国に除染費用全額負担求め 那須の市民団体 署名3万3000人超

国に除染費用全額負担求め 那須の市民団体 署名3万3000人超
(2012年4月13日 東京新聞)

 東京電力福島第一原発事故によってまき散らされた放射性物質をめぐり、那須町の市民団体などが、除染活動の一部を国負担の対象外とする国の方針に反発して集めていた署名が、約三万三千五百人分に達したことが十二日分かった。今月中にも環境省に提出し、全額国負担を要望する。 (石井紀代美)

 国は、年間被ばく線量一~二〇ミリシーベルトの地域を含む市町村を「汚染状況重点調査地域」に指定。当初、除染費用は原則国負担としていたが、一月下旬、おおむね五ミリシーベルト以下の地域を「低い地域」と位置付け、民家の庭の表土除去などは国費負担しない方針を各市町村に示した。県内を含む首都圏全域が「低い地域」にあたる。

 これを受け、放射能汚染問題に取り組む那須町の市民団体「那須希望の砦(とりで)」が、県内外の市民団体に署名活動への協力を呼び掛けた。二万人を目標に設定し、東日本大震災から一年にあたる三月十一日から始めた。

 「砦」の事務局長大笹貴靖(たかのぶ)さん(60)は「お願いした九割以上の人は快く書いてくれた。予想を上回る数に、除染への強い要望を実感した」と振り返る。

 市民団体の各メンバーが自分の人脈を駆使して集めたほか、休日は町内の家を一軒ずつ回った。訪問すると、「これから集めるところだったんだ」と署名用紙を握りしめて出てくる人も。ホームページから用紙をダウンロードして署名を集め、県外から郵送してくれる人も多かったという。

 活動は今月十一日に終了。十二日に那須町立図書館で行った集計では三万三千五百五十一人分を確認した。回収しきれていない分を合わせれば、四万人を超える見通し。

 署名は、県内だけでなく、首都圏全域からも寄せられており、大笹さんは「『子どもたちの将来を考えた対応をしてほしい』というみんなの思いを国にぶつけたい」と力を込めた。

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