2012/06/05

がれきの処理に新たな動き 「森の力」で被災地を救え

がれきの処理に新たな動き「森の力」で被災地を救え
(2012年6月3日放送 報道ステーション サンデー)書き起こし(抜粋)

(長野智子キャスター)
こちらをご覧下さい。実はこのずらりと並んだ苗木なんですが、1年に1メートル伸びるという凄い成長力なんですね。広葉樹の苗木なんです。今、被災地のガレキ受け入れをめぐって、国民の意見が2分されているんですが、実はこの苗木がガレキ問題を解決するカギを握っているんです。

(北九州市での市民によるガレキ受け入れ反対の映像とナレーション)
東日本大震災で発生した震災がれきの試験焼却をめぐり、先月、北九州市で搬入を阻止する反対派市民と警察隊が衝突、逮捕者2人を出す騒ぎとなった。

「受け入れ」か「拒否」か。世論を2分する震災ガレキの広域処理問題。
ガレキの処理率は15%あまり。こうしたなか、画期的な打開策が動き出そうとしている

1200人以上の死者、行方不明者を出した岩手県大槌町
4月下旬、この町で全国初のある催しが行われた。

(長野智子)
「今、大勢の方が苗木を植えているところなんですね。この盛り土の中なんですけども実は、コンクリートを砕いたものであるとか、あるいは、津波で流された自然木など震災瓦礫が入っているんです。」

(ナレーション)
町民やボランティアなど、およそ550人が参加した植樹会(大槌町「千年の杜」植樹会)。3400本もの苗木が植えられた盛り土には2トンの丸太や砕かれたコンクリートが埋設されていた。

企業が大槌町と組んで実験的に行ったこのプロジェクトは、震災ガレキを盛り土の材料として活用。さらに苗木を植樹して防潮林とする「いのちを守る森の防波堤」構想によるものだった。

植林に参加した女性「(植林して)感激しました。他に持っていったらお金はかかるし、地元で再利用できることは最高に素晴らしいことだと思います」

このプランを震災直後から提唱し続けてきた人物、麦わら帽子がトレードマークの生態学者、宮脇昭84歳である。「大丈夫だと思って予測したり、つくった防潮堤が、必ず襲う地震国日本の、自然のゆり戻しで2万人のいのちが失われた。何とかしないといけない。生きた緑の蓄財をどう使い切るか、これが勝負なんですよ」

1958年、西ドイツの研究機関に招聘され、以来、植物生態学の第一人者として、日本はもとより世界1700ヵ所で植樹を指導してきた宮脇。「4000万本の木を植えた男」として、日本人で初めて環境界のノーベル賞といわれるブループラネット賞、紫綬褒章も受章した森林再生の世界的権威である。

震災からわずか1ヶ月後、宮脇は被災地、宮城にいた。ここで彼は、思いもかけない光景を見る。
(宮脇さんが木の根っこを見ながら)「このタブノキがなければ(斜面が)崩れている。この木の根元から10m上まで津波が来ている(しかし、タブノキは倒れていない)」

それは、宮脇が最もこだわり続けて植えてきたタブノキが押し寄せる津波にも負けず根をからませながら、しっかりと緑の葉を蓄えている姿だった。宮脇は思った。「こうした樹木で『壮大な緑の防波堤』を築きたい」

「幅が100m 高さ22mで、南北300kmの森をつくれば、今のガレキは全部入れても4.8%にしかならない。マウンドにするのに足りない」

(ナレーション)
このプロジェクトが遂行すれば、被災地にある1900万トンものガレキすら盛り土のわずか5%にも満たないという。

そんな壮大な構想を掲げた財団が先月末、立ち上がった。メンバーは、細川元総理を理事に据えたそうそうたる顔ぶれ。(細川元首相)「そうしたガレキを活かした森づくりが進めば、本当にこれは一石二鳥で非常に意味のあることではないかと」

これは、森づくりを通して30年ほど前に宮脇と知り合った細川元総理が宮脇の思いに賛同して始まった。「それはもう、大変情熱的で、熱い方で、行動力もある方ですから本当に素晴らしいと思います」 元総理も敬服する84歳の行動力。

この日、宮脇は、南三陸町の沖合いにある無人島に向かった。(椿島)津波の直撃を受けたこの島の植生がどう変わったか調べるためである。船着場すらない岩場だらけの島。「(大きな木の地表に現れた根っこを見ながら)ここまで洗われても生きてますね」

そこには高さ15m以上の津波が襲い、根元をえぐられても生き残るタブノキの姿があった。「これだけ塩水をかぶってえぐられていても、ここで津波を抑えて、しかも生き延びているじゃありませんか。これが本物の姿です」

宮脇が言う、本物の姿、それは、その土地に自然に芽生え育ってきた植物たち、いのちの力。宮脇は確信した。自分の考えに間違えはない―――彼の人生は常に森とあった。10年をかけ日本全国をくまなく歩いた宮脇が土地本来の植生をまとめた本を出版。こうした植生が日本古来の鎮守の森にこそ残っていると、常緑広葉樹であるシイ、タブ、カシなどを中心とした鎮守の森づくりを目指している。

「鎮守の森とは、土地本来の故郷の木のふるさとの森、この森を切ったらバチがあたる。宗教的なたたり意識により残されてきた、それが鎮守の森です」

鎮守の森――そこは、人を寄せ付けない神々しさに満ちていた。
神々が集い戯れるところ。

「ご覧のように枯れて枝が落ちたり、あるいは落ち葉が落ちた、これらは地球資源なんです。例えば、こうして掘ってみますね」(長野智子さんが、落ち葉の匂いをかいで)「ああ、いい香り(カビの香り)いやな香りじゃなくてハーブの香りみたいな」

(宮脇)「カビというのは生き物なんです。あっという間に分解します。それが窒素、リン酸、カリになって、こういう(腐葉土のような)状態になると、それが根から吸収されて、さらに森の養分になります」

森が持つ自然界のサイクル 
さらに彼が見せてくれたのは、広葉樹のいのちの逞しさ

宮脇「杉や松は、刈ればそのまま死んでしまい、根まで死にますけど、広葉樹は、刈っても、ひこばえが出てきて、いくらでも育つわけ」

新たな生命を紡いでいく「森の神秘」がそこにはあった。

(後略)


長野智子ブログ
(2012年06月03日のつぶやき)から抜粋

RT @Y_K19: @nagano_t 初めまして。今日の報ステSundayの瓦礫を利用した防潮林特集、凄くよかったです。300kmの防潮林構想には瓦礫が足らない、という言葉…広域処理の是非で国民を敵味方に分けてしまう現状の打開策になるのではないでしょうか。ぜひこの取組 … Posted at 03:36 PM

RT @kaoru_sign: @nagano_t 宮脇 昭氏の特集に心を打たれました。瓦礫を拡散せず、地元に雇用を生み、そしてそこに暮らす人々の命を守る。もしこの「いのちを守る300kmの森づくり」が成功できたならば、この時代に生きた私たちから未来への力強いメッセージに … Posted at 12:55 PM

RT @nasutakashi: 横浜国立大名誉教授の宮脇昭氏が提唱する「森の防潮堤、鎮魂の森」ぜひとも支援させていただきたい。素晴らしいの一言。RT @nagano_t 報道ステーションサンデーで、震災がれきを利用して森を作り、防潮林として利用することを訴え活動してい … Posted at 12:54 PM

RT @zubatto2009: 終盤の宮脇教授の話しに感動しました。国としても積極的に推進して欲しい。すぐに。 “@nagano_t: 今日朝10時からの報道ステーションサンデーで、震災がれきを利用して森を作り、防潮林として利用することを訴え活動している宮脇教授の密着取 … Posted at 12:53 PM

RT @toji_: @nagano_t 感動・感心しました。良い企画を届けて頂き、ありがとうございます。この放送がなければ、宮脇教授の事、活動内容を知る事はなかったと思います。出来れば、宮脇教授の活動を追いかけて継続的な企画として頂きたいです。 Posted at 12:53 PM

Comments are closed.

Copyright © 2009 株式会社ウインドファーム.  

中村隆市ブログ「風の便り」 コーヒー関連ブログ「豆の便り」 スタッフブログ「土の便り」 /abbr/li