原発は事故を起こさなくても周辺住民の病気を増やしている

「原発は事故を起こさなくても(日常的な放射性物質の放出によって)周辺住民の病気を増やしている」ということが、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなどでの調査でわかっていましたが、韓国での調査でも「原発から5キロ以内に住む女性の甲状腺がんの発生率は、30キロ以上離れた女性の2.5倍にのぼる」ことが判明しました。

韓国で 原発周辺住民が甲状腺がん発症、原発側に賠償命令
(2014年11月4日 風の便り)から抜粋

韓国の裁判で10月17日、コリ原発から10キロ内に20年間住んでいた住民の甲状腺がん発症に対する責任がコリ原発にあるという判決が下されました。「原発は事故が起きなくても、日常的に放射性物質を放出して健康に危害を与える施設である」という事実を法的に認めた重要な判決です。

原発周辺住民が甲状腺がん発症、原発側に賠償命令
 (2014年10月18日 朝鮮日報日本語版)

原子力発電所の近くに住んでいて甲状腺がんを発症した住民に対し、原発側が賠償する責任があるという判決が下った。釜山東部地裁民事2部(チェ・ホシク裁判長)は、釜山市機張郡に住む女性(48)が甲状腺がんを発症したことについて、原発の責任が一部認められるとし、原発を運営する韓国水力原子力(韓水原)=韓国電力公社の子会社=が女性に慰謝料1500万ウォン(約151万円)を支払うよう命じる判決を下した。

地裁は判決理由について「原発から5キロ以内に住む女性の甲状腺がん発症率が、30キロ以上離れた地域に比べ2.5倍に達するなど、甲状腺がんの発症は放射線にさらされていることが決定的な要因となっていることが知られている。

原告は原発の近くに住んでいて、原発から発生する放射線に長期間さらされたことにより、甲状腺がんを発症したものと考えられる」と述べた。

機張郡にある古里原発から7.6キロほど離れた所で20年近く暮らしてきた原告の女性は、2012年2月に甲状腺がんの診断を受け、韓水原を相手取り2億ウォン(約2000万円)の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。

関連情報1)(関連情報2

原発は、事故を起こさなくても世界中で病気を増やしています。

ドイツ政府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、 小児白血病は2.19倍となっています。

「原発周辺で小児白血病が倍増」
フランス国立保健医学研究所が発表

フランスで、原発から5キロ圏内の子どもと一般の子どもの白血病発生率の比較を行った。15歳以下の子どもは、他地域の子どもに比べて白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い

「原子炉閉鎖で乳児死亡率激減」 最大で54%マイナス 米研究機関
調査は免疫学や環境問題などを専門とする医師、大学教授などで組織する「レイディエイション・パブリック・ヘルス・プロジェクト」(RPHP)が、原子炉を閉鎖した全米7ヶ所の原発を対象に、半径80キロ以内の居住の生後1歳までの乳児死亡率を調べた。原発が稼動中は乳児死亡率が高い。

被ばくに伴うガンのリスク 核施設とその周辺
ヨーロッパの原発や核燃料再処理工場などの核施設周辺に居住する子どもたちの過剰な白血病とガンのリスクを立証している研究が紹介されています。

イギリス再処理工場周辺 小児がん発生率 一般の2〜15倍 
2002年、国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べて、白血病、リンパ腫など血液のガンの発生率が2倍近く高く、再処理工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあった。

アリス・スチュワート博士の研究
(戦後、英国の子どものガンや白血病が急増した原因の研究

アーネスト・スターングラス博士の講演から

「(スチュワート博士は)ガンや白血病になった子のお母さんのグループと健康なこどものお母さんのグループに100の質問アンケートを送りました。アンケートを回収すると驚いたことに、10歳未満のガンや白血病の子どものお母さんたちが妊娠中にエックス線を浴びていたことがわかりました。それが、わずかな放射線でも人体には影響を与えることの初めてヒントになりました。つぎのグラフがその研究結果です。

アリス・スチュワート博士 X線照射グラフ

 スチュワート博士が発見したのは、数回のエックス線照射でガン発生率が倍増することです。この際、1回のエックス線の放射線量とは、自然界の環境放射線の約2年分に相当します。この放射線量というのは、大人にガンを発生させる量に比べるとその10分の1から100分の1に相当します。赤ちゃんや胎児は100倍も影響を受けるのです。また妊娠3ヶ月未満にエックス線を浴びたお母さんの子どもは、ほかのお母さんのこどもより10〜15倍ガンの発生率が高かったのです。」

病気が増えているのは、原発や核燃料再処理工場の周辺だけでなく、原料のウランを掘るウラン鉱山の周辺の人々にも病気が増えています。また、人間だけでなく、生態系全体に影響を与えています。

事故を起こさなくても原発をやめなければならない6つの理由
まず、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、鉱山作業員と住民に被曝させている。原発の運転が始まると原発周辺にガンや白血病を多発させている。そして、原発で働く人たちの被曝労働や海の環境を破壊する温排水吸水の問題核燃料再処理工場からの膨大な放射能の排出問題。さらに、100万年後まで毒性が消えない「放射性廃棄物」の問題などがある。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次