インタグ地方、鉱山開発への抵抗

ポリビオさんとの対話

AACRI(インタグ有機コーヒー生産者組合)の本部のあるアプエラを離れ、鉱山問題の中心地でもあるフニン村へ向かう。アプエラの郊外には、小さいながらもアフリカ系住民の住む地区が広がる。人種構成も多様な国の一面が覗く、興味深い移動であった。

未舗装の道路を1時間半も進むと、道路脇に小さな家が見えてくる。一方は豊かな緑色をした山肌がせまり、反対側には水量の豊かな小川が流れる。その中に 見える一軒が、鉱山開発運動の先頭に立つ、ポリビオ・ペレス氏の家である。普段は忙しいながら偶然にも在宅で、ポリビオ氏を交えて少しばかりの会話を楽し むことができた。

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ポリビオ家族

歩いて5分程の所には日本のNGO、ナマケモノ倶楽部の方々からの支援により、診療所が建設中である。その建設現場を訪ねることとなった。その短い道程 に、ポリビオさんからは鉱山開発の現状を憂慮する言葉が発せられた。現在の開発賛成派は地域住民の30%であり、反対派は70%に達している。しかし、鉱 山会社による住民の切り崩し工作には常に頭を悩ませているという。

鉱山会社の手口としては、地域住民が望む医療、教育、道路など、かねてから住民が熱望しているこれらを提供しようとする。中央政府や地方政府に訴えかけ ても叶わぬなら、鉱山会社の誘惑に負けてしまう気持ちも分からなくはないとのことである。そこで、先程のように日本のNGOからの募金もあり、念願の診療 所建設が始まった。鉱山会社から診療所の建設の申し出も今までにはあったが、同時に開発賛成の意を表す署名を要求してくる。確かに医療サービスは実施され ても、一方で自由、自然の美、大気、河川を犠牲にしなくてはならない。ポリビオ氏は誘惑に負けそうな住民の前に立ち、便利さの代償に犠牲になるものがある と訴える日々を送る。

ポリビオ氏は遠くの山を指差し、「あちら側は、鉱山会社に買収されてしまった地域です。敵である鉱山会社が、地元自治体と一体となりつつある。それに対抗して行かざるを得ないのは、大変なことです。」と漏らす。

また、ナマケモノ倶楽部が支援してくれるように、鉱山会社に対抗する代替手段があるのだと説き続けている。ポリビオ氏はこう語ってくれた。「そうした手段 は私達の闘いにおいて、とても意義深いものです。鉱山会社に頼らなくとも、支援の手を差し伸べてくれる団体もある。私達の力を合わせ、診療所を設置できた ことが自らの支えでもあります。」

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建設中の診療所

(レポート/ 井上智晴=ウインドファームスタッフ 2006年7月29日)

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