福島 子どもの甲状腺がん 7人増え33人、疑い41人 

IPPNWドイツ支部:「システマティックに核災害の結果を過小評価」
(2014年 2月 21日 ちきゅう座)

IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部 グローガー理恵 
意図的な過少評価

<グローガー理恵:ドイツ在住>

IPPNWは、この記事の中で、当局によって汚染区域に設置された放射線モニタリング・ポストの殆どが実際の線量よりもはるかに低い線量を表示していることや健康管理当局が被災者の健康被害を故意に過小評価しようとしている、いわゆる「システマティックな核災害結果の過小評価」を暴露しています。

なお、この記事を和訳することの快諾をIPPNWドイツ支部のプレス担当者、ヴィルメン氏から得ることができましたことをお伝えしておきます。
原文(独語)へのリンクです。

IPPNWプレス・リリース 2014年 2月 17日

システマティックに核災害の結果を過小評価 

原子力大災害後の日本で生きること

(和訳:グローガー理恵)

原子力大災害から3年経っても、やはり日本当局の秘匿、もみ消し、否定が続いている。しかも、不都合な事実の秘密保持が、新制定された日本国家秘密保護法によって、更に容易くなり(秘密保持できる)範囲が広まった。もみ消しは既に、当局設置の放射線モニタリング・ポストで始まっている。

彼らは環境放射線量をシステマティックに縮小表示しているのである。「3,141ある当局設置の放射線モニタリング・ポストの80パーセント以上が低すぎる局所線量を表示していて、実際の放射線量の半分から3分の2までの量だけしか表示していないことが度々ある」と、環境ジャーナリストのアレクサンダー・ノイロイター(Alexander Neureuter)氏は、彼のフクシマ地域での調査について報告している。一方、日本の環境省は放射線測定装置が構造上の欠陥を示していることを認めた。: 装置の測定センサの周りに、間断なく電力を供給するための鉛の蓄電池が設置されたのだった。しかし、鉛は最も放射線遮断性のある物質なのである。

それに加えて、放射線による健康被害がシステマティックに過小評価されている。原発事故当時、福島県に住んでいた18歳未満の子供たちや青少年たち360,000人全員が甲状腺検査を受けている。しかし、診察担当の医師達は、病歴、触診、超音波検査を含めた全ての診察を、たったの3分以内に行うようにと指示されていたのである。このような時間制限は、綿密な診察検査をする上で、全く現実に即していないことである。

検査結果は詳細に解説されておらず、診察結果や超音波画像、または医師のコメントなどのような診断証書が両親に渡されることは全くない。他の医師のセコンドオピニオンを求めることが予め考慮に入れられているようなことはなく、しかも、開業医達は被災した子供たちの診察検査を行わないようにと文書で指図されていたのである。この次の超音波検査(再検査)は、一定の順番間隔により2年後にやっと実現されることになる。「結節の検出と次の再検査の間の期間が2年間だというのは余りにも長すぎる」と、アレックス・ローゼン博士(Alex Rosen-IPPNW)は断言する。

2014年2月7日、日本で、現時点における甲状腺検査のデータが公表された。2013年 12月 31日までに269,354人の子供および青少年が検査を受けた。: 受診者の47パーセントに甲状腺結節と甲状腺嚢胞が検出された。33人の子供達が甲状腺癌に罹っていることが確認され、さらに41人に悪性疑いがある。このことは、有病率 (検査時点の疾患数)が、住民100,000人中13.0人であることを意味している。日本の18歳未満の子供たちにおける通常の甲状腺-癌腫の罹病率(発病者数)は住民100,000人中0.35人である。「それゆえに、福島における甲状腺癌症例数は憂慮すべきことだ」と、ローゼン博士は述べる。

2014年の4月から実施されることになっている集団スクリーニングの第2ラウンドが、実際の新症例数を決定することを初めて可能にすることになる。

更に、批判的コメントとして、ー 例えば、(1)固形腫瘍-白血病-リンパ腫のような他の悪性疾患、(2)白内障-内分泌疾患-心臓血管疾患のような非悪性の健康被害、(3)被曝した集団における遺伝的影響などの診察検査が適切に為されていないこと ー を付け加えておく。

以上

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座


甲状腺がん7人増え33人、疑い41人 福島健康調査
(2014.2.7 16:10 産経ニュース)

 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が7日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(昨年11月)の26人から7人増え33人になった。「がんの疑い」は41人(前回は32人)。

 「確定」と「疑い」に加え、手術の結果「良性」と判明した1人を含む計75人のうち24人について、原発事故が起きた平成23年3月11日から4カ月間の外部被曝(ひばく)線量も公表。1ミリシーベルト未満が15人、1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満が9人だった。

 甲状腺検査は、原発事故発生当時18歳以下の約37万人を対象に、1次検査でしこりの大きさなどを調査。軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが2次検査を受ける。


福島、「事故の影響考えにくい」 甲状腺がん
(2014/02/23 20:24 共同通信)

 東京電力福島第1原発事故の健康影響を議論する環境省や福島県立医大などが主催の国際研究会が23日、都内で3日間の日程を終え、これまで福島県で見つかった33人の甲状腺がんについて「放射線の影響は考えにくい」との結論をまとめた。

 研究会で、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では、4~5年後から周辺の子どもたちの甲状腺がんが増加したことや、事故時に0~4歳の小さい子どもほどがんになるリスクが高かったと報告された。
2014/02/23 20:24 【共同通信】


福島の甲状腺がん「放射線影響考えにくい」 国際研究会
(2014/2/24 0:54 日本経済新聞)

 東京電力福島第1原発事故の健康影響を議論する環境省や福島県立医大などが主催の国際研究会が23日、都内で3日間の日程を終え、これまで福島県で見つかった33人の甲状腺がんについて「放射線の影響は考えにくい」との結論をまとめた。

 研究会では、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では4~5年後から周辺の子供たちの甲状腺がんが増加し、事故時0~4歳の小さい子供ほどがんになるリスクが高かったと報告された。

 福島の甲状腺がんは事故後3年以内の発見で、乳幼児のがん患者もいないことなどから、高性能の機器を使ったことで、これまでは見つけられなかった症状の無い患者を見つけた可能性が高いとした。

 福島県が事故後、県内の18歳以下を対象に実施している検査で、33人の甲状腺がんが見つかっている。〔共同〕


甲状腺がん新たに7人 福島県調査、計33人に
(2014/2/8 11:06 日本経済新聞)

 東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が8日までに福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した子供は前回(昨年11月)の26人から7人増え、33人になった。「がんの疑い」は41人(前回は32人)。

 検討委の星北斗座長はチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」と述べた。がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明した。

 しこりの大きさなどを調べる1次検査で約25万4千人の結果が判明し、1796人が2次検査の対象となった。

 「確定」と「疑い」に、手術の結果「良性」と判明した1人を含む計75人のうち24人について、原発事故が起きた2011年3月11日から4カ月間の外部被ばく線量も公表。1ミリシーベルト未満が15人、1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満が9人だった。

 国立がん研究センターなどによると、10代の甲状腺がんは100万人に1~9人程度とされてきた。

 甲状腺検査は、原発事故発生当時18歳以下の全員、約37万人が対象。1次検査の結果で軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが2次検査を受ける。〔共同〕


<以下、参考資料>

福島の小児甲状腺癌、チェルノブイリや広島原爆を超える!発症率は事故前の100倍以上!人類未踏の領域に突入へ!


子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定
(2013年11月13日06時33分 朝日新聞)

 【野瀬輝彦、大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、福島県は12日、検査を受けた約22・6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑いありと診断されたと発表した。8月時点より、検査人数は約3・3万人、患者は疑いも含め15人増えた。これまでのがん統計より発生率は高いが、検査の性質が異なることなどから県は「被曝(ひばく)の影響とは考えられない」としている。

 県は来春から、住民の不安にこたえるため、事故当時、胎児だった約2万5千人の甲状腺検査も始める。

 新たに甲状腺がんと診断されたのは8人、疑いありとされたのは7人。累計では、がんは26人、疑いが33人。がんや疑いありとされた計58人(1人の良性腫瘍〈しゅよう〉除く)の事故当時の年齢は6~18歳で平均は16・8歳。

 甲状腺がんはこれまでで10万人あたり12人に見つかった計算になる。宮城県など4県のがん統計では2007年、15~19歳で甲状腺がんが見つかったのは10万人あたり1・7人で、それよりかなり多い。ただし、健康な子ども全員が対象の福島の検査の結果と、一般的に小児は目立つ症状がないと診断されないがんの統計では単純比較できない。

 ただ、チェルノブイリでは、原発事故から4~5年たって甲状腺がんが発生しており、複数の専門医は「被曝から3年以内に発生する可能性は低い」と分析している。県は被曝の影響とは考えにくい根拠として、患者の年齢分布が、乳幼児に多かったチェルノブイリと違って通常の小児甲状腺がんと同じで、最近実施された被曝影響の無いロシアの子どもの検査でも4千~5千人に1人がんが見つかっていることなどを挙げている。


内部被曝2割過小評価か 事故直後の作業員 国連委指摘

 【大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故の直後に働いていた作業員の内部被曝(ひばく)について、国連科学委員会は、日本政府や東電は2割過小評価している可能性があると結論づけた。過小評価されていれば、事故直後に原発で作業していた数千人の一部には健康管理の検査対象から漏れている人もいるとみられ、東電は線量の評価の見直しが必要になる可能性がある。

 科学委員会は日本時間12日未明、国連総会第4委員会にこの結論を盛り込んだ報告書の概要を報告した。

 科学委員会は、日本政府や東電などからデータ提供を受けて、事故で放出された放射性物質の推計量や、2012年10月まで働いていた作業員約2万5千人の被曝線量などを分析した。

 この作業で、科学委員会は、(1)放射性ヨウ素による甲状腺被曝を調べる検査の開始が大幅に遅れた(2)作業員の線量評価で半減期が2時間、20時間と短い、ヨウ素132、133などを一切、考慮していない、ことを問題視した。その上で、放出された放射性物質ごとの量や被曝への影響を推計した結果、事故直後に働いていた作業員の線量は「約20%過小評価の可能性がある」と結論付けた。


福島の子どもの甲状腺がん、疑い含め44人に 16人増

 【大岩ゆり、野瀬輝彦】福島県は20日、東京電力福島第一原発事故の発生当時18歳以下だった子どものうち、44人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されたと発表した。6月から16人増えた。県は「被曝(ひばく)の影響は考えられない」とした。ただし、県の検査や説明に対して県民の間に疑問や不安の声もあるため、県は、専門家による新たな部会を作り、検査に問題がないか検証することになった。

 6月以降に新たに診断された16人のうち、がんは6人、疑い例は10人だった。累計ではこれまでに結果が判明した約19万3千人のうち18人が甲状腺がん、25人が疑いありと診断された。1人は疑いがあったが良性だった。この44人は原発事故時に6~18歳。がんの直径は5・2~34・1ミリ。がんは進行のゆっくりしたタイプだった。

 事故後4カ月間の外部の全身被曝線量の推計調査を受けた人は44人のうち4割だけだが、全員2ミリシーベルト未満だった。

 チェルノブイリでは4?5年後から甲状腺がんが増えたほか、今回の44人は複数回の検査でがんやしこりの大きさがほとんど変わっていないため、県は「事故以前からできていたと考えられる」と分析した。

 しかし、県民の間には被曝影響に関する解釈や、検査の精度、情報公開のあり方などに批判がある。

 このため県は、検査に関与していない専門医らによる専門部会を新設して、これまでの検査結果の判定や、がんと診断された人の治療、事故による被曝の影響などを改めて検証する。事故当時18歳以下だった約36万人に対し生涯にわたり継続する甲状腺検査のあり方も改めて議論する。


子の健康調査「国の責任で」 市民団体が請願
(2013年6月8日 朝日新聞)から抜粋

 茨城県、千葉県北西部、埼玉県南東部に住む母親たちでつくる「放射能からこどもを守ろう関東ネット」(36団体、増田薫代表)は7日、子どもたちの健康調査を国の責任で行うよう求める請願書を衆参両院19人の国会議員に提出した。約7万3千人分の署名を添えた。

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