2012/04/19

政府、汚染の深刻さを理解せず 菅谷昭 バンダジェフスキー

政府、汚染の深刻さを未だ理解せず 松本市長 菅谷 昭 氏
(2012年3月12日 FNホールディング)

――福島の原発事故から1年。この間の政府の対応を振り返って…。

菅谷 今年1月、日本政府は原発事故の放射能汚染問題や健康被害の情報を得るために、チェルノブイリ原発事故を経験したウクライナ共和国と協定締結方針を定め、続いて2月には隣国のベラルーシ共和国とも協定を結んだ。私としては、「やっと、か」という思いだ。私は福島で原発事故が起きた当初から、放射能汚染の問題についてはチェルノブイリに学び、チェルノブイリから情報を収集することが大事だと訴え続けていた。また、原子力安全委員会は今年2月に、ようやく原発から50Km圏内の全戸にヨウ素剤を配布すると提言したが、私は事故直後からヨウ素剤服用の重要性を説明し、さらに服用に関しては、基本的には被曝する前に摂取しなければ効果が低いということも言ってきた。遅きに失したが、チェルノブイリ原発事故を知る現地の研究者たちと交流を始めたことで、政府内には治療方法や汚染の詳細データ、原発事故による健康や環境への影響についての情報が出回り始めたのだろう。私としては、なぜ、それをもっと早くやらなかったのか、正直大変に驚いている。結局、政府はいざという時の対応が全く出来ていなかったということだ。

――まだまだ伏せられている情報がたくさんある…。

菅谷 汚染マップなどが一般公開されなければ、国民は情報を得ることが出来ず、正確な判断が出来ない。中でも私が心配しているのはストロンチウムについての情報だが、仮に政府がその情報を持っていて、敢えて表に出さないのであれば、それは隠蔽だ。また、甲状腺がんを引き起こす原因となる放射性ヨウ素の汚染マップも出されていない。今、手に入るセシウム汚染状況を見るだけでも、放射性ヨウ素に汚染されている人が予想以上に存在するのではないかと心配している。そもそも日本では、放射能汚染基準として世界中が採用しているチェルノブイリ基準を採用していない。これも驚くことだ。さらに、「シーベルト」という単位と「ベクレル」という単位を平行して使っているということも、色々な判断を行う際に混乱を招いている一つの原因だと思う。出来れば「ベクレル/平方メートル」で統一すべきだ。1年前から私がずっと叫んでいたこのような声が届いたのか届かないのか分からないまま、1年が経ってしまった。この間にも放射能汚染地域に住んでいる方々は被曝し続けていると思うと、いたたまれない思いだ。

――国に現場の声を拾う姿勢があまりにも乏しい…。

菅谷 政府が対策委員会を開いても、結局、メンバーの中に放射能災害の現場が分かっている人がいなければ話は前に進まない。実際に参考人として招致される学者の先生方は、ほとんどが本当の事故現場を知っている訳ではなく、机上の空論だ。そして、目下、出てくる情報は予想を遥かに超えて汚染が酷い。8月末に文部科学省が一般公開したセシウムの汚染マップ(※図1)は、それだけを見ても普通の人ではわからないが、今回私が特別に作成したチェルノブイリ事故10年目の放射能汚染図(※図2)と比較すればいかに酷いかが分かるだろう。今回の事故で放出された放射性物質はチェノブイル事故の時の10分の1~2程度と言われていたが、この図を見ると、むしろ福島の方が汚染度合いは高い。事故当初に米国が80Km圏内を避難区域としたのも当たっていたと言える。結局、政府はこういった事実を知らず、若しくは知ってはいても何も分からないまま、すべての判断をしていた訳だ。私は、この図で青色に塗られた地域に関しては、せめて子どもたちだけでも避難させたほうが良いと思う。実際に、こういった真実が徐々に住民に伝わり始めたことで、最近では自主的に福島から移住する人たちが増えてきている。チェルノブイリの低染量被曝地で起こっていることを知れば、それは当然の選択だろう。

――一方で、川内村では帰村宣言が出されたが…。

菅谷 村長さんの気持ちも分からないではない。福島県では昨年、約30人の方々(村長も参加)がベラルーシとウクライナを視察されたようだが、そこで誰もいなくなった汚染地域の町や村を目の当たりにして、絶対に自分の村をそのような状態にしたくないとお考えになったのだろう。そして、野田総理も住民の帰還を復興の重要課題に掲げ、除染を早く終えて、軽度の汚染地域には住民を戻すように指示している。しかし、それは汚染の深刻さが全く分かっていない行動だ。ベラルーシでは原発から90km地点の軽度汚染地域と指定されているモーズリ(私も住んでいた地域)でも、子どもたちの免疫機能が落ち、風邪が治りにくくなったり、非常に疲れやすくなったり、貧血になるといった、いわゆるチェルノブイリエイズの症状が出ている。併せて、早産、未熟児等の周産期異常も増加している。そこで福島でモーズリに相当する汚染地域をこの図で比較してみると、福島市や郡山市も含まれていることがわかる。すこし大袈裟と言われるかもしれないが、この辺りに住み続けた子どもが、将来チェルノブイリエイズと同じような症状を発症する可能性も否定できないということだ。

――国策として汚染地域から移住させることを考えるべきだ…。

菅谷 国策として移住させるシステムを作らなければ、自主避難出来る家庭と、出来ない家庭が出てくる。私が知っている情報として、福島では避難していない家のご両親がお子さんから、「なぜうちは避難しないの」と聞かれて、「うちは事情があって」と答えるしかなく、非常に切ない気持ちになっていると聞いている。そうであれば、国策としてせめて子どもたちだけでも避難させるべきだ。汚染された地域に住むことが、妊産婦を含め、子どもの健康にとって良くないことは、実際にチェルノブイリの汚染地域で25年間を過ごした子どもたちの現状から見ても明らかだ。ただ、移住させる際には、コミュニティがくずれないように、地区ごとや学校ごとにまとまって移住させるような配慮が必要だろう。

――移動費用として一家族あたりに4000万円を払ったとしても、災害復興費用の23兆円には到底届かない。除染よりも強制移住にお金を使った方が遥かに効果的では…。

菅谷 国は、除染に過度に期待しすぎていると思う。安全レベルまですべてを除染するためには、恐らく数十~数百兆円がかかるのではないか。特に福島県は土地の7割が山林であり、その山を完全に除染するためには木を根こそぎ切り落とし、岩肌がすべて見えるほど徹底して行う必要がある。そんなことは無理だろう。さらに平地でも、政府は表土を5~10cm取り去れば除染効果があるとしているが、それでは到底追いつかず、例え20cm削ったとしても、チェルノブイリの高汚染地域では25年経っても住めないことが分かっている。更に農業を復活させようと思っても、農地の表土を20cm削れば肥沃度は落ちてしまい、農作物は育たない。つまり、除染は必要ではあるが、除染とはお金がかかる割りに効果は十分得られないということだ。中途半端に除染しても元のようには戻らず、結局、自然に放射性物質が無くなるのを数十年以上かけて待つしかない。それなのに数年で帰還させるような指示を国のトップが出すということは、やはり、政府は汚染状況がいかに深刻なのかがわかっていないのだ。住みなれた土地に戻りたいという気持ちも分かる。そのために除染する必要があることもわかる。しかし、その前にせめて、これから人生を歩み出す子ども達だけでも、4~5年程度安全な地域に移してあげるべきだ。

――食料汚染の問題も心配だ…。

菅谷 放射性物質は目には見えないため、高度汚染区域や軽度汚染区域に入っても何も感じない。しかし、そこに住み続けることによって受ける被害は、チェルノブイリが証明している。ベラルーシ共和国は貿易制限等があり、多くの食料を地産地消で賄っているが、そこに住む成人の体内セシウム蓄積量は、他の地域に住む成人よりも高いという結果も出ている。先日、安全宣言が出された福島の米から基準値を超えたセシウムが検出されたという問題があったように、食料についても100%安全とは言えない。そうであれば、農業従事者の方には大変お気の毒だが、一時期、福島の土地を離れ、その農業技術を別の場所で活かすということをお考えになっても良いのではないか。松本市にもお貸し出来る農地はある。日本中に余っている農地を、福島で農業を営んでいたプロの方々に放射能不安を抱くことなく活用していただけるように、日本全体で協力していくような仕組みも必要だと思う。

――このような重大な事故を引き起こしていながら、原発推進派の人間は誰も責任を取っていない。これも大きな問題だ…。

菅谷 今回の件で、原発を推進していたトップの方や関係者などが謝罪して辞職するようなことも無く、まるでこの事故を他人事のように話をしている姿をテレビなどで見ると、原発に対する国の考えや体質は何も変わっていないように感じてしまう。私もこの一年間、出来る限りの声を上げて来たつもりだが、一向に前に進まない。しかし、言い続けないことには動かない。或いは市民運動や国民運動を起こさない限り、今の日本が正しい方向に進むことは難しいのかもしれない。とにかく、今後は低線量被曝が及ぼす健康被害問題をしっかりと見ていかなくてはならない。そして、子どもたちには、せめて半年に1回程度の無料健診を受けさせてあげたい。例え異常が見つかっても、早期であれば十分対応可能と考える。今の決断が、まさに5年後、10年後の日本に大きな違いを生むことになるだろう。これこそ、少子化政策にもつながる極めて重要な意味を持つものと思う。(了)


解剖でセシウムが心臓に蓄積する事を証明したユーリ・バンダジェフスキー博士会見
3/18(動画・内容書き出し)
から抜粋

バンダジェフスキー(元ゴメリ大学長)会見 内部被ばくに警鐘

「放射能を受けている人たちの健康を守る」その事の支援ができたらと思ってやってまいりました。去年の3月に事故が起こりまして、今の状況が起きている訳です。この状況に対して私はみて見ぬふりはできません。

残念ながら、日本からの放射能汚染に関する情報というのは、非常に少なくて、特に日本から、遠くに住んでいる状況で何らかの結論を出すという事はできません。それで、今回、「日本に来て下さい」というお話しがありましたので、自分が持っている意見をみなさんにお伝えをするためにこうして日本に来ました。

被ばくというものの、身体に取り込まれた放射性物質がどのように人体に影響を与えるかという私の考え方を伝えるためです。私が持っている情報をみなさんに提供することによって、人々が、事故の後、汚染されている地域に住んでいる中で、いかに自分経ちの健康を守っていくか、その透過的な健康の守り方について、少しでもお役にたてればと思っております。

私の持っている考え方というのは、1990年代にゴメリで私が学長を務めました医科大学で、私と私の同僚がやった研究の結果、でき上がった考え方であります。ゴメリに住んでいる人々の健康について詳しく研究しました。私は研究の中で、放射性物質が体の中に入り込むというのが、非常に人の健康に悪いという事が分かりました。

今の状況を是非、皆様には客観的に評価していただきたいと思います。そして、以前にソ連の政府の首脳が、またそれ以後ソ連が無くなってさまざまな国になりましたが、そこにいる政権についている人たちの間違いを繰り返していただきたくないと思っています。

チェルノブイリの原発事故の後、政治が取った対策によって、実を言いますとこの地域では出生率よりも死亡率の方が非常に多く上回っています。どんどん、どんどん、この地域に住んでいる人々が、特に若い人々が、重い病気によって死んでいっている状況があります。

是非、客観的な情報を収集していただいて、自分たちの健康、そして、近しい方々の健康を守っていただきたいと思っていおります。

<質疑応答>

09:36
週刊東洋経済:
日本での内部被ばくの深刻度についてですが、「福島の事故について大変心配している」とおっしゃいましたが、日本に来られてお話しを聞かれたり、調べられたりして、どのような件に非常に深刻度が見られるかどうか、お考えなのか、もし、具体的に何かありましたら教えていただきたい。

バンダジェフスキー博士:
残念ながら現在のところ情報が少ないんです。自分たちで情報を隠しているんです。もしも、このような形で情報を隠し続ければ、数10年後には日本人という国民が本当にわずかになってしまう。この悲劇を小さな事故だと思ってはいけません。安心したいのは分かります。でも厳しいんです。

しかし、世界にとっても、福島から多くの放射性核種を受けるという事で、大変な問題なんですが、特に大きな問題は日本がその放射性核種を、今はビジネスのことを考える必要はないと思います。日本の国民を救うこと。

皆さんは、汚染地域の地図をどうやって調べるか分かりますか?非常に大きな汚染です。高い汚染です。多分放射性核種は人々の体内にもう、入りこんでいるんではないでしょうか。でもそれを測っていませんよね、誰も。なんか皆さんは、何でも知ってて、何でもできると、そんな感じを持っているのではないでしょうか?

私は日本のお医者さん、そして学者の方で、チェルノブイリを研究された方の研究成果も知っております。ゴメリの医科大学で1994年に国際シンポジウムを開きました。そこにも来て下さいました。

その中で私達が発表した、「セシウムは心臓に非常に危険だ」ということについても、日本の学者の方々は深い理解を示しておられました。しかしながら、そういう経験があるにもかかわらずその経験が生かされていないのが理解できません。

このような形で、何も見えない状況、そして情報がない状態で、どうやって人々への手助けができるでしょうか?なんにも出来ないと思います。結局、「黙っている」という政策がウクライナやベラルーシ、また、ロシアの地域に非常に状況を悪化させておりまして、これは人口を、統計上本当に悲惨な状況です。(人口が減少しているグラフ)

結局私達が経験したことをもう一度みなさん方が繰り返そうとしているように思えるんです。今やらなければそういう事が起きてしまいます。日本の場合人口密度が高いです。ですから、密度が高い分多くの人がこれで被害を受けるわけです。

結局津波の後のがれきが散乱しています。これは放射性物質の源でもあります。そういう放射性物質の汚染源を早く排除しなければなりません、そういうものを日本全国にばらまく必要はないわけです。

このような黙っているという政策が、昔、独裁政権であったソ連の共産党政権、この中で行われたなら分かりますけど、この21世紀に暮らしている文明社会である日本でも、そういう事が行われる事が理解できません。

週刊東洋経済:
4月から食品に関して、一般食品が100ベクレル/kg 乳児用食品が、牛乳が50ベクレル、飲料水が10ベクレルと新しい基準値が日本でも導入されます。この数字をどのように評価されますか?

バンダジェフスキー博士:
ベラルーシの基準を出しましょう、そうしたらわかると思います。まず、私の基本的な考え方ですけれど、食品に放射性物質が含まれていること自体が非常に危険です。ベクレル数を下げているという事については肯定的な動きだと思います。しかし、今年の4月から新しい基準になるという事ですが、この基準はベラルーシでは既に13年ぐらい使われている数字なんです。

いろんなバリエーションで使われていますが、しかしながら、この基準のおかげで住民は放射性物質を吸収し続けています。結局こういう基準があった食べ物を食べることによって放射性物質を身体に取り込む。取り込んだ放射性物質は身体のさまざまな部分に影響をあたえる。このこと自体が、外部被曝よりも、数段深刻であり非常に危険であります。

たとえば牛乳1リットル当たり100ベクレルのものを数週間取り入れ続けると、身体の中に堆積するセシウム量は、非常に多くなります。危険です。皆さんに必要なのは、完全にクリーンな食品であり、クリーンな土地です。

さまざまな寿命を持つ様々な放射性物質がありますが、どんな放射性物質であれ、それを取り込むという事は、本当に身体にとって良くない事です、危険です。人々は本当に放射性物質の無い食品を受け取る必要があります。

非常に高い濃度で汚染されている地域は福島だけではないと私は聞いております。非常に広い地域が汚染されています。東京でもあちこちで、放射性セシウムが観測されているという事を聞いていますが、やはり汚染されている地域から・・・・話していいかどうか分かりませんが、引っ越すべきだと、綺麗な土地に住むべきだと私は思っています。

人々の健康を守るというこの対策に於いては、国が、役割を果たすべきです。今起こっている事に対して、しっかりと責任を果たし、そして人々の健康を守っていく、それが政治の責任です。政治なら、それが出来るし、やるべきだと思います。

たとえば、牛乳を例にとってみますと、牛乳の場合はクリーンなものが100ベクレルという事になっていますよね。101が汚染されているという事ですよね。99は汚染されていないという事になりますよね、基準は。ですから、何が基準なのかという事なんです。ヨーグルトも危険なんです。

基準というのはそういう形で、あくまでも運用的なものなんですね。土地で説明しますと、土地の表面で汚染が低かったとしても土地の、土の中で汚染が高ければ危険です。結局今線量を測っているのは土地の表面だと思いますけれど、農作物は土の中から吸収して、そしてその食品を食べることから被ばくをする。

今の状況は、大体セシウムは地上にあるのですね、表面に。で、こういうところで高い濃度があった場合に、背の低い子どもたち、これが、一番危険であります。1平方メートル当たり37キロベクレルであれば、これは外部被ばくとしても小さな子どもにとっては非常に危険です。

長い間汚染されている地域に住んでいる人たち、そして、そういう人たちが、また新しい放射性核種を身体に取り込むという事になりますと、それは本当に、さらに危険になってきます。もともと持っているところにさらに新しいものが取り込まれる事は非常に危険です。

でも、最も危険なのは、食品を通じて身体の中の臓器に取り込まれることなんです。

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