フランス:原子力関連施設で爆発 5人死傷

「低レベル核廃棄物処理施設」でも大きな爆発が起きることに驚き

爆発は、核廃棄物を熱で溶かす溶融炉内で起きた。遺体は完全に炭化しているといい、爆発のすさまじさを物語っている。
仏原子力庁は「当面は放射性物質の外部への漏出はない」という。
「ただちに健康に影響はありません」に似た響き

情報が錯綜している。フランス原子力庁によると、低レベルまたは非常に低レベルの放射性廃棄物を処理する溶融炉という。毎日新聞は、それを受けて、「低レベル核廃棄物処理施設」と伝えているが、ロイター通信によると、「溶融炉は、低レベルから高レベルの放射性廃棄物を溶融するために使われていた。高レベルは含まれていないとの報道もある」 

そして、英BBC放送は、「施設内では使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再利用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料も製造している」と伝えている。

このように情報が錯綜する背景には、世界一の原発推進国フランスに、日本と同じような情報を隠蔽する体質がある。フランス国民も知らされていなかった事実が判明するかもしれない。


フランス:原子力関連施設で爆発「放射性物質の漏出ない」
(毎日新聞 2011年9月12日 21時23分)

 【パリ支局】フランス南部のガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラコ」で12日正午前(日本時間12日午後7時前)ごろ、大きな爆発があった。少なくとも施設職員1人が大やけどを負って死亡、4人が重軽傷を負った。マルクール消防は「放射能漏れの危険性」を指摘したが、仏原子力庁は「当面は放射性物質の外部への漏出はない」(報道官)とし、原子力事故としてではなく、通常の産業事故として対応に当たっている。

 現場は日本人観光客も多い観光地アビニョンから北約20キロ。発生から2時間半が過ぎた時点で、非常事態宣言や周辺住民らへの避難指示はない。爆発で火災も起きたが、事故発生から約1時間後に鎮圧された。

 現地からの報道によると、爆発は12日正午前に発生。核廃棄物を熱で溶かす溶融炉内で起きた。遺体は完全に炭化しているといい、爆発のすさまじさを物語っている

 この施設は、原子力庁の研究センターや仏電力公社の子会社の核廃棄物処理会社などが運営し、原子力発電所の使用済み核燃料からMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を抽出する再処理関連施設。仏原子力関連企業大手のアレバ社などもこの施設を利用しているという。

 現場は、複数の原子力施設が混在する核複合施設。東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故以来、初めての原子力関連施設事故。

 12日はウィーンで国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が開会。IAEAは事故を受け、情報収集に乗り出した。

毎日新聞 2011年9月12日 21時23分(最終更新 9月12日 23時09分)


溶融炉が爆発 仏南部の核施設、5人死傷、放射能漏れなし 電力大手が所有
(2011.9.12 22:57 産経ニュース)

 フランス南部ガール県マルクール周辺の核施設の溶融炉で12日午前11時45分(日本時間同午後6時45分)ごろ、爆発があり、1人が死亡した。4人が負傷し、うち1人が重傷。放射性物質の外部への流出はないという。フランス原子力安全局(ASN)が明らかにした。

 AP通信によると、周辺住民らに対する避難命令などは出ていない。

 ロイター通信によると、爆発の原因は不明。溶融炉は、低レベルから高レベルの放射性廃棄物を溶融するために使われていた。高レベルは含まれていないとの報道もある

 同施設は、電力大手フランス電力(EDF)が所有する核廃棄物処理関連施設で原子炉はない。地元警察も放射性物質の汚染の心配はないと述べた。

 フランスは全発電量の74%を原発で賄う原発大国。(共同)


核関連施設で爆発、死傷者も=「放射能漏れなし」?仏南部
(2011/09/12-22:16 時事通信)

 【パリ時事】フランス南部ガール県マルクールの原子力関連施設で12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発事故が起きた。仏テレビによれば1人が死亡、4人が負傷した。うち1人は重傷という。AFP通信によると、仏原子力庁(CEA)報道官は「現時点で外部への放射能漏れはない」と語った。
 爆発があったのは仏電力公社(EDF)の子会社「ソコデイ」の核廃棄物処理工場。爆発の原因など詳しいことは分かっていない。
 英BBC放送によると、施設内では使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再利用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料も製造している。
 福島第1原発の事故を受け、世界的に原子力に対する不信感が高まる中、原子力先進国を自他共に任じているフランスで事故が起きたことは、原子力をめぐる世界の潮流に大きな影響を与えそうだ


フランス南部の核関連施設で爆発 1人死亡、4人負傷
(2011年9月13日0時58分 朝日新聞)

 フランス南部のマルクール原子力施設にある低レベル放射性廃棄物処理・調整センターで12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。仏原子力安全機関(ASN)は原因を調べる一方で、放射能漏れはないとして同日午後に終息を宣言した。

 マルクールは南部の都市アビニョンから30キロ離れたガール県にあり、多くの原子力関連施設が集まっている区域。爆発があったセンターはこの中にある仏電力公社の子会社が運営する施設。フランス原子力庁によると、低レベルまたは非常に低レベルの放射性廃棄物を処理する溶融炉という。直後に火事が起きたが、すぐに鎮火したという。

 ASNは朝日新聞の電話取材に「事故で負傷した4人は被曝(ひばく)していない。施設の内部と外部に放射性物質による汚染はない」と説明し、13日にも調査を担当する査察官を現地に派遣する考えを明らかにした。仏政府は、政権ナンバー4で原発問題に詳しいコシウスコモリゼ・エコロジー担当相を現地に派遣した。

 AFP通信によると、この施設の近くでは、仏原子力大手アレバが核兵器から抽出したプルトニウムを使い、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を製造している。一帯に稼働中の原発はない。

 仏内務省によると、事故時に施設にいた従業員に対し、待機や避難の命令は出していないとしている。ただ、地元紙(電子版)によると、警察は施設の一帯の立ち入りを一時禁止した。


仏の核施設で爆発、1人死亡4人負傷 「放射能漏れなし」
当局は収束宣言

(2011/9/13 0:08 日本経済新聞)

 【ロンドン=松崎雄典】フランス南部マルクールの核廃棄物処理工場で12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発が発生した。AFP通信などによると、1人が死亡、4人が負傷したもよう。仏原子力安全局(ASN)は「事故は収束した」との声明を発表した。仏原子力庁(CEA)報道官は「現時点で放射能漏れはない」としており、周辺住民の避難などには至っていない。

 現地報道によると、爆発したのは仏電力公社(EDF)の子会社「ソコディ」の溶融炉。放射線に汚染した金属製のポンプや金属工具を溶かしている。

 ASNは緊急対策本部を設置し、原因などの調査に着手。「爆発が起きたのは金属でできた低レベルまたは極低レベルの金属放射性廃棄物を溶かす炉」だとしている。EDFは「爆発は産業事故で、原子力事故ではない」と説明しているが、仏紙ルモンドは「人的なミスがあったと思われる」という政府当局者の話を伝えた。

 マルクールは原子力関連施設が多い地域。フランスは福島第1原子力発電所の事故を受けて安全性を点検するストレステストを実施している最中だった


仏核関連施設で爆発、5人死傷…放射能漏れなし

 【パリ=三井美奈】仏南部ガール県マルクール地区の原子力施設で12日昼(日本時間同日夜)、爆発事故があり、1人が死亡、4人が負傷した。仏当局が爆発の原因を調べている。

 仏原子力安全局(ASN)によると、爆発、炎上したのは「非常に低レベルの放射性廃棄物の金属」を処理する溶融炉で、外部への放射能漏れはないとしている。「金属」は、原子力施設で使われたバルブやポンプなどとみられる。周辺住民への避難命令や外出規制は出されていない。

 仏電力公社は「核関連の事故ではなく、産業事故」との認識を示した。

 一方、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は12日の記者会見で、IAEA内に緊急事態対応センター(IEC)を設置し、情報収集を始めたことを明らかにした。
(2011年9月12日22時58分 読売新聞)


フランス核施設で爆発、5人死傷
(TBSニュースI)

 フランス南部にあるマルクール原子力施設で12日、爆発があり、1人が死亡、4人がけが、うち1人が重体となっています。

 爆発が起きたのはフランス電力公社の子会社が運営する核廃棄物処理プラントで、廃棄物を溶解させる炉の火災によって引き起こされたということです。フランスの原子力当局は、「直ちに放射能漏れが起きる危険はない」としていて、施設の職員にも退避命令などは出ていないということです。

 「事故直後からこの事故について情報収集にあたっている。まだ初期の段階ですから」(IAEA 天野之弥 事務局長)
 IAEAの天野事務局長はこのように述べて、フランス当局から情報の収集にあたっていることを明らかにしました。(12日23:33)


仏核施設で爆発、5人死傷も放射性物質漏れなし
(2011年9月13日 00:59 スポニチ)

 フランス南部ガール県マルクール地区の低レベル核廃棄物処理センター(CENTRACO)の溶融炉で12日午前11時45分(日本時間同午後6時45分)ごろ、爆発があり、1人が死亡した。4人が負傷し、うち1人が重傷。放射性物質の外部への漏出はないという。フランス原子力安全局(ASN)などが明らかにした。

 原発大国フランスは福島第1原発事故後も原発推進を貫いているが、死者を出す重大事故を受け、環境保護団体などが政策転換を求める声を強めそうだ

 原因は不明。爆発があった溶融炉は、施設作業員の手袋や防護服、金属製ポンプなど低レベルまたは極めて低レベルの核廃棄物を処理するために使用。爆発直後に火災も発生したが、間もなく鎮火した。ASNは12日午後、負傷した4人は被ばくしておらず、施設周辺の放射性物質による汚染もないとして「事故は終結した」と発表した。

 同施設は、電力大手フランス電力(EDF)の子会社「ソコデイ」が運営し、原子炉はない。フランス・メディアによるとEDFの広報担当者は「核事故でなく産業事故」と述べた。地元警察は放射性物質による汚染の心配はないとしている。内務省によると、施設職員らへの退避命令なども出されていない。

 ASNは緊急対策本部を設置。コシウスコモリゼ・エコロジー相は12日、事故の詳細を把握するため現地へ向かった。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は同日、爆発について情報を収集中だと述べた。枝野幸男経済産業相も就任記者会見で「情報収集に努めたい」とした。

 日本の専門家によると、マルクール地区の核施設は日本の茨城県東海村に相当し、多数の核関連施設が集中。中心事業は使用済み核燃料の処理で、プルトニウムの生産や混合酸化物(MOX)燃料の製造も行っている。

 フランスは全発電量の74%を原発で賄う。世界原子力協会(WNA)によると9月1日時点の同国の運転可能な原子炉は58基。(共同)

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