2012/07/16

原発の呪縛 「棄民」の結末、忘れるな−嘉田由紀子・滋賀県知事

特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 滋賀県知事・嘉田由紀子さん
(毎日新聞 2012年07月13日 東京夕刊)

 <この国はどこへ行こうとしているのか>

 ◇「棄民」の結末、忘れるな−−嘉田由紀子さん(62)

 「計画停電の危機があおられて、経済界が私の言うことに聞く耳を持たなくなりました。県に代わりの電力があるかといったら、ない……」

 滋賀県知事の嘉田由紀子さんは、苦渋の表情を浮かべた。それまでは穏やかな語り口ながら力強く、中長期的に原発依存から脱するという持論の「卒原発」について語っていた。だが、5月30日に関西広域連合が関西電力大飯原発の再稼働を容認したことに話が及ぶと、調子が変わった。近畿・中四国の7府県と大阪市、堺市で構成する同連合は、嘉田さんらの主張を受けて再稼働に慎重だったが、その日、容認に転じたのだった。

 「批判は甘んじて受けます。私の元には『裏切り者』などという、かなりきつい言葉も寄せられました」

 原発なしでも、なんとか夏を乗り切れる態勢づくりを進めていた。停電が患者や入所者に影響することが懸念された病院や福祉関係施設には、代替電源となる蓄電池の設置を支援。中小企業の省エネ設備導入に補助金を出し、昨夏以上の節電が可能となる状況を整えようとした。

 「ところが、5月に入って関西電力が大きな事業所を個別訪問し、計画停電になったらどうするのか、と触れ回ったのです。これで、一斉に経済界から悲鳴が上がった。再稼働戦略だったんじゃないでしょうか。本当にむなしかったですよ」。嘉田さんはきっとした目で宙を見据えた。

 国への不信感も隠さない。日本海の風は、秋冬春と福井県を抜けて滋賀県に吹きつける。つまり、滋賀県は高速増殖原型炉「もんじゅ」を含む原発14基が居並ぶ若狭湾の風下に位置し、万一の時は重大な被害が予想される。ところが、原発事故時の放射性物質の拡散予測を求めても国は出し渋った。「本来は国のデータをもらうだけでいいのに、県独自でやりましたよ」。被害を抑えるための防災計画を再稼働前に用意するのは当然だが、「国はいまだに防災指針さえ示していません」

 嘉田さんは3・11後、原発事故で被害を受ける可能性が大きい「被害地元」と滋賀県を位置づけ、原発問題でものを言える立場の獲得を目指した。福井県などの原発立地自治体は、再稼働はその了解を必要とするなどの「原子力安全協定」を電力会社と結んでおり、滋賀県も同様の協定を関西電力に求めた。しかし3月16日、藤村修官房長官は大飯原発再稼働で、滋賀県は同意が必要な地元に含まれないとの認識を示した。

 「『えー、国は何を見てるの。電力会社の顔しか見ていないのですか』と怒りが込み上げました。被害を受けるのは周辺住民です。こちらの努力を無視する、国や霞が関の姿勢はずっと変わりません」

 嘉田さんは電力を供給する力のない現実と、原発に対する地方の「無権利状態」に直面し、挫折を味わった。このため地産地消エネルギーの増加を掲げて「地域エネルギー振興室」を発足させ、再生可能エネルギーの普及や、地域で運営する市民共同発電所の振興などに取り組む。

 無権利状態からの脱却では、山田啓二京都府知事との共同提言がもととなり、原子力規制委員会設置法の付則に、「国と地方の協力体制を整備するための法体系の検討」という文言が盛り込まれた。原発立地自治体の安全協定に法的根拠はなく、電力会社との紳士協定に過ぎないという見方がある。現在、原子力施設の安全確保を巡る法的権限は国にしかなく、嘉田さんは「声を上げてきた成果です」と声を弾ませた。

 嘉田さんは埼玉県本庄市出身だが、中学校の修学旅行で琵琶湖と出合い、美しさのとりこになった。京都大を卒業して滋賀県立琵琶湖博物館総括学芸員となり、その後をこの湖とともに過ごすことになった。06年の知事選出馬では「琵琶湖との共生の暮らしを」と掲げ、大型公共事業中心の県政の変革を訴え、初当選した。5月に新著「知事は何ができるのか」(風媒社)を出版し、日本の政治や行政に責任感、正義感、倫理感が欠如した「日本病」がまん延していると批判した。原発を巡っての日本病とは何か?

 「国、電力会社、研究者などで構成する均質集団(原子力ムラ)の内部論理で意思決定し、異質な意見に耳を傾けないことが、福島原発事故を招いた。万一の被害を受ける住民のことには全く想像力も働かなければ、感情もなかった」と、嘉田さんは評した。

 嘉田さんはいつも胸につけている福島県製作の「ふくしまからはじめよう」と書かれたバッジに手を当てた。「福島の人たちの犠牲を絶対に忘れてはいけないのです」

 70年代の中ごろから取り組んだ琵琶湖研究は、環境社会学の立場からだった。水と環境を考えるにあたって、歴史の教訓としなければならないと考えてきた公害問題がある。

 「私は二度と水俣病のようなことが起きてはならないと思ってきた。ところが、政府、企業の中枢を担う人が内部論理に走り、その末に起きた被害として、フクシマは水俣と一緒です。きつい言い方ですが、弱い立場の人間には目を向けない棄民政治です」

 嘉田さんのとなえる「卒原発」には、「脱原発」と比べて穏当な響きがある。原子力ムラに対する強烈な不信感とのずれを感じる。

 「電気なしでは暮らせないのですから、一定の現実的な判断は必要と思います。しかし、地震大国で津波が多い日本に、原発は不似合いな技術ではないでしょうか。だから、中長期的に日本は原子力から卒業すべきだと考えています」。その期間は10年を期待し、最長でも20年と考えているという。

 日本病全般に共通する病理として、日本人の問題先送り体質があると考えている。「まあまあ、なあなあで手を打たず、気がつくと手遅れになっているのが、日本の政治なのです」。実例として、巨額の財政赤字や人口減少問題を挙げた。原発問題では、2030年の原発全廃を目標として、具体的に削減を進めるべきだと主張する。

 原発の即時全廃を求める声もある。どう答えるのか。原発からの撤退を求める人の中でも、意見の対立が生じ始めている。

 「ともかく今、みんなが不安なのですよ。背景には、国や行政がなあなあを繰り返し、結局は3・11前と何も変わらないのではないかとの政治不信がある。ですから、新しい未来を目標に掲げ、その工程を示して不安を和らげ、ともに歩んでいくべきだというのが私の政策論です」

 難問だったはずだが、即答した。知事として、どう原発と向き合うかを考え抜いている。【戸田栄】

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 ■人物略歴
 ◇かだ・ゆきこ

 1950年生まれ。前職は、京都精華大人文学部教授。現在2期目。アフリカ・マラウイ湖など世界各地の湖沼地域も訪問し、湖と地域社会などの研究をする。著書に「環境社会学」(岩波書店)など。

2012/07/15

NHK「ネットワークでつくる放射能汚染地図」への注意処分を考える

「厳重注意」を受けるべきは誰か
(月刊マスコミ市民「放送を語る会 談話室」)から転載

NHK「ETV特集」スタッフへの「注意処分」を考える

戸崎 賢二(放送を語る会会員)

 大震災後のテレビ報道の中で、NHK「ETV特集」の「ネットワークでつくる放射能汚染地図」シリーズは、原発事故による放射能汚染の実態と、被害を受けた人びとの悲劇を、地を這うような調査取材で伝え続け、わが国原発事故報道の高い峰を形成してきた。シリーズ第一回にあたる昨年5月15日の番組は、文化庁芸術祭大賞、日本ジャーナリスト会議大賞などを受賞している。
 ところが、今年4月、NHKで、この優れた番組群を主導したETV特集班のプロデューサーとディレクターが、口頭での「厳重注意」、もう1人のディレクターが「注意」を受けていたことが明らかになった。

 問題とされたのは、取材班が番組の制作記録として刊行した単行本「ホットスポット」(講談社)の内容である。この「厳重注意」については、NHKの公式サイトで見当たらず、当事者も沈黙しているので、詳細はよくわからない。局内で伝えられているところを総合すると、「厳重注意」の理由は、前記の書籍の中で、執筆者が、NHKが禁じていた30キロ圏内の取材を行った事実を公表したこと、原発報道についてNHKの他部局を批判したこと、などだったとされる。

 書籍「ホットスポット」によれば、震災4日後の3月15日、取材班は放射線衛生学の研究者である木村真三博士とともに福島へ向かい、翌16日から、原発から30キロ圏内で、移動しながら放射線量を測定した。各地でチェルノブイリに匹敵する高い線量を記録する中で、研究者のネットワークで、原発事故による汚染地図をつくるドキュメンタリーの企画の着想が生まれた。

 この企画は、ETV特集新年度第1回の4月3日の放送分として提案されたが、ネットワークに参加する研究者に反原発の立場の研究者がいることなどを理由に、制作局幹部によって却下される。このころすでに、政府の屋内退避区域の設定を理由に、NHKは30キロ圏内の取材を禁じていた。3月下旬、再度現地に入ったクルーが、幹部からの命令で現地から撤退する直前、浪江町赤宇木(あこうぎ)で、高線量を知らず取り残されている住民を発見した。住民はのちに取材クルーと木村博士の説得でこの地域を脱出することになる。

 「注意処分」の理由とされたのは、このように30キロ圏内で取材した事実を書籍で公表したことだった。しかし、その記述があることによって、当時の原発事故報道の問題点が鮮明に浮かび上がることとなった。

 赤宇木のある地域の放射線量の高さは、文科省は把握していたが、地名を公表しなかった。枝野官房長官はこの報告を受けた後の記者会見で、「直ちに人体に影響を与えるような数値ではない」と説明し、テレビ報道はこの会見を垂れ流した。

 取材班は「ホットスポット」の中で、「当時の報道は大本営発表に終始し、取材によって得られた「事実」がなかった」と指摘、30キロ圏内の取材規制も、「納得できるものではない、そこにはまだ人間が暮らしているのだ」と書いている。ジャーナリストとしてまっとうな感覚である。

 赤宇木の状況は4月3日のETV特集で紹介され大きな反響を呼んだが、3月に測定した汚染の広がりの公表は、5月15日の「汚染地図」第1回の放送まで待たなければならなかった。もし、幹部が遅くとも4月3日に「汚染地図」の放送を許していたら、番組は大きな警告となって、高線量の中で被曝する住民が少しは減らせたかもしれない。

 こうしてみると、「厳重注意」を受けるべきは、本来誰なのかを問い直さざるをえない。それは被災地に入り込んで取材し、住民を救った取材班というよりは、むしろ政府発表を垂れ流した報道や、早期に放射能被害を伝えることを制約した幹部のほうではないか。

 番組を牽引した七沢潔氏は、本書の「あとがき」の中で、「あれだけの事故が起こっても、慣性の法則に従うかのように「原子村」に配慮した報道スタイルにこだわる局幹部」と、NHK内部に向けて厳しい批判を加え、「取材規制を遵守するあまり違反者に対して容赦ないバッシングをする他部局のディレクターや記者たち」の存在を告発している。

 現役のNHK職員のこの異例の記述には、組織の論理よりも民衆を襲った悲劇の側に立つことを優先し、自局の原発報道を問い直す不退転の決意が読み取れる。

 このあたりの記述が「厳重注意」の理由とされたのだった。しかし、ここに表明された個々の制作者の精神の自由を「厳重注意」によって抑圧するようでは、企業としてのNHKの「自主自律」は実体を持たない空疎なものとなる。 「ホットスポット」は一方で、NHKは決して一枚岩の存在ではなく、良心的な番組でもNHK内においてはさまざまな圧力の中にあり、視聴者の支持がなければ潰されかねないことをも示唆した。今回の「厳重注意」の動きは、視聴者にそのような重大なメッセージを伝えている。

2012年7月号より


生涯100ミリシーベルトの基準で、本当に健康への影響はないのか?
追跡!真相ファイル(NHK 12月28日放映)から抜粋

低線量被ばく 揺らぐ国際基準
NHK 追跡!真相ファイル(2011.12.28放送 動画28分)

★上記番組のプロデューサー、ディレクターを「原子力ムラ」が批判
NHK番組への原子力推進者の抗議に関して(東京新聞)2/1

被ばく基準緩和 NHK番組「論拠不明確」
原発推進団体が抗議

(2012年2月1日 東京新聞朝刊)

NHKが昨年末、国際的な低線量被ばくのリスク基準が政治的な判断で低く設定されたという内容の番組を放映したことに対し、原子力発電推進を訴える複数団体のメンバーらが「(番組内容には)誤りや論拠が不明な点、不都合な事実の隠蔽(いんぺい)がある」として、NHKに抗議文を送っていたことが分かった。 

団体側はNHKに先月末までの回答を求めていた。NHKの広報担当は「番組内容に問題はないと考えているが、(抗議には)誠実に対応させていただく」としている。

抗議文は外務省の初代原子力課長、金子熊夫氏が会長を務める「エネルギー戦略研究会」、東京電力出身の宅間正夫氏が会長の「日本原子力学会シニア・ネットワーク連絡会」、元日立製作所社員の林勉氏が代表幹事の「エネルギー問題に発言する会」の三団体が作成、提出した。

番組は昨年十二月二十八日に放送された「追跡!真相ファイル 低線量被ばく 揺れる国際基準」。国際放射線防護委員会(ICRP)が被ばくによる発がんリスクの基準設定を政治的な判断で低くしたという趣旨を同委員会メンバーへの取材を交えて報じた。

これに対し、団体側は「インタビューの日本語訳が意図的にすり替えられている」「政治的圧力で(被ばく)規制値を緩和したかのような論旨だが、論拠が不明確」などと指摘し、調査を求めた。

三団体は過去にも報道機関に「原子力は危ないという前提で、編集している」といった抗議活動をしてきたが、東京電力福島第一原発事故後では今回が初めての行動だという。

原爆の影響調査に携わってきた沢田昭二名古屋大名誉教授は「番組の内容は正確。日本語訳もおおむね問題はなかった。重要な情報を伝える良い番組だった」と話している。


NHK職員の皆さんに お願いしたいこと 


NHKスペシャル 「がれき”2000万トン”の衝撃」の嘘

原発に対して、意思表示をすることの大切さ

「ぼくは げんぱつじこまえの ふくしまに かえりたい!」

「政府の人が心から 『福島の子は大丈夫』 と思っているのか 知りたいです」


(2011年9月20日 東京新聞「こちら特報部」)

原発問題 神様知恵をください (2012 7/14朝日新聞 投稿欄)
小学生 藤澤 凛々子 (東京都武蔵村山市 9 )

この前、ギリシャ神話を読みました。人間に火を与えた神プロメテウスに、全能の神ゼウスは言いました。「人間は無知で、何が幸せで何が不幸かわからないからだめだ」私はずっと人間は他の動物よりかしこいと思っていました。火を使い、便利で幸せな生活を送っているのは人間だけだからです。

でも、大い原発が再稼働したというニュースに、ゼウスの言う通り人間は無知なのかもと思いました。福島第一原発事こは、まだ終わっていません。放しゃ能で大変な事になってしまうのに、この夏の電力や快てきな生活を優先したのです。大い原発は幸せな未来につながるのでしょうか。私が大人になるまでに日本も地球もだめになってしまうのではないかと心配です。

神様、どうか私に目先の事だけでなく未来のことまで考えて何が幸せで何が不幸かわかる知恵をください。その知恵で人も他の動物も幸せにくらせるようにしたいです。

原発問題 神様知恵をください (朝日新聞 投稿欄 小学生 9歳)

原発問題 神様知恵をください (2012年7月14日 朝日新聞 投稿欄)
小学生 藤澤 凛々子 (東京都武蔵村山市 9 )

この前、ギリシャ神話を読みました。人間に火を与えた神プロメテウスに、全能の神ゼウスは言いました。「人間は無知で、何が幸せで何が不幸かわからないからだめだ」

私はずっと人間は他の動物よりかしこいと思っていました。火を使い、便利で幸せな生活を送っているのは人間だけだからです。

でも、大い原発が再稼働したというニュースに、ゼウスの言う通り人間は無知なのかもと思いました。福島第一原発事こは、まだ終わっていません。放しゃ能で大変な事になってしまうのに、この夏の電力や快てきな生活を優先したのです。大い原発は幸せな未来につながるのでしょうか。私が大人になるまでに日本も地球もだめになってしまうのではないかと心配です。

神様、どうか私に目先の事だけでなく未来のことまで考えて何が幸せで何が不幸かわかる知恵をください。その知恵で人も他の動物も幸せにくらせるようにしたいです。

http://www.facebook.com/ryuuichi.nakamura.3/posts/501917916491090?notif_t=like

2012/07/14

「いのち を犠牲にする発電はやめよう」全日本仏教会会長 

「”いのち”を犠牲にする発電はやめよう」 
全日本仏教会・河野太通会長インタビュー「3.11」

(2012年3月 ガジェット通信)から抜粋

 「原子力発電によらない生き方を求めて」。昨年の12月1日、財団法人全日本仏教会が出した「異例の宣言」が注目を集めた。全日本仏教会と言えば、高野山真言宗や天台宗など伝統仏教の主要59宗派を中心に構成され、全国寺院の9割以上が加盟する日本唯一の連合体だ。その全日本仏教会が原発依存を警鐘する声明を発表したのだ。

 現代の日本人、特に若い世代にとって仏教は身近な存在とは言いがたくなってきている。一方で日本では古来、東日本大震災のような「天変地異」の際に、人々の「こころ」に向き合ってきたのが仏教であり、その教えを伝える僧侶たちだった。仏教は日本人にとって精神的な救いの一つだったはずだ。

 なぜ、いま全日本仏教会は「脱原発依存」を打ち出すことになったのか。そして、これからの日本社会に対してどのように向き合おうとしているのだろうか。「インターネットはほとんど使わない」と話す全日本仏教会の河野太通会長(81)は、臨済宗妙心寺派の管長。ネットメディアとしての取材も初めてとなった。河野会長は、飾らない笑顔と小気味のよい関西弁を交えつつ、”仏教者として今こそ言葉を発しなければいけない”という決意を強く語った。

全日本仏教会・河野太通会長

■「本当はもっと『反原発』を明確にしたかった」

――昨年12月1日、全日本仏教会は「脱原発依存」を打ち出した宣言文を発表しました。新聞などでは「異例の宣言」とも報じられましたが、反響はいかがでしたか?

 「よく出してくれた」というものがほとんどで、反対する声は一つもなかったですね。むしろ、「遅すぎる」「具体案を示せ」という指摘もあったくらいです。

――宣言文を出すに至るまでにハードルはあったのでしょうか?

 宣言文を出すこと自体は難しく感じませんでした。私は、全日本仏教会として声明を出すべきだと考えていましたので、全日本仏教会事務総長の戸松義晴(浄土宗僧侶)と相談して発表に至りました。個人的に言えば、本当はもっと「反原発」を明確にして発表したかった(笑)。しかし、政治的中立性の観点を慮った上で、私の最大限のメッセージを伝えさせていただく形となりました。

――震災直後にも被災者の方々へメッセージを発表されていますが、宣言文の執筆に至るまでの間に、より明確なメッセージを伝えたいという思いが強くなっていったのでしょうか?

 いえ、私には最初からメッセージを発したいという思いがあったんです。というのも、2010年の臓器移植法改正によって、本人の臓器提供の意思が不明の場合であっても遺族が了承すれば臓器摘出が可能になりましたね。そのとき、私はこういう「いのち」に関わる問題に全日本仏教会は発言すべきだと思いました。

 しかし、会長就任直後のことで、すぐに対応することができなかった。そのため当時の会報に「忸怩(じくじ)たる思いがする」ということを述べました。それから、全日本仏教会は「重要ないのちに関わる社会問題について発言しなければいけない」と思い続けていました。

 そして、もう一つ大変重要なことがあります。仏教の戦争責任です。かつて、仏教者は宗門の論理を歪めて、第二次世界大戦に加担してしまったという経緯があります。本来ならば、仏教の教えに照らして社会を見つめ、超然とした姿勢から「平和」と「いのち」について発言すべきでした。私には仏教者として懺悔(さんげ)の思いがあります。その悲劇を当然繰り返してはならないのです。

■「『いのち』を犠牲にする発電はやめよう」

全日本仏教会の河野太通会長――宣言文では、9回にもわたって「いのち」という言葉が使われています。それには、どのような思いが込められているのでしょうか?

 全日本仏教会が原発を問題にしているのは、ただ物理的な被害で人々が苦しんでいるからという理由に留まらず、仏教者として「いのちを大切にしましょう」というところが原点です。仏教は、人権の平等、生命の尊厳を教えの根本理念としています。原子力発電がいかに「人間の『いのち』を粗末にすることになるか」という点から、これに反対せざるを得ませんでした。原発に対しては、それぞれの立場や理由から反対される方がいらっしゃいますが、私たちは「人間の根本である『いのち』を犠牲にする発電はやめよう」という立場です。

――これまで原発に携わってきた人々に対しては、どのような思いを持っていらっしゃいますか?

 日本は原子爆弾を2度も落とされた国ですから、原子力というエネルギーについては神経質なほど十分な安全対策をするべきでした。しかし、原子力の開発には日本の優秀な頭脳が関わってきながらも、一般には「危険である」と国民には知らされてきませんでした。

 なぜかと言えば、その職業に携わる人々のいろいろな「ご都合」があったからです。その「ご都合」とは、社会全体の福祉と調和しない利潤の追求だったのです。科学技術の発展に病んだ「こころ」が関わっていたと思います。地震や大津波は不可抗力の天災ですよね。では「原発の事故が不可抗力なのか」、そこには人間の「こころの貧しさ」があったと思います。

 だから、これまで原発に携わってきた方々には、原子力発電に頼らない社会を作るために、再生可能なエネルギーの開発の研究と「こころを豊かにすること」に力を注いでもらいたいと思っています。

■科学技術による繁栄の裏で抱える「こころの病」

福島第1原発4号機の様子(2012年2月20日)――東日本大震災が起き、これに伴う大津波で多くの方が亡くなりました。さらに、東京電力福島第1原発で事故があり、放射能に対する不安・不満を抱いている人々もいます。そのような中で、改めて仏教が果たすべき役割は何だとお考えでしょうか?

 現代の私たちは、科学技術の発達でたくさんの恩恵を受けており、電気はその最たるものです。恩恵は恩恵として感謝しなければいけませんが、一方で被害をもたらしている。私たちは肉体的にも精神的にも、今日的な「こころの病」を抱えている。これは、科学技術による繁栄の恩恵の裏側にあるものです。

 その点を反省しながら、私たちは豊かな世界を築かなければいけません。その豊かさとは単に経済的・物質的な豊かさだけではなく、「こころの豊かさ」が重要なのです。人間が幸福であるためには、「健康」と「ある程度のお金」、そして「こころが安定」していなければいけません。しかし、この3拍子すべてが揃う人生はなかなかない。

 お金があり過ぎることによる不幸があります。あるいは、自らの肉体を満足させることを求め過ぎて間違いを犯すこともあります。しかし、「こころが豊か」であれば、たとえ病気でお金がなくても、幸福になることはできますし、現にそういう人たちがいるわけです。

 被災した方々には、物質的・経済的な支援とともに、「こころの支援」をする必要があります。「こころの支援」に一番関心を持って、お手伝いしなければいけないのは、私たち仏教者だと思います。

■「電気を消すときは、『原発反対』『反原発』と言ってから消す」

全日本仏教会の河野太通会長――河野会長は「こころを豊かにすること」の重要性を説かれるわけですが、そのために今、仏教者として伝えなければいけない言葉や祈りはどういったものでしょうか?

 祈り。その問題は大事なことですね。一般的に、仏教は「自覚の宗教」で、キリスト教などは「祈りの宗教」だという区分があります。これは私は間違いだと思います。仏教は「自覚の宗教」であると同時に「祈りの宗教」なのです。お経を唱えたあとで回向(えこう)という祈りの言葉を必ず唱えることになっています。仏教にとっても、祈りはとても大切なんです。人間には全く不可能なことが沢山あります。祈らざるを得ません。祈ることによって安らぎを得ることができる。

 私たちは、大自然の恵み・社会の恵み・人々の恵みに対して感謝するとともに、「その恩恵の下できちんと生きているか」と懺悔をし、恩恵へのお返しを祈るわけです。それは、互いの「いのち」を大事にするということを意味します。

 私が今一番大切に思っている祈りは「一大事とは、今日、只今のことなり」です。一大事と言えば、勤めている会社が倒産することなどもありますが、やはり自分自身の「いのちを失うこと」ですよね。死ぬのは何年先になるか分かりませんが、「今だよ」と教えてくれる。私たちは今生きている一瞬一瞬、実は「いのち」を失っているわけで、だから今このときの「いのち」を大切にしなきゃいかんということの連続なんです。

 自然・社会・人々それぞれの「いのち」を大事にしながら、今この時を生きる。そのようなとき、放射能の影響は「いのち」を阻害するものだと思うんです。私たちは原子力発電による電気の恩恵を当然のことのように享受してきた姿勢を反省し、それに頼らない社会を目指さなければなりません。

 だから私は弟子たちに言うんです。「電気を消すときは、『原発反対』『反原発』と言って消せ」とね(笑)。そうすれば、電気を消すことにも意義が生まれるでしょう。無反省に恩恵を受けてはいけない。原発に依存しない社会こそが、次の世代に贈るべき社会です。

■「頑張れ」ではなく「頑張ろう」

全日本仏教会の河野太通会長――河野会長は1995年の阪神淡路大震災で被災されています。その際、周囲が「頑張れ」という言葉を発したことに対し「半ば腹立たしい思いを感じた」とおっしゃっています。東日本大震災以降、会長が「頑張ろう」という言葉を口にされているのはなぜでしょうか?

 今回、被災地の現場に立ったとき、私は「頑張ろう」と言いました。それは私にとって祈りの言葉なんです。「頑張れ」は一人に向けた言葉ですが、「頑張ろう」は「私も一緒に頑張る」ということです。「私はあなたとともに生きる」。つまり、共生するという思いが込められているんです。

 阪神淡路大震災で、私は自分のお寺が大きな被害を受けただけでなく、親しくしていた後輩の命を失いました。彼だけでなく、奥さんと息子3人が建物の下敷きになって亡くなり、高校生の娘さんだけが生き残りました。そのとき、娘さんが家族の棺桶が並ぶ部屋で3日3晩過ごす様子を見守りました。彼女は涙一つ見せませんでしたね。歯を食いしばって頑張っているんです。でも、そんな彼女に周囲は「頑張れ」と言う。それ以上に「頑張れ」と言うのは過酷でした。「頑張れと言うのはもういい」という思いでした。

 私は、気丈に耐える彼女をしっかりした子だと思っていました。でも、家族の遺体が火葬場に出棺されるとき、棺にしがみついて慟哭したんです。私は言葉を失いました。「頑張って」などとは、とても言えなかった。

 先日、宮城県気仙沼市にある地福寺を訪ねました。本堂の柱と屋根以外、すべて津波で流されてしまったところです。「何か言葉を書いてほしい」とお願いされました。和尚からは「『頑張れ』と書いてほしい」と言われましたけれど、私は「地福寺さん頑張ろう」と書きました。

■「己自身をいかに豊かな人間に仕立てるかを心がけて」

全日本仏教会の河野太通会長――「こころの豊かさ」や「いのちの大切さ」を忘れないために、個人は内面において何を意識する必要があるでしょうか?

 「忍辱(にんにく)」ですね。昔からある言葉で、「我慢するという功徳(くどく)を知らなければいけない」という意味です。お釈迦様は、理想的な社会に到達するために必要な6つの方法があるとおっしゃった。その6つを「六波羅蜜」と言いますが、私はこの中の一つ「忍辱」に解決の道を探るんです。

 人は生きている中で、常に何かを我慢をしている。もちろん、ここで意味しているのは単に我慢することではありません。「忍辱によって己の人格を完成させよ」ということです。現代は、そうした鍛錬に対する意識が希薄な時代になってしまっています。

 人間はもともと欲望を持った弱い存在です。しかし、その欲望ある自己を見つめ、磨き、充実した立派な人間になっていくことを、誰も勧めることが少なくなりました。産業革命以来、欲望をどんどん満足させることを追求した結果が、原子力発電に行き着いたと私は思っています。その反省をしなければいけません。

――最後に、時代を担う若者たちに期待することをお聞かせ下さい。

 特に若い人たちは、物質的・経済的に豊かな生活だけを求めるのではなく、「己れ自身をいかに人格的に豊かな人間に仕立てていくか」ということを心がけてほしい。それが幸福になるコツだと思うんです。自分自身を完成させようという思いなしに、社会を良くしようとしても、それは叶わないことだと思います。

 いま私はボランティア活動もしていますが、理想論を言えば、自己を完成させた立派な人々が増えることで、いずれはボランティアさえいらなくなるような、そんな社会になればいいと思います。

(了)

■河野太通(こうの・たいつう)

 1930年、大分県生まれ。花園大学卒業。花園大学学長などを経て、臨済宗妙心寺派第33代管長、財団法人全日本仏教会会長。著作に『”無常のいのち”を生きる』『禅力』、共著に『闘う仏教』『覚悟の決め方』など多数。

財団法人 全日本仏教会(全仏) Japan Buddhist Federation – 公式サイト


宗教・宗派を超えた宗教者が原発の廃止を求める声明
(2012/07/14 風の便り)から抜粋

原発廃止し命の尊厳を 京で宗教者ら声明
(2012年07月13日 14時00分 京都新聞)

 仏教やキリスト教、新宗教など宗教・宗派を超えた宗教者が13日、原子力発電所の廃止を求める声明を京都市で発表した。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故は「原発と人間とが共存できないことを証明した」などと訴えた。

 臨済宗妙心寺派の河野太通管長、本山修験宗の宮城泰年管長、天台寺門宗の福家英明管長をはじめ、キリスト教や天理教などの51人が呼び掛け人となった。

 声明文は「事故原因未解明のまま、原発推進者は再稼働に固執し、輸出まで企てている」と政府を非難し、「原発を廃止し、命の尊厳が重んじられる世を望む」としている。

 記者会見で、河野管長は「福島の事故で、原発が命を脅かすもととなることが分かった。(原発廃止への)賛同を呼び掛けたい」と話した。


宗派を超えて訴え原発廃止 宗教者が声明
(2012年7月13日 朝日新聞)

 宗派や教団の違いを超え宗教者約50人が13日、原発廃止を求める声明を発表した。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働について「いのちより儲(もう)けを優先するもの、といわざるをえない」と批判した。

 声明の呼びかけ人に名を連ねたのは、河野太通(たい・つう)・前全日本仏教会会長や有馬頼底・臨済宗相国寺派管長、岡田武夫・カトリック東京大司教区大司教、佐々木孝一・曹洞宗宗務総長ら。13日、京都市内で会見した河野氏は「教団が個別に脱原発の声明を出してきたが、大飯原発は再稼働された。広く一般に原発廃止を訴えていきたい」と語った。

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電力業界、発送電分離を容認へ 「地域独占に限界」 強い批判を意識

電力業界、発送電分離を容認へ 「地域独占に限界」 強い批判を意識
(2012/7/13 14:40 日本経済新聞)

 電力各社でつくる電気事業連合会は13日、発電事業と送配電事業を分ける「発送電分離」を容認する方針を固めた。経済産業省が同日開く「電力システム改革専門委員会」で表明する。電事連は「電力の安定供給を損ないかねない」と発送電分離に強く反対していたが方針を転換する。

 専門委は13日の会合で電力システム改革の基本方針案をまとめる。電事連は専門委に方針案への対処方針を盛り込んだ文書を提出する。

 文書によると「電力の送配電部門の広域化・中立性確保を進めていくことが重要」と表明。電力自由化で今後、新電力(特定規模電気事業者)のシェアが拡大した場合に「現行の体制のままでは電力供給の安定性や品質の維持が困難になるおそれがある」として、現在の「地域独占」体制の限界を認めている。

 専門委は発送電分離について送配電網の運用を外部に任せる「機能分離」か、送配電部門を分社化する「法的分離」のいずれかの形態にする方針で年内に詳細を詰める。電事連は「機能分離型または法的分離型についても、広域化とあわせて詳細検討する」として、発送電分離を事実上、容認する方針を打ち出す。

 電事連はこれまで「電力の安定供給を損ないかねない」として発送電分離に強く反対してきた。方針転換は、東京電力福島第1原発事故後の電力業界への強い批判を意識した可能性がある。発送電分離の類型のなかでも、送配電部門の資本関係までなくす「所有権分離」を避ける思惑もあるとみられる。


経産省委、家庭向け電力自由化を容認 
(2012年7月13日 21時57分 中日新聞)

 電力改革に関する経済産業省の専門委員会は13日、電力小売りを全面自由化する基本方針を決め、大手10社が独占している家庭向け市場への新規参入を容認した。必要経費を電気料金に上乗せできる「総括原価方式」や料金の認可制も競争の進展に応じて撤廃。電力会社から送配電部門を切り離して中立性を高める「発送電分離」の実施に向け2案を明記した。

 一般の家庭でも契約する電力会社を自由に選べるようにして業界の競争や料金引き下げを促す狙い。コストの高い離島やへき地で料金が高騰しないよう全国の利用者に負担金を求め全国サービスを提供する電力会社などを支援する制度も盛り込んだ。
(共同)


発送電分離、電力会社は反発も 「安定供給は一貫体制で」
(2012.7.13 22:11 産経ニュース)

 電力市場の自由化を検討している経済産業省の有識者会議の報告書は、発電事業と送電事業を分ける「発送電分離」を促し、電力会社の地域独占からの脱却を求めた。発送電分離によって発電事業の競争を促し、低料金で安定的な電力を供給することが狙いだ。ただ、すでに自由化を進めた国では必ずしも低料金化や安定供給にはつながっておらず、新たな仕組みづくりには課題が残されている。

 有識者会議が発送電分離を促したのは、電気料金の引き下げにつながるとの期待があるからだ。電力会社から送電網を切り離し、誰でも公平に使えるようにすれば、新規事業者も電力会社と対等の条件で発電事業で競争できる。

 これに対して、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「電力の安定供給を長期的に果たすためには発送電の一貫体制が必要」との立場だ。

 日本は欧米に比べ、季節や時間帯で電力需要変動が起きやすい。このため、電力各社は、発送電分離で多種多様な発電事業者が送電線に接続すれば、送電に技術的なトラブルが増え、安定供給に支障をきたす恐れがあると主張する。

 実際、発送電分離で先行する英国や米国の一部では、低料金競争が激化。このため、事業者は設備投資を抑え、大規模停電が頻発した。送電事業では、トラブルを防ぐためのコストが膨らみ、結果として電気料金が下がらないケースも見受けられる。

 経産省は秋以降、具体的な仕組みづくりに着手するが、実効性を高めるには緻密(ちみつ)な制度設計が不可欠だ。

宗教・宗派を超えた宗教者が原発の廃止を求める声明


原発廃止し命の尊厳を 京で宗教者ら声明

(2012年07月13日 14時00分 京都新聞)

 仏教やキリスト教、新宗教など宗教・宗派を超えた宗教者が13日、原子力発電所の廃止を求める声明を京都市で発表した。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故は「原発と人間とが共存できないことを証明した」などと訴えた。

 臨済宗妙心寺派の河野太通管長、本山修験宗の宮城泰年管長、天台寺門宗の福家英明管長をはじめ、キリスト教や天理教などの51人が呼び掛け人となった。

 声明文は「事故原因未解明のまま、原発推進者は再稼働に固執し、輸出まで企てている」と政府を非難し、「原発を廃止し、命の尊厳が重んじられる世を望む」としている。

 記者会見で、河野管長は「福島の事故で、原発が命を脅かすもととなることが分かった。(原発廃止への)賛同を呼び掛けたい」と話した。


宗派を超えて訴え原発廃止 宗教者が声明
(2012年7月13日 朝日新聞)

 宗派や教団の違いを超え宗教者約50人が13日、原発廃止を求める声明を発表した。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働について「いのちより儲(もう)けを優先するもの、といわざるをえない」と批判した。

 声明の呼びかけ人に名を連ねたのは、河野太通(たい・つう)・前全日本仏教会会長や有馬頼底・臨済宗相国寺派管長、岡田武夫・カトリック東京大司教区大司教、佐々木孝一・曹洞宗宗務総長ら。13日、京都市内で会見した河野氏は「教団が個別に脱原発の声明を出してきたが、大飯原発は再稼働された。広く一般に原発廃止を訴えていきたい」と語った。


宗教者が共同声明/原発の廃止求めます/51氏呼びかけ
宗教・宗派の違い超え

(2012年07月14日09時47分 しんぶん赤旗)

「宗教者は原子力発電所の廃止を求めます」。仏教、キリスト教はじめ宗教・宗派の違いを超えて宗教者51氏が呼びかけ人になった声明が13日、京都市内で発表されました。東電福島原発事故以来、原発廃止を求める声明や決議が各宗教団体から出るなか、広範な宗教・宗派の共同の声明は初めて。広く賛同を呼びかけています。

 発表の会見には、呼びかけ人の河野太通・全日本仏教会前会長・臨済宗妙心寺派管長、宮城泰年・本山修験宗管長、大江真道・日本聖公会司祭らが出席。

 「命を大切にする宗教者として何か言わなければならない」(河野氏)、「危険な放射性廃棄物を埋めてしまうのは未来の地球に大変な罪を犯すことになる」(宮城氏)などと語りました。福島県から早川篤雄・浄土宗宝鏡寺住職がかけつけ、「再び原発事故を許してはならない。この声明に光明を見いだした」と語りました。

 呼びかけ人には、各宗教団体の代表的宗教家や草の根で原発の危険性を訴えてきた宗教者が、立場の違いを超えて名を連ねています。

 声明は、福島の原発事故は「原発と生きとし生けるものとは共存できないことを立証しました」と指摘。「放射性廃棄物を必然的に蓄積させ、将来にわたって『いのち』を危機にさらし、子孫に負の遺産となる」とのべています。

 また、原発推進者と政府にたいし、一刻も早い除染、被災者への長期の健康管理、誠意ある賠償の重い責任を果たすよう要求。事故原因も未解明のまま再稼働に固執し輸出まで企てるのは、「『いのち』より『儲(もう)け』を優先するものといわざるをえません」と強い口調で批判しています。
「宗教者は原子力発電所の廃止を求めます」 呼びかけ人(敬称略・五十音順)

有馬  頼底(臨済宗相国寺派管長)

五十嵐 隆明(浄土宗西山禅林寺派元管長)

池迫  直人(日本基督教団藤沢大庭教会牧師)

池住  義憲(立教大学大学院教授・日本聖公会信徒)

井桁  雄弘(浄土宗大圓寺住職)

池長   潤(カトリック大阪大司教区大司教)

植田  義弘(天理教教会長)

後宮  俊夫(元日本基督教団議長・甲西伝道所牧師)

梅森  寛誠(宮城・日蓮宗法運寺住職)

大江  真道(日本聖公会司祭)

大高  全洋(山形大学名誉教授・日本基督教団信徒)

大下  正人(南相馬・日本基督教団小?教会牧師)

小笠原 公子(日本キリスト教協議会平和・核問題委員)

岡田  武夫(カトリック東京大司教区大司教)

岡山   巧(真宗大谷派僧侶)

加藤  俊生(豊山派一番札所 石手寺住職)

加藤  順教(浄土真宗本願寺派布教使・自然寺前住職)

片岡  輝美(日本基督教団会津放射能情報センター主事)

上山  修平(日本キリスト教会牧師)

河崎  俊栄(能登・日蓮宗本延寺住職)

川端 純四郎(元日本キリスト教協議会中央委員)

菊地   功(カトリック新潟司教区司教)

木村  公一(日本バプテスト連盟福岡国際教会牧師)

河野  太通(臨済宗妙心寺派管長)

郡山 健次郎(カトリック鹿児島司教区司教)

佐伯  快勝(浄瑠璃寺住職)

信楽  香仁(鞍馬寺管長)

東海林  勤(日本基督教団牧師)

白戸   清(日本基督教団野辺地教会牧師)

鈴木  章方(山梨大名誉教授・日蓮宗隆泉寺住職)

鈴木  伶子(平和を実現するキリスト者ネット事務局代表)

旦保  立子(真宗大谷派宗議会議員)

内藤  新吾(日本福音ルーテル稔台教会牧師)

中嶌  哲演(若狭・明通寺住職)

仲秋  喜道(玄海・曹洞宗東光寺前住職)

永江  雅俊(浄土真宗本願寺派天寧寺住職)

野中  宏樹(日本バプテスト連盟鳥栖教会牧師)

野村  純一(カトリック名古屋司教区司教)

橋本  直行(日本基督教団牧師)

早川  篤雄(福島・浄土宗宝鏡寺住職)

平賀  徹夫(カトリック仙台司教区司教)

福家  英明(天台寺門宗園城寺長吏)

藤井  学昭(東海・真宗大谷派願船寺住職)

溝部   修(元カトリック司教)

宮城  泰年(本山修験宗管長)

守中  高明(早稲田大教授・浄土宗専念寺住職)

安田  暎胤(薬師寺長老)

山崎  龍明(武蔵野大教授・浄土真宗本願寺派住職)

山本  光一(日本基督教団牧師)

弓矢  健児(日本キリスト教改革派千里山教会牧師)

渡辺  順一(金光教羽曳野教会長)


宗教者が「原発廃止を」 51人が共同声明
(2012年7月13日 共同通信)

 仏教やキリスト教などの国内の宗教者51人が13日、「放射性廃棄物を蓄積させ『いのち』を危機にさらし、子孫に負の遺産となる原発の廃止を求める」との共同声明を発表した。河野太通前全日本仏教会会長らが同日、京都市で記者会見した。今後、さらに賛同者を募っていくという。

 山梨大名誉教授の鈴木章方・隆泉寺住職=甲府市=らが中心となって、全国から主に学識経験を持つ宗教者に賛同を呼び掛けた。金閣寺と銀閣寺の住職を兼ねる有馬頼底臨済宗相国寺派管長らが名を連ねた。

 声明は東京電力福島第1原発事故によって「原発と生命は共存できないことが証明された」と指摘。政府や原発推進者に対し「事故原因未解明のまま再稼働に固執し、輸出まで企てるとは、『いのち』より『もうけ』を優先するものだ」と批判した。

 福島県楢葉町から同県いわき市に避難し、記者会見に参加した早川篤雄・宝鏡寺住職は「福島第1原発事故は語り尽くせない悲惨なものだった。何としても次の『フクシマ』を出してはならない」と語った。

(2012年7月13日)

2012/07/13

NHKスペシャル 「がれき”2000万トン”の衝撃」の嘘

この番組批判に対するNHKからの「反論」を聞きたいものです。官邸前での原発再稼動に対する抗議行動の報道なども含めて、NHKの報道姿勢をテーマにしたシンポジウムの開催が待たれます。

NHKスペシャル「がれき”2000万トン”の衝撃」の嘘

鷹取 敦
(2012年7月9日 独立系メディア E―wave)

 2012年7月7日(土)NHKスペシャル「がれき”2000万トン”の衝撃」が放映された。

 前半は被災地の東日本大震災の津波がれき処理の現状を伝える(かのような)内容、後半は北米海岸に漂着したがれきの問題を取り上げる内容である。

 番組の前半部分についていえば、映像、コメント等を通じて番組が伝える内容、印象と、津波がれき(災害廃棄物)の実態が大きくかけ離れた、大きな問題のある内容であった。

■がれき処理の進捗状況の印象操作と実態の乖離

 番組の冒頭で、NHKキャスターの鎌田靖氏が被災地入りした映像が流れ、「驚かざるを得なかった。巨大ながれきの山がいくつも残っていたから。全然減ったという感じがしない。」とコメントしている。

 処理が進まないため山の高さは20メートルを超えていた、環境省によれば石巻で発生したがれきは464万トン。市だけで処理をすれば計算上80年以上もかかる、などとナレーションが説明している。

 この説明は実態と著しく異なる印象を与える。番組全体としては、広域処理が進まないからがれきの処理が進まない、という前提となっているが、広域処理をしなければ80年以上処理に時間がかかる、ということではない。番組の後の方でも説明があるが、広域処理希望量は247万トン(番組中の数値より)であって、全体の2割にも満たない。残りの9割近くの部分は県内の仮設炉で処理する計画であり、環境省の説明でも国の目標である震災から3年以内に処理が出来る見込みとなっている。

 環境省が全国の知事、市長あてに出した下記の文書(環境省の広域処理サイトに掲載されているもの)では、これ以上あらたに広域処理の受入自治体を求めなくても処理するめどが出来た、と説明されているほどである。

環境省「災害廃棄物の広域処理の調整状況について」
http://kouikishori.env.go.jp/news/pdf/20120629b_02.pdf

 それどころか、宮城県、岩手県の公表数値を精査したところ、そもそも広域処理を行わなくても可燃物については目標までに処理可能であることが分かっている。

■青山貞一・池田こみち・鷹取敦・奈須りえ「がれき広域処理の合理的根拠なし」
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-democ1535..html

 番組ではこのいずれの事実も伝えることなく、あたかも広域処理が行われないことでがれき処理のめどがついていないかのような印象を繰り返し与えている。たとえば、大槌町でがれき処理の仕事にあたっている元々漁師だった方の

  「5年かかるか10年かかるか分からない。」「町が消えるか分からない。」
という言葉を流し、その後、各地で激しい反対運動と対比させ、いかにも反対運動によってがれきの処理全体が進んでいないかのような印象を与えている。全体の処理に5年、10年かからないことは、環境省も被災地自治体も分かっているはずだし、NHK取材スタッフも理解しているはずだが、一被災者の言葉を取り上げることで、いかにもそれが事実であるかのような印象を与えようとしているのである。

■仮置き場における問題は広域処理問題が原因か

 さらに、仮置き場で発生している問題として、一酸化炭素、硫化水素、メタンガスが発生し熱を逃がさないと発火の恐れがあること、宮城県ではがれき置き場で25件の火災したこと、夏には蠅が大量に発生していることを伝えている。

 これらは仮置き場における大きな問題ではあるが、そもそも広域処理希望量が2割に満たない割合であって、広域処理が進まないから生じている問題、ではなく、広域処理を行うかどうかに関わらず対処していかなければならない問題である。映像で流れたように、発生したガスを抜く管が設置され対策がとられつつある。蠅の発生についてもおそらく何も対策を行っていないとは考えにくいが、番組では全く触れられていない。

■仮設焼却炉の稼働状況に関する誤った説明

 番組では、分かっているだけでも2034万トン、うち154万トンは海に流出。残りは1880万トン。国は震災から3年以内にすべて処理するという目標。再利用、焼却、埋立。1年4ヶ月たったいまでも17.5%に過ぎない、というが、今後の国や被災地自治体がどのような見通しを持っているか伝えていない。

 仮設焼却炉を岩手・宮城・福島の3県で35基作る計画。本格的に稼働しているのはまだ11基、建設が遅れていると、図とナレーションで説明しているが、実際には7月中には全基稼働の予定であり、取材班は当然その事実を把握しているはずである。いかにも仮設炉の設置が予定通り進んでいないかのような説明だが、これは事実に反する。

 そして、国の目標の3年以内のは処理が完了しないおそれがある、と言っているが、仮に間に合わないとしても「おそれがある」程度のこととであって、実際にはほとんど目標の3年以内に処理が完了する見通しが立っている、というのが実態である。

■復興計画とがれき仮置き場の関係

 復興計画との関連について、番組は岩手県大槌町を取材し、「漁業の町だった。町を覆い尽くす瓦礫が復興に暗い影。」と言う。「まず防潮堤を作る。水産加工団地再建。がれきが邪魔をして計画は何一つ進んでいない。」といって示された地図には、水産加工団地の予定地に仮置き場の印はない。加工団地の造成に仮置き場が妨げになっていないことを、地図は示しているのではないだろうか。その後のナレーションでわざわざ「防潮堤や水産加工団地の予定地にも山積み。」などと説明している。

 震災前の4分の1が町を離れた、税収も激減、町の存続も危ぶまれている、とナレーションがあり、大槌町長のコメントとして「いち被災地だけで処理できるものではない。町が消えるという切迫感。」が紹介されている。もちろんいち被災地だけで処理できるものではなく、国や県の支援によって目標の3年以内の処理のめどが立っているのが現実であるが、それについて言及はない。


■仮設住宅への影響は広域処理問題が理由か

 仮置き場に近い仮設住宅の住民の方を取材し、健康への不安を募らせている人もいる、と紹介する。1歳になる子供への影響が心配。子供の肌にふれるものは部屋の中に干している。「小さい子はアレルギーになりやすい。」との声を伝える。そもそも仮置き場の場所を変更するか、このような仮置き場は優先的に処理すべきである。繰り返すががれきの処理の9割近くは県内処理であり、県内処理の間で処理の順番の最適化を行うことなく、このような問題は解決できない。

■受入自治体の反対運動が問題でがれき処理が進まないのか

 番組では6~7万トンのがれき受入を決めた北九州市を取材している。

 住民の不信感とどう向き合い受入に至ったか、と北九州市が住民との合意形成に成功したかのような説明で始まる。

 北九州市は石巻市のがれき置き場を訪ね独自に放射線量を量ることに、といいながら流れる映像は空間線量率の測定である。空間線量率ではベクレル/キログラム単位の放射性物質濃度の測定が出来ないことも市の担当者が理解していないとすれば問題である。番組では触れられていないが試験焼却では一般ゴミとまぜて焼却している。試験としてはわざわざ精度を低くしているようなもので、その結果灰の濃度が最大30ベクレル/キログラムと説明されても、市民の理解は得られないのではないだろうか。現に、焼却施設に最も近い地域ではほとんど説明無いまま試験焼却行われたことに不信感を持った、と番組でも取り上げられている。

 「対話を後回しにしたまま受入に踏みだそうとしていたことが大きな溝を生んだ。」と番組では指摘しているが、国が現在も行っているのは、結論ありきの、一方的な説明でしかない。

 結局、「健康被害が出た場合100%補償すると一筆書かせればいい。」「個人的には広域処理に底辺では賛成。安全性を補償すると一筆文書でもらってください。」との意見が住民からも出たため、北九州市は環境省と「一筆」について交渉し、その1点で合意することとなった。

 実際には、公害問題全般に共通する問題として、健康影響の因果関係を立証するのはきわめて難しい(事実上不可能)なことが多いため、なんら意味のない「一筆」である。


■細野環境大臣とNHKの欺瞞

 番組では前半の最後に細野環境大臣にインタビューし、大臣は「広域処理が進まないのは放射能に対する懸念。地域に対立を生み出したことに情報の出し方にお詫びしなければ。事実は1つ。通常の処理をすれば健康影響は全くありえないレベル。正確なデータを出し続けること。インターネットでも情報サイトを作り出し続ける。信頼を取り戻すことには時間がかかるが被災地のがれきは早く処理をしなければ。政府のためでなく被災地のために行動してほしい。」などと言っている。

 しかし環境省は未だに、リスクに関しても、必要性に関しても、まともなデータを開示せず、安全性を強調するための部分的なデータ、受入の必要性を強調するための実態(処理の対象量)とかけ離れた大きな数値を示し、写真や映像で情緒適に訴えることを続けているだけである。皮肉にも番組中で紹介されたように、結論ありきで説明するだけでは、まともな合意形成はできない。環境省は過去の公害問題・環境問題からも、この1年数ヶ月の教訓からも何も学んでいない。

 そしてNHKも同様に、客観的な事実・数値に基づいて議論が出来る場を作るのではなく、印象操作、空気作りによって、広域処理反対を封じ込めようという最悪の番組作りをしているのである。単にがれきの広域処理の問題ということではなく、「いつかきた道」に通じる民主主義の根幹に関わる問題ではないだろうか。



◆以下の記事から東電がNHKを重視していることがよくわかる。
また、NHK経営委員長が平気で「東電の取締役就任」を受け入れている。

東電が6月からの新役員発表 11人中7人が社外
数土文夫NHK経営委員長ら

(2012.5.14 産経)から抜粋

 東京電力は14日開いた取締役会で、新役員人事を内定したと発表した。6月27日開催の株主総会の承認を経て正式決定する。11人体制で、会長となる下河辺和彦弁護士(64)=現原子力損害賠償支援機構運営委員長=ら7人が社外取締役で、社内からは社長になる廣瀬直己常務ら4人にとどまる。

 他の社外取締役は▽数土文夫(71)NHK経営委員長、JFEホールディングス相談役▽小林喜光(65)三菱ケミカルホールデングス社長▽藤森義明(60)住生活グループ社長兼CEO▽能見公一(66)産業革新機構社長▽樫谷隆夫(63)公認会計士▽嶋田隆(52)原子力損害賠償支援機構事務局長


NHK経営委員長の数土文夫氏が辞任表明 東電社外取締役に
(2012.5.24 産経新聞)

 NHK経営委員長で東京電力の社外取締役に内定している数土文夫(すど・ふみお)氏(71)=JFEホールディングス相談役=は24日、東京都渋谷区のNHK放送センターで会見し、「経営委員長を速やかに辞任する」と述べた。経営委員も辞任し、東電の社外取締役に予定通り就任する意向。数土氏は辞任理由を問われ、「私がいなくても(経営委が)揺らぐことはないと思った。一方、東電(の問題)は“国難だ”との思いが高まった。再出発につまずけば、破滅的な状況になる」などと説明した。

 数土氏の兼職をめぐっては、政府・民主党が「問題ない」とする一方、自民党などから「報道の公平性に影響を与える」と批判が出ていた。数土氏は22日の会見では「兼職は問題ない」との考えを示し、6月5日の次回経営委員会で各委員の意見を聞き、最終判断するとしていた。

 この日の会見で、数土氏は決断を早めたことについて「出処進退は自ら決めること。経営者は信念で昨日言ったことと違うことをやる」と話した。また、兼職批判に対しては「配慮はしたが、影響は全く受けていない」と辞任理由でないことを強調した。


現NHK会長 松本正之氏(元JR東海副会長)
そのNHK会長の元上司の発言 JR東海会長・葛西敬之↓ 

「原発継続しか活路はない」という人を委員に選んだ政府
(2011/06/04 風の便り)

JR東海会長・葛西敬之 原発継続しか活路はない から抜粋

 原発停止を求める人々は火力発電や再生可能エネルギーの活用に活路を求めよと主張する。しかし質・量・コストいずれの点から見ても一部補完以上の期待はできない。

 原子力を利用する以上、リスクを承知のうえで、それを克服・制御する国民的な覚悟が必要である。

 日本は今、原子力利用の前提として固めておくべきだった覚悟を逃げようのない形で問い直されているのだが、冷静に現実を見れば結論は自明である。今回得られた教訓を生かして即応体制を強化しつつ、腹を据えてこれまで通り原子力を利用し続ける以外に日本の活路はない

 政府は稼働できる原発をすべて稼働させて電力の安定供給を堅持する方針を宣言し、政府の責任で速やかに稼働させるべきだ。今やこの一点に国の存亡がかかっていると言っても過言ではない。(かさい よしゆき)


JR東海会長・葛西敬之 再稼働がリーダーの使命
(2012.5.29 産経新聞)から抜粋

 日本経済の活力は製造業の競争力に、製造業の競争力は電力の安定供給に懸かっている。そして安全性を確保した上で原発を最大限活用する以外には、高品質な電力をリーズナブルな価格で安定的に供給することは不可能である

「教訓は生かす。安全性を一層強化する。そして無傷の原発はすべて稼働させる。それ無しに国民生活の維持は不可能である」と明言し、政府を信頼するよう訴えかけるべきだった。それこそが真に民意に沿うことだった。

 自然エネルギーなどで原子力の代替が可能だという幻想を振りまいているうちに「表層民意」は脱原発から反原発へと自己成長した。今、1年の大衆迎合路線の後、政府は万策尽きた形で、化石燃料の輸入増分の値上げと原発の再稼働という本音を打診し始めた。

 今からでも遅すぎることはない。この1年間に重ねてきた綺麗ごとを清算して、「無傷の原発は最大限稼働させなければならないし、今回の教訓を踏まえ、今後政府は安全に全責任を持つ」、「輸入増になった燃料の対価は東電合理化によるコストダウンでは賄えず、電力料金で回収するしかない」、「電力自由化は長期的な検討課題である」と、すべてを本音で単刀直入に語りかけるべきだ。

 政府の覚醒を期待している。(かさい よしゆき)

◆月刊マスコミ市民「放送を語る会 談話室」 から
「厳重注意」を受けるべきは誰か
NHK「ETV特集」スタッフへの「注意処分」を考える

http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/masukomisimin.html

この国の政府もNHKも市民が関心を持っていないと、とんでもない人事や非常識なことを平気ですすめるようです。

2012/07/12

飯田哲也・知事候補 【山口からのエネルギー維新が日本を変える】

山口知事選告示、4新人が届け出
(2012年7月12日 読売新聞)から抜粋

 山口県知事選が12日告示され、いずれも無所属新人のNPO法人所長・飯田哲也氏(53)、元県課長・三輪茂之氏(53)、元国土交通審議官・山本繁太郎氏(63)(自民、公明推薦)、前民主党衆院議員・高邑勉氏(38)が立候補を届け出た。現在、工事が中断している中国電力上関原子力発電所(山口県上関町)建設計画を巡る対応や雇用対策などが主な争点となる。投開票は29日。

 原発計画について、飯田氏は「計画そのものが論外」とし、三輪氏は「白紙撤回」を主張。山本氏は「凍結」、高邑氏は「5~10年間は凍結」と訴えている。


山口知事選告示、新人4氏が立候補
(2012年7月12日12時39分 朝日新聞)から抜粋

 山口県知事選が12日告示され、飯田哲也、三輪茂之、山本繁太郎、高邑勉の無所属新顔の4氏が立候補を届け出た。産業振興や雇用のほか、県内には中国電力の上関(かみのせき)原発建設計画があることから、エネルギー政策も争点となる見込み。29日投開票される。

 飯田氏は脱原発活動に取り組み、橋下徹・大阪市長のブレーンも務めた。自然エネルギー産業を普及させ、産業と雇用を生み出すと主張する。第一声では「世界で起きている自然エネルギーの飛躍的な成長を山口で始める」と述べた。

 上関原発計画には、飯田、三輪の両氏が「白紙撤回」を訴え、山本氏が「凍結」、高邑氏は「5~10年間凍結」を主張している。

 将来的な原子力政策では、飯田氏が「2030年までに原発はゼロにすべきだ」と主張し、三輪氏は「(原発は)廃止が理想だが現実に難しい面もある」とする。山本氏は「原発に依存しない国に向かうのは国民の願い」、高邑氏は「自然エネルギーの多くは不安定電源。(原発の)一定数は維持が必要」としている。

 民主は自主投票を決定。社民は飯田氏を自主的に支援し、共産も候補者を立てない形で飯田氏を間接的に支援する。


飯田哲也氏、山口県知事選立候補―山口からのエネルギー維新は成るのか!?(1)
(2012年6月25日 ネットアイビーニュース)

<なぜ出馬を決意したのか>
 脱原発からのエネルギーシフトを掲げる飯田哲也氏(53)が、故郷の山口県知事選に立候補することを表明した。3・11以降、エネルギー戦略の世論を引っ張ってきた。かつては、原子力産業、安全規制に従事し、「原子力ムラ」を脱出後は、脱原発、自然エネルギーへのシフトを訴えてきた。この半年間は、橋下徹大阪市長のブレーンとして特別顧問を務め、エネルギー戦略会議で議論をリードした。

 原子力の問題点、裏側を知っている飯田氏。「再稼働したところで原子力は行き詰まる。最大の問題は、使用済み核燃料なんです」と、再稼働することを決定した日本のエネルギー政策の行く末を懸念する。

 なぜ、飯田氏は、県知事選に出馬することを決意したのか。出馬に至るまでの間、迷いに迷ったという。「県知事選に出馬する確率99%。出馬をやめ、撤退する確率99%。その間を大きく揺れ動いた。東京で(環境エネルギー政策研究所所長として)やっていく責任もありますし、飛び出していっていいのか、という思いもありました。どちらを選ぶにしても後戻りはできない。選挙に立って、仮に落選して今の職に戻るにしても、違ったものになる」と、直前までの心情を吐露した。

 リスクは大きい。独立の立場から政策を提言し、その実践を助言する現在の仕事の環境は、多忙ではあるが、充実したものになっていた。「現在の仕事は自由度が高いし、効果的でもある。理性的に考えれば、これまでの仕事を続ける方が、圧倒的に有利だと思った」。

 出馬しない方が有利――。理性的にはそう考えていながら、あえて立つ方を選んだ。脱原発から、その次のステップである自然エネルギーへのシフトを自らの手で実現の方向へ持っていきたいという強い思いに駆られたからだ。その感情のほとばしりを、飯田氏は、「狂気の1%」あるいは、「可能性の1%」と表現した。

 3・11以降、原子力とそれに代わるエネルギー政策の両側を経験した専門家として表舞台に立ち、エネルギー革命の旗振り役を務めてきた。「エネルギー転換政策は、10年がかりで根底から変えなければ変わらない。変えていくという地域からの歴史的なダイナミズムを起こす責任が、自分にはあるのではないか。地域分散型のエネルギー政策を実現するのは、故郷の山口からやっていきたいと。このチャンスを逃がすと、次にチャンスは来ない。可能性の1%選びました」

 議論を重ねても、変わろうとしない国。政府との議論の過程を飯田氏は「空中戦」にたとえた。「空中戦でやり合って脱原発、エネルギーシフトの推進に有利な議論になったとしても、また元に戻ってしまう。議論を重ねたことを実行し、実現するには、同じ空中戦で議論をしてもだめ。リアルな変化を起こさなければ。山口からプラスの変化を起こしたい」。持論を”実現”するための決意だ。


飯田哲也氏、山口県知事選立候補―山口からのエネルギー維新は成るのか!?(2)

<第4の革命>
 飯田氏が、政策の柱として掲げるのは、「山口からのエネルギー維新」である。地域分散型エネルギー革命とでもいうべきものである。

 すでにスウェーデンなどヨーロッパでは、「第4の革命」と呼ばれるエネルギー革命が着々と進んでいる。「第4の革命」とは、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ、再生可能な自然エネルギーの躍進を指す。飯田氏は、この「第4の革命」は、3つの要素から成り立つと指摘している。エネルギー供給の本流へと急拡大している自然エネルギーの革命。産業・経済・雇用面での新しいグリーン経済革命。地域自立・地域分散型の分散ネットワーク型革命の3つだ。

 ドイツでは、国家を挙げて長期的な計画を立案、エネルギーシフトが実現しつつある。その中でも、旧東ドイツ側の都市ライプツィヒでは、地域経済が沈みかけていたが、国の再生可能エネルギー買取政策を契機に、太陽光発電の世界的企業であるキューセルズ社が中心となり、炭田跡地にメガソーラーパークを建設。雇用が増え、にぎわいのある街になった。

 カナダのオンタリオ州では州政府が09年にグリーンエネルギー法を策定。風力、太陽光発電など関連産業に投資が入り、州政府によると約2兆1,800億円を超える経済効果と約2万人の雇用を生みだした。再生可能エネルギー買取政策が追い風となり、関連産業は急成長。地域の人が主体的に関わることで、小・中規模の経済圏の中でお金と雇用がうまく循環し、地域が活性化した。

 北欧やアメリカ、カナダでエネルギー革命が進む様子をじかに見てきた飯田氏は、「政策で、街のにぎわいを取り戻すことは可能」だと言い切る。グリーンエネルギーの市場は、今後200兆円規模に成長すると見られている。グリーンゴールドラッシュとも呼ばれるエネルギー市場の拡大に指をくわえていたのでは、日本は乗り遅れる。

 これまで、飯田氏は、国への政策提言だけでなく、大阪府、長野県、福島県など各自治体でもアドバイザリーなど間接的に行政と関わってきた。エネルギーシフトを実現する重要性、必要性を改めて実感。政治家を志してきたわけではないが、12年前、「再生可能エネルギー固定価格買取法」の草案を作成。その草案は7月に実施される。

 ”政策を形のあるものにしていく”という実務、手法では、今回の候補者の中でも、長けている。「日本には、『第4の革命』を実体験している政治家が一人もいない。ビジョンも貧困で、必要な政策、人材も欠けている。私のこれまでの知識、経験、ネットワークを総動員して臨みたい」。自らの使命として、故郷である山口県でのエネルギーシフト政策に直接関わり、リアルの変化を起こすことに、チャレンジする。


飯田哲也氏、山口県知事選立候補―山口からのエネルギー維新は成るのか!?(3)

2012年6月27日 10:30

<人間社会の力、選択>
 「変えられる可能性があるのであれば」と、飯田氏は、可能性を選び、知事選に立った。
 山口県には、幕末期に明治維新を成し遂げたという「維新のDNA」があり、それを県民は共有している。幕末の長州藩が明治維新を成し遂げたように、日本にエネルギー革命の流れを本格的に起こそうとしている。
 「私が、ありえないような選択肢を選べば、県民が呼応してくださるのではないか。そう信じて、立候補を決意しました」(飯田氏)

 脱原発を図り、エネルギーを自然由来の再生可能なものにシフトしていく。風力、太陽光などエネルギーの種類やそのポテンシャルというよりも、変わらなくてはならないのは”人間の力”だとし、理想を現実にしていくために必須の人間社会の力が、変わっていくまでの枠組みを作る仕事をしたいと思いを語る。
 県民と議論を重ねるには時間がかかるだろう。反対勢力を説き伏せるのも簡単ではない。それでも、「山口を、今後の日本の地域分散型のモデルになるように作っていきたい。政策と知恵によって社会を変えていくことはできる」と、力強く語った。

<橋下大阪市長との共通点>
 これまでの飯田氏の仕事として代表的なものに、12年1月から約半年間取り組んだ、大阪府、大阪市の特別顧問の職がある。このとき関西圏の原子力発電所の再稼働の議論に関わった。「野田首相は、乱暴とも言えるロジックで再稼働を決めた。国全体が、3・11の原発事故がなかったかのような意識に戻り始めています。この逆回転を止めたい。電力需給の観点からは、原発の再稼働は必要ないと証明されました」

 飯田氏の人間性にスポットをあててみると、ある支援者は、「手法として、多くの人と対話する人。やさしい性格から誤解されることもあるけど、揺るがない思いを持っている」と話す。橋下徹大阪市長の、歯に衣着せぬ直線的な口調とは違い、話しぶり、挙措には落ち着きがあり、表情も穏やか。外から見るキャラクターは違うが、日本を変えていこうというハートには、共通点がある。

 「橋下氏と自分が、似ているなと思った点は、『現実にしていくところにこだわっている』点。条件を整えていく部分をしっかりやっていきたいですね。橋下氏の維新の会は、国政を目指しているので、地方の政治に対しての支援は受けないが、方向性は同じだと思っています。知事になった際には、連携していきたい」と、今後もよきパートナーであり続けることを明言した。


飯田哲也氏、山口県知事選立候補―山口からのエネルギー維新は成るのか!?(4)
2012年6月28日 07:00

<争点は上関原発>
 山口県熊毛郡上関町には、中国電力による上関原発が建設予定であり、この原発が選挙の争点の一つとなる。仮に原発建設が取りやめになり、建設を前提とした電源3法交付金が止まるとしても、上関町には、何かしら、地域経済を盛り上げるものが必要だ。

 上関町、祝島のある田ノ浦は、クジラや海鳥など希少種の宝庫で、奇跡の海とも呼ばれている。飯田氏は「この奇跡の海を保全し、エコツアーを企画し、観光船を就航するなど、持続的な経済の流れを作りたい。そこで、人も働けます」と語る。田ノ浦を世界的なエコツーリヅムの場として活用、保全し、一次産業を食・エネルギー・観光・文化と組み合わせたより付加価値の高い「X次産業」として発展させ、山間地、漁村、離島に豊かさを取り戻す挑戦をする。たとえば、洋上での風力発電の売電収入を得る自然エネルギー事業を、農業、漁業などと組み合わせた、これまでにない産業を提案する。

<教育改革で未来に投資>
 「これらすべてのベースとなるのは教育」だと話す。少子化が進み、日本が成熟社会へと進むなかで、付加価値の高い次世代型産業の確立には、教育の底上げが不可欠。国際的に日本が勝ち残るための、地方からの教育の底上げ、高度化、国際化を目指す。「今後日本は、中国、アジア各国と競争しなければならない。日本人は、デザイン、建築などの領域が得意。すぐにというわけではないが、その領域で専門的な教育を行なえる大学の創設できないかと考えています」と教育改革にも意欲を燃やした。

 飯田氏が山口市で立候補を表明した22日、東京・首相官邸前では、再稼働に反対する脱原発のデモが行なわれた。では、「脱原発を成し遂げた後」をどうするのか?明確な設計図を描ける政治家は、今のところほかには見当たらない。「21世紀型の『持続可能な地域社会』を、ここ山口で実現したい。山口には、再び日本を変える力と可能性があると信じている」。他の政治家にはできないであろうエネルギー転換政策を「自らの手で推し進めたい」という飯田氏の自負と使命感が、立候補への最後の一歩を後押しした。


飯田哲也氏、山口県知事選立候補―山口からのエネルギー維新は成るのか!?(5)
2012年6月29日 10:00

<注目度高まる>
 飯田氏が立候補を決意したことで、山口県知事選への注目度は、俄然高まった。22日に山口市で行なわれた記者会見にも地元報道陣を中心に50人以上が訪れた。県知事選に立候補した新人の記者会見としては異例の多さだ。山口県民も少しずつ張り詰めてくる空気に、今回の県知事選の持つ意味を感じ取っているようだ。

 ほかに候補者は、自民党、公明党が支持している元国土交通省審議官、山本繁太郎氏(63)、民主党衆議院議員で、民主党を離党して臨む高邑勉氏(38)、山口県の元健康増進課長の三輪茂之氏(53)の計4人の候補が立っている。山本氏は、08年の衆議院山口2区選に出馬。民主党の平岡秀夫氏との一騎打ちのすえ、敗れた。国交省、内閣府を経て、08年から地元・山口での政治活動を行っている。飯田氏のほかの3候補の中では、山本氏リードと見られている。

<山本氏との一騎打ちか>
 今回の選挙は、今後の日本のエネルギー政策のゆくえを占うことになり、ここでの勝敗が、国全体のエネルギー論に波紋を呼び起こす一石となる。何が起こるかわからない選挙だが、大方の見方では、山本氏と飯田氏との一騎打ちが予想されている。山本氏の取り込んでいる自民、公明の組織票を、飯田氏がどれだけ切り崩すことができるのか。そこが、勝敗をわけるポイントとなりそうだ。

 山口市在住の40代男性は、「個人的な意見だけど、現時点では、自民の推薦を受けている山本繁太郎さんが有利だとは思う。でも、山本さんだと、これまでと同じ既定路線。二井さん(二井関成現山口県知事)の後継者という位置付けだからね。飯田さんと山本さんのどちらが知事に当選しても、上関原発は、遅かれ早かれ止まることになるとは思う。でも、飯田さんのような民間からの人が立候補してくれて、選挙が活性化されている。飯田さんが当選するなら、保守王国の山口県はおもしろくなるんじゃないか」と話した。山口市在住の30代男性は「注目しています。これまでは県政で山口が変わりそうだという空気があまりなかったけど、今回は、変えてくれそうな雰囲気がある。若い人は、飯田さんに投票する人も多いのでは」と、飯田氏の打ち出すエネルギー維新に期待をしていた。

子どもの甲状腺被ばく最大42ミリSv 短期滞在者も内部被ばく 

以下の2つの記事を読んで、安心してはいけない。被ばく労働者は100ミリどころか、5ミリでガンになり、労災の認定を受けている。「原発労働者のガン 5ミリシーベルトで労災認定」 メディアは、多くの専門家が批判している「がんのリスクが高まるとされる100ミリシーベルト」という言い方を未だに多用している。このことこそ問題にしなければならない。最後に掲載する記事「安全な被曝量というものはない 「社会的責任を果たすための医師団」ノーベル平和賞団体 創設者」を多くの人に読んでほしい。


甲状腺被ばく最大42ミリSv 放医研、福島子ども推計
(2012/07/11 12:26 福島民報)

 東京電力福島第1原発事故による原発周辺の子どもの甲状腺被ばく線量は、最大で42ミリシーベルト、平均で12ミリシーベルトとする推計結果を、放射線医学総合研究所(放医研)の研究チームがまとめたことが11日分かった。甲状腺がんを防ぐための安定ヨウ素剤の服用基準は国際的に50ミリシーベルトとされ、今回の推計はこれを下回った。

 放医研の鈴木敏和緊急被ばく医療研究センター室長らのチームは、政府が事故直後の昨年3月下旬に福島県いわき市と川俣町、飯舘村で、0~15歳の子どもを対象に実施した甲状腺被ばくの検査結果のうち、信頼性の高い1080人分を分析。


短期滞在者も内部被ばく 福島第1原発事故
(2012/07/10 23:59 共同通信)

 東京電力福島第1原発事故による内部被ばくについて議論する国際シンポジウムが10日、千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)で開かれ、長崎大の研究グループが、事故後1カ月以内に福島県に滞在した人の26%からセシウム134など3種類の放射性物質が検出されたとする研究結果を報告した。

 一生の間に受ける放射線の総量を示す「預託実効線量」が1ミリシーベルトを超えたのは1人だけで、全体で、がんのリスクが高まるとされる100ミリシーベルトを下回った。

 長崎大の松田尚樹(まつだ・なおき)教授(放射線科学)らのグループは、事故後、出張や支援活動などで福島県内に滞在した男女173人を対象に、長崎大で ホールボディーカウンターと呼ばれる装置を使って内部被ばく検査を実施した。

 対象者の平均年齢は42・2歳で平均滞在期間は4・8日。55人からヨウ素131、67人からセシウム134、56人から同137が検出され、3種類とも検出されたのは45人だった。事故後8日間の滞在者で検出率が高かったという。

 松田教授は「吸入による放射性物質の体内への取り込みは、極めて初期の段階で生じていたことを示す結果だ」と話している。

 (共同通信)

原発作業員:被ばくでがん 労災10人 (毎日新聞 2011年7月26日)

 ◇9人は100ミリシーベルト以下

 東京電力福島第1原発事故で収束作業にあたる作業員が緊急時の上限250ミリシーベルトを超えて被ばくするケースが相次いだが、過去にがんを発症して労災認定された原発作業員10人のうち9人は累積被ばく線量が100ミリシーベルト以下だった。遺族からは福島第1原発の作業員を案じる声が上がる。 

 厚生労働省によると、10人は作業中に浴びた放射線を原因として労災認定された。内訳は白血病6人、多発性骨髄腫2人、悪性リンパ腫2人。累積被ばく線量が最も高かった人は129.8ミリシーベルト、残り9人は100ミリシーベルト以下で、最も少ない人は約5ミリシーベルトだった。

 ◇50ミリの息子白血病死 母の怒り

 中部電力浜岡原発の作業員だった嶋橋伸之さんは91年に白血病で亡くなった。29歳だった。神奈川県横須賀市に住む母美智子さん(74)は、体重80キロだった嶋橋さんが50キロにやせ衰え、歯茎からの出血に苦しんでいた姿が忘れられない。

 嶋橋さんは下請け会社で原子炉内計測器の保守点検をしており、累積被ばく線量は8年10カ月間で50.63ミリシーベルトだった。

 死亡の半年後に戻ってきた放射線管理手帳は、赤字や印鑑で30カ所以上も被ばく線量などが訂正されていた。白血病と診断された後も被ばくの可能性のある作業に従事可能なことを示す印が押され、入院中に安全教育を受けたことになっていた。安全管理のずさんさに怒りがわいた。

 「福島の作業員は命を惜しまずやっているのでしょう。でも、国や電力会社は家族の心も考えてほしい。『危ない』と聞いていれば伸之を原発になど行かせなかった」と美智子さん。「何の落ち度もない労働者が亡くなるようなことはあってはならない。上限値はすぐに下げるべきだ」と訴える。

 そもそも原発での被ばく労災が表面化することはまれだ。市民団体「福島県双葉地区原発反対同盟」の石丸小四郎代表(68)は震災前、福島第1原発の作業員6人の被ばくによる労災申請を支援し4人が認定されたが、実名を公表したのは2人だけ。「原発の恩恵を受けているとの思いがあり、狭い地域社会の中で補償支給を知られたくない人が多い」と指摘する。

 がん以外の場合には認定自体に高いハードルがある。福岡市の元溶接工、梅田隆亮(りゅうすけ)さん(76)は79年2~6月に中国電力島根原発(松江市)と日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で働いた。その後、突然鼻血が出るなどの症状が表れ、慢性的な倦怠(けんたい)感が続いた後、00年に心筋梗塞(こうそく)で倒れた。被ばくが原因ではないかと疑念を深め、08年に労災申請したが、認められなかった。累積被ばく線量は8.6ミリシーベルト。再審査を請求している梅田さんは「原発労働者が事業者の都合にいいように扱われている。このままでは自分のようなケースがどんどん生まれてしまう」と懸念する。

 被ばくによる労災認定に明確な基準があるのはがんでは白血病のみ。「年平均5ミリシーベルト以上の被ばく」と「被ばく後1年以上たってから発症」の2点。他のがんは厚労省の検討会が判断する。【池田知広、関谷俊介、袴田貴行、西嶋正信】

(写真)白血病と診断された後にもかかわらず、被ばく可能性のある作業に従事可能な「Y」(イエス)の印が押され、その後「N」(ノー)に訂正された嶋橋伸之さんの放射線管理手帳=池田知広撮影

毎日新聞 2011年7月26日 2時30分(最終更新 7月26日 9時26分)

※【動画】50ミリの息子白血病死 母の怒り

※原発労働者のガン 累積被ばく線量 5~130ミリシーベルトで労災認定
(共同通信)


ノーベル平和賞の「社会的責任を果たすための医師団」が警告


安全な被曝量というものはない 
「社会的責任を果たすための医師団」ノーベル平和賞団体 創設者

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