2014/07/22

チョムスキー「無防備な子どもたちが、放射線の危険にさらされている」

福島の子どもの甲状腺ガンが80人を超え、リンパ節転移が多発している今、チョムスキーの言葉に耳を傾けたい

無防備な子どもたちが、放射線の危険にさらされている。恐ろしいことだ

チョムスキーは、福島の子どもたちの「集団疎開裁判」を支援してきた。
最も弱い立場の子どもがどう扱われるかで社会の健全さが測られる

日本は広島、長崎の原爆を経験し、放射線の怖さを知っているはず。それなのに、政府が被災者の不安に寄り添わないとは。言葉にならない

今後のアドバイスとして、「政府に対する外圧を上手に使うことだ」 「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)などの権威のある国際的な団体と健康被害の調査について連携し放射線の被害を広く訴えることもできる。日本政府に被害を隠すことは恥ずかしいと思い知らせられればよい

また、集団的自衛権に関しても言及。「日本の超国家主義者は平和憲法を無くそうとしている。安倍首相らが靖国神社に参拝し、従軍慰安婦を否定しようとするのは、日本を帝国の時代に戻そうという狙いがあるのではないか。ヒトラーが権力を掌握していく過程を思い起こさせる


チョムスキー氏 福島の親子らに語る 被災者になぜ寄り添わぬ
(2014年3月8日 東京新聞)から抜粋

チョムスキー「被災者になぜ寄り添わぬ」

東京電力福島第一原発事故から3年がたとうとしている。来日した米国人の言語学者ノーム・チョムスキー氏(85)が、自主避難を余儀なくされた福島の親子らの訴えに耳を傾けた。いまだに不安や恐怖にさらされている被災者たち。「世界最高の論客」と評されるチョムスキー氏の目に、この状況は、どう映るのか。

【ノーム・チョムスキー】
言語学者、哲学者。1928年、米国フィラデルフィア生まれ。ペンシルベニア大を卒業し、61年からマサチューセッツ工科大(MIT)教授。50年代に、言語学における革命的な理論を発表し、「現代言語学の父」と呼ばれる。

一方で、ベトナム反戦運動に携わり、人権や平和に関して積極的に発言。今年1月には、米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設について、「沖縄の軍事植民地状態を深化、拡大させる」と反対する声明をほかの有識者とともに発表している。 著書に「統辞構造論」 「メディアとプロパガンダ」 「秘密と嘘と民主主義」などがある。

政府は常にウソで言い含める

無防備な子どもたちが、放射線の危険にさらされている。恐ろしいことだ」。4日に東京都内のホテルで福島の親子らと面会したチョムスキー氏は嘆いた。

チョムスキー氏と会ったのは、福島市に住む武藤恵さん(40)と小学3年生の長女玲未(りみ)ちゃん(9つ)の母子、福島県郡山市から静岡県富士宮市に自主避難した長谷川克己さん(47)の3人。長谷川さんは妻、小学2年生の長男(8つ)、長女(2つ)の4人暮らしだ。

恵さんの自宅は福島第一原発から約60キロ。「政府は換気扇を閉めて、外出する時はマスクを着けるように、ということしか教えてくれなかった」と、当時の混乱を振り返った。

山形県に週末だけ自主避難していた時期もあったが、経済的な問題もあり、やめた。「事故後、子どもの体調が良くない」という。国は緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射能汚染の情報を隠していた。それなのに「『安全宣言』をした。周りは事故前と変わらない日常に戻ってたように見えるが、そうではない」と、放射能の恐怖にさらされている現実を訴えた。

長谷川さんは、郡山市内で介護事業を営んでいたが、事故の5カ月後に自主避難した。「将来、健康被害が出たら、お金で償われても元には戻れない。子どもを守ろうという思いだけだった」。避難先の静岡での生活については「日雇いの工事現場の作業員をして食いつないだこともある。経済的に安定せず、心もとないです」と切々と語った。

自主避難者は十分な補償が受けられない。東電からの補償金も避難区域内に住んでいた避難者に比べて乏しく、経済的な負担が重くのしかかる
(中村補足:福島県いわき市から避難している11歳児童の訴え

チョムスキー氏は、両手をテーブルの上で組んだり、沈思するように右手をあごに当てたりしながら、静かに親子らの会話に耳を傾けた。話の合間に「ほかの親はどんな対応をしているのでしょうか」 「放射線の被害に理解のある医師からケアを受ける機会はあるのでしょうか」と問い掛けた。

子どもらがどんなに不安でも、政府というのは心配するなとウソで言い含めようとするものなのです

最も弱い子どもらがどう扱われるかで 社会の健全さ問われる

最も弱い子どもらがどう扱われるかで社会の健全さ問われる

チョムスキー氏は、ベトナム反戦運動に関わって以来、外交や大企業優遇の政策で米政府がろうするウソや秘密のやり口を徹底的に批判してきた。

米中枢同時テロの後、米国のアフガニスタン侵攻やイラク戦争について強い反対意見を表明。最近では、米国内の貧困問題でも積極的に発言している。

福島第一原発事故の後、2011年9月に東京都内で開かれた脱原発集会の際、支持を表明する連帯メッセージを寄せた。福島の親子らと面会したのは、福島の子どもたちの「集団疎開裁判」を支援してきた縁からだ。12年1月、「最も弱い立場の子どもらがどう扱われるかで社会の健全さが測られる。私たち世界の人々にとって裁判は失敗が許されない試練だ」と集団疎開裁判を支持するメッセージを寄せている。上智大での講演を機に来日したチョムスキー氏が、「ぜひ、親子と会いたい」と会談を要望し、実現した。

集団疎開裁判では、郡山市に住む児童と生徒14人が、空間線量が年間1ミリシーベルト未満の地域に疎開して教育を受ける措置を市に求め、仮処分を申し立てた。

司法の判断はつれなかった。福島地裁郡山支部は11年12月、申し立てを却下。仙台高裁は13年4月「福島原発周辺の児童・生徒の健康に由々しい事態の進行が懸念される」としながらも抗告を却下した

福島の親子らは4月にも、約10人の子どもを原告として、地元の自治体を相手に集団疎開を求める行政訴訟を起こす予定だ。

チョムスキー氏は、親子らに「政府に対する外圧を上手に使うことだ」とアドバイスした。「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)などの権威のある国際的な団体と健康被害の調査について連携し放射線の被害を広く訴えることもできる。日本政府に被害を隠すことは恥ずかしいと思い知らせられればよい

日本は広島、長崎の原爆を経験し、放射線の怖さを知っているはず。それなのに、政府が被災者の不安に寄り添わないとは。言葉にならない」と日本政府の対応を厳しく批判した。

チョムスキー氏は、「こちら特報部」のインタビューに、安倍政権についての懸念も表明した。「日本の超国家主義者は平和憲法を無くそうとしている。安倍晋三首相らが靖国神社に参拝し、従軍慰安婦を否定しようとするのは、日本を帝国の時代に戻そうという狙いがあるのではないか。ヒトラーが権力を掌握していく過程を思い起こさせる

集団的自衛権の行使容認についても「集団的自衛権と言えば聞こえは良いが、実態は侵略戦争だ。米政府も戦争を国防と言い換えるが、それに似ている。だまされてはならない」と指摘。自民党の石破茂幹事長が特定秘密保護法の抗議活動に対し、「テロ行為と本質は変わらない」と言い放ったことに触れ、「政府は市民の反発を恐れている。テロリストというのは、権力側が反対する市民にレッテルを貼っているだけだ。強制や弾圧を正当化する言い訳にすぎない」と話した。

政府の過ちをただせるのは市民だけだ。困難だろうが、福島や日本全体で、政府が無視できない運動をつくり出してほしい。地域の市民のつながりを強化してほしい。それこそが状況を改善していく道だ


低線量被ばく 危険性認める 福島の「集団疎開」裁判
(2013年5月3日 中日新聞 東京新聞)から抜粋

東京新聞:福島の集団疎開裁判 「低線量被ばくの危険性を認める」

訴えは却下でも、画期的な決定内容−。福島県郡山市の小中学生が市に対し、「集団疎開」を求めていた抗告審で、仙台高裁(佐藤陽一裁判長)は先月24日、仮処分申請を却下した。だが、低線量被ばくの危険に日々さらされ、将来的に健康被害が生じる恐れがあるとはっきり認めた。(出田阿生、中山洋子)

この決定の特徴は、低線量被ばくの危険性を強い口調で認定していることだ。それについては大きな成果といえる」福島の子どもたちの支援を続ける元裁判官の井戸謙一弁護士は同日、こう内容を評価した。

決定の事実認定の文章は歯切れよい。「低線量の放射線に長期・継続的にさらされることで、生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧される」とし、「チェルノブイリ原発事故後に発生した子どもの健康被害をみれば、福島第1原発周辺で暮らす子どもにも、由々しい事態の進行が懸念される」と明言した。

行政の責任、「自己責任」にすり替え

ただ、結論は「現在の空間線量では、直ちに健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとは認めにくい」と逆転。井戸弁護士は「決定文は、異なる2つの文書が組み合わさっているように見える。裁判官同士で議論があったのでは」と推測する。

この裁判を担当する柳原敏夫弁護士は「決定文の後半は、読んでいるとキツネにつままれたような感じだ」と話す。

そこには「郡山市内に住み続けるならば、学校外での生活で年間1ミリシーベルトを超える被ばくをする計算になる。学校だけを疎開させても意味がない」ので却下するといった理屈が展開されている。

そうなると、低線量の地域に移住するしかないが、それは「自主避難すればいい」という。しかし、原告側は「疎開」は「子どもらの安全確保のために行政が果たすべき義務」と訴えた。行政の責任が「自己責任」にすり替えられた形だ。

とはいえ、低線量被ばくの危険を司法が認めた意義は小さくない。昨年6月、「避難の権利」などを定めた「子ども・被災者生活支援法」が国会で成立した。だが、その後、政権が再交代し、いまだ具体的な避難の施策は講じられていない。

柳原弁護士は「決定では『集団疎開は被ばく被害を回避する1つの抜本的方策として教育行政上考慮すべき選択肢』と指摘した。国や自治体は子ども被災者支援法の運用で、この決定の指摘した内容を生かさなければならない」と訴えた。

・・・東京新聞中日新聞はいい記事が多いですね・・・・・

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