福島原発の放射能 事故直後だけでチェルノブイリの15%を放出

福島では原発事故直後に「77万テラベクレル」放出
チェルノブイリでは合計で「520万テラベクレル」放出

保安院は、これまでの放出量はチェルノブイリの1割程度だとして
「チェルノブイリとは相当異なる」と説明していた

国際原子力事象評価尺度(INES)では、「数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出がある場合をレベル7」と定めており、事故直後にすでにレベル7の基準を1桁上まわっていた。にもかかわらず、保安院がレベル5をレベル7に修正したのは、事故から1ヶ月が過ぎた4月12日であった。

そして、その後も「積算放出量はチェルノブイリの1割程度だ」と過小評価を続け、人々の避難を遅らせ、放射線被ばく量を増やし続けた。

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【追加記事】◆福島原発事故で放出された放射能の発表数量がどんどん増加
(2013年3月28日 風の便り)から抜粋
大気中への放出量 37京ベクレル→63京ベクレル→77京ベクレル→90京ベクレル(東電発表 大気中90以上+海15以上105京ベクレル以上

3月から半年間に海に放出された放射性物質の量が「15京ベクレル」 合計すると少なくとも原発事故から半年間のうちに合計で「105京ベクレル以上」が放出されている。海への放出が同じペースで続いていた場合、2年間で15京ベクレルの4倍の「60京ベクレル」になる。90+60=150京ベクレル

90京ベクレルは、旧ソ連チェルノブイリ原発事故での放出量の約17%で、105京ベクレルは20%、150京ベクレルは29%にあたる。海外の研究所では、セシウム137がチェルノブイリの50%で、キセノン133の放出量は、チェルノブイリの総放出量1.4×1019Bqよりも多いと発表している。

◆福島原発の放射性物質、チェルノブイリを下回る=オーストリアの研究所
(2011年3月24日 ロイター)から抜粋 オーストリア気象地球力学中央研究所は23日、福島第1原発の事故後3─4日間に放出されたヨウ素131とセシウム137の量が、旧ソ連チェルノブイリ原発の事故後10日間の放出量の約20─50%に相当するとの試算を明らかにした。同研究所によると、事故後3─4日間のヨウ素131の放出量は、チェルノブイリ原発の事故後10日間の放出量の約20%。セシウム137の放出量は、同約50%に達する可能性があるという。

◆放射性物質はどのくらい放出された?(2011年10月27日号 Nature 478, 435-436)から抜粋 
ノルウェーの研究チームにより、原発事故の再現結果に基づいて推定した放出キセノン133の量は1.7×1019Bq、セシウム137の量は3.5×1016 Bqで、政府の見積もりよりキセノンが約1.5倍、セシウムが約2倍となった。キセノン133の放出量は、チェルノブイリの総放出量1.4×1019Bqよりも多いことになる。(セシウム137は)チェルノブイリ事故での放出量の約1/2に相当する。 ※全文
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★4月12日の記事
福島原発事故、最悪のレベル7 チェルノブイリと並ぶ (共同通信)

 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で、最悪の「レベル7」とすると発表した。これまで放出された放射性物質の量について、保安院は37万テラベクレル(テラは1兆)、原子力安全委員会は63万テラベクレルと推定。1~3号機の全体評価として、レベル7の基準である数万テラベクレルを大きく上回ったと判断した。

 レベル7は、史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ。保安院によると、チェルノブイリでは推定で520万テラベクレルが放出された。保安院の西山英彦官房審議官は、これまでの放出量はその1割程度だとして「チェルノブイリとは相当異なる」と説明。だが東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、放出が止まっていないことを踏まえ「放出量がチェルノブイリに匹敵する、もしくは超えるかもしれない懸念を持っている」とした。

 同原発は東日本大震災で、原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が失われて燃料が一部損傷したと考えられ、水素爆発なども起きている。国内で前例のない大量の放射性物質が放出された。原子力安全委は、相当部分は3月15日に2号機の圧力抑制プール付近で起きた爆発に伴い放出されたとみている。

 これまでの保安院の暫定評価はレベル5。保安院はレベル7にしたことで、現在の避難指示区域などを見直す必要はないとしている。

 西山審議官は今回の事故では、チェルノブイリのように死者は出ていないと指摘し「原子炉圧力容器や格納容器は多少の漏れがあるが、原形をとどめて働いている。チェルノブイリ原発のように原子炉で大規模、継続的な火災が発生しているわけではない」と説明。国の専門委員会で今後、レベルを正式決定する。

 枝野幸男官房長官は「周辺住民、国民、国際社会に申し訳ない」と述べた。東電は「事態を非常に重く受け止めている。原発周辺や県民の皆さまに大変な迷惑をかけ、深くおわびする」とした。

 原子力安全委は、福島第1原発から最大で毎時1万テラベクレルの放射性物質が放出され、数時間続いたと試算。放出量はすでに毎時1テラベクレル以下になったとみているが、原発の北西約60キロ、南南西約40キロで、3月12日~4月5日の積算外部被ばく放射線量が年間限度の1ミリシーベルトを超えるとも見積もっている。避難や屋内退避指示が出ている区域でも高い線量が示された。
2011/04/12 13:52 【共同通信】

★最後に書いてる「最大で毎時1万テラベクレルの放射性物質が放出され、数時間続いたと試算。放出量はすでに毎時1テラベクレル以下になったとみている」は、
●「最大で毎時1万テラベクレルの放射性物質が放出され」も間違い
●「放出量はすでに毎時1テラベクレル(1兆ベクレル)以下になった」も間違っていた。                
                   ↓
放射能の大放出が続いている…1日154兆ベクレル
どうして、これほど重大なニュースがマスメディアで大きく取り上げられないのか?

<放出量が落ち着いた4月5日の時点でも、1日あたり154テラ・ベクレル(1テラは1兆)に達していた。原子力安全委員会は、これまで、5日ごろの放出量について、セシウムとヨウ素の量を単純に合計し、「毎時約1テラ・ベクレル以下」と低く見積もっていた。>

最も原発の安全に責任を持たなければならない原子力安全委員会が、これほど放射能の放出を少なく見ていたことが分かっても大問題にならないのは何故なのか。


放射能の大気放出続く…1日154兆ベクレル (読売新聞)

【放射能漏れ】推定77万テラベクレル 放射性物質の総放出量を大幅修正
(2011.6.6 20:48 SankeiBiz)

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、福島第1原発事故の直後に、大気へ放出された放射性物質の総量を推定77万テラベクレル(テラは1兆)と、従来推計の2倍強に上方修正する解析結果を発表した。1号機の原子炉圧力容器の破損は、東京電力の解析結果より10時間早い震災当日とするなど、従来の解析より事態が急速に進んでいたことも判明した。

 政府は7日に原子力災害対策本部を開催。今回の解析結果を反映させた報告書をまとめ、今月下旬にウィーンで開かれる国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合に提出する。

 保安院は、4月に事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最悪の「レベル7」に引き上げた際、放射性物質の放出量を37万テラベクレルと推定していた。原子力安全委員会は63万テラベクレルと試算していたが、それも上回る値となった。

 保安院の解析は、1~3号機すべてで炉心溶融(メルトダウン)が起きたと推定。溶け落ちた燃料によって原子炉圧力容器が破損した時刻は、1号機は地震から約5時間後の3月11日午後8時ごろ、2号機は東電解析より29時間早い14日午後10時50分ごろとした。3号機については14日午後10時10分ごろと推定し、東電解析より13時間遅くなっている。

 保安院は大気への推定放出量が2倍強になった理由を「2号機からの漏(ろう)洩(えい)で過小評価があった」と説明。さらに、事故の進行が東電の解析と異なることについては、「(核燃料が発する)崩壊熱などの条件設定に違いがあり、詳細を実態に近い形に当てはめたため」とした。

 東電は5月24日、1~3号機で炉心溶融が起きているとみられるとする解析結果を公表していた。

 また、保安院は6日、東電が同原発の耐震安全性の確認で「活断層ではない」としていた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市、長さ約13・5キロ)が、東日本大震災以降に地表に出現したと発表した。4月11日の同県浜通りを震源とする地震で活動したとみられる。

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