山下発言 ヨウ素は尿で排出 セシウムは筋肉蓄積も心配低い


ヨウ素は尿で排出 セシウムは筋肉蓄積も心配低い 長崎大・山下教授

2011.3.23 21:28

 福島第1原発の事故を受け、福島県産ホウレンソウなど身近な野菜から、放射性ヨウ素やセシウムが暫定基準を大きく上回る数値で検出された。しかし、旧ソ連のチェルノブイリの被曝者医療などに20年間携わり、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーでもある長崎大大学院医歯薬学総合研究科の山下俊一教授は「すでに問題となっている野菜などを口にしていたとしても、基本的には心配ない」と話し、冷静な対応を求めている。

 原子力発電の燃料に使うウランなどが核分裂して生まれる人工放射性物質の中でも、人体に悪影響を与えると指摘されるのが放射性ヨウ素と放射性セシウムだ。

 放射性ヨウ素はガス状で、呼吸などを通じて体内に入ると甲状腺に集まり、長期間にわたって蓄積した場合は甲状腺がんなどを引き起こす危険性がある。

 ただし放射性物質の量が半分になる半減期が約8日と短く、尿で排出されやすい。

 一方、放射性セシウムは体内に取り込まれると染色体や遺伝子の突然変異を起こすことがある。半減期が30年と長く、筋肉に集まりやすい性質があるが、筋肉にがんが起こることはまずなく、山下教授は「どちらかというと、気をつけなければならないのは放射性ヨウ素」と強調する。

 また、一般にがんになる確率が増えるのは、一度に100ミリシーベルト以上の放射線を浴びたときとされる。ただ、現在100ミリシーベルトを一度に浴びる可能性があるのは、原発施設の敷地内など極めて近い場所に限られている。

 山下教授は「そうした環境の中でさえ、放射線の影響でがんになる可能性が生じるのは、100人中1人か2人程度」としたうえで、「継続的にヨウ素を取り込んで蓄積することがない限り、健康に影響ない」としている。

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