玄海原発 住民向け初の説明  出席者「納得できぬ」

2011年6月27日 西日本新聞トップニュース

玄海原発 再開問題
国、住民向け初の説明
出席者「納得できぬ」
番組中継 質問、意見2041通

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を目指し、経済産業省は26日、原発の安全対策に関する県民向け「説明番組」を同県内のケーブルテレビ(CATV)などで中継した。同省が選んだ県民7人が出演し、担当者と質疑した。終了後、古川康知事は「(県民理解に)一定の役割を果たした」と評価したが、記者会見した出演者6人は「時間が短い。説明も歯切れが悪く、納得できなかった」などと不満を述べた。

 福島第1原発事故後、原発立地自治体の住民に対する国の説明活動としては初めて。ただ、説明対象者を限定し、放送するという手法には批判もあり、運転再開に反対する市民団体が番組の会場となったCATV会社周辺で抗議活動をした。

 番組は午前10時から90分、県内の4割以上にあたる約13万世帯が加入するCATVとインターネットで中継。県民の出演者は、国が地元の広告代理店にリストアップを依頼して決めた農業や主婦、商工団体代表や大学生など男女7人(20?60代)。同省原子力安全・保安院の黒木慎一審議官らが「福島第1原発事故後に九電が行った緊急安全対策に問題はない」などと従来の説明を繰り返した。

 質疑では「原発事故が収束していない中、玄海原発を早く再開すべき緊急性とは何か」といった声が相次いだ。番組視聴者からメールやファクスで2041通の質問や意見が届き、一部は番組内で紹介された。保安院側は「玄海原発周辺で大きな地震の可能性は高くない」などと答えた。

 終了後の会見で、出演者6人は「時間が短く、説明も分かりにくかった」「国の説明は歯切れが悪く、安心できない」「これで(説明会を)終わりにしないでほしい」などと指摘。テレビ番組という手法には「賛成派だけで(運転再開への)シナリオを作ってしまうと誤解を招く」「公開型説明会が必要ではないか」との意見が出た。

 保安院側は「安全対策をしていることは分かってもらえた気がした。透明性と科学的データに基づく情報発信を続けるしかない」と述べた。

 説明会実施を国に要請した古川知事は知事室で番組を視聴。取材に「いいやりとりができていたのでは」と評価した。県主催の大規模な説明会については「今日のやりとりを分析したいが、現時点でやるべきとは考えていない」と語った。
(豊福幸子)

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