アメリカの大学生が果たすべき環境への責任 Severn Cullis-Suzuki(セヴァン・カリス=スズキ)

この文章は、2002年5月に、アメリカのイエール大学を卒業する際、大学生の共同声明文として発表されました。

アメリカの大学生が果たすべき環境への責任

 これは私たちアメリカの大学生たちによる共同声明です。
 今、大人としての一歩を踏み出し始めている私たちの世代は、目の前に開かれようとしている未来をどのようなものにするかについて、決断を迫られています。

 アメリカ合州国の人口は世界の5%にも満たないのに、世界のエネルギー使用量の40%を消費し、世界中の自動車の30%を走らせています。その結果、一国で、全世界の排出する二酸化素のうちの20%を排出しています。この国が、地球環境にとって一番大きな重荷になってしまっていることは明らかです。私たちのライフスタイルは、地球や、そこに住む人々の健康を損なうことと引き換えに成り立っているのです。

 世界で一番工業化され、豊かで、強大な権力を持つ国の学生として、私たちはいくつかのことを認めることから始めたいと思います。まず、特権というものにはいつも責任が伴うということを。次に私は、西暦2002年の大学生として、地球には限られた資源しかないことを認めます。私は、他ならぬこの私の日々の行動が、良い方にも悪い方にも、そして現在から未来にわたって、地域コミュニティーそしてグローバル・コミュニティーに影響を及ぼさずにはいないことを認めます。そして私は信じています。経済やGDPの無限の成長は、人間の豊かさや幸せの増大を意味しないということを。

 今ここに私は、よりよい未来のために自分にできることをしていくことを誓います。
私は環境に対する自分の責任を引き受け、持続可能な発展という原則を、自分の生活の中で実践しようと思います。それは自分に対する次のような約束です。

 私たちはまた、上の世代の人々や、私たちのビジョンを支持し助言をくれる立場にある人たちにもお願いします。どうか、私たちに手をさしのべてください。未来の人々が私たちのことを「社会をかえりみぬエゴと浪費の世代」として記憶するなんてことがないように。ともに、私たちの「今」をつくっていきましょう。
 この文章が、地球憲章や他の様々な改革のための宣言と共に、私たちアメリカの学生の思いを世界中に伝えてくれることを望みます。今、私たちが責任をもった行動をとれば、未来の学生たちは私たちの時代を、思いやりのある生き方と思いきった変革の時代として思い起こしてくれることになるでしょう。


翻訳:ナマケモノ倶楽部(原文:英文)