2012/02/15

「想定津波」の数値を改ざんした「大飯原発ストレステスト」

「想定津波」の数値を改竄した「大飯原発ストレステスト」の嘘八百
(2012/02/14 Foresight)から抜粋

塩谷喜雄 Shioya Yoshio
科学ジャーナリスト

 経済産業省の原子力安全・保安院が再稼働にゴーサインを出そうとしている関西電力・大飯原発3、4号機について、安全性の根拠とされる「ストレステスト」の中身に、数値の改竄と偽造という重大な疑惑がみつかった。津波への安全性が最大の焦点であるストレステストで、全ての推定や計算の基準になる数字、設計段階で想定していた最大の津波高さを1.86メートルから2.85メートルへと、関電は1メートルも水増し・改竄していたのだ。虚偽を承知で、結果を妥当と言い募る保安院も、「合作」の共同責任を強く疑われる。もともとお手盛り満載のストレステストに、でっち上げが加わり、再稼働に向けた茶番劇の非科学的インチキぶりは極まった。

 関電は大飯原発だけでなく、高浜原発1号機のストレステストでも、同様の改竄をしている。設計上の想定津波高さ1.3メートルを2.6メートルへと、2倍も水増ししている。ミスではなく、明らかな意図をもった改竄であることは間違いない。

数値改竄による「安全詐欺」

 想定津波高さは、建設当初の設計思想に基づくもので、後からちょこちょこ変更するようなたぐいの数字ではない。それを大きく変えるということは、基本設計を根底から見直すことだ。関電はいつ、想定津波高さを大幅に変更し、設計思想の大転換を図ったのだろうか。

 福井新聞の昨年11月29日の記事では、福井県内の原発の想定津波高さは、高浜原発は1.3メートル、美浜原発は1.6メートル、大飯原発は1.9メートル、となっている。数字はまるめてあるが、筆者が持っている資料と同じである。

 少なくとも11月末までは、この数値が公式な想定津波高さだった。ところが、その前、同月17日に経産省に提出された大飯4号機のストレステスト評価報告では、1メートルかさ上げした2.85メートルという数値が使われている。明らかな偽造数値だ。

 関電には改竄の理由と、2.85メートルという数値の根拠を、逃げずに示してもらいたい。合わせて、これを妥当な評価結果だとした論拠を、原子力安全・保安院には求めたい。

 事実の外形を見れば、関電は安全性データの虚偽申告で、原子炉等規制法違反の疑いが濃厚で、虚偽を承知で再稼働に動いた保安院には、公衆の安全を損なう行為、原子炉等規制法違反と放射線障害防止法違反が問われる。国家公務員法違反の疑いもある。

 改竄の目的とからくりはとてもわかりやすい。というより子供も騙せないほど単純で見え見えの「安全詐欺」である。

お手盛り計算のストレステスト

 ストレステストは、設計の想定より厳しい条件を課しても、そのシステムの安全が保てるかどうかを確認するものだ。コンピューターシステムや機械プラントなどの、「安全余裕」をチェックするのに使う。

 今回の原発ストレステストで、フクシマ級の津波に耐えられるという結果を出さなければ、原発の再稼働はない。幸い、ストレステストは、徹底したお手盛り計算が成り立つ。使うデータも、計算の基準も、みんな電力会社が自前で用意し、自ら評価する。その評価の妥当性を審査するのは、ストレステスト抜きでも原発を再稼働させようとしていた保安院である。これを多重防護ならぬ多重お手盛りと呼ぶ。

 実際の原発プラントに海水をかけたり、揺らしてみたりするわけではない。揺れの強さがどれほどで、津波の高さがどれほどなら、全電源が失われたり、冷却用の再循環配管が破損したりせず、放射性物質を閉じ込めたまま冷温停止できるかを、机上であれこれ推定して見積もる。数値の員数合わせなら、官僚と電力会社にかなうものはいない。

保安院が指示した「プラス9.5メートル」

 関電が提出したストレステストの評価結果の報告書で、その手口を検証してみよう。
 まず、昨年5月、保安院が電力各社に指示を出す。東京電力・福島第一原発の設計上の想定津波高さは、5.7メートルだったが、それより9.5メートル高い15メートル超の津波に襲われて過酷事故を起こした。再稼働を目指す各原発は、想定津波高さに9.5メートルを足した高さの津波に備えよ、というのが指示内容だ。

 設計上の想定津波高さがそもそも著しく過小ではないかという検証抜きに、一律9.5メートルを足すということに科学性は全くないが、世間の厳しい視線をかわして再稼働にこぎつけるには、この程度のことは考慮せよ、というわけだ。この期待される津波耐性、プラス9.5メートルが、国民をたばかるインチキテストの出発点である。

 大飯4号機は、設計上想定すべき最大地震動=基準地震動Ssを、重力加速度にして700ガル、設計上の想定津波高さは、2.85メートル(本当は1.86メートル)、高浜原発1号機は、基準地震動Ssが550ガル、想定津波高さが2.6メートル(本当は1.3メートル)、とそれぞれ書かれている。

 揺れや津波の高さを変えてシミュレーション(模擬計算)し、最低限の安全性確保、冷温停止が不可能になる破綻ポイントを弾き出している。

 大飯4号機では、地震動については、想定の1.8倍、1260ガルで、核燃料冷却に関係する高電圧開閉装置という機器が破損して冷却機能を失う。津波については、想定高さの4倍、11.4メートルが限界で、それを超すと、交流電源をすべて喪失する可能性が出てくる、としている。

 高浜1号機では、地震動では想定の1.7倍の935ガルで原子炉コントロールセンターにダメージが現れ、津波は想定の4.1倍、10.8メートルで、タービン建屋の補助給水ポンプは壊れて、安全確保の限界に達する。

結論から逆算された数字

 大飯4号機と高浜1号機の評価結果を比べると、奇妙なことに気づく。大飯4号機の津波に対する安全余裕の限界、11.4メートルは、本来の想定津波高さ1.86メートルに、例の9.5メートルを足した値にほぼ一致する。高浜1号機の津波に対する安全余裕の限度、10.8メートルも、本当の想定津波高さ1.3メートルに、9.5メートルをプラスした数値だ。

 運転年数は大飯4号機が19年、高浜1号機が37年で、倍も違う。プラントの安全設計も違うし、出力も違う。その2つの原発の、津波に対する安全余裕が、まるで測って揃えたように、設計上の想定プラス9.5メートルでぴったり一致する。しかも、それは再稼働に向けてお役所が示唆していた「期待される数値」とも、寸分たがわない。

 ストレステストにおいて、関電が最初に安全余裕度=プラス9.5メートルを決め、それに合うように屁理屈を並べていったことはもう明白だろう。数値操作による「やらせ安全余裕」の創作といっていい。想定津波高さを改竄した理由は、設計上の想定と安全余裕の関係を割合で表わすと、大飯では6.1倍、高浜では8.3倍という、とてつもない数字になるからだ。

 設計上想定していた津波より8倍以上も高い津波に耐えるだけの「安全余裕」など、誰も信じはしない。4倍程度なら納得が得られそうだという浅知恵から、プラス9.5メートルの数値、大飯なら11.4、高浜なら10.8を、それぞれ4や4.1で割った値を、設計上の想定津波高さと偽ったのであろう。

 人を騙すにしても、ずいぶんお手軽な「やっつけ仕事」ではないか。原子力ムラの劣化は、騙しのテクニックにまで及んでいるようだ。公然たる安全詐欺には、厳しい罰をもって臨むべきだろう。

 大飯4号機のストレステストに関する関電の「評価結果の概要」にはこう書いてある。「評価の結果、安全上重要な施設・機器等は、設計上の想定を超える事象(地震・津波等)に対する安全裕度を十分に有していることが分かりました」。

 こう書き換えるべきだろう。「福島クラスの津波にも耐える十分な安全余裕があることにして逆算すると、大飯4号機は、建設当初から、設計上の想定津波の6倍も大きな津波に耐えられるよう、最初から作ってあったようです。信じられない話ですが、どうか信じてください」。

東電の手抜きか、関電のオーバースペックか

 百歩も千歩も譲って、関電の余裕度評価を信じると、奇妙なことになる。例えば、福島第一原発が設計上想定していた津波高さは、5.7メートル。福島第一にも大飯原発並みの津波に対する安全余裕があったら、5.7メートルの6倍、34.2メートルの巨大津波にも耐えられた計算になる。

 想定の「わずか2.6倍」でしかない、高さ15メートルの津波で冷却機能を失い、放射性物質を外部に大量にばらまいたのは、福島第一が他の原発に比べてかなり余裕が不足していて、事故は手抜き工事が原因だったということになってしまう。関電のストレステスト評価の結果は、はからずも(?)福島第一事故に関する東電の企業責任を厳しくとがめているわけだ。

 原発の地震、津波の想定は、徹底した調査と最新の科学的知見に基づいて、起こりうる事象の規模を最大限見積もった値だと、電力会社と経産省は言い続けてきた。裁判でも、これを守っていれば、安全は確保できると主張している。限界に近い想定ならば、それを超す安全余裕といっても、せいぜい1.5倍とか2倍ほどの範囲が妥当なところだろう。

 設計基準の6倍もの強度というのは、どう見ても立派なオーバースペック(過剰仕様)といえる。余計な装備でごてごてと飾り立て、必要以上に、使いこなせないほどの高い強度や性能を持たせるオーバースペックは、ただ意味なくコストを膨らませ、システム全体のバランスを崩し、品質を低下させる。手抜き(アンダースペック)と並ぶ、産業の大敵である。

 オーバースペックによる原発建設費の増加分は、総括原価方式によって、全て電気料金に上乗せされてきたことになる。大飯3、4号機は、運転開始から20年と19年たっている。関電自身が建設当初からのオーバースペックを認めた以上、その間ずっと取り過ぎていた料金を、全利用者に返さなければならないことになる。良心的な公益事業者なら、当然、そうするはずだ。

炉型差別から見える原子力ムラのほころび

 想定の6倍などという、およそ信じがたい安全余裕を振り回すと、予想外のアラが随所に見えてくる。そのひとつが、原子力ムラの終わりの始まりを予感させるほころび、再稼働をめぐる炉型による差別化である。
 3.11以後、原子力関係者の間では、ずっとこんなことがささやかれていた。「事故を起こした福島第一と同じBWR(沸騰水型)の再稼働は、よほどの安全対策を取らない限り難しいが、PWR(加圧水型)なら地元の納得さえ得られれば、何とかなる」。

 3.11を受けて原発が次々と停止していくなか、唯一、営業運転再開がみとめられたのは、北海道電力の泊原発だった。電事連と経産官僚の使いっぱしりよろしく、当時の海江田経産相が現地に飛んで、定期点検あけの原発再稼働を地元に懇願したのは、九州電力の玄海原発だった。どちらもPWRである。

 世界の原発の主流は、圧倒的にPWRである。BWRをずっと採用し運転し、進化型の炉の開発まで進めているのは、日本と台湾だけと言っていい。

 BWR の主力メーカーである東芝でさえ、原発輸出で世界にうって出ようとした時、買収した米国の原子炉メーカーはPWR 専門のウエスチングハウス社だった。

 日本では東京電力がBWR 路線をひたすらまい進し続けてきた。理由は判然としない。ただその強大な影響力のもと、東北電力、中部電力、北陸電力、中国電力の各社が、原発にBWR を採用している。メーカーはGE、日立、東芝である。

 一方のPWR は関西電力を筆頭に、九州電力、北海道電力、四国電力の各社で、メーカーはすべて三菱重工業とウエスチングハウスである。日本原子力発電=日本原電だけが、BWRとPWRの両方を保有している。

 BWRは原子炉内で高温高圧となった水(1次冷却水)が、隣のタービン建屋にそのまま行って、発電機を直接回す。放射性物質を大量に含んだ水が大移動し、その熱と圧力が原子炉内の環境を左右するため、配管の安全性確保が技術的に大きな課題となる。

 PWRは1次冷却水の熱エネルギーを、蒸気発生器で2次冷却水に移動(熱交換)し、放射能汚染があまりない2次冷却水で発電機を回す。1次冷却水は閉じた短いサイクルを回るだけだが、蒸気発生器の細管部分が技術的には大きな弱点とされる。

大飯3、4号機が選ばれた理由

 関電と原子力安全・保安院が再稼働候補の筆頭に、大飯3、4号機をもってきたのには、それなりのわけがある。

 いずれも出力100万キロワットを超す大型原発で、1990年代初頭に運転を開始した、稼働20年前後の働き盛り。3号機は2008年に配管損傷が見つかったものの、それまでは、2基ともさしたるトラブルはなく、日本の原発の優等生といえる存在だった。

 3、4号機の格納容器は「プレストレストコンクリート」を使っている。コンクリートはもともと押しつぶす力には強いが、引っ張る力には弱い。論より証拠。福島第一原発の分厚いコンクリート製の原子炉建屋が、内部の水素爆発で簡単に、無残なまで吹き飛んだのは、引っ張り強度の弱さを見せつけている。

 プレストレストコンクリートは、その弱点をカバーする。コンクリートの中に、鉄筋の代わりにあらかじめ引っ張って強い張力を掛けた鋼の線を通し、コンクリートに縮もう縮もうとする力(ストレス)を負荷しておく。そこに内部爆発などで引っ張り力が働いても、ある程度以下なら、負荷されている縮む力がそれを相殺して、決定的な破壊を防ぐ。

 福島第一原発は、配管や機器の損傷やひび割れを隠し続け、地震や津波への備えの不足、リスクの過小評価を度々指摘されてきた。そんな札付き老朽原発とは段違いの優等生、大飯の3、4号機なら、再稼働はOKだろうという読みが、関電、経産省両者にはあったに違いない。

 しかし、PWRの多少の有利性も、プレストレストコンクリートの採用も、原子力ムラの内部でしか通用しない論理だ。お手盛りの数字まで改竄・偽造した事業者と行政が、再稼働を口にできる日は遠くなった。現実に原発を襲った津波に比べて、あまりに小さな津波しかリスクとして想定していなかった原発の設計思想そのもの、安全規制の制度自体が抱える重大な欠陥を認めなければ、再出発などあり得ない。ムラの屁理屈を反省・撤回・転換することなしに、事を済まそうという、いかがわしい魂胆を、世間はとっくに見抜いている。このまま再稼働を許すほど、世の中は甘くない、と思いたい。

対策はこれから

 福島の事故を教訓に、関電は安全性の向上のため、再稼働後に色々な対策を講じる予定だと宣言している。大飯4号機の評価結果に併記されている、関電の今後の「予定」を精査してみよう。

「今後、原子炉建屋への浸水を防ぐため、順次、水密扉へ取り替え、津波の衝撃を弱めるために、防波堤をかさ上げし、防潮堤を設ける。海水ポンプエリアの防護壁も設置するなど、多重防護を進める」と書いてある。
 逆に読めば、水密扉にはまだ取り替えておらず、低い防波堤はそのままで、防潮堤も作っていない。ポンプを津波から守る防護壁すらない。過酷事故を回避する要となる対策は、福島第一の事故から1年たってもまだ、何も手が着けられていない、ということである。

 ただの口約束で、行政と政治が再稼働のお墨付きを与えるようでは、本当に日本は危うい。

 現在、机上の計算ではなく、実物のストレスを負荷され、その健全性や持続可能性をテストされているのは、地域独占の電力会社と、それに連なる、行政、政治、学界、メディアの5角形である。

<核燃輸送容器>検査基準を企業に配慮 寄付受けた教授主導

<核燃輸送容器>検査基準を企業に配慮 寄付受けた教授主導
(毎日新聞 2月12日(日)2時30分配信)

 日本原子力学会が1月に議決した使用済み核燃料などの輸送容器に関する検査基準(学会標準)が、容器設計・製造会社「オー・シー・エル」(東京都)と、同社から多額の寄付を受ける有冨正憲・東京工業大教授が主導する形で審議され、国の規制より緩い内容にまとめられていたことが分かった。原発を巡っては、学会や業界団体が定めた内容が国の基準に採用される例も多いが、「原子力ムラ」内部で自分たちに有利な基準を作り上げていく構図が浮かんだ。【日下部聡】

 学会議事録や関係者によると、議決したのは「使用済燃料・混合酸化物新燃料・高レベル放射性廃棄物輸送容器の安全設計及び検査基準」。一般からの意見募集の後、今年中にも正式に制定される見込みという。

 学会標準は分科会が原案を作成し、専門部会と標準委員会でチェックする仕組みで、10年に輸送容器分科会で検討が始まった。同分科会はオ社の会議室で開かれ、原案の文書化もオ社から参加した委員が行ったという。

 有冨氏は同分科会の主査、上部組織の原子燃料サイクル専門部会の部会長で、議決機関・標準委員会の副委員長でもある。東工大の記録によれば、有冨氏は06?10年度、オ社から1485万円の奨学寄付金を受けた。分科会に参加するもう1人の研究者(東工大准教授)も10年度、オ社から100万円の奨学寄付金を受けている。

 審議の焦点は、使用済み核燃料などの発する熱が容器にどう伝わるかを調べる「伝熱検査」を、新造容器全てに実施するか否か。原案はメーカーに製造実績があればサンプル検査で可としたが、経済産業省原子力安全・保安院の通達は全数検査を求めている。昨年6月の専門部会では、保安院の安全審査官が反対意見を述べた。

 しかし、昨年12月23日?今年1月19日に行われた標準委の投票の結果、研究者や電力会社社員らの賛成多数で可決された。反対は保安院の委員1人。独立行政法人・原子力安全基盤機構の委員が賛否を保留した。

 容器メーカー関係者によると、大きな輸送容器なら38本の使用済み核燃料集合体を収納できる。伝熱検査は、集合体と同じ本数の電熱ヒーターを内部にセットしなければならず、負担が大きいという。

 有冨氏は「オ社の味方をしているつもりはない。全て検査していたら出荷が滞り、使用済み燃料の処理が進まない。学会としてサンプル検査でいいと判断した」と話す。だが、審査の全段階に関与していることについては「中立性に疑念を持たれても仕方がない。少なくとも分科会主査か標準委副委員長のどちらかは辞めた方がいいと思っている」と話す。

 ただ、有冨氏は「容器は原子炉などと違って論文の書ける分野ではなく、研究者が少ない。審議体制に問題があることは分かっていたが、他になり手がいない」とも話した。

 オ社の川上数雄常務は「公平、公正、公開の原則にのっとった委員会で活動しており、疑念を招くようなものではない」との見解を示した。

 保安院関係者は「輸送容器は市民の近くを通ることもあり、厳しい基準が必要。このまま国の基準にはできない」と話している。

 有冨氏は東京電力福島第1原発事故直後、当時の菅直人首相に内閣官房参与に任命されている。

中沢新一氏「緑の党のようなもの」グリーンアクティブ立ち上げ

中沢新一氏「緑の党のようなもの」グリーンアクティブ立ち上げ
「グリーンシールを貼らない候補者は落としましょう」政治、文化、経済を繋ぐネットワーク

(2012-02-13 22:10 骰子の眼)

人類学者の中沢新一氏がかねてから「緑の党のようなもの」として構想を伝えてきたグリーンアクティブの立ち上げ記者会見が本日2月13日、東京・千代田区永田町の衆議院第一議員会館で行われた。代表の中沢氏のほか、発起人に名を連ねている社会学者の宮台真司氏、クリエイターのいとうせいこう氏、サステナのマエキタミヤコ氏、そして賛同人として歌手の加藤登紀子氏、一水会代表の鈴木邦男氏、「マガジン9」編集者の鈴木耕氏、アースガーデン代表の鈴木幸一@南兵衛氏が出席した。

ネットのなかに潜在する声を現実の世界に引き出す

この会見のなかで中沢氏はグリーンアクティブという団体名の由来について、「3.11の後日本人のなかに力強く沸き上がった緑の意識を持った人々が行動に立ち上がるという意味を持っています。それを目に見えるかたちで、現実の政治や社会や文化を変える力に作り替えていくための様々な活動を行なっていく組織」と、政党よりゆるやかなネットワークを作り出し、そこで多様な人を巻き込んでいくことを目指すと説明。そして、「原発に依存しない社会を作り出す、とか、むやみな自由貿易や自由主義経済によって国のかたちや社会のあり方を根底から付き崩していくような動きに抵抗していこうする心や、極端な経済格差をもたらそうとしている経済や社会の動きを是正していかなければいけないという意識が強く沸き上がっています。しかし、こういう思いはネットのなかに潜在していたり声なき人々の思いのなかに隠されている。それを大きく現実の世界に引き出して、いま日本が陥っている様々な困難や袋小路を打破しいく力になっていきたい」と語った。

緑の意識によって繋がった大同団結を行う国民戦線

グリーンアクティブの組織としては4つの枠組みに分かれており、中沢、宮台両氏により思想的な部分を担う「構想部」、いとう、鈴木耕、鈴木幸一各氏に津田大介氏が加わり、デモやツイッター、フェイスブックなど草の根のメディアと新しい表現を開発し、雑誌の発刊も行う「メディア部」、農林水産業をはじめとした日本経済の根っこの部分を再生することを目的とした「経済部」(中沢氏、加藤氏、小林武史氏)、そして日本の議会制政治にも影響を及ぼしていこうと、日本独自のエコロジー政党を成長させるための「政治部」(マエキタ氏)に分かれており、このうち政治部は既に代表をマエキタ氏により緑の日本として政治団体登録が済んでいるという。中沢氏は「この集合体を中心にサポーターが支えあいながら活動が続けられる。緑の意識によって繋がった大同団結を行う国民戦線のようなものを作りあげようと思っている。政治権力からでなく、民衆の側からその意識を汲み上げて行う政治の改革を草の根から目指していく」と述べた。

いとう氏は「どうしてもいろんな政治団体やNPO、個人はネットのなかでのネットワークが可視化されて公のメディアに取り上げられることが少ないが、それを完全にネットワークして飲み込みながら、その意志を可視化して一緒にやりましょうということを呼びかけたい」と発言。また宮台氏は「〈任せて文句たれる社会〉から〈引き受けて考える社会〉へ、の変革が必要だ」とアピール。そして鈴木幸一氏は、「中沢さんを信用できると思ったのは、僕は根本的な文化運動として捉えている。自然文化を捉え直す。という根本の姿勢を持っていらっしゃると思ったから」と明かした。

原発について考えることは、アートについて考えることと同じ

マエキタ氏は緑の日本について、「緑の意識を可視化し実際に国会に持っていくための政治団体。選挙があった際には原子力発電を作らない、売らない、そしてわからないものは動かさないというポリシーに賛同してくれる議員には、どの党にいてもグリーンシールを貼ることで、脱原発の人に投票したいというのがわかりやすく投票できるようにする」というルールを発表した。

このグリーンシールのコンセプトに対しwebDICE編集部が質問をした「民主党の議員のなかでも原発賛成と反対の人がいて、個人的には反対でも、議決を取るときには党員は党議拘束されるので、グリーンアクティブの考え方を政治で活かすには、立候補者を立てるべきではないか」に対し、マエキタ氏は「立候補者がいなければ立候補者を探して、ぜひやってくださいということを頼むかもしれないし、メンバーでいる人が立つかもしれない。党議拘束という既成概念は幻想だと思っていて、造反すればいいんです。党議拘束に関わらず脱原発を表明したい人にしかこのマークはつけさせません。ですからどの党にいてもつけられるけれど、グリーンマークの原則に従うという約束においてつけてもらいます」と解説。中沢氏が「まだ流動的なので現時点では立候補者を立てるかは言えない。それからグリーンシールを貼らない候補者は(選挙を)落としましょうということですから、僕なんかはネガティブ・キャンペーンじゃないですけど、そっちを展開したい」と語ると、宮台氏も「僕も大賛成です」と返した。

最後に中沢氏は「原発について考えることは、アートについて考えることと同じ。芸術の問題、文化の問題、社会の問題と分けずに、グリーンアクティブはそれを横断していく運動になっていく」と記者会見を締めくくった。
(取材・文:駒井憲嗣)


中沢新一氏、新政党「緑の日本」設立を発表

人類学者で明治大学野性の科学研究所所長の中沢新一氏が、1月14日、15日にパシフィコ横浜で開催された「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」で、新政党「緑の日本」を設立することを発表。アカデミックな世界から現実の世界でアクティブな活動へシフトしていく決意を語った。

14日に行われたトークライブで加藤登紀子、SUGIZO、手塚眞、ピーター・バラカン、マエキタミヤコ各氏とともに登壇した中沢氏が、かねてから構想を描いてきたエコロジーや多文化平和主義を掲げる政党の立ち上げについて報告した。

中沢氏はトークのなかで、311以降、インターネットのなかの世論として8割が脱原発に動いていることを挙げ「バーチャルな世界で伝えられているものを現実の世界の力にしていかなければいけない」と、市民の声をマスコミや政府・官僚に伝えていく必要があると指摘。グリーン・アクティブというネットワークを作り、そのなかに新たに「緑の日本」を設立することになるという。すでに手続きを済ませ、2月の第1週か2週目に記者会見が行われる予定となっている。

青山貞一「福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染」

福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染
(2012年02月07日00:00 青山貞一ブログ)から抜粋

◆青山貞一「福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染」

 昨年4月、日本政府がグリーンピースの虹の戦士号の領海内立ち入りを2~3ヶ月待たせたあげく却下したこと、福島県内の漁業関係者が環境総合研究所に魚介類の分析を依頼しながら、その後なしのつぶてとなったことなどの裏事情についても言及しています。

 動画の時間は44分です。 

 原発事故以来、官民を問わず膨大な量のモニタリングデータが公にされてきたが、なぜか魚介類に含まれる放射性物質汚染に関するデータは、きわめて限られている。

 理由はやはり太平洋側の海洋汚染が相当深刻なためだろう。

 日本の気象庁の気象研究所が2011年11月16日に発表したシミュレーション結果によると、放射性物質のうち、とくに放射性セシウムは今年の4月までに70~80%が海に落ち、陸地に降ったセシウムは30%程度と推測している。

 気象研究所の研究チームによれば、2011年3~4月は偏西風で運ばれるために陸地に落ちる量は少なく、その分海洋が汚染されたとみている。ヨウ素131は放出量の約65%が海に落ちたとしている。

 ちなみに私たち環境総合研究所が2011年春に行った放射性物質の3次元の移流、拡散シミュレーションでも類似の結果がでている。

 陸側におちた放射性物質も最終的に海に流れ込む。今後、近海魚や回遊魚だけでなく、底生魚介類の汚染が深刻になると推察される。

 本動画は、この分野第一線で漁民やNPOとも議論しあう中で調査研究をしてきた青山貞一さんに詳しくその実態、裏事情、一般国民はどうすればよいかなどについてのご意見を伺った。

 池田こみち 環境総合研究所副所長/インタビューア 2012年2月6日 

★追加情報

 視聴者からの情報提供もあり、いろいろ新事実も分かってきました。とくに重要と思えるのは、国が公表している魚介類に含まれる放射能データが、多くの魚を計りながら、低い値だけを選択して公表している可能性が大であることです。

 昨年秋以降は、海底近くに棲むアイナメ、ヒラメ、ホウボウ、メバル、カレイ、アンコウ、タチウオなどの底生魚の濃度が高くなっているはずです。事実、最近1800Br/kgを超える底生魚が福島県北部から報告されています(これは新聞などにはでていません)。

 鷹取敦さんの調査では、魚介汚染が深刻化する昨年秋以降、国の魚介調査の件数は減少しているとのことです。今年に入ってからの測定数は極端に少なくなっています(以下参照のこと)。

鷹取敦:水産物の放射能汚染の解析(1)生息域と汚染の変化
 

 高い値の底生魚が発見されても、国、県、漁協はいずれもその対策にまともに応えず、たらい回しし、マスコミも一切書かず、うやむやのうちに、産地偽装で食卓に高濃度魚介が到着している可能性があります。

 底生魚の濃度が今後高くなることは、先のNHKの特別番組の調査でも明らかになったことです。

 福島県北部海域は、親潮、黒潮、潮流が複雑に混ざりあうため、動画に掲載しましたフランス、米国の研究機関による海洋汚染シミュレーションにも明確にあるように、近海魚、沿岸魚、底生魚だけでなく、かなり沖合にも汚染が広がる可能性が大です。

 チェルノブイリ事故時でさえ、日本近海で2,3年汚染が続いたことからして、今後10年以上、海洋汚染が続き、太平洋側の魚介の汚染は継続する可能性があります。その意味でも、水産庁などがしっかり定期的かつ大規模に定点近くで試料採取した魚類を測定分析し、すべてを公表する必要があります。

2012/02/14

『人間と環境への低レベル放射能の脅威』

西岡昌紀さん(神経内科医)のブログを転載します。

低レベル放射線は本当に常に安全か?(1)

今、ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著『人間と環境への低レベル放射能の脅威』(あけび書房・2011年)を読んで居ます。

凄い本です。

カナダ原子力公社の研究員から同公社の医学・生物物理学主任と成った医師のアブラム・ペトカウ(Petkau)博士が1972年に発見した現象「ペトカウ効果」を中心に低レベル放射能が、場合によっては、細胞膜への作用を介して、生体に深刻な有害作用を与えうる可能性を論じた一書で、今、この時点で、私は、このペトカウ効果について、医師として責任有る見解は述べられませんが、とにかく、驚くべき内容の本です。

この本の冒頭に書かれた訳者(肥田舜太郎、竹野内真理)による序文「福島第一原発事故のさなかに――本書の概略と意義」)の冒頭箇所を以下に御紹介します。

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 本書は、ラルフ・グロイブとアーネスト・スターングラスの著書「The Petkau Effect」(ペトカウ効果)の初の邦訳出版である。

 詳細は後述するが、「ペトカウ効果」とは、約20年間、カナダ原子力公社の研究所で医学・生物学・物理学主任だった、アブラム・ペトカウ博士が発表した、低線量放射線による生体レベル、細胞レベル、分子レベルでの影響のことである。(一部の研究者からはノーベル賞に値すると言われている)。本書は、「ペトカウ効果」を詳細に紹介すると同時に、原爆、核実験、そして原子力発電所がもたらす様々な放射線被害、および今日までの政府当局による放射線防護基準の欠陥を、世界各国の数多くの研究者の論文と当局側からの発表という双方からの視点を交え、膨大な量の貴重な資料をもとに記している。

 ところで、奇しくもこの本の下刷りにかかろうとしていた2011年3月11日、マグニチュード9.0という東日本大震災が発生し、東北では地震と津波により多大な犠牲者を生みだした。

 悲劇に追い打ちをかけたのが、福島原発の大事故である。外部電源喪失、水素爆発、燃料棒破損、核燃料プール冷却不能という尋常でない事態に至っている。そのうえ、余震により、原発の何十倍以上もの放射能があるという六ヶ所村再処理工場まで外部電源喪失という、一歩間違えれば日本全体が壊滅状態になるところまで一時期達してしまった。今回の事故はなぜか「想定外の津波」のせいにばかりされているが、これは事実と異なる。そもそも今回の電源喪失の直接の原因は「地震」であり、津波の及ばなかった場所に立っていた受電鉄塔の倒壊によって引き起こされた。そして電気系統も破壊されたため、電源車が来ても役に立たなかった。さらに、1号炉では、地震発生の夜、原子炉建屋内に高濃度の放射能漏れがあり、配管か重要機器いずれかの破損の可能性が高く、3号炉でも、圧力の激減から冷却系の配管が破損したと見られている。両方とも水素爆発の前の話だ。地震による重要配管の破損は、全国の原発すべての耐震安全性にかかわる緊急課題である。

 それでも政府と電力会社は、国の原子力政策を続行する予定である。東京電力は、柏崎刈羽原発のうち、1、5、6、7号機を、3月11日以降もそのまま動かしている。2007年に中越沖地震で地盤自体が変形し、しかも原発の機器そのものへの応力や塑性変形が危惧されているにもかかわらずである。伊方原発は世界有数の大活断層「中央構造線」の目の前であり、敦賀、もんじゅ、美浜、六ヶ所再処理工場はなんと敷地内に活断層が見つかっている。まともな感覚であれば、これらの原発および再処理工場は、冷却以外の運転をすべて停止し、さらには現存する使用済み核燃料の安全性をいかに高めるかの対策を早急に練るのが常識だと思う。これでは運転中だた1から3号炉、そして運転中でなかった4号炉の事故から何も学んだことにならない。

(ラルフ・クロイブ、アーネスト・スターングラス著 肥田舜太郎、竹野内真理訳『人間と環境への低レベル放射能への脅威』(あけび書房・2011年)1~2ページより訳者(肥田舜太郎、竹野内真理)による序文「福島原発事故のさなかに――本書の概略と意義」から)

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繰り返して言ひますが、今、この日記を書いて居るこの時点で、私は、ペトカウ博士の主張について医師としての見解を述べる事が出来る段階にはありませんが、それが、重大な問題提起である事は間違い無いと言っておきます。

本書の購読を強くお薦めします。

平成24年(西暦2012年)2月12日(日)

世界一の医療被ばく国である日本では、X線検査によって 年間 1万人(全がんの4.4%)ガンになっている

ヒロシマ、ナガサキを経験しながら、世界でも突出して多い日本の医療被ばく。それを低減するために活動している高木学校・医療被ばく問題研究グループが、べリングトンの論文以後の重要な米国の動向を紹介しています。

べリングトンの論文:X線検査による各国の発がん増加数0.5~1.8%と比べ、日本は3.2%と飛びぬけて高い。しかもこの数字に近年のCT検査の増加を加えると4.4%にもなるという医学専門誌LANCETに発表された論文

米国内におけるCT検査関連報道

Berrington等の論文が発表されてからの米国内におけるCT検査関連報道の紹介
(2010年04月05日 高木学校ウェブサイト)

■ NIH policy urges CT makers to track radiation dose.
米国国立衛生研究所(NIH)はCT機器メーカーに線量追跡可能装置の作成を急がせる方針」(ロイター2010年2月1日)

ロイター(2月1日)によるとBerrington等の論文の発表後、米国国立衛生研究所(NIH)はエックス線CT機器メーカーに対しNIHで使用するCT装置と放射線を使用する画像装置に、検査を受けた場合の線量を患者の電子カルテに記録できるようなソフトを取り付けるように要求する方針を明らかにした。

この方針は患者が繰り返し診断用エックス線に被ばくすると発がんのリスクが増加するのではないかと心配しているためだとNIH臨床センター放射線・画像科学管理者のD. Bluemke 博士は述べている。“我々は長い間患者がどのくらい放射線検査を受けているのかを理解し把握する方法がなかった“と同博士は語った。

この方針により影響を受けるメーカーは、GE healthcare, Siemens, Philips 及び東芝メディカルなど、放射線機器をNIHに納入している業者である。Siemensはこれに対してすでにデモンストレーションプロジェクトを始めている。GE healthcareもNIHの方針を支持し、同社の最新のCT装置は線量に関する情報を集めて記録する能力を備えている

機器メーカーがNIHに患者の被ばく線量をすべて電子カルテに記載することができる装置を納入するようになればその影響は大きく、広く他の病院にも普及してゆくだろう。次の段階は患者の診療に関わる会社間の共同作業であり、それによって標準化した線量情報集計記録ができるだけ便利に利用できる形にすることである。

NIHの方針が変わったのは、米国に於いて全がんの1.5から2%がCT検査によるという報告を含めた最近の研究結果によるものである。

■ Radiation risk prompt push to curb CT scans.
「放射線のリスクがCT検査を抑制」
(The Wall Street Journal 2010年3月2日)

米国では年間数千万人の患者がCT検査を受けているので将来的に彼等ががんになるリスクが増えるという証拠が積み重なっている。そのため連邦規制局、放射線関係グループ及び病院はCT検査の使用を抑えようと努力しはじめた。

調査によると現在行われている検査の1/3あるいはそれ以上が必要が無いかあるいは繰り返しである。医学的に正当である検査でも、画像の質を損なうことなしに線量を劇的に減らすことが可能である。

CT検査では臓器や骨、軟部組織、血管などの鮮明な断層映像を見ることが可能である一方、被ばく線量は単純X線撮影の50から500倍にのぼる。米国でのCT検査は急速に増加し1980年には年間300万件であったのが2007年には7000万件に達した。Berrington等の研究によると2007年だけのCT検査により将来29000の発がんが予測されている

米国食品医薬品局(FDA)は検査による不必要な被ばくを減らすためのイニシアティブをとり、CT機器メーカーに対しては安全装置を開発するよう指導すると発表した。それとともに、臨床医にCT検査をすると決める前に利益がリスクを上回っているかどうか2回考えるという“説明に基づく意志決定”プログラムを奨励している。

「CTが正当化される場合には利益は完全にリスクを上回る」とコロンビア大学放射線研究センターのBrenner D.センター長は述べている。しかしCT検査は、簡単で早いとか医師が訴訟を怖れるとか、経済的な利益のため、あるいは患者の強い希望等の理由であまりに頻繁に使われている。

Brennerは2007年に2000万の成人と100万の子供が不必要に被ばくし、原爆被爆者のデータから計算すると米国の全がんの2%がCT検査の被ばくによってがんになると予測している。

アメリカ放射線学会は患者がCT検査を受けた場合に線量を追跡調査できるような国家登録を全米的につくろうとしている。そうすると施設間での比較も可能になる。

被ばくを減らすのに一番良い方法は医師がガイドラインに従うようにすることである。マサチューセツ一般病院(MGH)では数千のガイドラインを取り入れてプログラムを作成した。

そのプログラムでは医師がCT検査をオーダーする前に患者の電子カルテに情報を入力する。もし検査の必要性に疑問があったり、他の検査の方が適当である場合には黄色の判定となる。

CTが推奨されなければ赤となる。このプログラムを使った効果を2004年から2009年にかけて調査した。外来患者はその期間中年に5%近く増加しているにもかかわらず、CT検査の増加率は12%から1%に減少した。

医師の臨床判断や直感をこのシステムに優先させることも許されるが、それが度重なると医師に対してなぜそうなのか説明を求める。MGHはこのシステムを会社につくらせた。

ミネソタ州の6つの医療グループと5つの健康医療サービス会社は2007年にそのシステムの2年にわたるパイロット試験を完了した。CT検査は予想された416,974件から385,660件に減少し、保険料を1800万ドル倹約することができた。CT検査は600ドルから3000ドルである。

南ニューハンプシャー医療センターがはじめた患者防御プログラムでは、患者が40歳以下の場合にはCT検査が5回から10回の間になると医師にその旨通知し、10回以上になった場合には直接患者に通知する。

“一回のCT検査のリスクはちいさくとも放射線障害は加算される”とセンターの放射線科医で、そのプログラムの開発者であるS. Birnbaumは述べている。このプログラムを使ったために2008年では15%のCTがキャンセルされ、15%はMRIか超音波に変えられた。

腎結石を検出するのに死体を使って研究し、95%の線量をカットしてもまだ結石を見つけることができたという報告もある。心冠動脈血管造影CTで冠動脈疾患を診断する場合には心臓は通常の胸部X線撮影の1000倍の線量を被ばくする。

この検査では女性の場合、270人に1人、男性では600人に1人が将来がんになると推定される。この検査もvolume scan techniqueを使うことによって画像の質をそれ程損なうことなく線量を91%減らすことが可能であった。

【紹介者コメント】ー 医療被ばくを巡る日本の現状

NIHの方針を変えさせたBerrington等が英国の医学雑誌The Lancetに発表した論文には、日本では医療被ばくによって年間1万人近く(全がんの4.4%、CT検査を含む)が、がんになると書かれていました。それは2004年のことです。

発表された当時は新聞にも大きく取りあげられ、一般市民は不安を抱きました。しかし、医療界はただ沈静化を図るだけで、いまだにどうしたらエックス線検査の回数を低減することが出来るのか、その方法を示すガイドラインの作成も厚生労働省からの指導もないままです。

厚生労働省の医療施設調査によると日本における2009年のCT検査回数は2600万件。単位人口あたりのCT検査数はほぼ米国に匹敵します。

それでも放射線研究者や医療関係者からは相変わらず“低線量は心配ない “、“線量は加算されない“などという声が出続け、患者を安心させようとする努力ばかりが目立ちます。

米国の素早い対応と比較すると肌寒さを感じませんか。

3月13日に放射線医学総合研究所が公開講座「医療における放射線 ーエビデンスに基づいて現場の質問に答えるー」が開催されました。しかし、MGHやNIHで試みられているような方法を含め“医療被ばくをどうしたら減らすことができるのか”という具体的な提案は全く出されていませんでした。

利益がリスクを上回るような放射線利用が行われるべきだという抽象的な当たり前の概念が話されましたが、これがもしそのように行われているのならば、これほどまでに医療被ばくは問題にならないでしょう。しかも、“エビデンスに基づく・・“と副題でいいながら、線量の加算、線量率の効果、“しきい値”に関してはICRPの勧告にたいしてすら忠実ではありません。

妊娠に関しては胎児の放射線感受性は子供よりも低く、100ミリシーベルト(mSv)以下はほとんどリスクを考えなくてもよいと説明しています。これは明らかに間違えています。

医師、放射線技師が受ける質問で最も多いのは「妊娠に気付かずにエックス線検査を受けてしまったがどうすればいいか」です。その答えとしてICRPは「100mSv以下の被ばくでは妊娠中絶をすべきではない」と勧告しました。これはそれが無害であるといっているわけではありません。

例えば放射線作業従事者などの職業被ばくの場合には、医療被ばくと異なり線量限度が決められています。それは「1年間で50mSv ,5年間で100mSvを超えてはならない」というものです。健康な大人の線量限度に決められている線量が、放射線感受性の高い胎児に無害であるはずはありません。

原発で働いた労働者で白血病や悪性リンパ腫などのがんになり、発がんと被ばくの因果関係が認められたケースがありますが、その被ばく線量は100mSv 以下です。100mSvというのは大人でもリスクが認められている線量なのです。

放射線被ばくに関して何故日本と米国の対応はこのように異なるのでしょうか? 私たちはよく考えて、どうしたら現状を変えられるか、模索してゆかなければならないと思います。
(崎山比早子)


べリングトンの論文(2004年1月LANCET誌に発表)
A Berrington de Gonzalez, S Darby
Risk of cancer from diagnostic X-rays :
estimates for the UK and 14 other countries
LANCET 2004 ; 363 : 345-351

論文はICRPのLNT(Linear Non-Threshold:閾値なし直線仮説)モデルに基づく放射線発がんリスクで計算。各国の医療被ばくによる発がん数を予測。日本以外の発がん増加数0.5~1.8%と比べ、日本は3.2%と飛びぬけて高い。しかもこの数字に近年のCT検査の増加を加えると4.4%にもなるというのが結論。


■X線・CTスキャンも安全ではない
日本人のがん死の4.4%は放射線検査によるもの

ウェブマガジン・のたる06.22.2011)から抜粋

 放射性物質が出す放射線には、γ線(ガンマ線)という電磁波もあります。X線やCTスキャンの放射線はこのγ線です。これは、コンクリートの壁でやっと止まるくらい、透過力があります。なので、肺がんや脳血栓の検査に使われる、X線やCTスキャンに利用されています。

 新聞やテレビに出てくる放射線の専門家はよくX線やCTスキャンと比べて、「だから、これくらいの放射線は大丈夫」と言います。本当にそうでしょうか?

 X線を年に何度も浴びたり、同じ部位のCTスキャンを数年間に渡って何度も取ったりすることは、その部位の発ガンリスクを非常に高めます。エジソンはX線画像を見ることができるX線透視装置を発明しましたが(1896年)、その実験台に助手のC.ダリーを使いました。ダリーは実験のために、両手、両足に何度もX線を浴びました。彼は、皮膚がんを発病し、結局手術で両手両足を切断後、がんが原因で死にました。エジソンは「X線が私の助手のダリー氏に有害な影響を与えた・・・」と気づいて、すべてのX線の研究をやめました。その後、学会は、X線の量を少なくし、X線技師が年間に浴びてもいい被ばく線量を決め、X線をとるときはX線技師は鉛の部屋に避難することが義務づけられるようになるのです。

 日本人はヨーロッパの多くの国の人々に比べ、X線・CTスキャンの受診率が非常に高いです。イギリスの7倍もの頻度です。「日本のすべてのがん死のうち、4.4%はこのγ線による検査(X線・CTスキャン)によるもの」 というイギリスの報告(A・べリングトン 2004年 『医療用X線による発ガンリスク』)もあります。X線検査やCTスキャンは本来、肺がんが疑われる人、脳の血栓ができている兆候がある人が受けるべきものであり、人間ドッグで健康な人が受けるべき検査ではありません。


「放射能は役に立つ」という感想が多い放射線授業始まる

横浜市で放射線授業始まる 親ら不安の声、教員にも戸惑い
(2012年2月10日14時35分 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発の事故を受け、横浜市立の小中学校で、放射線の基礎知識についての授業が始まった。内容は放射線の性質や活用法についての説明が中心で、保護者からは「放射線は怖くないと、子どもが思い込んでしまう」との不安の声も上がっている。

 「私たちは今も昔も放射線がある中で暮らしています」。スイセンから放射線が出ていることを示す写真とともに、教材はこんな文言で放射線を説明する。X線などの活用法、放射線の単位や測定法、事故が起きた時の身の守り方などを解説している。

 この教材は、文部科学省が昨年10月に公表した「放射線等に関する副読本」を横浜市教育委員会が要約し、A3判のプリントにしたもの。市教委は昨年12月に教員向けの研修会を開き、年度内に授業をするよう求めた。小学校低学年で30分程度、中学校では100分程度の授業が始まっている。

 緑区の小学2年の児童の保護者(41)は授業後、「放射能は役に立つ」という感想が多かったと聞いて不安になった。「子どもはスイセンや、X線の例など目新しい知識に注意を引かれ、『大丈夫、安全』という印象を持ってしまう」と心配する。

 「事故前と今で身の回りの放射線量がどう変わったのかなど、今起きていることを教えて欲しい」

 手探りで教える教員側にも戸惑いが広がる。旭区の中学校教諭(51)は「原発事故で多くの人が苦しんでいるのに、『安心神話』を振りまく授業になりはしないか」。鶴見区の小学校教諭(56)は、「給食の汚染を心配して弁当を持参する子に対し、『心配しすぎ』という意見が出ないか」と懸念する。

 市教委は「内容に偏りがあるという見方もあるが、公的に作られた副読本なので引用した。ニュースでも多く取り上げられるため、まずは基礎的な知識を学んでもらうのが狙い」と説明している。(星井麻紀)

■横浜市教委が作成した教材の抜粋

・放射線は、太陽や蛍光灯から出ている光のようなものです。
・目に見えていなくても、私たちは、今も昔も放射線がある中で暮らしています。
・放射線の利用が広まる中、たくさんの放射線を受けてやけどを負うなどの事故が起きています。
自然にある放射線や病院のエックス線撮影などによって受ける放射線の量で健康的な暮らしができなくなるようなことを心配する必要はありません。
・一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません。
しかし、(中略)放射線を受ける量はできるだけ少なくすることが大切です。
・事故が収まってくれば、それまでの対策を取り続けなくてもよくなります。

中学3年生からの原発に関するメッセージ

さようなら原発1000万人アクション 藤波心さんのスピーチ

みなさんこんにちは、藤波心です。

東日本大震災、あともう少しで1年がたちます。
3.11以降、私の価値観は大きく変わりました。

人類の歴史に残るような大きな事故なのに、
たいしたことが無いように見せる国の姿勢や、報道。
検査も少ししかしていないのに、経済を守るために緩すぎる基準。
「食べて応援しよう」なんていう、人の命の重さを無視した、無責任な国を挙げてのキャンペーン。
私は、これはすごく怖いことだと思います。

日本って、こんな国だったんだと、残念な気持ちになりました。

今日本は歴史上、大変な危機に面していると私は思います。
この狭い国土に、この地震が多い国土に、
気が付いたら、原発を54基も建ててしまっていた。

これは、繁栄の象徴でもなく、ただの時限爆弾です。

もし、またどこかで大地震が起きて、別の原発が爆発するようなことがあったら、
今度こそ、日本は終わりだと思います。

いつ爆発するか分からない爆弾と一緒に生活するなんて、私は絶対に嫌です。

美しい山や川、海、歴史ある町
美味しい山の幸や海の幸

もう、私たちの国土に第二の福島をつくっては絶対にいけません。

私たちは所詮ちっぽけな生き物です。
どうやったって地球の自然には勝てません。
科学が発達したからといって、人類が何でもコントロールできると思ったら、大間違いです。

自然の中に生きる私たちは、絶対に自然を超えることはできません。

こんな、地震の多い国に、原発を造りまくるというのも、
自然をバカにした人類のおごりだと思います。

私たちは原発によって支えられていたのではなく
何も知らない私たちが、原発を支えていたのだと思います。

よく、「経済がダメになるから原発は必要だ」と言う人がいます。
でも、今の日本は、原発があるから経済がダメになってしまっているように私には思えます。

いまこそ、本当の幸せとは何か、豊かさとは何か、
考え直す時がきているんだと思います。

いつも最後にしわ寄せが来るのは、一般市民や弱い人、子どもたちです。
みなさん、1人1人の力は、大きな力に変わります。
子どもたちの明るい未来も、そして、日本の未来も、守って下さい。
よろしくお願いします。

最後に、今日は「ふるさと」を歌って終わりたいと思います

2012/02/13

原発周辺の白血病 ドイツやフランスで約2倍 玄海原発は6倍

ドイツやフランスの原発周辺、イギリスやフランスの核燃料再処理工場の周辺では、事故が起こらなくても周辺住民の病気を増やしています。日本も早く疫学調査に取り組む必要があります。

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「原発周辺で小児白血病が倍増」フランス国立保健医学研究所が発表
フランスで、原発から5キロ圏内の子どもと一般の子どもの白血病発生率の比較を行った。15歳以下の子どもは、他地域の子どもに比べ白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い

ドイツ政府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、 小児白血病は2.19倍となっています。

日本国内ではどうなっているのか気になって、佐賀県の玄海原発で調べてみました。(疫学調査の専門家の皆さんは、ぜひ全国の原発周辺の調査をして下さい)

1998年~2007年まで10年間の数値を調べて分かったことは、玄海原発に近いエリアほど白血病が多く、年々増えてきていることです。

    <1998~2002年の平均>  <2003~2007年の平均>
全国平均        5.4人             5.8人     
佐賀県全体      8.3人             9.2人
唐津保健所管内  12.3人            15.7人
玄海町         30.8人            38.8人
(人口10万人あたりの白血病による死者数)

この5年では、原発がある玄海町の白血病による死亡者は、全国平均の6~7倍ということになります。この情報をぜひ多くの人に伝えて下さい。 佐賀県だけでなく全国の原発立地県で本格的な疫学調査を行う必要があると思います。

佐賀県と唐津保健所管内と玄海町の白血病による死亡の状況
(人口10万人あたりの白血病による死者数)

※玄海町の人口は05年現在で約6700人で、03年は白血病の死亡なし
厚生労働省人口動態統計より

唐津市議会 玄海原発周辺の白血病増加について 一般質問

泊原発がある泊村は、北海道で一番がん死亡率が高い。千歳市の4倍

「原子炉閉鎖で乳児死亡率激減」 最大で54%マイナス 米研究機関
調査は免疫学や環境問題などを専門とする医師、大学教授などで組織する「レイディエイション・パブリック・ヘルス・プロジェクト」(RPHP)が、原子炉を閉鎖した全米7ヶ所の原発を対象に、半径80キロ以内の居住の生後1歳までの乳児死亡率を調べた。原発が稼動中は乳児死亡率が高い。

イギリス再処理工場周辺 小児がん発生率 一般の2〜15倍 
2002年、国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べ、白血病、リンパ腫など血液のガンの発生率が2倍近く高く、工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあった。

事故を起こさなくても原発をやめなければならない6つの理由

1、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、住民に被曝させ、脳腫瘍、肺ガン、胃ガン、大腸ガン、骨のガン、皮膚ガン、乳ガンや子宮ガンなどが増えている。

2、原発の運転が始まると原発周辺にガンや白血病を多発させている。

3、原発で働く人たちの被曝労働

4、海の環境を破壊する温排水と吸水(プランクトン、魚卵、稚魚などが死滅)の問題

5、核燃料再処理工場からの膨大な放射能の排出問題

6、100万年後の世代にまで重荷を負わせる「放射性廃棄物」の問題

福島県双葉町に「死の灰」が降ったという井戸川町長の話

マスコミには流れていない、とても重要な証言

「烏賀陽さんからの福島県双葉町の井戸川町長の話」」から抜粋
(hirougaya 2012/02/12 01:49~02:35:49)

福島県双葉町に「死の灰」が降ったという井戸川克隆町長のお話、あまりに驚いたので今夜のうちにお知らせします。

(福島県双葉町・井戸川克隆町長の話1)同町は福島第1原発が町内にある「立地自治体」。町全体が立入禁止(警戒区域)になって全町民6400人が避難。練馬区くらいの大きさの町。役場は埼玉県加須市に移転。きょう移転先役場で町長に会った。

(福島県双葉町・井戸川克隆町長の話2)移転先は埼玉県加須市、生徒が減って廃校になった騎西高校をそのまま使っている。なお500人弱の双葉町民がそのまま避難生活を続けている。そのありさまにも驚いた。アパートなど借り上げ住宅に移っていない人もまだそんなにたくさんいるのだ。

(福島県双葉町・井戸川克隆町長の話3→以下、記載省略)3.11一周年を前に取材が殺到したため「まとめて会見に応じましょう」という感じで町長は土曜日の午後1時半から6時半までずっと質疑応答しっぱなし。「テレビ」「新聞」「フリー」と3グループ別。頭が下がる。ありがとうございました。

「町民は、過去の歴史だけでなく、将来をも奪われてしまった。これはどんな価値よりも大切なものを奪われたということです。それは東京電力の補償など絶対に追いつかない」

新聞テレビは10数人集まっていたが、フリーは私ともう一人しかいなかったので、かなりぜいたくな「半分独占取材状態」になった。ありがとうございました。

「どの方向に」「何で避難する」避難指示が国や県からなかったので、役場の前の旗を見て風向きを見て逃げる方向を判断せざるをえなかった。

それまでの毎年の避難訓練は「電源が失われたが、3時間くらいで復旧、冷却装置が作動」というシナリオだったので、まったく役に立たなかった。

町民はやむなくバラバラにマイカーで逃げるしかなかった。福島県川俣町が避難を受け入れることを決めたので、防災無線で「とにかく川俣町へ」と必死で呼びかけた。

12日、町民が脱出するなか、双葉厚生病院の前で入院者や近くの老人ホームのお年寄りをバスに乗せる誘導をしていたら、最初の水素爆発が起きた。「ズン」という鈍い音がした。

12日「ズン」という鈍い音がした。「ああ、とうとう起きてしまった」と町長は思った。数分して、断熱材(グラスファイバー)のような破片がぼたん雪のように降ってきた。「大きなものはこれぐらいあった」と町長は親指と人差し指でマルをつくった。

双葉厚生病院は福島第1原発から2キロしか離れていない。雪のように断熱材(?)の破片が降るのを、300人くらいの町職員や医師、看護師らが呆然と見つめた。町長は「これでもう終わった」と思った。

福島第1原発から断熱材(?)が雪のように降り注ぐ光景を、町長は「それはそれは不思議な光景だった」と振り返る。「そういう映画にでも出てきそうな光景だった」。なすすべもなく、服についた「チリ」を手で払い落とすしかなかった。

そうした「福島第1原発からのチリ」を浴びた町長に「それは危険なものだという認識はあったのですか」と問うと「今でも『もう終わった』と思っている」と応えた。「それはどういう意味ですか」と問い返すと「鼻血がとまらない」と言った。

「ずっと鼻血がとまらない。鼻をかむと今でも血が出る。たらたら垂れることもある。もう乾燥しているんだかなんだかわからない」

「胸から下、すね毛まで毛が抜けてつるつるになった」「銭湯で隣に座ったじいさんが『おい、女みたいにすべすべになっているぞ』というので気づいた」「陰毛だけは大丈夫だった」「体毛がないと肌着がくっついて気持ちが悪い」

3月11日直後から東電の職員は2人が町役場に来ていた。ふだんから担当している広報課の職員だ。しかしメルトダウンや水素爆発の情報は何も教えてくれなかった。今から思うと顔面蒼白で、知っていたのかもしれない。

補足。政府が決めた「ベント」も何の予告もなかった。町民が真下にまだいるのに、ベントが行われた。自分たちを日本国民と思っているのか。まるで明治維新の前からそのままではないか。

「死の灰」の話にびっくりして「その場(双葉厚生病院前)に何人くらいいたのですか」と町長に問うた。町長は「300人くらい」と応えた。絶句した。若い職員、医師、看護師もいたという。町長は「バス一台分乗っただけだった」と残念がった。

「12日の水素爆発のあと、福島第1原発から断熱材の破片のようなものが雪のように降ってきた」。その後飯舘村にいた人が「空気中を繊維のくずのようなものがキラキラ舞っていて、あれ、外なのにおかしいなと思った」という証言と一致する。

水素爆発のあと、福島第1原発から双葉町に降り注いだ断熱材(グラスウール)の破片のようなもの。これはどう考えても「死の灰」ではないのか。

12日、「ズン」という鈍い音がして、福島第1原発が最初の水素爆発を起こしたあと、数分後に、双葉厚生病院前に断熱材(グラスウール)の破片のようなものが「ぼたん雪のように」降り注いだ。=烏賀陽注:これはどう考えても「死の灰」ではないのか。

(福島県双葉町・井戸川克隆町長の話23)ちなみに、3月12日の最初水素爆発のあと、福島第1原発から双葉町に「ぼたん雪のように」降り注いだ断熱材(グラスウール)の破片を町長が目撃した双葉厚生病院は、同原発から2キロしか離れていない。

12日の水素爆発の映像を見ると、煙は北〜北西方向に流れているので、双葉町長が「双葉厚生病院に降下物が降った」という証言は矛盾しないのです。>福島第一原発 爆発の瞬間 2011 03 12 1536頃発生: http://t.co/0HVTjEt0 @youtubeさんから


【震災】「失敗と思ってない」集団避難の双葉町長
(02/12 00:35 テレビ朝日 ANNニュース)

 原発事故の影響で埼玉県加須市に役場ごと避難している福島県双葉町の町長が、震災から11カ月を迎え、集団避難について「失敗だとは思っていない」と振り返りました。

 福島・双葉町、井戸川克隆町長:「(町民の)放射能に対する不信感はものすごく強い。多くの子どもを(埼玉に)連れてこられて良かった

 11日に会見した井戸川町長は、新たな場所に再移転することについては、場所や方法を町民らと議論したいと話しました。避難所となっている旧騎西高校では、震災の発生時刻に合わせ、約30人が黙とうを捧げました。今も約500人が教室や体育館で避難生活を続けていて、そのうちの4割は65歳以上の高齢者です。

 避難している双葉町民:「行くとこないから(ここに)いる。希望だけは持ちたい」


「国民と思っているか」 野田首相を福島・双葉町長が問い詰める
(2012.1.8 20:48 産経ニュース)

 福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」で8日、東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉町の井戸川克隆町長は「私たち双葉郡民を日本国民と思っていますか。法の下に平等ですか。憲法で守られていますか」と野田佳彦首相に問い詰めたことを明らかにした。

 終了後、井戸川町長が記者団に語った。首相は「大事な国民である」と答えたという。町長は発言について、事故後、双葉町が多くの問題を抱えたままとした上で「あるのは放射能だけ。平等になっていない」と述べた。

 また、政府が検討を進めている警戒区域の見直しで、居住できる目安を年間20ミリシーベルト以下としていることに関しては「(20ミリシーベルト以下で)安全と思っている安全委員会の委員の家族に住んでもらって、安全を確認させていただきたい、と申し上げた」と話した。

 双葉町は警戒区域に指定され住民が避難している上、役場機能も埼玉県加須市に移転している。

2012/02/12

2号機約75度に上昇 注水増やす(2月12日 1時57分 NHK)

2号機約75度に上昇 注水増やす
(2月12日 1時57分 NHK)

東京電力福島第一原子力発電所の2号機の原子炉の一部で温度が上昇している問題で、11日夜、温度計の1つが75度近くを記録し、東京電力は、原子炉への注水量をさらに増やす対策を取りました。この温度は、去年12月、政府と東京電力が、「冷温停止状態」を宣言したあとで、最も高くなっています。

福島第一原発の2号機では、原子炉の底にある温度計の1つが先月下旬から徐々に上昇し、今月6日には73.3度を記録したことから、東京電力は、7日、原子炉への注水量をこれまでで最も多い1時間当たり13.5トンに増やしました。

その結果、この温度計は、8日に64.1度まで下がりましたが、10日夜から11日夜にかけて、再び71度台を記録するようになり、11日午後11時には74.9度まで上昇しました。

この温度は、注水量を増やす前の73.3度をさらに上回っていて、去年12月、政府と東京電力が、原子炉の温度が100度以下に下がったとして、「冷温停止状態」を宣言したあとで最も高くなっています。

こうしたことから、東京電力は、11日午後11時前に2号機の注水量をさらに増やして、14.6トンにする対策を取りました。

東京電力によりますと、▽12日午前0時には71.1度、▽1時には69.5度、▽2時には71.9度になったということです。

「冷温停止状態」を受けて、東京電力が見直した新たな規定では、温度計の誤差が最大で20度あることを考慮して、原子炉の温度を80度以下に維持することを定めています。

原子炉の底にあるほかの2つの温度計は、35度程度まで下がっているということで、東京電力は、「原子炉が危険な状態になっている訳ではないが、監視を続けたい」と説明しています。


2号機の温度、75度に上昇 福島第一原発、原因は不明
(2012年2月12日0時52分 朝日新聞)

 東京電力は12日未明、炉心溶融事故を起こした福島第一原発2号機の原子炉圧力容器の底の温度が一時約75度に達したと発表した。11日午後10時45分に原子炉への注水量を毎時1トン増やし同14.6トンにしたことで、温度上昇は止まると見ているが、依然として原因はわかっていない。

 東電によると11日午後5時の温度は69.5度。午後11時に74.9度まで上がった。午前9時は71.3度だった。ただ、同じ高さには別に二つ温度計があり、こちらは35度近くで推移している。

 圧力容器下部温度は6日には一時73.3度に達したが、原子炉への注水量を増やした7日未明以降、64?71度の間で推移していた。圧力容器下部の温度が80度を超えると「冷温停止状態」の条件を満たさなくなる。

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