第12話 トセパンがもたらす組合員の自立と誇り

コーヒーを育てる人々の暮らしに森林農法のコーヒーがどういった影響があるかをご紹介しましょう。

ここに興味深い調査レポートがあります。トセパン組合員と非組合員を対象とした意識・実態調査です。「農業生産者と人間開発機構」という公的機関とトセパンの共同調査が行われました。

diagram_tosepan

調査項目としては、以下があります。
「収入」「住居の質」「栄養」「教育」「参加」「アイデンティティ」「安心度」「自尊心」

写真の、白線が、トセパン組合員のデータ
黒線が、非組合員のデータとなっています。

全ての調査項目において、トセパン組合員に高い数値が出ています。以下でその内容を一部解説していきましょう。

・アイデンティティおよび自尊心について
一般にメキシコ社会は、先住民であることで差別を受け、先住民の女性であることでさらに差別を受けると言われています。
先住民であることで、教育や就業の機会を奪われているのが現実なのです。
一方、トセパンは先住民が設立した組織です。女性の仕事も尊重されています。

自尊心の項目で自己評価が高いということは、組合に所属することで、先住民としての自覚や誇りを持つことができていると考えられます。

第12章2

・安心感
将来に不安を抱いているかどうかという項目です。
トセパンの組合員は非組合員と比較して、将来について前向きな姿勢を持てているようです。
組合があることで、子どもの教育、仕事、収入などの面において不安要素の少ない安定した生活を送ることが出来ていると言えます。

・参加
トセパンの組合員は、組合活動だけでなく、村の活動などへの参加度も高いことが特徴として挙げられます。
トセパンの組合員であることで、地域や社会への関心が高まり、個々が主体的に社会参画をしていることを示しています。

・収入
収入の数値は低く、非組合員と比較しても、さほど高くありません。
しかし、収入の内容が大きく異なります。
トセパンの組合員は、自ら生産した作物などの販売により収入を得ていることが特徴的です。つまり、自立収入型と言えるでしょう。

他方で、非組合員は、出稼ぎ家族からの仕送りや国からの補助金が主な収入源となっています。つまり、外部への依存的収入型と言えるでしょう。

トセパン組合員は自立型の収入を得ることで、自らの存在と暮らしの在り方に誇りを持っており、その他の調査項目でも高い数値に結びついていると考えられます。

第12章3

数字で表される調査結果が全てではありませんが、トセパン協同組合があることで、組合員の暮らしは本当の意味で豊かになっていると言うことができるでしょう。

[前話を読む目次次話を読む]

中村隆市ブログ「風の便り」 コーヒー関連ブログ「豆の便り」 スタッフブログ「土の便り」