トセパン基金 ‐現在の支援プロジェクト その1 “教育プロジェクト“(2019年11月)‐

 トセパン協同組内には、ナワット語で“私たちの学校”を意味するトセパン・カルネマクスティロヤンという学校(幼稚園から中学校まで)があります。組合員の子どもたちが通っていますが、メキシコ国内で行われている教育に先住民文化を取り入れた学校教育のシステムを作ろうと、教育プロジェクトをスタートさせました。それは、先住民族としてのアイデンティティや自信、幸せを高めると同時にチームワークを促し、自然を敬い、自分たちの土地に根ざし、これを守ることによってすべての人の中に教育の価値が置かれるというものです。教科書づくりはこのプロジェクトで取り組む課題の一つで、先住民の文化や知識を学べる辞典も作成したいと考えています。

小学校のミカエラ先生

小学校のミカエラ先生

 トセパンの学校は公的な援助を受けていないので、運営していくことが大きな課題です。現在は、幼稚園から中学校までおよそ150名の子どもたちが学んでおり、それぞれの段階に応じて適した教材を作るサポートをしています。 具体的には、以下の取り組みを行っています。

・小学校と中学校の間の連携を促すことで、効率よく教育上の問題を解決する
・2019年から2020年に学校で学ぶ子どもたちの数を増やす
・子どもたちの創造力をさらに育むための教育上インフラ(雨水取水装置の導入、農地の聖地など)を
 提案に基づき進める
・ナワット語の教材の充実と教室内での活用

ナワット語の教材

ナワット語の教材

 これまでもこの教育プロジェクトには日本の皆さんからもご支援をいただいてきましたが、引き続き取り組むとともに、新たなかたちでこのプロジェクトを広げていきたいと思っています。

 実は、トセパン協同組合があるシエラノルテ地方では、この数年、若者による犯罪や暴力が増え、地域で大きな問題となっていました。組合内での会議でもこの問題は議題に上りました。組合としては、若者が犯罪活動からの誘いを拒絶できるよう、より良い機会を与えていくためのステップを明らかにし、出来る行動をとっていくことを考えています。

 こうしたことから、私たちは今年2019年を“若者の年”とし、私たちが大切にしている価値観を高めていくことを目指しています。しっかりと検討された提案に沿って、組合内の教育プロジェクトを推し進めていくことは、下記の2点を強化するための基礎になると考えています。

1 組合内の学校において、より多くの目標、めあて、大切な言葉などを掲げ、それが実行できるよう
 行動すること
2 「団結、連帯」という文化的な価値に焦点を当てた道徳教材を制作していくこと

授業風景

授業風景1

授業風景2

授業風景2

 これと共に、2015年からスタートしている音楽プロジェクト“セカンバ・イェクネメリス”への支援も強めていくということも決まっています。このプロジェクトは、トセパン協同組合とメキシコの公的機関「オーケストラ音楽の研修センター」との連携で行われており、若い人たちにコミュニティの中で音楽教育に関わってもらうものです。コミュニティの一員であるというバックグラウンドの中で、音楽的な基礎に関心を持つことにより、自分たちの文化の価値を見直し、文化的活動を発展させていくことにつながります。また、その中でプロモーターやリーダーとしての経験を積んでいくことを促すことにもつながります。現在、6歳の子どもから26歳の若者まで50名がこのプロジェクトに関わっています。

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