英国「気候変動法」CO2を80%削減
英国「気候変動法」
2008年11月27日
駐日英国大使館
英国政府の気候変動法、エネルギー法、計画法は、国会における審議をすべて終了し、
昨26日、英国女王の裁可を得て法として成立いたしました。
■ 気候変動法の必要性
・ 英国内の二酸化炭素の排出を管理し、低炭素経済への移行を促進するため。
・ 2013年以降の将来枠組について、英国政府が、世界の二酸化炭素排出を削減する
責任を分担するという意志を表明し、国際的にも強いリーダーシップを取ることを明
確にするため。
■ 法の内容
◎法的拘束力のある数値目標の設定:
1990年に比べ、二酸化炭素の排出量を2020年までに少なくとも26%削減、全ての温室
効果ガスの排出量を2050年までに少なくとも80%削減する。2020年目標については、
今後、全温室効果ガスを対象としたものへと見直しが検討される予定。
◎炭素排出キャップ(Carbon Budget)の設定:
カーボンバジェットは、2050年の長期目標達成に向けて道筋を示すために、英国の五
年間の二酸化炭素の排出量を、三期にわたって設定を行うものである。初めの三期間
のカーボンバジェットは、2008?12年、2013?17年、2018?22年であり、2009年6月1
日までに最終的な量が設定されなければならない。政府は、排出キャップの数値が設
定されてすぐに、キャップ達成のための政策と提案について、国会へ報告を行わなく
てはならない。
◎気候変動委員会の創設:
気候変動委員会は、政府に対する独立した専門的顧問機関として創設され、排出量
キャップ(カーボンバジェット)の水準や効率的なコストの使い方について助言を行
う。同委員会は、英国の目標達成や排出量削減の経過で政府が対応すべき点について
国会に年次報告書を提出し、毎年、透明性と説明責任の担保を確実にする。
◎さらなる排出削減の対策:
国内排出量取引制度、運輸部門の削減に関するバイオ燃料政策、イングランド内の一
般家庭ゴミの削減に対する経済的インセンティブの試験的導入や、使い捨て袋の使用
料義務化などの施策が、法律の改正案を通じて迅速かつ円滑に導入されるための権限
を政府に保証する。
◎適応対策:
政府は、少なくとも五年に一度、気候変動が英国にもたらすリスクについて報告をま
とめ、この影響に対応するための取組み計画を立て、発表しなくてはならない。ま
た、気候変動法は、政府が、公的サービスを行っている国営企業や公益事業者に対
し、各企業内で気候変動のリスク影響評価を実行し、リスクへの取組み計画を立てる
ことを義務づける権限を与える。さらに、気候変動委員会の下に、政府の適応対策に
ついて、成果を精査し助言を行う適応部会を設ける。
■ その他法に含まれる要素
◎国際クレジットの使用:
政府は、英国の目標達成方法と排出量キャップ(カーボンバジェット)をどう達成す
るかについて、気候変動に関する国内対策の必要性を深く考慮する義務がある。気候
変動委員会は各排出量キャップについて、国内レベル、欧州レベル、国際レベルで取
られている対策との適切なバランスを助言する。委員会の助言に基づいて、政府は、
法成立過程の最終段階で、それぞれの排出キャップ期間について、国際クレジットの
購入制限を設けることを追加した。
◎企業による温室効果ガスの排出報告:
政府は、2009年中に、企業に対して温室効果ガス排出の報告方法に関する指針を発布
する。また、2010年12月までに、この報告方法の排出削減への効果の見直しを行う。
さらに、2012年4月までに、政府は「カンパニー・アクト」(会社法)に基づいた権
限において、企業の排出報告の義務化を定めるか、定めない場合はその理由について
国会に説明を行うこととする。
■ 低炭素の未来に向けた政策パッケージ
「気候変動法」は、二酸化炭素の排出を削減し、英国のエネルギー安全保障を確実
なものにするために、英国政府の戦略的アプローチの枠組みを作る、三つの主要な法
の一つです。他の二つの法、「エネルギー法」と「計画法」は、自然エネルギーなど
の新しいエネルギー技術を推進するために、英国のエネルギーに関する規制の枠組み
に必要とされる変更を反映するもので、戦略的なエネルギーインフラの認証手続きの
簡素化や、エネルギー市場の変化に伴う消費者保護の観点などが含まれています。
◎エネルギー法の主要条項:
自然エネルギーについて
・ 英国における自然エネルギーのより大きなかつ迅速な拡大を行うために、現行の
「自然エネルギー義務」(Renewable Obligation, RO)をさらに強化する。具体的に
は、洋上風力など商業展開に程遠い技術に対する投資を促進し、コ・ファイアリング
などの商業的に確立された技術への支援を減らすことなど、状況に応じて自然エネル
ギーを分類する“能力分け”を導入し、ROの仕組みをより効率的なものとする。
・小規模、あるいはコミュニティーベースの設備を支援するために、 5,000kWまでの
自然エネルギー設備に対して固定価格制度(Feed-in Tariff, FIT)を(2010年まで
に)導入する。
・ 自然エネルギーの熱利用に対するインセンティブを導入。施設規模に関わらず、
自然エネルギー熱利用に対して資金的な支援を行う。支援予算は化石燃料からの熱の
供給事業者への課徴金によって賄われる。
・ 洋上送電網のライセンス取得に競争を導入し、洋上自然エネルギー設備の地上の
電力網への効率的な接続を促進する。
CCS、原子力、電力・ガスのインフラについて
・ CCSプロジェクトへの民間の投資を活性化するための法的枠組を創設する。洋上貯
蔵のライセンス取得に関して適応可能な法的な枠組みを創設する。
・ 新規原発の運転者に廃炉と廃棄物管理の全コストを確実に負担させる。また、資
金計画の提出を義務づける。
・ LNGや洋上貯蔵など、洋上ガス供給インフラへの民間の投資を活性化するために、
洋上ガス供給の規制枠組みの簡素化を行う。
・ “スマートメーター”の全国的普及拡大のための計画を政府が作成し、電力・ガ
ス供給者が、この計画を実行する。
2008年10月、英国政府は、エネルギー安全保障と気候変動の二つの挑戦に向けた政
策策定を一括して調整する機関として、エネルギー気候変動省を設立しました。
お問い合せ:駐日英国大使館環境エネルギー部
Phone: 03-5211-1339, e-mail: energy.tokyo@fco.gov.uk







