福島第一原発4号機・使用済み核燃料プールの危機的状況

事故で世界中が破滅… 福島第一原発4号機に危機感を募らせる国際社会
(週刊朝日 2012年5月18日号)

 5月5日、北海道電力泊原子力発電所3号機が停止し、国内全50基の原発が停止した。しかし、これで安心といったわけではなく、福島第一原発4号機の危険性を世界が危惧している。

 米上院エネルギー委員会の有力メンバーの一人、ロン・ワイデン議員は4月6日に福島第一原発を視察。その後、16日付で4号機の原子炉建屋が再び大きな地震や津波に見舞われれば、使用済み燃料プールが崩壊し、「当初の事故より大規模な放射性物質の放出が起こる恐れがある」と警告した。

 さらに、ニュースサイト『ハフィントン・ポスト』は、4号機のプールにある核燃料棒が冷却されずに放射能が放出された場合、そこから出るセシウムの総量は、チェルノブイリ事故で出た量の少なくとも10倍になる、との専門家の分析を紹介した。

 これほどまで国際社会で福島第一原発4号機が注目される理由を、元スイス大使で東海学園大学名誉教授の村田光平氏はこう言う。

「いまや4号機の存在は、北朝鮮のミサイル問題にも劣らぬ、全世界にとっての安全保障上の大問題になっているのです」

 さらに村田氏は今年3月、参院予算委員会の公聴会に公述人として出席し、「4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言える」と警告している。

 東電は4月26日、4号機原子炉建屋の倒壊危険性を否定するリリースを発表。しかし、村田氏が「事故を起こした国や東電の信頼は世界中で地に落ちています。発表をうのみにする国など、どこにもありません」と言うように、米国では福島第一原発の現状と事故の収束に向けて、世界のエキスパートを集め、中立した独立機関としての評価委員会を作る動きがある。

 村田氏は善処を求める書簡を野田佳彦首相にも送った。だが、いまのところ、具体的な動きはない。

※週刊朝日 2012年5月18日号


4号機、工事ミスに救われた 震災時の福島第一原発
(2012年3月8日 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発の事故で日米両政府が最悪の事態の引き金になると心配した4号機の使用済み核燃料の過熱・崩壊は、震災直前の工事の不手際と、意図しない仕切り壁のずれという二つの偶然もあって救われていたことが分かった。

 4号機は一昨年11月から定期点検に入り、シュラウドと呼ばれる炉内の大型構造物の取り換え工事をしていた。1978年の営業運転開始以来初めての大工事だった。

 工事は、原子炉真上の原子炉ウェルと呼ばれる部分と、放射能をおびた機器を水中に仮置きするDSピットに計1440立方メートルの水を張り、進められた。ふだんは水がない部分だ。

 無用の被曝(ひばく)を避けるため、シュラウドは水の中で切断し、DSピットまで水中を移動。その後、次の作業のため、3月7日までにDSピット側に仕切りを立て、原子炉ウェルの水を抜く計画だった。

 ところが、シュラウドを切断する工具を炉内に入れようとしたところ、工具を炉内に導く補助器具の寸法違いが判明。この器具の改造で工事が遅れ、震災のあった3月11日時点で水を張ったままにしていた。

 4号機の使用済み核燃料プールは津波で電源が失われ、冷やせない事態に陥った。プールの水は燃料の崩壊熱で蒸発していた。

 水が減って核燃料が露出し過熱すると、大量の放射線と放射性物質を放出。人は近づけなくなり、福島第一原発だけでなく、福島第二など近くの原発も次々と放棄。首都圏の住民も避難対象となる最悪の事態につながると恐れられていた。

 しかし、実際には、燃料プールと隣の原子炉ウェルとの仕切り壁がずれて隙間ができ、ウェル側からプールに約1千トンの水が流れ込んだとみられることが後に分かった。さらに、3月20日からは外部からの放水でプールに水が入り、燃料はほぼ無事だった。

 東電は、この水の流れ込みがなく、放水もなかった場合、3月下旬に燃料の外気露出が始まると計算していた。(奥山俊宏)


福島第一原発4号機・使用済み核燃料プールの危機的状況を米上院議員が指摘、「国際的支援を仰げ」と駐米大使に書簡を送付
(東洋経済オンライン 4月19日)

 福島第一原子力発電所を4月6日に視察した米国のロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州選出)は16日、同原発の危機的状況を回避するために日本が国際的な支援を要請すべきだとする書簡を藤崎一郎・駐米大使に送付したことを、自身のホームページで明らかにした。
 
 米上院エネルギー委員会に所属するワイデン議員は、同様の書簡をスティーブン・チュー・米エネルギー庁長官やヒラリー・クリントン国務長官、米原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコ委員長にも同日付けで送ったと言及。米有力議員による警鐘は、国際的にも大きな注目を集めることになりそうだ。

 ワイデン議員が特に問題視しているのが、1300体を上回る使用済み核燃料が存在する4号機の核燃料プール。ホームページで同議員は、再び大きな地震が起きた場合に重大事態になる可能性があるとしている。
 
 4号機の使用済み核燃料プールについては、代替冷却設備が原因不明の自動停止を起こし、設備が故障・冷却液が漏れるというトラブルが4月12日に発生している。


福島原発4号機 プールの水が漏れたら 人類史上最悪の事態に
(2012/04/12 風の便り)

原発は、稼動させればさせるほど被曝作業者がたくさん必要になる。今も福島第一原発では事故処理にあたる技術者が不足している。そして、今後も十年以上、事故処理作業を続けなければならない。福島の大きな危機を食い止めるために一人でも多くの「被曝労働者」を確保しないといけない状況の中で、政府は原発を再稼動させようとしている。歴史に残る愚かな政府である。

福島原発4号機 プールのヒビ割れだけでも人類史上最悪の事態に
(週刊朝日 2012年3月16日号)

「原発危機は続いている」 それでも再稼働?
(2012/04/15 風の便り)

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