「年20ミリシーベルトを超えない」と南相馬の避難勧奨を解除 住民反発

ウクライナ、ベラルーシ、ロシアでは、原発事故から5年後には、「チェルノブイリ法」を制定し、年5ミリシーベルトを超える地域は、「移住の義務」+補償があり、年1~5ミリシーベルトの地域には、「移住の権利」+補償があるため、避難しやすくなりました。しかし、福島原発事故からまもなく4年になる日本では「住民を被ばくから守ろう」という姿勢がなく、年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト相当)を下回り、「健康に影響ないレベルになった」(高木陽介経済産業副大臣)などとチェルノブイリでの健康被害(5ミリシーベルト以下でも凄まじい健康被害が出ている)を無視して「20ミリシーベルトを超えない」地域に住民を戻そうとしており、補償も打ち切る予定です。

避難勧奨、最後の解除・南相馬
(2014年12月29日 河北新報)

 南相馬市内の152世帯が指定された東京電力福島第1原発事故に伴う国の特定避難勧奨地点が28日午前0時、解除された。福島県内の勧奨地点は全てなくなった。市によると、指定世帯の約7割が現在も避難を続けている。国の決定を「一方的だ」と非難する声も強く、地元ではさらなる環境改善を訴えている。

 勧奨地点はもともと往来の制限が無く、解除時に、バリケードの撤去作業などはなかった。

 国は全世帯が指定基準の年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト相当)を下回り、「健康に影響ないレベルになった」(高木陽介経済産業副大臣)として解除に踏み切った。指定時に平均毎時2.4マイクロシーベルトだった線量は、除染で同0.4マイクロシーベルトに下がった。しかし、同1マイクロシーベルトを超える世帯もあり、地域には原発20キロ圏内より線量が高い場所が散見される。

 勧奨地点があった行政区長は、再除染と住民の被ばくを管理する健康手帳の発行などを国に求めてきたが、実現しないまま解除を迎えた。解除に伴い、慰謝料は来年3月で打ち切られる。避難の継続は家計の負担増にもつながる
 地区30世帯の半数を超える17世帯が指定されていた同市原町区の大谷行政区の場合、指定世帯だけでなく、非指定世帯の避難者もいる。藤原保正区長(66)は「まだ空間線量が高く、特に若い住民の不安が消えない。解除は納得できない」と憤る。

 藤原区長は、国の対応次第では法廷闘争も辞さない構え。住民らと解除差し止めの訴訟についても検討しているという。

 原町区の自宅が勧奨地点になり、子ども3人と新潟市に避難する杉由美子さん(45)は「子どもに不必要な被ばくはさせられないので、慰謝料がなくなっても戻れない。解除で周囲に『戻れるんでしょ』と思われるのがつらい」と話した。

[特定避難勧奨地点] 福島第1原発20キロ圏外の比較的放射線量が高い地域で、世帯ごとに指定。避難区域のような強制避難ではなかったが、国が避難を勧奨したため、避難区域と同様に1人月額10万円の慰謝料の対象。伊達市と福島県川内村の計129世帯は2012年12月に解除された。

南相馬の避難勧奨地点を解除
( 2014/12/28 福島民報)

 政府の原子力災害現地対策本部は28日、東京電力福島第一原発事故に伴い放射線量が局所的に高いために指定した南相馬市の特定避難勧奨地点142地点(152世帯)を解除した。県内の特定避難勧奨地点は全てなくなった。ただ、住民からは「除染が不十分」などの根強い反発があり、指定されたうち約8割に上る避難世帯の帰還が進むかどうかは不透明で、住民の不安払拭(ふっしょく)が課題となる。

 南相馬市には、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるとみられ、特定避難勧奨地点に指定された地点が橲原、大原、大谷、高倉、押釜、馬場、片倉の7行政区にあった。対策本部が7、8の両月に実施したモニタリング調査で、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実となったため、県、市に指定解除を通知。市を通じて住民に通知された。

 しかし、住民の放射線に対する懸念は払拭されておらず、「宅地内に放射線量が高い場所がある」と再除染を求める声もある。市除染対策課は「帰還促進のため対応する必要がある」としているが、実施時期は市の除染計画に基づいた20キロ圏外の除染が完了する29年3月以降にずれ込む可能性があるという。

 さらに、宅地周辺の林野部の除染は周辺20メートルまでと限定的な対応となっている。林野全体の除染は、政府の方針が定まっておらず、手付かずの状態だ。特定避難勧奨地点があった行政区長らでつくる南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会の菅野秀一会長は「自分が知る限り、解除されたから帰るという住民はほとんどいない。徹底的な除染が必要だ」と指摘する。

 市は住民の帰還促進対策として、専門家による健康相談やホールボディーカウンターによる継続的な内部被ばく検査を行う考えだ。原子力災害現地対策本部の担当者は「生活再建の時期や方法は各世帯で異なる。地元である市の取り組みを支援していく」としている。


南相馬の避難勧奨すべて解除 住民反発「線量まだ高い」
(2014年12月28日 朝日新聞)から抜粋

 東京電力福島第一原発事故の避難指示区域外で局所的に放射線量が高い地点を政府が指定し、住民に避難を促していた「特定避難勧奨地点」が28日午前0時、全て解除された。だが今回、指定が解除された福島県南相馬市の152世帯の住民の多くは「線量がまだ高い」などとして解除に反対し、「すぐには帰還しない」と話している。

 同地点には年間積算線量が20ミリシーベルト(毎時換算3・8マイクロシーベルト)を超える恐れがあった同市や同県の伊達市、川内村の一部で計281世帯が指定されたが、南相馬市以外では2年前に既に解除された。

 政府は解除の理由について、今夏に実施した現地調査をもとに「指定基準値(20ミリ)を十分に下回り、健康被害は考えにくい」と住民らに説明。東電から住民への精神的賠償支払いを今年度末まで続ける・・・

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