現在、日本にある使用済み核燃料は1万7000トン以上

福島第1原発4号機の燃料プールから冷却水が漏れたときに大惨事が起きると分かり、使用済み燃料が原発に留め置かれることに危機感をもつ原発立地地域の住民が増えてきている。

原発使用済み核燃料 中間貯蔵の明確化を
(2013年10月25日 河北新報)

 年内策定へ佳境に入った国のエネルギー基本計画の議論で、使用済み核燃料の中間貯蔵の明確な位置付けを求める声が出ている。背景には、原発に使用済み燃料を留め置かれる立地地域の不安がある。国は対策を協議する場を設ける方針だが、相手となる都道府県側の反応は鈍い。

原発使用済み核燃料の貯蔵状況 2013年現在

 「使用済み燃料を原発にとどめたまま議論はできない。電力消費地が中間貯蔵を担うべきだ
 16日、基本計画の方向性を話し合う総合資源エネルギー調査会の分科会で、西川一誠福井県知事が訴えた。西川氏は前日あった原子力政策の会合でも同じ意見を述べた。

 福井県は原発13基で3550トンの使用済み燃料を抱える。貯蔵限度を超えれば原発稼働が困難になる。その上、事故で燃料貯蔵プールを冷却できなくなった場合の危険性は福島第1原発事故で明らかになった

 電力供給に長年協力してきた立地地域は「使用済み燃料の貯蔵まで引き受ける義務はない」(西川氏)との思いがある。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、全国の原発の貯蔵量と容量は表の通り。柏崎刈羽などは約3年後に容量限度を超える恐れがある。

 むつ市に8月、中間貯蔵施設が完成したが、引き受け対象は出資者の東京電力と日本原子力発電のみ。使用済み燃料の扱いは、各地の原発で悩みの種だ。

 経産省は昨年11月、国と都道府県が対策を話し合う協議会を設ける方針を示したが、参加表明は福井、茨城の2県だけ。経産省は7月、協議会設置をあらためて発表したが、追加の参加はない。エネ庁は「時機を見て再要請したい」と話す。

 東北で原発が立地する宮城、福島、青森の3県も様子見が続く。

 福島県は「使用済み燃料の県外搬出を要望している。協議会に全く関わらないことにはならない」と説明。宮城県も「昨年は震災対応に手いっぱいで参加を見合わせた。協議会の趣旨には賛同している」と参加に含みを残す。

 青森県は全国の使用済み燃料を六ケ所村で受け入れている。再処理までの一時貯蔵だが、国は本年度、使用済み燃料の直接処分の研究開発に着手。先行きは不透明だ。県は「協議会の論点が分からないが、再処理の前提が崩れれば、使用済み燃料を各原発に返すだけだ」と強調する。

2013年10月25日金曜日


核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定
(2013年9月24日 東京新聞 朝刊)

 原発再稼働をめぐる論議が高まる中、原発から出る放射線量の高い使用済み核燃料を貯蔵するスペースは既に満杯に近づきつつある。「核のごみ」が解決しないまま、原発を動かしてもいずれ行き詰まるのは明らかだ。(梅田歳晴)

 電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は2012年9月末時点で、少なくとも1万7000トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。

 青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量3000トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年9月の時点で貯蔵量は2945トンに達し、占有率は98%に達した。

 原発の燃料プールと六ケ所村の保管スペースを合計した貯蔵容量の73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。

 日本は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす核燃料サイクルを原子力政策の要としているが、再処理は技術的なトラブルが相次ぎ、いまだに事業を開始していない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も1995年のナトリウム漏れ事故後ほとんど動いていない。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分では場所すら決まっておらず、使用済み核燃料が国内の貯蔵能力を上回れば、事実上、原発の運転が不可能になる。

 京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)は「再稼働すれば行き先のない核のごみは増え続けるばかりだ。全体のグランドデザインをしっかり考える人がいなかったのではないか。これ以上、原発を再稼働させるべきではない」と、核のごみを放置し、原発を増やし続けた国や電力会社の姿勢を批判している。


全国6割の原発・核燃料プールがあと数年で満杯、稼動不可に
(2012年9月4日 東京新聞)から抜粋

 全国の原発50基のうち約6割の33基が、数年間稼働させれば使用済み核燃料プールが満杯になり、動かせなくなることが、各電力会社への取材で分かった。新たに中間貯蔵施設を造るには十年はかかり、使用済み核燃料を再処理しても、核のごみは減らず、再生される混合酸化物燃料(MOX燃料)は使う計画がない。原発の抱える深刻な問題がはっきりした。

 本紙は、原発を保有する九つの電力会社と日本原子力発電(原電)に、各原発のプールの空き容量のほか、1年(通常、原発の定期検査の間隔は十三カ月)ごとの核燃料交換の実績値を取材。そのデータから、各プールがあと何年で満杯になるかを計算した。

東京新聞:原発再稼動したら 核燃料プール 数年で満杯

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高レベル放射性廃棄物処分の国際的動向について
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図録原子力発電所の発電総出力と使用済み核燃料貯蔵量


ウィキペディアの「主な国の使用済み核燃料の保有量」には
日本は、2007年末時点19,000トンと記載されている。放射性廃棄物処分場「オンカロ」をつくっているフィンランドの使用済み核燃料は1600トンで、日本の8.4%しかない。

米国:61,000 カナダ:38,400 日本:19,000 フランス:13,500 ロシア:13,000 韓国:10,900 ドイツ:5,850 英国:5,850 スウェーデン:5,400 フィンランド:1,600
※単位 トン(07年末時点) このうち日本、フランス、ロシア、英国は再処理を実施している。[1]

(中村コメント)
日本以外の再処理を実施している国は、すべて核兵器を所有している。

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