2013/04/21

「菅谷昭医師×落合恵子さんの対談」と山下俊一氏の発表

◆落合恵子の深呼吸対談  第17回 原発連続講座
(2013年5月15日発行 通販生活No248)から抜粋

落合:菅谷さんはいま松本市の市長(3期目)ですが、もともとは甲状腺の専門医で、1986年のチェルノブイリ原発事故以降、現地で子どもの甲状腺がんの治療をされてきました。

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落合:いま福島県では、原発事故が起きたときに福島に住んでいた方たちの「県民健康管理調査」が行われています。特に子どもの甲状腺検査について心配している保護者がたくさんいらっしゃいます。今日は菅谷さんにチェルノブイリでの経験を踏まえて、甲状腺検査などについて具体的に教えていただきたいと思います。

福島県の甲状腺検査の結果を見ると、「結節や嚢胞(のうほう)を認めなかったもの」をA1判定とし、「5.0ミリ以下の結節や20.0ミリ以下の嚢胞を認めたもの」をA2判定と分類しています。そして2次検査が必要なものをB判定、C判定としています。

この判定基準については色々な意見がありますが、特に評価が分かれるのは40%以上もいるA2判定についてです。福島県は、A2判定は2次検査の必要なしとし、「次回(2014年度)の検査まで経過観察」としています。結節や嚢胞があるのにこれでよいのでしょうか

菅谷:そのことを福島のお母さん、お父さんに判断していただくためには、結節や嚢胞についてもう少し説明する必要があります。(中略)医学的には腫瘤(しゅりゅう)と言いますが、結節も嚢胞も「しこり」です。かんたんに言いますと、液体だけが溜まっているしこりが嚢胞で、肉のかたまりが結節と考えて下さい。その結節にも良性と悪性の腫瘍があり、悪性が甲状腺がんです。

落合:結節は悪性のものだけが問題だと考えてよいのでしょうか。

菅谷:基本的にはそれでけっこうです。ただ厳密に言うと、いま福島では超音波検査で嚢胞あるいは結節と判定していますが、これは最終診断ではありません。悪性の疑いがある結節でも、手術をして、その組織を顕微鏡で見て初めてがんかどうか確定できるのです。

落合:はい。それで最初の質問に戻りますが、A2判定は20.0ミリ以下の嚢胞や5.0ミリ以下の結節があっても2次検査の必要なしとされています。子どもが2次検査の必要なB、C判定と診断されても保護者はもちろん心配でしょうが、嚢胞や結節があるのに2次検査の必要なしと言われてもまた心配になる方もいると思います。

菅谷:いま、福島の子どもの甲状腺に関して心配しなくてはいけないのは甲状腺がんで、嚢胞は心配しなくていいと思います。僕も福島の方から相談を受けることがありますが、「子どもに嚢胞があると診断されたのですが、どうしたらいいのでしょう」と心配される方もいます。そのとき僕は「嚢胞でよかったじゃないですか」と言うんです。完全な液体のかたまりである嚢胞は本来がんになることはあり得ませんからね。

落合:嚢胞はどう対応すればいいんですか。

菅谷:そのまま置いておけばいいんです。検診は2年に1度でいいし、大きい嚢胞でも1年に1度でいい。嚢胞は成長と共に消えることもあるので手術も必要ありません。

落合:嚢胞が大きくなっても大丈夫なのですね?

菅谷:例えば針を刺して液体を抜けばいいのですから心配はいりません。ただし、A2と判定された人の中には結節が見つかった方もいますので、これはいずれがん化する可能性もありますから、検査は1年に1度などこまめにする必要があります。

落合:結節と嚢胞の違いをそのように説明していただけると、安心される保護者の多いでしょうね。最近は福島県による甲状腺に関する説明会などが開催されていますが、検査開始当初は結果を書いた紙を送るだけで「説明不足」と批判されました。

説明不足ということで言えば、「自分の子どもが超音波検査を受けているとき、甲状腺の状態を映した画面を見せてもらいながら説明してほしい」という保護者の要望も数多くあります。できればその画像も印刷して手元に置きたいという方もいるのですが、いまのところその場での説明も画像の受け取りもできない。画像がどうしても欲しければ情報公開請求をするしかないのですが、自分の甲状腺の画像を見るためにわざわざそんなことをするなんておかしいですよね。せめて、その場で詳しい説明をするぐらいはできないのでしょうか。

菅谷:甲状腺の状態を超音波検査しながら説明するのは、そんなに手間のかかることではありません。画面を見ながら嚢胞や結節の大きさや数などを説明してあげれば保護者の不安も少なくなるでしょう

確かに36万人の子どもを2年半で検査するのですから、これは大変な作業です。もし、検査や丁寧な説明をするためのマンパワーが足りないんだったら、できれば日本全国の甲状腺の専門医に福島へ行ってもらえばいいんですよね。チェルノブイリ事故当時はソ連というある種の独裁国家だったということもありますが、原発事故を受けて非常事態省という役所ができて医師たちは半強制的に現地に行かされました。申し訳ないけれども、日本も全国の甲状腺の専門医たちに福島に行っていただき、それぞれが検査して保護者に丁寧に説明すれば、多くの人が早く安心できたのではないかと思います。

落合:私も国が主導してもっと人手をかけて検査や説明を丁寧に、そして早くすべきだと思います。保護者の気持ちを考えれば2年半もかけて検査するのは遅すぎます。福島県で」甲状腺検査を主導する方たちはチェルノブイリを例に出して「原発事故の影響による甲状腺がんは事故後4~5年して現れた。だから急ぐ必要はない」と言います。そういう考えがマンパワー不足や対応の遅れにつながっているのではないでしょうか。

そもそも、甲状腺がんは原発事故から4~5年後にしか現れないという説ですが、チェルノブイリでは事故の翌年やその次の年にも甲状腺がん患者が多少ながら増えています。4~5年後からがんが増えたのは、事故直後のソ連では甲状腺がんについて詳細に調べようがなかったということではないでしょうか。

菅谷:事故当初、高汚染地域の一部では超音波検査はやっていましたが、国全体が経済的に厳しい状態でしたから福島のような系統的な形での検査はできていなかった。僕がベラルーシに行った当初も、大きな病院には超音波検査機はありましたが、地方の病院にはありませんでした。90年代に入ってからようやく海外のNGOが超音波検査機を持ち込み、徐々にしっかりした検査ができるようになりました。いまの日本のような高性能の機器を使っていたら、もっと早く多くのがんのケースが発見された可能性は否定できないと思います。

落合:2月13日に福島県が発表した健康調査の結果を見ると、2011年度に検査した3万8114人の中から甲状腺がんの子どもが3人出ました。県の発表では、あと7人も約8割の確率でがんの可能性があると言われています。自然発生する子どもの甲状腺がんは100万人に1~2人と言われていますが、約3万8千人に3人という確率をどう考えたらよいのでしょうか。

菅谷:これは単純に比較してよいかどうかやや難しい面があります。ただ、福島県も発表しているように、3人の子ども以外にさらに7人の子も8割の確率でがんの疑いがあるわけですから問題ないとは言えません。僕はがんの疑いがある7人の子どもの治療状況が非常に気になっていて、早く手術をして結果を出してあげてほしいと思います。もうすでに手術をしているのかもしれませんが。

落合:手術を急ぐ理由は何なのですか

菅谷:チェルノブイリでは、国立甲状腺がんセンターだけで子どもの手術をしましたので、データが非常にしっかり残っています。それによると、子どもの甲状腺がん患者のうち6人に1人が肺に転移しているんですね。ですから、甲状腺がんの疑いがあるのだったら早く手術をした方がいいと思うんです。一般的に甲状腺がんは予後のよい病気だと言われていますが、臓器転移に関しては配慮すべきです。

・・・・・・・・・・記事の転載はここまで・・・・・・・・・・・

2011年3万8千人186人二次検査 甲状腺がん3人疑い7人 12年9.5万.人中549人二次検査jpg

子どもの甲状腺異常は、2011年度の検診人数約3万8千人中「2次検査必要」が186人そのうち「3人が甲状腺ガン+7人がガンの疑い」と福島県から発表されました。この調査をした福島県の「県民健康管理調査」検討委員会は、情報の隠ぺいや「秘密会」を開催するなど、さまざまな問題をひき起こしています。

福島健康調査で秘密会 県、見解すり合わせ 会合シナリオ作る

福島健康調査:「秘密会」で見解すり合わせ(毎日新聞2012年10月3日)

健康管理調査委員会の座長である山下俊一氏は、福島県の健康管理アドバイザーという立場にいながら、「100ミリシーベルトまでは問題ない。子どもは外で遊んでいい」などと発言して、多くの子どもと福島県民の被ばく量を増やしたことで、市民や研究者などから告訴されています。

その山下俊一氏が、今年3月11日にアメリカの米国放射線防護・測定審議会で講演を行い、驚くべき発表を行いました。それは「3万8000人のうち10人が小児甲状腺がん」という内容でした。日本国内では未発表のまま、米国では重大な発表をしているのです。

山下俊一・米国講演・小児甲状腺がんグラフ

「3万8000人のうち10人が小児甲状腺がん」という情報は、日本のマスコミでは、ほとんど報道されていません。山下氏が発表した「3万8000人のうち10人が小児甲状腺がん」という数字は、通常の小児甲状腺がん発生率「100万人に1人か2人」の約130~260倍に相当します。

さらに心配なのが、2011年度より2012年度の方が「2次検査が必要」という比率が高くなっていることです。

2011年度 38,000人―186人(2次検査必要)・・・0.489% 
2012年度 95,000人―549人(2次検査必要)・・・0.577% 

もし、2011年度の「186人のうち10人がガン」だった比率(10/186=5.376%)と2012年度の2次検査が必要な549人が同じ比率でガンだった場合、約30人がガンになります。「9万5000人で30人」というのは、通常の「100万人で1人か2人」の157~315倍になります。

http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-12800
 

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