2015/01/10

原発事故による健康被害の現状と 「9歳の小学生の願い」

東京電力福島第一原発事故から3年10カ月、福島県では様々な病気が増えてきていますが、マスコミが報道しているのはその一部だけです。

甲状腺検査 112人(今回4人含む)がんやがんの疑い 対象38万人中30万人受診 

通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人、未成年の甲状腺がん年間発生率も100万人に2~3人と言われていました。2006年の統計では、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は、【全国で46人】でした。これは【未成年2250万人に46人】であり 【100万人に2.0人】です。
しかし、2014年に福島県では【38万人に58人】も甲状腺がんと診断されています。

福島 子どもの甲状腺がん

日本の全人口の約1.5%の福島県で、通常の全国の発生数より多い58人が甲状腺がんという異常事態です。原発事故当時 0歳から18歳までの子どもたちは、この3年間で84人が甲状腺がんとなり、「がんの疑い」28人を加えると112人になっています。

3年間の子どもの甲状腺検査結果を見て心配なのは、福島原発事故の後、甲状腺がんが増えただけでなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増していることです

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節がある人が、0.5% → 0.7% → 0.9% と、この2年で1.8倍に急増し、のう胞がある人も、36.2% → 44.7% → 55.9%に増加。精密検査が必要な子どもは1.8倍になっています。

子どもの甲状腺がんで特に心配なことは、転移が早いことです。
がんを手術した54人のうち8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人は肺に転移しています。
チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシの国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。

ベラルーシの統計 甲状腺がんの転移 リンパ節67.5% 肺16.5%

チェルノブイリ原発事故の健康影響調査に関わった山下俊一氏も福島原発事故が起きる前は、「大人と異なり、小児甲状腺がんの約4割は、この小さい段階(1センチ以下、数ミリの結節)でみつけてもすでに局所のリンパ節に転移があります」と話しています。

1990年代に医療支援のために度々チェルノブイリ原発事故の汚染地を訪問していた私は、ベラルーシに福祉作業所(工房)をつくったナターシャさんという女性に出会いました。彼女は2人の子どもをガンで亡くしていますが、息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなっています娘さんも胃ガンが全身に転移して亡くなっています

このような状況で、「未成年の甲状腺検査は2年に1回」というのは、少な過ぎます。チェルノブイリのように毎年行い、津田敏秀教授が「市民科学者国際会議」で提言されたように原発事故当時19歳以上の人たちと福島県外の汚染地での健診も早急に開始する必要があります。

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません
福島県立医大で治療数が増えている病気」を見るとチェルノブイリでも増えた病気が増えています。

*膀胱腫瘍が2倍(66 → 79 → 138)
福島県立医大で治療数が増えている病気

『チェルノブイリ膀胱炎』 尿から内部被ばく
(2011年9月14日 東京新聞)
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「福島県立医大で治療数が増えている病気」
*心臓弁膜症が3倍(35 → 54 → 103)
福島県立医大:弁膜症の増加

体内にセシウム 心臓疾患まねく ゴメリ医科大・元学長
ユーリー・バンダジェフスキー博士の研究データから セシウムが甲状腺や心筋(心臓を構成する筋肉)に多量に蓄積している
心筋や甲状腺にセシウムが蓄積する

「福島県立医大で治療数が増えている病気」
*「胆のう、肝外胆管の悪性腫瘍」が3.5倍(32 → 94 → 115)
福島県立医大:胆のう、肝外胆管の悪性腫瘍の増加

一つの病院のデータだけでは、福島県で実際に病気が増えているのか判断できないので、他の都道府県と比較してみました。2013年の人口動態統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍) 特に、急性心筋梗塞、結腸がん、腎臓病、消化器系の疾患などが原発事故の後に急増しています

2012年福島県の死因ワーストランキング
   (表は宝島から拝借 クリックで拡大できます)

チェルノブイリと同様に最も急増しているのが、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気で、急性心筋梗塞の死亡率が全国平均の2.40倍慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍で、どちらも全国1位になっています。

福島県の急性心筋梗塞死亡率 2009~2014.3
*2010年以前から全国1位。原発事故が起こった2011年から急増 2014年1~3月 福島の477人は、3か月間に急性心筋梗塞で亡くなった人の実数。全国の実数は、12,436人。福島県の人口は、全国の1.53%なので、12436×0.0153=190人 全国平均なら福島は190人ですが、その2.51倍の477人が亡くなっています。

原発事故以前から全国1位という数字を見て思い出すのは、原発周辺では事故を起こさなくても白血病やがんが多いというドイツ政府やフランスでの発表福島には原発が10基もあったこと、そして、2011年の原発事故前から「小さな事故」が多発していたこと、さらに事故の隠ぺいが日常化し、29年間も臨界事故が隠されていたほどですから、どれだけの放射性物質が放出されてきたか分かりません。

同じ心臓病の「慢性リウマチ性心疾患」は、急性心筋梗塞より1年遅れの2012年から死亡率が急増しています。

福島県の「慢性リウマチ性心疾患」 死亡率

グラフにするとその急激な増加がよくわかります。
赤色が全国平均、紺色が福島県です。

慢性リウマチ性心疾患のグラフ

こうした状況にありながら日本政府は、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアが制定している被ばく線量を減らすための法律(「チェルノブイリ法」)をつくろうとしません。年間1ミリシーベルト以上は、「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱としている「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償なども行われています。

*衆議院チェルノブイリ原発事故等調査議員団報告書

チェルノブイリ法の基準

日本にもできるだけ早く「チェルノブイリ法」をつくる必要があります。ところが、原発の輸出や再稼働に熱心な安倍首相は、健康影響を無視するだけでなく、東京五輪招致に当たり、福島原発事故による健康への影響について「今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と、信じられない発言をしました。

安倍首相「健康問題については、今までも現在も将来も問題ないと約束する」

安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻そうとしています

日本赤十字社は、原子力災害時の医療救護の活動指針として、累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば退避するとしています。

ロシア科学アカデミー会員で、報告書『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(日本語訳書『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年発行)をまとめたアレクセイ・ヤブロコフ博士はこう言っています。
偽りのないデータというのは、1キュリー/平方km(年約1ミリシーベルト)以上に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。5キュリー(5ミリシーベルト)に住む人はさらに被害が増大します。健康被害は汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します

ヤブロコフ博士「自然放射線も含めて年約1ミリシーベルトに住む全ての人に健康被害が出ている」

また、1985年にノーベル平和賞を受賞した米国の「社会的責任のための医師団(Physicians for Social Responsibility)」も次のように警告しています。

PSR ノーベル賞受賞 医師団

「日本で危機が続く中、人に発がんの危険が生じるのは最低100ミリシーベルト(mSv)被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100 mSv の線量を受けたときの発がんリスクは100人に1人、10 mSv では1000人に1人、そして1 mSV でも1万人に1人である」

そして、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東京大学教授(放射線安全学)は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と発言しています。

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

そして、「20ミリシーベルト以下は健康影響なし」とした原子力規制委員会が川内原発1、2号機を審査し、「新規制基準に適合している」と判定。国民の同意がないままに「原発の再稼働」が決定されようとしています。

私たちは、ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉に謙虚に耳を傾ける必要があると思います。
チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも早急な防護基準の見直しが必要です

※ウクライナでは、年間被ばく線量が5ミリシーベルト以下の汚染地帯に事故以来25年以上、約500万人が住み続けていますが、「Safety for the future 未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書によれば、そうした汚染地帯で心臓疾患や膠原病(リウマチその他)など、さまざまな病気が多発し、特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加しています。福島県の病気のデータは、ウクライナに似てきています。

ウクライナ政府報告書 未来のための安全

子どもの健康悪化も深刻で、2008年のデータでは、チェルノブイリ原発事故後に生まれた子どもたちの78%が慢性疾患を持っていました。「子どもや妊婦さんまで含めて、年間20ミリシーベルトまで安全」としている日本の汚染地に住む人々は、どうなるのでしょうか・・・こんな人体実験は、決してやらせてはならないと思います。

「年20ミリシーベルトを超えない」として南相馬の避難勧奨を解除 住民反発

◆避難勧奨、最後の解除・南相馬
(2014年12月29日 河北新報)から抜粋

 南相馬市内の152世帯が指定された東京電力福島第1原発事故に伴う国の特定避難勧奨地点が28日午前0時、解除された。福島県内の勧奨地点は全てなくなった。市によると、指定世帯の約7割が現在も避難を続けている。国の決定を「一方的だ」と非難する声も強く、地元ではさらなる環境改善を訴えている。

 国は全世帯が指定基準の年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト相当)を下回り、「健康に影響ないレベルになった」(高木陽介経済産業副大臣)として解除に踏み切った。指定時に平均毎時2.4マイクロシーベルトだった線量は、除染で同0.4マイクロシーベルトに下がった。しかし、同1マイクロシーベルトを超える世帯もあり、地域には原発20キロ圏内より線量が高い場所が散見される。

 勧奨地点があった行政区長は、再除染と住民の被ばくを管理する健康手帳の発行などを国に求めてきたが、実現しないまま解除を迎えた。解除に伴い、慰謝料は来年3月で打ち切られる。避難の継続は家計の負担増にもつながる。

 地区30世帯の半数を超える17世帯が指定されていた同市原町区の大谷行政区の場合、指定世帯だけでなく、非指定世帯の避難者もいる。藤原保正区長(66)は「まだ空間線量が高く、特に若い住民の不安が消えない。解除は納得できない」と憤る。

 藤原区長は、国の対応次第では法廷闘争も辞さない構え。住民らと解除差し止めの訴訟についても検討しているという。

 原町区の自宅が勧奨地点になり、子ども3人と新潟市に避難する杉由美子さん(45)は「子どもに不必要な被ばくはさせられないので、慰謝料がなくなっても戻れない。解除で周囲に『戻れるんでしょ』と思われるのがつらい」と話した。

原発は事故を起こさなくても周辺住民の病気を増やしている
(2014/11/13 風の便り)から抜粋

「原発は事故を起こさなくても(日常的な放射性物質の放出によって)周辺住民の病気を増やしている」ということが、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、韓国などでの調査でわかっています。

ドイツ政府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、小児白血病は2.19倍となっており、フランス国立保健医学研究所の発表では、15歳以下の子どもは白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高くなっています。

韓国の調査では、原発から5キロ以内に住む女性の甲状腺がんの発生率は、全国平均の2.5倍になっています。

こうした「原発の日常的な放射性物質の放出」によって周辺住民に病気が増えている中、福島では原発事故が収束していない(通常の運転中より多量の放射性物質を放出している)状況で、危険な地域に住民を戻しています。

加えて原発は、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、鉱山作業員と住民に被曝させ原発で働く人たちの被曝労働や海の生態系を破壊する温排水吸水の問題核燃料再処理工場からの膨大な放射能の排出問題。さらに、100万年後まで毒性が消えない「放射性廃棄物」の問題を原発は生み出しています。

原発問題 神様知恵をください 小学生9歳

原発問題 神様知恵をください
小学生 藤澤 凛々子 (東京都武蔵村山市 9 )
(2012年7月14日 朝日新聞 投稿欄)

この前、ギリシャ神話を読みました。
人間に火を与えた神プロメテウスに、全能の神ゼウスは言いました。
「人間は無知で、何が幸せで何が不幸かわからないからだめだ」

私はずっと人間は他の動物よりかしこいと思っていました。
火を使い、便利で幸せな生活を送っているのは人間だけだからです。

でも、大い原発が再稼働したというニュースに、
ゼウスの言う通り人間は無知なのかもと思いました。
福島第一原発事こは、まだ終わっていません。
放しゃ能で大変な事になってしまうのに、
この夏の電力や快てきな生活を優先したのです。
大い原発は幸せな未来につながるのでしょうか。
私が大人になるまでに日本も地球もだめになってしまうのではないかと心配です。

神様、どうか私に目先の事だけでなく未来のことまで考えて
何が幸せで何が不幸かわかる知恵をください。
その知恵で人も他の動物も幸せにくらせるようにしたいです。

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