第14話 より良く生きるため、女性達よ集まれ

トセパンは多くの活動を女性と共に進めています。約480名の女性組合員は「地域委員会」を設置して、各村に代表を置いています。

「地域委員会」は、女性組合員のみが参加しています。委員会ではグループで活動を提案して、お互いを支え合い、共有事項を話し合い、生活をより良くする方法を模索しています。

地域委員会は、生産プロジェクト向けの基金を準備しました。この基金を活用して、パン屋さん、トルティージャ屋さん、とうもろこしの粉挽き屋さん、雑貨屋さんを開きました。さらに、果樹園、菜園、コーヒー、オールスパイスの栽培を家族、もしくは共同で進めてきました。鶏小屋、キノコ栽培場、民族衣装を作ることも家族単位やグループで取り組んでいます。

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トルティージャを焼く女性

現在、20の女性グループが活動をしています。グループのメンバーたちは自分たちの小さなビジネスによって融資資金を返済し、他のグループの仲間が融資を受けられるように努力をしています。

各プロジェクトは、共同の小規模ビジネスを展開しています。その収入は、家計を助け、トセパントミンの預金となります。また、お店が地域にあることで、生活に必須となるトウモロコシ粉、トルティージャ、パン、野菜、鶏肉など、良質なものを安価で手に入れることができます。

地域委員会の代表を務めるアウレリア・クアマヤットは次のように話してくれました。

「トルティージャ屋や民芸品の販売を始めるまでは、1日17時間ぐらい働いていたの。朝4時から薪運びをして、火を起こしてとうもろこし粉をつくり、水をかけてトルティージャを何枚も焼いていたわ。家族の食事をつくり、もちろん洗濯もするのよ。夜には布を織って、刺繍を加える。時には、明け方まで続ける日があったわ。

今は、小さなビジネスを仲間とやっているから、それで家計を助けることができるのよ。トセパンの生産プロジェクトは、グループの女性だけを助けるのでなく、地域社会の全ての助けとなっているわ。トルティージャや民芸品の注文があれば、お金も入ってくるし、資金を貯めたら他のプロジェクトを企画することもできるからね。」

民族衣装や民芸品の手づくりに取り組むグループについて紹介していきましょう。「ホノーテ」と言われる伝統的な繊維を使い、ブラウス、テーブルクロス、ナプキン立て等の民芸品をつくっています。これらの製品は、1985年にクエツァランに開店した組合の店舗で販売されています。店舗の資金は販売利益から得られていて、糸や布などの材料を購入しています。

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生産と販売のプロジェクトを通じて、女性たちはメキシコ国内のいろいろな場所へ出かけて行くこととなりました。それまで多くの女性たちは、クエツァランへ足を運ぶ以外の機会はあまり無かったのです。「社会的起業基金」(Foanes)が主催する展示会やフェアに出展することで、オアハカ、プエブラ、クエルナバカ、シウダービクトリア、メキシコシティー等を訪ねる機会を得ました。これは、地域外の人たちとの交流を広げ、女性たちの意識を高めることにもつながっています。

当初は、女性ということで、組合活動に参加することにハードルがありました。人前で話す習慣がなかったため、集会では極度の緊張もありました。さらに、家族や隣人からの批判や、周囲からの中傷もあったのです。

アウレリアはこう語ります。

「民芸品づくりに従事する女性組織の活動に加わるため、夫を説得することが最も大変だったのよ。夫の考え、地域の伝統では、女性は外で働かない方が望ましいということなのよね。「男が妻を養う事ができない」と思われるのも嫌がられる原因だったわ。でもね、実際に必要なお金は足りなかったのよ。生産と販売の活動をすることで、家計は助かるようになったのよ。実績が出てきたら、男性たちも徐々に理解を示してくれるようになってきたから嬉しいわ。まだまだ、課題も多いけれども、みんなで協力しながらプロジェクトを進めていっているわ。」

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