2011/03/30

放射性物質:被ばく限度の大幅引き上げ

5日ほど前に、原発事故についてのインタビューを受けました。
「子どもたちを放射能から遠ざけて下さい」

その中で、水道水の放射能基準値について話しています。

> 水道水を例にとると、放射性ヨウ素の基準値が原発事故の前は10ベクレル
> だったものを300ベクレルに設定し直し、乳児のみ100ベクレルに設定
> したわけですが、その100ベクレルをも超えてしまったわけです。
> WHO(世界保健機関)の基準値が10ベクレルですから、その10倍以上の
> 汚染値ということになります。

この点について、再確認してみました。

飲料水の水質ガイドラインは、WHO(世界保健機関)の基準に合わせていた
ということで、現在の基準「10ベクレル」だと思っていました。
(英文:203ページの中央やや下の131I)

ところが、もっと詳しく調べてみると、驚きの数字が出てきました。
東京都の水道局が、3月17日に発表した資料にこう書いてあります。

(注1)WHO飲料水水質ガイドラインの値は、全α放射能では0.5 Bq/L、全β放射能では1 Bq/Lです。

つまり、東京都の水道水の放射能安全基準は、3月17日を境に
以下のように変わったことになります。(水1リットルあたり)

【全α放射能では0.5ベクレル、全β放射能では1ベクレル】
            ↓
【大人:300ベクレル 乳幼児:100ベクレル】

要するに、100倍以上も甘くなっています。

3月17日東京都水道局 「水道水の放射能の測定結果について」

3月23日東京都水道局 「水道水の放射能測定結果について」

以下、参考資料

WHO飲料水水質ガイドライン(第3版)
(英文 第9章 放射線学的観点 P197~209)

原発事故後に原子力安全委員会が定めた基準値

参考までにあるサイトから「世界の水道水放射線基準値」


「放射線に関する政府の規制 信じて良いのか悪いのか」から抜粋
ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版

放射線の被曝量についての規制が大幅に緩められたり、食品の放射線量の上限が既存の類似の基準と比べて緩く規定されたりしたことから政府の放射線量の規制に疑問の声が強まっている。

これについて人々の受け止め方にはおおむね二通りある。

まず、「今まで政府は放射線など少ないに越したことはないと思って、ろくろく考えずに非常に厳格な基準を決めていたんだろう」と思っている人たち。それから、「福島の原発からどんどん放射線が飛散しているので、国民を安心させようと思って緩めているのだろう」と思っている人たち。いずれにせよ、「時と場合によって変わる基準値って何なんだ」という国民の不信感につながっている。

最初にびっくりしたのが、福島原発で頑張っている作業員たちの被曝線量の制限だ。いきなり2.5倍に引き上げられたのである。事故の前、放射線業務従事者が被曝していい放射線量は「電離放射線障害防止規則」で50ミリシーベルト、緊急時は100ミリシーベルトと定められていた。それを厚生労働省は 15日、福島第1原発の作業員に限って250ミリシーベルトにすると発表したのだ。この変更で、福島原発の状況は相当危機的なのではないかという憶測を生んだ。(中略)

次に食品から検出される放射線の量の基準だ。水道水からヨウ素131が検出されたとき、「暫定」規制値を上回る・・という表現がなされていた。厚労省によると、実はそれまで基準がなかったので、17日になって、原子力を安全に利用するため行政機関や事業者を指導する役割を担う原子力安全委員会が示していた指標値を、暫定的に使用することにしたのだという。

この基準がそれ以前からあった輸入食品に関わる規制よりも緩いものだったことから、ネット上で、この基準で大丈夫かという批判が渦巻いた。

では、今回その基準はどのように決められたかというと、ICRPの勧告した放射線セシウム(1年当たり実効線量5ミリシーベルト)、放射線ヨウ素(同50ミリシーベルト)をベースに、それぞれの食品を飲食するときの量などを考慮して専門家が定めたという。その結果が放射性ヨウ素で飲料水、牛乳(原乳)なら1キログラム当たり300ベクレル、セシウムは同200ベクレル、野菜類ならヨウ素同2000ベクレル、セシウムなら同500ベクレルといった上限値だ。輸入食品については、チェルノブイリの後、セシウムについて1キログラム当たり370ベクレルという暫定規制値が使われていた。
(以下、省略)


放射性物質:被ばく限度「引き上げを」 国際組織が勧告 (毎日新聞)

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、東京電力福島第1原発事故で放射性物質の漏えいが続いていることについて、日本の現在の被ばく線量限度(一般人で年1ミリシーベルト)を引き上げる検討を求める勧告を出したことが判明した。

 勧告は21日に出された。それによると、今回の事態を受け、緊急的に一般人の年間被ばく限度を100~20ミリシーベルトの範囲に引き上げることを求めた。また「原発事故が収束したとしても、原発周辺地域に汚染が残る」と分析。地域住民がふるさとを捨てず、住み続けることができるよう、線量限度を20~1ミリシーベルトの範囲で設定し、長期的に1ミリシーベルトを目標とすることを提案した。いずれも現在の限度を大幅に上回る数値だが、「緊急事態と汚染が広がっている地域の将来を考えるうえでの一助にしてほしい」と求めている。ICRPは従来、自然被ばくや医療上の被ばくを除いて職業上の被ばくの限度は5年間で100ミリシーベルト、年50ミリシーベルトとし、一般人は年1ミリシーベルトとすることを勧告している。【永山悦子】

毎日新聞 2011年3月25日 21時32分



原発 緊急情報(29) 被曝を少なくする方法(その1) から抜粋

放射線の被曝では低い線量から死亡者が出ます。問題はその死亡者の比率をどのくらいだったら危ないかとすることなのです。国際的には放射線に被爆することによって、「1000人に1人」ぐらい死亡者が増える状態を「危ない状態」とすることになっています。

だから1万人に1人ぐらいの死亡者になる放射線なら認められています。しかし、「100人に1人」となると相当なものですから、これは「我慢ができないほど危険」と考えられています。

国際的に認められている具体的なデータを説明します。

「年齢別死亡率」というデータを30才から10才毎に記録して整理されています。

40才の人を取りますと、1ミリシーベルトの時に4人が死亡する条件では、5ミリシーベルトで22人、10ミリシーベルトで37人、50ミリシーベルトで190人というのが基準となるデータです。

つまり放射線というものは、1ミリシーベルトだから安全とか10ミリシーベルトだから安全というのではなく、「被曝する量が増えると死亡する人が増える」ということです。

もちろん死亡するまでには病気にかかるので、病気(脱毛、不妊、白内障、甲状腺ガン、白血病)にかかるという点では死亡数よりも多くなります。

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