2013/10/14

【秘密保護法案】 国民的な議論を尽くせ

◆福島の原発事故では、メルトダウン(炉心溶融)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報公開が遅れるなど秘密にされた事実は少なくない。原発の安全性をめぐる幾多の訴訟でも、重要な資料の隠ぺいや破棄が次々に露呈してきた。「原発がテロの標的になるのを防ぐ」との名目で、多くの情報が特定秘密に指定される恐れは大きい。 

◆80年代中頃、中曽根政権の下で今回の法案と類似した「国家秘密法」の制定が図られようとしたが、多くの国民の反対で実現しなかった。

秘密保護法案:国民的な議論を尽くせ

【秘密保護法案】 国民的な議論を尽くせ 川副正敏
(2013年10月13日 西日本新聞 提論―明日へ)

政府が今臨時国会に「特定秘密の保護に関する法律案」(特定秘密保護法案)を提出し、成立を図ろうとしている。しかし、この法案は情報公開の原則に背を向け、民主主義の根幹を揺るがす深刻な懸念がある。

法案では、防衛、外交、外国の利益を図る目的による安全脅威活動及びテロ活動防止に関する広範囲な事項の情報について、その漏えいがわが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるものを原則5年間「特定秘密」に指定し、これを漏えいした公務員などを10年以下の拘禁刑に処するとしている。

しかし、特定秘密を指定するのは行政機関の長(大臣など)自身である。そこでは「安全保障」の名による、時の政府当局者の利害や保身の意図が入り込んだ恣意的な指定や過度の拡張的指定、無用な指定期間の更新など、乱用を防ぐ手だてはない。

現に、1972年の沖縄返還では、米国の負担すべき軍用地復元補償費を日本政府が肩代わりし、事実上、核兵器の持ち込みを容認する密約が存在したことが今日では明らかとなっている。このことはその後の沖縄の米軍基地問題をめぐり、政府に対する不信の根源の一つであり続けた。

今回の福島の原発事故では、メルトダウン(炉心溶融)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報公開が遅れるなど秘密にされた事実は少なくない。

原子力発電所の安全性をめぐる幾多の訴訟でも、重要な資料の隠ぺいや破棄が次々に露呈してきた。「原発がテロの標的になるのを防ぐ」との名目で、多くの情報が特定秘密に指定される恐れは大きい。

                     ◆

処罰の対象となる行為の範囲は意図的な漏えいだけでなく、過失も含まれる。外部の人間が情報の保有者に対し、脅迫、窃盗のほか、「その他管理を害する行為」により取得すること、さらにはその未遂、共謀、教唆または扇動など広範な行為が取り込まれている。

これではジャーナリストの取材活動さえも重罰に処せられる可能性があり、著しい萎縮効果を生む。これにより、報道の自由が事実上強く制約され、国民の知る権利が侵害されることを危惧する。与党は、「知る権利」を明記する方向で調整し、批判をかわそうとしているようだが、歯止めになるとは思われず、むしろ問題が浮き彫りとなった。

80年代中頃、中曽根政権の下で今回の法案と類似した「国家秘密法」の制定が図られようとしたが、多くの国民の反対で実現しなかった。今、中国や韓国との領土をめぐる確執や北朝鮮情勢などを理由に国民の耳目をふさごうとするのは本末転倒だ。法案の必要性の理由として挙げられている過去の秘密漏えい事件は、いずれも自衛隊法や国家公務員法など既存の法律で対処できたものばかりであり、新たな立法を必要とする事実は見当たらない。

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憲法9条改正や集団的自衛権容認論が高まる時だからこそ、冷静な議論をするためにも、これらに関する情報が広く国民の間で共有されなければならない。

私は福岡市の情報公開審査会で、市民からの情報公開請求を行政側が拒んだ案件の当否を検討してきた。為政者の政策決定と遂行において、情報の積極的な公開は、説明責任を尽くす源であり、市民との信頼関係を築き適正な世論を形成する基盤だと痛感している。

国の外交・安全保障政策は、地方自治と次元を異にする面はあるものの、国民主権の原理に照らすと、情報公開の重要性に変わりはなく、むしろ国民生活全体に重大な影響を及ぼす点で、その意義は一層大きい。

秘密情報を設ける場合に何よりも必要なことは、それが「国民の知る権利」に対するあくまでも例外であることを前提とし、為政者にとって不都合な事実が隠されることのないよう、司法手続きを含めた第三者機関による厳格なチェックシステムを確立することだ。

法案の要綱に対する国民の意見聴取期間はわずか2週間だった。日本の民主主義の在り方を大きく左右しかねない重大な法案成立を拙速に進めてはならない。あらためて原点に返り、国民的な議論を尽くして、慎重な審議を求めたい。

川副正敏 弁護士 1949年、福岡県生まれ
06年4月~07年3月 日本弁護士連合会連副会長
13年3月から法務省法制審議会委員


◆民意も新聞社説も大半が【秘密保護法案に反対】している中で
「自由民主党」は、自由と民主主義を破壊する法案を通そうとしている
【資料 2013年 新聞社説】 
秘密保護法 「報道配慮」 の見当違い 信濃毎日新聞 社説 9/30
秘密保護法原案 国民の目をふさぐ悪法だ 琉球新報 社説 9/28
【秘密保護法案】 危険な本質は変わらない 高知新聞 社説 9/26
秘密保護法案 危険性に変わりはない 北海道新聞 社説 9/24
秘密保護法案 現行法で対処可能だ 琉球新報 社説 9/23
秘密保護法案 取り繕いでは済まされぬ 西日本新聞 社説 9/23
秘密保護法 かつて来た道たどる懸念 信濃毎日新聞 社説 9/22
知る権利 保護を最優先に議論を 神奈川新聞 社説 9/22
秘密保護法案  「知る権利」 担保できぬ 京都新聞 社説 9/20
秘密保護法案―知る権利はつけ足しか 朝日新聞 社説 9/19
秘密保護法案/「知る権利」 を保障できるか 福島民友 社説 9/18
特定秘密保護法案 「知る権利」 守れるか疑問だ 宮崎日日新聞 社説 9/17
秘密保護法案 「知る権利」 が脅かされる 新潟日報 社説 9/17
秘密保護法案 軍事国家への入り口だ 東京新聞 社説 9/13
危惧は払拭されていない/秘密保護法案 東奥日報 社説 9/11
疑問点があまりに多い秘密保護法案 日経新聞 社説 9/7
秘密保護法案/人権害しては本末転倒だ 神戸新聞 社説 9/7
秘密保護法案 社会ゆがめる情報統制 岩手日報 論説 9/7
「秘密保護法案」/「知る権利」 に重大な懸念 山陰中央新報 論説 9/6
秘密保護法案 報道の自由への配慮が必要だ 読売新聞 社説 9/6
[秘密保護法案] 「知る権利」 侵害するな 沖縄タイムス 社説 9/6
秘密保護法案 情報管理の行き過ぎを懸念 熊本日日新聞 社説 9/6
秘密保護法案 法制化は見送るべきだ 京都新聞 社説 9/6
特定秘密保護法案 知る権利に重大な影響も 岐阜新聞 社説 9/6
秘密保護法案 知る権利に重大な懸念 茨城新聞 論説 9/6
特定秘密保護法/知る権利を保障できるのか 河北新報 社説 9/6
秘密保護法案 国民主権と民主制の否定だ 琉球新報 社説 9/5
秘密保護法案 拭えぬ 「知る権利」 の侵害 西日本新聞 社説 9/5
秘密保護法案 国民の知る権利守れるか 徳島新聞 社説 9/5
秘密保護法 危険な法案は断念せよ 信濃毎日新聞 社説 9/5
秘密保護法案 懸念材料が多すぎる 毎日新聞 社説 9/4
「秘密保護法案」 解釈で統制強化の恐れも 佐賀新聞 論説 9/3
特定秘密保護法 漏えい防ぐ効果は薄い 神奈川新聞 社説 8/31
[秘密保護法案] 国会での慎重な議論を 南日本新聞 社説 8/29
特定秘密保護法案 政府は国会提出方針の撤回を 愛媛新聞 社説 8/29
秘密保護法案 「知る権利」 は大丈夫か 中国新聞 社説 8/29
秘密保護法案 国民不在の法制化やめよ 琉球新報 社説 8/27
秘密保護法案 情報の国家統制は危うい 山陽新聞 社説 8/27
秘密保護法案 脅かされる 「知る権利」 北海道新聞 社説 8/26
秘密保全法案―権利の侵害は許されぬ 朝日新聞 社説 8/25
【秘密保全法案】 国民の権利に大きな懸念 高知新聞 社説 8/24
秘密保全法案 情報の国家統制は危険 京都新聞 社説 8/21
秘密保全法 社会を息苦しくする 信濃毎日新聞 社説 8/20
秘密保全法制 「知る権利」 侵害は許されない 愛媛新聞 社説 5/2
日常生活も縛られる危険/秘密保全法案 東奥日報 社説 4/19

*このサイトで、社説を読むことができます。

◆◆秘密保護法案 意見公募で8割反対
(2013年9月27日 東京新聞朝刊)

東京新聞:意見公募で8割反対

 政府は26日、自民党の特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム(PT)の会合で、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ同法案の概要に対するパブリックコメント(意見公募)の実施結果を明らかにした。今月3日から17日の間に約9万件が寄せられ、反対が8割近くを占めた。

 意見公募は、政府が法案を閣議決定する前などに、国民の意見を聞く制度。意見が数件しか寄せられないケースも多く、9万件は異例だ。今回の募集期間が、一般的である30日の半分しかない15日だったことを考えれば、国民が強く懸念している実態を示したといえる。

 反対意見は「原発問題やTPP(環太平洋連携協定)交渉など重要な情報を知ることができなくなる」「取材行為を萎縮させる」など、国民の知る権利や報道の自由を懸念する内容がほとんどだった。

 「スパイを取り締まれる状況にしてほしい」など、賛成意見は約1割にとどまった。

 反対意見が圧倒的に多かったことについて、法案成立を推進するPT座長の町村信孝元外相は「組織的にコメントする人々がいたと推測しないと理解できない」と記者団に述べた。

全文

反対意見が圧倒的に多かったことについて、法案成立を推進するPT座長の町村信孝元外相は「組織的にコメントする人々がいたと推測しないと理解できない」と記者団に述べた≫・・・民意を理解できない人が法案推進のトップに座っている

「自由民主党」が強くなるほどに、自由と民主主義が危うくなっていく
                      ↓
特定秘密保護法案、臨時国会成立目指す 自民・石破幹事長
(2013.10.13 23:20 産経ニュース)

 自民党の石破茂幹事長は13日夜、BS?TBSの番組で、国家機密を漏らした国家公務員への罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案について「来年の通常国会に送る必然性があるとは思わない」と述べ、15日召集の臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案とセットで成立を目指す考えを示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131013/plc13101323220005-n1.htm 

 ただ、規定は努力目標にすぎず、どんな表現が盛り込まれても「知る権利」が制限される懸念は消えない。


【秘密保護法案】真実究明に大きな懸念
(2013年10月14日 福島民報)

 第66回新聞週間があす15日から始まる。報道の使命と責任をあらためて自省、自戒するとともに、新聞を一層身近にするのが目的だ。努力をさらに重ねたい。
 「いつの日も 真実に 向き合う記事がある」を今週間の代表標語に掲げた。日々の出来事を早く正しく伝えるのはもちろん、背後に横たわる問題や隠された事実を明らかにするのは新聞に課せられた大きな役割といえる。

 特定秘密保護法案が、あす召集の臨時国会中に提出される見通しだ。真実の究明を妨げかねない条項が盛り込まれる。疑問や批判に応え、議論をもっと尽くすべきだ。

 法案原案は、政府が防衛や外交などの分野で「漏えいすると安全保障に著しく支障を与える恐れがある」情報を「特定秘密」に指定し、公務員の漏えいには最高10年の懲役刑を科す?としている。

 秘密を取得したり、漏えいを唆したりした者も処罰対象となる。新聞・放送・雑誌などの関係者をはじめ、民間業者、行政を監視・調査しようとする市民団体までが広く罪に問われかねない。

 特定秘密の指定は閣僚ら行政機関の長に委ねられる。テロ防止などに関する事項も対象に想定されている。管理者の都合に合わせて取り扱われる可能性はないのか。指定の期間を限る予定ながら、延長できる。重大な情報が国民の目に触れないまま、闇から闇へ埋もれる心配も出よう。

 日本新聞協会は「取材や報道の自由が制約されかねず、国民の知る権利が損なわれる恐れがある」と強い危惧を表明する意見書を2日、政府に提出した。野党や日弁連や市民団体からも反対や懸念の声が上がっている。

 政府は、知る権利や取材の自由への配慮を規定した修正案を11日に示した。ただ、あくまで「努力規定」にとどめたい姿勢だ。法案を所管する森雅子少子化担当相(参院本県選挙区)は、秘密を指定する第三者機関の設置などを検討する考えを明らかにしたが、法案への規定導入は「確定的ではない」という。

 東京電力福島第一原発事故の取材では、放射線被ばくの危険に加え、保安対策などを理由に制限が加えられてきた。安倍晋三首相が先日、第一原発を視察した際には「特殊な場所のため、大勢での取材が不可能」を理由に県内報道機関に公開しなかった。

 秘密保護法で制限に拍車が掛かることはないのか。安倍首相が「制御されている」とした汚染水の実態はどうだろう。県民が知るべき真実はまだ山ほどある。(鈴木 久)

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