原発再稼動に向う「日本の流れ」を変えうる重要な本

原発事故を過小評価し、原発再稼動に向う「日本の流れ」を大きく変えうる重要な本がついに出版されました。調査をまとめてくれたヤブロコフ博士、2人のネステレンコ博士、非常に難しい内容を正確に翻訳してくれたチェルノブイリ被害実態レポート翻訳チームの皆さん、そして、監訳された星川 淳さんに感謝します。

調査報告  チェルノブイリ被害の全貌
アレクセイ・V.ヤブロコフ,ヴァシリー・B.ネステレンコ,アレクセイ・V.ネステレンコ,ナタリヤ・E.プレオブラジェンスカヤ
星川 淳 監訳 チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チーム 訳
■体裁=B5判・並製・400頁
■定価 5,250円(本体 5,000円 + 税5%)
■2013年4月26日

大惨事から27年,北半球全域を覆った放射能による死者数は約百万にのぼり,その環境被害は今も進行中である――.多年にわたる調査研究と五千以上の文献資料に基づき,被害の全貌を示すデータを系統的に呈示した本書は,衝撃的な真実を告げる警鐘の書であり,フクシマ以後を生きる私たちにとって必携の報告書である.

『チェルノフ?イリ被害の全貌』書影_s

チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト

1986年4月26日に起きたチェルノブイリ事故の被害をめぐっては、国連、IAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機構)などにより「直接的な死者は50人、最終的な死者は4000人」といった過小評価が公式化されてきましたが、実態ははるかに深刻です。なかでも、ゴルバチョフの科学顧問を務めたロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士を中心とする研究グループが2009年にまとめた報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)は、英語だけでなくロシア、ウクライナ、ベラルーシ現地の膨大な記録や文献から、(2004年時点で)犠牲者数を少なくとも98万5000人と見積もっています。

ヤブロコフ博士 来日講演のお知らせ

本書の主著者であり、翻訳作業の2年間、ずっと翻訳チームからの質問に答え、サポートしてくださったアレクセイ・V・ヤブロコフ博士が来日され、東京・盛岡・郡山・京都の4か所講演を行います。

【東京】 5月18日(土)午後6時30分~
【盛岡】 5月19日(日)午後1時30分~
【郡山】 5月20日(月)午後6時30分~
【京都】 5月22日(水)午後6時15分~

星川淳さんとヤブロコフ博士
(写真:福島県での講演翌日、星川淳さんとヤブロコフ博士)

2011年4月16日 ヤブロコフ大写真沖縄タイムス
(写真:2011年4月16日 沖縄タイムス)

「放射能被害を過小評価」 ロシアの科学者 福島原発を懸念
(2011年3月27日 西日本新聞)から抜粋

 旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故について、人や環境に及ぼす影響を調べているロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士が25日、ワシントンで記者会見し、福島第1原発事故の状況に強い懸念を示した。

 福島第1はチェルノブイリより人口密集地に位置し、200キロの距離に人口3千万人の巨大首都圏がある。さらに、福島第1の3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電だ。もしここからプルトニウムが大量に放出される事態となれば、極めて甚大な被害が生じる。除去は不可能で、人が住めない土地が生まれる。それを大変懸念している。

 チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。

 セシウムやプルトニウムなどは年に1~3センチずつ土壌に入り込み、食物の根がそれを吸い上げ、大気に再び放出する。例えば、チェルノブイリの影響を受けたスウェーデンのヘラジカから昨年、検出された放射性物質の量は20年前と同じレベルだった。そういう事実を知るべきだ。

 日本政府は、国民に対し放射能被害を過小評価している。「健康に直ちに影響はない」という言い方はおかしい。直ちにではないが、影響はあるということだからだ。

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