主食の米で基準値超え、新たに5戸 最大1270ベクレル

福島 大波地区の残るコメ検査急ぐ
(11月26日 4時0分 NHK)

福島市の大波地区で新たに5戸の農家のコメから国の暫定基準値を超える1キログラム当たり最大で1270ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で、福島県はこの地区のコメを対象とした残りの検査を急ぐとともにほかの地域についても検査を行うことにしています。

福島市の大波地区の水田で収穫されたコメについて、25日、新たに5戸の農家のコメから国の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを超える最大で1270ベクレルの放射性セシウムが検出されました。この地区のコメは、すでに出荷停止となっていることから市場には流通していないとしていますが福島県では事態を重くみて、この地域の残る120戸の農家を対象にしたコメの検査を急いでいます。福島県はさらに、局地的に放射線量が高い福島市や伊達市などの一部の地域のほか大波地区と隣接する地域の合わせておよそ1500戸の農家を対象とした検査も行うことにしています。これらの地域の検査は1戸の農家のコメ50袋ごとに1つを抽出して行うもので、すでにコメのサンプルを採取する作業を始めています。福島県は大波地区を含めた一連の検査を来月中旬までに終えたいとしています。

福島市の大波地区で収穫されたコメから、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたことについて稲の栽培に詳しい東京大学の根本圭介教授は「大波地区では、複数の水田で収穫されたコメから高い濃度の放射性セシウムが検出されたと聞いている。それぞれの水田の共通点を洗い出し稲がセシウムを吸収しやすい要因を明らかにすることが今後の対策を立てるうえで重要だ」と指摘しています。また、「土壌の成分や性質を調べるとともに、田んぼに流れ込む水が放射性セシウムの濃度と関係していないか、用水路の配置などにも注意を向けることが必要だ」と話しています。


福島・大波産米 5農家からもセシウム 県が全袋検査
(2011年11月26日 河北新報)

 福島市大波地区の農家のコメから国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出された問題で、福島県は25日、同地区の別の5農家のコメから540~1270ベクレルのセシウムを検出したと発表した。基準値を超えるコメが収穫された同地区の農家は計6軒となった。大波地区のコメは全て政府の出荷停止指示を受けており、市場に出回っていない。
 5農家の検査対象のコメは174点で、うち103点が基準値を上回った。既に基準値オーバーが明らかになった農家男性(52)のコメもあらためて検査を受け、対象の28点全てが590~670ベクレルと基準値を超えた。
 基準値を上回ったコメは地元の新ふくしま農協の倉庫などに隔離、保管している。
 5農家の水田のほとんどは農家男性の水田から1~2.5キロの範囲にあった。山あいにあったり、道路に面していたりと周辺環境はまちまちだという。
 県は問題を受け、大波地区で収穫されたコメの全袋検査に着手。これまで34農家の計864点を調べた。
 大波地区の農家は154軒あり、県は12月中旬までに全戸を対象に検査する。同地区と地理的条件の似ている県内の他市町村の産地にも検査対象を広げる。
 県農林水産部の鈴木義仁部長は「大波地区のコメは流通しておらず、安全性は確保されている。他産地のコメからも基準値を超すセシウムが出たら速やかに対応し、流通しないように努める」と話した。


セシウム規制値超過のコメ相次ぐ=福島・大波地区で、最高1270ベクレ
(2011年11月26日0時36分 朝日新聞)

 福島県は25日、福島市大波地区(旧小国村)で今年生産されたコメを対象に行っている全量調査で、検査を終えたコメ864袋(1袋30キロ)のうち、15%に当たる131袋から国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたと発表した。検出されたセシウムの濃度は最高で1270ベクレルだった。

 同地区のコメはJA新ふくしまの倉庫や、生産農家などに保管されており、市場には流通していない。政府は17日に同地区のコメの出荷停止を県に指示している。

 記者会見した県農林水産部の鈴木義仁部長は「複数戸から(暫定規制値を超えるコメが)検出されたことを重く受け止める」とした上で、「不安を払拭(ふっしょく)するため、なるべく早く全体像を把握したい」と強調した。

 県が8月下旬から10月中旬にかけて実施した放射性物質の検査を擦り抜ける形で、暫定規制値を超えるコメが新たに見つかったことで、東京電力福島第1原発事故による食品の放射能汚染に対する消費者の不安や、国・県の安全管理体制への不信感が一段と高まりそうだ。
[時事通信社]


セシウム米、戸惑う農家「安全と聞いたばかり」
(2011年11月26日14時04分 読売新聞)

 福島市大波地区で生産された玄米から、新たに国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたことが25日夜、明らかになり、同地区の農家らの間に波紋が広がっている。

 今回は5農家の玄米が規制値を超えており、最大で1270ベクレルが検出された。「この地区でそんなに見つかるなんて」「どうして規制値の倍以上のセシウムが出たのか」――農家から戸惑う声が漏れた。

 「大波でこんなに見つかるとは思っていなかった。コメがもう作れなくなるかもしれない」。大波地区の稲作農家伊藤松男さん(63)は肩を落とした。

 同地区では今月15日、県の検査で1農家の玄米から、初めて規制値を上回る630ベクレルが検出されたのを受け、県が、全154農家対象の全袋調査を始めている。伊藤さんも今年収穫した玄米の検査を受け「安全」との結果を、24日に県の担当者から聞いたばかりだった。「田植えの前に、県が『コメを作るな』と指示していれば、今年は作っていなかったのに……。農家として作ったコメを出荷できないのが一番つらい」と話した。

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