2014/10/27

福島原発事故の後、3月15〜16日と20〜21日も放射性雲 東北、関東へ拡散 (20日のセシウムは104ベクレル)

子どもたちを守るために、忘れてはいけない過去の出来事

福島原発事故:1週間後にも放射性雲 東北、関東へ拡散
(2014年9月5日 毎日新聞)から抜粋

 東京電力福島第1原発事故後、上空に巻き上げられた放射性物質の雲状の塊「放射性プルーム(放射性雲)」が、これまで知られていた2011年3月15〜16日に加え、約1週間後の20〜21日にも、東北・関東地方に拡散していく状況が、原子力規制庁と環境省による大気汚染監視装置のデータ分析から裏付けられた。

 福島市の一つの測定局では15日夜、放射性セシウム137と134の濃度が1立方メートルあたり最大計45.5ベクレルを計測した。16〜19日も、原発から放射性雲が出続けていたと考えられるが、西風で太平洋側に運ばれたため、大気中濃度は上がらなかったらしい。その後、風向きが変わり、20日午後3時に同計104.1ベクレルに高まり、その状況は21日朝まで続いた。

 関東地方では、15日と21日の2回、帯状に高濃度の放射性雲の拡散が確かめられた。特に21日朝は茨城県南部や千葉県北東部で放射性セシウム濃度が急上昇。その後、東京湾北東沿岸部へと南西に移動した。その間、雨で沈着し、各地で「ホットスポット」と呼ばれる局地的に線量の高い場所を作ったとみられる。

福島原発3号機の爆発

福島原発事故3号炉 煙

<3年前の2011年3月21日、山下俊一教授の発言>

山下教授が発言を訂正
「100マイクロSVは、10マイクロSVの誤り」

(2011/08/16 風の便り)から抜粋

2011年3月21日の山下俊一教授の発言を確認しようと思い、福島県のホームページを見て驚きました。

福島県放射線健康リスク管理アドバイザーによる講演会
「質疑応答 動画を見る」の下に以下のように書いてあったのです。
—————————–
訂正:質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。
—————————–
いつのまにか、山下発言が「10分の1の数字に」訂正されているのです。

しかし、動画の質疑応答では、山下教授は自信満々で「100マイクロシーベルト/hを超さなければ、まったく健康に影響を及ぼしません」と太鼓判を押しています。

Q、今の放射能測定値で外出しても問題はないのか?

「環境の汚染の濃度、マイクロシーベルトが、100マイクロシーベルト/hを超さなければ、まったく健康に影響を及ぼしません。ですから、5とか10とか20とかいうレベルで、外へ出ていいかどうかということは明確です。昨日も、いわき市で答えました。『今、いわき市で、外で遊んでいいですか?』と聞かれました。『どんどん遊んでいい』と答えました。福島も同じです。心配することはありません。
・・・・・

100マイクロを10マイクロと言い間違えたのなら、「5とか10とか20とかいうレベル」という言い方はしないはずです。

福島県民の中には、山下教授の話を聞いて、100マイクロシーベルト/hまで安全、一度に100ミリシーベルト浴びなければ大丈夫だと信じて、放射線量が高いときにマスクもさせずに子どもたちを外で遊ばせてきた親がたくさんいます。ふとんも洗濯物も外に干してかまわない、雨に多少ぬれても問題ない、といった山下発言を信じてきた人がたくさんいます。

子どもを放射線測定器で検査

マスクをして放射能検査を受ける幼女

女の子の放射能を計測する防護服の大人

「100ミリ以下は安全」放射線アドバイザー山下俊一氏に苦言殺到
(2011年5月6日 ourplanetTV)から抜粋

将来、子どもたちに何か影響があった場合に、責任がもてるか」との質問に対しては、「将来のことは誰も予知できない」とした上で、起こった病気が放射線のせいかどうかを調査するには、福島県民全員による何十年間もかけた疫学調査が必要と回答した。

質問:これまで、福島は安全です。安全ですと言い続けてきたが、将来、子どもたちに何か影響があった場合に、責任がもてますか? イエスかノーでお答えください。
 
山下:基本的に大切なことは、将来のことは誰も予知できないんですね。神様しかできないんです。彼の質問に答えるには、膨大な数の疫学調査がいるんです。起こった病気が放射線のせいかどうかを調査するには、福島県民全員の協力が必要となります。正しい診断をし、正しい経過を把握するには、何十年間も必要なんです。数年、5年、10年ではなかなかその結果はでない。そのレベルの話ですので残念ながら、今の質問にはイエスともノーとも答えられません。

(福島県の動き)
<2011年5月、福島県民健康管理調査「検討委員会(山下俊一座長)」を設置>

<2012年9月11日、検討委で子ども1人に甲状腺がんが見つかったと発表>

<検討委で「子ども1人に甲状腺がん発症」を発表する前に「秘密会」を開いていたことが発覚>

福島健康調査 「秘密会」で見解すり合わせ (毎日新聞)
(2012年10月3日 毎日新聞)から抜粋

福島健康調査で秘密会 県、見解すり合わせ 会合シナリオ作る

 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施中の県民健康管理調査について専門家が議論する検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたことが分かった。準備会では調査結果に対する見解をすり合わせ「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていた。出席者には準備会の存在を外部に漏らさぬよう口止めもしていた。

 県は、検討委での混乱を避け県民に不安を与えないためだったとしているが、毎日新聞の取材に不適切さを認め、今後開催しない方針を示した。

 検討委は昨年5月に設置。山下俊一・福島県立医大副学長を座長に、広島大などの放射線医学の専門家や県立医大の教授、国の担当者らオブザーバーも含め、現在は計19人で構成されている。県からの委託で県立医大が実施している健康管理調査について、専門的見地から助言する。これまで計8回あり、当初を除いて公開し、議事録も開示されている。

 しかし、関係者によると、事務局を務める県保健福祉部の担当者の呼びかけで、検討委の約1週間前か当日の直前に委員が集まり非公開の準備会を開催。会場は検討委とは別で配布した資料を回収し議事録も残さず、存在自体を隠していた

 9月11日に福島市内の公共施設で開いた第8回検討委の直前にも県庁内で準備会を開いていた。同日は健康管理調査の一環である子供の甲状腺検査で甲状腺がん患者が初めて確認されたことを受け、委員らは「原発事故とがん発生の因果関係があるとは思われない」などの見解を確認。その上で、検討委で委員が事故との関係をあえて質問し、調査を担当した県立医大がそれに答えるという「シナリオ」も話し合った

 実際、検討委では委員の一人が因果関係を質問。県立医大教授が旧ソ連チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんの患者が増加したのは事故から4年後以降だったことを踏まえ因果関係を否定、委員からも異論は出なかった。

 また、昨年7月の第3回検討委に伴って開かれた準備会では、県側が委員らに「他言なさらないように」と口止めもしていた。

 毎日新聞の取材に、県保健福祉部の担当者は準備会の存在を認めた上で「あらかじめ意見を聞き本会合をスムーズに進めたかった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。(今後は)開催しない」と述べた。

 福島県の県民健康管理調査は全県民を対象に原発事故後の健康状態を調べる。30年にわたり継続する方針で、費用は国と東電が出資した基金で賄う。【日野行介、武本光政】

「説明受ける場」
検討委の座長を務める山下俊一・福島県立医大副学長の話 準備会は調査結果について説明を受ける場と理解している。何かを決めるものではなく、秘密会の認識はなかった。しかし、不信感を与えるのであれば今後は取りやめても構わない

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 ■解説

 ◇揺らぐ信頼性

 「データだけを明らかにすれば数字が独り歩きして住民の不安をあおりかねない」。原発事故に伴う福島県の県民健康管理調査で専門家が「秘密会」(準備会)を開いて調査結果への見解を事前にすり合わせていた背景には、県や関係者のこんな思惑がうかがえる。

 検討委員会の山下俊一座長は公の場などでこれまで「今回の事故で誰も大量被ばくしていない。エビデンス(科学的根拠)から見て危険な人たちはほとんどいない」と繰り返し強調してきた。だが、秘密会では調査結果について本会合でどうやりとりするかの「シナリオ」まで事前に協議。県民の不安解消を目的とした調査結果への信頼を揺るがし「最初に結論ありき」だったとの不信感が高まるのは避けられない。

 秘密会を今後は開かないという県の方針は当然だが、そこでどのような議論が交わされてきたのかも明らかにする必要がある。不信の払拭(ふっしょく)には徹底した情報公開しかない。【日野行介】

福島健康調査「秘密会」 県、出席者に口止め

福島検討委 委員発言 県振り付け「内部被ばく相当低い」


(2012年10月4日 福島民友)
福島民友 不信感募る 県民健康調査「準備会」

福島県の甲状腺検査の責任者を務める山下俊一氏の発言
(2012/10/03 風の便り)から抜粋

(2012年08月26日 毎日新聞)
「100ミリシーベルト以下の健康リスクは明らかには証明されていない、または非常に小さいというのが科学者の国際的合意だ」
日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。」

山下氏に健康問題を任せ続けた場合、子どもたちがどうなるかを皆で考えたい。

ステパノヴァ医師「汚染地の子ども病気になりやすい」

汚染地域の子ども病気になりやすい ウクライナの小児科医警告
(2011年12月14日 東京新聞)

チェルノブイリ事故後の健康調査 治療効果も低下
 
 チェルノブイリ原発事故が起こったウクライナの放射線医学研究センターで、子どもの治療や検診を続けるエフゲーニャ・スパテノワ教授が13日、東京都内で取材に応じ「汚染地域の子どもたちは病気になりやすく、治りにくい傾向がある」と指摘。内部被ばくを防ぐ対策や健康管理の重要性を訴えた。

 同センターは事故の翌1987年、キエフに設立。小児科医のスパノワ教授は当初から放射線による子どもの健康影響を調べてきた。国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンの招きで初来日し、福島市で講演した。

 ウクライナでは、土壌1平方メートルあたりの放射性セシウム濃度が3万7000ベクレル以上の「汚染地域」を4つのゾーンに区分。18万5000ベクレルまでを「管理強化」とし、さらに汚染度に従い「移住権利」「立ち入り禁止の30キロ圏内」がある。

 福島原発事故の汚染度で見ると、福島県はもとより栃木や群馬なども含めた関東の広範囲な地域がこの「汚染地域」に当てはまる。

 ステパノワ教授らの健康調査で、汚染地域に住み続ける子どもたちは複数の病気にかかりやすく、治療効果が低い特徴があった。当初は汚染されていない地域とほぼ変わらなかった胃腸の病気の発症率も、93年ごろから徐々に増加。「汚染された食べ物を取り続け、病気になる確率が高まったと考えられる」

 汚染のひどい55万5000ベクレル以上の「移住義務」に住む子どもは、汚染の低い地域と比べて、肺炎や気管支炎など呼吸器系の病気が2倍、血液系障害が2.5倍になるなど、より病気になりやすい傾向が見られた。

 ステパノワ教授は、汚染地域で暮らす場合の対策として「子どもには汚染のない食品を与えること。汚染地域を長期間離れる林間学校プロジェクトも必要だ」と話した。

(補足)
ウクライナで5万人の子どもを診察したエフゲーニャ・ステパノワ博士は、病気予防対策として、汚染されていない食べ物をとること、充分なビタミンをとること、体力増進に努めること、(移住できない場合は)汚染地域を離れて保養施設などで休むこと(最低でも4週間)も重要だと話しています。また、ウクライナの子どもたちは1年に1回、小児科、血液科、内分泌科、神経科、咽頭科など専門医のもとで、血液検査と尿検査、甲状腺超音波検査など総合的な健康診断を受けています。

ところが、日本では、血液検査や尿検査さえ実施されていません

福島県、尿検査せず

福島県 子どもの放射能 尿検査せず 秘密裏に「困難」結論?
(2012年10月25日 東京新聞)から抜粋

 福島原発事故を受けた県民健康管理調査で、子どもの内部被ばくを把握できる尿検査が行われていない。専門家でつくる公開の検討委員会でも検査の是非がほとんど議論されてこなかった。ところが今月に入り事前の「秘密会」の開催が公となり、尿検査をめぐる議論の不透明さも判明。検査を求めてきた保護者らは不信を募らせている。

「また、だまされたんだ」。伊達市の菅野美成子さん(40)が諦めきった様子でつぶやいた。

今月初めに新聞報道で検討委の委員と県側が、開催前に議論をすり合わせる「秘密会」を開いていたことが発覚。事前に会議の「進行表」が配られ、検討委に”出来レース”の疑いが浮上した。

県側は秘密会について調査し、8日にまとめた報告書で、議論を深めるための「準備会」だったと強調。内密の開催が不信感を招き不適切としながらも、「発言の抑制や議論の誘導などはなく、個人情報保護などが目的だった」と結論づけた。

だが、その説明に納得する県民は少ない。事故後、内部被ばく検査を求める声に、国や県の対応は後手に回り、今回明るみに出た進行表は、公開の検討委をないがしろにして、十分な議論や説明もないままに、検査を切り捨てた姿を浮き彫りにしたからだ。

健康調査の検討委「議論ない」親ら不信

昨年7月の第3回検討委の事前の進行表では、浪江町、飯舘村、川俣町、山木屋地区で計120人に行った内部被ばく調査の結果について、検討前から「相当に低い」とする発言予定が記載

さらに「WBCの今後の普及とGe半導体の逼迫(ひっぱく)状況(牛肉等)を考えると、尿検査でWBCを代替えするのは困難ではないか」とあった。

WBCはホールボディーカウンターの略で、体内にある放射性セシウムから発せられるガンマ線を測る装置。じっとできない幼児は受けられず、体が小さい子どもの検査には不向きとされる。

尿検査の方が子供の被ばくを正確に測ることができるが、検査できる精度の高いGe(ゲルマニウム)半導体検出器が、牛肉などの食品検査を優先して不足しており、尿を検査するのは無理という意味だ。

当初公開されていた議事録では、第3回の検討委で山下俊一座長が「今後、尿検査をする意味はあるのか」と発言。これに答えて、放射線医学総合研究所(放医研)理事の明石真言委員が「今回の尿検査では極めて微量しか検出されなかった。(略)検証にもう少し時間をいただきたい」と話したとされている。

第3回から検討委は公開されているが、県の調査でメモをまとめた議事録も「不適切」とされ、現在、作り直している。

明石委員の発言も修正される可能性はあるが、明石委員は取材に「1回分の尿から体内のセシウム濃度を推定すると、濃淡の差があり科学的な数値とは言えない。(尿検査は)どう転んでもあいまい。それならばWBCでいい」と説明する。

だが内部被ばくに詳しい矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授は「WBCはガンマ線のみなど内部被ばくを正しくつかむことはできない。尿検査を導入するべきだ」と異を唱える。

被ばくの切り捨て
尿検査なら検出人数は大幅増

矢ヶ崎氏によると、1リットルあたりの尿からセシウムが検出された場合、体内には約150倍のセシウムがあると推定され、「尿に混じって排出されるほかに、セシウムは臓器や筋肉に蓄積される」と言う。

不透明な経緯そのものが不信感を広げている。

尿検査の導入を訴えてきた「福島老朽原発を考える会(フクロウの会)」の青木一政事務局長は「この第3回検討委の後、尿検査が議論された形跡はない。ろくな議論もないままに秘密裏に『尿検査は困難』という合意が形成されたとしたら問題。現に進行表が疑問視した尿検査は実施されていない」と批判する。

同会は昨年5月、福島市内の子ども10人から採取した尿をフランスの民間検査機関「アクロ」に送り分析。全員からセシウムが検出され、保護者らの危機感が高まった。その後も県内外の子ども102人を検査。これまでに岩手、宮城、千葉県など幅広い範囲でセシウムが検出されている

ノーベル平和賞を受賞した「社会的責任を果たすための医師団」が警告
(2011年3月23日 ワシントンDC発)

PSR ノーベル賞受賞 医師団

社会的責任を果たすための医師団」(PSR)は、福島第1原発事故が進行している中で、事故による放射能が日本の食品の中に発見されたという最近の報告に深い憂慮を表明する。PSRは、どのくらいの放射線被曝まで「安全」と考えられるかについて、メディアで誤った情報が流布している点にも注意を呼びかける。

米国科学アカデミーによれば、安全な放射能の線量というものはない。過去数十年にわたる研究から、放射線はどんなに少ない線量でも、個々人の発がんリスクを高めることがはっきりと示されている。

日本で危機が続く中、人に発がんの危険が生じるのは最低100ミリシーベルト被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100ミリシーベルトの線量を受けたときの発がんリスクは100人に1人、10ミリシーベルトでは1000人に1人、そして1ミリシーベルトでも1万人に1人である

原発労働者のガン 5ミリシーベルトで労災認定

2013年11月の
福島県放射線健康リスク管理アドバイザー高村昇教授の発言

山下俊一氏と同じく福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとなった長崎大学の高村昇教授は、原子力規制委員会が福島原発事故で避難している住民の帰還に向け「年間の追加被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はないという見解を提言に盛り込む方針を固めた」ことに対して、「国際ルールに基づく妥当な判断」との見方を示している。

<2011年4月の出来事 内閣官房参与が20ミリに抗議の辞任

小佐古敏荘「小学生に20ミリSvは 私には許すことができません」

「自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」抗議の辞任
(2011/04/30 風の便り)から抜粋・要約

内閣官房参与の小佐古敏荘・東京大教授(61)=放射線安全学=は29日、小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした。小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と語った。

<それから3年半が過ぎた>

福島原発事故から3年半、病気と病死が急増 痛恨の意見陳述

子どもの甲状腺がん検査

福島原発事故から3年半が過ぎました。通常、子どもの甲状腺がんは「100 万人に1人か2人」と言われていましたが、福島県では原発事故当時18歳以下の子ども約37万人に「ガンないしガンの疑いが103名」も出ています。(通常のおよそ150~300倍

NHK:甲状腺がん・がんの疑い103人

<福島原発事故の後、3年間の子どもの甲状腺検査で分かったこと>
表を見るとよくわかりますが、甲状腺がんが増えただけでなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増しています

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節が、0.5% → 0.7% → 0.9% と、この2年で1.8倍に急増し、のう胞も、36.2% → 44.7% → 55.9% と激増(3人に1人が2人に1人以上に)そして、2次検査(精密検査)が必要な子どもも1.8倍になっています。

この急激な増え方は、チェルノブイリ原発事故で最も健康被害が多いベラルーシのゴメリ地方に似ています。(ベラルーシの面積は日本の約55%でゴメリ州は福島県の約2.5倍の広さ) 甲状腺がんは、下の表の中で300倍に増えている「内分泌・代謝・免疫異常」の一つです。

ゴメリ地方の小児の疾病発病率

福島県立医大で手術された54例のうち、45名は腫瘍の大きさが10ミリ以上かリンパ節や肺に転移しています。(2014年8月29日、日本癌治療学会にて福島県立医大の鈴木真一教授が発表

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。2013年の統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍) そしてセシウムが蓄積しやすい心臓の病気は、急性心筋梗塞の死亡率が2.40倍慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍で、どちらも全国1位になっています。

福島県の急性心筋梗塞死亡率 2009~2014.3
*2010年以前から全国1位。原発事故が起こった2011年から急増。2014年1~3月 福島の477人は、3か月間に急性心筋梗塞で亡くなった人の実数。全国の実数は、12,436人。福島県の人口は、全国の1.53%なので、12436×0.0153=190人 全国平均なら福島は190人ですが、その2.51倍の477人が亡くなっています。

原発事故以前から全国1位という数字を見て思い出すのは、原発周辺では事故を起こさなくても白血病やがんが多いというドイツ政府やフランスでの発表福島には原発が10基もあったこと、そして、2011年の原発事故前から「小さな事故」が多発していたこと、さらに事故の隠ぺいが日常化し、臨界事故まで隠されていたことです。

同じ心臓病の「慢性リウマチ性心疾患」は、慢性ということもあり、急性心筋梗塞より1年遅れの2012年から死亡率が急増しています。

福島県の「慢性リウマチ性心疾患」 死亡率

グラフにするとその急激な増加がよくわかります。
赤色が全国平均、紺色が福島県です。

慢性リウマチ性心疾患のグラフ

甲状腺がんや心臓病だけではなく、結腸がん、腎臓病、消化器系の疾患など様々な病気が原発事故後に増えています

2012年福島県の死因ワーストランキング
   (表は宝島から拝借)

こうした状況にありながら日本政府は、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアが制定している被ばく線量を減らすための法律(「チェルノブイリ法」)をつくろうとしません。年間1ミリシーベルト以上は「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱としている「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償なども行われています。

チェルノブイリ法の基準

ところが、安倍首相はそうした被ばく対策の前提となる健康影響を無視するだけでなく、東京五輪招致に当たり、福島原発事故による健康への影響は「今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と発言。

安倍首相「健康問題については、今までも現在も将来も問題ないと約束する」

安倍首相 「健康影響ないと約束」に批判 河北新報

安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻そうとしています。(日赤は原子力災害時の医療救護の活動指針として累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、退避するとしている。 また、先に伝えたように、内閣官房参与だった小佐古敏荘・東京大教授は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と抗議の辞任をしている)

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

山下俊一教授は、2012年8月26日の毎日新聞インタビューでこう語っている。「日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ」――この発言通りに山下氏は、今も政府の「原子力災害専門家グループ」の一員として、健康被害を過小評価し、原発事故と健康被害の関係を否定し続けることで、「チェルノブイリ法」のような「国家予算を圧迫する」根本的な被ばく対策を政府が取らないことを支持している。

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉
チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

2014/10/14

福島における放射線被害調査、分かれる見解 

福島における放射線被害調査、分かれる見解、衝突する意見
(2014年9月11日 世界の原発世論)から抜粋

原発推進の政府当局、原発に不利な結論を出した調査研究を否定
国連の委員会の『調査報告』、実際に現場に出向くこと無く、公開された論文等を『科学的に検証した』だけ

ジョン・ボイド / アルジャジーラ 2014年8月30日

2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の事故は、一連の爆発、そしてメルトダウンの発生により3基の原子炉と使用済み核燃料プールが深刻な破壊を受け、原子力発電所は見るも無残な姿に変わり果てました。

この事故は、大気中と海洋中に莫大な量の放射性物質を放出しました。その結果日本政府は福島第一原子力発電所の周囲に避難指定区域を設定し、155,000人以上の人々が住んでいた場所を追われ、自宅を捨てて避難しなければならなくなりました。

そして3年が経った今、放出された放射性物質が人間の健康や動植物に対しどのような影響を与えるに至ったか、様々な立場から研究が行われましたが、その結論はまちまちであり、議論が絶えることがありません。

無視された?原発に不利な調査研究結果

今年初めに国連の委員会が広範囲にわたってまとめ上げた科学調査の結果は、当たり障りのない表現と、それ以前に公表され、原発に不利な結果が出ていた調査研究の存在をほとんど無視したものでした。このため、世界中の独立的立場の研究者の批判を招くことになりました。

福島第一原子力発電所の事故による健康被害について原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が今年4月に公表された報告書には80名の科学者が署名をしました。

たとえば動植物に関してこの報告書は次のように結論づけました。

「事故後2カ月の間に放出され、(各動植物に)蓄積された放射性物質の量は、客観的観察によってその違いを判別できるまでのレベルには達しなかった。」

「長期的影響についても、いくつかの種の何例かに健康被害や突然変異などが認められたとしても、種全体に明らかに影響が出るような事実は無かった。報告はこの通りである。」

そんな結論を裏づける、どんな研究結果も存在しません。」こう述べるのは、サウスカロライナ大学の生物学科のティモシー・ムソー教授です。ムソー教授をはじめ独立した立場の研究者たちは、国連の報告書に不信感を募らせ、批判しています

こうした批判に対し、国連科学委員会(UNSCEAR)のカール-マグナス・ラーション委員長は、アルジャジーラの取材に対し次のように答えました。「我々が参照することが出来た資料は公開公刊された論文を基に作成されたのであって、その時点では未だ公開されていない資料もあったのです。」「公開されていた資料をまとめ上げて、全体的な評価を行ったのです。」

国連科学委員会の役割は、実際に現場に赴いて実際に調査を行うのではなく、その時点で利用可能な論文等について「科学的な検証を行う事です。」ラーション委員長はこう説明しました。

防護服を着て放射線を測定している

これとは対照的に、ムソー教授もメンバーを務める『チェルノブイリ+フクシマ・リサーチ・イニシアチブ(CFRI)多岐に渡る科学分野の専門家たちが参集し、何より現地調査を重んじる形で報告書を作成しています。

CFRIは1986年当時は未だソ連邦の一部であったウクライナで、人類史上最悪の原子力発電所事故を起こしたチェルノブイリ事故の後、放射能汚染がその地の動物にどのような影響を与えたか、実地に広範囲の調査を行いました。さらに2011年以降は、フクシマの地において10種の同様の調査研究を行いました。

8月22日東京で開催された海外の報道機関を対象とした記者会見で、ムソー教授はCFRIの最新の調査結果について、下記の報告を行いました。すなわちUNSCEARが報告書を公表する以前に、福島において放射線による健康被害や動植物に対する被害が現実に発生していることを報告する研究結果が6例公開されていました

そしてさらに多くのチェルノブイリ周辺での放射線の被害報告書がすでに公開されていたのです。

しかしこれらの調査・研究結果はUNSCEARによって「明らかに無視されました」。そしてそれは「計画的な、作り上げられた無知」というべきものであったと、ムソー教授は指摘しています。

他の科学者たちも、ムソー教授の見解を支持しています。

原子力発電を推進しようとしている政府機関や国際機関には、原子力発電の悪影響を明らかにする研究結果を否定しようとする傾向が見られます。」

Chernobyl04 遺影を持って泣く親

京都大学で原子力工学を専攻する今中哲二助教がこう語りました。「チェルノブイリの事故の後、ウクライナとベラルーシの地元の科学者たちが放射線被害の調査報告を行った後、こうした傾向がある事が明らかになったのです。」

そして事実が否定しようも無い程大きなものになった時だけ、政府機関や国際機関などは報告を受けて入れている、今中氏はこう指摘しました。

「そして現在、こうした傾向の一環として福島における被害報告が否定されているのです。」
今中氏はこれまで何度も、放射線による被害調査を実地に行うため、チェルノブイリとフクシマを訪れました。

脱原発運動家でなくとも、国連の調査発表報告には億の問題点があると考えざるを得ない

<低線量被ばくが原因のひとり一人の人間に対する、人間社会に対する、そして各種の動植物と生態系に対する悪影響の存在は現実のもの>

公平な分析を約束できる独立した立場の研究者たちによる、新たな精密な福島の現地調査が必要である

損傷が確認された蝶の遺伝子

フクシマの放射線被害に関する調査研究の中、国連科学委員会(UNSCEAR)が意図的に除外したものとしてムソー教授は沖縄の研究者が行った『ヤマトシジミ(蝶)における放射性物質摂取による生物学的影響』の存在を指摘し、本来であれば国連が公表した報告書の中で重要な判断基準のひとつとなるべきものであったはずだと語りました。

この研究は2012年8月9日付の科学雑誌『ネイチャー』のサイエンティフィック・レポートにおいて発表され( http://www.nature.com/srep/2014/140515/srep04946/full/srep04946.html )、事故以降福島県内の蝶々において調査期間中確認された突然変異について検証し、次のように結論づけています。
福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は、この種において生物学的影響と遺伝子の損傷を引き起こした。」

国連科学委員会のラーション委員長は、同委員会に対する批判を否定しました。

「この研究についても議論が行われ、研究結果が報告書の中身に反映されています。しかしこの研究結果は放射線の影響を検証するための現地調査が数回にとどまり、放射線量の測定についてさらに堅牢なデータを必要とします。」

蝶の奇形 CNN-Mutant03

これを言い換えれば、低レベルから高レベルに至る広範囲の放射線被ばくによって、様々な生物に突然変異が発生する、そう結論づけるためにはこの研究結果には不足するものがあるということになります。少なくともそれが国連科学委員会の見解ということです。

「2、3の限られた研究結果に基づいて、確固たる結論を出すことはできません。」
ラーション委員長はこう語りました。

このようなわけで、国連科学委員会としては放射線被ばくにより動植物が受ける影響を明らかにするためには、より多くの研究結果を必要とする立場を強調しました。

しかしムソー教授は『チェルノブイリ+フクシマ・リサーチ・イニシアチブ(CFRI)』の調査結果を引用しながら、かつてチェルノブイリの被災地で確認されたのと同じような事態が、福島第一原発周辺の生態系の中に確認されていることを注視すべきだと語りました。

「現地調査の結果、チェルノブイリの被災地の中で放射線量が高い場所では、野鳥の数が3分の2前後にまで減少しました。」
ムソー教授がこう語り、次のように続けました。「そして各種の昆虫類でも、同様の現象が確認されたのです。」

福島第一原発の作業員

チェルノブイリ調査班による福島の現地調査に加わった研究者は、福島では多くの動植物に大きな変化は確認できなかったものの、鳥類については2011年7月という早い時点で放射線量の高い場所で数が減少していることが確認されたと語りました。

しかし2012年になると、より多くの動植物に放射線による被害が明らかになってきました。
そして事故以来3年以上の歳月が過ぎた現在では、放射線による影響は時間の経過とともに拡大を続け、一定の割合で野鳥の数が減少し続けていることを研究者たちは確認しています。

放射線被害に関しては、すでに豊富なデータが蓄積されている

「政府機関の報告に反して」ムソー教授が語りました。
チェルノブイリと福島の事故では、低線量被ばくが原因のひとり一人の人間に対する、人間社会に対する、そして各種の動植物と生態系に対する悪影響、言い換えれば彼らを被害者にしてしまっている現実の存在を証明するデータが豊富に蓄積されているのです。」

なぜその事が重要なのでしょうか?

フクイチの爆発したボロボロの建屋

「各種の動植物に起きている被害が、そのまま人間にも直接あてはまるとは言えません。」京都大学の今中助教が認めました。「しかしこれらの動植物に起きていることは、私たち人類に対する警告として受け止めるべきだと思います。それが現在、私たちが植物や動物に対する研究を行うべき理由なのです。」

もちろん動物たちに対する医学的研究には精密さが要求されます。私たち人間は他の動物と基本的な生物学特性を数多く共有しているからです。チンパンジーに至っては、DNA配列の99パーセントが人間と同じなのです。「こうした事実から他の動物や植物に起きていることが、人間と無関係であるはずがないのです。」

ムソー教授がこう語りました。

ただし大きな相違点があるとムソー教授が注意を促しました。「私たちが調査対象としている動植物と比較した場合、福島の被災者の人々の被ばく線量はより少ないものであるという事です。」「動植物と比較した場合、人間は被ばくを回避する行動をとっており、その分被ばく線量は低くなっています。動植物に見られるような影響が人体に現れるとすれば、さらに長い時間がかかるものと考えられます。」

防護服で放射線計測

ムソー教授は自身が脱原発運動家でもないし、国連の中の原子力発電に関わる機関が福島で起きている現実を過少報告していると主張するつもりも無い、こう強調しました。「もし私が活動家だとすれば、行っているのは環境中で起きていることについて、明確な証拠を基に検証することを求める運動です。」

こうした観点から彼は、国際社会が資金を供給し、幅広い分野に渡って大規模な福島の環境中の生物学的調査を行うよう求めています。この際留意すべき点について、ムソー教授は次のようにつけ加えました。

事態を一日でも早く鎮静化させようという目的で作られた国連や政府機関の報告に対し、新たな調査は公平な分析を約束できる独立した立場の研究者たちを集めなければなりません。そして長期にわたる生物学的影響を明らかにするという明確な目標を持ち、現在の状況について鋭い観察眼を持つ必要があります。」


原発事故で生物影響の恐れ 日米研究者が専門誌に
 (2014/08/15 08:58 【共同通信】)

 【ワシントン共同】東京電力福島第1原発事故に伴って放出された放射性物質が、周辺の鳥類や昆虫に遺伝子異常を引き起こしている可能性があるとする論文を、日本や米国の研究者が14日、米専門誌ジャーナル・オブ・へレディティーに発表した。

 米サウスカロライナ大のティモシー・ムソー教授は、1986年のチェルノブイリ原発事故後に周辺でツバメの羽毛に白い斑点ができる異常が見つかったと指摘。福島でも白斑のあるツバメが見つかったとの報告があることから「遺伝子レベルの分析や生態系への影響など広範で長期的な調査が必要だ」と訴えた。


東京新聞:被ばく 生態系に異常 ヤマトシジミ

被ばく 生態系に異常 福島周辺 影響相次ぐ
 次世代への調査必要 サルの白血球数減少  
 (2013年4月25日 東京新聞)

福島原発事故で放出された放射性物質が、生態系にどのような影響を与えているかを検証する調査が進んでいる。事故から2年余りが経過し、一部の動植物では放射性物質が原因とみられる変化も確認されている。もちろん、それがそのまま人間に当てはまるわけではない。しかし、生態系は人間の生活と不可分。調査から得られるデータを無視するわけにはいかない。(上田千秋)

ヤマトシジミ 羽や生存率 異変

「科学に100パーセントはないが、チョウに表れた変化は放射性物質が原因とみて間違いない」

事故2カ月後の一昨年5月から、チョウの一種「ヤマトシジミ」への影響を調べている琉球大の大瀧丈二准教授(分子生理学)はこう話す。

大瀧教授の研究室はチョウを用いた研究が専門。調査のきっかけは事故発生から間もなく、大学院生から「ボランティアや炊き出しは他の人でもできる。私たちがやるべきことは生物への影響の調査では」という声が上がったことだった。

早速、福島県の5カ所(福島、郡山、いわき、本宮の各市と広野町)と茨城県の3カ所(水戸、つくば、高萩の各市)、宮城県白石市、東京都千代田区の計10カ所でヤマトシジミを採取すると同時に、地表から0センチ、30センチ、1メートルの空間放射線量も測定した。これらは事故後に羽化しており、線量が高い所にいたヤマトシジミほど羽が小さいことが分かった。

子や孫世代についての調査では、さらに興味深いデータが得られた。

異常のある雌と正常な雄から生まれた子や孫を調べると、?羽化までの日数が長くなる?目がへこんでいる?足が短い?羽がくしゃくしゃになっている?羽の模様が不自然─など、異様な個体が多数確認された。他の実験で突然変異誘発剤を餌に混ぜて食べさせたケースに似ていたという。

ただ、これだけでは放射性物質が原因とは言い切れない。今度は福島県飯舘村(2カ所)と福島市、同県広野町、山口県宇部市の計5カ所でヤマトシジミの幼虫の餌になる野草「カタバミ」を採取。それを沖縄で捕った幼虫に食べさせる内部被ばくの実験や、個体に放射線を直接照射する外部被ばくの実験をした。

結果はカタバミに含まれていた放射性セシウムの量や、照射した照射線量にほぼ比例する形で、異常な個体の割合が高くなっていた。脱皮や羽化の途中で死んでしまう例も目立った。

こうした調査や実験の成果をまとめた論文は昨年8月、英科学雑誌ネイチャーの関連誌「サイエンティフィック・リポーツ(電子版)」に掲載され、英BBC放送や仏ルモンド紙などに大きく取り上げられた。

だが、国内では批判も多かった。インターネット上には、感情的に結果を否定するような文言が書き込まれていた。

大瀧教授は「論文を読んでいないことが明白な批判が多かった」と振り返る。「何でも最初から完璧にできるわけではない。指摘を受けてまた実験をし、進歩していくのが科学。根拠のある批判や指摘であれば、どんどん寄せてほしい」


東京新聞:サルの白血球数減少 次世代への調査必要

次世代への調査必要 サルの白血球減少
 餌からセシウム/免疫力半分の例も

日本獣医生命科学大の羽山伸一教授(野生動物管理学)らのグループはニホンザル(サル)の被ばく実態を調べた。先進国で野生のサルが生息しているのは日本だけで、羽山教授は「人間以外の霊長類が被ばくした例はない。記録にとどめておくのが、科学的に重要だと考えた」と語る。

調査対象としたのは、福島第一原発から60~80キロメートル離れた福島市西部の山林で捕獲され、個体数調整のため殺処分となったサル。筋肉1キログラム当たりのセシウム量は、2011年4月時点で1万?2万5000ベクレルだった。3カ月後には1000ベクレル程度にまで下がったものの、同年12月から再び上昇に転じる個体が多く見られた。

「サルは木の実やドングリなどを食べる。冬はそうした餌がなくなるので、セシウムの含有度が高い木の皮を食べたのだろう、明らかに内部被ばくしたと考えられる」

造血機能にも異常が確認された。筋肉中のセシウムの量が高い個体ほど赤血球と白血球の数が減っていたほか、免疫力が約半分にまで落ちていたケースもあった。事故後に生まれた子ザルでも同様の傾向が見られた。

青森県で捕獲・殺処分されたサル約60頭と比べると、違いは顕著だった。青森のサルからはセシウムは検出されず、赤・白血球、免疫力とも異常はなかった。「福島のサルの異常はセシウムによるものと考えていい」と羽山教授は説く。

サルの寿命は約20年。5歳ぐらいから出産する。羽山教授は「少なくとも、そこまでの調査は必要」と話す。「次世代への影響が心配だ。『放射線の影響は何もなかった』となればよいが、まずは調べないと。サルは生物学的に人間に近い。将来的に役に立つことがあるかもしれない」

イネや鳥類も異変を免れず

大瀧准教授や羽山教授の調査結果は先月30日、東京大農学部で開かれた「飯舘村放射能エコロジー研究会」のシンポジウムで発表された。同シンポでは、併せて別の研究者たちから、イネや鳥類に表れた異変についても発表された。

福島の動植物の調査はこれだけではない。環境省は一昨年11月、国際放射線防護委員会(ICRP)の指標を参考に「哺乳類・鳥類」 「両生類」 「魚類」 「無脊椎動物」 「陸生植物」の5分類、26種類の動植物を調査対象に指定。大学や研究機関などと協力しながら、警戒区域とその周辺で調査している。

同省自然環境計画課の担当者は「予算の問題はあるが、セシウム137の半減期である30年ぐらいは調査を続けていきたい」と説明する。

数々の調査が進んでいるとはいえ、生態系全体から考えれば、これまでに分かったことはまだ乏しい。長い時間をかけて放射性物質の影響を見極めていく必要がある。

大瀧准教授は「『チョウに影響があっても、人間には関係ない』と考える人もいれば、『もしかしたら人間に関係するかも』と思う人もいる。議論をしていくことが何より大切だ」と指摘し、こう提言する。

「安全であることと、分からないことは全く別のこと。福島原発の事故以降、さまざまな場面で情報が出されなかったり、データの裏付けもないのに『安全だ』と言い切ろうとするケースがあった。だが、それらは科学的な態度とはいえない。私たちの研究が理性的に思考していく材料の一つになればよいと思う」

【デスクメモ】
こうした記事に「あおり」と反応する人たちがいる。間違いだ。動植物への影響がどれだけ人に関係するかは分からない。福島、特に汚染地域に暮らし続ける人たちには各自事情があり、自己決定するしかない。ただ、客観的な情報は踏まえてほしい。なにより、惨禍の責任の所在は忘れるべきではない。(牧)


(参考サイト)
【福島原発事故】各地の奇形や異変報告
福島原発事故の放射性物質で生物の遺伝子異常が頻発か!?日米研究者が研究結果を発表!「部分白化した鳥などが多い」
福島で小動物の奇形が相次ぐ!蝶、ツバメ、クタムシなど!病気や死亡も激増!

Timothy A. Mousseauから抜粋
ティモシー・ムソー (Timothy Mousseau) 教授は、1998年 McGill 大学 (カナダ、モントリオール) より博士号を取得、その後、ポスドク研究奨学金をカナダから授与され、カリフォルニア大学デービス校でポスドク研究員として生物生態学を研究されました。1991年、アメリカ合衆国サウスカロライナ大学 (University of South Carolina) の教職に就き、現在は教養学部生物学科 (College of Arts and Sciences, Department of Biology) の教授として研究を行っています。

ムソー教授の学術本や論文はこれまで5200回以上、国内外の研究者らにより引用されています。学術研究費は、アメリカ国立科学財団 、アメリカ合衆国農務省、アメリカ国防総省、フランス国立科学研究センター、サウスカロライナ州環境省、アメリカ合衆国野生動物保護基金、北大西洋条約機構、カナダ科学振興会、ナショナルジオグラフィック協会、海洋学術協会、QIAGEN GmbH (会社)、Samuel Freeman チャリティー基金、そして私立基金などにより支援されています。

1999年よりムソー教授と共同研究者 (アンダース・ペイプ・モラー教授、Paris-sud 大学) は、ウクライナのチェルノブイリ原発事故により放出された放射性物質が、鳥類、昆虫類、そして人間におよぼす生態的また進化的影響を研究されています。これらの研究より、多様な植物や動物種は、チェルノブイリ原発から放出された放射性物質を浴びることで生物細胞内の遺伝子突然変異率が増加し、その結果、遺伝的荷重を負うことによって様々な負の影響を受けていることが明らかになりました。例えば、ツバメ(Barn swallow, Hirundo rustica) は、この遺伝的荷重により、生育や産卵、そして生存に負の影響を受けていることが明らかになりました。また、個体レベルそして個体群レベルで受けるこれらの負の影響は、周辺地域の生物群集に多大な影響をおよぼしている事が分かりました。ムソー教授は現在、なぜ放射性物質により受ける影響が他種間で異なるのか、その要因を明らかにするために研究を行っています。また、このチェルノブイリでの研究経験を生かし、現在日本の福島原発により放出された放射性物質が動・植物相にどのような影響をおよぼすのか、その研究調査を開始しました。

2014/10/12

ハビエル村長と森を守るコーヒー

1980年代後半からコーヒーのフェアトレード事業に取り組んできた私は90年代後半に、森と共生しながら(あるいは、森を再生しながら)農薬も化学肥料も使わずに、コーヒーや果物を栽培しているアグロフォレストリー(森林農法)の生産者に出会い感動しました。

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インタグの雲霧林

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インタグの森林農法

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インタグコーヒーの赤い実


特に、エクアドル・インタグ地方で、森林農法のコーヒー栽培をしながら、「鉱山開発」という名の自然破壊をくい止めている人々に感銘を受け、1999年からフェアトレードを続けてきました。(インタグコーヒー物語

それから15年が経った今年、最大の危機が訪れています。

森を守ろうとする人を逮捕・拘留

今年4月10日、エクアドル・インタグ地方のフニン村で、「子どもたちに美しい自然を残したい」という村長が逮捕されたという記事を書きましたが、不当逮捕による拘留が未だに続き、一昨日(10月10日)で半年が過ぎました。この異常な逮捕と長期拘留に対してエクアドル内外からの批判が高まっています。

1994年に始まるインタグの鉱山開発計画が地域住民全体に知られるようになったのは、17年前に日系企業によって鉱物の試掘が行われたときです。試掘程度の小規模な作業でさえ、森が破壊され、フニン村の住民にとって唯一の水源であるフニン川が砒素やカドミウムなどの重金属によって汚染されたことで、鉱山開発への反対運動が始まりました。この試掘によって銅があることが判明しましたが、それを採掘するには環境へ非常に大きな影響を与える「露天掘り」という方法を取らなければならず、さらには4つのコミュニティ(集落)が移住を余儀なくされるということがわかったのです。

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         (鉱山開発の実例)

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         (鉱山開発の実例)

鉱山開発を「発展のモデルだ」「雇用が増える」「学校や病院などの設備も充実する」などと鉱山開発側は訴えますが、それは、地下資源を採掘するわずか10数年しか続かない「発展」であり、目先の利益だけを考えた約束事であることをフニン村の住民は理解していました。それによって、森が、そこに生きる多くのいのちが、そして自分たちの自然と寄り添った生活と子どもたちの未来が奪われることをわかっていたのです。

鉱山開発の実例
         (鉱山開発の実例)

ペルーの鉱山開発 Mina-de-cobre-Peru-Cerro-Verde-crp
         (鉱山開発の実例)

鉱山開発側は、コミュニティ内部に影響力のあるリーダーたちを取り込み、開発を強引に進める方法を取ってきましたが、フニン村の人たちはそうした動きに屈することなく、美しく豊かな自然を未来の子どもたちに残していくため、アグロフォレストリー(森林農法)に基づく有機コーヒ―栽培やエコツーリズムなどの「持続可能な発展」の道を選んできました。そうした活動の中心にいたのが、フニン村の村長ハビエル・ラミレスさんなのです。

フニン村のハビエル・ラミレス親子と中村
(不当に逮捕されたハビエル・ラミレスさん親子と中村、8年前の写真)

ハビエルさんが不当逮捕された4月10日以前から、インタグでは、ほとんど毎週のように、エクアドル国営鉱山開発公社(ENAMI)が開発対象の村々(フニン村も含む)に入ろうとし、その度に住民に拒否されるという状況が続いていました。反対する住民は政府によってチェックされ、身元を調べ上げられました。公の場で「発展を阻害する民衆の敵」として名指しでコレア大統領本人に批判された人もいます。(私は、2006年当時、次期大統領の立場にあったラファエル・コレア氏に手紙を書いたことがあります。その頃のコレア氏は、「国の資源を切り売りするような政治のあり方を疑問視」していました。)

ハビエルさんは、村に入ろうとしたENAMIの職員に暴行を働いたということで訴えられ、逮捕されました。しかし、現地調査では、ENAMIの支持者でさえハビエルさんが、その場にいなかったことを認めている上、事件当時、ハビエルさんはバイク事故の治療中でした。実際に彼を治療した医者もいます。明らかに彼の無実を証明する証拠が提示されている一方で、ENAMIはハビエルさんが犯人であるという証拠は何一つ提出していません。

フニン村住人と警官隊

当初、ENAMIの職員とともに、400人の警官隊がインタグ入りし、現在でも40人以上の警官がフニン村に駐留しています。たった60世帯程度の小さな村に、40人(私服警官も含めるとそれ以上と言われています)もの警官が監視するかのように村に駐留している中で、村人が安心して日常の暮らしを続けることは難しくなっています。そして、それまでインタグを訪れていた観光客も、警官隊の駐留が始まってから激減しています。

ハビエルさんは、調査のためと当初言い渡された3か月の拘留期間が過ぎても釈放されず、1か月延長となり、さらに2カ月延長されても未だに釈放の目途がたっていません。そして、弁護を受ける機会も与えられないまま長期拘留の手続きが進められています。

ハビエルさんの家族は、有機コーヒー農園を営んでいますが、一番の働き手を失ったまま収穫の最盛期を迎え、残された家族がなんとかコーヒー園の作業をこなそうとしてきました。しかし、奥さんはハビエルさんの司法手続きすべてに立ち会わなければならず、4人の子どもたちもまだ幼いので、精神的にも経済的にもとても厳しい状況にあります。

ハビエル家族
    (8年前の写真:ハビエルさんファミリー)

いつ釈放されるか分からない状況で不安が大きく、奥さんは夫のことを話す度に涙があふれ、子どもたちもあまり食事をとっていないそうです。留置場はフニン村より標高が高くて寒いため、ハビエルさん自身も体調を崩しているようです。

そうした状況の中、ハビエルさんには、インタグ地方で森林農法を広めているインタグコーヒー生産者協会の会長からのメッセージをはじめとして、多くの支持や連帯の表明が寄せられています。そして、7月6日にハビエルさんは、インタグ地区があるコタカチ郡より「母なる大地賞」を授与されました。

ハビエルに母なる大地賞 妻が代理で授賞

この賞は2006年に設立され、コタカチ郡の環境保全への貢献者に授与されるものです。授賞式には、拘留されているハビエルさんは出席できないため、彼の奥さんが代理を務めました。

そして、ハビエルさんは、FIDH(国際人権連盟)の「良心の囚人」にラテンアメリカから初めて認定されました

国際人権連盟の#ForFreedomキャンペーン

さらに日本の環境NGO「ナマケモノ倶楽部」が、10年に一度授与する「スロー大賞」をハビエルさんに授与しました。

「スロー大賞の受賞理由」は、ハビエル村長と地域住民の意義深い取り組みをよく表現しています。

ハビエル・ラミレス殿

貴方は、エクアドル・インバブラ県・コタカチ郡・フニン村の村長として、村民や地域の人々の先頭に立って、生態系保護区に隣接する、生態学的に極めて重要な地域の自然と、そこで営まれてきた人々の暮らしを守ってきました。短期的な経済効果だけのための開発の代わりに、未来の世代まで長く持続する地域発展への道を選んだ地域住民を支えながら、そのリーダーとして、エコツーリズム・アグロフォレストリー・有機農業・フェアトレードなどの代替案を提示し、自らも実践されてきました。

大規模鉱山開発を性急に進めようとする政府や巨大企業に対して、貴重な森を守るべく、貴方やフニン村をはじめとする地域住民たちが示してきた毅然たる態度は、自治と民主主義、非暴力平和とエコロジーを基盤とする未来へと向かう、世界中の多くの人々を鼓舞してきました。貴方たちのビジョンと活動は、すでに世界に先駆けて新しいエコロジカルな文明へと歩み出したエクアドルのみならず、私たちの住む日本を含む世界全体にとっての道標に違いありません。

そのことに対する大いなる感謝と敬愛の念をこめて、ここに謹んでスロー大賞を授与いたします。
Viva Javier! Viva Junin! Viva Intag! Viva Ecuador! Viva Pacha Mama!

2014年8月11日
環境NGOナマケモノ倶楽部

こうした賞の受賞は、多くの人びとが「破壊的開発に依存しない生き方を選んだインタグの人たち」を支持しているということを示しています。
ハビエルさん、ご家族、そして、「鉱山開発」と闘い続けているインタグの人たちにとって大きな励ましになります。

しかし、ハビエルさんを釈放させ、鉱山開発をくい止めるには、不当逮捕の事実と鉱山開発による自然破壊の真実をできるだけ多くの人に伝えるための活動費、広報費用、弁護士費用などが必要です。そのために、ウインドファームと有機コーヒー社でも、現地の環境団体DECOIN)に寄付をしてきましたが、まだまだ資金が足りません。

そこで、ハビエル村長の一刻も早い釈放とインタグの人たちの自然保護活動を支援するために、「ハビエル村長と森を守るコーヒー」をつくり、販売していくことにしました。

ハビエル村長と森を守るコーヒー

このコーヒーは、森を守るアグロフォレストリー(森林農法)で栽培されたインタグコーヒーとメキシコ、東ティモールのコーヒーを中心に、ブラジル、ペルー、コロンビア、グァテマラの7か国の有機コーヒーをブレンドしてつくります。7か国の有機コーヒーをブレンドしたコーヒーは、おそらく 世界にもないだろうと思います。

このコーヒーを「有機レインボーブレンド」と名付けました。
コーヒーの焙煎は、26年の経験を生かして、私が担当します。

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また、カフェインが飲めない方のために、有機カフェインレスコーヒーも販売します。どちらも100gパックを3パックで送料を含めて1800円(税込1944円)で販売し、500円をハビエルさんと森を守るために寄付します。

まず、今月と来月の2回やってみます。20日までに注文していただき、月末までにメール便でお届けします。1回目は10月20日、2回目は11月20日までに注文をお願いします。

◆注文方法◆
Eメール siencoffee(a)windfarm.co.jp  *(a)を@に変えて下さい。
以下の内容をお知らせください。

==================

タイトル:ハビエル村長と森を守るコーヒー希望

【1】商品(有機レインボーブレンド 3パック、または、有機カフェインレス3パック、あるいは、有機レインボーブレンド2パックと有機カフェインレス1パックなど。もし、多量に必要な方はご相談下さい。)
【2】豆・粉の希望
【3】名前
【4】郵便番号
【5】住所
【6】電話番号

==================

◆支払方法◆
コーヒーと一緒にコンビニでの支払い用紙を同封しますので、到着後に支払をお願いします。
(このコーヒーは、クレジットカード、代金引換での支払いはできません)

  *        *        *

「ハビエルさんと森を守る」ためには、この問題を多くの人にシェアしたり、 署名をしたり、 寄付をしたりと、できることがいろいろあります。このコーヒーもその一つです。私が期待しているのは、コーヒー以外の商品やサービスでも売り上げの一部を寄付する動きが広がっていくことです。この記事を読まれて、私もやってみようという方は連絡して下さい。
一緒に、こうした動きを広めていきましょう。

(連絡先)Eメール siencoffee(a)windfarm.co.jp   *(a)を@に変えて下さい。

<追記>ハビエル・ラミレスさんは、2015年2月10日に釈放されました
こちらにも記事があります。

2014/09/29

韓国 原発から5km以内 女性の甲状腺癌 2.5倍 5~30km1.8倍

原発周辺 女性 甲状腺癌 2.5倍 多い
古里など住民 16年間 追跡調査 原発が要因かは確認できず

(2011年12月13日 ハンギョレ・サランバン)より抜粋

原子力発電所周辺に住む女性の甲状腺癌発病率が他の地域に比べて2.5倍高いという事実が政府による調査結果で明らかになった。

アン・ユンオク ソウル大医大教授は12日、ソウル江南区(カンナムグ)、三成洞(サムソンドン)ラマダホテルで開かれた‘原発周辺住民疫学調査に対する住民説明会’で「原子力発電所周辺5km以内に暮らす女性の甲状腺癌発病率が原子力発電所のない一般地域(対照群)に比べて2.5倍高いことが分かった」として「原子力発電所から5?30km離れた近距離地域に住む女性も対照群より1.8倍高く、原子力発電所に近いほど甲状腺癌発病率が高いことが確認された」と明らかにした。

今回の調査は政府がソウル大医学研究院原子力影響・疫学研究所に依頼して釜山古里、慶北(キョンブク)月城・蔚珍(ウルチン)、全南(チョンナム)霊光(ヨングァン)など4ヶ原子力発電所周辺地域住民1万1367人、近距離地域1万323人、対照群1万4486人を対象に1992年から2008年までの16年間にわたり長期追跡調査を行った結果だ。

調査結果によれば、女性の甲状腺癌は原子力発電所周辺住民が人口10万人当たり1年に61.4人、近距離住民は43.6人、対照群住民は26.6人が発病し距離別に差異が生じた。甲状腺癌は電離放射線によって最もしばしば現れる疾患であり、1986年チェルノブイリ原発事故直後にベラルーシとウクライナでは数万人の甲状腺癌患者が発生した。

だが、女性甲状腺癌の高い発病率が原子力発電所のためなのかは今回の調査で確認されなかった。アン教授は「原子力発電所周辺地域で健康調査事業が行われたために甲状腺癌がさらに多く発見されている」と話した。

しかし、キム・イクチュン東国(トングク)大医大教授は「対照群地域も毎年癌検診を受けるなど原子力発電所の影響でないと断言するのは難しい」として「高い甲状腺癌発病率を見る時、資料の公正な解釈のための精密調査が必要だ」と話した。 この日の説明会に参加した原子力発電所周辺住民たちは民官検証委員会の構成を要求した。 原子力安全委員会関係者も「検証チームを構成する」と明らかにした。

ナム・ジョンヨン記者 fandg@hani.co.kr

原文: http://www.hani.co.kr/arti/society/environment/509858.html 訳J.S

2014/09/22

会津の汚染数値が高い市町村で、子どもの甲状腺ガンが発症

先月下旬、福島県の子どもの甲状腺がん57人+がんの疑い合計が100人を超えたことが発表されました。(手術をした54人の8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺に転移していた。)しかし、「県民健康調査」検討委の星北斗座長は、「甲状腺がんの発症割合に地域差がないことから、現時点で原発事故との因果関係は考えにくい」との従来通りの見解を示しました。

「甲状腺がんの発症割合に地域差がない」という意味は、汚染数値が低い会津地方の発症割合があまり低くない―という意味ですが、本当に地域差がないと言えるのか検証してみました。


朝日新聞:地域別、子どもの甲状腺がん発生率
 (画像は、朝日新聞から)

この地図だけを見ると、甲状腺がんの発症割合に地域差が小さいようにも見えますが、2014年8月24日の県民健康調査・検討委員会に出された甲状腺検査結果の資料をしっかり読むと、いろんなことが見えてきます。

福島原発事故発生時に18歳以下だった約37万人を対象に実施している甲状腺検査は、原発事故が起きた2011年(平成23年度)から検査が始まり、3年間の検査で得られた結果を表にまとめています。

2014.6.30現在 一次検査データと結節・のう胞の人数・割合

この福島県の表の中で、特に重要なことを以下に抜き出してみました。

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

この表から分かることは、年ごとに子どもたちに5mm以上の結節と、のう胞がある子どもが増えているということです。
結節は、0.5%→0.7%→0.9% と、この2年で1.8倍にも増加。
のう胞も、36.2%→44.7%→55.9% と、子どもの3人に1人から2人に1人以上に増加。そして、2次検査対象者(精密検査が必要な子ども)も0.5%→0.7%→0.9% と、1.8倍に増加しています。

こうした急激な増加は、非常に大きな問題であるにもかかわらず、「県民健康調査」検討委員会は、この問題についてほとんど検討せず、マスコミもほとんど報道していません

福島県・関東 セシウム汚染地図
 (画像は朝日新聞から)

セシウムによる汚染地図を見ても分かるように、最後(2013―2014年)に検査した会津地方の方が浜通りや中通りよりも汚染数値が低いにもかかわらず(おそらく、事故から3年後の検査であったため)甲状腺異常が一定の比率で見つかっているということは、もしも、同じ時期(2013―2014年)に、全地域を検査していたなら、浜通りや中通りはもっと甲状腺異常が増えていると推測され、甲状腺がんも多く見つかっている可能性が高いでしょう
(これは「2巡目」の検査結果が出れば分かります)

そして、星北斗座長が言った「甲状腺がんの発症割合に地域差がない(汚染度と発症に関連がない)」というのが間違いであることは、会津地方における甲状腺がんの発症を市町村別に細かく見ていくと分かります

甲状腺がんが発症しているのは、放射能汚染数値が高い「中通り」に隣接している猪苗代町(1人)、会津若松市(5人)と下郷町(1人)で、9人中7人を占めています。残った2人は、湯川村と会津坂下町から1人ずつ発症しています。

会津地方、中通り、浜通りの市町村別の甲状腺がん発症地図 104人
  (画像はコチラから拝借 クリックすると画像が拡大できます)

「放射能であまり汚染されていない」とされている会津地方の中央部にある湯川村と会津坂下町から何故、甲状腺がんが発症したのか? 
答えは、先日書いたブログの中にありました。「チェルノブイリで急増した心筋梗塞が、福島でも急増している。他の病気も加えると、2年で1200人以上も死者が増えている」という記事で紹介した地図にセシウム汚染濃度が分かりやすくまとめてあり、湯川村と会津坂下町は、会津地方でも特に汚染数値が高い地域だったのです。当然、セシウムだけでなく放射性ヨウ素も降り注いだはずです。

セシウム汚染と急性心筋梗塞(宝島)
  (画像は宝島から拝借 画像をクリックすると拡大できます)

5人の子どもから甲状腺がんが見つかった会津若松市の記事を思い出します。

再検査で23万ベクレル 福島地裁会津若松支部の汚泥
 (2011年9月8日 日本経済新聞)

 福島地裁会津若松支部(福島県会津若松市)の側溝の一部で採取した汚泥から1キログラム当たり約18万6千ベクレルの高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、福島地裁は7日、別の委託会社が再検査した結果、同じ汚泥から約23万7千ベクレルのセシウムを検出したと明らかにした。

 会津若松支部は、東京電力福島第1原子力発電所から西約100キロにある。

 政府は10万ベクレルを超える汚泥はコンクリートなどで遮蔽して保管するよう求めており、地裁は10日に除去を始め、汚泥を筒状のコンクリート構造物に入れて敷地内に保管する。総量は推定で計約2.5立方メートル。近隣住民には個別に周知する。

 地裁によると、遮蔽に使うのは地下水路などに利用される「ボックスカルバート」といい、内径は縦、横、奥行きがいずれも約2メートル。それを地面に立てて置き、底に敷いたシートの上に袋詰めした汚泥を置き、上から土砂をかぶせるという。〔共同〕


県民健康調査 検討委員会の星北斗座長及び委員の皆さん ―― こうした事実があってもまだ「甲状腺がんの発症割合に地域差がないことから、原発事故との因果関係は考えにくい」と言えるでしょうか?

「年ごとに結節とのう胞が大幅に増えている」という事実があってもまだ、「症状が現れていないのにスクリーニングで皆を調べたから多数の甲状腺がんが見つかっただけで、異常な増え方ではない」という説明を続けることができるでしょうか?

こうした姿勢で、福島県民の健康を守ることができるでしょうか?

子どもの甲状腺がんだけでなく、心臓病や腎臓病、消化器系の疾患など様々な病気が原発事故後に増えています

2012年福島県の死因ワーストランキング
   (表は宝島から拝借)

特に、急性心筋梗塞や慢性リウマチ性心疾患は、全国平均の2.4倍以上になっています。下のグラフは慢性リウマチ性心疾患の年次推移です。紺色が福島県、赤が全国平均です。

慢性リウマチ性心疾患のグラフ

政府には、国民の健康と生命を最優先で守るという責務があります。福島原発事故の後に日本で起こっている健康問題をこれ以上放置することは許されません。福島県内外での健診の拡充や被ばくを減らすための対策を早急に具体化する責任が政府にはあります

チェルノブイリでは、原発事故から5年後に「被ばくを減らすための法律」がウクライナ、ベラルーシ、ロシアの3つの国にできました。年間1ミリシーベルト以上被ばくする地域の人々には「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱とする「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償も行われています。

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士はこう言っています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

2014/09/12

福島原発事故から3年半、病気と病死が急増 痛恨の意見陳述

子どもの甲状腺がん検査

福島原発事故から3年半が過ぎました。通常、子どもの甲状腺がんは「100 万人に1人か2人」と言われていましたが、福島県では原発事故当時18歳以下の子ども約37万人に「ガンないしガンの疑いが103名」も出ています。(通常のおよそ150~300倍

NHK:甲状腺がん・がんの疑い103人

<福島原発事故の後、3年間の子どもの甲状腺検査で分かったこと>
表を見るとよくわかりますが、甲状腺がんが増えただけでなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増しています

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節が、0.5% → 0.7% → 0.9% と、この2年で1.8倍に急増し、のう胞も、36.2% → 44.7% → 55.9% と激増(3人に1人が2人に1人以上に)そして、2次検査(精密検査)が必要な子どもも1.8倍になっています。

この急激な増え方は、チェルノブイリ原発事故で最も健康被害が多いベラルーシのゴメリ地方に似ています。(ベラルーシの面積は日本の約55%でゴメリ州は福島県の約2.5倍の広さ) 甲状腺がんは、下の表の中で300倍に増えている「内分泌・代謝・免疫異常」の一つです。

ゴメリ地方の小児の疾病発病率

福島県立医大で手術された54例のうち、45名は腫瘍の大きさが10ミリ以上かリンパ節や肺に転移しています。(2014年8月29日、日本癌治療学会にて福島県立医大の鈴木真一教授が発表

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。2013年の統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍) そしてセシウムが蓄積しやすい心臓の病気は、急性心筋梗塞の死亡率が2.40倍慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍で、どちらも全国1位になっています。

福島県の急性心筋梗塞死亡率 2009~2014.3
*2010年以前から全国1位。原発事故が起こった2011年から急増。2014年1~3月 福島の477人は、3か月間に急性心筋梗塞で亡くなった人の実数。全国の実数は、12,436人。福島県の人口は、全国の1.53%なので、12436×0.0153=190人 全国平均なら福島は190人ですが、その2.51倍の477人が亡くなっています。

原発事故以前から全国1位という数字を見て思い出すのは、原発周辺では事故を起こさなくても白血病やがんが多いというドイツ政府やフランスでの発表福島には原発が10基もあったこと、そして、2011年の原発事故前から「小さな事故」が多発していたこと、さらに事故の隠ぺいが日常化し、臨界事故まで隠されていたことです。

同じ心臓病の「慢性リウマチ性心疾患」は、慢性ということもあり、急性心筋梗塞より1年遅れの2012年から死亡率が急増しています。

福島県の「慢性リウマチ性心疾患」 死亡率

グラフにするとその急激な増加がよくわかります。
赤色が全国平均、紺色が福島県です。

慢性リウマチ性心疾患のグラフ

甲状腺がんや心臓病だけではなく、結腸がん、腎臓病、消化器系の疾患など様々な病気が原発事故後に増えています

2012年福島県の死因ワーストランキング
   (表は宝島から拝借)

こうした状況にありながら日本政府は、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアが制定している被ばく線量を減らすための法律(「チェルノブイリ法」)をつくろうとしません。年間1ミリシーベルト以上は「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱としている「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償なども行われています。

チェルノブイリ法の基準

ところが、安倍首相はそうした被ばく対策の前提となる健康影響を無視するだけでなく、東京五輪招致に当たり、福島原発事故による健康への影響は「今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と発言。

安倍首相「健康問題については、今までも現在も将来も問題ないと約束する」

安倍首相 「健康影響ないと約束」に批判 河北新報

安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻そうとしています。(日赤は原子力災害時の医療救護の活動指針として累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、退避するとしている。 また、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東京大教授(放射線安全学)は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と発言している)

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

「20ミリシーベルト以下は健康影響なし」とした原子力規制委員会が川内原発1、2号機を審査し、「新規制基準に適合している」と判定。国民の同意がないままに「原発の再稼働」が決定されようとしている今、多くの人に読んでほしい「原発の運転差し止め意見陳述」があります。

玄海原発全機運転差止め請求 意見陳述(2012.8.17)から抜粋

意見陳述書

佐賀地方裁判所 御中2012年8月17日

住所 福岡県福津市 氏名 宇野朗子

宇野朗子と申します。福島市で被災し緊急避難、現在は、娘と福岡県福津市に仮住まいをしています。 
今日は、玄海原発を止めるための重要な裁判をしてくださっている裁判官のみなさんに、福島で起きたこと、今起きていることを知っていただきたく、私の経験と想いをお話させていただきます。

私は福島市に住んで12年目でした。私とパートナーと娘、2匹の猫と暮らしていました。5年前に子どもを授かり、親として娘にしてやれることは何かを考える中で、自然農を学び、地域通貨の試みにも加わり、食やエネルギーを自給して暮らす人々と知り合いました。人としてまっとうに生きたいという人々の願い、福島には、それに応える豊かな自然がありました。子育てをきっかけにして私は、本当の福島の奥深さを知ったのでした。

宇野さえ子さん親子
(亀山ののこさんの写真集『100人の母たち』南方新社刊より)

娘が3歳になった2010年2月に、佐藤雄平福島県知事が、プルサーマル運転を3つの条件を付けて認めると表明しました。さらに私たちに危険を背負わせるのかと、居ても立っても居られなくなって、私は受け入れ反対の声をあげるようになりました。学習会を開いたり、署名を集め県議会に提出したり、県庁に申し入れに行ったりしながら、原発の問題を少しずつ勉強していきました。

あまりにも深刻な核廃棄物の問題。地球上の誰も、10万年、100万年もの間安全に管理し続ける方法を知りません。にもかかわらず、私たちは毎日膨大な死の灰を、「発電」の名のもとに生み出しています。 

そして原発は、被ばく労働なしには1日たりとも動かないものだということ。たくさんの人々が、被ばくのリスクを知らされないまま、劣悪な環境で、低賃金で働かされ、多くの人が、健康を害し、いのちを失ってきました。労災認定がおりたのはたったの10人、多くは泣き寝入りさせられ、沈黙を強いられ、社会にはこの事実が隠され続けてきました。福島原発は、事故件数も多く、労働者の被曝量日本一の原発でもありました。だまされていた自分がとても悔しく、申し訳なく思います。 

原発が動くための燃料は、ウランだけではありません。差別と嘘と抑圧、これが原発に不可欠の燃料です。このような原発が温存される社会では、真の民主主義は育ちえないと、私は思います。

私は、その年の6月13日、福島第一原発のゲート前に、東京電力にプルサーマルを止めてほしいとお願いに行きました。そこで私は、震度5弱の地震に遭遇しました。ゴォーッという地鳴りと大きな揺れの中で、私のすぐ脇にある原子炉で何が起きているのか、大変な恐怖を感じました。 

そしてその4日後、福島第一原発2号機で、外部電源喪失事故が起こりました。下がった水位は2メートル、メルトダウンにもつながりかねない重大な事故でした。けれども、ことの重大性を理解した報道は皆無、東電は原因究明も十分行わないまま、その場しのぎのマニュアル手続きを追加した程度で、再稼働してしまいました。福島県も立地自治体も保安院もこれを放置しました。

40年もの長い間、私たちは背負わされている危険について「蚊帳の外」に置かれてきたのだ、そして電力会社も国も県もマスコミも、本気で人々のいのちと暮らしを守ろうとはしていないのだと、理解しました。

大きな地震がきたら、大事故、大惨事になり、たくさんの命が亡くなり、福島の大地と海は命をはぐくめないところになってしまう。「その時」が来ないために手を尽くすしかない、知った者が、伝えるしかないのだと、思いました。 

8月から、毎日福島県庁前に立ち、県に住民のメッセージを届けました。「ふるさとを核のゴミ捨て場にしないで」「ふるさとを核の汚染まみれにしないで」「ふるさとを第二のチェルノブイリにしないで」、こう書かれた横断幕を持ち、500通を超えるメッセージを届けました。 

福島第一原発3号機のプルサーマルは、多くの人々の懸念の声を無視したまま、その年の10月に商業運転に入りました。市民でもっと原発の問題を自由に語り、原発依存から脱して真に豊かな福島の未来像を作っていこうと、様々なイベントを準備し始めました。 

そんな中で、私は2011年3月11日を迎えたのです。

その日、私は福島市内の友人の家の庭で被災しました。暴れ馬のように力強く揺れ続ける地面にしがみつきながら、「大好きだよー、大丈夫だよー」と隣にいる娘に繰り返し言いました。そう言いながら、心では「ああ、大変なことになってしまったかもしれない。間に合わなかったのかもしれない」という想いがこみあげるのを抑えることができませんでした。本震が終わると、すぐに友人宅に逃げ込み、私は情報収集を始めました。電源喪失、メルトダウンの危険ありとすぐに情報がありました。電源車が間に合うことを祈りながら、原発近くに住む友人や、家族に電話をかけ続けました。夜11時過ぎ、緊急災害対策本部発表の文書で、炉心損傷がすでに開始していると予想されていることを知りました。文書を見た時点では、あと数十分で、核燃料の被覆管の破損が予想されていました。ああ、とうとう過酷事故は起きてしまったのだ。私たちは緊急避難を決めました。震災発生から10時間後、私と友人は、赤ちゃんを含む子どもたち5人を連れて、西へ避難をはじめました。ひとりでも多くの人に、この危機を知り行動してほしいと、避難を始めるというメールを無差別に送りました。ちらちらと雪の降る、寒くて静かな夜の福島市でした。 

避難の途中で、1号機が爆発。13日、山口県宇部市にたどり着き、3号機爆発の映像を見ることになりました。あの日から、私はまるで戦争の中にいます。 

複数号機の原発過酷事故、収束の目途も立たないまま、未曾有の放射能汚染の中で、福島に何が起きたのか。避難の混乱の中で、失われていったいのちがありました。津波に生き残り助けを待ちながら途絶えたいのちがありました。すべてを奪われ、未来の展望もなく、絶望の中で、自ら命を絶った人がいました。多くの人々が故郷を追われ、地域も家族もバラバラになりました。 

事故をより小さく見せよう、被ばくがもたらす害を小さくみせようとする、国・県・マスコミあげての大キャンペーン。情報が隠され、不正確な情報が流されたため、住民が無用な被曝を強いられてしまいました。ヨウ素剤による防護策も、殆どとられることはありませんでした。 

メルトダウンはしていない。レベル4である。チェルノブイリ事故の10分の1である。直ちに健康に影響はない。年間100ミリシーベルトを越えなければ安全です。ニコニコしている人には放射能の害は来ない。危険をあおる流言飛語に注意してください。・・・ありとあらゆる、「嘘」と「ごまかし」が語られ、事実を知るための適切な調査はなされず、またはその結果を隠されました。それによってもたらされたのは、被災者間の深い分断、放射能問題をタブーとする抑圧的な空気。それらを前提としてまかり通る、棄民政策の数々でした。そして何より、人々が被曝し続ける事態となりました。 

除染は遅々として進みません。危険な除染作業に被災者である住民が駆り出されています。有機農家の友人は、事故後、作物が汚染され農業を断念しましたが、彼女は今、仮住まいからバスに乗り込み、避難区域の村の除染作業に通っています。石塀も、屋根も壁も、ゴシゴシ、ゴシゴシと、ブラシでこすり、水で流すのだそうです。作業者の装備は軽く、健康への影響が懸念されます。そして原発事故という人災によって生計の道を閉ざされた被害者が、加害者がまきちらした放射能の後始末を行うのを見るのはとても悔しいです。 

余震が続いている福島原発の事故現場では、毎日3000人もの人々が被曝しながらの作業にあたっています。既に6人の方が亡くなり、大量被ばくされた方も報道されましたが、その後どうなったかが心配です。4号機プールの倒壊も懸念されています。2号機内部がどうなっているのか、誰も分かりません。 

そんな薄氷を踏むような危機の中で、誰かが、収束作業を続けなくてはならない。絶対に収束させなくてはなりません。そのために、何人の人の命を差し出さなければならないのでしょうか。

原発を作り、動かし、その利権の甘い汁を吸った人々が、まず、収束作業に全力であたるべきと思います。しかし実際には、ホームレスなどの生活困窮者や立場の弱い下請け会社の労働者たち、そして仕事を失った被災者たちが多く作業にあたっていると聞いています。収束には、何十年、百年以上かかるとも言われています。この事態に対して全く何の責任もない子どもたち、未来の世代の人々に、この過酷な犠牲を強いなければならないことに、痛恨の想いです。

そしてもし再び、放射性物質の大量飛散という事態になった場合に、住民にどう情報が伝えられ、どう避難し、被ばくから守られるのか・・・その備えはいまだに全くなきに等しいという現状があります。福島県民は棄てられていると感じています。 

ひとたび原発事故が起これば、どんな苦しみが襲うのか、どうか想像してください。 

私たち被災者でさえも、その被害の全容を知ることができません。それは極めて広範に及び、徹底的に社会を破壊します。最も犠牲を強いられているのは、子どもたち、未来の世代の人たち、そして物言わぬ動物や虫や植物です。犠牲にされる未来を考えるとき、私は私たち大人世代の犯した罪の深さに、底知れぬ恐怖と悔恨の念を覚えずにはいられません。 

今、私たちは被害を、少しでも小さくしようと闘っています。タンポポや、蝉、魚などですでに見られ始めている突然変異。子どもたち・大人たちが経験している健康の変化。先日、保養に来ていた16歳の女子高校生が言いました。「福島が安全なんかじゃないって、私たちだって知っている。私は長生きはできないと思う。短い人生をどう生きたらいい?」。様々な健康上の問題に悩む子どもたちは、たくさん現れるでしょう。生まれる前の死を強いられるいのちもまた、数えきれないほどになるでしょう。未曾有の低線量被ばくの継続という事態に、私たちはいのちをつなぐためになすべきことを必死で探しています。  

裁判官のみなさん、福島で起きたこと、起きていること、これから起きることに、どうぞ目を凝らしていただきたいのです。 私たちが子どもたちに課すものは、被ばくという重荷だけではありません。54基もの原発とそこで生み出し続けた死の灰を、これから次々と襲うであろう大地震の困難にも耐え、施設の老朽化にも耐え、閉じ込め管理し続ける綱渡り――これを私たちの大切な子どもたち、孫たちに課すのです。 

再稼働というのは、この問題への着手を先送りにするだけでなく、手に負えない死の灰を膨大に生産することを是とするということです。原発は、1年間稼働するだけで、燃料として使うウランの1億倍の放射性物質を産み出します。福島原発に閉じ込めておかなければならなかった核分裂生成物の恐ろしさ、手におえなさに、私たちは苦しんでいます。この苦しみは、時を経るほどに深刻になっていくでしょう。このようなものを、これ以上生み出してはいけません。原発をなお動かし続けるということは、福島原発事故が進行している中で、私たち人間社会の倫理の死、真実の死、民主主義の死をも意味するのではないでしょうか。  

また日本は、地殻の大変動期に入ったと言われています。現に、地震の数は、311後爆発的に増えています。近い将来、どこかで必ず大きな地震が来るでしょう。もう一度、原発震災を起こしてはなりません。その努力を、全ての場所で、あらゆる人が、しなければなりません。

福島原発事故で、暮らしを根こそぎ奪われ、未来を暴力的に変えられた被災者の1人として切に訴えたいことは、原発は、差別と犠牲を許容することなしには動きえず、手に負えない核分裂生成物を未来世代の人々に押し付けることが前提の、人道上許されない発電方法であるということです。

全文

2014/09/06

福島原発事故 1週間後にも放射性雲 東北、関東へ拡散

福島原発事故:1週間後にも放射性雲 東北、関東へ拡散
(2014年9月5日 毎日新聞)

 東京電力福島第1原発事故後、上空に巻き上げられた放射性物質の雲状の塊「放射性プルーム(放射性雲)」が、これまで知られていた2011年3月15〜16日に加え、約1週間後の20〜21日にも、東北・関東地方に拡散していく状況が、原子力規制庁と環境省による大気汚染監視装置のデータ分析から裏付けられた。1回目の放射性雲の影響で高くなった空間線量に隠れて、2回目の放射性雲が見逃されていた地域もあった。専門家は「データは住民の初期被ばく量を正確に見積もるのに役立つ」とみている。

 放射性雲の拡散はこれまで、「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)を使ったコンピューター計算に各地の空間線量や航空機による観測データを突き合わせて推定してきた。

 今回、環境省が各都道府県に設置している自動車の排ガスなどを常時監視する装置に着目。東京大大気海洋研究所や首都大学東京などに依頼し、大気中に浮遊するちりを1時間ごとに捕まえたろ紙を9都県約90カ所の測定局から回収して、3月12〜23日分の放射性物質濃度を調べた。

 その結果、福島市の一つの測定局では15日夜、放射性セシウム137と134の濃度が1立方メートルあたり最大計45.5ベクレルを計測した。16〜19日も、原発から放射性雲が出続けていたと考えられるが、西風で太平洋側に運ばれたため、大気中濃度は上がらなかったらしい。その後、風向きが変わり、20日午後3時に同計104.1ベクレルに高まり、その状況は21日朝まで続いた。

 雨が降った15日は放射性物質が地表や家屋に沈着し、空間線量が1時間あたり20マイクロシーベルト程度まで急上昇したため、放射性雲が飛来したことが広く知られているが、雨が降らなかった20〜21日は、既に高くなっていた空間線量計の値が目立って上昇しなかったため、放射性雲が見過ごされてきたと考えられる。

 関東地方では、15日と21日の2回、帯状に高濃度の放射性雲の拡散が確かめられた。特に21日朝は茨城県南部や千葉県北東部で放射性セシウム濃度が急上昇。その後、東京湾北東沿岸部へと南西に移動した。その間、雨で沈着し、各地で「ホットスポット」と呼ばれる局地的に線量の高い場所を作ったとみられる。

福島原発3号機の爆発

福島原発事故3号炉 煙

2014/09/05

チェルノブイリで急増した心筋梗塞が、福島でも急増している。他の病気も加えると、2年で1200人以上も死者が増えている

チェルノブイリでも福島でも、原発事故の後に心臓や血管の病気で亡くなる人(循環器系疾患)が急増し、その他の病気も増えています。福島県の急性心筋梗塞による死者は、原発事故前は2009年1355人、2010年1372人でしたが、2011年は1500人(2000年+128人)2012年は1591人(+219人)と2年間で347人も増加。さらに、結腸がんは108人増、消化器系の疾患119人増、腎不全101人増など8種類の病気も加えると(重複している可能性がある悪性新生物を除いても)原発事故の前年より1219人も死者が増加しています。

2012年福島県の死因ワーストランキング
(データは宝島から拝借 クリックすると画像が拡大できます)

チェルノブイリのように被害が拡大する前に、被ばく対策をとる必要があります。

北ウクライナの循環器系など病気増加グラフ

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士はこう言っています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です


チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告 第2回 ウクライナは訴える (2012年9月23日 NHK ETV特集)から抜粋と補足

ウクライナ政府報告書 未来のための安全

チェルノブイリ原発事故の25年後に公表された「ウクライナ政府報告書」は、年間0.5~5ミリシーベルトの汚染地帯に住む人々に深刻な健康被害が生じていることを明らかにした。

(低線量汚染地の住民には)心臓疾患や膠原病(リウマチ性疾患)など、さまざまな病気が多発し、特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加している

(2012年4月、取材班は)汚染地帯のひとつ、原発から140キロにある人口6万5千人のコロステン市を取材した。(この地域は、年間0.5から5ミリシーベルトの被ばく線量

コロステン中央病院のガリーナ・ミハイロブナ医師「チェルノブイリ事故前はリウマチ患者は6人だったのに、2004年には22人、2011年は45人になりました」(中村注:福島では、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍

この町で半世紀近く住民の健康を見続けてきた医師ザイエツさんは、事故後、目に見えて心臓病の患者が増えたことを実感してきたという。

現場の医師だけでなく、放射線医学研究所のウラジーミル・ブズノフさんも「低い線量の放射線の影響が現れていると言えるのは、心臓や血管の病気です」と循環器系の病気の多発を証言している。

(1)低い線量の放射線の影響が現れていると言えるのは
(2)心臓や血管の病気です
    (放射線医学研究所 ウラジーミル・ブズノフさん)

もう一度、同じグラフを示しますが、最も急増している循環器系の病気に心臓や血管の病気が入ります。同じ循環器系の病気を複数かかえている人や、様々な病気をあわせて抱えている人がたくさんいます。

北ウクライナの循環器系など病気増加グラフ

そして今、最も危惧されているのが、事故の後に生まれ汚染地帯で育った子どもたちです。ウクライナ政府報告書も子どもの健康悪化について多くのページを割いています。

コロステンの学校には、日本の小学校から高校に当たる子どもが通います。事故の後、生徒の健康状態が悪化。体力のない生徒が増えました。3月の健康診断では、甲状腺などの内分泌疾患が生徒の48%、脊椎が曲がっているなどの骨格の異常が22%から見つかりました。そのため全校生徒485人のうち正規の体育の授業を受けられるのは14人。他の生徒は軽い運動しかできません。

最近生徒の訴えで多いのは心臓の痛み。保健室にはそれを抑える薬が常備されています。

看護教諭:心臓の薬です。血圧を測り、脈を見ます。それで判断します。

Q:救急車を呼ぶ時はありますか?

看護教諭:多い日は1日3回呼ぶこともあります。

ウクライナ政府報告書は、汚染地帯の住民など被曝した人から生まれた32万人を調べ、健康状態を報告しています。1992年子どもの22%が健康でした。ところが2008年、それが6%に減少しました。逆に慢性疾患を持つ子どもは20%から78%に増加しました。

ウクライナ 健康な子ども 慢性疾患のある子ども グラフ

報告書で子どもの健康状態について執筆した国立放射線医学研究所のステパーノバさん。汚染地帯全域で子どもたちの病気が増え続けていることは統計的に見ても明らかだと主張しています。原発事故被災者の子どものうち病気を持つ割合は17年間で、内分泌系の疾患が11.6倍、筋骨格系が5.34倍、消化器系が5.00倍、循環器系が3.75倍に増加したと言います。


(NHK ETV特集「チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告」を12分に編集された動画) 

動画の書き起こし全文

こうしたチェルノブイリでの出来事と同様なことが福島でも起こっており、原発事故から4年目の福島で心臓病や脳血管疾患が急増、その他の病気も大幅に増えています。


福島県で急増する「死の病」の正体を追う! 
 ―セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係―

 (2014年08月26日 宝島)から抜粋

■甲状腺ガンだけではない? 過酷原発事故の健康被害

 東京電力・福島第一原発事故の発生から、はや3年5カ月が過ぎた。原発事故に伴い放出された放射性物質の影響ではないかとして、小さな子どもや若い福島県民の間で発生が確認されている「甲状腺ガン」が昨今、注目を集めている。だが、原発事故による健康面への影響は「ガン」だけに限られるのだろうか。

 実は、原発事故の発生を境に、福島県内で多発・急増している病気がある。厚生労働省の「人口動態統計」データを精査した結果、その事実が明らかになった。急性心筋梗塞(こうそく)──。それが、福島県で現在、急増している「死の病」の正体だ。

福島「セシウム汚染」と「急性心筋梗塞」の増加・地図
    (画像をクリックすると拡大されます)

 人口動態統計とは、人口や出生、死亡、死産、婚姻、離婚といったデータを県別、あるいは市町村別にまとめたデータである。
 【表1】と【表2】を見てほしい。これらの表は、原発事故発生以降に福島県内で増えている「死因」を、人口動態統計をもとに多い順から並べたものだ。いわば、死因別の「増加数ランキング」である。

2011年と2012年の福島県の死因ワーストランキング
     (画像をクリックすると拡大されます)

 【表1】は、原発事故が発生した2011年に増加した死因で、【表2】が事故翌年の2012年に増加した死因だ。ここで私たちが着目したのは、「循環器系」の疾患である。

 11年の【表1】を見ると、地震や津波が急増の原因と考えられる「不慮の事故」や「傷病」に続き、「循環器系の疾患」と「心疾患」が4位と5位にランクイン。10位には「心不全」も入っている(注1)。そのいずれもが、原発事故前である10年の発生数を大きく上回っていた

 それが12年になると、循環器系疾患の代表格である「急性心筋梗塞」がランキングのトップに躍り出る(【表2】)。10年と比較した場合、11年で128人増。翌12年はさらに増えて219人もの増加と、100人単位で増え続けているのである。

 ちなみに、急性心筋梗塞による死者の発生を全国規模で見た場合、年々減少する傾向にある。11年の東日本大震災および福島第一原発事故の発生以降も一貫して減り続けている。

セシウム汚染と急性心筋梗塞に「正の相関関係」が

 「人口10万人当たり●人」という言い方は、病気発生の頻度を表す物差しであり、専門的には「年齢調整死亡率」と呼ばれる(注2)。

 この死亡率を福島県内の市町村ごとに計算した上で、文部科学省による福島県内の「セシウム汚染値」の濃淡と、相関関係が見られるかどうかを調べたのである。この作業では、福島県内のセシウム汚染分布に詳しい沢野伸浩・金沢星稜大学女子短期大学部教授の全面的な協力を得ることができた。

 今回の解析では、福島第一原発事故後、高汚染のためにすべての住民が避難した原発直近の7町村(双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町・浪江町・飯舘村・葛尾村)を、解析対象から除外した。

 年齢調整死亡率は、原発事故前年の10年のものと、事故翌年の12年のものを、それぞれ計算して求めた。こうすることによって、セシウム汚染によって数値が上がったのか否かの区別がつくからである。

 ようするに、汚染の高いところで年齢調整死亡率も同時に高くなるという「正比例の関係」が見られれば、被曝との因果関係が強く疑われる──ということになる。

セシウムと土壌汚染と急性心筋梗塞

 その解析結果が、【図1】と【図2】である。沢野教授が導き出した結論は、「セシウム137の土壌汚染密度分布と年齢調整死亡率の分布との間には、原発事故後、弱いながら統計的には有意(r = 0.36、注4)と言える正の相関関係が生じている」というものだった。

 すなわち、セシウム汚染が濃いところほど、急性心筋梗塞の年齢調整死亡率が高いという傾向(=正比例の関係)が見られたのである。

(注2)都道府県ごとに年齢構成には差があるため、死亡数を人口で除した(割り算した)通常の死亡率で単純に比較しようとすると、高齢者の多い県では高めの数値が弾き出され、若年者の多い県では逆に低めの数値となる傾向がある。そこで、年齢構成の異なる地域間でも死亡状況の比較ができるよう、年齢構成を調整した死亡率が「年齢調整死亡率」(人口10万対)なのである。この調整を加えることによって、年齢構成の相違を気にすることなく、地域同士の比較や年次ごとの比較ができるようになる。

福島県の「周辺県」でも急性心筋梗塞が「上昇」

 セシウムは体内に取り込まれた後、筋肉に集まりやすい性質があるとされる。そして心臓は、そんな筋肉(心筋)の“塊(かたまり)“のような臓器である。

 気になることは、これだけではない。この「上昇」傾向が福島県にとどまらず、福島の周辺県でも見られるのだ。

 原発事故の起きた11年に顕著な上昇が見られる県(茨城県・群馬県)や、顕著ではないにせよ上昇が見られる県(宮城県・東京区部)、そして、福島県と同様に右肩上がりで増え続けている県(山形県・栃木県・埼玉県・千葉県)もある。今後、当連載では、こうした周辺県の検証作業も同時に進めていく所存である。

取材・文 明石昇二郎(ルポルタージュ研究所)+本誌取材班
(月刊誌『宝島』2014年10月号より)

全文


ウクライナ政府(緊急事態省)報告書
『チェルノブイリ事故から25年 ”Safety for the Future”』

2014/09/01

福島県の「慢性リウマチ性心疾患」 死亡率が急増 全国1位

福島県の「慢性リウマチ性心疾患」 死亡率

◆福島の「慢性リウマチ性心疾患」死亡率が全国平均の2.53倍

福島の子どもの甲状腺がんが57人に増え、「がんの疑い」46人を含めると103人になったこと(通常の100倍以上)、急性心筋梗塞で亡くなる人が急増して、死亡率が全国平均の2.4倍(全国1位)になっていることは先週書きましたが、「慢性リウマチ性心疾患」の死亡率も急増しています。甲状腺がんは「発病数」ですが、2つの心臓病は「死亡率」です。

急性心筋梗塞の2013年2014年1月~3月のデータも見つかったので、その数字も加えた表をつくりました。

福島県の急性心筋梗塞死亡率 2009~2014.3

*2014年1~3月 福島の477人は、3か月間に急性心筋梗塞で亡くなった方の実数。全国の実数は12436人。福島県の人口は、全国の1.53%なので、12436×0.0153=190人 全国平均なら福島は190人ですが、その2.51倍の477人が亡くなっています。

◆「急性心筋梗塞」と「慢性リウマチ性心疾患」の死亡増加数 600人超
原発事故の翌年から急増している「急性心筋梗塞」2年後から急増している「慢性リウマチ性心疾患」の死亡増加数を合わせただけで、すでに600人以上が原発事故以前より多く亡くなっていることになります。

◆2013年、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気
内分泌、栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍)
脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍)
急性心筋梗塞(2.40倍)慢性リウマチ性心疾患(2.53倍)

人口動態統計より)

チェルノブイリでは、原発事故から5年後に「被ばくを減らすための法律」がウクライナ、ベラルーシ、ロシアの3つの国にできました。年間1ミリシーベルト以上は「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱とする「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償も行われています。

日本では、原子力規制委員会が「20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と言っています。

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士はこう言っています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です


福島、被ばく対策不十分と提訴 親子88人、健康に深刻な不安
(2014/08/29 18:54 共同通信)

 原発事故の被ばく防止対策が不十分で精神的苦痛を受けたとして、事故時に福島県に住んでいた親子88人が29日、国や県に対し、1人当たり10万円の慰謝料を求め、福島地裁に提訴した。
 訴状によると、国や県は事故発生後、空間放射線量の正確なデータを速やかに伝えないなど、住民の被ばくをできる限り抑える職務上の義務を怠り、子どもに無用な被ばくをさせた。その結果、親子に今後の健康へ深刻な不安を抱かせたとしている。
 原告のうち、今も福島県に住み小学校や中学校、特別支援学校に通う計24人は、居住地の自治体に対し安全な環境で教育を受ける権利があることの確認も求めた。

原発事故 国家はどう補償したのか ~ チェルノブイリ法23年の軌跡~ ETV特集

被ばく対策がほとんど取られていない日本にとって、非常に重要な番組の一部を抜粋しました。

原発事故 国家はどう補償したのか ~チェルノブイリ法23年の軌跡~ ETV特集
(2014/08/23 NHK ETV)から抜粋

1986年4月26日、チェルノブイリ原発が爆発事故を起こしました。膨大な量の放射性物質が放出され広い地域が汚染されました。ウクライナ政府が現在被災者と認めている人は213万人。被災者に対する補償はウクライナ政府によって続けられてきました。補償の根拠となっているのが事故の5年後に制定されたチェルノブイリ法です。

そこには「国が被災者の生活と健康を世代を超えて守り、被害の補償を続ける」と規定されています。

チェルノブイリ法:被災者の生活と健康 世代を超えて国が守る

チェルノブイリ法は事故後の長い議論を経て生まれました。しかし、チェルノブイリ法の制定から20年以上が経った今、被災者への補償は2割以下しか実施されない事態に陥っています。ウクライナ政府は内戦の前から深刻な財政難に陥り補償にあてる予算を捻出できなくなっていたのです。高い理想を掲げながら大きな壁にぶつかったチェルノブイリ法。その成立過程を明らかにする資料が去年初めて公開されました。

2013年10月、ウクライナのキエフで「チェルノブイリの経験をフクシマへ」と題されたワークショップが開かれました。これまで日本から多くの政治家や研究者がウクライナを視察に来ています。今回ワークショップを主催したのは元環境大臣ユーリ・シチェルバクさん。ウクライナが原発事故の被災者をどのように救済してきたのか報告されました。

チェルノブイリ法の特徴は事故による被ばくが5年後の時点で年間1ミリシーベルトを超えると推定された地域を補償の対象としていることです。

チェルノブイリ法 第1章 第1条 汚染地域とされるのは、年間1ミリシーベルトを超える被ばくをもたらし・・・

被災者をどこまで救済するかは、日本が現在直面している課題です。

チェルノブイリ原発の西120kmにあるコロステン市には、チェルノブイリ法が補償の対象とした地域があります。被災者には年1回、症状に合わせた保養所の旅行券が支給されます。また両親が被災者であれば事故後に生まれた子どもも被災者として認定されます。コロステン市社会保護局イゴーリ・エシン局長は「旅行もできるし薬も無料、歯医者も無料、公共料金にも免除があり、全部合わせれば国は住民をとても助けていると思う」と言っていました。

チェルノブイリ法:非汚染食料の配給 有給休暇の追加 サナトリウムの旅行券

年間被ばく線量が、法律を制定した時に1ミリ~5ミリシーベルトのこの地域では住民に移住の権利が与えられました。チェルノブイリ法は移住しなかった住民への補償を次のように定めています。

・毎月の補償金(給料の1割分を上乗せ)
・年金の早期受け取り
・電気代やガス代など公共料金の割引
・家賃の割引
・公共交通機関の無料券
・医薬品の無料化
・毎年無料で検診が受けられる
・非汚染食料の配給
・有給休暇の追加
・サナトリウムへの旅行券
・大学への優先入学制度
・学校給食の無料化

それでも、この街からの移住を決断した人は4000人にのぼりました。当時、教師だったビクトル・ホダキフスキーさんは法律制定後すぐに移住を決めました。低線量の放射線は大人にとっては何ともなくても、子どもにとっては危険かもしれないと思ったからです。そして新しい家、新しい仕事も補償されるということだったため移住を決めたと言います。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供しました。また引越しにかかる費用や、移住によって失う財産の補償も行われました。

チェルノブイリ法:移住先での雇用と住宅提供 引っ越し費用の補償 喪失財産の補償

ソビエト連邦から独立したウクライナは1996年、新たな憲法を制定しました。そこにはチェルノブイリの被災者を救済することは国家の責務であると明記されました。

ウクライナ憲法第16条 チェルノブイリ事故への対策に取り組むこと ウクライナ民族の子孫を守ることは国家の義務である

チェルノブイリ原発で事故が起きたのは旧ソビエト時代の1986年です。原子炉が爆発し、おびただしい放射性物質が拡散しました。しかし、国民に放射能汚染の情報は知らされず事故から5日後にはソビエト全土でメーデーのパレードが行われました。コロステン市でも屋外でメーデーのお祝いが行われました。ソビエト政府はその後も放射能汚染の情報を隠し続けました。冷戦時代、社会主義諸国の盟主だったソビエトにとって原発事故の情報は西側に知られたくない国家機密とされたのです。

そんな中、ソビエト連邦の15ある共和国の一つウクライナから批判の声が上がりました。被ばくによって病気になったと訴え出たのは原発で事故処理にあたった作業員たちでした。チェルノブイリ原発の事故処理にはソビエト全土から兵士、消防士、警察官など80万人が動員されたと言います。放射線に対する知識もなく不十分な防護服で原子炉の消火や瓦礫処理にあたりました。人々はゴルバチョフ書記長に窮状を訴えました。やがて事故処理の作業員とウクライナの市民が一丸となってソビエト政府に抗議するように。この運動を率いたのがユーリ・シチェルバクさん。真っ先に求めたのは事故の情報公開でした。

事故から3年後、ソビエト政府はようやく汚染の情報公開にふみ切りました。汚染は北西部にまだらに広がり、原発から110km離れたコロステン市にまで届いていました。コロステン市では体の不調を訴える住民が相次いでいました。事故の翌年に始まった住民検診で9人に甲状腺がんが見つかりました。ウクライナだけでなく隣国のベラルーシでも子供たちから甲状腺がんが次々と見つかりました。

汚染地域の住民から次々に寄せられた強い要求にウクライナ政府はモスクワの指示を仰ぐことなく独自に被災者の救済に乗り出しました。当時のウクライナ最高会議レオニード・クラフチュク議長は被災者救済の法律を作る決断をしました。1990年6月、12人の代議員でチェルノブイリ委員会が結成され法案作成がスタート。法律の完成までには8ヶ月の時間を要しました。いかなる議論が繰り広げられたのでしょうか?

去年、初めて委員会の議事録が公開されました。委員会が最初に取り組んだのはソビエトが決めた被災地の範囲を見直すことでした。事故後、ソビエト政府によって汚染レベルの高いエリアの住民は強制的に避難させられていました。そして年間の被ばく線量が5ミリシーベルトを超える地域は、被ばく量を下げる対策が必要とされていました。この方針を決めたのはソビエト科学アカデミーのレオニード・イリインさんです。イリインさんは放射線学の権威で、ソビエトの政策決定に大きな影響力を持っていました。

イリインさんが住民対策の基礎にした被ばく限度量は事故後1年間は100ミリシーベルト、2年目は30ミリシーベルト、3年目は25ミリシーベルト、それ以降は年間5ミリシーベルト。これは平常時の値として生涯350ミリシーベルト、70歳まで生きるとすると年間5ミリシーベルトが限度だとしたからです。イリインさんたちは被ばく線量とがんの関係を計算して、その結果それ以下の放射線量なら自然に発生するがんの範囲内におさまると結論付けました。

しかし、当時世界には放射線の被ばく限度量について異なる見解も存在していました。1985年に国際放射線防護委員会(ICRP)が平常時の被ばく限度量を年間1ミリシーベルトとすると声明を出していたのです。ウクライナのチェルノブイリ委員会は被ばく限度量をどこに定めるのか討論を行いました。基準を5ミリシーベルトから1ミリシーベルトにすれば、被災者と認定する住民の数は100万人以上膨れ上がります。将来にわたる補償の規模が大幅に変わる問題でした

委員会発足から8ヵ月後、チェルノブイリ法は採択されました。その第1章第1条には「放射性物質の汚染地域とされるのは、住民に年間1ミリシーベルトを超える被ばくをもたらし、住民の放射線防護措置を必要とする地域である」と記されています。法律の冒頭に被ばく限度量を年間1ミリシーベルトとすることが明記されたのです。

チェルノブイリ法に基づきウクライナの被災地は4つの区域に分類されました。

チェルノブイリ法:強制移住区域5ミリ超 移住選択区域1?5ミリ 放射線管理区域0.5?1ミリ

チェルノブイリ法の基準

強制避難区域:事故直後から住民を強制的に避難させた汚染レベルの高い区域
強制移住区域:年間被ばく線量が法律制定時に5ミリシーベルトを超える区域
移住選択区域:年間被ばく線量が法律制定時に1~5ミリシーベルトの区域
放射線管理区域:年間被ばく線量が法律制定時に0.5~1ミリシーベルトの区域

チェルノブイリ法が施行されて20年以上が経ちました。今、その運用はどうなっているのでしょうか?
コロステン市の人口は6万2000人。そのうち5万8000人が被災者として登録されています。コロステン市にはウクライナ政府からチェルノブイリ法のための予算が配布されています。去年は日本円で5億円が配布されました。現在、無料検診、無料給食、公共料金の割引などは引き続き行われていますが、給付金はインフレのため大幅に目減りしています。給料の上乗せ金は1人月額10.5グリブナ(87円)、食料費補助は2.1グリブナ(17円)です。わずかしか支給されない補償金に不満を抱き裁判に訴える人も出ています。原発事故の処理作業にあたったワシーリー・ボフスノフスキーさんは補償金を全額受け取っていないと提訴。勝訴しましたが、補償金はまだ支払われていません。

2011年にウクライナ政府がまとめたチェルノブイリ事故の報告書の中でチェルノブイリ法の運用について検証しています。チェルノブイリ法で支出すべき予算のうち、実際にどれだけ実現されたのかです。1996年に57%だった実施率が2010年には14%にまで落ち込んでいます。

現在、ウクライナで被災者として登録されている人は213万2251人。人口の5%にあたり政府は補償と財政の板ばさみになっています。ウクライナの国家予算は2000億グリブナ(1兆6000億円)ですが、チェルノブイリ法で定められた補償を完全に実施すると800億グリブナ(6600億円)もかかります。これは国家予算の40%にのぼります。去年、実際に予算を組めたのは110億グリブナ(900億円)でした。法律制定当時、ウクライナのチェルノブイリ委員会では財源についてどのような計算がなされたのでしょうか?

実は当時ソビエト政府はチェルノブイリ事故の対策に特別な予算を組もうとしていました。予算の主な配布先は汚染がひどかったロシア、ベラルーシ、ウクライナです。それらへの対策費として総額150億ルーブル(3兆7000億円)必要としていました。この試算に基づきソビエトの閣僚会議はチェルノブイリ対策費を検討。その結果、103億ルーブル(2兆5000億円)を投じることを決定しました。しかし、チェルノブイリ法制定の時、世界は大きく動き始めていました。1989年にベルリンの壁が崩壊し、東欧の社会主義諸国で民主化が広がり、その波はウクライナにも及びました。

チェルノブイリ法制定から半年が経った1991年8月24日、ウクライナは独立を宣言。ソビエト政府の財政も危機的状況にあり1991年12月にソビエト連邦は崩壊。その後誕生したロシア連邦はソビエトの方針を引き継がないことを表明。チェルノブイリ関連支出に関しては今後各国が自ら支出するようにと通達しました。こうしてチェルノブイリ法実施の費用をあてにしていたウクライナの目論見が崩れたのです。自らの予算でチェルノブイリ法の遂行を担うことになったウクライナ政府。初代大統領のレオニード・クラフチュクは予算の配分に頭を痛めました。そして彼は教育や科学への予算よりもチェルノブイリ法の予算を優先させました。しかし1990年代後半、世界的な経済危機がウクライナにも波及。国の財政難から被災者への補償は当初の予定の3割しか支給できなくなりました。政府は今も補償と財政の狭間で苦しみ続けています。

経済危機の中、去年のくれから始まったウクライナの反政府運動。2月には首都キエフ中心部での銃撃戦に発展。大統領は国外に逃亡しました。新たに就任したポロシェンコ大統領ですが、内戦の収束、経済の建て直しなど難題が山積しています。新政権はチェルノブイリの被災者に対し、これまで通りの補償を行っていくと表明しています。

http://tvmatome.net/archives/628

内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明)

進行する放射線被曝とチェルノブイリ法・基本的人権

「チェルノブイリ法」の避難基準と放射能汚染マップ

低線量長期被ばくの影響 「チェルノブイリ 28年目の子どもたち」

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