2つの原発事故と再処理工場からの放射性物質の放出量

今年10月の稼動を目標にしている核燃料再処理工場。その「再処理」過程で放出される放射性物質の量は、信じ難いほど膨大だが、そのことをマスコミが取り上げることはほとんどない。その年間放出量は、チェルノブイリと福島の2つの原発事故と比較するとわかりやすい。

チェルノブイリ原発事故での総放出量   520京ベクレル(520万テラベクレル)
福島第一原発の事故直後だけの放出量  77京ベクレル (77万テラベクレル) 
★訂正 大気放出は90万テラベクレル 原発事故の放射性物質
★追加情報 半年間に海に放出された放射性物質の量=15京ベクレル 
再処理工場稼動による推定年間放出量  35京ベクレル (35万テラベクレル)
(大気中に33京ベクレル+海に2京ベクレル=35京ベクレル放出)
35京ベクレルを40年間、毎年放出する。35×40=1400京ベクレル
1400京ベクレル(チェルノブイリの2.7倍)の中に放射性トリチウムが含まれ、大気中に毎年1900兆ベクレル、液体で海に毎年1京8千兆ベクレル放出される。NHKの報道によれば、米国の原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増している。

福島原発事故3号炉 煙


福島原発事故、最悪のレベル7 チェルノブイリと並ぶ
(2011/04/12 共同通信)から抜粋

 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で、最悪の「レベル7」とすると発表した。これまで放出された放射性物質の量について、保安院は37万テラベクレル(テラは1兆)、原子力安全委員会は63万テラベクレルと推定。1~3号機の全体評価として、レベル7の基準である数万テラベクレルを大きく上回ったと判断した。

 レベル7は、史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ。保安院によると、チェルノブイリでは推定で520万テラベクレルが放出された。保安院の西山英彦官房審議官は、これまでの放出量はその1割程度だとして「チェルノブイリとは相当異なる」と説明。だが東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、放出が止まっていないことを踏まえ「放出量がチェルノブイリに匹敵する、もしくは超えるかもしれない懸念を持っている」とした。


放出77万テラベクレルと修正 第1原発、推計の2倍強
(2011/06/06 共同通信)から抜粋

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、福島第1原発の1~3号機すべてでメルトダウン(炉心溶融)が起き、最も早い1号機では地震から約5時間後の3月11日午後8時に原子炉圧力容器が破損したとの解析結果を発表した。また発生から数日間に大気中に放出された放射性物質の量は77万テラベクレル(テラは1兆)と、従来の推計を2倍強に上方修正した。事態が東京電力の解析より急速に進んでいたことを示しており、事故の深刻さと汚染規模の大きさを裏付けた。


六ヶ所再処理工場
(ウィキペディアから抜粋)

六ヶ所再処理工場

<気体で大気中に放出する放射性物質>
放射性元素名      推定年間放出量 ベクレル/年 
クリプトン85 (Kr-85) 33京
トリチウム (H-3)   1900兆
炭素14 (C-14)       52兆
ヨウ素129 (I-129) 110億
ヨウ素131 (I-131) 170億
ルテニウム106 (Ru-106) 410億
ロジウム106 (Rh-106) 410億
セシウム137 (Cs-137) 11億
バリウム137m (Ba-137m) 10億
ストロンチウム90 (Sr-90) 7.6億
イットリウム90 (Y-90) 7.6億
プルトニウム240 (Pu-240) (α線核種) 2.9億
その他の核種 (α線核種) 4000万
その他の核種 (非α線核種) 94億

<液体で太平洋に放流する放射性物質>
放射性元素名 推定年間放出量 ベクレル/年
トリチウム (H-3) 1京8千兆
ヨウ素129 (I-129) 430億
ヨウ素131 (I-131) 1700億
ルテニウム106 (Ru-106) 240億
ロジウム106 (Rh-106) 240億
プルトニウム241 (Pu-241) 800億
セシウム137 (Cs-137) 160億
バリウム137m (Ba-137m) 160億
ストロンチウム90 (Sr-90) 120億
イットリウム90 (Y-90) 120億
セシウム134 (Cs-134) 82億
セリウム144 (Ce-144) 49億
プラセオジム144 (Pr-144) 49億
コバルト60 (Co-60) 41億
ユウロピウム154 (Eu-154) 14億
プルトニウム240 (Pu-240) (α線核種) 30億
キュリウム244 (Cm-244) (α線核種) 3.9億
アメリシウム241 (Am-241) (α線核種) 1.4億
その他の核種 (α線核種) 4億
その他の核種 (非α線核種) 320億


米原発で微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、ガンが急増(NHK) 大量にトリチウムを放出する六ヶ所再処理工場はどうなる?
(2012/01/03 風の便り)から抜粋

低線量被ばく揺らぐ国際基準(NHK)

“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”
福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告。広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。

しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。

アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。

世界一の原発大国アメリカ。ここではより影響を受けやすい子供たちに深刻な問題が起きていました。イリノイ州シカゴ郊外。周辺に3つの原発が集中しています。原発から排出される汚水には放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府は国際基準以下なので影響はないとしてきました。しかし近くの町では子供たちがガンなどの難病で亡くなっていました。

6年前に建てられた慰霊碑。足元のレンガにはこれまでに亡くなった100人の名前が刻まれています。

ソウヤーさん夫妻はガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間、全住民1200万人がどんな病気にかかったかを記した記録です。小児科医の夫ジョセフさんが分析したところ原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加。なかでも小児ガンは、およそ2倍に増えていました。


六ヶ所村の再処理工場→33京Bq


放射能の大気放出続く…1日154兆ベクレル

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