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2016/02/09

福島の青少年の検診とお年寄りの「在宅看取り」

「放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク」は、この1年間で、福岡県と青森県の2つの「保養」と「まつもと子ども留学」そして、原発事故当時19歳以上の人たちにも甲状腺検診を広げる活動の資金援助をやってきました。(今月も開催されます)そうした活動のアドバイザーであり、実際の検診もしていただいている今田かおる先生(緩和ケア医、在宅支援診療所医師)の「在宅緩和ケア」のドキュメンタリー番組「Dying at Home」がNHKオンデマンドで配信されています。

Dying at Home 今田かおる先生「在宅看取り」

福島県内外でボランティアで甲状腺検診をされている様子を拝見していて、「ありがたいなぁ」という気持ちが湧いていましたが、この番組を見て、あらためて、人生の終わりの時間を自分の家で家族と共に過ごせるように「在宅医療」「在宅看取り」をされている医師の存在を心から「ありがたいなぁ」と感じました。また、かおる先生の明るく優しいお人柄の根源にも触れたような気がしました。素晴しいドキュメンタリーです。
この番組は、2月10日まで見ることができるようです。

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク

2015/12/13

野坂昭如さんの遺言

「火垂るの墓」を書かれた野坂昭如さんが、亡くなる前に「この国に戦前がひたひたと迫っている」
「原発も集団的自衛権の行使も、被害を被るのはぼくらの子や孫、またその子供たちである。ぼくらには駄目なものは駄目という責任がある。今が良ければという思考停止はもう通らない」と「遺言」を残されています。

野坂昭如「原発も集団的自衛権の行使も、被害を被るのは子どもたち」

原作者・野坂昭如が語った ジブリ作品「火垂るの墓」の真実 から抜粋

野坂(原作者)自身の戦争原体験を題材に、浮浪児兄妹の餓死までの悲劇を独特の文体で描いた作品である。

幼い妹の世話は父や母のように出来ない、妹に食べさせるつもりの食糧まで自分が食べてしまい生後1年半の妹を死なせてしまったと現在でも悔やんでいるのです。

妹が自分の手の中で死んでいったこと、亡骸を自分で火葬したこと、その骨をドロップ缶に入れていたこと、この辺りのエピソードは全部実話です。

火垂るの墓:監督・脚本 高畑勲

火垂るの墓:ドロップ缶と節子の手

火垂るの墓:節子をおんぶする

ジブリの『火垂るの墓』を見ると私は、『焼き場に立つ少年』を思い出します。

焼き場に立つ少年

野坂昭如さん死去「この国に戦前がひたひたと迫る」
(2015年12月11日 東京新聞)から抜粋

 9日に心不全のため85歳で亡くなった作家で元参院議員の野坂昭如(のさかあきゆき)さんが、亡くなる直前の9日午後4時ごろ、担当する雑誌連載の最後の原稿を新潮社に送っていたことが分かった。末尾の一文は「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」。「焼け跡闇市派」を自称した野坂さんは体の自由が利かない中、戦争体験者として最後まで日本人に警告を発し続けた。 

(2014年5月15日 東京新聞:「戦地に国民」へ道 解釈改憲検討)
東京新聞:「戦地に国民」へ道 解釈改憲検討

(2014年7月2日 朝日新聞:集団的自衛権 閣議決定)
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(2015年9月19日 朝日新聞号外 安保法成立 海外での武力行使に道)
朝日新聞:安保法 成立(号外)海外での武力行使に道

火垂るの墓:晴太の膝枕で眠る節子と戦時中の服装の晴太

野坂昭如さん死去 「戦後圧殺」に警鐘
(2015年12月10日 毎日新聞)から抜粋

◇野坂昭如・黒田征太郎共著「教えてください。野坂さん」(スイッチパブリッシング、2015年)より◇

人間は長いものに巻かれやすい。

長いものに巻かれていた方が楽だからだ。

つまり、自分の頭で考えなくなると戦争は近寄ってくる。

自分の頭で考えるためには、想像力を身につけなければならない。

戦争などあり得ないと思い込んでいるうちに、

気がつけば戦争に巻き込まれている。

戦争とはそんなものだ。

火垂るの墓:ドロップ缶を抱えて眠る節子

原発も集団的自衛権の行使も、被害を被るのはぼくらの子や孫、またその子供たちである。ぼくらには駄目なものは駄目という責任がある(通販生活 2014年秋冬号)から抜粋

敗戦直後から日本人は本当によくがんばったと思う・・・高度経済成長を支える柱として、原発の必要性がいわれ、うわべ民間会社、実は国の御旗のもと、原発政策は推し進められた。当初懸念されていた原発のマイナス点は、文明の利器の恩恵のもと無視され続け、小さな島国はいつの間にか原発列島と化していた。

この原発、当初から事故だらけ、さらにどの国もあまりに危険と早々に撤退した高速増殖炉に目をつけ、原子力の平和利用をたかだかとうたい、スレスレの事故を繰り返しながら、これについては隠蔽。商業用プルトニウムと軍事用のそれとは異なるという説もあるが、どちらにしても原爆の材料であることに違いはない。世界はそれを承知。日本だけ、事故だらけ、先行きの見込み立たぬまま、今なお莫大な金をかけながら維持し続けている。

2011年3月11日の東日本大震災を受けて直後の日本人は、自然の脅威にさらされ、人間が自然の中のちっぽけな存在に過ぎないことを自覚させられた。福島第一原発の事故では、原発、放射能の恐さを思い知らされた。人間がコントロール出来ないものだとよく判った。仕事を奪われ、生活を変えざるをえない、未だ避難を強いられている人たちがいる。一生戻れない人がいる。事故当初しきりに伝えられた、安全は保たれている、放射性物質の放出によって、直ちに体に異変をきたすことはないという東京電力及びお上の言葉は、希望的観測に過ぎず、もはやこれを誰も鵜呑みにしてはいない。

ぼくらは連日、数値に敏感になり、汚染水についてその現状を固唾を飲んで見つめていた。半年、一年、二年と震災から日が経つにつれ、再稼働ありきの動きが目立つ。電力の不足が経済活動の妨げになる、経済こそ大事、今後のために必要不可欠だという。

あの原発事故は、日本のエネルギーをどうするか、お上任せだった原子力発電について、国民が自ら考えるきっかけになりえた。今はどうか。福島の事故は国がどうにかすると思い込んでいる。原発列島、便利さと引き換えに増え続ける放射性廃棄物の量は限界をこえなお、ぼくらはどうにかなる、誰かが何とかしてくれると、楽観主義で過ごそうとしている。だがそれは無責任主義と同義語である。

原発について推し進めてきたお上、再稼働にしゃかりきになっているのもお上、はっきり言って原発についてほぼ素人の政治家が、今後の方針を決めるなど、土台無理なのだ。無責任もいいところ。それを見ている国民も同罪。

安倍首相は国民の命と平和な暮らしを守る責任があるといい、集団的自衛権の行使容認を決めてしまった。抑止力を強化するのだという。曖昧な抑止力ほど危ないものはない。何にしろ、一旦、力というものを持てば、使ってみたくなるのが人間。国民の生命、財産、日本の将来に関わる大事な問題を20人足らずの閣議で決める、これは暴挙といっていい。これについても世間は何やら物騒だと眉をしかめる程度。

原発も集団的自衛権の行使も、被害を被るのはぼくらの子や孫、またその子供たちである。ぼくらには駄目なものは駄目という責任がある。今が良ければという思考停止はもう通らない。日本は今、薄氷の上に佇んでいるようなもの。その足元を少しでも丈夫にして、次世代に引き渡すことが、生きている人間の本来の仕事である

火垂るの墓「これオハジキやろ、ドロップちゃうやんか」

火垂るの墓:衰弱して横たわる節子

あなたはこの、『焼き場に立つ少年』の写真を見てもまだ、戦争はしょうがないと思いますか?
(2013年5月2日 ウィンザー通信)から抜粋

報道写真家 ジョー・オダネル撮影 「焼き場に立つ少年」 
(1945年長崎の爆心地にて) 

佐世保から長崎に入った私は、小高い丘の上から下を眺めていました。
すると、白いマスクをかけた男達が目に入りました。
男達は、60センチ程の深さにえぐった穴のそばで、作業をしていました。
荷車に山積みにした死体を、石灰の燃える穴の中に、次々と入れていたのです。

10歳ぐらいの少年が、歩いてくるのが目に留まりました。
おんぶひもをたすきにかけて、幼子を背中に背負っています。
弟や妹をおんぶしたまま、広っぱで遊んでいる子供の姿は、当時の日本でよく目にする光景でした。
しかし、この少年の様子は、はっきりと違っています。
重大な目的を持ってこの焼き場にやってきたという、強い意志が感じられました。
しかも裸足です。
少年は、焼き場のふちまで来ると、硬い表情で、目を凝らして立ち尽くしています。
背中の赤ん坊は、ぐっすり眠っているのか、首を後ろにのけぞらせたままです。

焼き場に立つ少年

少年は焼き場のふちに、5分か10分、立っていたでしょうか。
白いマスクの男達がおもむろに近づき、ゆっくりとおんぶひもを解き始めました。
この時私は、背中の幼子が既に死んでいる事に、初めて気付いたのです。

焼き場に立つ少年が背負っているのは、原爆で死んだ弟

男達は、幼子の手と足を持つと、ゆっくりと葬るように、焼き場の熱い灰の上に横たえました。

まず幼い肉体が火に溶ける、ジューという音がしました。
それから、まばゆい程の炎が、さっと舞い立ちました。
真っ赤な夕日のような炎は、直立不動の少年のまだあどけない頬を、赤く照らしました。
その時です。
炎を食い入るように見つめる少年の唇に、血がにじんでいるのに気が付いたのは。

焼き場に立つ少年の歯を食いしばるその唇には、血がにじんでいた

少年が、あまりきつく噛み締めている為、唇の血は流れる事もなく、ただ少年の下唇に、赤くにじんでいました。

夕日のような炎が静まると、少年はくるりときびすを返し、沈黙のまま、焼き場を去っていきました。
(インタビュー・上田勢子)[朝日新聞創刊120周年記念写真展より抜粋]

NHKスペシャル 解かされた封印 米軍カメラマンが見たNAGASAKI Dailymotion

よっちゃん焼き場に立つ少年(毎日新聞 やっと見つけた「よっちゃん」)

2015/12/07

原発ゼロでも 温室ガス減少 再生エネ普及進む

原発ゼロ下 温室ガス減 再生エネ普及進む
(2015年11月27日 西日本新聞)から抜粋

政府は26日、2014年度の日本の温室効果ガス排出量(速報値)は13億6500万トンで前年度比3.0%減と発表した。14年度に原発は稼働しておらず、原発に頼らず排出削減できることが浮き彫りになった。

温室ガス排出量の減少は東京電力福島第1原発事故後初で、リーマン・ショックで経済活動が落ち込んだ09年度以来5年ぶり。省エネと再生エネルギーの利用が進み、発電からの二酸化炭素排出が減ったのが主な理由としている。

西日本新聞:原発ゼロ下 温室ガス減(2015年11月27日)

2015/11/28

原発ゼロへ再考を 原子力は高くつく (東京新聞・中日新聞社説)

これまで12兆円以上もの税金を投入してもトラブル続きで動かない「もんじゅ」や「核燃料再処理工場」。これらの核燃料サイクル事業には、毎年1600億円もの維持費がかかっています。その予算を再生エネルギー事業に使うべきだと東京新聞。

原発ゼロへ再考を 原子力は高くつく
(2015年11月19日 中日・東京新聞【社説】)

 きょうは原発推進の人たちにとくに読んでいただきたい。原子力発電は結局、高くつく。そろばんを弾(はじ)き直し、原発ゼロへと考え直してみませんか。

 やっぱり金食い虫でした。

 原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に示した、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営を「ほかの誰かと交代せよ」との退場勧告は、その操りにくさ、もろさ、危険さを、あらためて浮かび上がらせた。

 そして、本紙がまとめた「核燃料サイクル事業の費用一覧」(17日朝刊)からは、もんじゅを核とする核燃料サイクルという国策が、半世紀にわたって費やした血税の大きさを実感させられる。

<巨費12兆円を投じて>

 原発で使用済みの核燃料からプルトニウムを抽出(再処理)し、ウランと混ぜ合わせてつくったMOX燃料を、特殊な原子炉で繰り返し利用する。それが核燃料サイクルだ。

 その上もんじゅは、発電しながら燃料のプルトニウムを増やしてくれる。だから増殖炉。資源小国日本には準国産エネルギーをという触れ込みだった。

 それへ少なくとも12兆円以上。もんじゅの開発、再処理工場(青森県六ケ所村)建設など、核燃サイクルに費やされた事業費だ。

 国産ジェット機MRJの開発費が約1800億円、小惑星探査機「はやぶさ2」は打ち上げ費用を含めて290億円、膨らみ上がって撤回された新国立競技場の建設費が2520億円…。

 12兆円とはフィンランドの国家予算並みである。

<1日5500万円も>

 ところが、もんじゅは事故や不祥事、不手際続きで、この20年間、ほとんど稼働していない。止まったままでも一日5500万円という高い維持管理費がかかる。

 もんじゅは冷却に水ではなく、大量の液体ナトリウムを使う仕組みになっている。

 ナトリウムの融点は98度。固まらないように電熱線で常時温めておく必要がある。1700トンのナトリウム。年間の電力消費量は一般家庭約2万5000世帯分にも上り、電気代だけで月1億円にもなるという。

 発電できない原子炉が、膨大な電力を必要とするという、皮肉な存在なのである。

 もんじゅ以外の施設にも、トラブルがつきまとう。さらなる安全対策のため、再処理工場は3年先、MOX燃料工場は4年先まで、完成時期が延期になった。MOX燃料工場は5回目、再処理工場に至っては、23回目の延期である。

 研究や開発は否定しないが、事ここに至っては、もはや成否は明らかだ。これ以上お金をつぎ込むことは是とはされまい。

 核燃料サイクルが、日本の原子力政策の根幹ならば、それはコストの面からも、根本的な見直しを迫られていると言えそうだ。

 欧米で原発の新増設が進まないのは、3・11以降、原発の安全性のハードルが高くなったからである。

 対策を講ずるほど費用はかかる。原発は結局高くつく。

 風力や太陽光など再生可能エネルギーにかかる費用は普及、量産によって急速に低くなってきた。

 国際エネルギー機関(IEA)の最新の報告では、太陽光の発電コストは、5年前より6割も安くなったという。

 ドイツの脱原発政策も、哲学だけでは語れない。冷静に利益を弾いた上での大転換だ。

 原子力や輸入の化石燃料に頼り続けていくよりも、再生エネを増やした方が、将来的には電力の値段が下がり、雇用も増やすことができるという展望があるからだ。

<そろばん弾き直そう>

 核燃料サイクル事業には、毎年1600億円もの維持費がかかる。

 その予算を再エネ事業に振り向けて、エネルギー自給の新たな夢を開くべきではないか。

 電力会社は政府の強い後押しを得て、核のごみを安全に処理するあてもまだないままに、原発再稼働をひたすら急ぐ。

 金食い虫の原発にこのまま依存し続けていくことが、本当に私たち自身や子どもたちの将来、地域の利益や国益にもかなうのか。政治は、その是非を国民に問うたらいい。

 持続可能で豊かな社会へ向けて、そろばんをいま一度弾き直してみるべきだ。

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核燃料サイクルに12兆円 コスト年1600億円 国民負担続く
(2015年11月17日 東京新聞 朝刊)

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が廃炉になる可能性も出てきたことを受け、本紙はもんじゅを中核に国が進めてきた核燃料サイクル事業にかかったコストを、あらためて調べた。いずれ必要になる廃炉費用も考慮し集計した結果、少なくとも12兆円が費やされ、もんじゅが稼働していない現状でも、今後も毎年1600億円ずつ増えていくことが分かった。実用化のめどのない事業に、巨額の国民負担が続く実態が浮かんだ。 (小倉貞俊)

 本紙は、事業を進めてきた経済産業、文部科学両省のほか、電力会社や関係団体、立地自治体などにコストを問い合わせ、集計した。高速炉開発が国家プロジェクトになった1966年度から本年度まで、判明しただけで計約12兆2200億円に上った。

 本紙は2012年1月にも同様の集計をし、10兆円弱との結果を得た。今回、2兆円強膨らんだ理由は、新たに廃炉・解体費などの試算額が判明し、その後にかかった運営費なども加えて精査したためだ。

 部門別にみると、最も高コストなのは、原発で出た使用済み核燃料を溶かしてプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)の7兆円強。原子力規制委員会が文科省に運営者を交代させるよう勧告したもんじゅと、関連の試験施設「RETF」の建設・運営費は計約1兆900億円だった。

 廃炉費用は少なくとも1000億円は必要になるとみられるが、冷却材に危険なナトリウムを大量に使っており、きちんと見積もられていない。核燃サイクルのコストは、電気事業連合会(電事連)が10年以上前の03年、各施設の建設、操業(40年)、解体、最終処分までの総額を約19兆円との試算をまとめた。

 しかし、もんじゅはほとんど稼働せず、再処理工場や混合酸化物燃料(MOX燃料)工場は未完成。ウラン資源を循環させるサイクルがほとんど動いていない中、本紙の集計結果からは、既に電事連の試算額の6割以上が使われた。

 今後40年操業すれば、さらに巨額のコストが必要になる。これは、核燃サイクルを続ければ、電事連がはじいた19兆円では収まらないことを示唆している。

 核燃サイクルの財源は、税金か、電気料金に上乗せされた分かの違いはあるものの、国民負担であることに変わりはない。

◆見切りつける好機

 <大島堅一・立命館大教授(環境経済学)の話> 実現の見通しが立たない核燃料サイクルに、12兆円以上が費やされてきた事実は深刻に受け止める必要がある。何も生み出さない事業に、今後も毎年1600億円ずつ消えていくのは、民間企業ではあり得ず、異常な事態といえる。(もんじゅ問題は)核燃サイクルに見切りをつける大きな好機ではないか。国民も、自分のお金が税金や電気料金の一部として、見込みのない事業に使われている現実をよく考える必要がある。

◆本紙集計

 省庁や電力事業者、団体などが取材に回答、公開している数字を集計した。放射性物質で汚れ、出費が確定している廃炉・解体費用も当事者による数字をそのまま加えたが、試算は約10年前と古く、実際にはもっと高額になるとみられる。国は使用済み核燃料の中間貯蔵施設も核燃サイクルの一環としているが、貯蔵された核燃料は再処理されない可能性もあるため、集計から除いた。自治体への交付金は、核燃サイクルを対象にしたものに限定し、一般の原発関連が含まれる可能性がある交付金は全額、集計から除いた。

巨額を投じてきた核燃料サイクル事業

45年で10兆円投入 核燃サイクル事業めどなく
(2012年1月5日 東京新聞)から抜粋

原発から出る使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」事業に、この45年間で少なくとも10兆円が投じられたことが本紙の調べで分かった。税金や電気料金として支払ったお金が、関連施設の建設費や研究費に使われてきたが、事業が軌道に乗るめどは立っていない。計画の延期を繰り返しても、国策として進めてきたことから費用が膨れ上がった。国は総費用を集計していない。

東京新聞:45年で10兆円投入 核燃サイクル事業めどなく(全文)

六ケ所村の核燃再処理工場:完成、2年延び12年に 相次ぐトラブルで /青森
(2010年9月11日 毎日新聞)から抜粋

社長「延期は最後」と表明

 日本原燃(六ケ所村)は10日、使用済み核燃料再処理工場の完成時期を、予定の10月から12年10月に延期すると発表した。2年という過去最長の延期は国が進める核燃料サイクル政策や税収を期待する地元自治体に大きく影響を与えかねない。川井吉彦社長は県民におわびした上で「延期は今回で最後との覚悟で全身全霊で取り組む」と決意を述べた。

 原燃が発表した新しい工事計画によると、11年度内をめどにガラス溶融炉の温度計追加設置工事や茨城県東海村の実規模試験施設と実機の比較検証などを進める。検証はトラブルの起きた炉とは別の系統も含めた2系統で行い、確実なデータを取れるよう「裕度を持たせた」工程にした。ガラス固化試験も11年度内中に始めたい考えで、2系統で性能を確認し、12年10月の完成を目指す。

 原燃は昨年8月、完成時期を1年2カ月延期した際、「ゆとりある」工程表を作成したが、相次ぐトラブルで計画が崩れ、来月の完成が間に合わなくなった。この間に得られた知識などを反映させた上で試験を確実に成功させたい考えで、川井社長は新工程を「不退転の覚悟で取り組む」と強調した。

国は不退転の決意で

 六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は、全国の原発から出る使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル政策の中核を担う施設。2年という過去最大幅の延期は計画全体に影響を与えるだけでなく、政策に対する国民の懸念や不信を増幅しかねない。

 度重なる延期は、高レベル放射性廃液をガラス固化する試験でトラブルが相次いだのが原因だ。再処理工場の当初の完成予定は97年12月。既に10年以上が経過し、事業指定を受けてからの延期は15回にも上る。地元自治体の税収が先送りとなる一方、増え続けるのは当初予定の3倍近い建設費と「核のごみ」と指摘される使用済み核燃料だけだ。

 国内の原発からは年間約1000トンの使用済み核燃料が発生しており、11年度には工場の貯蔵プールがほぼ満杯に達する。原発敷地内での保管長期化も進んでおり、第2再処理工場用として建設中のむつ市の中間貯蔵施設(12年7月操業予定)に一部を運び込まざるを得ない状況だ。再処理工場の遅れが計画に影響するのは避けられない。海外から廃棄物の返還も進む中、最終処分地選定も前進しておらず、核燃料サイクルの課題は山積みだ。

核燃再処理工場の完成、18年度上期に 延期23回目=日本原燃
(World | 2015年 11月 16日 17:08 ロイター)から抜粋

[東京 16日 ロイター] – 日本原燃は16日、青森県六ヶ所村で工事を進めている核燃料再処理工場とウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料工場の完成時期をそれぞれ延期すると発表した。

核燃料施設の新規制基準に対応する工事によるもので、16年3月としていた再処理工場の完成は18年度上期に延ばした。再処理工場の延期は23回目。

MOX燃料工場は17年10月の完成を目指していたが、19年度上期に延期した。同工場の延期は5回目。

再処理工場の完成延期は、事故発生時の対応拠点の「緊急時対策所」、重大事故の際に必要となる水を確保する「貯水槽」をそれぞれ新設することや、配管補強工事が理由としている。

MOX燃料工場は、MOXを粉末の状態で取り扱う設備の耐震性の扱いを最も厳しい分類に変更することに加え、火災対策の強化により工事が延びるという。

延期に伴う工事費の増加は、現在詰めており未定という。六ヶ所再処理工場は、相次ぐ工事延期により、当初見込みで7600億円だった建設費が2兆2000億円に膨らんだ経緯がある。

再処理工場は、原発から発生する使用済み核燃料を化学的に処理(再処理)してウランとプルトニウムを取り出すことを目的とした施設で、MOX燃料工場は取り出したウランとプルトニウムを混ぜ合わせて燃料にする施設。

六ヶ所村の再処理工場 23回目の“完成延期”
(2015/11/16 18:26 テレ朝 news)

 核燃料サイクルが行き詰まりです。原子力委員会による高速増殖炉「もんじゅ」の勧告に続き、今度は青森県六ヶ所村の再処理工場がまたも延期となりました。

 日本原燃は、六ヶ所村で建設中の使用済み核燃料の再処理工場の完成を、来年3月の予定から2018年度上期に延期すると発表しました。実に23回目の延期です。また、MOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場も、2017年10月の完成予定から2019年度上期に延期となりました。原子力規制委員会の安全審査が長引くとともに、追加の安全対策工事などで時間が掛かるためとしています。今後、2つの工場合わせて2兆4000億円とされる建設費がさらに膨らむ可能性が高まっています。核燃料サイクルを巡っては、高速増殖炉のもんじゅが運営主体を変えるよう勧告を受けていて、サイクル政策は行き詰まっています。

23回目の延期 六ヶ所村の再処理工場 2016年→2018年

使用済み核燃料再処理工場の完成延期は23回目

MOX燃料工場の完成も2017年→2019年に延期

2つの工場で2兆4000億円とされる建設費がさらに膨らむ可能性が高い

核燃政策 原子力規制委が文科大臣に「もんじゅ」の運営主体を変えるよう勧告→行き詰まり

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2015/07/12

新国立より 「もんじゅ」 と 「再処理工場」 の方が税金を浪費している

東京五輪の主会場となる新国立競技場の総工費が2520億円で、シドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオの5大会会場の合計総工費よりも高くなると分かって、税金の無駄遣いが厳しく批判されています。

東京五輪2520億 5大会合計2480億

このズサンな計画が批判されるのは当然ですが、この税金の無駄遣いよりも桁違いに莫大な無駄遣いで、環境や人体への危険性も大きい「もんじゅ」と「再処理工場」のことがあまり知られていません。

もんじゅ 停止後も年間200億円の維持費 これまで1兆円の国費を投入(横長)

もんじゅ総事業費 1兆円超 「経費1500億円超 未公表」検査院指摘
(2011/11/15 風の便り)から抜粋

検査院 もんじゅの支出公表を(2011年11月14日 17時31分 NHK)から抜粋

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」の研究開発費は毎年、予算段階の金額が公表され、昨年度までの総額はおよそ9265億円に上っています。ところが会計検査院が実際にかかった支出を調べた結果、およそ1兆810億円だったことが分かり、「もんじゅ」の開発を進めている日本原子力研究開発機構に対し支出についても公表するよう求めました。

公共政策が専門で日本大学の有川博教授は「今後の原子力発電をどうすべきか検討しているときに、かかった費用の正確な数字が示されないと正しい政策判断ができなくなるおそれがある。原子力発電を巡る議論は、税金など国民の負担にも関わる問題だけに、日本原子力研究開発機構はホームページなどを通じて実際にかかった費用を国民に公表すべきだ」と話しています。

「もんじゅ」は、発電しながら燃やした以上の核燃料を作る高速増殖炉の実用化に向け課題を洗い出すため、平成6年に試験運転を開始しました。しかし運転開始から1年8か月後にナトリウム漏れ事故が発生して、14年間、運転が止まり、去年5月にようやく運転を再開しました。その後、燃料を交換する装置が原子炉内に落下するトラブルが起きましたが、今年度中には試験運転を再開する予定になっていました。ところが、ことし3月、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起き、国の原子力安全委員会が長期計画の見直しを始めたことなどから、今年度の試験運転は見送られています。

小出裕章が語る、『もんじゅ』の維持費が異常に高い理由と、世界の高速増殖炉の失敗の歴史
(2011年11月22日)から抜粋

小出「原子力の燃料であるウランというのは、たいへん貧弱な資源で、すぐに無くなってしまうものだった、のです。それで、原子力を推進する人たちは、ウランだけではどうせ駄目なので、プルトニウムという物質をつくりだして、それを原子力の燃料にする意外にないというふうに、考えつきました。ただしプルトニウムという物質は、地球上には全くありませんので、高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」という原子炉のまあ大型のものを沢山作って、プルトニウムを作り出して原子力を何とかエネルギー源にしたいと思ったのです。そのためにはまあどうしても『もんじゅ』のような形の原子力が要ると、いうふうにもう1940年代からみんなが気がついていて、その開発に着手したのですけれども、結局できないまま今日まで来てしまった」

水野「40年経って成果はない、お金は1兆円かけてる。稼動してから17年間で動いた日がたった二百数十日間って。17年間動かしたけど1年分も動けてないっていうんですね」

小出「はい。1キロワット・アワーの発電もしておりません

小出「95年の12月に、いざ発電をしようかと思って、少し出力をあげようとしたとたんに事故を起こしました。それで結局、何の発電もできないまま止まってしまいまして、14年以上止まったままだったのです」

水野「停止しているときにも維持費が年間二百数十億円かかると」

小出「そうです」

水野「そんなに掛かるんですか(笑)。止まってても?これ先生、なんでこんな巨額なお金がかかるんですか? とまってて……維持するために」

小出「もんじゅ、というか高速増殖炉という原子炉は、原子炉を冷却するための冷却材として水が使えないのです。物理学的な宿命があって。もんじゅの場合にはナトリウムという物質を使っているのですが。ナトリウムは70度をよりもっと、冷たくなってしまうと固体になってしまう、のです。そうするとポンプで流すことも出来ませんし、冷やすこともできないし。固体になってしまうと体積が変わってしまいますので、原子炉の構造自身が壊れてしまうということになりますので。もう四六時中あっため続けなければいけない。」

水野「はあー。そうして今に、至って、やっと去年運転再開したんでしたっけ?」

小出「何としても、もんじゅを動かすと言って、やろうとしたのですね。やろうとした途端にまた事故を起こしまして、また止まってしまったというのが現在です」

水野「『もんじゅ』の高速増殖炉というものの危険性っていうのはどうなんでしょう?」

小出「もんじゅという原子炉はもともと燃料がプルトニウムという物質なんですね。プルトニウムという物質は人類が遭遇したうちで、最悪の毒物と言われるほど、危険な毒物でして。100万分の1グラムを吸い込んだら人間一人が肺癌で死ぬというそれほどの毒物なのです。それを何十トンも原子炉の中に入れて動かすというのが『もんじゅ』という原子炉で。まあ、なんと表現していいかわからないほど、巨大な危険、巨大な危険を抱えたものです」


日本原子力研究開発機構 「もんじゅ」についてお答えします。

「もんじゅ」の研究開発にかかった事業費(予算額)はいくらか?

「もんじゅ」での研究開発の事業費(予算)は、
10,225億円(昭和55年度―平成27年度)です。

[内訳]
建設費5,886億円(昭和55年度―平成6年度)
(政府支出:4,504億円、民間拠出:1,382億円)
運転・維持費4,339億円(平成元年―平成27年度)
(政府支出:4,339億円)

「もんじゅ」の事業費(予算額)の推移

上のグラフでは、予算しか分かりませんが、平成18年(2006年)以後も毎年およそ200億円(毎日約5500万円)の維持費が税金から支出されています。

平成25年(2013年)財務諸表

「もんじゅ」の存続 官僚利権の温床 血税の投入1兆円 維持費1日5500万円
根拠は何? 「もんじゅ」存続 (2014年4月24日 東京新聞)

東京新聞 「もんじゅ」存続 官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

ずさんな管理で運転禁止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。初臨界から20年で、稼働したのは250日。1兆円を超す血税が注がれ、いまも1日5500万円が投じられている。いよいよ廃止かと思いきや、今月、閣議決定されたエネルギー基本計画で放射性廃棄物の「減害・減容」化研究の名目で生き残った。この理由は妥当なのか。存続の本当の理由は何なのか。

【もんじゅ】
従来は日本の核燃料サイクルの中核を担う施設と位置付けられてきた。1985年着工、95年初発電。核廃棄物から取り出したウランとプルトニウムなどによる混合酸化物(MOX)燃料を使う。一般的な原発とは違い、原子炉内に液体ナトリウムを入れることで、核分裂を引き起こす中性子を高速で動かせるようにしている。この仕組みを用い、使った以上の燃料を生み出す「増殖」の役割が期待されてきた。

◆看板に偽り 実用化「机上の空論」

「廃棄物の減容・有害度の低減のための国際的な研究拠点」。エネルギー基本計画で、もんじゅの役割はそう記された。

もんじゅは本来、核燃料を使いながら燃やす増殖炉と位置付けられてきた。しかし、巨額の国費を投じながらトラブルや不祥事続きで運転は滞り、与党内でも運転継続に批判が少なくなかった。このため、政府は国民の理解が得やすい「核のごみを減らし、有害性も低くする」という名目にシフトすることにした。

核廃棄物の処分に詳しい神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)によると、核廃棄物の中で厄介なのは長期間、放射線を出す「マイナーアクチノイド(MA)」だ。半減期が214万年のネプツニウム237や7000年余りのアメリシウム243などを指す。

これらは射程が短いが強力な放射線「アルファ線」を出すため、もし人体に入った際には深刻な内部被ばくを引き起こす。

核廃棄物の減容化・減害化という場合、このMAに重きが置かれることになるが、どう実現するのか。

もんじゅは中性子を高速で動かす「高速炉」で、核分裂を一定程度、誘発させることができる。この炉内に燃料とMAを入れ、核分裂させることで、半減期が短く、アルファ線を出さない物質に変えることで減害化を図るのだという。

核分裂でできる物質としては、半減期が30年前後のセシウム137やストロンチウム90などが想定される。100年程度たてば放射能が相当弱まり、熱も下がるため、地層処分する際に集約が技術的に可能になり、処分場の面積も少なくて済むとされている。

しかし、藤村教授は「夢のような話ばかりではない」とくぎを刺す。

MAが核分裂でアルファ線を出さない物質になったとしても、新たにできたのがセシウム137なら透過力の強いガンマ線を発するので、これらを扱う作業員らは体外から被ばくしかねない。「それに半減期が短い物質は半減期が長い物質と比べ、短い期間に集中的に放射線を出す。一概に害が少ないとは言えない」

費用対効果の面でも実現の見通しは極めて暗い。

高速炉1基でMAを減容化・減害化できるのは一般の原発1~2基分にすぎない。ここでいう高速炉はもんじゅのように実験段階に近い原型炉ではなく、開発が進んで規模も大きくなった実用炉を指す。

京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「もんじゅですら巨額を投じてろくに動かないのに、それより巨大な高速炉を何基もつくるのか」と話す。核廃棄物からMAを取り出す技術も実用化はほど遠く「政府がやろうとしているのは机上の空論にすぎない」と語る。

官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

もんじゅは現在も停止中だ。原子力規制庁が3月に実施した保安検査で、冷却系の循環ポンプ関連機器の一部に点検漏れがあったことが分かった。内規に逸脱した方法で、機器の点検記録を数百カ所にわたり訂正したことも判明した。

ずさんな管理は今に始まったことではない。2012年には約1万件の機器の点検漏れが発覚。1995年には国内初のナトリウム漏れ事故を起こした。

だが、いまも多額の国費が投じられる。14年度の維持費は199億円。事業主体の独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の職員数は3770人で、年間予算1850億円のうち、政府支出金が9割。血税のむだ遣いといわれる根拠だ。

この大盤振る舞いの背景に何があるのか。核兵器材料のプルトニウムを確保するためともいわれるが、元経済産業省官僚の古賀茂明氏は「官僚の利権を守るためだ」と断言する。

文部科学省が所管する原子力機構の起源は、ともに56年に発足した旧科学技術庁傘下の特殊法人・旧日本原子力研究所と旧原子燃料公社だ。旧科技庁は省庁合併で文科省になった。

原子力機構の理事長は文科省の任命で、理事長が任命する理事7人のうち、現在は伊藤洋一、山野智寛の両氏が旧科技庁出身の文科官僚。森山善範氏は旧原子力安全・保安院(現原子力規制庁)の出身だ。官僚の身分のままの「現役出向」で事実上の天下りだ。ちなみに原子力規制委員会の田中俊一委員長も同機構の特別顧問を務めていた

原子力機構を足場に官僚は自分の天下り先を維持するための世話も焼く。例えば、同機構は10年に、文科省のOBの再就職先を含む原発関連を含む80の公益法人に賛助会員としての「会費」などとして約8600万円を支出していた。

もんじゅについて、古賀氏は「利権構造を守るためにも、官僚としては絶対に廃止させられない」。元外務官僚の梶山恵司氏も「官僚は自分の老後の生活の糧を自ら捨てるようなことはしない」と語る。

*** 記事の引用は、ここまで ***

維持費だけで、毎日5500万円もかかる「もんじゅ」の浪費は信じがたいものですが、それ以上に巨額の浪費が核燃料再処理工場です。


六ヶ所再処理工場のコストは11兆円!!
(原子力資料情報室 とめよう!六ヶ所再処理工場)から抜粋

六ヶ所工場の費用について、当初公表されていたのは建設費だけです。工場は1993年から建設されていますが、この時は約7600億円でした。それが96年には1兆8800億円、99年には2兆1400億円と、2倍、3倍と高騰してきました。 ところが建設開始10年後の2003年、突然、電気事業連合会は「六ヶ所再処理工場の総費用は約11兆円」と公表しました。公表された内訳は、建設費約3兆3700億円運転・保守費約6兆800億円工場の解体・廃棄物処理費約2兆2000億円です。建設費だけでも当初計画の4.5倍になっています。そしてそれまで一切説明されなかった運転・保守費、工場の解体・廃棄物処理にも膨大な費用のかかることが明らかになりました。この試算は工場が40年間100%フル稼働、無事故で動くという、ありえないような前提で試算されていますから、実際はこれ以上の額になることは確実です。これは使い道のないプルトニウムのための費用であるにもかかわらず、数世代にわたって国民一人ひとりが負担することになります。

核燃施設のコスト

バックエンド費用19兆円

六ヶ所再処理工場でトラブルが続発し計画が遅延する一方、六ヶ所再処理工場にかかるコストが今後電力会社の経営を圧迫することは確実です。電気事業連合会の試算によると、今後の増設分を含んだ建設費が約3兆3700億円、工場の運転・保守費に約6兆800億円、施設の解体・廃棄物処分費用が1兆5500億円、総額約11兆円もの経費がかかるというのです。さらに六ヶ所工場の費用を含めたバックエンド費用の総額が約19兆円にも達することが明らかにされました。核燃料サイクルにこんな経費がかかることを一度も国民に説明せず、工場を作ってしまったのだからと国民に負担をおしつけているのです。しかしいまこの六ヶ所再処理計画を中止すれば、工場の運転費用、解体費用、MOX燃料工場やTRU廃棄物の処分費用の必要はなく、19兆円のうちの実に7割の削減が可能になります。

再処理は廃棄物を増やす!

政府や電力会社は、「再処理によって廃棄物の量が減る」と宣伝しています。これは大きなウソです。確かに高レベルの使用済み燃料はガラス固化体にすれば小さくなりますが、それと同時に膨大な低レベルの放射性廃棄物が発生します。その量はフランスのラ・アーグ再処理工場では元の使用済み燃料に比べて約15倍、日本の東海再処理工場では約40倍となっています。六ヶ所再処理工場でも、事業申請書から試算すると約7倍の放射性廃棄物の発生が見込まれています。また廃棄物とは見なされない空や海への日常的な放射能の垂れ流しもあります。さらに工場の操業後は、施設全体が放射性廃棄物となってしまいます。これらを含めると再処理工場は、元の使用済み燃料に比べて約200倍もの廃棄物を生み出すという試算値もあります。これらはすべて、再処理を行わなければ発生しない廃棄物です。

再処理によって発生する廃棄物
再処理工場は「原発1年分の放射能を1日で出す」

使用済み燃料は膨大な放射能の塊で、人間が近づけば即死してしまうような非常に強力な放射線と高い熱を出し続けます。再処理工場はこんな危険な使用済み燃料をブツ切りにし、大量の化学薬品を使ってプルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)に分離する巨大な化学工場です。そのためたとえ事故でなくても、日常的に大量の放射能を放出しなければ運転できません。高さ150メートルの巨大な排気筒からは、クリプトンをはじめとしてトリチウム、ヨウ素、炭素などの気体状放射能が大気中に放出されます。また六ヶ所村沖合3kmの海洋放出管の放出口からは、トリチウム、ヨウ素、コバルト、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムなど、あらゆる種類の放射能が廃液に混ざって海に捨てられます。また六ヶ所工場の当初計画ではクリプトンとトリチウムの除去が計画されていましたが、経済的な理由から放棄され全量が放出されます。

再処理工場は、危険な放射能を垂れ流す最悪の核施設です。ヨーロッパでは、再処理工場周辺にまき散らされた プルトニウムなどの放射能が、鳥や魚、植物、そして人体からも確認されています。

最悪の核施設 六ヶ所再処理工場 小出裕章

英・仏の再処理工場周辺で小児白血病が多発

すでに再処理工場が30年以上運転されているヨーロッパからは、膨大な放射能放出による環境汚染、人体への影響が報告されています。フランスのラ・アーグ再処理工場周辺では、小児白血病の発症率がフランス平均の約3倍にのぼるというレポートが発表され、再処理工場の運転や放射能放出を規制する動きが出ています。イギリスのセラフィールド再処理工場からの放射能によって汚染されたアイリッシュ海をめぐっては、対岸のアイルランド政府がイギリス政府を訴える事態に発展しています。ヨーロッパ西部の多くの国の政府は、これ以上の放射能汚染を防ぐために英・仏の再処理工場の運転を停止するよう求めています。

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