幸せ度高める政策を(西日本新聞インタビュー)

西日本新聞から受けたインタビューが記事になりました。
鳩山新政権に望むことは?
 「幸せ度を高める政策を」

20091024記事小

記事内容
温室効果ガスの排出量を2020年までに25%削減(1990年比)する国際公約は評価できる。地球温暖化が進めば、気温上昇に生態系が対応できず、農・海産物が減少し飢餓が訪れる可能性があるし、台風、干ばつなど自然災害の激甚化も予想される。私たちには、後世代の人々が生存できる環境を残す責任がある。太陽光、風力、バイオマスなど自然エネルギーへの転換を図り、温室効果ガスを減らす国際協力を進めてほしい。

25%という目標が経済成長に悪影響を与えるという意見もあるが、私たちの生存基盤である自然が壊れれば、経済も成り立たない。目先の利益ではなく、長期的な視野を持った政策が必要だ。

ただ、CO2さえ削減すればいいということでもない。新政権の一部から、温室効果ガス削減のために原子力発電を活用する意向が示されているが、慎重な論議を求める。

原発は発電の際にCO2が出ないからクリーンだと言う人もいるが、ドイツ政府の4月の公開文書は「大量の有害廃棄物を残す」として、これを否定している。原発から出る高レベル放射性廃棄物は、百万年もの間、放射能を出し続け、有効な処分法は確立していない。英国の核廃棄物再処理工場周辺には、住民の白血病発症率が国内平均の約10倍という村もある。

インド・ビハール州の国営ウラン鉱周辺住民の健康被害を告発した映画「ブッダの嘆き」の例のように、原料のウラン鉱採掘現場にも環境汚染リスクはある。ウラン鉱の資源量があと数十年しかないとされる中、なぜ原発を推進するのか。原発のために国の特別会計を中心に毎年約5千億円が支出されているとされながら、特別会計について国会ではほとんど論議されていない。前政権の姿勢を改め、きちんと情報開示をし、国民にリスクも含めた判断材料を提供した上で、エネルギー政策を検討するべきだ。

戦後、わが国は経済成長で発展してきたが、その目的は国民の幸せ度を上げることだった。経済を大きくするために自然を壊すことがどんなことなのか、あらためて考え、国民の幸せを追求する政治を目指してほしい。

中村隆市(なかむら りゅういち)
福岡市生まれ。19歳で水俣病を知り環境活動に。チェルノブイリ原発事故の被爆者も支援。87年、フェアトレード会社(ウインドファーム)を設立し代表。53歳。

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