南米出張報告

2004年5月下旬から6月にかけて、ウインドファーム代表の中村隆市がブラジルのジャカランダ農場とエクアドルのインタグ地方を訪問してきました。今回は、ブラジルからの報告です。
04JACAcasio-nakamura.jpg

ブラジル・ジャカランダ農場で

 

「有機コーヒーキャピタル宣言」

「国際有機コーヒー・フェアトレードデー」である2004年5月22日。 ブラジルのミナス州マッシャード市で画期的な宣言が行われました。 それは、「カルロスさんのコーヒー」の故郷であるジャカランダ農場で宣言された「有機コーヒーキャピタル(首都)宣言」です。
04JACAdeclaration.jpg
(「有機コーヒーキャピタル(首都)宣言」が行われた会場)
この宣言の場に中村隆市も招待され、カルロスさんのシッキーニャ夫人、息子のフーベンスさん、孫のカシオさん、ブラジル有機コーヒー生産者協会の会長や有機コーヒー生産者、有機農業を大学や農業学校で教える教員、元市長、議員などと共に、その宣言にサインしました。

ジャカランダ農場はブラジル・ミナス州南部の良質コーヒー生産地として知られるマッシャード市にあります。そのマッシャード市議会において、この宣言を市として正式に宣言するかどうかが議論され、圧倒的な賛同を得て、「有機コーヒーキャピタル」を宣言しました。

世界最大のコーヒー生産国であるブラジルで、初めて「有機栽培の首都」を宣言したことになります。同時に、マッシャード市を有機コーヒー栽培の「首都」に育てたカルロス・フランコさんを偲ぶ催しも行われました。

カルロスさんは、人も自然も、すべてのいのちを大切にする人でしたが、特に、世界の子どもたちの幸せをいつも願っていました。願うだけでなくストリートチルドレンや病気の子どもたちの世話を50年近くも続けてきました。


(故カルロス・フランコさん)
「すべての生命はつながっていて、そのつながりによって私たちは生かされています。分かち合うこと、助け合うことが、私たちにこころからの平和と豊かさをもたらしてくれます。本当に豊かな生活とは、自然と共にあって、未来世代に希望を残していくことではないでしょうか。」

そんな言葉を残したカルロスさんは、ブラジルに有機農業の概念がなかった時代に、農薬の使用を中止して、人と土壌を大切にする栽培方法に取り組みはじめました。

カルロスさんが無農薬栽培を始めた1978年には、誰もそれを理解することができませんでした。農薬だけでなく化学肥料も使用しなくなったとき、生産量が低下して、逆に生産コストが上がりました。変人扱いをする人、嘲笑して馬鹿にする人もいました。

しかし、カルロスさんは質素な暮らしを続けながら、昨年亡くなるまで25年間、有機農業を続けました。それは、まわりの人びとにゆっくりと少しずつ影響を与えていきました。そして26年後の今日、マッシャードは市をあげて有機農業に取り組むことになったのです。

宣言の翌週に行なわれたブラジル有機コーヒー協会(ACOB)の会合において、カルロスさんの孫であるカシオさんが、協会の会長に推薦され、2代目の会長に就任することになりました。

カシオさんは、カルロスさんに農薬の怖さを教えた娘のテルマさんの息子です。カルロスさんに有機栽培の手ほどきを受けながら、大学院でも有機農業やアグロフォレストリー(森林農業)を研究して修士課程を終えました。

カルロスさんの存命中から二人で相談しながら、コーヒー園の中にいろいろな果樹や樹木を植えたり、空気中の窒素を土中に固定する豆科作物などを植えて、 コーヒー園のなかの生物多様性を豊かにしてきました。そうした熱心な姿勢がブラジル有機コーヒー協会の役員に支持され、会長に推薦されたのです。
04JACAfarm.jpg
(ジャカランダ農場の風景。コーヒーの間に様々な樹木が植えられている。)
カルロスさん亡き後、農場運営を誰が中心となって進めていくかが問題になっていましたが、息子のフーベンスさんと孫のカシオさんが中心となって農場を運営していくことになりそうです。
04JACAcassio-jubens.jpg
(カルロスさん後継者となるカシオさん(左端)とフーベンスさん(右端)とウインドファームの中村)
— 法案説明

市議会議長及び市議会議員 殿

当法案を提出するにあたり、誇り、喜び、そして満ち足りた気持ちでおります。
生産者であるイバン・フランコ・カイシェッタ氏のお招きにより、ジョゼ・カルロス・ジニス氏、ジョアオ・オッタビオ・フェヘイラ氏と共に、ジャカランダ農場における機運高まる会合に参加いたしました。

5月22日、国際有機コーヒーデー及びフェアートレードを記念するその日に、多くの生産者と共に、マッシャード農業技術学校と志を共にするACOB(ブラ ジル有機コーヒー協会)の代表者とも顔を会わせました。セルジオ・ペジーニ教授、そして日本より著名な中村氏の参加もありました。中村氏は長年に渡り、我 が町およびその他の国々からの有機コーヒー輸入に携わっています。

同じ試みに邁進する国々が多い中、世界に先立ち世界オーガニックコーヒーキャピタル宣言に達することは、我がマッシャード市の栄誉であり、歴史的にも重要 な、大きな意義を持つ出来事です。主にセーハネグラ地区における有機コーヒーの歴史については、日本で書籍が出版されてもいます。

カルロス・フランコ氏の家族やジャカランダ農場のスタッフを描写するに加え、オーガニックコーヒーの栽培、乾燥、販売に至るまで、全ての作業過程とその歴史に言及されています。

オーガニックコーヒーの栽培に伴い、日本で販売されるコーヒーパックにジャカランダ農場及び、愛するマッシャード市のセーハネグラ地区に関する案内が付されるに至りました。

故カルロス・フェルナンデス・フランコ氏の企業家精神、生活環境への配慮、そして、オーガニックコーヒー栽培を目指したパイオニア精神。彼はこの地におけ るコーヒー栽培への希望を膨らませてくれた、模範的な人物でした。また、故ワルテル・パルメイラ氏も含め、両氏の尽力が、マシャード市の今日この日、この 法令により、オーガニックコーヒーキャピタルを宣言する栄誉に導いてくれたのです。

カルロス・フランコ氏とその御家族による長年の後ろ盾により、昨今のマッシャード市には数々のオーガニックコーヒー生産者が誕生いたしました。ミナスジェライス州をはじめ、ブラジル、そして世界へと実例を示してきたのです。そして、当法案作成の動機付けへと、至りました。

当説明を通じて、法案作成の動機と、別紙の条項を明確にしたいと考える所存です。別紙は、5月22日の会合参加者と関係機関により受諾、署名を添えられました。

当法案の重要性を御理解いただき、議員皆様の御支持により、法案承認をお願い申し上げます。当法案は、我々の愛するマッシャード市にとり、世界的規範の骨子となることでしょう。

2004年5月27日 本会議場にて

市議会議員 ファビアーノ・シグノレッティ・レイテ

市議会議員 ジョアオ・オッタビオ・フェヘイラ

市議会議長 ジョゼ・カルロス・ジニス

— マシャード市議会

2004年5月27日 第350号法案 世界オーガニックコーヒーキャピタルについて

ミナスジェライス州マッシャード市民、当地の議員、そして私は市長の資格の下に、次の法令を承認いたします。

第1条:当法令の発布により、ミナスジェライス州南部に位置するマッシャード市は、世界オーガニックコーヒーキャピタルを宣言する。

第2条:前条項の宣言内容は、マッシャード市に組織され本部を置く、ACOB(ブラジル有機コーヒー協会)の承認を得る。ブラジル有機コーヒー協会約款と CNPJ(全国法人台帳)は、当法令の一部と成す。さらには、日本国のコーヒー輸入者の同意を得て、マッシャード市は、長年に渡りセーハネグラの農村地域 におけるオーガニックコーヒーの生産、輸出、販売に従事して今日に至る、そのパイオニアたることとする。

第3条:当法令はオーガニックコーヒー生産国、全てに向けられる。エクアドル、メキシコ、ベネズエラ、コスタリカ、グァテマラ、コロンビアなどその他諸 国。さらには、コーヒー生産に携わる全ての組合、地方自治体、国家、国際機関に対しても、マッシャード市は、世界オーガニックコーヒーキャピタルを世界で 初めて表明する。

第4条:当法令は発布日より、その効力を発する。

2004年5月27日 市議会議場にて

市議会議員 ファビアーノ・シグノレッティ・レイテ

市議会議員 ジョアオ・オッタビオ・フェヘイラ

市議会議長 ジョゼ・カルロス・ジニス

2004年6月14日 承認

有機農業で市発展に貢献 マッシャード市 中村隆市氏に名誉市民権
(サンパウロ新聞 2005年1月5日掲載)

中村隆市ブログ「風の便り」 コーヒー関連ブログ「豆の便り」 スタッフブログ「土の便り」