「不検出」だった福島沖で汚染268倍 「高感度分析」

セシウム137の濃度が原発の事故前の268倍でも「不検出」だった前の調査のような「低感度」調査がこれまでにも多数あったのではないか。外国からのアドバイスに「東電や政府系ではない独立した調査」が必要という意味がよくわかる出来事。特に、子どもたちに影響が大きい飲食物の汚染調査などは、検出下限値の確認が必要


「不検出」だった福島沖で汚染268倍 高感度分析
(2011年9月12日20時40分 朝日新聞)

 文部科学省は12日、宮城、福島、茨城県沖での放射能汚染の海水調査について、「不検出」とされた地点を高感度分析で再調査したところ、セシウム137の濃度が東京電力福島第一原発の事故前と比べて最大268倍だったと発表した。

 文科省はこれまでの海水調査で、セシウム137は1リットルあたり9ベクレルを検出下限値としており、それ以下は「不検出」と発表していた。結果を早く出すことを優先した簡易調査のためというが、海洋汚染の拡散の実態を明確にするため、原子力安全委員会などが高感度分析を求めていた。

 7月下旬に第一原発の沖合約30~60キロで「不検出」とされた3地点を抽出し、精度を高めて再分析したところ、セシウム137は1リットルあたり0.51~0.049ベクレルだった。文科省が毎年行っている第一原発から約25キロ地点の2009年の調査結果の最大値(1リットルあたり0.0019ベクレル)と比べると、268~26倍だった。基準値(1リットルあたり90ベクレル)比では、1%以下で大幅に下回った。

 文科省は今後、第一原発からの距離で精度を区分し、沖合30キロ以上の地点は精度を9千倍高めて1リットルあたり0.001ベクレルを下限値として分析していくという。(石塚広志)

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