2011/09/16

放射能の影響で、首都圏から西日本への転出が増加  

再注目「田舎暮らし、海外移住」の損得 から抜粋
プレジデント 2011年8.29号

首都圏から関西へ転職する人が増加

東日本大震災後、移住を考える人が増えている。 総務省公表による2011年3~5月期の住民基本台帳に基づく人口移動報告によれば、東京圏から大阪圏への転出は14.5%増、名古屋圏へも5.9%増え、福岡県へは25.4%増となるなど西日本への転出が目につく

「首都圏から関西への転職者が増えた」というのは転職支援サービスのリクルートエージェント。なかでも目立つのが技術者の転職だ。同社の広報担当・鶴巻百合子氏は言う。

震災後、放射能の影響への不安から、技術者が家族とともに西へと移住を希望するケースが増えている。5月、6月と前年同月比約2倍の実績がある。世界規模の部品メーカーが関西には数多くあり、求職者1名につき求人企業は4.5社と需要も多いです」

企業勤めの場合、転職相談から実際の転職まで通常は3?4カ月かかるが、フリーとなると行動は迅速だ。イラストレーターの時川真一氏は、震災の1週間後に東京から沖縄へ避難、2カ月後には本格的に引っ越した。釣りが好きで将来は海沿いで暮らしたいと思っていたが、原発事故をきっかけに妻と1歳の娘とともに移住を決行した。

オーシャンビューの70平方メートルのマンションは家賃6万円、1カ月のトータル生活費は平均23万円。平均38万円かかっていた東京時代と比べて、生活費は約4割減となった。美しい自然環境に囲まれて、釣り・シュノーケリングを週に2回は楽しんでいる。

「テクニカルライターの妻は、在宅勤務が可能な都内の会社を見つけ、現在はそこから仕事を請けている」(時川氏)と、ダブルインカムも保たれている。時川氏は現在のところ地方移住の成功例といえる。

地方移住事情に詳しい田舎暮らしコーディネーターの空閑睦子氏によると、最近特に注目されているのが放射能の心配が少ない沖縄、北海道と、首都圏から行きやすい長野の3エリア。「これまで漠然と田舎暮らしをしたいと考えていた人が、震災をきっかけに予定を前倒しする傾向がある。特に子どもがいる世帯はその傾向が強い」と述べる。

(後略)

魚と海草の放射能調査  海底のヒラメ、アイナメなどが高い数値

グリーンピースの海産物汚染調査の結果

第6回目放射線調査 から抜粋
記事 – 2011-09-15

福島第一原子力発電所の事故により海洋に流出した放射性物質の海産物への影響を調べるために2011年8月21日~8月22日に行った調査の報告です。

調査の背景
2011年5月および7月にグリーンピースが行った海洋調査では、福島沖の魚や海藻から、国の暫定規制値を上回る放射性セシウムを検出。

今回は、茨城県の底引き網漁が9月に解禁されることを受け、放射能汚染調査を行いました。

漁業復興には、消費者が魚介類を選択購入できるように情報提供することが不可欠です。スーパーなどに並ぶ魚介類を手に取る消費者が求めているものは、単に「暫定規制値以下」という情報ではなく、「○○ベクレル/kg」という具体的数値。政府や小売店は、安心して魚介類を食べたいと望む消費者のニーズを受け止め、調査や情報提供の強化につとめる必要があります。

調査結果

日本政府の定める暫定規制値を超えるものはありませんでしたが、海から採取したすべてのサンプルから放射性物質を検出しました。

海面を泳ぐ生物(マアジ、マサバ、ソウダガツオ)のサンプルと比較して、海底にすむ生物(ヒラメ、メバル、アイナメ)のサンプルから、高い放射性物質が検出されました。

調査結果の詳細数値 >>

<宮城、福島、茨城の魚と海草を調査>

ギンザケ、マガレイ、アイナメ、マアジ、マサバ、クロソイ、アカメバル、ソーダガツオ、ハアナゴ、マヒラメ、海藻類は、バラノリ、スジアオノリ、アカモク、ナガアオサ、マコンブなど、すべてのサンプルから放射性物質を検出。

マヒラメのセシウム134が86ベクレル/kg ±10
     セシウム137が104ベクレル/kg ±12

アイナメのセシウム134が109ベクレル/kg ±13
     セシウム137が134ベクレル/kg ±16

小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで衝撃を受けた

7月15日に発行された小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで衝撃を受けた。

序章
福島第一原発の暴発は防げるか
綿々と続く被曝覚悟の大工事
から抜粋

(要約:建屋内の空気を浄化するフィルター工事、格納容器の底に溜まった汚染水を循環させるための配管を設ける作業、水位を測る計測器の調節など)作業員の多大な被曝があって初めて、最悪の事態が防げているのです。本当にありがたいと思います。下請け、孫請け会社の社員だけでなく、東京電力の社員、日立、東芝など原子炉メーカーの社員も建屋の中に入っているはずです。彼らの苦闘が実を結ぶことを願います。

ついに立ち上がった技術者OBたち

元住友金属工業の技術者だった山田恭暉さん(72歳)が、「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」を立ち上げ、次のような呼びかけを発表しました。

———————————–

 「福島原発 暴発阻止行動 プロジェクト」結成へむけて

 福島第一原子力発電所の現状についてはいまさら説明するまでもありません。しかし確認しておかなければならないことは、次の事実です。

1 暴発を防ぐためには、ホースによる散水のような一時的な処置ではなく、10年の単位の時間安定して作動する冷却設備を設置し、これを故障することなく保守・運転し続けなければならない。

2 この冷却設備の建設・保守・運転は、すでに高度に放射能汚染された環境下で行わざるを得ない。

3 もし、安定した冷却設備を建設・保守・運転できなければ、3000 万人もの人口を抱える首都圏をも含めた広範な汚染が発生する可能性がある。

 このような最悪のシナリオを避けるためには、どのような設備を作ることが必要か、放射能汚染を減らすためにどうしたらよいか、などなど、数多くの技術的課題があることはもちろんです。この点についても日本の最高の頭脳を結集した体制ができていないことは大きな問題です。さらにもう一方では、最終的に汚染された環境下での設備建設・保守・運転のためには、数千人の訓練された有能な作業者を用意することが必要です。現在のような下請け・孫請けによる場当たり的な作業員集めで、数分間の仕事をして戻ってくるというようなことでできる仕事ではありません。

 身体の面でも生活の面でも最も放射能被曝の害が少なくて済み、しかもこれまで現場での作業や技術の能力を蓄積してきた退役者たちが力を振り絞って、次の世代に負の遺産を残さないために働くことができるのではないでしょうか

 まず、私たち自身がこの仕事を担当する意志のあることを表明し、長期にわたる国の体制として退役した元技能者・技術者のボランティアによる行動隊を作ることを提案し要求していきたいと思います。

当面次のことを提案します。

この行動隊に参加していただける方を募集します。
原則として60 歳以上
、現場作業に耐える体力・経験を有すること

5 この行動隊を作ることに賛同し、応援していただける方を募集します。
(原文のまま)

————————————–

衝撃を受けたのは、このあとの文章である
40年間、原子力の研究をし、放射能の怖さを知り尽くし、原発に反対し続けてきた小出さんが、次のように書いている。

これからの作業には、どうしても人手が必要になります。しかし、限られた若い作業員だけに大量の被曝をお願いするのは非道というものであり、また技術者OBであれば、慣れない作業員より効率的に働けるかもしれません。

私は山田さんのプロジェクトに賛同しました。このプロジェクトは東京電力から拒否されたようですが、事故収束を図る東京電力の苦境が深まる中、実現の可能性も見えてきています。実際、5月末には細野剛志首相補佐官(現・原発事故収束・再発防止担当大臣)と山田さんらが会談し、今後のことについて語り合ったそうです。プロジェクトが現実に動き出す可能性が出てきました。

このプロジェクトは、別名「シニア決死隊」とも言われているそうですが、呼びかけ人の山田さんに気負うところはなく、「合理的に考えたら、経験のある技術者の自分たちが行くべきではないかと思います。死ぬ気はありませんが、あとの世代を生かすために行くつもりです」と淡々と語ります。

前述しましたように、私は原子力に携わってきた人間として、福島第一原発事故の責任の一端は負わなければならないと思っています。事故の収束に向けて自分にできることがあれば担いたいと思い、プロジェクトに参加することにしました。私も60歳をすぎて、放射能感受性がとても低くなっていることも、参加理由の一つです。


高齢技術者「若い奴にはやらせない」原発暴発阻止プロジェクト
(2011/4/22 週刊金曜日)

一般社団法人「福島原発行動隊」への応募よびかけ

小出裕章さんインタビュー(9月9日 毎日新聞)

2011/09/15

脱原発派、調査会で増員=着工済み原発の稼働も 首相

野田首相が総合資源エネルギー調査会の委員に脱原発派を積極的に起用すると表明しているが、一方で行政刷新会議の民間議員にJR東海の葛西敬之会長を起用するとのこと。この葛西敬之氏は、「これまで通り原子力を利用し続ける以外に日本の活路はない」と主張している人である。「東電の資産・財務内容や経費削減の努力を調査する第三者委員会」の委員にも選ばれているので、東電にとっては心強いことだろう。

脱原発の世論に配慮していると見せながら、ドジョウのように土に潜り、見えないところで原発再稼動を着々と進めるようなことがないことを願いたい。

脱原発派、調査会で増員=着工済み原発の稼働も
首相、議員定数削減で協議呼び掛け

 野田佳彦首相は15日午後の衆院本会議で、原発依存度の低下に向け、新たなエネルギー基本計画を審議する総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)について、「これまでの政策に批判的な委員の数を増やす」と述べ、「脱原発」派の委員を積極的に起用する考えを表明した。公明党の井上義久幹事長への答弁。
 同調査会は来年夏までに基本計画を実質的に策定する。現在、原発推進派が委員の多数を占めており、先に辞任した鉢呂吉雄前経産相が構成を見直す意向を示していた。首相はこれを断行することを明確にし、「オープンでバランスが取れた議論ができるようにする」と強調。枝野幸男経産相も「(推進派と批判派が)半々になるか断言はできないが、バランス良く選ぶ」と述べた。
 首相はまた「原発の新増設は困難」と指摘する一方、着工済みの原発に関しては「進捗(しんちょく)状況もさまざまであり、立地地域の意見も踏まえながら個々の事案に応じて検討する」と述べ、完成後に稼働させることもあり得るとの認識を示した。(2011/09/15-19:00)

鉢呂経産大臣は 「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった

片山、葛西氏ら起用へ=刷新会議民間メンバー 野田首相

 野田佳彦首相は15日、政府の行政刷新会議の民間議員として新たに片山善博前総務相、JR東海の葛西敬之会長、東大名誉教授の松井孝典氏を起用する方針を固めた。これにより民間議員は現在の3人から6人に拡大。同日午後の刷新会議の会合で正式決定する。
 片山氏は鳥取県知事時代、自治体改革に取り組んだ。葛西氏は国鉄民営化を推進、松井氏は事業仕分けの仕分け人を務めた。首相は東日本大震災の復興のための臨時増税に意欲を表明し、その前提として徹底的な無駄削減が必要との考えを示している。片山氏ら「改革派」の起用で、こうした姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。(2011/09/15-11:32)

皆で原発をやめる努力を 生き方をチェンジする勇気を 加藤登紀子

考・原発 「フクシマ」半年(8)生き方、変える勇気を
(年9月15日 西日本新聞朝刊)から抜粋

歌手・加藤登紀子さん
東京大在学中にデビュー。国内外でコンサート活動を続け、千葉県内の農事組合法人の運営にも携わる。中国・ハルビン生まれ。67歳。

原発が各地で建設されていたころ、反対派イベントに出演。1981年には原発労働者を題材にした曲「闇のジプシー」を作った。97年に「原発ジプシー」と曲名を変えて発売。しかしレコード会社がすぐに発売中止にした。

「“ジプシー”が差別的表現などという説明だったので反論できなかった。実際は“原発”という言葉が問題視されたのだと思う」

「メディアなども深く関わりながら、原発依存型の社会をつくってしまった。福島第1原発事故まで脱原発世論が広まらなかったのは、反対する勢力は次々に踏みつぶしていくぞという目に見えぬ力を、多くの人が感じていたことが背景にあるのではないか。『脱原発社会』をつくっていくのは容易ではないが、これからは原発の反対・推進の壁を取り払い、みんなで原発をやめる努力をしなければいけない時だと思う」

枝野幸男経済産業相は原発の安全性に「100%はない」と明言する。しかし政府は、停止中の原発は安全性を確認した上で再稼動させる方針。「原発ゼロ」を目指すのか、将来の方向性は示していない。

福島第1原発とは別の原発が大きな事故を起こしたら、もう日本はアウト。ところがその可能性はゼロではない。例えば玄海原発(佐賀県玄海町)などでは通常の原子炉で、一般の燃料より危険性の高いプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やしている。MOX燃料は使用済み核燃料の再利用だから廃棄物は出さないと誤解している人もいるようだが、再処理過程で大量の高レベル廃棄物を出す危険な作業だ。地震国で、どうしてそんな危ないことをやるのか。どう考えてもおかしい

「放射能汚染で計画的避難区域に指定された福島県飯舘村で5月にコンサートをした。『までいな村』(「までい」は東北地方の方言で、手間をかけるの意味。心をこめて、つつましくなどの感覚も含む)をモットーに、素晴らしい地域づくりをしてきながら、故郷を失った人々に『命結―ぬちゆい』という歌を贈った。こんな悲しみを繰り返すことがないよう、早く脱原発に方向転換するべきだ」

経済界などは、コストが安く安定した原発は欠かせないと主張。一方、共同通信社が8月に実施した世論調査では「脱原発依存」への賛意が7割を超えた

「一極支配のような巨大な原発ではなく、電力供給を地域分散化すれば、送電時のロスも少なく十分足りるはず。これからは地域地産型と省エネ型の産業にこそ未来の可能性がある」

原発依存の文明は崩壊した。基本的には消費と生産でプラスマイナスゼロのバランスを取る生活に転換すべきだ。プラスマイナスと書いて『土』。土は多くの恵みを与えてくれる。これまで培ってきた生きる知恵も、休耕田も、地方にはたくさんある。生き方をチェンジする勇気を持ってほしい。津波で被害に遭われた多くの方も、ゼロから歯を食いしばって生きている。これからも命を守る側を、歌を通して支援したい」

「チェルノブイリ膀胱炎」 尿から内部被ばく

『チェルノブイリ膀胱炎』 尿から内部被ばく
(2011年9月14日 東京新聞)から抜粋

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福島第一原発事故から半年、子どもの尿から放射性セシウムが検出されるなど、福島県内では内部被ばくの危険にさらされている。チェルノブイリ原発事故で、がん発症の因果関係が認められたのは小児甲状腺がんのみだった。だが、土壌汚染地域からはセシウムの長期内部被ばくによる『チェルノブイリ膀胱炎』という症例の報告もある。提唱者で医学博士の福島昭治・日本バイオアッセイ研究センター所長に話を聞いた。

20年で2倍 研究者の福島氏 危惧

「セシウム137は、膀胱にたまり、尿として排泄される。絶えず膀胱に尿がたまっている前立腺肥大症の患者なら『影響が出やすいのでは』と思ったんです。」化学物質の健康被害を研究する同センター(神奈川県秦野市)で、福島氏は研究に取り組むきっかけを振り返った。

1986年4月、旧ソ連、現ウクライナでチェルノブイリ原発事故が発生。10年後の96年、大阪市立大学医学部第一病理教室教授だった福島氏は、ウィーンで開かれたWHOの会議に出席した。その際、事故の健康被害を研究していたウクライナの教授らと意気投合し、共同研究を始めた。同国では、10万人当たりの膀胱がんの発症率が86年に26.2人だったのが、96年には36.1人と、約1.3倍に増加していた。

原発事故で大量に放出されたセシウム137は土壌に付着し、放射能は30年で半減する。汚染されたほこりや食品などを口から体内に取り込むと、腎臓を通って尿から排泄されるのは40日から90日もかかる。「セシウムによる長期被ばくが原因ではないか?」そう考えて福島氏らは94年から2006に、前立腺肥大症の手術で、切除された膀胱の組織(131例)を分析し、その多くに異常な変化を見つけた。

「顕微鏡で組織を見て、すぐに『これは今までに経験のない病変だ』と驚いた。」と福島氏。通常は同じ大きさに整然と並んでいるはずの上皮の細胞が不揃いな形に変化しており、上皮の下にある粘膜の層には液がしみ出して、繊維と血液が増えていた。

福島氏らは、居住地別に患者を「高い放射線量地域」(一平方キロ当たり30?5キュリー=放射能の強さを表す単位)、「中間的な線量地域」(5?0.5キュリー)、「非汚染地域」の三グループに区分。高線量と中間的線量の地域の約6割で、膀胱がんの前段階である「上皮内がん」を発見した。一方、非汚染地域での発症はなかった。

病変は、DNAでがんの発生を抑える「P53遺伝子」などが、セシウムのガンマ線などで変異して損傷したのが原因とみられた。
福島氏らは、「膀胱がん化する恐れが高い慢性の増殖性膀胱炎」と結論づけ、04年に「チェルノブイリ膀胱炎」と命名した。

その後、同国の膀胱がんの発症率は05年には50.3人と、20年前の2倍近くにまで増加した。「長期にわたる疫学的な調査を実施していれば膀胱がんとの因果関係も分かったはず」と福島氏は力を込める。

日本でも、チェルノブイリ膀胱炎のような現象が起こるのだろうか。
先の3グループの患者の尿中のセシウム濃度は1リットル当たり平均で、高線量地域は約6.47ベクレル。中間的線量地域が約1.23ベクレル、非汚染地域で約0.29ベクレルだった。

小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで

7月15日に発行された小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで衝撃を受けた。まず、序章に「研究者としての社会的責任」として、次のように書かれている。

政府や東京電力の情報隠しは目に余るほどで、1号機、2号機、3号機が実はメルトダウンしていると、5月になって発表されました。このような情報隠しは国民を欺き、危険に追い込むものです。そこでサイエンティスト有志が次のような提言書を、4月18日付で提出しました。

提言書

内閣総理大臣 菅 直人殿

(前略)

当面の緊急対策について私たちの危惧と提言をさせて頂きます。

 すでに信じがたいほどの放射能が拡散しています。その上、事故原発の状況も不透明、収束の見通しも立っておらず、今後も異常事態の重なる危険はいまだ消えていないようです。この状況の中で、近隣住民への放射線被曝の不安解消への真剣で具体的対策を強める必要があります。とくに子供と妊婦には慎重な配慮と施策が求められています。

(1) 現在、公表されている大気中の放射線量や甲状腺の内部被曝量は恐るべき高水準にある。30km圏外飯舘村や川俣町、いわき市などでも、その現状は危惧ですますことのできない高レベルの汚染である。まず緊急対策として幼児・妊婦の疎開に政府は責任をとり、そのために経済的支援を用意すべきである。

(2) 学校敷地、通学路、公園など子供の生活空間・敷地については、早急なる除染の作業を行い、被害軽減の対策を進めることが必要である。

以上提言するに当って、現状の放射能汚染の深刻さに注意を重ねて喚起しておきたいと思います。従来より、放射能の危険から従業員と公衆を守るため、法令によって、「管理区域」を定め、事業者に業務遂行上の必要のある者以外の立ち入りを禁止させています。管理区域は「3ヶ月につき1.3mSvを超えるおそれのある区域」と定められていますが、時間当たりにすると0.6μSvとなります。公表されている大気中の放射線量だけに限っても広範囲の地域が長期にわたって、高濃度の汚染です。たとえば浪江町(赤宇木)では25.3μSv/h(4月16日現在)ですから、規制レベルの実に40倍を超えています。遠く福島(1.87μSv/h)、郡山(1.82μSv/h)でも約3倍の高水準の汚染です。妊婦や幼児がその地域に生活し続けている事実に注目し、深く憂慮いたします。

 現実的政策には多くの困難のあることは承知しておりますが、妊婦と幼児への対策として、高濃度汚染地域から可及的速やかに実施されることを、重ね重ね強く提言したいと思います。
                                 
2011年 4月 18日
    
原発事故と今後を憂うるサイエンティスト有志
石田 紀郎、今中 哲二、荻野 晃也、海老沢 徹、川合 仁、川野 眞治、小出 裕章、小林 圭二、柴田 俊忍、高月 紘、槌田 劭、中地 重晴、原田 正純、松久 寛

連署者紹介

石田 紀郎   元京都大学教授 現市民環境研究所代表理事
今中 哲二   京都大学原子炉実験所助教
荻野 晃也   元京都大学講師 現電磁波環境研究所主宰
海老沢 徹   元京都大学原子炉実験所助教授
川合 仁    現代医学研究所代表 医師
川野 眞治   元京都大学原子炉実験所助教授
小出 裕章   京都大学原子炉実験所助教
小林 圭二   元京都大学原子炉実験所講師
柴田 俊忍   京都大学名誉教授(機械工学)
高月 紘    京都大学名誉教授(環境保全学)
槌田 劭    元京都精華大学教授 使い捨て時代を考える会
中地 重晴   熊本学園大学教授 環境監視研究所代表
原田 正純   元熊本学園大学教授(水俣学)医師
松久 寛    京都大学教授(機械理工学)

サイエンティストとは科学者、研究者を指しますが、学問は社会とつながっているものですから、その責任は重大にもかかわらず、どれほどの科学者がその認識を持っているのか、心もとない限りです。私はこの40年間、科学と社会を切り離し、科学の領域に逃げ込んで自己保身を図るような「専門ばか」には決してならないよう自戒してきました。たとえば前述した「原子力村」の住人になるのは、私にはできないことでした。

福島第1原発事故のあと、政府や多くの科学者が、放出された放射性物質が大量にもかかわらず、「安全だ」「すぐには健康に影響しない」などと発言し、新聞やテレビもそれを受け入れてきました。

私は以前、原子力学会のメンバーでしたが、副学会長に関西電力の元社長が就任したときに脱会しました

5 原発は差別の問題である

犠牲を強いられる過疎地の住民

東京電力の原発は、福島第一・第二原発、柏崎刈羽原発(新潟県)と、すべて営業地域の外に建てられているのですから、原発周辺の住民が怒る気持ちは当然です。東京都の石原慎太郎知事も「原発を東京湾に作ればいい」と発言していました。でも、実はそれは不可能なのです。法律で、原発は過疎地に作ることが義務づけられているからです。

人口が密集する大都会周辺に、危険な原発は作れない」ということなのです。これを差別と言わず、何と言うのでしょうか。

原発の燃料の必需品であるウランは、米国やオーストラリアで採掘されますが、その場所は多くの場合、先住民族が住んでいて、彼らが大きな犠牲を強いられています。採掘場で低賃金労働を強いられ、しかも彼らの土地には汚染物質がばらまかれているのです。

私たちは日本のことだけでなく、世界の「原発差別」にも目を向けることが必要だと思います。

行き詰まる六ヶ所再処理工場と、最終処分場の建設

日本では、原発を運転して生じた使用済み核燃料を、再処理するとしています。その工場は、青森県の六ヶ所村に作られています。そして、全国の使用済み核燃料を集め、その中から核燃料のウランとプルトニウムを取り出すという処理工場が現在、試運転中です。しかし、この六ヶ所再処理工場は、操業開始予定が1997年であったのに、トラブル続きのため、今では何と2012年10月に延期され、それですら絶望的です。

六ヶ所再処理工場では年800トンを処理する計画ですが、試運転中に工場から大気中と海に放出された放射性物質の汚染はすでに深刻な状態にあり、しかもその汚染は、隣接する岩手県内部や三陸海岸にも広がっています。されに再処理工場周辺の井戸からは、全国平均の7倍に当たるストロンチウム90が検出されたという報告もあります(2010年7月)

6 福島第一原発の暴発は防げるか

綿々と続く被爆覚悟の大工事

建屋内の空気を浄化するフィルター工事、格納容器の底に溜まった汚染水を循環させるための配管を設ける作業、水位を測る計測器の調節など作業員の多大な被曝があって初めて、最悪の事態が防げているのです。本当にありがたいと思います。下請け、孫請け会社の社員だけでなく、東京電力の社員、日立、東芝など原子炉メーカーの社員も建屋の中に入っているはずです。彼らの苦闘が実を結ぶことを願います。

ついに立ち上がった技術者OBたち

元住友金属工業の技術者だった山田恭暉さん(72歳)が、「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」を立ち上げ、次のような呼びかけを発表しました。

———————————–

 「福島原発 暴発阻止行動 プロジェクト」結成へむけて

 福島第一原子力発電所の現状についてはいまさら説明するまでもありません。しかし確認しておかなければならないことは、次の事実です。

1 暴発を防ぐためには、ホースによる散水のような一時的な処置ではなく、10年の単位の時間安定して作動する冷却設備を設置し、これを故障することなく保守・運転し続けなければならない。

2 この冷却設備の建設・保守・運転は、すでに高度に放射能汚染された環境下で行わざるを得ない。

3 もし、安定した冷却設備を建設・保守・運転できなければ、3000 万人もの人口を抱える首都圏をも含めた広範な汚染が発生する可能性がある。

 このような最悪のシナリオを避けるためには、どのような設備を作ることが必要か、放射能汚染を減らすためにどうしたらよいか、などなど、数多くの技術的課題があることはもちろんです。この点についても日本の最高の頭脳を結集した体制ができていないことは大きな問題です。さらにもう一方では、最終的に汚染された環境下での設備建設・保守・運転のためには、数千人の訓練された有能な作業者を用意することが必要です。現在のような下請け・孫請けによる場当たり的な作業員集めで、数分間の仕事をして戻ってくるというようなことでできる仕事ではありません。

 身体の面でも生活の面でも最も放射能被曝の害が少なくて済み、しかもこれまで現場での作業や技術の能力を蓄積してきた退役者たちが力を振り絞って、次の世代に負の遺産を残さないために働くことができるのではないでしょうか

 まず、私たち自身がこの仕事を担当する意志のあることを表明し、長期にわたる国の体制として退役した元技能者・技術者のボランティアによる行動隊を作ることを提案し要求していきたいと思います。

当面次のことを提案します。

この行動隊に参加していただける方を募集します。
原則として60 歳以上
、現場作業に耐える体力・経験を有すること

5 この行動隊を作ることに賛同し、応援していただける方を募集します。
(原文のまま)
————————————–

小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで衝撃を受けたのは、このあとの文章である。40年間、原子力を研究し、放射能の怖さを知り尽くし、原発に反対し続けてきた小出さんが次のように書いている。

これからの作業には、どうしても人手が必要になります。しかし、限られた若い作業員だけに大量の被曝をお願いするのは非道というものであり、また技術者OBであれば、慣れない作業員より効率的に働けるかもしれません。

私は山田さんのプロジェクトに賛同しました。このプロジェクトは東京電力から拒否されたようですが、事故収束を図る東京電力の苦境が深まる中、実現の可能性も見えてきています。実際、5月末には細野剛志首相補佐官(現・原発事故収束・再発防止担当大臣)と山田さんらが会談し、今後のことについて語り合ったそうです。プロジェクトが現実に動き出す可能性が出てきました。

このプロジェクトは、別名「シニア決死隊」とも言われているそうですが、呼びかけ人の山田さんに気負うところはなく、「合理的に考えたら、経験のある技術者の自分たちが行くべきではないかと思います。死ぬ気はありませんが、あとの世代を生かすために行くつもりです」と淡々と語ります。

前述しましたように、私は原子力に携わってきた人間として、福島第一原発事故の責任の一端は負わなければならないと思っています。事故の収束に向けて自分にできることがあれば担いたいと思い、プロジェクトに参加することにしました。私も60歳をすぎて、放射能感受性がとても低くなっていることも、参加理由の一つです。


高齢技術者「若い奴にはやらせない」原発暴発阻止プロジェクト
(2011/4/22 週刊金曜日)

一般社団法人「福島原発行動隊」への応募よびかけ

小出裕章さんインタビュー(9月9日 毎日新聞)

小出裕章さんインタビュー(9月9日 毎日新聞)

ある人がこう言った。
「日本に、小出裕章というモラルを持った専門家がいることが、原子力の専門家全体に絶望することを防いでいる」と。

もちろん、小出さん以外にもモラルを持った専門家がいることを私は知っているが、一方で原子力の世界には、モラルよりもマネーや社会的地位を優先する専門家が山のようにいることを多くの市民が知り始めている。

「炉心が溶融するような事故は日本では起こらない」と彼らは言い続けてきた。そして、世界最悪レベル7の事故が起こっても、レベル4だと過小評価した保安院の発表を否定しなかった。保安院がレベル5からレベル7に変更したのは事故から1ヶ月も過ぎた4月12日であった。

海外では、3月中下旬に「レベル6以上」と評価していたが、本当は、事故当初から既にレベル7の基準を1桁上まわる放射能を放出していた。そのことを大半の専門家が1ヶ月も否定しなかったことで、多くの住民が無用な被ばくを受けてしまった。彼らはテレビで過小評価をし続け、「安全デマ」を流し続けた。

小出裕章さんは、事故当初から市民(特に子どもたち)を守る立場から発言を続けている。
日本の政府は、当初はレベル4だと言った。1週間たってようやく5だと言い出し、そのままずっと来ていたが、事故が起きた翌日には水素爆発も起きて大量の放射能が出てきたわけだし、東京までが15日16日には濃密な汚染を受けたわけで、とっくの昔にレベル7だと言わなければならなかった。世界的な信用が失墜し、住民の避難も、一番はじめは『万一を考えて3キロ』と彼らは言った。次に『万一を考えて10キロまで避難をさせます』と言った。そして『万一を考えて20キロまで避難をさせる』と、どんどん後手後手にまわっていくことになった。避難が遅れた人たちは、相当な被曝をしている。今現在も汚染地帯に残っている人たちは、被曝が蓄積していってる。もう何十万の人たちがチェルノブイリと同じような被曝をしている」

40年間、原発に反対し続けている小出裕章さんが、この時代に居ることに感謝したい。(小出裕章さんの「原発はいらない」を読んで

以下は、毎日新聞の小出さんへのインタビュー

福島第1原発:京都大原子炉実験所・小出裕章助教に聞く
(毎日新聞 2011年9月9日)

 3基の原子炉が同時にメルトダウン(炉心溶融)するという未曽有の事態に陥った東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)。世界最悪「レベル7」の事故は、半年を経ても放射性物質の放出が止まらず、現場では被ばくの危険と隣り合わせの作業が続く。

 原発に批判的な立場から福島第1原発事故を見続けてきた京都大原子炉実験所の小出裕章助教(62)に、今後予想される展開や課題を聞いた。

 ◇遮水壁、一刻も早く

―福島第1原発事故から半年が経過するが、感想は?

小出 事故が起きた時、私は「勝負は1週間で決まるのではないか」と考えていた。つまり、放射性物質を封じ込めることができるか、日本が破局に陥るかは1週間で決まると思っていた。しかし1週間たっても1カ月たっても、半年たってもどちらに転ぶか分からない不安定な状況が続いている。こうした事故の進展になるとは、だれも予測できなかったのではないか。

―今後予測されるリスクや懸念材料は?

小出 事故は現在進行中で、大量の放射性物質が外に出た。ただ、大量の放射性物質が、原子炉と使用済み核燃料プールの中にまだ残っている。今後もっと大量の放射性物質が環境に出る可能性があると考えている。

―具体的には?

小出 東電は5月、1号機については水位計を調整した結果「すでに炉心の中には水はない」と言い出し、メルトダウン(炉心溶融)を認めた。炉心に水がなければメルトダウンは避けられないし、圧力容器の底も抜け、溶けた燃料の溶融体が格納容器を損傷する可能性もある。その場合、溶融体が原子炉建屋の床を突き破って地面に潜り込んでいる事態もありうる。海洋や地下水に放射性物質が拡散しているかもしれない。溶融体が地下水に接触しないよう「地下ダム(遮水壁)」の建設を進めるべきだ。東電の試算によると1000億円レベルの費用がかかるため、株主総会前には建設を表明できないとして、発表を一時取りやめた経緯があった。本来は一刻も早く着手すべきだった。

 2、3号機については「炉心の半分まで水位がある」という情報もある。ただし水位計が壊れている可能性もある。もしそうなら2、3号機もメルトダウンし、燃料が地下に潜り込んでいる可能性もある。正確な情報がなく、実際のところは分からないため、いろんな可能性を考えなければいけない。

 もし炉心に水があって完全に溶融していない場合、冷却に失敗すれば2、3号機で水蒸気爆発が起きる可能性がある。もし水蒸気爆発が起きれば、圧力容器は破壊され、外側の薄っぺらい格納容器も破壊される。放射性物質の放出を防ぐ壁は完全に失われる可能性がある。

―汚染水をリサイクルする「循環注水冷却」が何とか稼働したが、どうみているか?

小出 政府や東電は「循環注水冷却」の稼働を喧伝(けんでん)しているが、そんなことは「瑣末(さまつ)なもののさらに瑣末なもの」だ。1号機のように燃料が格納容器の底に沈み込んでいるなら、水を注入しても同じではないか。東電のデータが正しいなら、1号機に関する限り、水を入れることはあまり意味がない。むしろ遮水壁を作る方に力点を移すべきだ。2、3号機についてはまだ燃料が溶け落ちていないことも考えられるので、水を送り続けなければならない。それよりも、放射性汚染水が11万立方メートルもたまっている現状を重視すべきだ。

 4月に2号機の取水口付近のコンクリートの穴から汚染水が海に漏れているのが見つかった。あの場所だけから漏れていることはあり得ない。原発施設はコンクリートで覆われており、地震や津波でいたる所が割れていると考えられる。壊れないコンクリートなどあり得ない。2号機取水口の漏れは、たまたま見える場所にあったから見つかっただけで、氷山の一角だ。地下などでは亀裂からどんどん地下水へ漏れている可能性がある。「あと何センチであふれる」という視点ではなく、「今の漏れを何とかしなければいけない」という議論をすべきだ

 冷却方法を循環式にしたところで、放射性物質が消えてなくなるわけではない。鉱物「ゼオライト」は放射性セシウムを吸着するが、セシウムを吸い込んだゼオライトの塊が残る

―東電は工程表で、1月までの「冷温停止」を目指しているが。

小出 「冷温停止」という言葉は専門用語だが、「圧力容器の中の健全な核燃料を100度未満にする」という意味だ。でも、今は炉心が溶け、圧力容器の底が抜けていると東電自身が言っている。それなら「冷温停止」も何もないのではないか。工程表が発表された4月、東電は「炉心は(健全な状態に)ある」と言っていた。そんな前提が崩れてしまっている以上、「冷温停止を目指す」目標にどんな意味があるのか教えてほしい。

―菅直人前首相は、事故にかかわる「中間貯蔵施設」を福島に造りたいと言った。

小出 今後、がれきや汚染水処理で生じる汚泥など、大量の放射性物質の保管が課題になる。世界中に飛んで行った放射性物質は、そもそも福島第1原発の原子炉の中にあったものであり、東電の所有物だ。それが東電の失敗で外部に出たのだから、東電に返還するのが筋だ。事故で出た廃棄物は(東京の)東電本店に持って行くべきだ。原発を地方に押しつけてきた東京の人たちはぜひ受け入れてほしいと思う。

 それでは土地が足りないので、福島第1原発敷地の中へ運ぶべきだ。本当に言いたくもないが、福島第1原発周辺で人が帰れない場所を「核の墓場」にせざるを得ないだろう。ただし、一般の原発から出た使用済み核燃料の「中間処理施設」にすべきではない。どさくさに紛れて保管を福島に押しつけることは絶対にあってはならない。

―経済産業省原子力安全・保安院が環境省の外局に設置される「原子力安全庁(仮称)」として再出発することをどう見ている?

小出 経産省であろうが環境省であろうが、「原子力の推進」が国策なら立場は同じ。原子力推進の国策の中で、原子力の安全を確保できるわけがない。なぜなら、原子力は危険なものだからだ

 私は毎日毎日事故が起きると言っているわけではない。しかし原発は時として事故が起きてしまうものだということを理解しなければならない。原子力を推進しながら、安全を担保できるかのように言うことは間違いだ。つまり、原子力をやめる以外に安全の道はないというのが私の主張だ。あり得ないが、もし私に「原子力安全庁長官になってほしい」と要請してきてもお断りする(笑い)。どんなに願っても「安全な原発」はあり得ない。

―菅直人前首相が、中部電力浜岡原発の停止を決めたことの評価は?

小出 停止自体は評価できるが、防潮堤などの地震対策が完成すれば運転再開してもいい、という含みを残したまま今に至っている。中電が本当に運転を再開したければ、再開できる余地が残っている。

―緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の結果公表が遅れるなど、事故に関する国や東電の情報公開について

小出 少しでも危険だと受け取られる情報は隠すべし、というのが国の姿勢。国が恐れているのはパニックであり、住民の安全は二の次だということが今回の事故ではっきりした。国など組織の前で個人が無力になるのは、第二次世界大戦中もそうだった。今は本当に「戦争」のような事態だ

―原発内の情報も、東電を通じてしか出てこない。

小出 今も人々を被ばくさせ続けている当事者が、情報でも何でも一元管理しているのはあり得ない話だ。国も東電もふんぞり返って「データをやるぞ」という態度。とんでもない話だ。

―政府は国際評価尺度(INES)のレベルを事故当初、過小評価した

小出 日本原子力学会に所属する研究者は山ほどいるが、事故がとんでもない状況になっているにもかかわらず「レベル4」と言い張る研究者もいた。原子力を推進した自分の責任を逃れたいと思い、事故ができるだけ小さくあってほしいと思いながら発言した結果だ。日本原子力学会は「個人の責任を問うべきではない」との声明を出しているが、自分が間違ったと思うなら公表するぐらいの気構えが必要だ。また、福島第1原発を誰が認可したのか。当時の原子力委員会、原子力安全委員会、そして経産省のたくさんのワーキンググループに入った専門家が責任をとることは当たり前だ

―政府の事故調査・検証委員会(事故調)にはどんな事実関係を明らかにしてほしいか。

小出 一つ一つのデータをきちんと公表する。さらに、そのデータを東電が自分たちに都合のいいようにシミュレーションしている可能性があるので、シミュレーションのやり直しをさせるべきだ。もしそれが実現できれば、おそらく福島第1原発は津波ではなく、地震で壊れたことが明らかになるのではないかと思う。事故調は「個人の責任を追求しない」と表明しているが、事実関係を明らかにするだけでなく、責任を明確にすべきだ

―廃炉はどう進めるべきか?

小出 メルトダウンした燃料をどうやったら回収できるのか、私には想像すらできない。米スリーマイル島原発事故(79年)では、燃料が圧力容器にとどまっていたため何とか回収できた。これだけでもずいぶん大変だった。しかし、福島の場合は核燃料が地面にまで潜り込んでいる可能性があり、回収には10年、20年単位の時間が必要だろう。私たちは人類史上、遭遇したことがない事態を迎えている

 こいで・ひろあき 東京都生まれ。74年、東北大大学院工学研究科修士課程修了。工学部原子核工学科在籍中の70年、東北電力女川原発の反対運動に参加したのを機に、反原発の研究者になることを決意。74年から現職。専門は放射線計測、原子力安全。

毎日新聞 2011年9月9日 2時32分(最終更新 9月9日 2時45分)

2011/09/14

「微量」の放射性ヨウ素検出 柏崎刈羽、定検中の7号機

微量の放射性ヨウ素検出 柏崎刈羽、定検中の7号機

 東京電力は14日、定期検査中の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)7号機の主排気筒から、微量の放射性ヨウ素を検出したと発表した。外部環境や作業員への影響はないとしている。

 東電によると、13日午後1時半ごろ、原子炉建屋の排気が通る主排気筒のフィルターの測定で、国が定める測定下限濃度以下のヨウ素を検出した。フィルターは7日から13日まで設置していた。

 7号機では昨年9月、燃料棒被覆管に微小な穴が開き、燃料棒から放射性の気体が漏れるトラブルが発生
2011/09/14 19:12 【共同通信】

              ↓

以下の新潟県の記事では、「3月に採取したホンダワラ(海藻)などの試料から放射性セシウム及び放射性ヨウ素を検出」したことを福島原発の影響と新潟県は伝えているが、上の記事を見ると柏崎刈羽原発7号機で昨年9月、燃料棒被覆管に微小な穴が開き、燃料棒から放射性の気体が漏れたものかもしれない

              ↓

柏崎刈羽原子力発電所周辺監視調査において、一部の試料から極く微量の放射性セシウム及びヨウ素を検出しました
(2011年05月13日 新潟県原子力安全対策課

 新潟県、柏崎市、刈羽村及び東京電力(株)の協定に基づく環境放射線監視年度計画に従って、柏崎刈羽原子力発電所周辺で3月に採取したホンダワラ(海藻)、降下物及び浮遊じんなどの一部の試料から、極く微量の放射性セシウム及び放射性ヨウ素を別紙のとおり検出しましたのでお知らせします。

 なお、今回の測定値について、新潟大学工学部今泉洋教授から次の評価をいただきました。

セシウム134(※)が検出されたことは、福島第一原子力発電所の影響が有意に表れたものと考えられる。しかし、今回の測定値は健康に影響を与えるレベルではない。今回の測定結果を踏まえ、引き続き、監視を継続していく必要がある。」

 ※ セシウム134の半減期:2.06年

浜岡再稼働で静岡知事 使用済み核燃料の処理も条件

浜岡再稼働で静岡知事 使用済み燃料処理も条件
(2011年9月13日 東京新聞朝刊)

 国の要請を受けて五月から運転を停止している中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、静岡県の川勝平太知事は十二日の定例会見で「使用済み核燃料が処理されるめどが立つまでは再稼働させるべきではない」と述べた。

 川勝知事はこれまで、東海地震の震源域にある浜岡原発の再稼働の是非は、県として独自に判断するとの意向を繰り返し明らかにしていたが、今回はより踏み込んで条件を示した。

 会見で川勝知事は、防波壁を十八メートルにかさ上げする中電の津波対策を「これ以上できない形で対応している」と評価する一方、「使用済み核燃料をどうするかは出ていない。どうしたらそれが処理できるか、(中電は)現在その技術を持っていないというのが私の認識だ」と話した。

 中電によると、三月末時点で浜岡原発の原子炉建屋内のプールには、使用済み核燃料計六千六百二十五体が保管されている。福島第一原発の事故では、津波で燃料プールの冷却機能が失われ、使用済み核燃料の温度が再上昇した

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