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ブラジル、ジャカランダ農場

さまざまな動物が生息するジャカランダ農場
そこから広がる有機無農薬コーヒーの輪

 3月9日にコロンビアからブラジルに飛び、そのまま、昨年からフェアトレードがスタートしたラゴア村を訪問したのですが、その訪問にウベランジャ大学のデビッド教授が同行しました。デビッドさんは「家族農業」という本を書いた人で、その本は16カ国で出版されています。彼は、ラゴア村の小農民が日本と無農薬コーヒーのフェアトレードを始めたことに、強い関心を持っていました。小農民の自立と家族農業は密接な関係にあり、来年の国際会議にも協力して下さることになりました。

 ジャカランダ農場では、カルロスさんだけでなく、長男のエルマスさん、三男のフーベンスさんとも来年の地元で開く国際会議について話し合いました。3人とも大変喜んで下さいました。カルロスさんの甥が副市長だそうで、市も協力してくれることになりそうです。この他に2つの嬉しいニュースを聞きました。
1つは、近年、ジャカランダ農場には、たくさんの動物が戻ってきており、特にこの2年くらいはそれが目立つそうです。農場の子どもたちによれば、アルマジロ、アリクイ、シカ、いろんな鳥、イグアナ、ヤマアラシ、スカンク、森の犬、森の猫を見かけるそうです。それに比べて他の農場ではあまり動物を見ないけど、農薬散布の後に小さな動物が死んでいるのを見るそうです。
 もう1つは、有名なイタリアのコーヒー会社が開催した味覚コンテストでジャカランダ農場のコーヒーが決勝に残ったというニュースです。このコンテストは、有機とか無農薬とかの栽培方法には関係なく、味だけで決められたそうです。

 エクアドルのインタグコーヒー、コロンビアのアピアコーヒー、そして、ブラジルでもジャカランダ農場の影響を受けて、有機栽培に取り組む生産者がどんどん増えています。ラゴア村小農民協会の無農薬コーヒーも2〜3年後には、大幅に生産量が増えます。そうした生産量の増加にできるだけ対応し、生産者の希望に応えていきたいと思っています。

 来年2000年3月にブラジルで「有機コーヒー・フェアトレード国際会議」を開催する理由は、南米各国の生産者間での有機栽培の相互学習や消費者と共にフェアトレードを学ぶこと等いろいろありますが、最大の理由は今後、生産が拡大していく有機コーヒーをフェアトレード(相場がいくら下がっても生産原価以下では買わない)で安定して買い支えていく団体、個人を増やしていくことにあります。対外的にも、マスコミ等を通じて幅広く有機栽培とフェアトレードの重要性をアピールしたいと思っています。幸い、ブラジルの2つの大学と地元の農業学校が協力を約束しており、農業学校の校長は「是非とも、うちの学校を会場に使って欲しい」と申し出ています。この農業学校は今年1月から有機栽培のコースをスタートさせましたが、ジャカランダ農場のアイルトンがこの学校に通い始めた頃は、近代農法一辺倒の教え方をしていました。教員たちが、ジャカランダ農場に見学に来はじめてから、流れが変わってきたようです。こうした流れを大きくするためにも、皆さんのご協力をいただければ幸いです。

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