2010/02/23

鉱山開発から森を守る森林農法のコーヒー

ウィンドファームがフェアトレードで提携している森林農法のコーヒーについて

「インタグコーヒーと鉱山開発」

インタグコーヒーの故郷は、南米エクアドルのアンデス山脈の亜熱帯地域にあります。このインタグ地方は、世界の環境ホットスポットに指定されるほど生態系が豊かで、未だ手つかずの原生雲霧林やあらゆる動植物の生命と住民の生活を支える清冽な分水嶺が存在しています。

しかしこの地方は、鉱山開発という問題を抱えています。それは90年代初頭のエクアドル・日本の両政府による「鉱山開発プロジェクト」から始まりました。このプロジェクトは試掘段階で止まっていますが、鉱物サンプルを採取した際の300mほどの深さの穴からは化学物質が染み出ており、水を汚染しています。

2008年に水質検査をしたところ、ヒ素は、世界保健機関(WHO)の基準値の4倍、カドミウムは7倍、そして鉛は9倍もの量が検出されました。

これが本格的な採掘となると、最低直径2km、深さ1kmほどの穴が開けられることになり、コーヒーを栽培している地域にも影響を及ぼします。

大規模な森林伐採、天候の変化・砂漠化、絶滅危惧種の動植物への影響、廃棄物による基準値の100倍を超えるリード、カドミウム、クロム、銅および硝酸塩による土壌・水質汚染(電池酸よりも高い酸度になる)、土壌流出、大気汚染など、環境への影響は枚挙に暇がありません。さらに舞い上がる粉塵や、鉱物をろ過するために使われるシアン化合物による健康被害なども無視できません。

そんな鉱山開発を阻止するために、住民たちはインタグ地方を守るための環境団体、DECOIN(Defensa y Conservacion Ecologica de Intag:インタグの生態系の防御と保全)を設立し、反対運動を行ってきました。(http://www.decoin.org/
環境・社会への影響、特に原生林は一度壊したら二度と元に戻らないこと、鉱物は再生可能でない資源である以上、持続可能な産業にはなりえないことなどを、住民たちにわかりやすい言葉で語りかけてきました。

しかし、反対運動だけでは生活を保つことができません。そんな状況の中で、鉱山開発などの自然破壊型の産業に代わるものとして、有機栽培コーヒープロジェクトとAACRI(Asociacion Agroartesanal deCaficultores Rio Intag:インタグコーヒー生産者組合)が生まれました。

元来、この地方は、野生のコーヒーが育つ地域で、コーヒー栽培に好条件が揃っていますが、森林農法は、質の高い美味しいコーヒーを換金作物としてつくると同時に食物の自給率を高め、森林を守り、環境保全への理解を深めるものでした。

またフェアトレードのシステムに則って取引を行うことで、コストが保証される上に、このような開発問題を引き起こしている先進国の消費者にメッセージを発信することが可能となります。

その間、2004年にカナダ系企業のコパー・メサー・コーポレーション(以下CMC)が、インタグの鉱山採掘権を入手してから、反対派住民のリーダーや活動家は、殺害脅迫、買収・暴力行為の被害に数限りなく遭ってきました。

しかしそれに屈せず、それまで以上に反対運動やオルタナティブ活動に取り組み、国際世論を動かし、CMCやトロント証券取引所を相手に人権侵害に対する訴えなども起こしました。

そしてついに2007年10月3日、政府よりCMCへのインタグにおけるすべての活動の正式な停止命令が出ました。さらに、2009年1月28日、鉱山と石油開発省は、587もの鉱山開発の採掘権を政府に返還させるという、エクアドルにおける歴史的な一歩を踏み出しました。

その3ヶ月後、追加で4274もの採掘権を無効にすることも承認されました。そして2010年1月19日、このCMCのトロント証券取引所での上場廃止が決定されました。
これで株価は6割近く下落し、企業としての信用は大きく失墜し、資金源は断たれたと言ってもよいと思います。住民たちの地道な努力が実ったのです。

ただ、エクアドルの現大統領は、社会的、経済的、政治的条件を整えた上で、鉱山開発は「あり」と述べています。また地下資源が眠っている以上、必ずその資源を利用しようとする者は現れます。だから「これで終わり」というわけではありません。

そして、これらの問題はインタグ地方だけが抱えるべき問題ではありません。この鉱物を欲しているのは、主に日本を含む先進諸国の人間なのです。ラテンアメリカで産出される鉱物の75%は、先進国で消費されているのです。インタグ地方で起こっている問題と使い捨ての暮らしが密接につながっていることを知り、私たちの生活スタイルをよりエコロジカルにしていくことが、私たちにできることの第一歩なのではないでしょうか。

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