2011/04/05

「避難エリア以外は、放射能は微量で安全です」 本当ですか?

今、テレビでよく「デマに惑わされないようにしよう」と言っています。
そこで、最も大きな被害が出る「デマ」とは何かを考えてみたいと思います。

2011年3月11日まで、「原発は危険」「原発は大きな地震や津波には耐えられない」というのは、デマだと言われていました。

多くの人は、「原発は安全です。地震がきても大丈夫です」という電力会社や政府を信じていました。

全国の電力会社が加盟する電気事業連合会のホームページには、こう書かれています。
「日本は世界有数の地震国です。例え大きな地震が起きても、周辺の人々や環境に放射性物質による影響をおよぼすことのないよう、原子力発電所では設計から実際の建設、運転に至るまで万全の地震対策を行っています。」

2004年にマグニチュード9.0のスマトラ沖地震と大津波を経験しても彼らの態度は変わりませんでした。マスメディアの報道姿勢も基本的には変わりませんでした。そうした中で神戸大学の石橋克彦教授は、地震大国である日本に原発は危険だと警鐘を鳴らし続け、2005年には国会でも警告しました。

《最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる》

《外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない》

《炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される》

《4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大(ばくだい)になるという推測もある》

こうした警告に、経済産業省原子力安全・保安院も原子力安全委員会も政府も聞く耳を持ちませんでした。

そして、石橋教授による原発震災の警告は、ほとんどが現実となりました。

原発事故が起こってしまった今の段階で、「最も大きな被害が出るデマとは何か」と考えたとき、今、最も心配なことは、「放射能は微量だから安全です」とか「レントゲンやCTスキャンよりも数値が小さいから安全です」と、そこに滞在し続けることを計算しなかったり、「避難エリア以外はまったく心配はありません」という大学教授などの発言であり、それを検証もせずにそのまま報道してしまうマスメディアのあり方です。

原子力安全委員会の専門委員でもある中部大学の武田邦彦教授は、4月2日にこう書いています。(抜粋)

◆生活と原子力02  1ミリ、100ミリ、「直ちに」の差は?
福島原発で放射性物質が漏れたとき、一般人が1年間に被曝しても大丈夫な量は
(法律と私) 1ミリシーベルト
(解説者) 100ミリシーベルト
参考;(政府)「直ちに健康に影響はない」
と大きく違いました. これでは普通の人が迷うので、「違いの原因」だけ解説をしておきます
.・・・・・・・
まず、100ミリシーベルトを支持する専門家は、国立研究所系研究者、京都大学、長崎大学、東芝関係者などに多いようですが、その一人は、かつて長崎大学におられて、今、京都大学の渡邉正己教授です.

わたくしは普通このようなことを論じるときに、個人名を挙げません。それは、内容を批判することがあっても、人間を批判したくないからです。

しかし今回の場合ははっきりと発言しておられますことと、ここでは渡邊先生を批判するのではないので、先生のお名前を挙げさしていただきました。

先生が3月20日に発言されたことは次のようなことでした。

「100ミリシーベルトで健康に害を与えると仮定しても、発がん率はおよそ100人に1人。放射線の被曝がなくても100人のうち50人はガンになるので、あまり影響はないと予想されます。」

「100ミリシーベルトの放射線を浴びると100人に1人がガンになるわけですから、約1億人の日本人を考えれば、100万人がガンになるということになります。

現在では福島市の約半分がかなり危険な状態にありますから。放射線を浴びている人たちの数は100万人程度です。従って、福島県だけを考えても、1万人の人が放射線の被曝でガンになるということを渡辺先生はおしゃっています。」
(以上、引用終わり)

武田教授は、「教育関係者に訴える! 今すぐ、立ち上がってください!!」にこう書いています。

「福島県及び近県の教育関係者に御願いします。現在、福島県及び近県の空間放射線量は1時間あたり約2マイクロシーベルトで、呼吸による体内被曝と水や食糧から入る放射線量もほぼ同じ量ですから、約6マイクロシーベルトになります。

一方、福島原発の処理は長期化が予想され、児童生徒の被曝量は「考慮しなければならないレベル」になります。1年間の被曝が予想され、その場合、6×365×24=53ミリシーベルトになり、児童生徒の放射線障害は100人に0.5人を越える段階にまで達しています」

「放射線の量と健康障害については様々な学説がありますが、50年にわたる研究の結果が、ICRP(国際放射線防護委員会)および放射線障害防止の法律と規則(国内)で決まっていて、年間1ミリシーベルトです. それを越えているのですから、学校はそれに対して真剣に取り組み、将来、児童生徒に放射線障害を万が一でも出さないように、情熱のある行動を求めます」

「これまでの、世界の被曝の経験では、ICRPのデータにもあるように、すでに数百名の児童生徒が20年以内にガンになる可能性のレベルまで来ています」
(引用ここまで)


 政府が決めた避難エリアの外で福島市以外にも放射能の数値が高い地域がありますが、特に心配なのが飯館村です。長くチェルノブイリ原発事故の研究をしてこられた京都大学原子炉実験所の今中哲二助教の声に耳を傾けるべきだと思います。

チェルノブイリ原発事故の当初の強制移住レベルの2倍以上。政府は速やかに住民の避難区域の拡大と妊婦・乳幼児の避難を

飯館村に屋内退避を提言 京大助教ら、現地で放射線量調査 (中日新聞)

 福島第1原発事故で、屋内退避地域外にありながら高レベルの放射性物質が検出されている福島県飯館村で、支援にあたる糸長浩司日本大教授らが、子どもや妊婦を汚染の低い地域のコンクリート家屋に避難させることや、道路や建物を除染することなどを村に提言した。

 京都大の今中哲二助教や広島大の遠藤暁准教授ら研究チームが3月28、29の両日、現地で放射線量を調べたところ、大気中で1時間当たり30マイクロシーベルトの高い値を示す地点があった。村は原発から30~50キロ離れている。

 調査では村南部の比曽川沿いで毎時10マイクロシーベルトを超える放射線量が観測され、最も高い地点では道路上で毎時24マイクロシーベルト、隣接する牧草地で毎時30マイクロシーベルト。この地点で1カ月間屋外にいた村民は、避難すべきだとされる計50ミリシーベルトの外部被ばくを受ける計算になる。

 周辺で採取した土壌からは、放射性のヨウ素やセシウムを検出。セシウム137は1平方メートルあたり218万8000ベクレルという高濃度だった。放射線量は、木造家屋の中では40%、車内で80%、コンクリートの建物の中では10%にまで遮蔽(しゃへい)されることも分かった。

 今中助教は「毎時10マイクロシーベルト以上の地点で生活している人もおり、驚いた。被災者への対策に役立ててもらいたい」と話した。

 飯館村では、国際原子力機関(IAEA)が1日、日本側が土壌から検出した放射性物質の数値を独自に分析し、政府に「平均値は避難基準を下回ったが、状況を注視してほしい」と伝えていた。 (中日新聞)


アメリカ、オーストラリア、韓国などの政府は半径80キロを避難エリアとしています。
ドイツ政府は、3月17日に在東京ドイツ大使館を大阪に移転、全ての在日ドイツ人に対し、原発事故が落ちつくまで東日本(静岡以東)からの退避勧告を発表しています。

チェルノブイリ医療支援のため、1992年に初めてベラルーシを訪問して以来、私はたくさんの病院に医療機器や薬を届けてきました。 訪問先でいつも感じたことは、なぜこんなに子どもたちの被害が多いのか、ということでした

 小児病棟で苦しむ多くの子どもたちと会い、子どもを亡くした人々の話を聞くことで放射能の本当の恐ろしさを知りました。チェルノブイリ原発事故の放射能汚染地を訪問してきた者の責任として、今、伝えなければならないことがあります。

大人よりも子どもの方が放射能に弱い(胎児や乳幼児がより大きな被害を受ける)こと、レントゲンなどの「外部被ばく」よりも空気や水や食べ物から体内に取り込む「内部被ばく」の方がより大きな問題となること、セシウムなどの放射能の毒性は長く続くこと、それらを考慮して、子どもたちの健康と生命を尊重して大人は行動してほしい、ということです。

テレビなどで「避難エリア以外は、放射能は微量で安全です」「まったく心配ありません」という大学教授の皆さん、そのときにあなたは、自分の幼い孫や子どもがその土地で暮らし続けても「まったく心配ない」と言えますか?

少なくとも妊婦さんや乳幼児、子どもたちは避難した方がいいと思う地域があれば、それを正直に言うべきではありませんか。

その言葉によって、いのちを救われる子どもがたくさんいると思います。

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