、内分泌、免疫、呼吸器から消化器系、そして泌尿生殖器から神経、感覚器等に至るあらゆる疾患を人体にもたらしていた

【血液・リンパ系の疾患】 

  ・新生児出血性疾患の発生数が事故前の2倍以上〔ベラルーシ〕となり、ダウン症候群症例が通常の 2.5 倍に増加〔ドイツ〕した。

  ・重度汚染地域〔ベラルーシ〕では、リンパ系及び造血器疾患の発生率が 56.6 % 増加し、内、白血病は 90.3 % 、リンパ系及び造血器の悪性腫瘍は 26.7 % 増加した。

  ・リクビダートル〔ロシア〕の循環器系疾患(高血圧、虚血性心疾患等)の罹病率が、 1986 年以降 1994 年までに 23 倍に増加した。

【内分泌系疾患】

  ・事故から数年後に、べラルーシの全汚染地域で内分泌疾患の急増が認められた。

  ・子宮内被ばくした女子の約 32 % が不妊となった、また、新生児の 28 % が甲状腺機能低下症により知能と生理機能の双方に異常を生じた〔ウクライナ〕。

  ・ 500 人のリクビダートル〔ウクライナ〕の過半数に下垂体-副腎系の重大な機能障害が認められた。

【甲状腺機能障害】

  ・放射性核種による高濃度汚染地域〔ベラルーシ〕では、在胎 4,5 ヶ月の胎児の 43 % に甲状腺の病変があった。

  ・放射能汚染地域に居住する学齢期の子供の 64.2 ― 75.2 % に甲状腺肥大、 2.4 ― 2.5 % に自己免疫性甲状腺炎、 0.5 ― 1.2 % に甲状腺ののう胞性変化や腫りゅう、 0.01 % に甲状腺癌が認められた〔ウクライナ〕。

  ・甲状腺癌の症例が 1 例あれば、他の種類の甲状腺疾患が約 1000 例存在する

【免疫系疾患(チェルノブイリ・エイズ)】

  ・免疫系破壊の結果として、免疫不全に加え、急性、慢性の疾患や感染症の頻度と重症度が高まった(「チェルノブイリ・エイズ」として知られる)。

  ・子宮内被ばくした小児の 43.5 % に免疫不全が、また、乳児には急性呼吸器ウィルス感染、急性気管支炎、急性腸内感染および貧血症が多発した。

  ・十代の少年、少女の 45.5 % に慢性扁桃炎、アデノイド肥大、扁桃肥大が認められ、頚部リンパ節腫脹の発症頻度が増加していた。

【呼吸器系疾患】

  ・呼吸器系疾患は最も早期に表れた被ばくの影響であった〔ウクライナ〕。

  ・放射能汚染地域に住む十代の少年少女、成人、及び避難者では、気管支炎と肺気腫が 1.7 倍に増加し、気管支喘息は 2 倍以上に増えた。

  ・慢性気管支炎と気管支喘息は、リクビダートル〔ウクライナ〕の罹病率と障害、及び死亡率の二大主要原因である。

【泌尿生殖器系の疾患と生殖障害】

  ・避難者の子女 1017 人の内、 11 % に性的発達の遅れ(第二次成長の発達異常、子宮発育不全等)が見られ、 14 % に月経機能障害があった。

  ・男性リクビダートル〔ベラルーシ〕の 42 % で精子数が最大 53 % 減少し、可動精子の割合の低下、死滅精子の数の増加が見られた。

【骨と筋肉の疾病】

  ・リクビダートル〔ベラルーシ〕の 30 ― 88 % に骨粗しょう症が見られ、骨密度が、該当する年齢の平均値より 16 ― 37 % 低かった。

  ・これは、被ばくによって破骨細胞前駆細胞と骨芽細胞前駆細胞が直接損傷されたことに起因する。

【神経系と感覚器の疾患】

  ・成人の脳細胞が破壊されることにより、記憶や書記行動の障害、けいれん、拍動性の頭痛等の症状が増加した(「チェルノブイリ認知症」)。

  ・神経系疾患は放射能汚染地域〔ベラルーシ〕から避難した十代の少年少女がかかる病気の内、 2 番目に多く、罹病率は 1000 人当たり 331 例だった。

  ・男性リクビダートル〔ロシア〕 6万8309人 のデータには、 2万9164 例の精神障害が公式に登録されている。

【感覚器の異常】

  ・高濃度汚染地域では、視覚と聴覚の異常(若年性白内障、硝子体変性、屈折異常、ぶどう膜炎、極端な聴力の低下等)が高い頻度で発生した。

  ・重度汚染地域〔ベラルーシ〕では、先天性白内障、小眼球症、耳の位置異常、過剰耳(福耳)等、先天性奇形の発生率が目に見えて高い。

【消化器系疾患とその他の内臓疾患】

  ・汚染値が 5000 ― 1万5000Bq/’u の地域に住む子供〔ウクライナ〕には、胃粘膜萎縮症が対象群の 5 倍、腸上皮異形成は 2 倍も多く発生した。

  ・相対的に汚染度の高い地域〔ウクライナ〕の住民に、消化器潰瘍、慢性胆のう炎、胆石症、及び膵炎の発生頻度は目に見えて増えた。

  ・リクビダートル〔ロシア〕の消化器系罹病(胃炎、胃十二指腸炎等)率が、事故後の 8 年間で 74 倍にも増加した。

【皮膚と皮下組織の疾患】

  ・脱毛症で入院していた 69 人の子供(十代を含む)の内、 70 % 以上が重度汚染地域〔ベラルーシ〕の出身だった。
  ・事故に続く 9 年間で、皮膚及び皮下組織における疾患の罹病率が最高値を示したのは 1993 年だった。

【感染症および寄生虫症】

  ・放射性物質に汚染された地域で、胃腸炎、感染性胃腸炎の重症型、細菌性敗血症ウィルス性肝炎等の疾患群の発生率や重症度が増大した。

【先天性奇形】

  ・ゴメリ州〔ベラルーシ〕では、 1994 年の先天性奇形発生率は 1986 年の 6 倍だった。
  ・放射能汚染地区〔ウクライナ〕において、多指症、内臓の変形、四肢の欠損や変形、子宮内発育障害等重度の先天性奇形が有意に増加した。
  ・リクビダートルの家庭に生まれた子供の 9.6 % に先天性奇形(脊柱側湾症、喉や歯の変形等)があった〔ウクライナ〕。

  ・事故後に発生した中枢神経系奇形(脳や脊髄の奇形)の内、 98 %が水頭症を呈していた。

第6章 チェルノブイリ大惨事後の腫瘍性疾患

まとめ ヨーロッパでの、放射線に起因する血液癌(白血病)の予測発生数が 1万2904 例、これによる予測死亡者数は 9161 名、同じく、甲状腺癌と非メラノーマ皮膚癌を除く固形癌の予測発生数が 13万405 例、これによる予測死者数が 8万851 人となった

【甲状腺癌】

 ・甲状腺癌は事故に起因する全ての悪性腫瘍の中で最も多く見られた
 ・ベラルーシでは、 2000 年までに 7000 人を超える甲状腺癌の患者が登録され、約 3000 人が甲状腺癌の手術を受けた。
 ・ベラルーシでは、甲状腺癌症例数は事故前と較べて、小児で 88 倍、十代の少年少女で 12.9 倍、成人で 4.6 倍に増加した。
 ・チェルノブイリの甲状腺癌は、1. ずっと早く(被ばく後 3,4 年で)発症し、2. 侵襲性が強く、3. 被ばく時に子供だった者だけでなく成人にも発現する

 ・甲状腺癌は放射線に起因する甲状腺障害の氷山の一角にすぎない。癌が一例あれば、その背景には他の器質性甲状腺障害が数百例存在する。

【血液のがん-白血病】

 ・ 1989 年以降 2003 年までの小児癌 4950 例〔ベラルーシ〕の内訳は、白血病、中枢神経腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、及び腎臓癌等であった。

 ・重度汚染州〔ウクライナ〕では、急性白血病の発生率は男性において劇的に上昇し、男女を合わせた罹病率は、汚染度の低い州より3倍以上高かった。

 ・リンパ肉腫と細網肉腫は事故後 6 ― 10 年目にかけて、骨髄性白血病は事故に続く 5 年間と 11 ― 15 年目にかけて有意な上昇が認められた。

【その他の癌】

 ・事故後、胃腫瘍の割合が減少した一方で、甲状腺癌、肺がん、乳がん、泌尿生殖器癌、結腸癌、及び直腸がんが増加した。
 ・リクビダートル〔ウクライナ〕では、消化器系の腫瘍が 33.7 % 、呼吸器系の腫瘍は 25.3 % 、泌尿生殖器の腫瘍 13.1 %だった。

 ・前記で、最も急激に増加したのが泌尿生殖器の疾患で、 1993 年から 1996 年にかけてほぼ 3 倍( 11.2 % から 39.5 % へと)増加が認められた。

 ・モギリョフ州〔ベラルーシ〕の男性リクビダートルの癌診断後 1 年以内の死亡は 72 % 、 1 年経過後の死亡は 16.7 %、 5 年生存率は 2.4 % だった。

 ・事故後の 10 年後から 15 年後にかけて、悪性黒色腫(皮膚がんの一種)の発生率が 5 倍に増加し、脳腫瘍は 3 倍になった。

第7章 チェルノブイリ大惨事後の死亡率

まとめ 被ばくによる死亡(者)は、事故処理作業員(リクビタートル)ばかりでなく、精子、卵子、胎児、嬰児、小児から少年・少女、そして成人、妊婦等に至る、生体のあらゆる段階で発生していた

【出生前死亡】

  ・高濃度汚染地域〔ウクライナ〕における流産と死産の推定値は合計約 5 万例だった。

【新生児の死亡】

  ・ 1986 年 11 月に新生児の男児比率が有意に低下した〔チェコ〕。
  ・ベラルーシ、ゴメリ州では、小児癌による死亡率が全国統計の 2 倍、汚染が最小だったヴィテブスク州の 20 倍多く登録された。

【成人の死亡】

  ・ロシア人リクビダートル 24万4700 人の内、 2005 年までに 3万1700 人、即ち 13 %以上が既に死亡した。
  ・ロシア人リクビダートルの 3 大死因( 1993 )は、1. 外傷と中毒( 40 % )、2. 循環器系疾患 ( 29 % )、3. 悪性新生物( 1.3 % )だった。

【死亡総数の推算】

  ・ベラルーシ、ウクライナ、及びヨーロッパ側ロシアでの事故による死亡者数は、大惨事に続く 15 年間で 21万2000 人と推計される。
  ・上記と同様の仮定で、 2004 年までの、チェルノブイリ大惨事に由来する(地球全土の)死亡総数は、 105万1500 人と推計される。

第8章 チェルノブイリ事故後の大気、水、土壌の汚染

まとめ 放射性物質による汚染は、北米や東アジアにおいてさえ、 1960 年代に核実験が始まった頃の最高値を上回った。また、土壌中の放射性核種が垂直下方向に移動すると、根の深い植物が放射性核種を吸い上げ、再び地表へと戻す再循環過程の存在が明らかとなった

第9章 チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響

まとめ 原発から 30 km 以内の強制退避区域(チェルノブイリゾーン)の植物相には、突然変異による枯死や構造上の異状、腫瘍様変化が多発した

  (1) チェルノブイリ事故のため、 30 キロメートルゾーン内の松林は強い放射線の衝撃に耐えられず枯死した(いわゆる赤い森)。

  (2) 事故に続く 2,3 年間、 30 キロメートルゾーン内で調査したシロイヌナズナの全個体群で、致死性突然変異と葉緑素突然変異が有意に増加していた。

  (3) 事故から 13 年程過ぎても、 30 キロメートルゾーン内で育つ 2 つの小麦品種では染色体異常の出現頻度が自然の頻度より有意に高かった。

  (4) 汚染地域に生育する植物には、形状変化、切断、ねじれ、しわ、分岐、茎の帯化等、放射線誘発性の変化が見られた。

第10章 チェルノブイリ由来の放射能による動物相への悪影響

まとめ 放射線による被曝は、森の動物相や重度汚染地域に留め置かれた実験動物にも、人体に生じたのと同様の被害(腫瘍の発生、免疫不全、平均寿命の短縮、老化の早まり、血液組成の変化、奇形、性比の偏り等)をもたらし、罹病率と死亡率を著しく増大させた

【動物の繁殖の異状】

  ・ゴメリ州〔ベラルーシ〕では、 1993 年から 1999 年にかけて、馬の国内最多の流産率、死産率及び子馬の罹病率を記録した。

  ・汚染地域の豚の交尾が目に見えて減少し、子豚の 1.8 % ― 2.5 % が死産に終わるか、口唇、肛門、四肢の先天性奇形を伴っていた〔ベラルーシ〕。

  ・強制避難区域の森林では、事故後の 20 年間に鳥の種類が 50 % 以下に減少し、重度汚染地域では、鳥類の個体数が66%も減少した。

  ・重度汚染地域のツバメにおいて、異状精子(頭部の変形、 2 つの頭部、 2 つの尾部を持つ精子等)が有意に高い頻度で発生した。

  ・汚染地域のヨーロッパヤチネズミは、 22 世代に渡って胎児死亡率が上昇した。

【遺伝的変化】

  ・ 12 キロメートルゾーン内の牛に、赤血球数の減少、ヘモグロビン値の低下、及び好中球と単核細胞の割合の低下が観察された。

  ・ 1986 年以降、ヨーロッパヤチネズミの染色体異常の出現率と胚致死の発生率は 22 世代以上に渡り目に見えて高まった。

  ・退避ゾーンで捕獲したツバメでは、体細胞突然変異とゲノム(染色体)突然変異が、他の地域の 2 倍から 10 倍高かった。

  ・ベラルーシでは汚染度の高い湖沼程、鯉の胎芽、幼生、及び幼魚の先天性奇形発生率が有意に高かった。
  ・ 1990 年に、 30 キロメートルゾーンに近いポレーシェ地区で捕獲された全昆虫の最大 22 %が奇形だった。

第11章 チェルノブイリ由来の放射能による微生物への影響

まとめ 放射線は、病原微生物を活性化し、感染力の増強、病原性の悪化等をもたらしたばかりでなく、人体の腸内細菌叢の分布状態を変え、自然界の土壌細菌、ウィルスにも予測できない変性をもたらしていた。

  (1) 重度汚染地域で肝炎ウィルス、ヘルペスウィルス、ニューモシスチス、及びレトロウィルスの活性化(感染力の増大、病原性の悪化等)が観察された。

  (2) ウクライナに住む避難者の子供において、ビフィズス菌の顕著な減少と大腸菌の顕著な増加が小腸内で認められた。

  (3) 事故以来、野生動物における狂犬病の報告が事実上皆無である。これは狂犬病ウィルスの消滅か、不活性化を示唆する。

  (4) タバコモザイクウィルスの新変位株(ナス科以外の植物に感染)が数種類出現した。

  (5) 事故後、チェルノブイリ周辺の汚染土壌で黒色微小菌類が劇的に勢いを増した。

以上の事柄を、そのまま日本に当てはめる事はできませんが、今後、原発事故がもたらすであろう甚大で重篤な被害の全体像を知ることができます。

最後に、本書を出版して下さった著者の方々、並びに翻訳チームの方々に、深い感謝と惜しみない讃辞を送りたいと思います。

2013/09/30

「年間1ミリシーベルト以上の追加被ばくを受けない」ための署名

母子「1ミリSvの約束」バナー

「1ミリシーベルトの約束」キャンペーンに賛同メッセージを送りました。
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チェルノブイリ原発事故で被害を受けた人々(特に子どもたち)の医療支援のために1992年から度々ベラルーシの病院や放射能汚染地を訪問し、様々な病気で苦しむ子どもや若者たちを見てきました。ベラルーシで出会ったお医者さんや研究者のほとんどが、様々な病気が増えていると教えてくれました。放射能汚染地の子ども病院では、病気が増えている具体的なデータをもらいました。

原発事故の前年と事故から9年後を比べると、急性白血病が2.4倍、ぜんそく2.7倍、糖尿病2.9倍、血液の病気3.0倍、先天性障害5.7倍、ガンが11.7倍、そして、消化器系の病気が20.9倍にも増えていました

先天性障害 消化器官の病気 増加グラフ

データ以外にも「免疫力が低下して、風邪を引きやすかったり、風邪がなかなか治らない」「健康な子どもが減少している」といった話をあちこちで聞きました。

こうした実態を見聞きしてきた経験から、ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉が心に響きます。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

1ミリシーベルト以上でも避難の権利がない日本では、放射能汚染地に膨大な数の子どもたちや妊婦さんが住み続けています。マリコ博士が指摘されたように、このままでは「遅れた分だけ悲劇が深刻に」なってしまいます。

「1ミリシーベルトの約束」キャンペーンが、「国民運動」となることを願って、私も活動に参加したいと思います。
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1ミリSvの約束:ガラスバッジ

賛同者を集めています

呼びかけ文

1ミリシーベルトの約束

1ミリシーベルトは、日本政府がしたがう国際機関ICRPの「平常時1年間の公衆の追加被ばく限度」です。

それは、原子力発電をおこなう上で、人々を放射線による被ばくから守るための約束。外部被ばく、内部被ばくを合わせて1ミリシーベルト以内に、というのが世界の基準です。

すでに、東電福島第一原発の事故から2年たちました。悲しいことですが、広い範囲が汚染されてしまいました。これから10年20年とつづく、この環境の中、わたしたちは、この基準が守られることを望みます。

1ミリシーベルトが守るもの、それはこの子立ちの未来なのだと、わたしたちは考えます。

日本政府が準拠しているICRPの勧告では、自然放射線に加えて、人工放射線による追加被ばくの限度としているのが、年間「1ミリシーベルト」。

チェルノブイリ事故後につくられた法律でも、1ミリシーベルト以上の地域は「移住の権利区域」と呼ばれ、国の支援のもとに移住できることになりました。さらに、年間1ミリシーベルト以下でも、胎児や子どもを中心に、がんをふくめた、さまざまな病気など、健康への影響を受けるリスクがあるとされています。

そこで、日本で2012年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」では、「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」からこそ、避難や移住を選ぶ人も、住みつづける人も、もといた場所へもどる人も、どの人も、国の責任で必要な生活支援を受けることができる、と認められました。

ところが、日本各地に広がった放射能汚染は「1ミリシーベルト」の基準を大きく超えたまま。除染をしても大きな効果はなく、子どもを含めた多くの人たちが、そこで生活し続けています。

とくに事故直後、国が規準を大きく上げたために、本来なら飲食も出来ない「放射線管理区域」にあたるような地域にも何十万人という子どもたちがいます。自主的に避難しても、生活も成り立たず、危険がわかりながらも帰る人もふえてきました。

この日本で、多くの人たちが健康や将来への不安のなかで苦しんでいるのです。被ばくの限度、年間「1ミリシーベルト」を守るために、移住、保養、健診、食品の測定など、あらゆる支援が必要です。

さらに、2020年には東京オリンピックが開かれることになりました。国が責任もって事故対応にあたると宣言した以上、この被ばく対策についても、少なくても世界基準でとりくんでいく必要があります。 

この子たちの未来を守るために、今いちど「1ミリシーベルトの約束」を国に求めていきませんか。

★賛同署名(オンライン署名)は、ココからできます。

2013/09/27

星川淳さんを迎え 福岡県糸島市で、『デモクラシー』を学ぶイベント

2013年9月28日 福岡県糸島市で、『デモクラシー』を学ぶイベント
星川淳さん(作家・翻訳家、環境活動家)をお迎えして、講演、対談などがあります。

星川さんは、今年4月に出版された『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』の監訳をされました。
福島原発事故を経験した日本列島に住むすべての人に読んでほしい本です。

原発再稼動に向う「日本の流れ」を変えうる重要な本

「いのちを大切にする」 星川淳さんが、「デモクラシー」について語ります。

ヤブロコフ博士と星川さん(中サイズ)
(写真:講演で訪れた福島県で、ヤブロコフ博士と星川淳さん)

『風と土とデモクラシー』 2013年9月28日(土)13:00― 福岡県糸島市

「デモクラシー」とは、大事なことはみんなで話し合って決めるということ。
いろんな主義や主張を越えて、大事なことを他人まかせにせず、自分が大切にすることと、他人が大切にしたいものは違うという前提に立つ。そして、みんなで話し合う態度であり、語り合う場であり、その根本にある文化のことです。
この根本を今一度学び直し、3・11以降に顕在化した、新しい社会の価値観を共有し、この糸島の地「土」に、新しい「風」を吹き込み、豊かな市民文化を育てていきたいと思っています。

100年先1000年先の「風土」をつくるために、あなたの参加が必要です、あなたの力が必要です。

vol.1『ネイティブ・デモクラシー あなたの内にある!魂の民主主義

ゲスト:星川 淳 (作家・翻訳家、環境活動家)

 屋久島在住の環境活動家:星川淳さんをお迎えし、自身の活動の原点やこれからの市民主体の新しい民主主義のあり方についてお話しを伺います。
 星川淳さんは著書『魂の民主主義』の中で、ネイティブアメリカンのイロコイ族が高度な民主主義文化、対話の文化を発達させ、争いのない社会を築いていたと紹介しています。
 先人たちが深い精神性とともに磨いてきた智慧を学び、それを具体的な行動へと結びつけたいと思います。

日時: 2013年9月28日(土曜日) 13:00 OPEN  13:30?16:30

プログラム:
星川 淳 講演      13:30~14:30
星川 淳 X 佐藤俊郎 対談  14:50~16:00
遠藤幹雄ライブ           16:00~16:30

場所:糸島市 伊都文化会館 視聴覚室
   (糸島市前原東2丁目2―7)

参加費:予約1000円/当日1200円

予約・お問合せ:itoshima_100@yahoo.co.jp

★ vol.1ゲスト
星川 淳
1952年、東京生まれ。九州芸術工科大学、米国ワールドカレッジ・ウェスト中退。
82年より屋久島在住。作家・翻訳家、一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト理事長。
ちょうど講演当日、小説第2作『タマサイ』(南方新社)を刊行予定。著書に『魂の民主主義』(築地書館)、訳書にP・アンダーウッド『一万年の旅路』(翔泳社)、共著に坂本龍一監修『非戦』(幻冬舎)、監訳書にA・ヤブロコフ他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)ほか多数。
TUP監修『世界は変えられる』(七つ森書館)でJCJ市民メディア賞受賞。

佐藤 俊郎
1953年水俣市生まれ。九州芸術工科大学(現九州大学)、UCLA大学院修士課程修了。工業デザイン事務所を経て渡米。12年滞米後、1994年に(株)環境デザイン機構設立。九州芸術工科大学非常勤講師、福山市立女子短大教員などを歴任。
都市計画、地域活性、建築設計、展示設計など幅広く手がけ、朝日新聞社主催東日本大震災復興計画私案(2011年)で最優秀賞受賞。
「場所の力(共訳)」(学芸出版)「アメリカンドリームの再構築(共訳)」(勁草書房)など。

遠藤幹雄
作曲家、サウンドプロデューサー、DJ アニメ『K』、栗山千明主演ドラマ『秘密諜報員エリカ』、庵野秀明監督映画『キューティーハニー』、松田翔太主演『ワルボロ』、NHKドラマ『花の誇り』等のサウンドトラック作曲。ディズニーピクサー配給映画『Mr.インクレディブル』、吹石一恵出演『丸井/シロツメ草』等のCM曲作曲。大黒摩季、TRICKY、佐田真由美などの編曲。United Future Organization 『VonVoyage』、『3rd.Perspective』の共同プロデュースではロンドンアビーロードスタジオレコーディングを敢行し、世界30ヶ国以上でメジャーセールスされ、数々のランキングを得る。

藤井芳広(ふじいもん)
1978年滋賀県生まれ。詩人。NPO法人いとなみ代表。環境文化NGOナマケモノ倶楽部理事。NPO法人食育推進ネットワーク理事。2003年、東京にて、環境や平和をテーマに市民活動を開始。
2011年、糸島に移住し、自然の中でお米を自給しながら、お隣り韓国の人たちとつながり、糸島にアジアのモデルとなるようないのちと平和に根ざした文化とコミュニティづくりを進めている。

主催:100%糸島/協力:せふり山系 森と水のねっこわーく、ナチュ村、ピースボート

2013/09/23

手渡すということ

2013/09/21

原発作業員「再検査や治療必要」 原発事故前の4倍に増加

原発作業員「再検査や治療必要」増加
(9月20日 22時25分 NHK)

原発作業員「再検査や治療必要」

東京電力福島第一原子力発電所などで働く人たちを対象にした健康診断の結果を厚生労働省が分析したところ、白血球の数が多いなど再検査や治療の必要性が指摘された人の割合が、原発事故の前に比べて増えていることが分かりました。

厚生労働省は放射線の影響を把握するため、今後、詳しい疫学調査を行うことにしています。

これは福島第一原発の事故のあと、作業員の健康状態に大きな変化がないか調べるため、厚生労働省が初めて行いました。

第一原発と第二原発を所管する労働基準監督署の管内では、去年、545の事業所で合わせておよそ6700人が放射線を扱う仕事をして特別な健康診断を受けていて、そのほとんどは原発作業員とみられています。

健康診断の結果、白血球の数が多いなど再検査や治療が必要だという医師の所見が付いた人が284人と全体の4.21%で、事故が起きる前の平成22年と比べて3.23ポイント増え、4倍余りとなっていました。
医師の所見が付いた人の割合は全国平均では6.9%だということです。

厚生労働省は、「事業所はこの3年で7割入れ代わっており単純に比較はできないが、放射線の影響を把握するため、今後、詳しい疫学調査を行いたい」と話しています。

2013/09/20

汚染地の子ども 病気になりやすい ウクライナの小児科医警告

【今、もう一度、読み返したいウクライナの小児科医警告】
汚染地域に住み続ける子どもたちは複数の病気にかかりやすく、治療効果が低い特徴があった。被ばく線量が高ければ高いほど、健康な子どもの割合が低くなっている。汚染地域で暮らす場合の対策として、「子どもには汚染のない食べものを与えること汚染地域を長期間離れる保養プロジェクトも必要

汚染地の子ども 病気になりやすい ウクライナの小児科医警告
(2011年12月15日 東京新聞)

汚染地の子ども 病気になりやすい ウクライナの小児科医警告

チェルノブイリ事故後の健康調査 治療効果も低下

チェルノブイリ原発事故が起こったウクライナの放射線医学研究センターで、子どもの治療や検診を続けるエフゲーニャ・ステパノワ教授が13日、東京都内で取材に応じ、「汚染地域の子どもたちは病気になりやすく、治りにくい傾向がある」と指摘。内部被曝を防ぐ対策や健康管理の重要性を訴えた。(中山洋子)

同センターは事故の翌1987年、キエフに説立。小児科医のステパノワ教授は当初から放射線による子どもの健康影響を調べてきた。国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンの招きで初来日し、福島市で講演した。

ウクライナでは、土壌1平方メートルあたりの放射性セシウム濃度が3万7000ベクレル以上の「汚染地域」を4つのゾーンに区分。18万5000ベクレルまでを「管理強化」とし、さらに汚染度に従い「移住権利」「移住義務」「立ち入り禁止の30キロ圏内」がある。

福島原発事故の汚染度で見ると、福島県はもとより栃木や群馬なども含めた関東の広範な地域がこの「汚染地域」に当てはまる。

ステパノワ教授らの健康調査で、汚染地域に住み続ける子どもたちは複数の病気にかかりやすく、治療効果が低い特徴があった。当初は汚染されていない地域とほぼ変わらなかった胃腸の病気の発症率も、93年ごろから徐々に増加。「汚染された食物を取り続け、病気になる確率が高まったと考えられる」

汚染のひどい55万5000ベクレル以上の「移住義務」に住む子どもは、汚染の低い地域と比べて、肺炎や気管支炎など呼吸器系の病気が2倍、血液系障害が2.5倍になるなど、より病気にかかりやすい傾向が見られた。

ステパノワ教授は、汚染地域で暮らす場合の対策として「子どもには汚染のない食品を与えること。汚染地域を長期間離れる林間学校プロジェクトも必要だ」と話した。


チェルノブイリからの警告 〜5万人の子どもを診察した医学博士〜
(OurPlanet TV アップロード日:2011/12/15)

「チェルノブイリの事故では、被曝した子どもに何が起きているのか?」チェルノブイリ事故後にウ?クライナで5万人以上の子どもを健診したウクライナ放射線医学研究センターのエフゲーニャ・ステパノワ博士に子どもたちへの健康影響について話を聞く。

ゲスト:エフゲーニャ・ステパノワ博士(ウクライナ放射線医学研究センター)


「被ばくの症状と予防対策」エフゲーニャ・ステパノワ博士OurPlanetTV
(内容書き出し)
(2011年12月 みんな楽しくHAPPYがいい)から抜粋

●1986年事故当時ウクライナの子どもが訴えた症状
疲労が激しい 衰弱 神経不安定 頭痛 めまい 不眠、首の部分の痛み 
喉がいがらっぽい 咳 失神 吐き気と嘔吐 便通不順 鉄の味がする

●典型的な反応
呼吸器症候群 リンパ組織の過形成 胃腸管活動障害 心臓血管系の機能障害
血液データの変化 バセドー氏病の臨床兆候が無い「甲状腺肥大」 肝臓と脾臓肥大

●1987?1991年にみられた症状
極度の疲労 衰弱 精神不安定 頭痛 めまい 不眠 胃腸不調 心臓あたりの不快感

●90年代にかけての症状
動脈圧の不安定 肺の呼吸機能障害 心臓の機能変化 胃の機能障害 運動後の疲れやすさ
免疫力の低下 肝臓機能の一時的障害 呼吸器官の疾患 消化器系の疾患

●91?93年にかけて慢性的な傾向を示すようになる
肺・肝臓・脾臓、胃などの慢性的な病気の症状

●ウクライナの子どもたちは1年に1回、各専門家の医者のもとで、総合的な健康診断を受ける
小児科 血液科 内分泌科 神経科 咽頭科 眼科 外科 
歯医者 血液検査と尿検査 甲状腺超音波検査

●予防対策
汚染されていない食品を食べ物を摂る
充分なビタミンをとる
体力増進に努める
汚染地域から離れて保養施設などで休む(最低でも4週間)

ーーー

【チェルノブイリからの警告 〜5万人の子どもを診察した医学博士】

ゲスト:エフゲーニャ・ステパノワ博士(ウクライナ放射線医学研究センター)

OurPlanetTVの白石草です。
今、年間20ミリシーベルトという放射能基準は安全なのか?
チェルノブイリ事故で被ばくした子供たちに何が起きているのか?
今、福島第一原発事故により子供への健康被害が懸念されています。
今日の特集はチェルノブイリからの警告
25年間現地で子どもたちを見てきた専門家にお話を伺います。

5万人の子どもを診察した医学博士、エフゲーニャ・ステパノワ博士
ウクライナ放射線医学研究センターの放射線小児先天遺伝研究室長です。
今年10月には文部科学省の森裕子副大臣がウクライナを訪れ、
アドバイスを受けたことでも知られています。

25年間で5万人以上の子どもたちを診察した経験がある博士は、
チェルノブイリ事故後に起きた子どもに対するの影響に関して、最も詳しい一人と言われています。
今回は国際的な環境NGOグリンピースの招へいで来日しました。

白石:
ウクライナの子ども 健康影響は?
博士は25年間5万人に及ぶ子どもたちをウクライナで見ていらしたということなんですけれども、
今日本でも、子供たちに対する健康への影響というのが一番の関心事となっています。
まず25年前、事故直後から、どのような影響が子どもたちに出てきたのか、
今までを振り返って、まずお話を頂きたいんですけれども。

ステパノワ:
私たちはチェルノブイリ事故からずっとこれまで、チェルノブイリの被災地域から避難した子どもたちの状況と、そして避難していない、汚染地域に残っている子どもたちの健康状況というものをずっと調査してまいりました。その時に子どもたちが、一番どのような症状を訴えたかというと、いわゆる疲労が激しいとか、衰弱、それから神経不安定、頭痛、めまい、不眠、それから首の部分、特にそこには甲状腺がありますので、首の部分の痛みとかを訴えることになりました。

1986年当時、チェルノブイリ周辺の子どもたちは、喉がいがらっぽい、鉄の味がする、咳が止まらない、疲れやすいなど、さまざまな症状を訴えていました。

その後90年代にかけて子どもたちの間には、極度な疲労、衰弱、頭痛、めまい、不眠など、さらに深刻な症状が見られました。

ステパノワ博士は
動脈圧の不安定、肺の呼吸器機能障害、心臓の機能変化、胃の機能障害などがあらわれたといいます。

ステパノワ:
そういった子どもたちの動脈圧の低下というもの、ま、不安定なんですね。
動脈圧が上がったり下がったりするというのも私たちは発見いたしました。
心臓のあたりの不快感、それから免疫システムの障害
それから呼吸器官の疾患というものも私たちは気が付きました。
たとえば運動とか勉強とかをすると、かなり抵抗力が無いというか、我慢が出来ない。
いつもではありませんが、肝臓障害も時々見られることになりました。

91年92年93年にかけて、そういった症状というものが次第に慢性的な傾向を示すようになりました。 どんな慢性的な病気が見られるか?というと、たとえば肺とか、肝臓それから脾臓、胃などの慢性的な病気の症状が見られるようになりました。慢性的な病気を持った子どもたちの数というものがだんだん増えていき、
そして健康な子どもたちの数が減って行きました。健康的な子どもの数が減り、慢性病を持った子どもたちの数がすごく増えているのがこのグラフから分かると思います。

慢性病の子ども グラフ

この表から分かることは、甲状腺に被曝をうけた線量が高ければ高いほど、要するに甲状腺への被ばく線量が高ければ高いほど、健康な子どもの割合というものが低くなっている、小さくなっているというのがこの表から分かると思います。

【ウクライナの避難対象区域】

白石:
いま、プリピチェから避難した子どもというのが、先程、4万5000人のうち1万7000人いるとお話しいただいたお思うんですけれども、ウクライナでは4つのゾーンで避難だったりとか、あるいは放射線を管理していたりするというふうに聞いているんですけれども、一番最初の立ち入り禁止区域というのはすぐに実行されたと思うんですけれども、その他(2?4)の子どもの線量を測ってから避難というのは,大体いつごろ行われたのか、という事はお分かりになりますか?

ステパノワ:
私たちのところでは、避難というのが行われたのは、1986年でもすでに第一地域以外もすべて行われていました。それは放射線を測った結果、高濃度であるというのが分かった場所から避難が始まりました。それは555kベクレル/平方メートルあたりの汚染度があったところであります。
そこからの人々がまず避難させられました。

放射能の雲というものは、様々なところに点在して行ったわけで、第二区域の人達も年間5ミリシーベルト以上の被ばく線量があるところの人達も強制移住の対象になりました。

それから第三区域に住んでいる人々というのは、自分たちが避難したければ避難するという地域でありまして、受ける年間線量の割合で言えば1ミリシーベルト/年間であります。

そして第四区域の人達というのはどこにも移住をするわけではなくて、そこに住んでいますが、ただ、健康管理の観察対象にはなるという事です。この地域は放射線の環境状況は、ずっと管理対象になるということです。

【増える子どもの消化器系疾患】

白石:
一つ気になるのは先ほどプリピチェから避難された方とか、あるいは消防作業に関わったお子さんたちに、非常に健康が不調だという事がわかるんですけれども、それ以外のたとえばですね、この2番、3番の地域に暮らすような子どもたちの間で、健康上でなにか観察されるような事があるのか、という事が日本の中では関心があるんですけれども、そこらへんはどうなるんでしょうか?

ステパノワ:
もちろん同じように健康の悪化は見られますし、慢性病の傾向というのももちろん高くなっています。特に私が指摘したいのは、そういった子どもたちの中で一番症状が悪く見られる場所というのは、胃腸系です。
それはどうしてかというと、汚染地域というのは基本的には農村地域です。ですから、地元産の汚染されたところで出来た、自分たちの親たちが作った野菜とかそういうものを食べている訳であります。

それと同時にもうひとつ言えることは、牛の問題があります。汚染された地域で牛を放牧していると、汚染された草を食べた牛から出てくる牛乳というのは当然のごとく汚染されています。そしてウクライナでは牛乳が最もウクライナの子どもたちの主要な栄養源になっています。

白石:
じゃ、ちょっとこちらの方で説明して頂きたいんですけれども、これは
これが消化器系の疾患が増えているという、

エフゲーニャ・ステパノワ博士18

ステパノワ:
その説明を簡単にしますと、まず一つ目は折れ線グラフが見えますよね、
折れ線グラフの黄色の部分。
その部分というのはウクライナの子どもたちの、
被ばくしていない子どもたちに見られる消化器官の疾患レベルを示しています。
で、これを見ると残念ながらウクライナの被ばくしていない子どもたちは
かなり消化器官系の病気が多いという事が分かりますが、
それと比較しますと今度は上の方ですけれども、
上の方(棒グラフ)は最も汚染された地域の子ども達に見られる消化器官の疾患レベルであります。
これを比較してみると、
汚染された地域からの子どもたちのレベルというのがかなり高いことが分かります。

白石:
消化器系の疾患が増えているという事なんですけれども、
ウクライナ全体で見た時に、もちろん甲状腺がんの人数などというのはハッキリ出ているんですけれども、
ざっと見て、たとえば今保養が必要だったり、
保養は必要ないけれども若干体調が不調だったり、感染症に弱いとか、
たとえば、こう何らかの健康上の問題、
いわゆる元気な子ではない子というのは、どのぐらいの割合というか、

ステパノワ:
現在ではデータとしては健康な子どもが27%で、
何らかの病気を抱えているという子どもたちは70%もいるわけですね。
ですから、これは私たちのウクライナの状況にかかっているのかもしれませんけれども、
残念なことにウクライナの子どもたちは、あまりいい環境にいるとは言えないですね。
被災した子どもたち、人達から言えば、
多分この健康な子どもたちの数というのは
27%よりももっと低くて、その二分の一になるでしょう。
もし私たちがなにも手立てを施さなかったら、
健康的な子ども、健康な子どもの数はもっと悪くなっていたでしょう、少なくなっていたでしょう。

【内部被ばくを低減へ ウクライナの食品対策】

白石:
ウクライナではそういった子どもたちのために、いまどのような事の対応・対策が取られているのか、
今後私たちも参考になると思うんですけれども、

ステパノワ:
まず第一に汚染されていない食品をなるたけ摂るようにしています。
私たちの国では幼稚園とか学校に於きましては、食事は全て無料で提供されております。
それぞれの行政地区に於きまして、自分たちの菜園で採った、つくった食品など、
放射能の検査をする放射能検査センターというのがあります。
自分たちが作った野菜をそこに持ってきて、無料で数値を測ることが出来ます。
食料に対しての許容基準というものが決められていて、
その基準よりも高い場合には食べてはいけないというふうになっている訳であります。
特に厳しい基準が取られているのが、子どものための食品であります。
小さければ小さいほど、その身体というものは放射能に対して敏感に反応をしてしまうからであります。

日本の食品の暫定基準値は20012年4月から
一般食品100ベクレル、乳児用食品50ベクレル、牛乳50ベクレル、水10ベクレル

これに対しウクライナでは
果物は70ベクレル、ジャガイモは60ベクレル、野菜は40ベクレル、
パン、パン製品は20ベクレル、卵は6ベクレル、水は1リットル当たり2ベクレル

牛乳は1リットル当たり100ベクレル、子どもは1リットルあたり40ベクレル

ウクライナの健康診断 7つの専門家が実施

健康診断について

ステパノワ:
まずウクライナでは法律が採択されています。そこに何が書かれているかというと、「汚染地域に住んでいる人たちの健康に対するモニタリングを行う、国、及び地方自治体、医療関係者、社会保障分野の関係者が行うべき義務及びその権利」について詳しく書いてあります。この法律にしたがいまして、子どもたちは1年に1回、それぞれの各専門家の医者のもとで、総合的な健康診断を受けることになります。

小児科、血液科、内分泌科、神経科、咽頭科、目、外科、歯医者です。
その他に子どもたちは必ず血液検査を受けます。
それから尿検査も行います。
そして甲状腺などに関しましては超音波診断が行われますし、それと同時に体内の放射性物質の活動がどのように起こっているか、という事についても調べます。そして子どもたちに何か変化が見られたら、悪い傾向が見られたら、子どもたちは治療に送られます。

チェルノブイリ事故の被災した州というのがちゃんと決まっていまして、その被災した州は特別にチェルノブイリの事故被災者たちを治療する病院があります。そしてもっとより深刻な病気が見つかった場合、それから放射性セシウムの量がかなり高いレベルで見つかった場合には、そういった子どもたちは私たちのウクライナ医学アカデミーの放射線医学研究所の方に送られてきます。ウクライナの憲法によりまして、大人も子供も医療に関しては無料になっています。

<汚染地域の子どもの健康を守る対策は?>

白石:
今、多くの親たちが心配しているのが、年間20ミリシーベルトよりも低い地域というのは避難させてもらえない地域ですから、そこの地域の中で、チェルノブイリの汚染地帯の子どものように、将来さまざまな健康の被害が出るのではないかと、そういうものを防ぐためにいったい何が出来るのか・・・

ステパノワ:
まず、一番重要なのは健康的な生活を送ることです。
どういう事かというと、汚染されていない食品を食べ物を摂ること
充分なビタミンをとること。体力増進に努めること。もうひとつ重要なことは、
1年に1回でもいいですから汚染地域から離れて保養施設などで休むこと

私たちの経験から言いまして、
子どもたちが汚染されていない地域に保養に行く時ですが、まず、新しい先に適応するには時間がかかるし、そこで健康増進を図って、そこで、治療みたいなものをするわけですが、そのためには最低でも4週間は必要ではないかなと私たちは思っております。

保養施設でありますけれども、
事故直後といっても事故直後1ヶ月の場合もありますけれども2ヶ月の場合も3ヶ月の場合もあります。
いろんな場合がありますが、保養に行く時は子どもたちが通っている学校単位で行く訳です。
つまり、教師が一緒についていって、保養施設で健康増進を図ると同時に勉強もするわけです。だから勉強が遅れるという事はありません。

で、今は25年経過しておりまして、大体4週間ぐらいであります。まあ、経済的な問題というのもあるから4週間になっていますけれども、線量も低くなっているという事もあります。

もし、子どもたちを汚染されていない地域に保養に送ったとすると、1年間に受ける年間線量の10%は少なくすることができるわけです。

2013/09/18

放射能から子どもを守るためにフェアトレード会社にできること

今日は、ふだん、あまり触れることがない私の会社(ウィンドファーム)について書きたいと思います。

有機農業」 「チェルノブイリ」 「フェアトレード」 そして「福島原発事故

今から39年前の1974年、作家の有吉佐和子さんが農薬や食品添加物、合成洗剤など化学物質の問題をテーマにした『複合汚染』という小説を朝日新聞に連載しはじめました。それを読んだ当時19歳の私は、農薬や化学肥料に頼らない農業の重要性を知り、有機農業を学び始めました。それから6年後の1980年、山村に移住した私は、農薬と化学肥料を使わずに米と野菜をつくり、鶏を飼いながら有機農業を広める活動に取り組んでいました。

稲・中村(26才)と息子

ところが、1986年4月、チェルノブイリ原発事故が起こり、8000km離れた日本にも放射能(放射性物質)が風に乗って飛んできて、有機農法の畑や田んぼまで汚染されてしまったのです。そして、野菜や米からも放射能が検出されました。

事故直後のチェルノブイリ4号炉

特に驚いたのは、赤ん坊を抱えたお母さんの母乳からも放射能が検出されたことです。放射線は、細胞分裂が活発なほど大きな影響を受けます。大人より子ども、子どもより幼児、幼児よりも乳児というふうに、年齢が低いほど被害を受けやすい中で、母乳から放射能が検出されたということは大変な問題でした。

さらに、もう一つ大きな問題が起こりました。食料輸入大国の日本に原発事故で汚染された食品がたくさん入ってくるようになったのです。 日本政府は、放射能汚染食品の輸入基準値を1kgあたり370ベクレルと決め、それ以上に汚染された食品は、輸入しないことにしました。

チェルノブイリ原発事故当時、私が務めていた生協では放射能汚染食品の独自基準を設けました。それは、「当時の政府が決めた基準の37分の1」で、「今の日本の基準の10分の1」である10ベクレル/kgでした。この数値は、子どもを持つお母さんたちが相談して決めた数値です。放射性物質は、身体に近いほど危険性が高くなり、体内に入ってしまえば、身体に接触してずっと内部から細胞を傷つけていきます。そうしたことを学んだ結果が10ベクレルだったのです。

チェルノブイリ事故のあと、たくさんの放射能汚染食品が行き場を失いました。驚いたことに、その汚染食品の一部は「援助物資」として「発展途上国」にまわされました。(この時と同じようなことを今、日本が行っています。原発からの汚染水の流出によって魚の放射能汚染数値が高くなっていますが、外務省は、東北の魚の缶詰を「途上国支援」として送っています。)

海の放射能汚染マップ

放射能汚染食品が「途上国(私はこの言葉が好きではないのですが)」にまわされたと知った私は、途上国の子どもたちが心配になりました。そして、「子どもたちのために何かできないか」と考え、それまで国内で有機農業を広めてきた経験を途上国で生かすことができないかと思うようになりました。

途上国に有機農業を広めたい。有機農業が広まることによって、農薬や化学肥料の問題が多くの人に知られ、食べ物の安全性や環境保護の重要性が広く伝わっていくことが、子どもたちの幸せにつながっていくに違いないと考えたのです。

そのための第一歩として、「無農薬栽培のコーヒーを探して、輸入しよう」と南米に出かけて行きました。

初めに訪問した国は、世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでした。しかし、ブラジルで無農薬栽培の農園は見つかりませんでした。そこで、「無農薬でつくって下さい」とお願いしましたが、「農薬を使わないとコーヒーはできないよ」と笑われました。中には、「農薬なしにコーヒーができるはずないじゃないか!」と怒り出す人もいました。どこで聞いても同じ反応で、諦めかけたのですが、日本でも有機農業を始めたころは同じような状況だったことを思い出し、探し続けました。

その後、無農薬栽培の生産者は見つかったのですが、日本の有機農業運動で取り組んでいたような「心が通う産直(提携)」ができなかったため、さらに生産者を探し続けました。

そして、3回目のブラジル訪問でジャカランダ農場のカルロス・フランコさんと奇跡的に出会い、本格的な提携ができるようになりました。カルロスさんは、農場で働くスタッフの健康と消費者の健康、そして、環境(自然・生態系)を守るために1978年から無農薬コーヒーの栽培に取り組んでいたのです。

95年1月カルロスさんと中村 植樹した場所で

それから5、6年経って、カルロスさんの影響で、農薬も化学肥料も使わない有機栽培の生産者が増えていきました。しかし、大量にできた有機コーヒーをウィンドファームだけで買い支えることはできませんでした。そこで、ブラジル国内にも販路を広げるため、2000年にブラジルで初めてのオーガニックカフェ『テーハ・ベルジ』をエコシティで知られるクリチバという町に開店しました。

テーハ・ヴェルジ、エプロン姿の中村とスタッフ

今、ブラジルにはオーガニックカフェがたくさんできています。

また、有機農業の重要性を広く伝えるために「国際有機コーヒー会議」を開催したり、増え続ける有機コーヒーの受け皿を増やすために「有機インスタントコーヒー」も商品化しました。そして、2004年には、カルロスさんのジャカランダ農場があるマッシャード市が世界で初めて「オーガニックコーヒー首都宣言」を行いました。

こうした有機農業を推進する動きを心あるメディアが取り上げてくれました。その中には、日系ブラジル人向けの新聞社もありました。また、日本でもNHKなどが取り上げてくれました。(カルロスさんとのフェアトレード物語は『考える絵本 しあわせ』という絵本にもなっています)

カルロスさんと、たわわに実った赤いコーヒー

そうしたこともキッカケとなって、ブラジル全土で有機農家が増えていきました。コーヒーだけでなく野菜や果物なども含め、農業全体に有機栽培が増えていったのです。

ウィンドファームのフェアトレードはその後、エクアドルやメキシコにも広がりました。これらの国には素晴らしい自然があるのですが、その自然がどんどん破壊されています。その理由の一つが、先進国や多国籍企業による鉱山開発です。銅や金などを採掘するために森が伐採され、自然が破壊されています。そうした国々で、森と共存する「森林農法」を実践しているインタグトセパンのコーヒー生産者は、森を守るための重要な存在となっています。

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チェルノブイリ支援コーヒー

有機コーヒーと紅茶の売上の一部は、1990年からチェルノブイリ原発事故被害者の医療支援活動に使われるようになりました。スタッフや私が「チェルノブイリ支援運動・九州」(現在の「チェルノブイリ医療支援ネットワーク」)の運営委員や代表、事務局を務めるようになり、十年ほどウィンドファーム内に事務局を置いていました。そして、薬や医療機器を届けるために、ベラルーシの病院や放射能汚染地を毎年のように訪問してきました。

ベラルーシの病院:雪だるま号の前で子ども、医師たちと

ベラルーシ現地で出会ったお医者さんや研究者のほとんどが、様々な病気が増えていると教えてくれました。ゴメリ州のある子ども病院では、病気が増えている具体的なデータをもらいました。

モズイリ子ども病院データ

原発事故の前年と事故から9年後を比べると、急性白血病が2.4倍、ぜんそく2.7倍、糖尿病2.9倍、血液の病気3.0倍、先天性障害5.7倍、ガンが11.7倍、そして、消化器系の病気が20.9倍にも増えていました。

また、子どもの甲状腺がん患者のうち6人に1人が肺に転移していて、私たちが、ベラルーシで出会ったナターシャさんは、2人の子どもをガンで亡くしました。息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなりました。娘さんも胃ガンが全身に転移して亡くなっています

ナターシャとオレグ

年齢が低いほど放射線の被害を受けやすく、親よりも子どもが先に亡くなっていくという現実を目の当りにしてきた私たちは、「原発を一刻も早く世界からなくしたい」という思いが強くなり、ウィンドファームで発行している「エコロジーの風」にも原発核燃料再処理工場の問題を書き続けてきました。

しかし、2011年3月、福島で原発事故が起こってしまったのです。

福島原発3号機の爆発

福島原発事故・上空から撮影

福島原発事故に対する問い合わせが殺到

福島原発事故が起こる前から原発の問題について多くの発言をしてきた私たちに、原発事故が起こった直後からアドバイスを求める問い合わせが殺到しました。東北、関東に住む方々からの「○○に住んでいますが、○才の子どもがいます。住み続けていいのでしょうか?」「○人家族ですが、避難したいと思っています。相談に乗ってくれるところはないでしょうか?」「福島県の健康管理アドバイザーは、子どもたちをどんどん外で遊ばせていい、マスクもしないでいいと言っていますが、本当に大丈夫でしょうか?」「福島に住んでいますが、食べ物で気をつけないといけないものは何ですか?水道水は飲んでいいですか?牛乳は?」といった問い合わせが連日のように届きました。

今年になって多くなってきた質問は、「福島では心臓病で亡くなる人が増えていますし、子どもの甲状腺がんが原発事故前の100倍以上に増えています。福島県は、放射能のせいではないような発表をしていますが、本当でしょうか?」「家族で一緒に避難したいのですが、夫や親を説得できません。どうしたらいいでしょうか?」「福島県は、復興、復興とばかり言って、子どもを守ろうとする姿勢がありません。学校給食に地元産の米や野菜を使うことを推奨しています。これを止めさせるにはどうしたらいいでしょうか?」「子どもの食事で注意すべきことは何でしょうか?」といった声が多くなっています。

放射線の大きな影響は、被ばく後すぐに現れず、五感で感じられないために被害が拡大

こうした質問に対して私は、チェルノブイリで見聞きしてきた事実や学んだことを伝えています。放射線の影響は、被曝してすぐに現れることは少なく、目に見えず、臭わず、人間の五感で感じることができないために、被害が拡大したこと。特に私たちが強調していることは、子どもは大人よりも放射線の影響(被害)が大きいということです。

10才は55才の200倍以上、0才は300倍以上放射線の影響を受ける

ジョン・W・ゴフマン博士の名著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで―によれば、0歳の乳児は、55歳と比べると300倍以上も大きな影響を受けます。また、10歳でも55歳の200倍以上の影響です。大人と子どもではこのぐらい放射線被ばくの影響が違うのです。今、子どもたちだけでも放射能から遠ざけないといけないという理由がこれなのです。

ゴフマン 年齢別がん死者数グラフ

外部被ばくと内部被ばく

土壌の汚染や空間線量が高い所からは、なるべく早く避難することが必要です。
ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士は、日本人に対して次のように発言しています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

そして、もう一つ重要なのが、内部被ばくを避けることです。チェルノブイリ原発事故の被害者を見てきた多くの医師が指摘しているのは、「一番大事なのは、子どもたちに、できるだけ放射能汚染がない食べ物を確保し、内部被ばくを避けることだ」と言っています。

年齢が低いほど影響が大きい中で、一般食品の基準100ベクレルは、子どもたちには高すぎます。そうした高い基準がある中で、福島県の学校給食に地元産の食材使用を県が奨励しているというのは信じがたいことです。また、極力汚染のないものにしなければならない乳児用食品の50ベクレルという設定は、驚くべき高さです。

今、日本の政府は、最優先で守るべき「子どもの命」より「目先の経済」を優先しているため、「チェルノブイリ法」の避難基準であれば、避難しなければならない地域に多くの子どもたちが住み続けて「外部被ばく」を増やし、飲食を通して「内部被ばく」を増加させています。

こうした状況のなかで、「私たちに何ができるか」ということを考えてきました。

今、ウィンドファームには、福島と関東から避難してきた方が働いていますが、小さな会社で働ける人は限られています。ウクライナやベラルーシに「チェルノブイリ法」ができたように、日本にも「被害者支援法」が必要です。

チェルノブイリ法では、避難の権利が与えられる「年間1ミリシーベルト以上の地域」に住む子どもたちや妊婦さんには避難するように呼びかけ、避難したくても「事情があって、今は避難できない」という方には、一時的にでも子どもたちが汚染地から離れる「保養」のお手伝いをしてきました。一部の幼稚園などには、福岡の野菜や米を送ってきました。しかし、寄付の形では、限られた人にしか送ることができないため、今年5月からテスト的に、放射能と農薬の心配がない「福岡の有機米」や免疫力を低下させないために重要な「自然塩」などを販売してきました。

また、ウェブショップの売上全体の1%を放射能から子どもたちを守るために使います。乳幼児を抱えて、「安心できる食べ物を確保できずに困っている」お母さんたちの支援、子どもたちの「保養」の支援、子どもたちを放射能から守る全国ネット」が取り組み始めた「1ミリシーベルトキャンペーンなどに寄付する予定です。

こうした取り組みの報告は、年に1~2回、ウェブショップで行っていく予定です。

小さな会社にできることは限られていますが、このような「私(たち)にできること」をするという動きが広がって、「みんなで放射能から子どもたちを守ろう!」という運動が全国に広がることを期待しています。

ウィンドファーム代表
中村隆市

2013/09/16

重要論文 10ミリシーベルトでガンが増加(カナダ・マギル大学チーム)

低線量被曝がんリスクで重要論文:10ミリシーベルトでガンが有意増加
(カナダ・マギル大学チーム)Cancer risk significantly rises at dosage of 10 – 40 mSV: Research by McGill team
北海道深川病院の内科医、松崎道幸さんの翻訳・解説による重要論文を紹介します。(Thursday, November 03, 2011 Peace Philosophy Centre)

松崎医師:
この資料は、低線量被ばくでも有意にガンのリスクが増加することが示された論文を説明したものです。ご承知のように、日本政府は20mSvどころか、100mSvの被ばくでもガン(死亡率)を有意に増やすという証拠はないと主張して、被ばく限度を緩和することに何ら問題はないという態度をとってきました。

このモントリオールの学者チームの論文は、急性心筋梗塞で入院した10万人近くの方々が受けたエックス線検査の被ばく量と、その後5年間のガンの新規発病率を解析し、2011年3月にカナダ医師会雑誌に発表されたものです。

添付ファイルのグラフから一目瞭然のように、10mSvの被ばくでガンの発病率が有意に3%増加していました。20,30,40mSvでもそれぞれ6,9,12%有意に増加していました。100mSv以下の低線量被ばくでガンのリスクが有意に増えることは、様々な疫学調査で証明されてきましたが、この論文も、新たな証拠を付け加えるものと思います。

10mSvでがんリスクが3%増加:マギル低線量被曝論文

心臓の放射線検査でガンリスク増加:マギル低線量被曝論文

10mSv発がんリスク増加グラフ:3マギル低線量被曝論文

論文の意味1:4マギル低線量被曝論文

論文の意味2:5マギル低線量被曝論文

心筋梗塞患者平均被ばく量15mSv:6マギル低線量被曝論文


これまで松崎医師に翻訳・執筆等協力いただいた他の重要記事も併せてご覧ください。
◆IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違

福島とチェルノブイリの原発事故の比較に関する首相官邸ホームページ専門家グループ解説の医学的疑問点

*転載の場合はこのページへのリンクを記し、全文転載をお願いします。また、以下の元の英語論文へのリンクも記してください。

CMAJ/JAMC
Cancer risk related to low-dose ionizing radiation from cardiac imaging in patients after acute myocardial infarction
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3050947/?tool=pubmed

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