原発1基当たりの事故発生率「500年に1回」→54基なら約9年に1回

原発1基当たりの事故発生率が「500年に1回」というとは、日本には54基の原発があるから「9年に1回、事故を起こす」ことになる。あるいは、500年に54回も事故を起こす。

原発コスト 異論次々
(2011年11月16日 東京新聞朝刊)

 政府のエネルギー・環境会議に設置された「コスト等検証委員会」が十五日開かれ、東京電力福島第一原発の事故を受けた原発の発電コストについて議論した。国の原子力委員会は事故によるコスト上昇分を一キロワット時当たり最大一・六円と試算したが、議論ではさらに高くなるとの指摘が相次いだ。各エネルギー源で原発が一番安いとしてきた政府の根拠は揺らいでいる。 (関口克己)

 検証委では原子力委の鈴木達治郎委員長代理が試算を報告。政府がこれまで原発の発電コストとしてきた一キロワット時五・三円に、事故で最大一・六円が加わる可能性を示した。

 これに対し、大島堅一立命館大教授は「試算では除染費用が過小に評価されている」と、コストを引き上げるよう求めた。

 除染をめぐっては、環境省は放射線量が五ミリシーベルト以上の地域の費用を二〇一二年度までに約一兆一千億円と見込んでいる。だが、試算では、国が除染の対象に含めている一?五ミリシーベルト未満の地域の除染費用や、汚染土の中間貯蔵施設の建設費用を度外視。関連する行政費用も盛り込んでいない。

 議論では、試算で原発一基当たりの事故発生率を「五百年に一回」と「十万年に一回」が記されたことも争点になった。

 京都大原子炉実験所の山名元教授は「事故を起こさない安全強化が前提だ」とした上で、国際原子力機関(IAEA)が安全目標とする「十万年に一回」を主張した。これに対し、独自のコスト計算を行う経営コンサルティング会社「A・T・カーニー」の笹俣弘志氏は「十万年に一回とは国民が批判する(虚構の)安全神話。この数字を出せば、検証委の信頼を損なう」と反論した。

 一方、政府はこれまで発電コスト試算で、原発の稼働率を60~80%と想定してきたが、検証委では、実態を考慮して10%とした場合の計算を行う案が了承された。各電力会社が事故後に実施した追加の安全対策については、最新型の原発一基当たりで百九十四億円との試算も示された。

 検証委では議論を重ね、年内に原発を含めた各エネルギーのコストを取りまとめる

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