2014/05/15

「子どもたちに美しい自然を残したい」という村長が逮捕された

1980年代後半から無農薬コーヒーのフェアトレード事業に取り組んできた私は、90年代に入り、森と共生しながら(あるいは、森を再生しながら)森の中で農薬も化学肥料も使わずにコーヒーや果樹などを栽培してきた中南米の生産者に出会い感動しました。

特にエクアドル・インタグ地方の生産者と住民は、森を破壊する「鉱山開発」という名の自然破壊に対しても20年にわたって反対し続けてきました。しかし今、ラファエル・コレアという大統領が住民の意思を無視して暴力的な開発を進めるために、鉱山開発に反対するリーダーを不当に逮捕しました。

自然を愛し、「目先の経済」よりも子どもたちや未来世代の幸せを考え、自然と共に生きてきたエクアドルの友人たちから緊急要請が届きました。その内容は、「子どもたちに美しい自然を残したい」と先頭に立って鉱山開発に反対してきたフニン村のハビエル・ラミレス村長が逮捕され、拘留されてしまった。(すでに1ヶ月以上も拘留が続いている)早期釈放に向けて協力してほしいというものです。

フニン村のハビエル・ラミレス親子と中村
(不当に逮捕されたハビエル・ラミレスさん親子と中村、8年前の写真)

南米エクアドルの北西部に位置するインタグ地方の森は、世界でも屈指の生物多様性(多種多様な動植物が生息していること)を誇り、地球上から減少し続けている生物の「種の絶滅」を防ぐ上で、最も重要な場所の一つだといわれています。ところが、この地域には銅や金などの地下資源が眠っているため、常に「鉱山開発」の標的にされてきました。

子どもたちが遊ぶフニンの川IMG_2228
(鉱山開発が強引に進められようとしているフニン村の川で遊ぶ子どもたち)

これまで、日本やカナダの鉱山会社が執拗に「開発」しようとしてきましたが、地域住民は「目先の利益」よりも「子どもたちに森や川を残したい」と20年間も鉱山開発に反対し続けてきました。

それほどまでに守りたい自然とは、どのようなものなのか。
友人のカルロス・ソリージャさんが撮影した写真をご覧下さい。

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赤い鳥・カルロス写真

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このような美しい自然が、鉱山開発を行うと見るも無残な姿に変わり果ててしまいます。
「開発」という名の自然破壊の例をご覧下さい。

鉱山開発2

鉱山開発4

鉱山開発3

鉱山開発5

鉱山開発1グーグル
(写真は、エクアドルの環境保護団体DECOINのサイトから)

このような自然破壊の実態を広く世界の人々に伝え、より多くの声を集めて、インタグの人々と共に自然を守っていきたいと思います。

福島原発事故の後、東北や関東から子どもを連れて避難してきたお母さんたちが言いました。「九州に来て、安心して空気が吸えて、安心して水が飲めて、安心して食べ物が食べられる。そして、安心して子どもたちを大地で遊ばせることができる。これほどうれしくて、ありがたいことはありません」と何人ものお母さんから聞きました。

私たちは、宇宙の中に奇跡のように誕生した美しい星に生きていることの「ありがたさ」や「幸せ」を忘れがちです。

この星には今、3000万種以上の生物種が生きていると言われていますが、その地球に住む「大家族」の一員に過ぎない人類が、まるで独裁者のように「人間のためなら他の生物に対して何をしても構わない」といった態度で、自然を破壊し続けています。

わずか十数年の「目先の経済」のために、半永久的に私たちの命を支えてくれる生態系を破壊しています。その愚かさに気づいたエクアドル・インタグ地方の人々は、子どもたちだけでなく遠い未来の世代にも豊かな自然を残せるような生き方を模索する中で、森と共存できるアグロフォレストリー(森林農法)に着目し、地域に広めてきました。

アグロフォレストリーは、森林を切り払って単一の作物を大量に生産する一般的な農法(プランテーション農法)とは対照的に、森を残し、その中で多様な作物や樹木を育てる農業システムです。コーヒーのアグロフォレストリーシステムの場合、多様な果樹と作物、そして日陰樹となる木々と一緒にコーヒーを栽培します。こうした多品目栽培は、落ち葉などによって土壌が豊かになり、「益虫」も含めた生物多様性のある環境によって、害虫や病気が発生したときにも、その広がりが抑えられるため、農薬を使用せずにコーヒーを栽培できます。

一方、プランテーション農法では、病害虫対策と収穫量を増やすために農薬や化学肥料が大量に使用されます。森林農法のコーヒー栽培は、こうした農法より収穫量が少なく、手間はかかりますが、自給自足的に野菜や果物も収穫できるため、コーヒーの収量が少なく現金収入が少ない時にも生産者は、なんとか食べていくことができます。

こうしたアグロフォレストリーや有機栽培のコーヒーを通じて、私たちはインタグの人々とフェアトレードでつながりました。そして、守り続けてきた豊かな自然が「観光資源」となってエコツアーを生み出し、観光客を増やしてきました。このようなインタグ地域の取り組みは「持続可能な発展のモデル」になりつつありました。そんなときに、鉱山開発の中心地であるフニン村の村長、ハビエル・ラミレスさんが、身に覚えのない「暴力行為」によって、不当に逮捕されたのです。

8年前にハビエルさんと出会った私は、彼の子どもたちに対する優しさや未来世代に対する責任感の強さに感動しました。今、日本では、エコツアーやコーヒーの産地訪問でラミレス村長に会い、その温かい人柄を知っている女性たちが中心となって懸命な救援運動を展開しています。


<緊急支援のお願い>南米エクアドル・インタグの森を巡って、今、起きていること
(2014年4月23日 ナマケモノ倶楽部)から抜粋

4月10日、ナマケモノ倶楽部発足当時から繋がってきたエクアドル・インタグ地方フニン村の現村長・ハビエル・ラミレスさんが、 エクアドル国営鉱山開発公社(ENAMI)に訴えられて逮捕されたというニュースが届きました。

フニン村は銅資源を巡る開発問題の中心地です。ラミレス氏は過去20年間にわたり鉱山開発に反対を続けてきましたが、温厚な人柄で知られ、破壊的開発に依存しない暮らし方づくりに地域住民と共に取り組んで来たラミレス氏は闇雲に反対をかかげる運動家ではありません。

そのラミレス氏が秩序紊乱・公務執行妨害の罪で拘束されたのです。しかし、彼が逮捕された時には逮捕令状も罪状の説明もありませんでした。また、ENAMIが主張するラミレス氏の「犯罪行為」に関して、その現場に彼はいなかったという証言もある中、十分な事実確認もなされないまま90日の拘束という現状に至っています。

このような人権を無視した行為が許されないものであるのは明白です。現在エクアドルの仲間達がラミレス氏の即時釈放と告訴の取下げを求めて奔走していますが、弁護士を雇うにも、この不正を周知させるにも資金が必要です。この緊急事態に対する皆様のご支援をお願いします!

現在エクアドル・インタグ地方では、政府の何が何でも鉱山開発をやるといわんばかりに、ほとんど毎週のように エクアドル国営鉱山開発公社(ENAMI)が鉱山開発対象地の村々に入ろうとし、その度に住民に拒否されるという状況が起きています。

これまでの鉱山開発企業は、道路を作るだとか、病院を作るだとか、雇用を生むだとか、いわゆる懐柔策がメインだったのですが、今回、政府はとにかく強行する、姿勢のように見て取れます。2013 年のエクアドル大統領選があったとき、インタグでは7割が、政府与党に投票しました。だから、鉱山開発も7割の住民が賛成している、というのが政府の理屈です。

採掘対象地からそう遠くないところに、大規模水力発電所の建設も行われています。鉱山開発をするには、鉱物を含む土があることが前提ですが、それに水と電気が欠かせません。道路設備もさることながら、インタグで鉱山開発を行う準備が着々と進んでいます。

反対する住民は、政府によってチェックされ、身元を調べ上げられ、公の場で、「発展を阻害する民衆の敵」として名指しで大統領本人に批判されています。「市民革命」を進めてきた現政府ですが、しかし、その市民革命は、市民のためという冠がついていますが、ここ数年は、強権的な面が目立ちます。日本で言えば、秘密保護法のような法律も施行され、政府を批判したら反逆罪になり、政府の言うことをきかなかったらサボタージュになり、そして、石を投げたらテロリズムになるという感じです。

フニンに入った警察隊と対峙する住民
 
フニン村の村長さんのハビエル・ラミレスさんは、その拒否をした際に、「石を投げた」ということで、エクアドル国営鉱山開発公社(ENAMI)側に反逆罪、サボタージュ、テロリズムの罪で 訴えられ、拘束されました。(実際は、彼はその場にいなかったという証言もあります。)

キトで、内務省の大臣との会合があり(大臣から招待された)、その帰りにバスでの出来事でした。同行していた、インタグの最も活発な反鉱山開発の運動家のポリビオ・ペレスさんも 一時拘束されましたが、後に釈放されました。

その際には、逮捕理由は告げられていません。その後すぐに、コタカチの裁判所で、審問があり、公務執行妨害で30日間の拘束が決まりました(その後90日に延長されたようです)。現在は、コタカチ、インタグを含むインバブラ県の県庁所在地のイバラの留置所に収監されています。今、この瞬間、彼がどんな思いでいるか、彼の家族がどんな気持ちで彼のことを 思っているかを想像するだけで、いたたまれない気持ちになります。

◇フニン村の人々と鉱山開発

フニン村はもう 20年もの間、鉱山開発の危機と闘い続けてきています。
インタグの鉱山開発のこれまでの経緯については以下にあるので、是非読んでみてください。

「鉱山開発はいらない!」

ハビエルさんは30代ですが、 彼が子どもの頃から村はこの問題と共にあり、彼の子どもたちへと今の暮らしを繋げるために、闘っています。しかし、村の人たちは基本的に皆少し 恥ずかしがり屋の静かな人たちで、人前で話すことも苦手な人たちでした。

ハビエルさん自身も、あまり表に出てくるタイプではありませんでした。しかし、鉱山開発の反対運動を地味に地道に続けてきた芯のしっかりした人でもあります。村長になってからは、しっかりと人前で、鉱山開発がいかに破壊的なものかを訴えるようになっていました。

彼らは何も、誰かと闘いたいわけではありません。ただ、今ある静かな生活、森に寄り添う生活、大地が命を与えてくれる、お金ではないものを得られる生活を、守りたいだけです。

ハビエルが逮捕される5日ほど前に撮った フニン村の生活を紹介する映像があります。
スペイン語ですが、川の音、生き物の音、素朴な笑顔など、見ているだけで穏やかな空気、村の豊かな生活が伝わってくる映像です。よろしかったらご覧ください。 少しはにかみながら、真摯にハビエルが話してくれています。


今できること そして 皆様へのお願い

今、フニン村の人、インタグの反鉱山開発運動を担ってきた現地の環境NGO・デコイン(DECOIN)を始め、インタグ内外の団体が、ハビエルの弁護のために奔走しています。このグループにUnidos por Intag (=インタグのために団結する)という名前をつけて、ハビエルのために何をするべきか 検討中ですが、主に、彼の弁護や市民に訴えるポスター、垂れ幕などの作成などかと思います。それにはお金がかかります。

彼らへの応援、特に資金面での応援が何よりの応援となると思います。そして日本からも応援しているよ、と彼や家族に伝えたいと思います。

関心をお持ちいただける方は、是非、少しでも皆様のお力添えをいただけたら嬉しいです。

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郵便局:00170-6-141662 ナマケモノ倶楽部
一口:1,000円(何口でも)
通信欄に「インタグ・フニン村ハビエルさん応援」とお書き添えください。

全文


エクアドル:インタグ鉱山開発反対運動指導者逮捕される
(2014-04-13 ラテンアメリカの政治経済)

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森を守り、森と共に生きるカルロス・ソリージャさんを詳しく紹介した記事

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