原発と国家 第4部 「電力」の覇権  メディア対策に腐心

西日本新聞 9月1日朝刊(P25)
原発と国家 第4部 「電力」の覇権<3>から抜粋

メディア対策に腐心

元広島テレビ放送報道制作局長の吉村淳(72)は、広島市の本社に中国電力の数人の幹部が訪れた1993年の夏を今でも覚えている。「内容が一方的じゃないですか。どうしてこんな番組を放送したのか」。詰め寄られて切り返した。「どこが問題ですか」

抗議を受けたのは92~93年に全国放送したドキュメンタリー3部作「プルトニウム元年」。
プルトニウムは核兵器の原料にもなり、保有が国際的な監視下にある核物質。番組は、日本の原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出す英仏の工場や周辺住民を被爆地の視点で取り上げた。

建設を控えた青森県六ヶ所村の初の再処理施設の是非も問い、反響は大きかった。93年に「『地方の時代』映像祭グランプリ」を受賞した。

吉村によると、中国電は放送後に「電気料金値上げに伴う広告予算カット」によりスポーツ番組のスポンサーを降りた。95年春には吉村以下、制作の中心だった局次長、プロデューサー、ディレクターの4人が営業局へ異動した。

(中略)

86年に発生した旧ソ連のチェルノブイリ事故は食品汚染への不安から主婦や若者を原発反対に向かわせ、推進側のメディア対策も呼応するように練り上げられていく。

「製作現場の人間とのロビーづくりを考える。特定のテレビ局をシンパにするだけでも大きい意味がある」「逆境の時こそマスコミにアプローチするチャンス」。科学技術庁(当時)の委託で財団が91年にまとめた報告書「原子力PA方策の考え方」は赤裸々につづる。

電力10社の有価証券報告書によると、マスコミ広報費のほか原発のPR施設の運営費などの経費も加えた「普及開発関係費」は、昨年だけで計約866億円にのぼる。(後略)

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原発とテレビの危険な関係を直視しなければならない

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