玄海原発周辺で白血病が増加 全国平均の6倍以上

肥田医師 「玄海原発の町は小児白血病が全国の10倍以上」

「玄海原発がある佐賀県玄海町では、子どもの白血病の発症率が全国平均に比べて10倍以上高いことが、政府の資料から明らかになりました。子どもたちは大人より何倍も何十倍も放射線に対して弱いのです。真っ先に守らなければいけません。」(2012年3月19日発行 肥田舜太郎著『内部被曝』より)

放影研、内部被曝調査を89年に打ち切り 実態解明20年の遅れ」 
(2011/11/26 共同通信)から抜粋

 日米両政府が運営し、原爆被爆者の健康を調査する「放射線影響研究所」(放影研、広島市・長崎市)が、原爆投下後に高い残留放射線が見つかった長崎市・西山地区の住民から、セシウム検出など内部被ばくの影響を確認し、研究者らが調査継続を主張してきたにもかかわらず、1989年で健康調査を打ち切っていた。
 45年から続く貴重な内部被ばくの継続調査だったが、打ち切りによって健康への影響や実態の解明は20年以上、進んでいない。

上の記事にあるように、実態解明を妨げようとする動きがあるなかで、内部被曝や低線量被曝の問題が明らかにされていくことを願っています。

「放射線と健康」アーネスト・スターングラス博士 2006年講演
(要約)
スターングラス博士は、アメリカとソ連が核実験を繰り返していた冷戦当時、核実験の死の灰(放射性降下物質)による放射線の影響で世界の子どもたちの白血病やガンが急増している事実を議会で報告し、それがきっかけとなって米ソ核実験停止条約が締結されました。「低線量被曝」の世界的研究者であり、原発は事故が起こらなくても日常的に放射性物質を放出している事実とその放射性物質による低線量被曝によって様々な病気が増えていることを発表しています。(出典全文

市民と科学者の内部被曝問題研究会(略称:内部被曝研)

結成のよびかけから抜粋

原発事故による放射線被曝の主要なものは、呼吸や飲食を通しての内部被曝です。政府や政府に助言する専門家は、被曝影響の評価を主として測定しやすいガンマ線に頼っています。しかし、内部被曝では、ベータ線やアルファ線の方がガンマ線よりはるかに大きな影響を与えます。政府と東電は、ベータ線を放出するストロンチウム90や、アルファ線を放出するプルトニウム239などの測定をほとんど行っていません。彼らは、内部被曝の特性とその健康影響を意図的に無視し続けています。

その背景には、アメリカの核戦略や原発推進政策があります。これらの政策の影響下で組織された国際放射線防護委員会(ICRP)などの機関は、広島・長崎原爆の放射性降下物による被曝影響を無視した放射線影響研究所の研究に依存し、日本政府は福島原発事故の被曝に関しても、「100mSv以下では病気を引き起こす有意な証拠はない」とするなど、事実を覆い隠し、被曝限度に高い線量値を設定して、市民のいのちを守ろうとはしていません。

いま求められているのは、核兵器政策や原発推進政策に影響された研究ではなく、内部被曝を含めて、被曝実態に基づいた放射線による人体影響の真に科学的な研究を推進することです。これは国際的・全人類的課題です。そして今、福島の原発事故の被害について、市民の立場に立った民主的で科学的な対応が求められています。市民にとって必要なのは、被曝を防ぐ食品・食料対策と被害の補償、放射能にさらされない生活・労働環境などです。市民の安全に生きる権利が認められるべきで、そのためには、放射線被曝に関する正しい知識を持った主権者としての市民の力を確立しなければなりません。

★原発は事故を起こさなくても周辺住民の病気を増やしている

「原発周辺で小児白血病が倍増」
フランス国立保健医学研究所が発表

フランスで、原発から5キロ圏内の子どもと一般の子どもの白血病発生率の比較を行った。15歳以下の子どもは、他地域の子どもに比べて白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い

ドイツ政府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、 小児白血病は2.19倍となっています。

被ばくに伴うガンのリスク 核施設とその周辺
ヨーロッパの原発や核燃料再処理工場などの核施設周辺に居住する子どもたちの過剰な白血病とガンのリスクを立証している研究が紹介されています。

★日本国内ではどうなっているのか 佐賀県の玄海原発の例

1998年~2007年までの10年間の数値を調べて分かったことは、玄海原発に近いエリアほど白血病が多く、年々増えてきていることです。

    <1998~2002年の平均>  <2003~2007年の平均>
全国平均        5.4人             5.8人     
佐賀県全体      8.3人             9.2人
唐津保健所管内  12.3人            15.7人
玄海町         30.8人            38.8人
(人口10万人あたりの白血病による死者数)

この5年では、原発がある玄海町の白血病による死亡者は、全国平均の6~7倍ということになります。

佐賀県と唐津保健所管内と玄海町の白血病による死亡の状況
(人口10万人あたりの白血病による死者数)

※玄海町人口は05年現在で約6700人。03年は白血病の死亡なし
厚生労働省人口動態統計より

この情報を多くの人に伝えて下さい。佐賀県だけでなく全国の原発立地県で本格的な疫学調査を行う必要があると思います。疫学調査の専門家の皆さんは、ぜひ全国の原発周辺の調査をして下さい。玄海原発の本格的な疫学調査もやって下さい。そして、調査結果を公表して下さい。欧米にできて、日本にできないことはないはずです。

唐津市議会 玄海原発周辺の白血病増加について 一般質問

「泊原発がある泊村は、北海道で一番がん死亡率が高い。千歳市の4倍」

「原子炉閉鎖で乳児死亡率激減」 最大で54%マイナス 米研究機関
調査は免疫学や環境問題などを専門とする医師、大学教授などで組織する「レイディエイション・パブリック・ヘルス・プロジェクト」(RPHP)が、原子炉を閉鎖した全米7ヶ所の原発を対象に、半径80キロ以内の居住の生後1歳までの乳児死亡率を調べた。原発が稼動中は乳児死亡率が高い。【日本でも調査すべき】

イギリス再処理工場周辺 小児がん発生率 一般の2〜15倍 
2002年、国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べ、白血病、リンパ腫など血液のガンの発生率が2倍近く高く、工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあった。

事故を起こさなくても原発をやめなければならない6つの理由
まず、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、住民に被曝させている。原発の運転が始まると原発周辺にガンや白血病を多発させている。そして、原発で働く人たちの被曝労働や海の環境を破壊する温排水の問題核燃料再処理工場からの膨大な放射能の排出問題。さらに、100万年後まで毒性が消えない「放射性廃棄物」の問題などがある。


●2012年1月20日追加記事

原発5キロ圏内で子どもの白血病が倍増
フランス国立保健医学研究所が国際誌にて発表/ルモンド紙

(2012年1月14日 フランスねこのNews Watching)から抜粋

反論できない危険信号が発せられた。フランスにある原発の5キロ圏内に住む子どもたちは、通常の2倍の割合で白血病にかかる、という指摘だ。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のジャクリーヌ・クラヴェル氏が率いるフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者研究チームが『国際がんジャーナル』(International Journal of Cancer)に発表した。これは過去にイギリスのセラフィールド原発、スコットランドのドーンレイ原発、ドイツのクルーメル原発において実施された調査で、原発の近辺に住む子どもたちに通常より高い率で白血病が発生することが証明されたのに続く調査結果である


●2012年3月追加記事「30年も臨界事故を隠してきた」
ドイツZDFテレビ 「フクシマのうそ」
彼は長年原子炉のメンテナンスの仕事でフクシマにも何度も来ており、かなり深刻なミスや事故を東電が隠蔽するのに遭遇した。東電は、点検後、なにをあなたに求めたのですか?

「亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは簡単です。つまり、黙れ、ですよ。何も話すな、黙ってろ、というわけです」

「1989年のことです、蒸気乾燥機でビデオ点検をしていて、そこで今まで見たこともないほど大きい亀裂を発見しました。原子炉を点検している同僚の目がみるみる大きくなったと思うと彼がこう言いました。『蒸気乾燥機の向きが反対に取り付けられているぞ』と。

「私たちは点検で亀裂を発見しましたが、東電は私たちにビデオでその部分を消すよう注文しました。報告書も書くな、と言うのです。私はサインしかさせてもらえませんでした。私が報告書を書けば、180度反対に付けられている蒸気乾燥機のことも報告するに決まっていると知っていたからです」

では、嘘の文書を書くよう求めたわけですか?
「そうです、彼らは我々に文書の改竄を要求しました」

スガオカ氏は仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。GE社に解雇されて初めて彼は沈黙を破り、日本の担当官庁に告発した。ところが不思議なことに、告発後何年間もなにも起こらなかった。日本の原発監督官庁はそれをもみ消そうとしたのだ。

(18年間福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏に)福島県の原発で働く情報提供者から約20通ファックスが届き
その中にはスガオカ氏の告発も入っていました。経産省は、その内部告発の内容を確かめずに、これら密告者の名を東電に明かしました。

東電は、報告書を改ざんしていたというのです。それで私は新聞に記事を書きました。そんなことをしていると、この先必ず大事故が起きる、と。それでやっと官僚たちもなにもしないわけにはいかなくなり、17基の原発が一時停止に追い込まれた。

調査委員会は、東電が何十年も前から重大な事故を隠蔽し、安全点検報告でデータを改竄してきたことを明らかにした。それどころか、フクシマでは30年も臨界事故を隠してきたという。

★以下、全文
ドイツZDFテレビ 「フクシマのうそ」書き起こし
(ドイツZDF「フクシマのうそ」2012年3月18日)

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