2013/12/30

藤城清治 88歳 影絵で描く福島・・・そこに刻まれた宮沢賢治の言葉

影絵創作の第一人者、藤城清治さん(88歳)は、美しいメルヘンの世界を70年近くにわたって表現し続けてきたが、2012年11月 「被災地の現状を描きたい」 と福島第一原発のある町を訪れた。町役場の人の案内で向かったのは、原発から2.1km離れた福祉施設の屋上。原発がよく見える。放射線量は、通常時のおよそ100倍。許された滞在時間は、3時間。放射能防護服を着てスケッチした。

完成した作品の題名は「福島大熊町 原子力発電所 鮭がのぼる

藤城清治 88歳 影絵で描く福島

この絵の右側の石に宮沢賢治の言葉が刻まれている。
世界がぜんたい 幸福にならないうちは 個人の幸福は あり得ない

賢治 世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福は・・・


藤城清治 88歳 影絵で描く福島
(2013年1月10日 NHK)から抜粋

影絵を作り始めたのは、戦後まもない頃。
「絶望にうちひしがれた人々の心に明かりを灯したい」という思いからでした。

「なにかできないかなと思ったときに、そうだ自然の光だと。
光があれば、なにかできるのでは。
太陽、月、ろうそくの光があれば、なんでも表現できる。」

人々に夢や希望を。
70年にわたって、メルヘンの世界を描き続けてきました。
そんな藤城さんに大きな転機が訪れます。
東日本大震災です。
震災から5か月後、藤城さんは、宮城県の被災地を訪ねました。
目の当たりにした自然の猛威。
自分自身の作風を見つめ直すきっかけとなりました。

影絵作家 藤城清治さん
「自分は、ただ楽しいメルヘンを描いてた。 夢を描いてた。
もっと自然を見なければいけない、自然と向き合わなければいけない、
自然と闘わなければいけない。この年になって、やっと気がついた。」

東日本大震災の現実ともっと向き合いたい。
大熊町の協力をえて、原発の近くへ向かいます。
放射能に汚染され、今も住民が自由に立ち入ることのできない区域。
ススキだけが伸び放題になっていました。
町役場の人の案内で向かったのは、原発から2.1キロメートル離れた福祉施設の屋上です。

「説明しますと、三角の屋根が一号機、下の低いのが二号機…。」

初めて目にする福島第一原発。

「描こうか。」

放射線量は、通常時のおよそ100倍。
許された滞在時間は、3時間です。

「原発の場所そのものではなくて、地域全体に原発の事故がある。
何もないようなかたちが広がっている広さに驚いた。
一見、静かな風景に見えるなかに、見えない放射能が流れていることを描かなくてはいけないのでは。」

藤城さんは、ぎりぎりまで描き続けました。
帰り道。 橋の上で、突然、車を止めました。
のぞき込んだ先には…。

“さけ”がいました。

「けっこういますね、まだね。」

大熊町では、毎年、700万匹の稚魚を放流していました。
震災の3年前に放流されたさけが戻ってきていたのです。

福島訪問から3週間。
藤城さんが懸命に向き合っていたのは、あの“ススキ”です。
目に見えない放射能を刻み込む。
一本、一本に、力を込めます。

「たんなる“すすき”だろうけど、前はそこに建物があった。
全部“すすき”が伸びてきてしまっている。 人も住んでいない。
目に見えない、言うに言われないものがいっぱい美しい風景の中に含まれている。」

最後にとりかかったのは、“さけ”でした。
福島で出会った“さけ”。
その時に感じた気持ちを込めました。

「魚が生きていることのすごさ、勇気がでる。救われた。」

この度、完成した作品。
「福島原発を描く」。
奥には原発。
目に見えない放射能。
手前には、川をのぼる“さけ”。

「目をそらすのではなくて、人間はどんな時代でも、乗り越えていった。
乗り越えるときに、人間の本当の力が出る。
これ(人間の本当の力)を、いろんな意味で描ききっていければ。」


福島大熊町の作品 完成 
(2012/12/20 藤城清治ファンのページ)

藤城先生が、放射能防護服を着て描いた作品が完成しました。
題名は「福島大熊町 原子力発電所 鮭がのぼる

藤城清治 福島原発のデッサン

藤城清治が描いたドームのような建物

ドーム型の廃墟は、大熊町水産振興公社の建物で
原発から出る温排水を利用してヒラメの稚魚を養殖していた。

ドーム型の廃墟は原発の温排水でヒラメの養殖をしていた

福島で防護服姿でスケッチする藤城清治さん2

藤城清治 福島原発のデッサン

藤城清治 88歳 影絵で描く福島
(画像をクリックすると大きくなります)

2013/12/28

チェルノブイリも事故の翌年から小児甲状腺ガンが増加

(2013/2/14 共同通信)県立医大の鈴木真一教授は「甲状腺がんは最短で4~5年で発見というのがチェルノブイリの知見。今の調査はもともとあった甲状腺がんを把握している」と述べ、福島第1原発事故による放射線の影響を否定。一方で「断定はできない。これからきっちり検討していく」――放射性物質が今も放出され続ける中、放射線管理区域(年間5.2ミリシーベルト以上)の地域に子どもや妊婦さんが今も住み続け、被ばくし続けています。そのことを放置したまま「断定はできない。これからきっちり検討していく」という非人間的な発言。そして、子どもを守ろうとしない政府。これ以上彼らを「放置」してはならないと思います。

(2012年9月11日) 1人が甲状腺がんと判明 
(2013年2月14日) 2人増え、3人が甲状腺がん+「がんの疑い」は7人
(2013年6月05日) 9人増え12人が甲状腺がん+「がんの疑い」は15人
(2013年8月20日) 6人増え18人が甲状腺がん+「がんの疑い」は25人
(2013年11月12日)8人増え26人が甲状腺がん+「がんの疑い」は32人

鈴木真一教授は、マスコミに対して毎回のように「チェルノブイリ原発事故では最短で4年後に発症が増加している」から福島の甲状腺がんは原発の影響ではないと発言し、マスコミもその言葉をそのまま記事にしていますが、ベラルーシの小児甲状腺がん統計では、原発事故が起きた86年2人、87年4人、88年5人、89年7人・・・と事故の翌年から増えています。マスコミは、こうした数字も確認して報道してほしいと思います。

ベラルーシの甲状腺がん増加データ(86?2000)

77年から97年 ベラルーシの子どもの甲状腺がんの数
(「原発危機を考える」より)

18歳以下1人が甲状腺がん 福島健康調査8万人分析 放射線の影響は否定
(2012/09/11 共同通信)から抜粋

 福島県立医大の鈴木真一教授は「チェルノブイリでも甲状腺がんは(発生まで)最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」と述べ、放射線の影響を否定した。

福島県の「県民健康管理調査」検討委員会は、子どもたちに甲状腺ガンが見つかり始めたときから一貫して、「被ばくの影響は考えられない」と原発事故の影響を否定し続けています。特に、甲状腺がん調査の中心人物である鈴木真一教授は、「他県に比べ異常な数値は出ていないのか」という問いに対し「他県も同じような割合だ」と答えています

2006年の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は【全国で46人】ですが、今年2月から11月までの9ヶ月間だけで【福島県で25人】も見つかっています。(全国の54% 福島県の人口は全国の1.6%)


新たに2人が甲状腺がん 18歳以下 福島、放射線の影響否定
(2013/02/14 共同通信)から抜粋

 県立医大の鈴木真一教授は「甲状腺がんは最短で4~5年で発見というのがチェルノブイリの知見。今の調査はもともとあった甲状腺がんを把握している」と述べ、福島第1原発事故による放射線の影響を否定。一方で「断定はできない。これからきっちり検討していく」とした。


「福島の小児甲状腺がん多発は統計的有意」津田敏秀・岡山大学教授
(2013年7月3日 My News Japan)から抜粋

福島県避難区域の子どもたちへの甲状腺検査で38,114人中10人の甲状腺がん(3人確定7人疑い)が見つかった。「疑い」は「10%の偽陽性=確定率9割」とされ、計9.3人となる。日本での小児甲状腺がんの発生率は年間100万人中1人で、単純比較で262倍。潜伏期間7年(今回の調査で7年間分のがんを見つけた)としても37.48倍だ。疫学エキスパートの津田敏秀・岡山大学教授は、これら様々な分析を行った上で「がんの潜伏期を考慮しても顕著な多発が起きている」「原因が被曝でないとすれば、原因不明の多発が起きている」とし、極端に甘い条件を当てはめない限り、統計的有意差は消えない、と結論付けた。

津田敏秀教授「小児甲状腺がんと被ばく 因果関係を否定できず」


IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部:
福島の子供たちの甲状腺癌罹患数増加
ー原子力大惨事の最初の可視的インパクトか? 2013年9月3日

(2013年9月8日 ちきゅう座)から抜粋

IPPNW医師団体は、損壊されたフクシマ原子炉で放射線被ばく線量が激烈に上昇したことを、多大な懸念をもって見守っている。

また、健康被害を顧慮してみても警報解除への根拠がないのである。それどころか: IPPNWは、福島県の18歳未満の子どもたちにおける甲状腺がん罹患数の愕然とさせられるような増加に、「今後何年かの間に、異例の甲状腺がん罹患数の増加が予想される」として、危惧感を高めている。原子力災害が始まってから2年半後、甲状腺がん罹患数が18件に増えた。更に、がんの疑いがあると見られる25人の子ども(18歳未満 )たちは、これまでのところ未だ(摘出)手術を受けていない状況である。

IPPNWは、フクシマにおける甲状腺ガンの高い罹患率を、いわゆる「スクリーニング効果」のせいであるとする日本の科学者たちの分析に対して異議を申し立てる。そのような(スクリーニング)効果とは、集団スクリーニングによって発見された罹患の率が、一般住民における(病気の)症状を通して普通は明らかになる罹患率よりも高い場合のことを謂うのである。

IPPNWは、フクシマにおいて、チェルノブイリ最大想定事故後のように、多年にわたって、継続的に甲状腺ガン罹病率が増えていく可能性が強いと、みなしている

「甲状腺ガンに罹った子どもたちは、甲状腺が全摘出されなければならない複雑な手術を受けなければならない。更に、摘出手術を受けた子どもたちは、定期的に血液検査を受ける方法によって正確に調整された甲状腺ホルモン剤を一生、服用していかなければならない。また、そればかりではなく、甲状腺ガンが再発するケースは稀でないため、アフターケア検診を定期的に受けなければならなくなる。」と、小児科医であるアレックス・ローゼン博士(IPPNW)は説明する。

更に、甲状腺ガンだけが放射線被ばくによってもたらせられる健康被害ではない。それ以外にも、白血病、固形腫瘍、他種のガン、免疫システムの低下、妊娠合併症、先天性奇形、流産が、フクシマにおいて発生するものと予測されている。それ故に、緊急に、日本における健康調査範囲を他の人口グループや、(放射線被ばくによって誘発される )他の罹病可能性ある疾病検査に拡大していかなければならない

以上

1985年にノーベル平和賞を受賞したIPPNWについて
核戦争防止国際医師会議(かくせんそうぼうしこくさいいしかいぎ、International Physicians for the Prevention of Nuclear War: IPPNW)とは、核戦争を医療関係者の立場から防止する活動を行うための国際組織で、1980年に設立された。本部はマサチューセッツ州サマービル(Somerville)[1]。各国に支部があり、日本支部の事務局は広島県医師会内にある[2]。

米国のバーナード・ラウンとソ連のエーゲニィー・チャゾフが提唱した。1981年以来、現在は隔年で世界会議と地域会議を開催している[3]。83カ国、約20万の医師が参加している。1985年にノーベル平和賞を受賞。


放射能汚染地の子どもたちに病気が急増している(2013年5月5日)

甲状腺がんだけでなく心臓病なども増えています。原発事故の最大の責任がある東電と政府に「脱被ばく」や「補償」などのやるべきことをやらせる取り組みと平行して緊急を要する子どもたちと妊婦さんの「避難」「疎開」「移住」「保養」「留学」を進めていきたいと思います。

2013/12/25

クリスマスに思うこと ― 放射能から子どもたちを守りたい

2013年のクリスマスに思うこと

今年9月8日、安倍首相はIOC総会で、オリンピックを東京で開催したいとプレゼンテーションを行いました。「福島第一原発について。私はみなさんにお約束します。状況はコントロールされております。私たちは決して東京にダメージを与えるようなことは許しません。決してダメージを与えることはありません」と強調しました。

プレゼンの後、外国人から質問されました。
「安倍総理、福島原発についての質問です。最近は毎日のようにメディアが報道しています。どれだけひどい状況かということ。総理は「東京には影響が無い」とおっしゃいましたが、その根拠はなんでしょう? なぜそのように安心できるのでしょうか?」

安倍首相 「結論から申し上げますと、全く問題ありません。汚染水による影響は、第一原発の港湾内の0.3平方km範囲内、の中で、完全にブロックされています。福島の近海で、私たちはモニタリングを行っています。そして、わが国の食品や水の安全基準は、世界でも最も厳しい基準であります」そして、最後にこう言いました。「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないと約束する

原発事故のあと、放射能汚染地の子どもたちに病気が増えている(甲状腺がんや心臓病など)にもかかわらず安倍首相は9月のIOC総会で、こう言い放ちました。―今、国家の危機を主張し、「防衛」や「国家安全」の名の下に防衛予算を増額し、武器輸出を拡大する彼らに「子どもの命を守る」という考えはないようです。


放射能汚染地の子どもたちに病気が急増している

心疾患死亡に関する人口統計において、福島県の心疾患死亡率が2011年度の全国一位(秋田県の公開データ)福島が8位から1位に、岩手が6位から4位になっています。

福島と周辺県の心疾患死亡率が増加

     2010年度  2011年度  増加率   
福島   197.6   226.0   14.4%  
宮城   141.3   160.0   13.2%  
茨城   150.1   165.9   10.5%  
岩手   202.6   219.3    8.2%  

全国平均 149.7  154.4    3.1%  

心疾患死亡率 2011年と2012年度の比較


児童、生徒の心電図異常増加…茨城
(2013年1月4日 読売新聞)から抜粋

 茨城県取手市の市立小中学校の学校検診で、心電図に異常がみられる児童、生徒の数が、昨年度から増加していることが、生活クラブ生協取手支部など市内3団体の調査でわかった。検査は小中学校の1年生に実施し、毎年度5月に1600~1700人が受診。精密検査が必要とされた子供は、2010年度までは最高で1・79%だったのが、11年度は2・38%、12年度は5・26%になった。

 また、精密検査で疾患や異常が見つかった子供は、10年度までは最高0・71%だったが、11年度は1・28%、12年度は1・45%だった。ただし、12年度は「要精密検査」とされながらも、公表時点で受診していない子供が3分の1以上おり、3団体は「受診者が増えれば数値が上がる可能性がある」とみている。

*バンダジェフスキー博士(元ゴメリ医科大学学長)は、子どもの体重1kgあたり、セシウム137が10ベクレル(5kgの子どもなら50ベクレル)蓄積するだけで、遺伝子に影響を与え、不整脈を引き起こす可能性があると警告していまます。 (不整脈は、心臓病につながります)

体重5kgの幼児が、セシウム137を毎日0.32ベクレル摂取し続けると体内10ベクレル/kgになります

ドイツ放射線防護協会「日本における放射線リスク最小化のための提言」では、『評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4 ベクレル以上のセシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり8Bq 以上のセシウム137 を含む飲食物を摂取しないことが推奨される』と提言している。


「福島の小児甲状腺がん多発は統計的有意」津田敏秀・岡山大学教授

子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定

「影響ないと約束」に批判 健康調査続く福島 「知識もないのに無責任」
 (2013年9月14日 河北新報)から抜粋

安倍晋三首相が東京五輪招致に当たり、東京電力福島第1原発事故による健康への影響について「今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で発言したことに対し、解明に取り組んでいる被ばく医療の専門家や、避難している県民から「知識もないのに無責任」と強い批判が出ている。

チェルノブイリ原発事故後に現地で医療支援に携わった医師の菅谷昭・長野県松本市長も「テレビで見て、びっくりした。被ばくの影響は未解明で、約束できる性質のものではない。世界に大きな誤解を招く。この発言で安倍首相に被ばくの知識がないことが露呈した」と話す。


福島の帰還基準、避難者と賠償額の増加を恐れて「年5ミリ」とせず

2013/10/29

放射能汚染水―海外では「世界最大のスキャンダル」

汚染水に厳しい世界の視線
(2013年9月3日 朝日新聞 声欄)

ドイツ 汚染水に厳しい世界の視線

ピアニスト デットバイラー 扶美 (ドイツ43)

 最近、ドイツでは毎日のようにトップニュースで、日本の福島第一原発の汚染水漏れが「世界最大のスキャンダル」として報道されています。日本に一時帰国していますが、日本政府の反応の鈍さに愕然(がくぜん)としています。

 2年半前の東日本大震災の時には、ドイツ人や隣国のスイス人の見知らぬ人からも、励ましの言葉をかけられ、募金をしてもらいました。そして、日本国民の震災後の対応に感動している、とニュースでも報じられました。

 ところが、今では原発再稼働、推進、諸外国への売り込みなど、被害に苦しむ国民を抱え、同原発周辺を放射能で汚染している国とは思えない無責任な決断をしている日本政府とそれを許している国民は、ドイツでは理解されません。

 日本が地球と人間、生物を放射能で汚染していることに世界中が注視し、恐怖を抱いています。日本政府は有効な対策を取り、脱原発に向け信用を取り戻さねば、世界は日本を同等の相手としては見てくれないでしょう。一日本人として、心配でたまりません。


汚染水漏れ「福島の状況は深刻」英独の専門家
(2013年9月6日 HUFF POST)から抜粋

福島第一原発事故をめぐっては、矛盾する報告書が飛び交って混乱を招いてきた。原子力の専門家たちは、「汚染水が漏れた問題の深刻度については、誰にも本当のところがわからない」と強調している。

福島第一原発は、2011年3月に発生した地震と津波によって電源を喪失して冷却が止まり、原子炉のメルトダウンが起きた。同原発を運営する東京電力は、溶けた核燃料を冷やすべく必死で注水作業を行っている。

汚染水は1日400トンの割合で増加し、発電所に設置された1000個以上のタンクには、現在合計で33万5000トンの汚染水が貯蔵されている。そして、これらのタンクのいくつかから、汚染水が地上に漏れ出している。

東京電力は先月、2011年3月の事故以来これまででもっとも深刻な状況として、敷地内にある貯蔵タンクから300トンの高濃度放射能汚染水が漏れたことを認めた。

ドイツ出身で、フランス政府やドイツ政府への助言も行ってきたエネルギー問題のコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏は、事態は「われわれが実際に認識しているよりもはるかに悪い状態」に発展していると述べている。

シュナイダー氏はハフィントンポストUK版の取材に対して次のようにコメントしている。「現在、数百という問題が山積みになっている。温度、被ばく線量、被ばくした人数、これらすべてのデータに不備がある。われわれはまだ何も把握できていない。一般市民が理解しているよりも、はるかに悪い状態だ」

シュナイダー氏は、現在の状況を引き起こしている原因は、日本政府と東京電力が、問題の深刻さを認めることを拒否していることにあると主張する。

現在の課題は、彼らの現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ。ここでは日本の持つプライドが問題になっているが、プライドが現実逃避の態度へと変わってしまうと、このような問題は本当に危険なものとなる。彼らは人々を、高まり続けるリスクにさらしている

日本政府は5日、原発のタンクからの漏えいを阻止し、高濃度汚染水を処理するための対策に470億円を投入すると発表した。投入資金の大部分は、摂氏マイナス40度の冷却材を入れた管を使って最深30メートルまで地盤を凍らせる「遮水壁」(日本語版記事)の建設に使用される。

理論的には、この遮水壁が汚染水の漏えいを阻止するほか、放射性物質が大量に検出されている原子炉とタービン建屋に地下水が流入するのを防ぐ役割を果たすことになる。

しかし、今回の決定は、国際オリンピック委員会(IOC)が2020年夏季オリンピックの開催地を東京、イスタンブール、マドリードの中から選定する数日前に発表されたこともあり、「原発事故による安全性の心配はない」とアピールするためのものではないかと見られている。

シュナイダー氏はこう述べている。「遮水壁のプロジェクトは、画期的な対策案が存在するとアピールするために考え出されたものだ。日本政府はオリンピック開催地決定の数日前になって、このプロジェクトに470億円もの資金投入を決定した。しかし、実用的な面から考えれば、この対策は非常に疑わしく、信頼性が高いとはいえない。長期的に持続可能とはいえず、この壁に効果があるかどうかは誰もわかっていない。パニックが引き起こした反応と言える」

氷壁の維持は非常に難しく、ひとたび停電が起きれば「すべてだめになってしまう」可能性がある、と専門家たちは指摘する。

原子力のエンジニアでコンサルタントも務める英国のジョン・ラージ氏は、この技術は小規模な汚染を管理するためにしか使用されたことがないと指摘し、今回の頼みの綱とするのはリスクが高すぎると述べる。

「彼らは放射性物質を貯蔵する巨大なタンクの建設を計画しているが、この氷壁が崩壊してしまえば汚染水は自由に動き回ることになる。氷壁は脆弱であり、ましてこの規模のものは前例がない

ラージ氏は、矛盾した報告書が「飛び交ってきた」原因について、東京電力と日本政府という2つの情報源だけに頼っていることだと指摘する。「これらの情報は矛盾を含み、混乱している。それに、信用できないと感じる。彼らの真意が何であるか、疑わざるを得ない

シュナイダー氏も、問題はもはや誰も東京電力や日本政府を信頼していないことだと話す。「日本の人々が、彼らの主張は信用できないと感じるのはもっともなことだ


汚染水漏れ 「Nature(ネイチャー)」が日本政府の福島第一原発の対応を批判
(2013年9月7日 The Huffington Post)から抜粋

科学雑誌のネイチャー(Nature)が、9月3日に掲載した福島第一原発に関する論説が話題になっている。日本政府の行動の遅さと、情報公開のおそまつさを指摘する厳しい内容だ。思想家の内田樹氏は、「自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なこと」と、同記事の内容を紹介している。

ネイチャーの指摘する内容はどのぐらい厳しいものなのか。

記事は「Nuclear error」と題され、「日本はもっと世界に助けを求めるべきだ」という副題がついている。福島第一原発事故の事故は東京電力の手に負えないほどのものとした上で、政府が先頭に立って対応するということを決めた時期が遅すぎると非難している。また、漏れた汚染水の放射線量が、最初に報道されていた状況よりも18倍も高かったことや、報道が遅れたこと、監視体制の甘さなどを挙げ、情報に精通した海外の専門家に助けを求めるべきと助言している。

日本が海外の力を借りるべきとする意見を出しているのは、ネイチャーだけではない。

アメリカの科学者、チャールズ・ファーガソン氏も、ロシアやノルウェーには、汚染水が海洋生物にどのように影響があるかを調べる専門家がいることなどを挙げ、日本が他の国から多くの専門家を呼び込むべきだということに同意している。

全文

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安倍首相「汚染水の影響は・・・完全にブロック」

汚染水:カリフォルニアの海岸沿いの市民は非常に不安

英エコノミスト特派員「水位計がないのは理解できない」

ドイツ新聞 汚染水反応:政府信用できない


首相「遮断」発言 汚染水 外海に流出中


流出ずっと続いていた 泥に蓄積 魚に影響


原発輸出 平和より「金もうけ」


反省なき原発輸出行脚

安倍首相、トルコに出発 原発輸出やシリア情勢など協議
(2013年10月28日12時05分 朝日新聞)

 安倍晋三首相は28日午前、トルコ・イスタンブールを訪れるため、政府専用機で羽田空港を出発した。訪問は5月に続き2回目。エルドアン首相と、前回訪問時に日本が排他的交渉権を獲得したトルコへの原発輸出を前進させるため協議をするほか、シリアやイラン情勢なども話し合う。

 イスタンブールのアジア側と欧州側をつなぐボスポラス海峡の地下鉄の開通式典にも出席し、30日に帰国する。

 国会中の平日に、首相が国際会議以外の目的で外遊するのは異例だ。首相は出発に先立ち、記者団に「先週は毎日国会に出て政府の方針・政策を説明した。安倍政権は国会での議論をたいへん重視している。一方、首脳外交で国益を確保することも大事だ」と語った。

2013/10/22

イラク戦争の犠牲者 推定50万~65万5千人 7割以上が民間人

イラク戦争の犠牲者は推定50万人
(2013年10月17日 ナショナルジオグラフィック)から抜粋

 2003~2011年のイラク戦争によって、イラクでは約50万人の命が直接的、間接的に奪われたことが、同国の1960世帯を対象とした画期的調査によって明らかとなった。公衆衛生専門家が行った同調査によると、戦争による暴力行為は2006年と2007年がピークだったという。

 シアトルにあるワシントン大学の公衆衛生専門家エイミー・ハゴピアン(Amy Hagopian)氏率いる国際チームは、イラク全土の世帯で家族やきょうだいに関する調査を実施した。イラク保健省の関係者も参加したこの調査は、イラク戦争に関連して、過去の調査より新しく正確な推定死者数を導きだすことを目的に行われた。

死者は約50万人と推定している。これはおそらく控えめな数字だ」とハゴピアン氏は述べる。「戦争という決断がどれほどの人的被害をもたらすのか、我々は知る必要がある」。

子どもたちの遺体を前に涙をぬぐう男性

調査によると、2003~2011年に犠牲となった男性、女性、子どもの60%以上は、銃撃や爆破、空爆といった直接的な攻撃によって命を落としたという。それ以外の人々は、ストレスによる心臓発作、衛生設備や病院の破壊といった間接的な原因によって亡くなっている。

「これは非常に重要かつ信頼性の高い調査だ」と、ニューヨークにあるコロンビア大学の疫学者レスリー・ロバーツ(Leslie Roberts)氏は述べる。ロバーツ氏自身、コンゴやジンバブエ、そしてイラクで戦時中の死者数の調査を指揮した経験をもつ。「実際に起きたことを正確に記録するのは非常に重要なことだ」とロバーツ氏は述べ、2005年に当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領が行った、戦闘によるイラク市民の犠牲者数はわずか3万人ほどだという発言を引き合いに出した。

 戸別調査に基づく推定死者数は、おそらく控えめな数字だという点については、ロバーツ氏もハゴピアン氏と同意見だ。この数字は家族の不完全な記憶に基づいたものであり、また、難民キャンプや国外で生活していたイラク人110万人はほとんど計算に入っていないためだ。


◆イラク戦争終結を宣言=「歴史の一部に」米大統領
※記事などの内容は2011年12月掲載時のものです

【ワシントン時事】オバマ米大統領は14日、ノースカロライナ州フォートブラッグ陸軍基地で、イラク駐留米軍部隊が間もなく撤退を完了するのを前に演説し、「イラクの将来はイラク国民の手に委ねられ、イラクでの米国の戦争は終結する」と宣言した。ブッシュ前政権が2003年に国連安全保障理事会の討議を打ち切る形で開戦、「違法な戦争」と国際批判も浴びた戦争が、約9年ぶりに正式に幕を閉じる。

【ワシントン時事】オバマ米大統領は31日、イラク駐留米軍の戦闘任務が終結したことを正式に国民に宣言した。2003年3月の開戦から7年5カ月。ブッシュ前大統領が開戦の大義名分にした大量破壊兵器は見つからず、米軍死者は約4400人に達した。ブッシュ前大統領は圧倒的な軍事力を背景に、国際世論を無視してイラク戦争に突き進んだ。短期間で首都バグダッドを陥落させたものの、フセイン政権崩壊後の統治機能の確立や治安維持計画はずさんで、宗派間の抗争をあおる結果を招き、治安は悪化した。


イラク戦争で奪われた莫大な人命の犠牲- 総括をしないのは人類の汚点 
(2013年3月20日 yahooニュース)から抜粋

2003年3月20日にイラク戦争が開始されてから10年がたつが未だこの戦争の過ちについて十分な総括が国際的になされていない。イラク戦争は、国連安保理の許可を得ない武力行使であり、明らかに国連憲章違反であったし、その理由とする「大量破壊兵器」は存在しなかった。この誤った戦争により、イラクはあまりにも壊滅的な打撃を受け、人命を奪われた。

アメリカ、ジョンホプキンズ大学ブルームバーグ公共衛生大学院の研究では、2003年のイラク戦争の結果として約65万5千人のイラク人が死亡したと推定、WHOはイラクで2003年3月から2006年6月までに15万1千人が暴力によって死亡したと推定している。

2004年4月と11月の米軍によるファルージャ総攻撃では、戦争犯罪に該当する「民間人攻撃」が行われたとされ、多数の民間人が殺害されたという。白リン弾や劣化ウラン弾等残虐兵器が民間人の居住地で、市民に対する危害を最小限に抑える手段を一切講ずることな大量に使われ、おびただしい死者が出た

白リン弾使用については、イタリアのドキュメンタリーでその残虐性、極めて残酷で深刻な被害が暴露されている。アメリカ軍がアブグレイブやその他の刑務所で、拷問・非人道的取り扱いに該当する身体的虐待や侮辱などの行為をイラク人拘留者に対して行ったことは多くの証拠に裏付けられている。

こうした行為は何より戦争犯罪の可能性が高いが、きちんとした調査は行われず、ほとんど誰も責任を問われていない。訴追されるのは少数の末端の兵士だけ。意思決定に関わったトップレベルの人々、ブッシュ元大統領やラムズフェルド元国防長官、拷問を正当化した司法省、国防省関係者等の責任は全く問われていない

超大国が大規模かつ残虐な人権侵害をして幾多の罪もない人を殺害しても誰も責任を問われない、そのようなことでは、大国の都合でおびただしい虐殺が今後も果てしなく繰り返されるだろう。

イラクにおける人命の被害は決して過去のことではない。戦争後、戦争当時生まれてすらいなかった子ども、何の罪もない子どもを今も残酷に苦しめている。イラク戦争で米軍等が使った大量の有害兵器が環境汚染を引き起こし、それは特に子どもたちの生命と健康を危機にさらし続けている。

英インディペンデント紙によると、「イラクの医者たちは、2005年以来深刻な先天的障害を負った乳幼児の数の著しい増加を訴えている。先天性障害は頭が先天的に二つの頭をもった赤ちゃんから、下肢の傷害を負った赤ちゃんまで多様な症例がある。彼らは、ファルージャでのアメリカ軍と反乱軍の間の戦い後、がんの発症率が以前よりもはるかに高くなったとも話している」と述べている。

ファルージャにあるファルージャ総合病院。その関わった調査・分析によれば2003年以来ファルージャで生まれた15%の乳幼児に先天的異常があるという。

こうした先天性異常の原因の一つの可能性として考えられるのは、劣化ウラン(DU)弾である。国連環境計画(UNEP)の情報公開要請にも関わらず、アメリカ政府が2003年のイラク戦争で使用されたDU弾の具体的な量や投下位置を情報公開しないため、使用量や投下位置は今も特定されていない。2003年のイラク戦争においては約1.9トンのDU弾が使用されたと公表しているが詳細は不明である。

これ以上子どもたちを苦しめないために、なぜ先天性異常が頻発しているのか、原因を特定し、原因を除去する等効果的な予防方法を打ち立て、健康を守り治療をする政策が必要であり、被害者は補償を受けるべきだ。有害物質を大量に垂れ流したまま、環境汚染の責任を全くとらず、どんな有害物質をどの程度どこに使ったかも公開しないまま、子どもたちが死んでいくのに何の責任も取らない、これは今も続く米国等の重大な人権侵害だと思う。

伊藤 和子
弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

2013/10/20

甲状腺被曝、公表の10倍 福島第一作業員、半数未受診

甲状腺被曝、公表の10倍 福島第一作業員、半数未受診
(2013年7月19日5時43分 朝日新聞 WEB)

作業員の甲状腺局所の線量(100mSv以上)

【大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故で、がんが増えるとされる100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝(ひばく)をした作業員が、推計も含め2千人いたことが分かった。対象を広げ詳しく調べ直したことで、昨年12月の公表人数より10倍以上増えた。東電は、大半の人に甲状腺の異常を調べる検査対象となったことを通知したというが、受検者は半数程度にとどまるとみられる。

 作業員の内部被曝の大部分は事故直後の甲状腺被曝だ。だが、厚生労働省も東電も、全身の線量だけで作業員の健康を管理しており、甲状腺被曝の実態把握が遅れている。国の規則が全身の被曝線量の管理しか求めていないためだ。

 東電は昨年12月、一部の作業員の甲状腺被曝線量を初めて公表した。世界保健機関(WHO)に報告していた、実測値のある522人のデータで、100ミリシーベルト以上の人は178人、最高は1万1800ミリシーベルトとしていた。

 東電はこれをきっかけに、対象を広げ、甲状腺の線量をきちんと実測しなかった作業員についても、推計した。さらに今年に入り、東電からデータの提供を受けた国連科学委員会が、作業員の甲状腺被曝線量の信頼性を疑問視していることが判明。厚労省も、東電と関連企業に内部被曝線量の見直しを指示した。

 実測値を再評価したほか、体内に入った放射性ヨウ素の量がはっきりしない場合、セシウムの摂取量をもとに、作業日の大気中のヨウ素とセシウムの比率などから推計した。この結果、100ミリシーベルトを超えた作業員は1973人と分かった。中には、線量見直しで甲状腺被曝が1千ミリ以上増えた人もいた。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の経験などから、甲状腺に100ミリ以上の被曝をすると、がんのリスクが高まると考えられている。従来は、40歳以上はがんが増えにくいとされていたが、最近は40歳以上でもリスクが増えるとの報告も出ている。

 東電広報部は「甲状腺被曝線量が100ミリを超えていた作業員全員に対し、東電の負担で生涯、年1回の甲状腺の超音波検査を行う。検査対象者にはすでに通知した」としている。検査を受けた作業員の割合は確認中というが、関係者によると、甲状腺検査を受けた作業員は半数程度にとどまっている。

     ◇

 〈甲状腺被曝(ひばく)〉 主に吸入などで体内に入った放射性ヨウ素による内部被曝。100ミリシーベルト以上被曝するとがんが増えるとされるが、チェルノブイリ原発事故では50ミリシーベルト以上でがんが増えたとの報告もあり、予防目的で甲状腺被曝の防護剤を飲む国際基準は50ミリシーベルトだ。

     ◇

▽作業員の健康相談窓口

 東京電力は、作業員のための、福島第一原発事故の被曝による甲状腺をはじめとするがん検診や、健康不安に関する相談窓口を設けている。

 原子力・立地業務部 健康相談窓口(電話:03―6373―1111。受け付けは平日の就業時間帯


◆お知らせ 2013年
当社関連報道平成25年7月19日 
朝日新聞1面 「甲状腺被曝者 公表の10倍」他各社報道について

平成25年7月22日
東京電力株式会社

最大の被害者は、福島原発の事故処理作業員と子どもたち

白血病の労災認定基準「年5ミリシーベルト以上」の被曝をした作業員が約1万人もいるが、作業員の多くは労災基準を知らず、支援体制の整備が課題だ―と朝日新聞が報じている。一方で、原発事故の後、「非常時の年間被ばく限度量」として設定した20ミリシーベルトを未だに1ミリシーベルトに戻していないため、多くの子どもたちが、避難すべき地域に留まり続け、原発作業員の白血病の労災認定基準「年5ミリシーベルト以上」の被曝をしている

9460人、白血病労災基準超える 福島作業員


1万人、白血病労災基準超す 福島第一で被曝の作業員
(2013年8月5日 朝日新聞)

 【青木美希】福島第一原発で事故から9カ月間の緊急作業時に働いた約2万人のうち、白血病の労災認定基準「年5ミリシーベルト以上」の被曝をした人が約1万人にのぼることが、東京電力が7月に確定した集計から分かった。作業員の多くは労災基準を知らず、支援体制の整備が課題だ。

 原発作業員は年50ミリ超、5年で100ミリ超を被曝すると働けなくなる。これとは別にがんの労災を認定する基準があり、白血病は年5ミリ以上被曝した人が作業開始から1年過ぎた後に発病すれば認定される。原発事故後には胃がんなどの労災基準もできた。

 東電の集計によると、福島第一原発で2011年3月11日の事故から同年12月末までに働いた1万9592人の累積被曝線量は平均12・18ミリで、約5割にあたる9640人が5ミリ超の被曝をした。この人たちは白血病を発病すれば労災認定される。今年6月末には累積で5ミリ超の被曝をした人は1万3667人になった。今後も汚染水対策など被曝の恐れが高い作業が予定され、白血病の「年5ミリ以上」の労災基準に該当する人は増え続けるとみられる

原発作業3ヶ月 20年後、白血病判明

原発作業3カ月、20年後に白血病判明
5.2ミリシーベルト被曝 労災認定の男性語る

(2013年8月5日 朝日新聞)より抜粋

 男性は24歳から電気配線会社に勤務。1986年から88年にかけて、玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)で配線修理を担い、計約3カ月で5・2ミリシーベルト被曝した。

 それから他業種で20年以上働いた。現在勤める製造業の会社で09年に受けた定期健康診断で、白血球が通常の倍以上の1万9千あることが判明し、医師に「慢性骨髄性白血病」と告げられた。

 思い当たるのは20年以上前の原発作業だけだ。当時は「被曝量は健康に害がない程度。100ミリまでは浴びられる」と説明され、がんのリスクや労災については知らされなかった。同僚が「白血病になった」と言っていたのを思い出した。労災について詳しい知識はなかったが、2カ月後に「だめで元々」と申請すると1年半後に認められた。

 福島第一原発の作業員について「病気の発見が遅いと、手遅れになり死んでしまう。彼らは国のために働いているのだから、国は全員の健康診断をして命を守ってほしい」と話す。

******

甲状腺被ばく、公表の10倍 福島第一作業員

2012年12月に公表された福島原発作業員の被ばく線量の多さ(以下のグラフ)に驚いたが、実態はその10倍もあった。しかし、政府や自民党は、汚染水問題の悪化で原発敷地内の放射線量が高まる中、「命を削って事故処理にあたっている作業員」の被ばく問題を改善するどころか、原発の再稼動を急いでおり、ますます事故処理作業員を不足させる方向に動いている。(原発の再稼動で、技術や知識のある作業員が全国に分散する)

作業員の甲状腺局所の線量(100mSv以上)

甲状腺被曝、公表の10倍 福島第一作業員、半数未受診
(2013年7月19日 朝日新聞)から抜粋

 東京電力福島第一原発事故で、がんが増えるとされる100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝をした作業員が、推計も含め2千人いたことが分かった。対象を広げ詳しく調べ直したことで、昨年12月の公表人数より10倍以上増えた。東電は、大半の人に甲状腺の異常を調べる検査対象となったことを通知したというが、受検者は半数程度にとどまるとみられる。

 作業員の内部被曝の大部分は事故直後の甲状腺被曝だ。だが、厚生労働省も東電も、全身の線量だけで作業員の健康を管理しており、甲状腺被曝の実態把握が遅れている。国の規則が全身の被曝線量の管理しか求めていないためだ。

 東電は昨年12月、一部の作業員の甲状腺被曝線量を初めて公表した。世界保健機関(WHO)に報告していた、実測値のある522人のデータで、100ミリシーベルト以上の人は178人、最高は1万1800ミリシーベルトとしていた。

 東電はこれをきっかけに、対象を広げ、甲状腺の線量をきちんと実測しなかった作業員についても、推計した。さらに今年に入り、東電からデータの提供を受けた国連科学委員会が、作業員の甲状腺被曝線量の信頼性を疑問視していることが判明。厚労省も、東電と関連企業に内部被曝線量の見直しを指示した。

 実測値を再評価したほか、体内に入った放射性ヨウ素の量がはっきりしない場合、セシウムの摂取量をもとに、作業日の大気中のヨウ素とセシウムの比率などから推計した。この結果、100ミリシーベルトを超えた作業員は1973人と分かった。中には、線量見直しで甲状腺被曝が1千ミリ以上増えた人もいた。

全文


ノーベル平和賞の「社会的責任を果たすための医師団」が警告

米国科学アカデミーによれば、安全な放射能の線量というものはない。過去数十年にわたる研究から、放射線はどんなに少ない線量でも、個々人の発がんリスクを高めることがはっきりと示されている。

日本で危機が続く中、人に発がんの危険が生じるのは最低100ミリシーベルト(mSv)被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100 mSv の線量を受けたときの発がんリスクは100人に1人、10 mSv では1000人に1人、そして1 mSV でも1万人に1人である


<<< 子どもたちの被ばく問題 >>>

チェルノブイリ法」では、年間被ばく線量が0.5ミリシーベルト(土壌汚染が37kベクレル/m2)以上の地域で、医療政策を含む防護対策が行われる。1ミリシーベルト以上であれば、避難の権利があり、5ミリシーベルト以上の地域は、移住の義務がある

チェルノブイリ法の避難基準

福島の帰還基準、避難者と賠償額の増加を恐れて「年5ミリ」とせず

原発事故で避難した住民が自宅に戻ることができる基準を「年20ミリシーベルト以下」から「年5ミリシーベルト以下」にする案を政府が検討したが、避難者が増えることを懸念して見送っていた。

「多くの医者と話をする中でも5ミリシーベルトの上と下で感触が違う」と5ミリ案を検討。チェルノブイリ事故では、5年後に5ミリの基準で住民を移住させた。年換算で、5.2ミリ超の地域は 放射線管理区域に指定され、原発労働者が同量の被曝で白血病の労災認定をされたこともある。ところが、5ミリ案は実行されなかった。「20ミリ案は甘く、1ミリ案は 県民が全面撤退になるため、5ミリ案を検討したが、避難者が増えるとの議論があり、固まらなかった」 「賠償額の増加も見送りの背景にある」(2013年5月25日 朝日新聞)から要約

記事全文


「5ミリシーベルト以上は強制移住」西尾正道

この5ミリシーベルト以下のエリアでも26年後のチェルノブイリでは、75%以上の子どもたちが病気になっている

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』

(2012年9月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組の書籍版 NHK出版)
ウクライナのコロステンの市内は、年0・5~1ミリシーベルトの放射線管理区域と年1~5ミリシーベルトの移住権利区域が半分ずつ占めている。日本でも同程度の汚染地域は広く分布しており、年0・5ミリシーベルト以上の汚染地域ならば1千万人以上が暮らしているだろう。チェルノブイリから26年後のコロステンの現状は、目をそらすことなく凝視すべきだろう。子供たちの75%以上が何らかの疾患を抱えているという「現実」はあまりにも重すぎる。

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』

2013/10/19

『福島原発事故被害は過小評価されてる』 国連科学委員会(UNSCEAR)ベルギー代表

UNSCEAR、怒るベルギー代表:
『福島原発事故被害は過小評価されている』

mardi 20 août 2013 Canard Plus

原子力事故や放射能の被害を評価する任務を負う国連機関 UNSCEAR内部で議論に火花が散っている。UNSCEARは最近ウィーンで開催された会議において用意された暫定報告書を、各国専門家の議論に委ねた。この報告書がベルギー代表団を激怒させたのだ。ベルギー代表団メンバーによれば「報告書全体が福島原発事故の被害を過小評価するために執筆、作成されている感が否めない。チェルノブイリやその他の研究から得られた情報のレベルからさえも後退している。」と言う。

ベルギー代表団を構成しているは、モル核エネルギー研究センターやさまざまな大学の専門家たちである。他国の多くの専門家たちとともに、彼らは五月にウィーンで開催された会議に参加した。UNSCEARは来秋、国際連合総会に報告書を提示しなければならない。

ブリュッセルに帰国後、ベルギー放射線防護協会(ABR)でのプレゼンテーションにおいて、代表団団長ハンス・ファン=マルケはUNSCEARの暫定結論に対する非常に批判的な意見を明らかにした。この批判はグリーンピースや反原発派からではなく、”原子力推進派内部”から噴出しただけに衝撃的である。我々の得た情報によると議論は過熱を尽くし、ベルギー代表団のショックはあまりに大きかったため、報告書への署名拒否さえちらつかせているそうだ。また何人かのメンバーは会議からの退場も考えたと言う。ベルギー代表団の発言と、またイギリスの専門家やその他何人かの専門家の発言の行われた結果、彼らの見解も改訂版を編集するうえで考慮に入れられる可能性はあると言う。しかし過去の歴史からこの手の組織においては、プログラムや文書の最終的な方向性は事務局と報告官によって決定されることがわかっている。最終稿が議論をきちんと反映しているかどうか、最大の注意が支払われることになるだろう。

批判

一般的な見解については誰も異論はない:日本は幸運に恵まれており、放射能の大部分は太平洋の方向に流れた。住民の避難は比較的速やかに行われ、食品の検査は満足できるレベルである。従って被害はおそらくチェルノブイリよりは少なくてすむだろう。

しかし地上への放射性物質降下量は無視できる量ではなく、従って住民の健康や将来への被害も無視できるものではない。その上、放射性物質の降下は福島市や郡山市(人口30万人)のように人口密度の高い地域で起こっている

UNSCEARの報告書が提示しているデータの多くは不完全であり、また提示の方法に問題がある。一般市民が受けた被曝量は不適切な方法を使って少なく見積もられている。これは事故現場で働いている作業員数万人の被曝量に関してもまったく同様である。そして日本政府も東電もこの件に関する詳細の公表を拒んでいる。安定ヨウ素剤が配られなかったことも明白であり、甲状腺検査の実施は一般に遅すぎた。そのために現時点でUNSCEARの報告書が主張しているように将来事故の影響はほとんど現れないだろうと断言することはできない。

またUNSCEARによる分析は、速断で胎児や遺伝を脅かす潜在的な危険を強制的に除外してしまっている。発癌リスクに関しては、明白な病変を引き起こすには放射線量が低すぎるため、懸念をする必要はないと評価している。このような仮説はベルギー人も含め多くの専門家を激怒させた。というのも上記の通り、一方では被曝量の評価が適切でないうえ、他方ではチェルノブイリの情報や近年行われた数多くの研究から低い線量でも健康に影響の現れ得ることが示されているからである。しかしながらUNSCEARはこのような放射線科学の発展から明らかに後戻りをしようとしている。各国からの代表者たちの一部は、今回の会議においてだけでなく、ここ数年間繰り返し、年間100ミリシーベルトという敷値の下ではいかなる健康被害も起こらないという考えを通そうと試みている。しかし国際放射線防護委員会(ICRP)は、平常時においては一般市民は年間1ミリシーベルト、原子力産業従事者は年間20ミリシーベルトの被曝量を越してはいけないと勧告しており、また事故時においては、一時的な基準の超過は大目に見られるものの、超過は持続的であってはならないとしていることを今一度確認しておきたい。

最新の研究では様々な分野において年間10から100ミリシーベルトの間の低線量被曝でも、健康に影響のあり得ることが示されている。被害は癌だけではない。胎児への影響、遺伝のかく乱、心臓血液疾患や白内障なども問題となる。

チェルノブイリと同じ被害の否定が福島でも行われるのか?

いくつもの報告書が机上にあり、完成を待っている。そのひとつは子供たちについての報告書だ。子供は被曝が起こった場合、特別に保護し、監視しなければならない対象である。この子供たちについての報告書はフレッド・メットラー教授率いるアメリカチームが請け負ったのだが、メットラー教授と言えば、チェルノブイリ・フォーラムで公表された報告書の著者の一人である。当時の報告書はチェルノブイリ事故被害を過小評価しているとして、大変に議論を沸かし、批判を浴びたものである。彼はまたも臭いものに蓋をしようとしているのか? 少なくともメットラー教授による今回の子供についての報告書では、低線量被曝が子供たちにもたらす健康被害に関する一連の研究や発見、論点が先験的に除外されてしまっている。このテーマに関する欧州原子力共同体(ユーラトム)の専門家グループによる報告書さえ、メットラー教授は考慮に入れようとしなかった。

もうひとつ関連する報告書の中で無視され、ほとんど議論されていない非常に重大な問題がある:それは持続的な慢性被曝のケースである。これは例えばある身体器官が内部から被曝を受ける場合に起こるものだ。実際、放射性物質が体内に均等に分散するか、あるいは逆に特殊な部位に蓄積するかによって、現れる健康被害は異なるらしいことがますます明らかになっている。つまり同じ被曝量でも被曝が起きている部位によってその影響は異なるということだ。このことは既に何年も前にチェルノブイリ事故における数々の影響を研究したベラルーシの科学者ユーリ・バンダジェフスキーが発表した仮説と一致する。

分裂・・・

福島原発事故(そしてチェルノブイリ原発事故)の被害を過小評価し、放射線防護に関する最新研究がもたらした結果から後戻りしようとする試みはいったいどこから発生しているのか? それは主にロシア、ベラルーシ、アメリカ、ポーランドそしてアルゼンチンの専門家によって構成される派閥からなのである。彼らの多くはUNSCEARだけでなくIAEA、そしてICRPの中心人物でもある。その一人、アルゼンチン人のアベル・ゴンザレスの就いている役職はアルゼンチン国内の原子力産業のものも含めて数知れず、前回のセッションでは、ベルギーの専門家が利益の混同を批判する書面を送ったほどである。しかしUNSCEARはこの批判書を議事録に記載することを拒否した。ゴンザレス、メットラー、ロシアのベラノフ(元IAEA職員であり、UNSCEAR報告書の一つの編集長)それに数人のポーランド人が、フランスのチュビアナ教授に代表される派閥とダイレクトにつながって、低線量被曝が起こしうるあらゆるネガティヴな影響に関する考えを頑なに拒絶しているのである。彼らは一丸となってこの路線を堅守しようとし、非常に活発な国際的拠点を築き上げている。彼らはUNSCEARやIAEA(UNSCEARの会議はIAEAの建物内で開催される)の事務局における戦略的なポストを占拠している。そして今日では日本人も彼らと見解を分かち合うようになっている。福島原発事故による影響を最小限に抑え、停止中の原発を再稼動させるのに懸命だからだ

その他の原子力大国、例えば中国やインドの代表は何も口出しをすることなく、UNSCEARの文書を黙認している。フランスのCEA(フランス原子力庁)やIRSN(放射線防護・原子力安全局)の専門家たちは、過去には日本が情報を滞らせていることを嘆いていたのに、今回はほとんど意見を発しなかった。スウェーデン、ドイツの専門家たちも言葉少ない。当然各国内の専門家たちの間でも異なる意見が存在するのだろうが、やはりUNSCEARが出した結論と原子力エネルギーの地政学との間に類似性を認めたくなるものである。ここで問題となっているのは各国の公式の代表専門家たちだからである。

かくして、一石を投じたのはベルギーの専門家たちだったのだ。イギリスの専門家たち、それにオーストラリア人の議長が彼らを支持した。またユーラトムの会議に参加しているヨーロッパの専門家たちは、UNSCEARの《過小評価派》に比べて、低線量被曝の影響をずっと気にかけている

いったいこれらの問題についての議論や科学的疑問はどこに行ってしまったのかと思わざるを得ない。少なくとも低線量被曝の影響を否定する一派は、来秋提示されるUNSCEARの報告書に彼らの見解が反映され、国連によって有効とされることを熱望している。それに対してベルギー人をはじめとするその他の専門家たちにとっては、それは放射線防護知識に関する最新の進歩に対する許しがたい後退を表すことになるだろう。

マルク・モリトール記
Marc MOLITOR
ベルギーRTBF(フランス語圏ベルギーTVラジオ局)


安心強調は早計 国連科学委

福島事故・国連科学委会報告をどう読むか
安心するのは早い 疫学調査の積み重ね必要

(2013年6月15日 東京新聞)

 福島原発事故の健康影響について、国連科学委員会は先月末、「被ばく線量は少なく、健康への明確な影響はないとみられる」ことを骨子とする報告書案を発表した。これまでも、世界保健機関(WHO)や民間団体が影響の推測をまとめてきたが、今回の報告は他と比べても「安心」の度合いが高い。この報告書をどう読むべきか。京都大原子炉実験所の今中哲二助教らに聞いた。(出田阿生、中山洋子)

 「国連科学委の報告書案に記された数字で計算すると、福島原発事故により、少なくとも日本全体で2050人のがんによる死亡が増えることになる。これを多いとみるか、少ないとみるか」

 京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)の今中哲二助教はこう語る。今中助教は、原発事故直後から福島県飯舘村に入って放射性物質の測定などの調査を続けてきた。

 今中助教が注目したのは日本全土でどれだけ被ばくしたかを表す「集団実効線量」の推計だ。甲状腺の集団実効線量は11万人・シーベルト(生涯の被ばく線量)、全身でみると4万1000人・シーベルトとなっている。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は「1万人・シーベルトで500人のがん死が起きる」とみている。全身の集団線量に当てはめると、がん死の増加は2050人だ。

 この数値をチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連や欧州諸国の約六億人分のデータと比較すると、福島原発事故による被ばく量は甲状腺は約20分の1、全身が約10分の1という結果になる。

 「大したことはない」と安心したくなるが、こうした一連の数字をどう読むべきだろうか。
 「無視できる数とは言えない。当てはまった人は、事故という人為的な原因で死を迎えるのだから」(今中助教)

 健康影響を語る際、被ばくとの因果関係が明白ながんや白血病のみを取り上げがちだ。この報告案もそれを踏襲する。

 しかし、被ばくによる健康影響には、いまも不透明な部分が大きい。チェルノブイリ原発事故後には、子どもの免疫低下や心臓疾患の発生が見られた。今月初旬、ウクライナを視察してきた今中助教は「被ばくの人体への影響は多様だと実感している」と話す。

WHO報告は対照的な視点

 国連科学委の報告書案と対照的なのが、今年2月末にWHOが発表した報告書だった。

 「大半の福島県民にがんが明らかに増える可能性は低い」と結論する一方、一部の乳児は甲状腺がんや白血病などのリスクが生涯で数%から約70%増えると推計。15年後は1歳女児の甲状腺がんの発生率が浪江町で約9倍、飯舘村で約6倍になると予測した。

 WHOは前提条件を「計画的避難区域で事故後4カ月避難せず、県内産の食物だけを口にした」とした。この想定は論議を呼んだが、飯舘村では近い実態もあった。
 「想定は過大評価になるかもしれない。だが、過小評価よりも良い。過小評価の危険を最小化したかった」(WHOの公衆衛生環境担当マリア・ネイラ氏)という。

 国連科学委の報告書案でもう一点懸念されるのは、この推計の根拠とされたデータの信頼性だ。一例として、子どもの甲状腺被ばくについての数値がある。

 この数値は政府が2011年3月下旬、飯舘村や川俣町、いわき市などで、事故当時に県内に住んでいた15歳以下の子ども1080人を対象に実測し、まとめた。

 今中助教は同時期に飯舘村に入って調査していたが、空間線量を測定すると村役場の屋外で5マイクロシーベルト、室内で0.5マイクロシーベルトだった。ところが、政府の調査で子どもの首に測定器を当てて測った数値は「0.01マイクロシーベルト」などと記されていた。

 今中助教はこれほど周囲の放射線量が高い場合には、そうした微量の放射線は測定することは不可能だと指摘する。

 甲状腺に集まる放射性ヨウ素の半減期は8日。事故直後に測定しないと測れなくなる。今中助教は「真っ先に取り組むべきは、最も影響を受けやすい子どもの甲状腺被ばくなのに、検査数があまりに少なすぎる。旧ソ連でさえ、約40万人の子どもの甲状腺被ばくを調べた」と振り返る。

 健康影響に否定的とみられる報告書案だが、一方で100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでも「がんの増加について科学的根拠が不十分でも、調査を長期間継続すべきだ」としている。今中助教は「被ばくの影響が完全に解明されていない以上、この姿勢は重要」と話す。

 「国連科学委員会は厳密さを追求する組織。だが、行政には健康を守るための予防原則が求められる。科学的な厳密さより、これからどんな影響が出てくるか分からないという視点が大切だ」

<デスクメモ> 「白黒つけずにあいまいなままにしておくこと」。復興庁参事官がツイッターに書き込んだせりふだ。時間がたてば、国民はフクシマを忘れるという「解決策」が政府の本音と感じてはいたが、実際そうだったわけだ。その先にあるのは今秋からの再稼働だろう。都議選、参院選は忘却との闘いである。 (牧)

<国連科学委員会> 被ばくの程度と影響を調べるため、国連が設置した。各国の核実験で放射性物質が拡散し、被ばくへの懸念が高まっていた1955年に発足した。関係者の間には「核実験の即時停止を求める声をかわす目的だった」という指摘もある。報告書はICRPの基礎資料になる。ICRPのメンバーと重複する委員もいる。


福島事故の甲状腺集団線量「チェルノブイリの1/30」
(2013年5月27日 朝日新聞)から抜粋

 【医療・被曝(ひばく)担当=大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故について、国連科学委員会が報告書案をまとめた。集団でみた日本国民の総被曝(ひばく)線量(集団線量)は、甲状腺がチェルノブイリ原発事故の約30分の1、全身は約10分の1と推計した。個人の被曝線量も推計し、多くが防護剤をのむ基準以下で、健康影響は「(6千人の甲状腺がんが出た)チェルノブイリとは異なる」「(がんの発生は少なく)見つけるのが難しいレベル」と結論づけた。

 報告書案は、国連科学委員会の専門家ら約85人が2年かけてまとめた。27日からウィーンで始まる科学委員会総会で議論され、9月の国連総会に提出される。

 朝日新聞が入手した報告書案によると、事故は、米スリーマイル島などの事故より「はるかに深刻」とした。ただし、チェルノブイリに比べて、放射性ヨウ素131の総放出量は3分の1未満、セシウム137は4分の1未満で、ストロンチウムやプルトニウムは「非常に微量」と評価した。

2013/10/17

鈴木真一教授、本当ですか?「子どもの甲状腺がん 他県も同じ」 

未成年の甲状腺がんに関するNHK報道と福島県立医大の鈴木真一教授の発言がまったく異なっている

NHKは、<平成18年(2006年)の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は【全国で46人】>と報じているが、鈴木教授は、<今年7月までに【福島県で44人】の子どもにがんの症例またはその疑いが出た甲状腺検査について、「他県に比べ異常な数値は出ていないのか」と問いに、「他県も同じような割合だ」と答えた>と毎日新聞が報じている。

鈴木真一教授の発言が本当かどうか、かんたんな計算をしてみたい。
福島県の人口は、全国の約1.6%なので、全国で未成年の甲状腺がんが年間46人なら、46人の1.6%を計算すれば、福島の数値が出る。
【46人×0.016=0.736人】つまり、「他県に比べ異常な数値は出ていない」のなら、福島県では年間、甲状腺がんになる未成年者は0人か1人ということになる。

右:鈴木真一 左:山下俊一
(写真右:鈴木真一氏 左:山下俊一氏)


低線量汚染地域からの報告

26年後、【甲状腺がん、心臓疾患、 白内障、慢性疾患の増加】放射能汚染
(2012年9月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組の書籍版)
ウクライナのコロステンの市内は、年0・5~1ミリシーベルトの放射線管理区域と年1~5ミリシーベルトの移住権利区域が半分ずつ占めている。日本でも同程度の汚染地域は広く分布しており、年0・5ミリシーベルト以上の汚染地域ならば1千万人以上が暮らしているだろう。チェルノブイリから26年後のコロステンの現状は、目をそらすことなく凝視すべきだろう。子供たちの75%以上が何らかの疾患を抱えているという「現実」はあまりにも重すぎる。

国際オリンピック委員会で、「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ない」と発言した安倍首相や鈴木真一教授の言動によって対策が遅れ、子どもたちをますます苦境に追い詰めている

安倍首相:健康問題は今までも現在も将来もまったく問題ない

関東、東海まで子どもの体内被曝が判明

石原環境相:県立医大視察 県内甲状腺がん症例、「被ばく影響なし」全面支持 /福島
(毎日新聞 2013年09月29日 地方版)

 石原伸晃環境相は28日午前、自ら率いる自民党の派閥「近未来研究会」の国会議員8人と福島市の県立医大を視察。県内の甲状腺がんの症例が原発事故の被ばくの影響ではないと説く大学関係者の見解に特段の議論もせず、1時間ほどで学窓を後にした。

 一行は前夜、前派閥会長の山崎拓元衆院議員を講師に飯坂温泉で研修会を開き、その帰りに医大に立ち寄った。

 今年7月までに県内44人の子どもにがんの症例またはその疑いが出た甲状腺検査について鈴木真一教授が「超音波検査は性能が良く、通常は見つからない15ミリの腫瘍(しゅよう)も見つかるため」と説明。さらに「被ばくによるがんは小さな子どもに多いが思春期以降の子にも分布しているため被ばくの影響はない」と断定した。

 鬼木誠衆院議員が「他県に比べ異常な数値は出ていないのか」と問い、鈴木教授は「他県も同じような割合だ」と応じた。

 被ばくの影響は「近未来」にならないと断定できないという見方もあるが、石原環境相は教授らとの雑談で「(異論を唱える人には)説明してもわかんないから不思議だ」と「影響なし」を全面支持する見方を示した。【深津誠】


甲状腺がんの子ども 新たに6人
(2013年8月21日4時22分 NHK)から抜粋

原発事故を受けて、福島県が事故当時18歳以下だった子どもを対象に行っている甲状腺検査で、新たに6人が甲状腺がんと診断され、甲状腺がんと診断された子どもは合わせて18人となりました。

福島県の検討委員会は「現状では原発事故の影響とは判断できない」としながらも新たに専門の部会を設けて、原因などの検証を進めていくことを決めました。

原発事故で放出された放射性物質は子どもの甲状腺に蓄積してがんを引き起こすおそれがあるとされ、福島県は、事故当時18歳以下だったおよそ36万人を対象に検査を行っています。

20日開かれた福島県の検討委員会で、先月末までの検査結果が明らかにされ、これまでに21万人の検査が終わり、新たに6人が甲状腺がんと診断されたということです。

甲状腺がんと診断された子どもはこれまでの12人と合わせて18人となりました。このほか、細胞の検査で、がんの「疑い」がある子どもは、これまでより10人増えて、25人になりました。

乳児を含む子どもが甲状腺がんになる確率は通常、数十万人に1人とされ、国内では、平成18年の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は46人でした。検討委員会は「現状では原発事故の影響とは判断できない」としながらも、この秋までに専門の部会を新たに設けて、原因などの検証を進めていくことを決めました。

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最後に、ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉を思い出したいと思います。
チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

「年間1ミリシーベルト以上の追加被ばくを受けない」ための署名

2013/10/15

関東、東海まで子どもの体内被曝が判明 【主食の米】要注意

子どもたちの体内被ばくが広がっている中で、福島県の米から基準値を超える120ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された。一方、福島県やJA(農協)は「子どもたちが 福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる」と、学校給食に福島米の導入を補助金まで使って推進している。

原発事故のあと、年間1ミリシーベルトの被ばく限度量を20ミリシーベルトに引き上げたまま2年半以上も元に戻さず子どもたちの外部被ばく量を増やし続け(呼吸などから内部被ばくも増える)更に、給食で汚染された食べ物を食べさせて、内部被ばくを増やし続けている

内部被ばく(体内被ばく)の話の前に、外部被ばくの状況を再確認しておきたい。 政府は、原発事故のあと「非常時の被ばく限度量」として設定した20ミリシーベルトを1ミリシーベルトに戻さないだけでなく、チェルノブイリ法では「移住義務エリア」となる5ミリシーベルトにすら下げていない。

福島の帰還基準、避難者と賠償額の増加を恐れて「年5ミリ」とせず

原発事故で避難した住民が自宅に戻ることができる基準を「年20ミリシーベルト以下」から「年5ミリシーベルト以下」にする案を政府が検討したが、避難者が増えることを懸念して見送っていた。

「多くの医者と話をする中でも5ミリシーベルトの上と下で感触が違う」と5ミリ案を検討。チェルノブイリ事故では、5年後に5ミリの基準で住民を移住させた。(日本では、原発事故による放射能汚染地以外は)年換算で、5.2ミリ超の地域は 放射線管理区域に指定され、原発労働者が同量の被曝で白血病の労災認定をされたこともある。ところが、5ミリ案は実行されなかった。「20ミリ案は甘く、1ミリ案は 県民が全面撤退になるため、5ミリ案を検討したが、避難者が増えるとの議論があり、固まらなかった」 「賠償額の増加も見送りの背景にある」(2013年5月25日 朝日新聞)から要約

記事全文

その5ミリシーベルト以下のエリアでも26年後のチェルノブイリでは、75%以上の子どもたちが病気になっている。

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』

(2012年9月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組の書籍版 NHK出版)
ウクライナのコロステンの市内は、年間0・5~1ミリシーベルトの「放射線管理区域」と年1~5ミリシーベルトの「移住権利区域」が半分ずつ占めている。日本でも同程度の汚染地域は広く分布しており、年0・5ミリシーベルト以上の汚染地域ならば1千万人以上が暮らしているだろう。チェルノブイリから26年後のコロステンの現状は、目をそらすことなく凝視すべきだろう。子供たちの75%以上が何らかの疾患を抱えているという「現実」はあまりにも重すぎる。

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』


ウクライナ政府(緊急事態省)報告書
『チェルノブイリ事故から25年“Safety for the Future”』

(2011年4月20―22日、チェルノブイリ25周年国際科学会議資料)

セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度
(週刊朝日 2013年10月4日号)

関東15市町で実施されている最新検査で、子どもたちの尿の7割からセシウムが検出されていたことがわかった。ジャーナリストの桐島瞬氏は、その被曝の深刻度を明らかにする。

入手したショッキングなデータをまず、ご紹介しよう。常総生活協同組合(茨城県守谷市)が、松戸、柏、つくば、取手など千葉、茨城の15市町に住む0歳から18歳までの子どもを対象に実施した尿検査の結果である。

「初めの10人を終えたとき、すでに9人からセシウム134か137を検出していました。予備検査を含めた最高値は1リットル当たり1.683ベクレル。参考までに調べた大人は2.5ベクレルという高い数値でした。いまも検査は継続中ですが、すでに測定を終えた85人中、約7割に相当する58人の尿から1ベクレル以下のセシウムが出ています」(常総生協の横関純一さん)

検査を始めたのは、原発事故から1年半が経過した昨年11月。検査対象全員の146人を終える来年明けごろには、セシウムが検出される子どもの数はさらに膨れ上がっているだろう。

セシウム134と137はウランの核分裂などにより生じ、自然界には存在しない物質だ。福島から近い関東の子どもたちが、原発事故で飛び散ったセシウムを体内に取り込んでいるのは間違いないだろう。副理事長の大石光伸氏が言う。

子どもたちが食べ物から常時セシウムを摂取していることが明らかになりました。例えば8歳の子どもの尿に1ベクレル含まれていると、1日に同じだけ取り込んでいると言われます。内部被曝にしきい値はないので、長い目で健康チェックをしていく必要があります

関東だけではない。放射能汚染による体内被曝が、東海や東北地方にまで及んでいることも分かった。福島を中心に200人以上の子どもの尿検査を続けている「福島老朽原発を考える会」事務局長の青木一政氏が、実例を挙げて説明する。

「昨年11月に静岡県伊東市在住の10歳の男児、一昨年9月には岩手県一関市在住の4歳の女児の尿からセシウムが出ました。この女児の場合、4.64ベクレルという高い数字が出たため食べ物を調べたところ、祖母の畑で採れた野菜を気にせずに食ベていたのです。試しに測ってみたら、干しシイタケから1キロ当たり1810ベクレルが検出されました」

食品に含まれる放射性セシウムの基準値は、1キログラムあたり一般食品100ベクレル、牛乳と乳児用食品50ベクレル、飲料水と飲用茶10ベクレルだ。ただし、基準そのものに不信感を持つ消費者も多い。検査もサンプル調査だから、東日本の食材を敬遠し、なおかつ1ベクレルでも気にする風潮につながっている。

体内にセシウムを取り込むと、どういう影響が出るのか。内部被曝に詳しい琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏が解説する。

セシウムは体のあらゆる臓器に蓄積し、子どもの甲状腺も例外ではありません。体内で発する放射線は細胞組織のつながりを分断し、体の機能不全を起こします。震災後、福島や関東地方の子どもたちに鼻血や下血などが見られたり甲状腺がんが増えているのも、内部被曝が原因です。怖いのは、切断された遺伝子同士が元に戻ろうとして、間違ったつながり方をしてしまう『遺伝子組み換え』で、これが集積するとがんになる可能性があります

矢ケ崎氏は、尿中に含まれるセシウム137がガンマ線だけ勘定して1ベクレルだとすれば、ベータ線も考慮すると体内に大人でおよそ240ベクレルのセシウムが存在し、それに加えてストロンチウム90もセシウムの半分程度あるとみる

体に入ったセシウムは大人約80日、子ども約40日の半減期で排出されるが、食物摂取で体内被曝し、放射線を発する状態が続くことが危険だと言う。

常総生協が昨年度、食品1788品目を調査した資料がここにある。結果を見ると、280品目からセシウムが検出されていた。米74%、きのこ63%、お茶50%、それに3割近い一般食品にもセシウムが含まれていたのだ。

※週刊朝日  2013年10月4日号


南相馬の玄米2袋から基準値超セシウム検出
(2013年10月9日 福島民友ニュース)

 県は8日、2013(平成25)年産米の全量全袋検査の結果、3年ぶりに作付けを再開した南相馬市原町区の旧太田村の農家1戸が生産した玄米2袋から、食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える同120ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。13年産米が基準値を上回ったのは初めて。基準値超の玄米は同市が隔離して処分するため、市場には流通しない。

 県によると、3日の検査でこの農家が生産した「ひとめぼれ」の玄米52袋(1袋30キロ入り)のうち、44袋がベルトコンベヤー式検査機器で設定した水準(同65ベクレル)を上回った。44袋の詳細検査を行い、2袋の玄米が基準値を超えた。基準値以下の玄米は出荷できる


給食に福島米を推進する中でセシウム基準値超え120ベクレル

南相馬市旧太田村産玄米の放射性セシウム濃度(2013年10月3日採取)
厚生労働省が2013年10月8日公表した食品中の放射性物質の検査結果データ45袋の玄米セシウム合計は、ほぼ60~80ベクレル/kg

2013年玄米のセシウム濃度グラフ:南相馬120?60ベクレル


国体などで福島県産米使い支援
(2013年10月3日 NHK)から抜粋

原発事故による風評被害にあっている福島県の農業を支援しようと、東京都は国民体育大会とそれに続く全国障害者スポーツ大会に参加する選手団やスタッフに配る弁当に福島産の米を使う取り組みを始めています。

国体などで福島産の米を使い支援


ユーリ・バンダジェフスキー博士(元ゴメリ医科大学学長)の警告
子どもの体重1kgあたり、セシウム137が10ベクレル(体重5kgの子どもなら50ベクレル)蓄積するだけで遺伝子に影響を与え、不整脈を引き起こす可能性がある(不整脈は、心臓病につながる)と警告していまます。
体重5kgの幼児が、セシウム137を毎日0.32ベクレル摂取し続けると体内10ベクレル/kgになります

バンダジェフスキー研究 セシウム濃度と不整脈

子どもの体重1kgあたり0~5ベクレル セシウム137が蓄積している子どもでは、80%の子どもたちは正常な心電図です(20%は正常ではない)。しかし、子どもの体重1kgあたり12~26ベクレル セシウム137が蓄積している子どもたちでは、正常な子どもは40%になります。60%の子どもたちが不整脈を引き起こしています。

国際放射線防護委員会(ICRP)は一度に1000ベクレル摂取した場合、毎日1ベクレル摂取した場合、毎日10ベクレル摂取した場合の体内セシウム137蓄積量のグラフを公表しています。(ICRP Publication 111)

毎日1ベクレル摂取で、2年後には体内蓄積200ベクレルに

毎日1ベクレル摂取しただけで、700日後(約2年後)には体内蓄積量は200ベクレル近くにもなります。毎日10ベクレル摂取していると、700日後(約2年後)には体内蓄積量は1400ベクレルを超えます。


◆チェルノブイリでも日本でも心臓病が急増
チェルノブイリ原発事故の後、放射能汚染地の住民に心臓病が急増していきました。原発事故から22年が過ぎた2008年、ベラルーシで亡くなった人の半数以上(52.7%)が心臓病でした。何故、心臓病が激増したのか―私たちは学ぶ必要があります。

2008年のベラルーシの死因 52.7%心臓病

チェルノブイリ原発事故後のベラルーシで、バンダジェフスキー博士が病気で亡くなった人を解剖して分かったことは、心臓病の多くは、放射性セシウムが心筋(心臓の壁を構成する筋肉)に蓄積して起こったということです。

日本では、心疾患死亡に関する人口統計において、福島県の心疾患死亡率が2011年度の全国一位になっています。(秋田県が公開したデータ)


◆2011年度 心疾患死亡率は、福島が全国一位
福島は、2010年度の8位から2011年度(2011年4月~2012年3月)は1位になっています。また、福島に近いほど心疾患死亡率が増加しています。

福島と周辺県の心疾患死亡率が増加

     2010年度  2011年度  増加率   
福島   197.6   226.0   14.4%  
宮城   141.3   160.0   13.2%  
茨城   150.1   165.9   10.5%  
岩手   202.6   219.3    8.2%  

全国平均 149.7  154.4    3.1%  

心疾患死亡率 2011年と2012年度の比較


体内にセシウム 心臓疾患まねく チェルノブイリ事故で警鐘
(2013年7月29日 東京新聞 朝刊)

チェルノブイリ原発事故最大の被災国ベラルーシで、死亡した人を解剖して臓器ごとの放射性セシウムを測定した医師がいる。ウクライナ在住の病理解剖学者ユーリー・バンダジェフスキー氏(56)だ。低線量内部被ばくに警鐘を鳴らす研究は当局に危険視され、投獄される憂き目も見た。来日した「不屈の学者」に聞いた。

東京新聞:体内にセシウム 心疾患招く バンダジェフスキー


福島米の安全性のアピールに貢献するのは
国体選手と障害者、地元の学童たち

(2013年10月3日 みんな楽しくHAPPYがいい)から抜粋

「自分で食べないものを」といわれて福島市のJA新ふくしま組合長、吾妻雄二(66)は考えた。自分たちが食べるしかない。とくに、学校給食に福島市産米を使うことだ。子どもたちが福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる――。

プロメテウスの罠 給食に福島米

福島 給食で地元米の使用再開
福島県内の学校給食 「県産食材」震災後も使用 
さらに新年度、県産食材使用市町村に食材購入費を補助
県は新年度、県産食材を給食に使う市町村に食材購入費を補助する。


ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』
京都大学原子炉実験所の今中哲二さんや小出裕章さんが翻訳したジョン・W・ゴフマン博士の名著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』によれば、55歳以上と子どもを比べると(同じ放射線量を浴びたときに)10歳の児童は200倍以上、0歳の乳児は300倍以上もガン死率が高くなります

ゴフマンのグラフ(520サイズ)

例えば、児童が5~10ベクレル/kg汚染された給食を食べているというのは、55歳以上の大人が、その200倍の1000~2000ベクレル以上に汚染されたものを食べていることになります。政府の内部被ばくを軽視する姿勢は、原爆被爆者の内部被ばくを認めず、被爆者を苦しめてきた時代からずっと変わっていません。


日本では、チェルノブイリの経験がまったく生かされていない
【ウクライナで5万人の子どもを診察したエフゲーニャ・ステパノワ博士】

日本人へのアドバイス 病気予防対策の一番目
放射能に汚染されていない食べ物をとること

加えて、充分なビタミンをとること。体力増進に努めること。
汚染地域を離れて保養施設などで休むこと(最低でも4週間)

 
福島県と小中学校は、まず、福島の米や野菜の給食での使用を取りやめ、ゴフマン博士やバンダジェフスキー博士の研究、ウクライナ政府報告書「チェルノブイリの被害の全貌」などを時間をかけて慎重に検討した上で、どのような食材を給食に使用するのかを決めてほしい。ただでさえ、日常的に外部被ばくを受けている子どもたちに、これ以上内部被ばくを加えるべきではない。国が定めた放射能汚染基準(100ベクレル/kg以下)で食品を流通させるのなら、汚染されたものは、まず大人が食べるべきだ。しかし、日常的に被ばくしている汚染地の方々は、これ以上被ばくしない方がいいと思う。JAと農家の方は、国策で原発を進めてきた政府と東電に損害賠償を求めてほしい。そして、その要求を皆で支持したい。

そして、未だに年間被ばく量を20ミリシーベルトから1ミリシーベルトに戻さない政府に、目先の経済より「放射能から子どもを守ることを最優先させる」ように国民運動を起こしたい。

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