九電が参加者の半数動員 県のプルサーマル討論会

九電が参加者の半数動員 県のプルサーマル討論会
(2011年07月30日更新 佐賀新聞)

 佐賀県が2005年12月に唐津市で開いた九州電力玄海原発3号機の「プルサーマル公開討論会」に、九電が参加者のほぼ半数にあたる366人の社員や協力会社社員を動員していたことが29日、明らかになった。討論会では参加者にアンケートが行われ、6割超が「安全性への理解が深まった」と回答したことが、古川康知事が国内初のプルサーマルに同意する一因にもなった。九電は会場での発言も要請、住民の意見や意識が作り出された格好で、批判は免れない。

 九電が福岡市の本社で記者会見して明らかにした。同年2月の九電主催の公開討論会(574人参加)に130人、10月の経済産業省主催のシンポジウム(626人)にも96人を動員。川内原発(鹿児島県)の3号機増設でも3回にわたって各200~300人の九電関係者が参加しており、組織的動員が常態化していた。

 九電によると、県主催の討論会に参加した関係者は社員約120人、社外約240人。全参加者782人の47%で、他の動員に比べて人数も比率も突出していた。本社原子力管理部のプルサーマルグループ長(部長級)が、同部と広報部の課長級社員に口頭で指示。佐賀支店や玄海原発の社員、さらに協力会社や取引先に対して参加と自主的な発言の要請へと広がった。

 佐賀県などによると、討論会には定員600人に対し約千人が応募。950人に参加証を送り、782人が参加した。九電は開催前に会社側の参加人数を把握していた。

 会場でのアンケートは6問で561人が回答した。「安全性の理解が深まったか」という問いには「そう感じる」と「だいたいそう感じる」が計65%。「どちらとも言えない」が20%、「あまりそう感じない」「感じない」が合わせて14%だった。アンケートに積極的に回答するよう要請したかどうかについて九電は「聴取する中では確認されていない」とした。

 古川知事は討論会終了後の会見で「安全性について言えば、理解が深まったという印象を受けた」などと述べ、翌年2月に「安全性は確保される」という見解を発表、3月に計画を了解していた。

 小野丈夫社長室長は「自主的な参加の呼びかけだったが、非常に配慮にかける対応だった」と反省。全社を挙げた地元への理解活動を進める中で、社員や協力会社の「勉強の場の意味合いがあった」と釈明し、「動員ではなく自主的な参加」と繰り返した。

 古川知事は沖縄に出張中。九電の報告を受けた牟田香副知事は「きょう知事のコメントを出す予定はない」とした。

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