「原発継続しか活路はない」という人を委員に選んだ政府

まるで原発事故などなかったかのように物事が進んでいる。

原子力は六つの重要戦略の一つ 国家戦略室が原案

 東京電力福島第1原発事故を受け、政府が新たに設けた国家戦略室がまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」素案が4日、判明した。

 六つの「重要戦略」の一つとして原子力を挙げ、「世界最高水準の原子力安全を目指す」など、原発推進路線を堅持する姿勢を鮮明にしたのが特徴。国家戦略相が議長となる「エネルギー・環境会議」を新たに設置し、7月中に戦略の「中間整理」をまとめ、来年中の決定を目指す。

 原子力政策の大幅修整には踏み込まないため、抜本的なエネルギー、環境政策の見直しにつながらないことを危惧する声が政府内からも出ている。。
2011/06/04 16:45 【共同通信】


東電リストラの調査委開催を決定 弁護士・下河辺氏ら(日本経済新聞)

2011/5/24 20:44

 政府は24日の持ち回り閣議で、東京電力の資産・財務内容や経費削減の努力を調査する第三者委員会の開催を決めた。近く第1回会合を開く。委員は5人で、弁護士の下河辺和彦氏が委員長に就任。JR東海の葛西敬之会長、松村敏弘・東京大教授らが選ばれた。東電にリストラを徹底させ、福島第1原子力発電所事故の損害賠償の原資を捻出するための監視役を担う。

東京電力に関する経営・財務調査委員会
下河辺和彦 弁護士
引頭 麻実  大和総研執行役員
葛西 敬之  JR東海会長
松村 敏弘  東京大学教授
吉川 広和  DOWAホールディングス会長

 政府は東電の損害賠償を国が支援する枠組みを打ち出しているが、まず東電自身がリストラを徹底し、政府が設ける委員会の調査に応じることを条件としていた。

 委員会の正式名称は「東京電力に関する経営・財務調査委員会」。原子力経済被害担当相が開催し、東電職員らを出席させて経営・財務に関する資料提出や説明を求めることができる。必要な場合は、電気事業法に基づく報告徴収命令を出すよう、経済産業相に要請することもできる。

 委員長に就任した下河辺氏は、東京弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長などを歴任。産業再生機構の社外取締役や産業再生委員を務め、企業財務や資産査定に詳しい点が起用の決め手となった。


JR東海会長・葛西敬之 原発継続しか活路はない
2011.5.24 03:53

 津波による福島第1原発の被災により日本のエネルギー政策は最後通告を突きつけられた形だ。

 一方では、現場の映像や風説に恐慌を来した人々が原発反対を唱え、定期点検を終了した原子炉の運転が再開できない状況である。全国54基の原発プラントはこれまで総発電量の約30%を発電してきたが、既に7基がこのような形で運転停止となり、このままでは1年余りのうちにすべて停止してしまうだろう。

 もう一方には地震・津波・原発事故で損害を受けた人々を支援し、被災地域を復興するという大事業があるが、そのためには日本経済が力強く活力に満ちていなければならない。経済の血液循環とも言うべき電力の安定供給を瞬時も途切れさせてはならない。

 相剋(そうこく)する2つの現実のはざまで日本はまさに進退窮まってみえる。

 原発停止を求める人々は火力発電や再生可能エネルギーの活用に活路を求めよと主張する。しかし質・量・コストいずれの点から見ても一部補完以上の期待はできない。

 今日の原発は50年に亘(わた)る関係者の営々たる努力と数十兆円に上る設備投資の結晶であり、それを簡単に代替できる筈(はず)がない。原発を止めれば電力供給の不安定化と電力単価の高騰を招き、それに続く企業の業績悪化、設備投資・雇用の縮小、経済の停滞・空洞化、税収の減少、財政の悪化、国債の信用崩壊などの連鎖は日本経済の致命傷となりかねない。

 これまで原子力発電はクリーンで低コストの自前電力を確保する国策の切り札として推進されてきた。原子力を利用する以上、リスクを承知のうえで、それを克服・制御する国民的な覚悟が必要である。国はそれを正面から問うべきだった。しかしながら見たくない現実には目をつむり、考えたくない困難には心を閉ざす敗戦後の日本の弊風(へいふう)の中でリスクはできるだけ当事者の腹中に収め、必要性と利用価値のみをアピールする形でしか進め得なかった。今回の災害がもたらした原発危機の淵源(えんげん)はここに発する。

 しかしすぐにでも現場の安全対策に生かせる貴重な教訓も得られた。それは初動における迅速な決断と果断な処置が被害を最小限に食い止める鍵を握るということだ。緊急時の責任体制と対処方法を明確に定め必要な資機材を適切に配置し、迅速な動員体制を整え、日常の訓練により十分に習熟しておけば同じ災害に直面しても今回の事態は避けられる。

 日本は今、原子力利用の前提として固めておくべきだった覚悟を逃げようのない形で問い直されているのだが、冷静に現実を見れば結論は自明である。今回得られた教訓を生かして即応体制を強化しつつ、腹を据えてこれまで通り原子力を利用し続ける以外に日本の活路はない。

 政府は稼働できる原発をすべて稼働させて電力の安定供給を堅持する方針を宣言し、政府の責任で速やかに稼働させるべきだ。今やこの一点に国の存亡がかかっていると言っても過言ではない。本件については与党も野党もない。日本の政治家として、声を一つにして国民に語りかけ、日本経済の血液循環である電力の安定供給を守り抜いてほしい。この一案件だけに限った挙国一致内閣があっても良いのではないかと思う。(かさい よしゆき)

————–記事の引用は以上————

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★こんな偏った考えの人を「東電の資産・財務内容や経費削減の努力を調査する第三者委員会」の委員に選ぶのは、原発を推進してきた経済産業省の中に「原子力安全・保安院」を置いたのと同じ過ちである。

この路線の行き着く先は、原発との心中であり、一部の人間に個人的な利益をもたらし、子どもたちと未来世代には犠牲をもたらす。

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