2012/05/10

核燃料の再処理はコスト高 米専門家がネイチャーに意見記事

プルトニウム再利用せず地下処分 米専門家が英誌に意見記事
(2012/05/10 02:00 共同通信)

 【ワシントン共同】原発の使用済み燃料などに含まれるプルトニウムを燃料に再利用するのはコストがかかり過ぎ、取り出さずに地下に埋設処分するべきだとの意見記事を、米プリンストン大などの4人の専門家が、10日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 記事は、使用済み燃料からプルトニウムを取り出してプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料として再利用しているフランスで、電力業界からコストを理由に反対の動きも出ていると紹介。2000年の試算では、再利用の方が年間7億5千万ドル(約600億円)割高になるという。


「再処理のほうがコスト高」を隠蔽。そして今も同じ委員長(動画)


「脱原発」が最安  核燃料の再処理はコスト高
(2012/05/03 風の便り)

福島第一原発4号機・使用済み核燃料プールの危機的状況

事故で世界中が破滅… 福島第一原発4号機に危機感を募らせる国際社会
(週刊朝日 2012年5月18日号)

 5月5日、北海道電力泊原子力発電所3号機が停止し、国内全50基の原発が停止した。しかし、これで安心といったわけではなく、福島第一原発4号機の危険性を世界が危惧している。

 米上院エネルギー委員会の有力メンバーの一人、ロン・ワイデン議員は4月6日に福島第一原発を視察。その後、16日付で4号機の原子炉建屋が再び大きな地震や津波に見舞われれば、使用済み燃料プールが崩壊し、「当初の事故より大規模な放射性物質の放出が起こる恐れがある」と警告した。

 さらに、ニュースサイト『ハフィントン・ポスト』は、4号機のプールにある核燃料棒が冷却されずに放射能が放出された場合、そこから出るセシウムの総量は、チェルノブイリ事故で出た量の少なくとも10倍になる、との専門家の分析を紹介した。

 これほどまで国際社会で福島第一原発4号機が注目される理由を、元スイス大使で東海学園大学名誉教授の村田光平氏はこう言う。

「いまや4号機の存在は、北朝鮮のミサイル問題にも劣らぬ、全世界にとっての安全保障上の大問題になっているのです」

 さらに村田氏は今年3月、参院予算委員会の公聴会に公述人として出席し、「4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言える」と警告している。

 東電は4月26日、4号機原子炉建屋の倒壊危険性を否定するリリースを発表。しかし、村田氏が「事故を起こした国や東電の信頼は世界中で地に落ちています。発表をうのみにする国など、どこにもありません」と言うように、米国では福島第一原発の現状と事故の収束に向けて、世界のエキスパートを集め、中立した独立機関としての評価委員会を作る動きがある。

 村田氏は善処を求める書簡を野田佳彦首相にも送った。だが、いまのところ、具体的な動きはない。

※週刊朝日 2012年5月18日号


4号機、工事ミスに救われた 震災時の福島第一原発
(2012年3月8日 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発の事故で日米両政府が最悪の事態の引き金になると心配した4号機の使用済み核燃料の過熱・崩壊は、震災直前の工事の不手際と、意図しない仕切り壁のずれという二つの偶然もあって救われていたことが分かった。

 4号機は一昨年11月から定期点検に入り、シュラウドと呼ばれる炉内の大型構造物の取り換え工事をしていた。1978年の営業運転開始以来初めての大工事だった。

 工事は、原子炉真上の原子炉ウェルと呼ばれる部分と、放射能をおびた機器を水中に仮置きするDSピットに計1440立方メートルの水を張り、進められた。ふだんは水がない部分だ。

 無用の被曝(ひばく)を避けるため、シュラウドは水の中で切断し、DSピットまで水中を移動。その後、次の作業のため、3月7日までにDSピット側に仕切りを立て、原子炉ウェルの水を抜く計画だった。

 ところが、シュラウドを切断する工具を炉内に入れようとしたところ、工具を炉内に導く補助器具の寸法違いが判明。この器具の改造で工事が遅れ、震災のあった3月11日時点で水を張ったままにしていた。

 4号機の使用済み核燃料プールは津波で電源が失われ、冷やせない事態に陥った。プールの水は燃料の崩壊熱で蒸発していた。

 水が減って核燃料が露出し過熱すると、大量の放射線と放射性物質を放出。人は近づけなくなり、福島第一原発だけでなく、福島第二など近くの原発も次々と放棄。首都圏の住民も避難対象となる最悪の事態につながると恐れられていた。

 しかし、実際には、燃料プールと隣の原子炉ウェルとの仕切り壁がずれて隙間ができ、ウェル側からプールに約1千トンの水が流れ込んだとみられることが後に分かった。さらに、3月20日からは外部からの放水でプールに水が入り、燃料はほぼ無事だった。

 東電は、この水の流れ込みがなく、放水もなかった場合、3月下旬に燃料の外気露出が始まると計算していた。(奥山俊宏)


福島第一原発4号機・使用済み核燃料プールの危機的状況を米上院議員が指摘、「国際的支援を仰げ」と駐米大使に書簡を送付
(東洋経済オンライン 4月19日)

 福島第一原子力発電所を4月6日に視察した米国のロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州選出)は16日、同原発の危機的状況を回避するために日本が国際的な支援を要請すべきだとする書簡を藤崎一郎・駐米大使に送付したことを、自身のホームページで明らかにした。
 
 米上院エネルギー委員会に所属するワイデン議員は、同様の書簡をスティーブン・チュー・米エネルギー庁長官やヒラリー・クリントン国務長官、米原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコ委員長にも同日付けで送ったと言及。米有力議員による警鐘は、国際的にも大きな注目を集めることになりそうだ。

 ワイデン議員が特に問題視しているのが、1300体を上回る使用済み核燃料が存在する4号機の核燃料プール。ホームページで同議員は、再び大きな地震が起きた場合に重大事態になる可能性があるとしている。
 
 4号機の使用済み核燃料プールについては、代替冷却設備が原因不明の自動停止を起こし、設備が故障・冷却液が漏れるというトラブルが4月12日に発生している。


福島原発4号機 プールの水が漏れたら 人類史上最悪の事態に
(2012/04/12 風の便り)

原発は、稼動させればさせるほど被曝作業者がたくさん必要になる。今も福島第一原発では事故処理にあたる技術者が不足している。そして、今後も十年以上、事故処理作業を続けなければならない。福島の大きな危機を食い止めるために一人でも多くの「被曝労働者」を確保しないといけない状況の中で、政府は原発を再稼動させようとしている。歴史に残る愚かな政府である。

福島原発4号機 プールのヒビ割れだけでも人類史上最悪の事態に
(週刊朝日 2012年3月16日号)

「原発危機は続いている」 それでも再稼働?
(2012/04/15 風の便り)

2012/05/09

大飯原発再稼働を認めた原子力委員の6人に「原発マネー」

原発業界寄付 福島事故後も福井県安全専門委員2人に3社 大飯再稼働検証
(2012年5月4日 しんぶん赤旗)

 福井県原子力安全専門委員会(委員長、中川英之福井大学名誉教授)の委員のうち少なくとも4人が三菱重工業や日本原子力発電(日本原電)などの原子力業界から寄付をうけ、このうち2人は、昨年3月の福島第1原発事故後も3社から寄付を受けていたことが3日、本紙の調べでわかりました。福井県が設置する同委員会は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の可否を検証します。3社はいずれも福井県内に原発を持つなど、委員会から検証を受ける側であり、委員の公平性に疑問が生じます。

 情報公開資料によると委員4人は2006年度以降、「原発利益共同体」の中核である日本原子力産業協会(原産協会)の会員企業から「研究助成」名目で少なくとも1270万円の寄付を受けていました。(表)

 このうち、飯井俊行委員(福井大学大学院教授)は、福島第1原発事故から間もない昨年5月に三菱重工業から100万円、今年2月に日本原電から50万円の寄付を受けていました。

 三菱重工業は、大飯原発3、4号機の原子炉を製造。日本原電は敦賀発電所(同敦賀市)に二つの原発を持つなど、福井県とは強い関係があります。

 山本章夫委員(名古屋大学大学院教授)は昨年7月に敦賀原発1号機の核燃料を製造する「グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン」から60万円の寄付を受けています。

 関西電力が出資し、同社副社長が前会長だった関西原子力懇談会(関原懇)は三島嘉一郎委員(元京都大学教授)に300万円を寄付。三島委員は現在、関電が100%出資する原子力安全システム研究所の技術システム研究所長です。

 委員への寄付をめぐっては、関原懇が山本委員、泉佳伸委員(福井大学教授)、西本和俊委員(福井工業大学教授)に計490万円(2006年度からの5年分)を寄付していたことが、すでに判明しており、委員6人が原発マネーを受けとったことになります。

 大飯原発3、4号機の再稼働について中川委員長は「委員からの質問が出そろえば、集約は早い。意見集約後の報告書の素案作成にも、さほど時間は要さない」(「産経」4月21日付)と述べるなど、早期に結論を出す見通しを示しています。


<大飯再稼働>福井県原子力専門委が、政府の「安全」追認へ
(毎日新聞 5月9日2時31分配信)

 福井県おおい町の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題で、県原子力安全専門委員会(委員長、中川英之・福井大名誉教授)は8日、3回目の会合を開き、安全性に関する議論を終えた。今後、西川一誠知事に提出する報告書の作成作業に入り、月内にもまとめるという。過去2回は、安全対策について厳しい注文や指摘もあったが、これらは政府や関電への「要望事項」として盛り込む方針で、報告書の原案は、2基を「安全」とした政府判断を追認する内容になる見通しだ。

 8日は、経済産業省原子力安全・保安院の担当者が大飯原発周辺活断層について説明。また、全電源喪失時に炉心に直接水を入れる方法について、関電が「18人で実行できることを訓練で確認した」と報告した。中川委員長は「これまでの質問事項に回答は大体得られた。今後、委員会として結果を整理していきたい」と総括した。

 同委員会は東京電力福島第1原発事故後、原発の安全対策に関し独自に議論を重ねてきた。委員会関係者によると、報告書にはこれらの議論を記したうえで、政府が先月決定した「安全性の判断基準」や、政府による安全性確認について委員会の検証結果を盛り込む方針だ。また、要望事項として、海外の原発規制の状況を政府が調査し、今後の日本の規制に反映させていくことなどを併記する。

 これまでの会合で「見切り発車で再稼働するのは問題だ」など厳しい意見も出たが、その後、関電が安全対策を示し、今回の会合では新たな論点や反対意見は出なかった。また、中川委員長は先月の現地視察で、委員会が求める安全対策がほぼ満たされているとの見方を示していた。

 同委員会は原子力工学や地震などの専門家12人で構成。西川知事やおおい町の時岡忍町長は再稼働の判断に際し、同委員会の意見を重視する方針だ。国内では現在、原発全50基が停止しており、大飯の2基が動けば全基停止後初の再稼働となる。【畠山哲郎、佐藤慶】

追い込まれた命 福島第1原発事故 明るかった妻の絶望

追い込まれた命 福島第1原発事故(上)明るかった妻の絶望
(2012年5月9日 河北新報)

 福島第1原発事故で自殺者を生んだ東京電力の責任が初めて法廷で問われる。避難生活の果てに命を絶った福島県川俣町山木屋の渡辺はま子さん=当時(58)=の夫幹夫さん(61)ら遺族が東電を相手に訴訟を起こす。原発事故で自殺したのははま子さんだけではない。複数の人が暮らしを破壊されて絶望し、人生に終止符を打った。それぞれの遺族が語る故人の無念からは原発事故の理不尽さが浮かび上がる。

一時帰宅の夜、つぶやいた「戻りたくない」

 昨年7月1日早朝。幹夫さんは、はま子さんと一時帰宅し、1人で草刈りをしていた。山木屋地区は原発から約40キロ北西で計画的避難区域に指定されている。
 丈の長い草の向こうで火柱が上がった。「古い布団でも燃やしているのかな」と気に留めなかった。
 作業を終え、自宅に戻った。妻が見当たらない。嫌な予感がした。
 はま子さんは自宅近くのごみ焼き場に倒れていた。衣服は焼け焦げ、煙がゆらめいている。火はまだくすぶっていた。ガソリンの臭いが鼻につく。そばに携行缶とライターが転がっていた。自宅から持ち出したようだ。
 幹夫さんは言葉を失った。変わり果てた姿。119番して救急車を呼んだ。息絶えていたのは分かっていたが、そうしないと気が済まなかった。

 一時帰宅は前日からで、避難先の福島市のアパートから車で来ていた。夕食時、はま子さんは「アパートに戻りたくない」とつぶやいた。幹夫さんは「ばかなこと言うんでねえ」と取り合わなかった。
 深夜、幹夫さんが目を覚ますと、隣の布団ではま子さんが泣きじゃくっていた。幹夫さんの手をつかんで離さなかったという。夫の手を握ることはめったになく、「思い返せばそれがサインだったのかもしれない」と幹夫さんは悔やんでいる。

 2人は結婚39年目。長男(37)、次男(36)と4人で暮らしていた。勤め先は夫妻とも町内の養鶏場。定年退職がなく、このまま働く気だった。
 原発事故で避難し、福島市の親戚宅、福島県磐梯町の体育館を転々とした。福島市のアパートに落ち着いたのは事故3カ月後の昨年6月だった。
 息子たちは仕事の都合で離れ、アパートでは幹夫さんと2人で生活した。隣人に気を使い、声を潜めて話した。食欲が落ちて体重が5キロ減り、睡眠障害にも陥った。
 「家のローンがあと7年残っている」「子どもと離れて暮らさなければならず、近所との付き合いもなくなった」。繰り返し不安を口にし、ふさぎ込むようになった。このとき既にうつ病を発症していた可能性があるという。
 はま子さんは野菜作りが好きだった。家庭菜園で実ったキュウリやナスが毎日食卓に並んだ。旅行に行っても野菜の状態を気に掛け、「早く家に帰ろう」と言っていた。

 よくしゃべり、よく笑う。裏表のない性格で人の悪口が嫌い。社交的と評判で自殺とは無縁と思っていた。そんな妻が自ら命を絶った。
 「そこまで追い詰められていたのかと思うとたまらなくなる。泣き寝入りはしない。女房と同じように苦しむ避難者や他の自死遺族のためにも声を上げようと思った
 幹夫さんは訴訟を弔いの場と考えている。
(野内貴史)

2012年05月09日水曜日

5/12福岡 『カンタ!ティモール』上映会&監督トーク

いい映画です。2月に対談した広田奈津子監督と東ティモールの国民的歌手も来てくれます。私も見に行こうと思っています。

5/12『カンタ!ティモール』上映会

いのちの映画祭でも2月に上映した「カンタ!ティモール」が
5月12日(土)に、再び福岡市内で上映されます。

ぜひ多くの方に見ていただきたいと思う映画です。
前回見逃した方も、もう一度ゆっくり見てみたいと思っている方も、
この機会に、いらっしゃいませんか?

こちらから、前回の参加者の感想を見ることができます。

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カンタ! ティモール』上映会+LIVE in 福岡
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『カンタ! ティモール』は、東ティモールで撮影された音楽ドキュメンタリー映画です。
素敵な笑顔と唄が溢れていながら、東ティモールが独立を成し遂げるまでの苦難を知ることもでき、
幸せや平和について深く考えさせてくれる作品です。

★ 公式サイトは、こちら

映画上映に加え、東ティモールの国民的歌手エゴ・レモスさんが来福されて
広田奈津子監督と共にトークショー、更に音楽ライブもあり!
しかも、5月12日は、エゴさんの記念すべき40歳の誕生日!
東ティモール独立10周年とエゴさんの誕生日を一緒にお祝いしましょう。

ライブには、アフリカンバンドFOLIKANのリーダーYUJIMANと、
映画の音楽監修者 小向定さんの共演が決定しました!
また、広田奈津子監督のお兄さんで写真家である直井保彦氏による
東ティモールの写真展も実施します!
手帳に5月12日午後4時から「カンタ!ティモール」と記入をお願いします(^^)
たくさんのみなさんのご来場をお待ちしております!

日時:2012年5月12日(土)
    15:00 開場
    16:00~18:00 「カンタ!ティモール」上映
    18:30~19:00 広田奈津子監督&エゴ・レモス トークショー
    19:00~20:00 エゴ・レモス、ユージマン(FOLIKAN)、小向定ライブ

場所:西南コミュニティーセンター
   (福岡市早良区西新6町目2ー92 西南学院大学内)

料金:2,000円 (中・高校生1,500円)
   (予約特典:東ティモールのポストカード)

問い合わせ・予約先: canta_timor_fukuoka(@)hotmail.com
           ※(@)は、@に変えてください。
*予約メールには、お名前(ふりがな)、人数、メッセージ(監督、エゴさんへの質問など)があればお願いします!

このイベントを、ぜひみなさんのお知り合いの方にもお伝えください!
share大歓迎です。よろしくお願いします!

※このイベントは、財団法人よかとぴあ記念国際財団の助成をいただいてます。

【託児について】
お子様連れでもご参加いただけますよう、お子様の託児サービスをご用意しております。
映画上映中(16〜18時)に、一才以上、小学生までのお子様をお預かりします。
(トークショーと音楽ライブはお子様も一緒にご覧ください)
希望される方は事務局(canta_timor_fukuoka@hotmail.com)まで、事前にお申し込みください。
お申し込みの際に、お名前・年齢・性別・人数・アレルギーの有無をお伝えください。
料金はひとり500円(二人目からはプラス300円)です。
託児の予約をされた方には、託児申込書をメールで送付いたしますので、事前にご記入をお願いいたします。

■監督 広田 奈津子 (ひろた なつこ)
1979年愛知生まれ。
10代の頃にアメリカ大陸先住民との縁から環太平洋の文化に興味を持ち、大学在学中に国際音楽交流活動を進めるNGO「環音(わおん)」を設立。2002年、東ティモール独立式典内コンサートに「ソウルフラワー・モノノケ・サミット」を招聘。2003年、東ティモールを舞台に映画「カンタ!ティモール」制作開始。2006年、ネット上のサイトを介し企業に環境改善を提案する「ブログミーツカンパニー」を発足。2010年、生物多様性国際会議COP10名古屋市アドバイザー就任。

■歌手 エゴ・レモス (Eugenio Fatima Sousa do Rego)
1972年生まれ。1999年まで続いた軍事侵攻では家族を失い、母と二人生き残り音楽を奏で続けた。現在は東ティモールを代表するミュージシャン。オーストラリア最優秀オリジナル映画曲作曲賞を受賞し、世界的に活躍。同時に、伝統的農法の実践者としてNGO「HASATIL」を運営。映画『カンタ!ティモール』では挿入歌を提供し、キーパーソンとして出演。

■ミュージシャン YUJIMAN
1972年、宮崎県生まれ。ニューヨーク留学中に出会った西アフリカの太鼓ジェンベに魅せられる。以降、バラフォン(木琴)、ンゴニ(瓢箪弦楽器)などの多様なアフリカの民族楽器演奏するようになり、1999年8月、世界的なジェンベ奏者ママディ・ケイタの命名を受け、アフリカンバンドFOLIKANのリーダーとして活動開始。
2007年にFOLIKAN初のCD「Anya Fo!」をリリース。国内だけでなく、台湾、タイ、香港など海外でも活躍の場を広げ、2011年7月、2枚目のアルバム「Anya Ben!」をリリース。その他、SBGMバンド「GURIGURI」や、ソロ活動にも力を入れ、異なるジャンルのミュージシャンとセッションを繰り返している。

2012/05/07

『原発危機と東大話法』 山下俊一教授 と ジョン・ゴフマン博士

ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』

京都大学原子炉実験所の今中哲二さんや小出裕章さんが中心となって翻訳したジョン・W・ゴフマン博士の名著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』について、小出さんは講演などで「放射線被ばくに関して最も信頼できる本」として、よく引用されています。

この本を安富歩・東大教授が『原発危機と「東大話法」』で取り上げています。
(以下、抜粋・要約)

ゴフマン博士は、カリフォルニア大学でプルトニウムの分離の研究をしており、後に医学に転じて心臓医学の正教授となりました。1960年代にアメリカの原子力委員会からの依頼でリバモア研究所の副所長に就任し、生物医学研究部門を設立。膨大な人員と巨額の予算を同委員会から与えられて、放射線が人間や生物に与える影響の研究を行い「低線量放射線の影響が少なくとも20倍は過小評価されている」という原子力委員会の期待に背く結論を出しました。その結果、ゴフマン博士は予算を絶たれ、リバモア研究所を辞任し、1973年には大学の教授職も退き、2007年に亡くなるまで、市民科学者として活動しました。

ゴフマン博士は、「低線量被曝の影響は無視しうる」という結論さえ出しておけば、引き続き莫大な予算を原子力委員会からもらい続け、医学の世界でも出世し続けたに違いありません。しかし彼は、研究費を失い、職も失いながら、「放射能は危険だ」と言い続けたのです。

【ゴフマン博士の重要なメッセージ】小線量の場合でも放射線に害があるということを認めさせるのに、どうして困難がつきまとうのか。その理由は単純明解だ。放射線が健康に及ぼす害は、本当は極めて重大なものである。そして、そのことを日本やその他の国の一般の人びとに知られてしまうことが、原子力産業や、放射線を医療用工業用に使う側にとって最大の脅威なのである。だが、放射線の影響を否定するキャンペーンを大々的に繰り広げることは誤った解決法である。

福島では、まさしくこのキャンペーンが大々的に繰り広げられた。そして、住民の被曝を少なくする方策はほとんど採用されなかった。


安富歩・東大教授『原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞の言語』から抜粋

福島の人々が逃げない理由

福島県は猛烈な放射能汚染に見舞われています。その汚染によって、どのような被害が生じるのか、誰も知りません。知りませんが、かなりの被害が出ることだけは明らかです。たとえばそれが、がん死率の1%の増加という、疫学的観測にはかからないような低い水準だとしても、300万人の人口がいれば、そのうち100万人はそもそもがんで死ぬわけですから、1%増加するだけでも、1万人が新たにがん死することになります。1万人を殺すというのは、大変な事態です。しかもその新しいがん死は、若い人に多く生じます。

30キロ圏内は言うに及ばず、圏外でも、飯舘村から福島市に至る地帯が、特に著しく汚染されていることは、もはや確実です。少なくともこの地域に住む人々は、事情が許せば、移住を考えたほうがよいのです。

しかし多くの人々は、そういう考え方をしていません。福島県は山下俊一長崎大学教授をリスクアドバイザーとして雇い、県内各地で講演をして回らせました。その講演はじつに恐ろしいもので、2011年3月21日に行われた「放射線と私たちの健康との関係」講演会で、山下氏は次のように発言しています。

これから福島という名前は世界中に知れ渡ります。福島、福島、福島、何でも福島。これは凄いですよ。もう、広島・長崎は負けた。福島の名前の方が世界に冠たる響きを持ちます。ピンチはチャンス。最大のチャンスです。何もしないのに福島、有名になっちゃったぞ。これを使わん手はない。何に使う。復興です、まず。震災、津波で亡くなられた方々。本当に心からお悔やみを申し上げますし、この方々に対する対応と同時に、いち早く原子力災害から復興する必要があります。国の根幹をなすエネルギー政策の原子力がどうなるか、私にはわかりません。しかし、健康影響は微々たるものだと言えます。

これを見ると福島の人々が被曝したことを喜んでいるようにしか思えませんが、実際、喜んでいるのだと思います。というのも放射線防護学業界では、ヒロシマ、ナガサキ、というのがビッグネームだからです。これだけ大量の人が、一度に被曝した例はなく、しかも米軍とそれに追従した日本政府とによって稠密な疫学調査が行われました。それゆえ、放射線を浴びるとどういう症状が出るのか、についての研究は、ヒロシマ・ナガサキの被爆者を調べたデータが基本になっているのです。

それゆえ、この業界では、ヒロシマ・ナガサキが「世界に冠たる響き」を持っています。おそらくは、このおかげで、日本の学者は大きい顔ができるのだと想像します。山下教授は、長崎被爆者二世であり、長崎大学に所属することで、国際的にこの学会で重きをなしているのでしょう。

この業界では今後は、フクシマが注目されるに決まっています。これだけの数の人が、先進国で同時に被曝したのは初めてであり、今後、多くの人がどういう病歴を持つかを、丹念に調べることが可能だからです。早々に福島に進出し、福島医科大学の副学長ともなった山下教授は、その研究の中心に位置することが確実であって、

「福島、福島、福島、何でも福島、これは凄いですよ」

というのは、彼にとって、嘘偽りのない感情なのだと思います。
2011年7月25日の東京新聞の夕刊に、「甲状腺を生涯検査 福島県、18歳以下36万人」という記事がでておりました。そのなかに次のように書かれています。

同日、福島市で開かれた検討委員会で合意。座長の山下俊一福島県立医大副学長は「世界でも類を見ない甲状腺検査だ」と述べた。県は「生涯にわたって県民の健康を見守る」としている。

彼にとっては「世界でも類を見ない」疫学調査によって、巨大な被曝データベースを作ることが重要なのであって、そう考えると、彼の言動は一貫しています。

これに対して私は、ジョン・W・ゴフマン博士が『人間と放射線』(新装版、明石書店、2011年)の日本語版への序文に書かれた次の言葉を引用したいと思います。

広島・長崎の被爆者は、人類に対して比類のない重要なデータベースを提供してきた。彼らはこのデータベースを、彼ら自身と彼らの愛する人びとの高価な犠牲を基に提供したのである。人類が二度と再びこのようなデータベースを持つことのないよう祈りたい

ゴフマンさんはもともと、マンハッタン計画の一部を担っていたカリフォルニア大学バークレー校でプルトニウムの分離の研究をしており、後に医学に転じて心臓医学の正教授となりました。1960年代にアメリカの原子力委員会からの依頼でリバモア研究所の副所長に就任し、生物医学研究部門を設立しました。膨大な人員と巨額の予算を同委員会から与えられて、放射線が人間や生物に与える影響の研究を行いました。1969年にゴフマンさんは、低線量放射線の影響が少なくとも20倍は過小評価されている、という原子力委員会の期待に真っ向から背く結論を出しました。ゴフマンさんは予算を絶たれ、リバモア研究所を辞任し、1973年にはカリフォルニア大学の教授職も退き、2007年に亡くなるまで、市民科学者として活動しました。

ゴフマンさんは、低線量被曝の影響は無視しうる、という結論さえ出しておけば、引き続き莫大な予算を原子力委員会からもらい続け、医学の世界でも出世し続けたに違いありません。しかし彼は、研究費を失い、職も失いながら、「放射能は危険だ」と言い続けたのです。

彼が支持したのが「線形しきい値なし仮説(LNT)」です。これはどういう説かというと、放射線はどんなに低レベルであっても、発がんなどの健康リスクを持つのであり、それは放射線量が増加すればするほど、それに比例して増加する、というものです。「しきい値なし」というのは、「○○ミリシーベルト以下なら健康に被害はありません」と言えるような被曝水準はない、ということです。当時は原子力業界や医学業界から敵視されましたが、現在では、国際放射線防護委員会(ICRP)なども採用しているもので、広く受け入れられています。ですから、いわゆる「安全基準」なるものは、あくまで便宜的なものであって、本当は存在しないのです。

彼は同書で次のように指摘しています。

小線量の場合でも放射線に害があるということを認めさせるのに、どうして困難がつきまとうのか。その理由は単純明解だ。放射線が健康に及ぼす害は、本当は極めて重大なものである。そして、そのことを日本やその他の国の一般の人びとに知られてしまうことが、原子力産業や、放射線を医療用工業用に使う側にとって最大の脅威なのである。だが、放射線の影響を否定するキャンペーンを大々的に繰り広げることは誤った解決法である。

福島ではしかしまさしくこのキャンペーンが大々的に繰り広げられました。そして、住民の被曝を少なくする方策はほとんど採用されませんでした。


現役の東大教授が明かす 「平気で人を騙す東大の先生たち」
(2012/05/05 風の便り)から抜粋

着想のきっかけは福島原発事故の直後、NHKに出ずっぱりだった関村直人・東大大学院教授(原子力工学)の話しぶりだったという。関村教授といえば、不安でテレビにかじりつく視聴者に向かって、実際に起こっていそうなことよりも、ずっと楽観的な「安全」を強調し続けた専門家。
1号機が爆発したのではないか、という一報にも「爆破弁を作動させた可能性がある。」などと言い切り、あとにひどい学者不信を招いた。

「過酷事故が目の前で起こっていても、官僚や学者は原発を安全と印象づける『欺瞞言語』を手放さなかった。東大で見聞きする独特の話しぶりにそっくりだと思った。」

ちなみに「東大話法」とは、東大OBが最も巧みに操るだけで、出身大学とは関係なく散見されるとか。爆発事故を「爆発的事象」と繰り返した東北大出身の枝野幸男官房長官の会見も、典型的な東大話法という。

「正しくない言葉で、まずだましているのは自分自身。
目の前で爆発が起こっている現実を直視できなくなり、正気を疑うようなことも平気でできるようになる。」

二十代のとき、2年半の銀行勤務の経験もある経済学博士だが、安冨歩教授の研究テーマは、「なぜ人間社会は暴走するのか」。バブルに突き進んだ銀行の暴走と、戦争に向かってひた走った昭和初期の日本社会の相似に気づき、既存の学問分野を超えて探求してきた。

安冨歩(やすとみ あゆむ)教授は、「最も恐ろしいのことは、危機的な事態が起こった際、正しくない言葉を使うこと。それは一人一人から判断力を奪う」と強調する。

危険なものを危険といわず

戦前、戦時中に「日本は神の国だ」などと言い続けたことが客観的な現状認識を妨げ、いたずらに犠牲者を重ねた。そんな「言葉の空転」が原子力ムラでもまん延していると指摘する。

「『危険』なものを『危険』と言わない東大話法が偽りの安全神話を支え、事故を招いた」
先月出版した「原発危機と『東大話法』」(明石書店)では、上から目線の話しぶりに潜む東大話法のウソを暴いた。

2012/05/06

「日本の全原発の稼働停止を歓迎する」 アボリション2000総会

5月5日、核兵器廃絶のために活動しているNGOの世界的ネットワーク「アボリション2000」の総会がウィーンで開催され、「日本の全原発の稼働停止を歓迎するメッセージ」を採択した。全文は以下の通り。

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日本の全原発の稼働停止を歓迎する
アボリション2000年次総会のメッセージ

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 2012年5月5日、ウィーンで集まった「アボリション2000」年次総会の参加者たちは、日本でこれまで稼働していた54基のうち最後の原子炉が本日稼働停止したことを歓迎します。

 これらの原子炉は、通常または特別な点検のために一時的に稼働が停止されたものです。

 福島の惨事がもたらした破壊的な人道上および環境上の結果にかんがみて、私たちは、原子力からの脱却を求めている日本および世界の過半数を占める人々を支持するとともに、とりわけ、日本の原発が稼働再開されることがなく、恒久的に閉鎖されることを支持します。

 日本社会がいま原子力がなくても機能しているという事実、そして他国においても原子力なしで機能し発展している社会の方が多数であるという事実は、このような危険なエネルギー源は必要でないことを示しています。とりわけ、私たちが再生可能なエネルギー源を増やしていけばなおのことです。

 原子力からの脱却はまた、核兵器拡散の可能性を閉ざし、核兵器のない世界が持続していくための条件をつくることに寄与します。

 私たちはこのメッセージを日本の政府、国会そして市民社会に対して送ります。


※英語原文はこちら(http://www.abolition2000.org/?p=2266

2012/05/05

現役の東大教授が明かす 「平気で人を騙す東大の先生たち」

きょうは、こどもの日ですね。そして、日本中の原発が止まる日です。
こどもたちへの最高のプレゼントだと思います。

子どもたちの未来を奪わないために、二度と原発を稼動させないために、どうすればいいのか。そもそも原発のような「いのちを脅かすもの」が、なぜ地震列島に54基もあるのか。その原因から考えたいと思います。

友人から「面白い人に会った。現役の東大教授でありながら、原発推進派の東大教授を痛烈に批判している。『原発危機と「東大話法」』という本も出している」という話を聞いて、本を読んでみました。

凄い本だと思います。東大教授という立場より「人として、どう生きるのか」という生き方を大事にしています。「覚悟」を感じます。多くの人に読んでほしい本です。
(東京新聞と週刊現代がこの本を書いた安富歩さんを紹介しています)

原子力ムラでまん延 「東大話法」
思考奪う 偽りの言葉 高慢 無責任な傍観者

        安冨歩・東大教授に聞く 東京新聞 2月25日

(2012/2/25 一輪の花)から抜粋

着想のきっかけは福島原発事故の直後、NHKに出ずっぱりだった関村直人・東大大学院教授(原子力工学)の話しぶりだったという。関村教授といえば、不安でテレビにかじりつく視聴者に向かって、実際に起こっていそうなことよりも、ずっと楽観的な「安全」を強調し続けた専門家。
1号機が爆発したのではないか、という一報にも「爆破弁を作動させた可能性がある。」などと言い切り、あとにひどい学者不信を招いた。

「過酷事故が目の前で起こっていても、官僚や学者は原発を安全と印象づける『欺瞞言語』を手放さなかった。東大で見聞きする独特の話しぶりにそっくりだと思った。」

ちなみに「東大話法」とは、東大OBが最も巧みに操るだけで、出身大学とは関係なく散見されるとか。爆発事故を「爆発的事象」と繰り返した東北大出身の枝野幸男官房長官の会見も、典型的な東大話法という。

「正しくない言葉で、まずだましているのは自分自身。
目の前で爆発が起こっている現実を直視できなくなり、正気を疑うようなことも平気でできるようになる。」

二十代のとき、2年半の銀行勤務の経験もある経済学博士だが、安冨歩教授の研究テーマは、「なぜ人間社会は暴走するのか」。バブルに突き進んだ銀行の暴走と、戦争に向かってひた走った昭和初期の日本社会の相似に気づき、既存の学問分野を超えて探求してきた。

安冨歩(やすとみ あゆむ)教授は、「最も恐ろしいのことは、危機的な事態が起こった際、正しくない言葉を使うこと。それは一人一人から判断力を奪う」と強調する。

危険なものを危険といわず

戦前、戦時中に「日本は神の国だ」などと言い続けたことが客観的な現状認識を妨げ、いたずらに犠牲者を重ねた。そんな「言葉の空転」が原子力ムラでもまん延していると指摘する。

「『危険』なものを『危険』と言わない東大話法が偽りの安全神話を支え、事故を招いた」
先月出版した「原発危機と『東大話法』」(明石書店)では、上から目線の話しぶりに潜む東大話法のウソを暴いた。

「暫定的」と前置きしつつ、二十も列挙した法則の主な項目を見ると・・・。

規則1:自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
「原子力関係者がよく使う言い回しに、『わが国は・・・しなければなりません』がある。
『私』ではなく、往々にして国や役所などを主語にするのが『立場』の人です。」
日本人のほとんどは、立場に合わせて考え、「立場上そういうしかなかった」といった言い訳もまかり通りがちだ。

「責任から逃げている『立場』がいくつも寄り添い、生態系のように蠢いているのが日本社会。しかし、『立場の生態系』がどこにいくのかは、誰一人知らない。」

高慢 無責任な傍観者
周囲もあぜん 「記憶飛んだ」

規則8:自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル張りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。原子力ムラには自分を「傍観者」とみなしたがる習性も根付く。「客観的であることと傍観することをはき違え、なんら恥じるところがない」

傍観者ぶりが際立っているのが、原子力安全委員会の斑目春樹委員長。無責任な発言を繰り返し、「デタラメ」と揶揄された東大OBだ。つい最近も、事故直後の対応を聞かれた国会の原発事故調で「一週間寝ていないので記憶が飛んでいる。(官邸に)どんな助言をしたか覚えていない」と、当事者とは思えない言い訳をして、周囲をあぜんとさせた。

「原発に反対し続けた京大原子炉実験所の小出裕章さんが、講演のたび『原子力にかかわってきた者として謝罪したい』と繰り返しているのと比べると驚くばかりの傍観者ぶりだ。」

規則3:都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけを返事する。
規則5:どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも、自信満々で話す。
九州電力の社員動員が発覚した2005年の「ヤラセ討論会」に参加した灯台大学院の大橋弘忠教授(システム量子工学)も、典型的な東大話法の使い手だという。討論会の議事録などによると、参加者の一人だった小出助教授は「人は間違うし、想定外の事態も起こり得るので、安全余裕をなるべく多くとるのが、原子力のようなものを扱うときの鉄則だ」と主張していた。

これに対し、大橋教授は「安全余裕を完全に間違えて理解している方の考え方」と冷笑。水蒸気爆発の心配をする市民団体の代表にも、「私は水蒸気爆発の専門家」と胸を張り、見下すような議論に終始した。

「見つけたら 笑ってやって!」
プルトニウム拡散の『遠因』

「原子炉を四十年間、研究をしてきたのは小出さんの方。ところが、大橋教授が討論会を仕切ってしまった。その結果、九州電力の玄海原発には危険なプルトニウム混合燃料が投入された」
玄海原発に続き、福島第一原発3号機でも、プルサーマル発電が始まっている。
つまるところ、3号機の爆発事故でプルトニウムが飛び散った遠因に、大橋教授の東大話法が貢献したとも言える。ちなみに、同教授の語録には「プルトニウムを飲んでもすぐに排出される」がある。

「東大話法」にだまされないためには、どうすればいいのか。

安冨教授は、「自らの内にある東大話法に向き合い、考えることから逃げない姿勢が大切。東大話法を見つけたら、笑ってやること」と提案する。笑われて、恥ずかしいことだと気づくことで東大話法から抜け出せる。

どこに向かうかわからない『立場の生態系』については、パイプに詰まったごみのような存在が迷走を止める役割を担うこともあるという。

「官僚にも学者にも、あるいはメディアにも、自分の言葉を持つ人たちがわずかにいる。そんな一人一人の存在でかろうじて社会がもっている。もし、人間社会がひきょう者の集団になったら、社会秩序は維持できない。」

東大話法 20の法則 安冨歩(やすとみ あゆむ)・東大教授

○規則1:自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
○規則2:自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
○規則3:都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事する。
○規則4:都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
○規則5:どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
○規則6:自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱいに批判する。
○規則7:その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
○規則8:自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル張り氏、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
○規則9:「誤解を恐れずに言えば」と言って嘘をつく。
○規則10: スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を倒喝し、迎合的な態度を取らせる。
○規則11:相手の知識が自分より低いとみたら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
○規則12:自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
○規則13:自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
○規則14:羊頭狗肉。
○規則15:わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
○規則16:わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
○規則17: ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
○規則18:ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
○規則19:全体のバランスを恒に考えて発言せよ。
○規則20:「もし○○○であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。

現役の東大教授(安冨歩氏)が明かす
平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」

(2012年04月04日 週刊現代・賢者の知恵)から抜粋

 一流の学者が教鞭を執り、聡明な学生が学ぶ、最高学府・東京大学。その中にあって、彼らの話す「言葉」に不気味さを覚えた一人の教授がいた。「東大話法」と名付けられた、危険な話術の正体とは

うわべを取り繕う天才

 私は今、東京大学に籍を置いていますが、身の周りでおかしなことがたくさん起きていることに気付きます。

 たとえば、ある教授が地位を維持するために、あるいは自分の研究費を稼ぐために、自分の研究室にいる研究員の論文や、学生のアイデアを取り上げる。

 ある助手は、直属の教授のパワーハラスメントを受けて苦しみ、学内の委員会に訴えました。でも、証拠がないと取り合ってもらえなかった。彼は、結局大学を辞めました。

 その助手はその前に、自分のやらされている仕事の理不尽さに疑問を抱き、仲間の助手と共に、仕事の意味を主任教授に尋ねました。するとその意味をきちんと説明せずに、代わりに「2人に研究費として10万円ずつ出そう」とこっそり条件提示をしてきたそうです。

 東大には、悪事や自分の本性を一切表に出さないようにうわべを繕うのに長けた人間がたくさんいます。調べても、確たる証拠を掴むまでには至らない。それは彼らの計算しつくされたバランス感覚で、これ以上ちょっとでも前に出たら悪事がバレる、という一歩手前で止めるのです。

 彼らはものすごく優秀な頭脳を持っていて、自分がおかしく見えないように振る舞うという技術のプロ。そんな人々に、私は常々気持ち悪さを感じていました。そこで、彼らの言動を注意深く解析してみました。すると、話し方、議論の仕方や態度に共通性があることに気が付いたんです。

 私は、この論争の技法、そしてそれを支える思考を「東大話法」と名付けることにしました。東大話法は、東大教授や卒業生だけが使う技術というわけではありません。ただ、使いこなすには、クルクル良く回転する頭脳が必要で、上手に、バレないように使える人間は、やはり東大に多く集まっているのも事実です。

 学生の中にも、東大話法的思考を持っている人は大勢います。

 私が担当した経済学部の授業のテストで経験したことです。私は経済学の思考方法そのものを考える授業をしました。すると、きちんと出席して授業を受けていた学生より、出席しなかった学生のほうが成績はよかった。なかには、ほぼ満点という学生もいました。

 なぜかというと、出席していた学生は、経済学の思考方法が飲み込めないから授業に出ていたし、自分の頭で理解しようとした。だから、試験ではできるところもあれば、できないところもあるのが当然なんです。

 ところが出席しなかった学生には、自分の考えというものがない。試験に出るものは、互いに矛盾した思想であろうが、かまわず頭に入れておいて、模範解答を書く。だから、点が取れる。彼らがやっているのは、上手な処理というだけのことで、考えるという行為ではありません。

 彼らに「君の意見はなんですか」と聞いたら、答えられないと思います。何でも受け入れられるけれど、自分というものはない。

 学問というのは、いろいろなところに矛盾が隠されているものです。だから普通の人が勉強して矛盾に突き当たると、わからなくなる。それは当然なのです。

 ところが、一部の人たちは矛盾など気にせずにスパッと割り切った上で、そこから先を無矛盾に構成する。この能力の高い人が「勉強ができる」人になり、「専門家」になるんです。この問題が端的に現れたのが原発事故後の対応でした。

「東大話法」の法則

 安冨歩氏(49歳)は京都大学出身。経済学の研究員・助教授としてロンドン大や名古屋大を経て、現在は東大の東洋文化研究所で教授を務めている。

 東大に身を置くようになって感じていた違和感の正体を、原発危機をきっかけに解明。その概念や法則を『原発危機と「東大話法」』(明石書店)という本にまとめ、話題になっている。

 テレビに出て原発の安全性を熱心に語る学者は、ほとんど「東大話法」の話者でした。また、官僚もそうでした。政治家も使うけれど、官僚に比べるとずっと下手です。だから、うまくごまかそうとしても、ちょいちょいボロを出す。そもそも、政治家は選挙民相手に話すので、東大話法とは別の欺瞞言語体系を持っている気がしますが、原発事故後の対応をしていた枝野さんは例外でした。

 私が発見した東大話法の法則を例としていくつか挙げましょう。

● 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。

● どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々に話す。

● 常に傍観者の立場から話をする。

● わけのわからない見せかけの理屈を使って相手を煙に巻き、自分の主張を正当化する。

● 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。

● 自分の都合のいいように相手の話を解釈する。

● 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。

● スケープゴートを侮蔑することで聞き手を恫喝し、迎合的な態度をとらせる。

● 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を力いっぱい批判する。

 これらを含め、全部で20個の法則を見つけました。

 もし、誰かの話を聞いていて、この中の1項目でも当てはまる要素が登場したら、相手は東大話法の使い手の可能性が高い。あなたをうまくやりこめようと狙っているかもしれません。

 東大話法の使い手は、教授や官僚や政治家だけではありません。財界にも言論界にもいます。

信念も感情もない人たち

 何度も言いますが、こうした東大話法の話者には、自分の信念とか、感覚とかがありません。というか、それを感じないようにしているので、いかなることでも理解できるし、いかなることでも発言できるのです。

 だから彼らとの対話は、互いに心を通じ合わせ、新しいアイデアとか価値を生み出すものにはならない。彼らの話法は、相手を言いくるめ、自分に従わせるためのもの、要するに言葉を使った暴力だから、そもそも対話にならないのです。

人体にただちに影響があるレベルではない」、「原子炉の健全性は保たれている」—原発事故後、名だたる学者や政府の役人などの口から、こんな信じられない発言が次々と飛び出しました。私はあれを見て、すごく不気味に感じた。たぶん多くの日本人が同じ感じを抱いたと思います。

 彼らは態度もおかしかった。たとえば経産省の西山英彦審議官(当時=東大法卒)は、なぜか会見でニヤニヤしていました。あの役割は、常人では耐えられないほどの重圧です。まして彼は原子力安全・保安院に在籍経験を持つ責任者の一人。半笑いを浮かべながら話すなど、普通は絶対にできません。それができたのは、彼が自分を傍観者の立場に置いていたからです。

 当時の枝野官房長官の会見も、気持ちの悪いものでした。口では「政府は国民の生活をまず第一に考えている」と言うけれど、感情が伝わってこない。何を言っても、ほとんど表情が変わらない。

 また、東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授は、事故後にインターネット記事でこう書いています。

「100mを超えると直線的にがん死亡リスクは上昇しますが、100mSv以下で、がんが増えるかどうかは過去のデータからはなんとも言えません。それでも、安全のため、100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定しているのが今の考え方です。

 仮に、現在の福島市のように、毎時1μの場所にずっといたとしても、身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要です」

 この文章には、東大話法特有の矛盾が生じています。最初に「100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定」しておきながら、次の段落では「身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要」と、話を逆転させているからです。

 なぜかというと、仮定のほうは「今の考え方」、つまり「線形閾値なし仮説」という放射線防護業界の標準的な考え方なので、正面切って批判するのは、彼の「立場」からするとまずいからです。そこで一応、「私は線形閾値なし仮説を認めています」と断ったうえで、今度はクルリと立場を変えて、いきなり11年間は安全という「線形閾値あり仮説」に飛び移っている。これは「自分の信念ではなく、立場に合わせた思考を採用する」東大話法で話をしているからです。

 また、このケースは「どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々に話す」という法則にも該当しています。

 東京大学大学院の大橋弘忠教授も、随所で東大話法を駆使しています。たとえば、’05年に佐賀県の古川康知事の主催で行われた「玄海原子力発電所3号機プルサーマル計画の『安全性』について」という討論会で、大橋氏はこう発言します。

「(プルトニウムは)なんにも怖いことはありません。・・・・・・テロリストが取っていって貯水池に投げ込んだと。そこから水道水が供給されていると。じゃあ何万人が死ぬかというと・・・・・・1人も死なないというふうに言われています」

「皆さんは原子炉で事故が起きたら大変だと思っているかもしれませんけど、専門家になればなるほど、そんな格納容器が壊れるなんて思えない」

「私は水蒸気爆発の専門家です。・・・・・・我々専門家の間ではそんなこと(水蒸気爆発)は夢にも考えられていない」

 いずれも欺瞞だらけの発言です。科学的な背景を詳しく説明していく余裕はありませんが、大橋氏は「自分の立場に合わせた思考」に固執し、「都合の悪いことは無視」し、科学的にみて明らかに「つじつまの合わないことでも自信満々に話」しています。

 この討論会は、九州電力が動員した聴衆が半数近くを占めるヤラセでした。東大話法の飛びかう矛盾だらけの討論会だったにもかかわらず、終了後のアンケートでは、原発の安全性に肯定的な意見が約65%もありました。

「君のため」「国民のため」

 肉体の暴力は、暴力をふるう人の動ける範囲に限定されるけれど、言語による暴力は、メディアで、すさまじい範囲に広まります。その破壊力は、人類を滅ぼすことも十分可能なわけです。実際、そういうものによってナチスや、日本の軍国主義が生まれました。

 しかも巧妙なのは、東大話法が基本的に自分の攻撃を隠蔽するために使われるということです。彼らの言う「君のため」「国民のため」は、前後の文脈の中に、ほぼ確実に攻撃的な意図が込められています。

 権力の集まる場所にいる人は、だいたいこれを使っています。欺瞞的な言葉を使って、その場その場でごまかしながら、自分に都合のよい方向に周囲を動かしていこうとする。

 その技術が高いほど、物事の処理も巧みになっていき、組織の中心的役割を担うようになります。つまり、東大を出たような人で、かつそういう方向に頭を回すことが得意な、自分の考えも信念も感情もない人ばかりが上に集まっていくということです。これは国民にとって大変な不幸です。

 私が本の中で東大を散々にこき下ろしているので、東大関係者からは怒りの声も聞こえてきます。しかし、背中を押し、支えてくれた教員の方々がいたことも事実です。また、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教には、激励のお言葉をいただきました。

 私がこの本を出した目的は、東大の悪口を言うためではありません。原発事故によって露見した日本社会の真の様相を明らかにしなければ、この国は暴走してしまうと思ったからです。そうしなければ、私自身が生きる道を閉ざされてしまう気がしたのです。

 いま、原発の再稼働だとか、ヨルダンに輸出だとかいったおかしなことが、もっともらしい東大話法で唱えられています。これを抑えられなければ、もう原発も東大話法支配も止めようがない。でも逆に、ここで「怖い」、「嫌だ」というような思いをストレートに言葉にできる人が増えれば、逆転は始まると思うのです。実際、その兆しも出始めています。

 そういう人たちが政治家に選ばれて、大きな権限を持てるようになれば、国は変わる。いまがその最後のチャンスだと、私は思っています。


『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』 
概要

福島第一原発事故に大きな衝撃を受けた著者は、その後の国や東京電力の対応、そして一般の人々のふるまいに唖然とする。

いったい原発で何が起こっているのか、事故はどの程度のものなのか。放射能はどこまで広がったのか。いっこうに情報が出てこない。枝野官房長官は「ただちに影響はありません」を繰り返すばかり。多くの人たちは、放射能がまき散らされたのを知っても、パニックにもならず、以前と変わらぬ生活を送っているように見える。いったいこれはどうしてなんだ!

そこから著者が感じたのは、現代日本人と原発との関係は、戦前の日本人と戦争との関係によく似ているということ勝ち目のない戦争を続け、原爆を投下されてもなお戦争をやめることのできなかった戦前の日本と同様の何かがあるのではないか。そう感じ、そのような視点で日本社会を眺めてみると、そこに共通して浮かび上がってきたのは欺瞞的な言語体系だった。

社会が暴走を始めるとき、きまって言葉の空転が起こるというのは、著者がこれまでの研究で確信していることで、今回の福島第一原発事故でも同様に、欺瞞的な言葉があふれだした。そもそも、欺瞞的言語は、原子力を推進する側が多用してきたものであり、原子力は安全と言い換えられ、事故は起こらないとされ、それを私たちが信じてきた結果、今回の事故が起こったのだ。あれほどの事故後も、その欺瞞的言語は使われ続けた。

その欺瞞的言語体系の代表が「東大話法」である。もう二度とあのような事故を繰り返さないためには、欺瞞的言語と決別しなければならない。そのような問題意識のもとで、著者が欺瞞に満ち溢れたと思われる原発をめぐっての言説を取り上げ、徹底解析。御用学者の発言や東大話法を駆使する池田信夫氏のブログを検証し、欺瞞的言語の悪質性を明らかにするとともに、欺瞞的言語を生みだす日本社会の構造を明らかにする。


無責任な言説にだまされないために, 2012/1/20 By 大島堅一
レビュー対象商品: 原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語― (単行本)

霞ヶ関文書ともよばれるような政策文書や審議会議事録等を読んできた私にとって、何か変だな、と引っかかっていることがありました。それは、なぜ、原子力政策を立案している人々がかくも無責任で、傍観者的なのであろうか、ということです。また、決定的な出来事や反論があっても、まるで何ごともなかったかのように、従前と同じように事が進んでいくのは、どうしてなのだろうか、と疑問に思っていました。

こうした場面は極めて多く、そのたびになんとも言えない気分を味わっていました。

安冨氏は、この本の中で、原子力に関連する様々な論説を分析し、無責任な言説がどのように展開されるのかを詳しく述べています。その分析ツールとなるのが、「東大話法」です。私は、この本の分析によって、長年の疑問が解けました。

「東大話法」というのは、あくまで話法を総称した名称です。安冨氏自身が述べていますが、東大出身者であっても「東大話法」を使わない人もいますし、その逆もいます。しかし、東大出身者および東大内部にそのような言説が多いというのは、安冨氏自身が、東大教員として内部で実感しているようです。

ではなぜ、こと東大で、「東大話法」が使われるのか。

東京大学という権威を利用すると、それは非常に効果的であって、多くの人をだまくらかせるのであり、そういう経験を積むことによって、東大関係者は自信満々となり、ますます東大話法に磨きをかける、という循環関係になっています。」(pp.191-2)

と安冨氏は明快に述べています。この指摘は痛快であり、極めて鋭い。

このような権威に依拠した言説にだまされないためには、どうしたらよいのでしょうか。「東大話法」のやり口を知り、自らがそれを使わないことだ、と安冨氏は言います。

「必要なことは、「東大話法」に代表されるような、日本社会に蔓延する欺瞞話法を鋭く見抜くことです。・・(中略) 個々の人が、自らの中の「東大話法」を見出して取り除くことに努力せねばならず、そうすることではじめて、他人の欺瞞もみぬけるようになります。自分は欺瞞話法を駆使しつつ、他人の欺瞞話法を見抜くというのは無理な相談だからです。」(p.192)

「東大話法」を知ることは、「東大話法」を自らが使用しないためにも必要です。例えば、「「誤解を恐れずに言えば」と言って嘘をつく」のは東大話法規則9に該当します。このような言い方をして、無茶苦茶なことを言った経験がありませんか?

「東大話法」で分析対象となっているのは、大橋弘忠氏、香山リカ氏、東大大学院工学研究科、池田信夫氏、鈴木篤之氏の言説です。また、斑目春樹氏(原子力安全委員会委員長)、近藤駿介氏(原子力委員会委員長)、鈴木達治郎氏(同代理)についても、安冨氏はその傍観者性を批判しています。

なお、この本は、「東大話法」そのものの他に、経済学への批判的見解、エントロピー論、地球温暖化に対する見解なども含まれています。評者とは見解を異にするところもあります。ですが、かといってこの本の価値が失われるわけでは決してありません。なにより、「東大話法」を定式化した安冨氏の努力は高く評価されるべきでしょう。

全体を通して、叙述の仕方は平易です。原子力村=ショッカー、小出裕章氏=仮面ライダーとたとえるなど、感覚的にわかりやすい表現を採用しています。現代社会に生きる私達にとって必読と言えるでしょう。

2012/05/03

高放射線量は「原発」原因 多摩川河川敷 雨水などで土壌汚染か

高放射線量は「原発」原因 多摩川河川敷 雨水などで土壌汚染か
(2012年5月3日 東京新聞)

 川崎市川崎区殿町先の多摩川河川敷で三月、放射線量が直近五センチで毎時二・五二マイクロシーベルト、一メートルでも同一・〇マイクロシーベルトと高い数値のごみが見つかった問題で、国土交通省京浜河川事務所は二日、東京新聞の取材に対し、高濃度の放射線量はごみではなく、東京電力福島第一原発事故による放射性セシウムで汚染された土壌が原因と説明した。当初は原発事故とは別の放射能のごみではないかとの指摘もあったが、雨水などで汚染されたとみられる。

 同事務所によると、布やヘルメット、一斗缶サイズの缶などのごみを調べたが、放射性物質は不検出。一方、土壌から高濃度の放射性セシウムが検出された。現地は広範囲の雨水が集まる場所で、放射性物質の密度が高くなったらしい。今月一日には、この場所から約五十メートル上流の河川敷でも、地上五センチで毎時一・〇マイクロシーベルト、一メートルで同〇・六マイクロシーベルトが計測された。同事務所では、同じ原因と考えられるとしている。

 国交省では三月に見つかった場所をシートで覆い、柵を立てて近寄れないようにしているが、今のところ除染の予定はないという。

 高濃度の放射線量が測定されたことを注視してきた市内の女性は「原発事故の影響で自然に汚染されたと知り、驚いた」と話していた。また「国の土地だからこのまま除染されないということになれば、子どもたちは河川敷に近づかない方がよいと思う」と指摘し、国の除染基準の指針が「高さ一メートルで周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高いこと」と甘いことに不満を示した。川崎市では高さ五センチで毎時〇・一九マイクロシーベルトを除染の目安にしている。 (山本哲正)

基準値超え乾燥シイタケが、保育所で給食として出された

徳島で乾燥シイタケが基準値超え 保育所に食材販売の業者
(2012/05/03 20:56 共同通信)

 徳島県は3日、徳島市の保育所に給食食材を販売している業者が扱う乾燥シイタケの一部から、国の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。

 県によると、基準値超えの乾燥シイタケは徳島市の業者が大阪市の業者から仕入れた12キロのうちの1袋。12キロのうち1キロほどが四つの保育所で給食として出されたが、それらが基準値を超えていたかどうかは不明という。大阪市の業者がどこから仕入れたのかは調査中。

 発覚したのは、心配した保育所の保護者が徳島市の業者から購入し、民間検査機関に依頼したのがきっかけ。


本県マダラの出荷制限要請 広田半島沖の一部で
(2012/05/03 岩手日報)

 宮城県の仙台湾沖で4月に捕れたマダラから国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える同130ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを受け、県は2日、県内漁業者や魚市場などに対し、陸前高田市の広田半島沖の一部を含む三陸南部沖海域(岩手・宮城県境―宮城・福島県境)のマダラの出荷制限を要請した。福島第1原発事故以降、海産物の出荷制限措置は県内で初めて。県は本県部分の一部解除に向けて国と協議を進める。

 国の原子力災害対策本部の出荷制限指示に基づく措置。本県沖のマダラの調査では基準値を超える放射性セシウムは検出されておらず、陸前高田市沖も最高で同51ベクレルだったが、三陸南部沖海域について出荷制限を要請した。

 3カ所の調査で3週間続けて基準値を下回ることが要請解除の条件となるが、県は早急な解除に向け、本県海域部分について一部解除ができるよう国と協議を進める考えだ。

 県によると、本県のマダラ漁は主にはえ縄や刺し網などの漁法で行われ、11月以降の冬場が最盛期。

大江健三郎さん、脱原発訴え 「次世代の道ふさぐな」

大江健三郎さん、脱原発訴え 「次世代の道ふさぐな」
(2012/05/03 19:37 共同通信)

 脱原発を目指して活動を続けるノーベル文学賞作家大江健三郎さん(77)は3日、憲法9条を守る立場の市民団体が千葉県松戸市で開いた集会で講演し「次の世代が生きる道をふさいではいけない」と呼び掛けた。

 集会には約1200人が参加。大江さんは原発再稼働を急ぐ政府の対応に危機感を表明。「少なくとも10年は再稼働を認めない法律を制定し、福島の経験を日本人の共通認識としなければならない」と訴えた。

 東京都の石原慎太郎知事が表明した沖縄県・尖閣諸島の購入については「武力抗争を引き起こしかねないやり方で間違いだ」と述べた。


株主でつくる市民団体が四電に脱原発を提案
(2012年05月03日 愛媛新聞社)

 四国電力の株主でつくる市民団体「未来を考える脱原発四電株主会」は2日、四電に脱原発などを求めて株主提案すると発表した。同会の提案は13年ぶり7回目。
 同会は愛媛など四国の株主ら約20人で構成。同会によると、過去6回の株主提案はいずれも否決された。今回は昨年秋から株主に呼び掛け、4月26日までに全国の27人、約2万4500株の賛同を得た。会員8人の保有株1万株と合わせて35人、約3万4500株となり、必要な3万株を超えたとしている。
 四電に提出した議案書によると、原発からの撤退▽プルサーマルの中止▽再生可能エネルギーの推進▽電気料金の引き下げ―など6件を求めている。


【福井発】
再稼働に批判的意見多く 小浜で大飯原発住民説明会
(2012年5月2日 中日新聞)

 関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働問題で、同町に隣接する小浜市は一日、同市大手町の市働く婦人の家で、市民代表を対象にした住民説明会を開いた。隣接地域での説明会開催は初めて。出席者からは、再稼働に対する批判的な意見が多く出された。

 大飯原発の半径十キロ圏内に住む人の七割が小浜市民だとして、市が経済産業省資源エネルギー庁に開催を要望。市は原子力発電市環境安全対策協議会に所属する反対派を含む約五十の団体に出席者の人選を依頼し、各団体の代表や市議ら百二十二人が出席した。

 四月二十六日のおおい町に続く住民説明会となったが、住民からは「本当に大丈夫と言えるのか」「原子力規制庁が発足しないのに、なぜ再稼働を急ぐのか」といった素朴な質問が出され、理解が進んでいない現状をあらためて示した。

 終了後、報道陣の質問に応じた松崎晃治市長は「国側には(現時点での再稼働は受け入れられないとの)市民の考えが分かってもらえたと思う」と述べた。再稼働問題に対する今後の対応については「考えていない」と、国側の出方を見守る姿勢を示した。 (池上浩幸)

原発は違憲 心穏やかに生きる権利守れ  希望持てる未来を

今日(憲法記念日)の東京新聞にいい記事が2つ出ていたので、紹介します。

被災地 幸福追求・生存権どこへ 今こそ憲法の出番
(2012年5月3日 東京新聞朝刊)から抜粋

 一人一人が尊重され、人間らしく平和で安全な社会に生きる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以降、だれもがその願いを切実にしていることだろう。65年前のきょう、日本国憲法が施行された。13条と25条が保障する権利の実現に国は努力しているのか。

◆原発は違憲 心穏やかに生きる権利守れ

 幸福追求に対する権利を保障する13条、健康で文化的な最低限度の生活を保障する25条の訴えは切実です。被災して人間らしい生活と程遠い生活を強いられている人たちは「すばらしい憲法があるのになぜ私たちは―」と歯がゆく思っているでしょう。

 憲法前文では「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。「平和」とは単に戦争のない状態ではなく病気や飢餓、貧困や人権侵害、災害を含め、生活を脅かす脅威から免れて心穏やかに生きることができる、ということ。13条はさらに生命の脅威を排除することも人権として保障しています。

 その観点からみると原発は憲法違反だと考えます。放射能の危険にさらされないで生きたいという人権を、憲法は保障しています。


「若い世代が希望持てる未来を」 寂聴さん 脱原発ハンスト
(2012年5月3日 東京新聞朝刊)

 作家の瀬戸内寂聴さん(89)らは二日、東京・霞が関の経済産業省前で、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に反対する市民らが続けている集団ハンストに参加。雨が降る中、テントに入り、午後になっても座り込みを決行した。

 参加したのは、寂聴さんと作家の沢地久枝さん(81)、ルポライターの鎌田慧さん(73)。午後から作家の落合恵子さん(67)も加わり、再稼働反対を訴えた。

 寂聴さんは「態度がはっきりせず長いものに巻かれがちな日本人が多い中で、再稼働が進みそうで怖い」と話し、「もっと若い世代が希望を持てる未来を」と、脱原発への政策転換を訴えた。

 昨年、体調を崩しながらも全国で一千万人の脱原発署名を集める運動に参加し、集会にも足を運んできた沢地さんは「民主主義とは主体的に考え行動すること。脱原発への思いがあれば、まずは署名することから行動してほしい」と呼びかけた。

 また、落合さんは「原発は人の命や子どもの未来に対するテロ。政府が再稼働を焦っている今こそ、ひるまず、ぶれずに異議を唱えよう」と語った。

 ハンストをしていた一人で「原発いらない福島の女たち」の椎名千恵子さん(65)は「著名な作家の方々が参加してくれたことで、脱原発の意識をぼんやり抱いていた人たちが、思いを少しでも行動に結びつけてくれたら」と歓迎した。


寂聴さん、霞が関でハンスト参加 大飯原発再稼働に反対
(2012/05/02 11:28 共同通信)

 経産省前に座り込み、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に抗議する(前列右から)沢地久枝さん、瀬戸内寂聴さんら=2日午前、東京・霞が関

 作家の瀬戸内寂聴さんが2日朝、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に抗議して東京・霞が関の経済産業省前で行われているハンガーストライキに加わった。

 瀬戸内さんは作家の沢地久枝さんやルポライターの鎌田慧さんらとともに、日没までハンストに参加。再稼働反対と印刷された鉢巻きを法衣につけて「90年生きてきて今ほど悪い日本はありません。このままの日本を若者に渡せない」と語り、再稼働に向けた政府の動きについては「何を考えているのか。不思議なことをすると思った」と怒りをあらわにした。

「脱原発」が最安  核燃料の再処理はコスト高 

原子力委再試算 「脱原発」が最安 揺るがず
(2012年4月28日 東京新聞朝刊)

 原子力委員会の小委員会が二十七日に示した核燃料サイクルのコスト再試算の結果は、原発に依存し、使用済み核燃料は再処理して再利用する現行の施策は割高だと、あらためて印象づけた。

 前回の試算では、核燃料を地中に埋めて処分する直接処分のシナリオだけに、再処理事業中止に伴う費用が加算されている点などが委員会で問題視。そのため、事業中止費用の一部は除外した上で、三百年にわたる放射性廃棄物の管理も考慮した費用を算出した。

 シナリオは(1)全ての使用済み核燃料を再処理(2)全てを直接処分(3)両者の併用―の三つ。これに総発電量に占める原発の比率を、脱原発を意味する0%、現状よりやや原発依存度が低い20%、現状以上に依存度が高い35%の三つの場合を組み合わせた。

 より長期の費用をはじいたため、どの組み合わせも前回の試算より大幅に金額がアップした。

 しかし、結局は二〇二〇年までに原発をゼロにし、その時点で残っている使用済み核燃料を直接処分するパターンが最安(八・六兆~九・三兆円)との結論は揺るがなかった。

 それどころか、再処理をからめる限り、原発依存度がどの程度であってもコスト高だとより鮮明になった。前回試算の額に比べ、直接処分は一・三倍前後になったのに比べ、再処理をするシナリオはどれも二倍近くにまで膨れあがった。

 今回の試算結果は、今夏の新たなエネルギー施策の方針づくりに生かされる。


核燃料処理 再処理がらみ費用大幅増 原子力委再試算
(2012年4月27日 東京新聞夕刊)

 原子力委員会の小委員会は二十七日、どんな核燃料サイクル政策を採るといくらかかるのか、二〇三〇年時点までのコストを再試算した結果を公表した。二〇年までに原発をゼロにし、使用済み核燃料は地中に埋設する直接処分のシナリオが八・六兆~九・三兆円とコスト的に最も有利との結果は変わらなかった。再処理をからめた従来路線は、前回試算より金額が大幅に膨れあがった。

 再試算は、前回と同様に、(1)全ての使用済み核燃料を再処理(2)全てを直接処分する(3)両者の併用―の三シナリオを設定。総発電量に占める原発の比率を、脱原発を意味する0%、現状よりやや原発依存度が低い20%、現状以上に原発依存度が高い35%の場合に分け、それぞれの費用を出した。

 前回とは異なり、再処理事業中止に伴う費用は、どのシナリオでもかかるため除外。その上で、これからかかる費用を中心に総費用ベースで比較した。

 その結果、最も安上がりなのは、脱原発をし、過去に発電に使った核燃料だけを直接処分する場合の八・六~九・三兆円。最も高コストなのは、原発依存度を35%まで高め、全部再処理する場合の十八兆円で、前回の試算(九・七兆円)の二倍近い額になった。

 前回の試算は、直接処分のコストを高く見積もり、委員から批判が出たため、鈴木達治郎座長が再試算を指示していた。小委は今後、国のエネルギー・環境会議に試算結果を報告する。


埋め捨てが再処理より安価 今後の原発燃料処理で新試算
(’12/4/28 中国新聞・共同通信)

 国の原子力委員会の小委員会は27日、2030年までに発生する原発の使用済み核燃料を処理するため、今後新たにかかる費用を試算し公表した。総発電量中の原発の比率を35%とすると、全燃料の再処理は18兆円、地中に埋め捨てる直接処分は13・3兆~14・1兆円。原発比率にかかわらず全量直接処分が全量再処理より安く、差は2・8兆~4・7兆円だった。

 19日に公表した試算では全量直接処分の方が1・8兆~2・1兆円高かったが、逆転した。委員から「今後の国民負担をみる場合、前回より正確だ」(松村敏弘まつむら・としひろ東京大教授)などの意見が出た。

 二つの試算を基に、原子力委は今後の核燃料サイクル政策の選択肢を5月に政府のエネルギー・環境会議に提示する。

 試算は、燃料からプルトニウムを取り出す全量再処理、全量直接処分、両者併用の三つの方法について、原発比率を35%と現状より高くする場合と、20%、20年までに0%を想定。

 前回は、廃棄物の処分を終える300年以上先までの総事業費を40年間で積み立てると想定し、そのうち10~30年にかかる費用だけを示した。30年以降に必要になる費用が含まれず、全量直接処分に青森県六ケ所村の再処理工場廃止関連費用が加算され、委員から批判が出ていた。今回は総事業費から既に支払った費用を差し引き、今後新たに必要となる費用を期限を区切らずに求めた。

 20%の場合、全量再処理は15・4兆円、全量直接処分は11・8兆~12・6兆円。0%の場合は全量直接処分が8・6兆~9・3兆円で、プルトニウムを使う原発はないため再処理ケースはない。

 また経済産業省が、原発の稼働年数を40年とし新増設しない場合、30年の原発比率は13~15%と試算したのを受け、小委員会も15%の場合を試算する方向となった。

 20年までに原発0%の場合、六ケ所再処理工場に保管中の使用済み燃料が各原発に返送され、原発の運転ができなくなるとして、不足する電力を火力発電で補うには6兆円必要との試算も公表。鈴木達治郎すずき・たつじろう座長は「あくまで参考値。全量直接処分の費用に加えるのは正しくない」としている。


工場廃止コスト上乗せ 核燃サイクルで原子力委
(’12/4/24 中国新聞・共同通信)

 核燃料サイクル政策の再検討を進めている国の原子力委員会の事務局が、使用済み燃料を再処理せず、全て地中に埋めて捨てる「全量直接処分」の費用を試算した際、再処理事業廃止に伴う関連コストを不適切に計上したため、費用が膨れ上がっていたことが24日、分かった。

 審議を進める小委員会座長は合算しないよう指示していたが、事務局が従わずに計算した。小委員会メンバーから「再処理路線を続ける結論を導き出そうと、事務局が意図的に計算をしていると受け取った」(原子力資料情報室の伴英幸ばん・ひでゆき共同代表)との声が上がっている。事務局は「数字の並べ方が悪かった。計算方法も含め検討したい」と話している。

 小委員会座長の鈴木達治郎すすぎ・たつじろう原子力委員長代理は4月12日の会合で、再処理路線の変更に伴うコストを、直接処分の費用に計上しない方針を表明。しかし、19日の会合の前日、事務局からメンバーに配られた資料では、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の廃止コストなど4兆7千億円を単純合算、全量直接処分の「総費用」は最大11・6兆円となり、再処理を続けた場合よりも約2兆円高くなっていた。

 座長らの指摘を受け、19日の会合では、単純合算した「11・6兆円」の数値が削除された資料が配られた。しかし、再処理工場廃止コストなどが列挙されており、前日の資料と内容的には大差なかった。

 座長の鈴木氏は「再処理工場に投資済みのコストは、再処理事業の停止、継続にかかわらず、かかる費用であるため、単純合算すべきでない」との見解を表明していた。

2012/04/29

東電役員、保安院、専門家などに対する刑事裁判 告訴人を募集

参加しているメーリングリストから届いた情報です。

・・・・・・
福島県から避難している方が身近におられたら、ぜひお知らせください。

福島原発の事故について、刑事裁判が始まります。
福島のハイロアクションの友人たちからの呼びかけです。

損害賠償を求める民事裁判とはちがって、
「きちんと捜査して、処罰してほしい」と意思表示するもの
です。

告訴の相手は、東電の取締役や原子力行政に関わってきた原子力安全・保安院や原子力委員会の専門家などです。

どんな罪を問うか?は、
事故を発生させた責任と、被害を拡大させた責任を問います。

告訴団長の武藤類子さんの言葉。「・・・事故でいったんバラバラにされた大勢の福島県民が新たにつながる機会にしたいと、前向きに考えています。 それぞれの福島県民が原発事故で受けた被害をしたためた陳述書を書き、訴えていくことが事故の責任を明確にするだけでなく、県民一人ひとりの力を取り戻す大切な機会にもなると考えています。そして、市民の苦しみを直視せず、なお原発を推進し、利権をむさぼろうとしている巨大な力にくさびを打ち込み、新しい価値観の21世紀を築くことになると信じて、取り組んでいきます。」

第一次は、5月20日の締切で告訴人を募集しています。
今回の対象者は、福島県民および福島県から避難している方です。
第二次以降の提出は、福島県民以外の方も対象となります。

告訴の流れは、
告訴をしようと決める→告訴団に加わる(入会金1口1000円~)→自分の被害を陳述書に書く→事務局に送付→6月11日に福島地方検察局に提出   という感じです。

陳述書には、自分が受けた被害(どのように生活が変わったか)の状況をありのままに書きます。
告訴団に参加された方には、詳しい手引書(見本など)をお渡しします。

参加されたい方、関心がある方は、パンフレットを送りますので、
info@kodomomirai.orgまでお名前とご住所を連絡ください。

原子力発電所が犯した大きな過失を、しっかり反省してもらえるように、
私たちひとりひとりの声を集めて届けたいと思います。
どうぞご参加ください。

なお、告訴団へのカンパのご支援も募集しています。
各地での説明会開催・弁護団の経費などに使わせていただきます。
どうぞご協力ください。

ゆうちょ銀行 02260-9-118751  福島原発告訴団

ブログ http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/
連絡先 事務局 メール info(アットマーク)1fkokuso.org 


各地説明会を開催
福島原発告訴団は、弁護団等を講師に、刑事告訴のための勉強会を福島県内各地で開き、被害を明らかにする陳述書を作成していきます。
4月29日(日) 13:30~ 三春交流館まほら研修室C・D
          (田村郡三春町字大町191 0247-62-3837)
 弁護団講師 保田行雄 弁護士       

5月9日(水) 15:00~17:00須賀川市 自然食レストラン「銀河のほとり」
        (962-0403須賀川市滑川字東町300 0248-73-0331


福島原発告訴団を結成
(2012年3月17日 福島民報)

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電幹部や原子力安全委員会などの国の責任者の刑事責任を追及する「福島原発告訴団」が16日、結成された。同日、いわき市の市労働福祉会館で結成集会が開かれた。
 市民団体の「脱原発福島ネットワーク」と「ハイロアクション福島原発40年実行委員会」が呼び掛けた。告訴団は業務上過失致死傷などの容疑で6月にも福島地検に告訴状を提出する方針で、県内を中心に1000人規模での集団告訴を目指す。
 告訴状案などによると、東電は想定以上の津波が来る可能性を指摘されていたにもかかわらず、対策を怠ったほか、保安院や原子力安全委員会も対策を指示しなかった。大量の住民が被ばくし、近隣の入院患者らを避難途中に死亡させたなどと指摘している。
 結成集会には県内各地から約100人が参加した。ハイロアクション福島原発40年実行委員会の武藤類子委員長は「原発事故の責任を明確にして、若い世代に新しい未来を残したい」とあいさつした。

2012/04/28

NHK「チェルノブイリ原発事故その10年後」ネステレンコ教授

NHK「チェルノブイリ原発事故その10年後」ネステレンコ教授パート書き起こし
(4月 1st 2011 FAMASAKI.COM)から抜粋

スイスのTSIが1998年に制作し、過去にNHK BS1で放送された「チェルノブイリ原発事故その10年後」を見ていたら、今般の原発問題で色いろと話題になっている食品汚染について、驚くべきデータが語られていたので、核物理学者ワシーリー・ネステレンコ教授のパートを書き起こしました。

(原子力物理学者ワシーリー・ネステレンコ@ベラルーシ)
原発を保有している国々は、チェルノブイリの事故から何の教訓も得なかったように思えます。ベラルーシ共和国の人口はおよそ1000万。その四分の一はチェルノブイリの周辺地域に住んでいます。しかも子どもが50万人もいるんです。事故からもう10年以上経つのに、そういう人々の安全はいまだに確保されていません。そんなテクノロジーが存在していいものでしょうか。

あの事故の後、私は西側諸国の原発を見学しました。しかし彼らは、「あなたの国の原発と違って、我が国の施設は極めて安全です」と言うばかりでした。そして万が一のときの安全対策も、半径20、30キロの距離でしか考えられていませんでした。200キロ以上離れていてもまだ危険だというのに。

(ナレーション)
ネステレンコ教授はチェルノブイリ事故の直後から被害の拡大を少しでも抑えようと努力してきました。そして1990年から93年にかけてベラルーシ、ウクライナ、ロシアの三ヶ国にまたがる専門家独立委員会を組織しました。独立委員会は独自に調査を進め人々の受けた被害が国際原子力機関の公式発表より大きなものであることを訴えています。

(ネステレンコ)
チェルノブイリに隣接した地域から取れる作物は今後数十年間汚染されたままでしょう。ベラルーシには甲状腺ガンに侵された子どもが驚くほどたくさんいます。事故から10年以上もの間、放射線に汚染された食べ物を摂り続けているせいで、住民の免疫力は著しく低下しています。さまざまな感染症に対し、とても弱い状態になっているんです。私はそれを核によるエイズと呼んでいます。

(ナレーション)
ネステレンコ教授は、最も汚染のひどい地域にいくつもの食料放射線管理センターを設置。地元の医師や教師たちに専門知識を伝え、特に子どもたちの身を汚染から守るよう働きかけてきました。しかしそのような施設の多くは財政的な事情から閉鎖に追い込まれました。わずかに存続しているものもヨーロッパのNGOから受けている資金援助が頼りです。アイルランドから寄贈された救急車に乗り、放射線の量を測定する機器をたずさえて、ネステレンコは汚染地域を巡回しています。人体の汚染状況を調査し、改善するためです。

(ネステレンコ)
残念なことに多くの子どもたちの身体が今も放射能にむしばまれています。例えば事故現場から200キロ以上離れた村でも、子どもたちのうち23パーセントが白内障にかかったり、失明したりしています。その村では84パーセント以上の子どもたちに不整脈が見られました。まるで心筋梗塞の予備軍です。というより、すでに多くの若者が心筋梗塞にかかっているような状況です。

およそ80パーセントの子どもが、胃炎や潰瘍を患っています。特にひどいのは12歳から15歳の子どもたちです。胃の粘膜が萎縮し、まるで70過ぎの老人のようになっています。つまり放射線の影響を受けた子どもたちは、命の炎を急速に燃やし尽くし、将来病気になることが確定しているんです。

私自身、同じような状況にあります。体内でいくつかの酵素を作る能力が失われてしまったので、食べられるものがごく僅かしかありません。もう慣れてしまいましたけどねえ。科学者の放射線被曝許容量は、一般市民の十倍とされています。いろいろな自衛手段を知っているためです。普通の人より健康で、放射線に強いからじゃありません。

(画面が切り替わり診療所のような場所)
ネ「魚は調べたんですか?」
父「他の人に食べてもいいと言われましたけど…」
ネ「子どもは1キロあたり37ベクレル以上の放射能を含んだものを食べてはいけません。これは70ベクレルもありますよ。あなたは釣りを?」
父「はい。趣味で」
ネ「なるほど、それで合点がいきました。とにかく子どもに与えてはダメです
父「子どもたちはそんなにたくさん食べてませんよ。ただ私が食べていると、ねだるのでちょっと味見させているだけです」

(ネステレンコ)
私たちはペクチンをベースにした新しい薬(※ビタペクト2(Vitapect-2)のことか?)を見つけました。ウクライナで製造されているものです。水に溶ける錠剤で、大人でも子どもでも、これを一ヶ月間服用すれば、30%から40%の放射性元素を体外に排出できると言われています。

ネ「以前の数値はどれくらいだった? 1キロ当たり471ベクレルもあったんだね。マリーナ、錠剤はちゃんと飲んでる?」
娘「はい」
ネ「どのぐらい?」
娘「あと3錠しか残ってません」
ネ「ちゃんと飲んでるようだね。私のポケットの中に少しあるから、それを持っていきなさい。ずっと飲み続けるんだよ。それにしてもなぜこんなに数値が高いんだろう。最近、森に生えているキノコを食べたりしなかった?」
娘「食べてません」
ネ「じゃあ、干しキノコのスープを食べたことは?」
娘「もう干しキノコはありません」
ネ「他に何か野生のものを食べたことは? 例えば野ウサギとか」
娘「食べてません」
助手「前にあった干しキノコを全部食べたんでは?」
ネ「前は干しキノコが?」
娘「ありました」
ネ「沢山あったんだね。それをいつ食べた?」
娘「四月ごろです」
ネ「四月に。そのせいか。マリーナ、君は今15歳、それとも16かな?」
娘「16です」
ネ「いいかい、マリーナ。君の歳だと、四月に食べたキノコの放射能を半分排出するのに八月の末までかかるんだよ。半分排出するだけで、三ヶ月以上かかるんだ。安全なレベルに達するには、この先ずっと汚染されてないものだけ食べ続けても一年はかかる。このまま放射性物質を体内に蓄積していると、健康に取り返しのつかない悪影響に及ぼすことになるよ
助「現在のマリーナの数値ですが、セシウムが301ベクレル。ですから170ポイントも下がっています」
ネ「それは素晴らしい。あと三ヶ月下がってくれればいいんだが。さあ、今日はこれで終わりだ。健康には十分、気をつけてね」

(マリーナが去った後にネステレンコの呟き)
あの子は、家族に何か問題があるようだね。気をつけた方がいい。

(ネステレンコ)
子どもたちに錠剤を出し始めてから、二十日が過ぎました。一日に二回ずつ飲んでもらっています。多くの子どもが放射性物質を30%以上排出しました。一人だけですが完全に輩出してしまった子さえいます。子どもたちは最低でも年に一回は検査を受けるべきです。そして汚染地域に住んでいる子どもたちには年に三、四回この薬を与える必要があります。その場合の費用は、一人年間で28ドルになります。

(ナレーション)
一人の子どもを救うのに必要な費用は、一年にわずか28ドル。しかしそれを必要とする子は、ベラルーシだけでも50万人います。結果的には大きな金額となってしまうため、ネステレンコの計画が実現する目処はまだ立っていません。


ワシリー・ネステレンコ
(2012年4月28日 Wikipedia)から抜粋

※この項目「ワシリー・ネステレンコ」は途中まで翻訳されたものです。(原文:be-x-old:Васіль Несьцярэнка 11:02, 14 лістапада 2011)

ワシリー・ボリソヴィチ・ネステレンコ(1934年12月2日 – 2008年8月25日)は、ベラルーシの物理学者。

ウクライナ東部ルハーンシク州出身。1958年、バウマンモスクワ州立工科大学卒業。1977年-1987年、ベラルーシ科学アカデミーの核エネルギー研究所で所長を務めた。1980年-1985年、ベラルーシ最高会議代議員。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故後、政府当局に対抗して、住民の健康被害の防止に努めた。事故の実態調査をしようとすると、圧力がかけられ脅迫を受け、研究所の放射線モニタリング装置が没収されたこともあったという[1]。1990年、民間のベラルーシ放射線安全研究所(ベルラド研究所、fr:Belrad)を設立、終生所長として放射能被害防止のための活動を続けた[2]。

2007年、ロシアの生物学者アレクセイ・ヤブロコフ、ベルラド研究所所員アレクセイ・ネステレンコ(現所長)とともに、英語文献や、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどスラブ系の諸言語の記録や文献をもとに報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』をまとめ、同事故による死者数は1986年から2004年の間で少なくとも98万5000人に達するとの推計を発表した[3]。

脚注
1.スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ著、松本妙子訳『チェルノブイリの祈り―未来の物語』岩波書店、1998年12月
2.Mort d’un dissident (「反体制家の死」), Marc MOLITOR、2008年8月27日–ベルギーの訃報記事(フランス語)
3.チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト このプロジェクトについて


アップルペクチンによるチェルノブイリの子どもの体内のセシウム137の除去効果
(スイス・メディカル・ウィークリー2004 ;134 :24-27 www.smw.ch)

V.B.ネステレンコ、A.V. ネステレンコ、V.I.バベンコ、T.V. ヤーコヴィック、I.V. バベンコ
V.B.Nesterenko, A.V.Nesterenko, V.I.Babenko, T.V.Yerkovich, I.V.Babenko
——————————–
要約
通常の放射線防護策の補完として、特にウクライナを中心に、子供の体内にセシウム137が吸収されるのを減らすために、アップルペクチン剤が与えられている。そこで以下の研究課題が持ち上がった。ぺクチンの経口摂取は、子どもが放射能に汚染されていない食物を摂取している場合においても有効であるか。あるいは、この多糖類(訳注:ペクチン)は、腸内でセシウム137と結合することによってのみ、腸壁からの体内吸収を妨げる働きをするのだろうか?

その場合、放射能に汚染されていない食物を摂取する子供には、ペクチンは何の効果もないのであろうか。
この研究は、被験者を無作為に抽出し、プラシーボを使用した二重盲検法を採った。リンゴから抽出された、15~16%のペクチンを含む乾燥粉末と、それに類似したプラシーボの効果を比較した。

被験者64人の子どもたちは、いずれもGomel州の汚染地区内の同じグループ出身である。セシウム137の体内蓄積量の平均値は、およそ体重1kgあたり30Bqであった。この治験は、同時期の1ヶ月間、シルバースプリングの療養所にて実施した。この放射能汚染を免れた環境において、被験者の子どもたちには汚染されていない食べ物のみを与えた。

セシウム137の平均減少値は、ペクチン粉末を経口摂取した子どもたちにおいては62.6%であった。一方、汚染されていない食べ物とプラシーボのみを摂取した子どもたちの平均減少値は、13.9%であった。この結果は統計的に有意である(p<0.01)。

体内に蓄積されたセシウム137の減少効果は、医学的にも価値を持つ。というのも、プラシーボを与えた子どものグループでは、セシウム137の平均値は25.8±0.8Bq/kgであり、20Bq/kg以下までに下がった子どもは見られなかったからである(バンダジェフスキーは、体重1kgあたり20Bqを、病理学上、特定の体組織を破損する可能性のある値とみなしている)。

これに対して、アップルペクチンを摂取したグループでは、体内のセシウム137の最高値が15.4Bq/kgであり、平均値は11.3±0.6Bq/kgであった。

始めに

現ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)の影響で、隣接するベラルーシは国土の23%が放射能汚染され、1平方キロメートルあたり1キュリー(>37000Bq/m2)を超えるセシウム137が検出された。26万4千ヘクタールもの土地で、農産物の生産が停止された。人口約 200万人、内50万人の子どもを含む住民が、セシウム137とストロンチウム90によって汚染された地域で暮らしている。[1]

ベルラド放射能安全研究所の移動測定チームは、子どもの体内に蓄積されたセシウム137を計測した。これまでに16万人を調査したところ、この地域に住む70~90%の子どもから、体この治験は、フランスの非営利団体「ベラルーシ・チェルノブイリの子供」の出資を受けて実施された。

重1kgあたり15~20Bqを超える値が検出された。多くの村でセシウム137の値が200~400Bq/kgに達しており、中でもNarovlya地区は最も高く、6700~7300Bq/kgが検出された。ゴメル国立医療研究所(Medical State Institute of Gomel)では、ユーリ・バンダジェフスキー(Yuri Bandazhevsky)教授の監修の下、9年間に渡って研究が行われ、セシウム137が様々な体内組織内に慢性的に蓄積することで、徐々に健康に悪影響を及ぼしていくことが明らかにされた。[2-3]

ベルラド研究所は、農村の住民のために情報センターを開設し、さらに食物や牛乳、家畜飼料などのセシウム137の値を測るためのスペクトロメーターを設置した。こうして32万のサンプルの測定が無料で実施された。このような教育・情報提供の努力に加え、幼稚園以上の学童には、放射能に汚染されていない食物が、1日2度、政府から無料で配給されたにもかかわらず、子どもの体内からのセシウム137の減少としては満足できる値が得られなかった。

そこで、我々はペクチンの研究に取り掛かった。ペクチンとは、果物類に多く含まれ、ヨーロッパでは広く菓子やジャムに使われている多糖類である。精製されたペクチンはまた、経口吸着剤として、鉛や水銀などの重金属中毒症の解毒のために処方されている。この医薬品は元々は、Sanofi社(フランス)が鉛中毒の治療のために開発したものである。

ウクライナでは、10 年来、放射能汚染地域に住む子供たちの体内のセシウム汚染を減らすべく、りんごの絞りかすを乾燥させて粉末加工した数種類のペクチン調合剤を、経口摂取させてきた。Korsumは、アップルペクチンを放射能汚染された餌と共にネズミに与えると、セシウム137とストロンチウム90の吸収が大幅に減少することを明らかにしている[4]。

ベラルーシでは、体内の重金属の除去効果とあわせて、アップルペクチン調合剤の安全性と効能がGresらによって明らかにされている[5]。

研究目的

この研究の目的は、ペクチンが、放射能に汚染されていない食物を与えられた場合においてもなお、子どもたちに効能を持ち得るか否かを明らかにすることである。なぜなら、この吸着体(訳注:ペクチン)は、腸内の内腔にてセシウム137を含む重金属と結合することによって、複合体として排泄物とともに対外に排出する、という活動傾向があるためである。

研究方法

我々は、体内から排出されたセシウム137の割合を、Gomel州の同じ地区出身の子どもたちを2つのグループに分けて比較することにした。この治験は1ヶ月間シルバースプリング療養所にて行った。この放射能に汚染されていない環境において、子どもたち全員に汚染されていない食べ物のみ与えられた。

一方のグループには、汚染されていない食物に加え、小さじ1杯の粉末アップルペクチン(5グラム)を水に溶かしたものを1日に2回、3週間にわたって、食事の際に与えた。もう一方のグループには、同じ食事と、見た目には類似しているがペクチンを含まない粉末をプラシーボとして、同様の回数と期間与えた。

子どもたちの家族には、治験前後の放射線測定を含む3週間の治験について説明を行った。子どもたちには、理由にかかわらずいつでも途中棄権できることを説明し、口頭によるインフォームドコンセントを得た。子どもたちの母親全員からは、書面でのインフォームドコンセントを得て、プラシーボを与えられたグループの子どもたち全員に、療養所を出る際にペクチン粉末一箱を配布する旨を伝えた。

64 人の子どもたちが治験に参加することを了承した。無作為抽出によって、32人の子どもたちには15~16%のアップルペクチンを含む粉末を配布し、残りの32人にはプラシーボを配布した。調合剤配布の鍵*は倫理委員会のメンバーによって管理され、セシウム137の計測値を全て登録した後、また問題点や臨床的観察を個別の医療アンケートに記録した後に、開鍵されることに決められた。(*訳注:「鍵」は二重盲検法の用語で、被験者も治験実施側も、誰がペクチンもしくはプラシーボを受け取ったのかわからないようにしていることを指す。)

名前、生誕年性別体重1kgあたりのセシウム137ベクレル数、
ペクチン摂取前 体重1kgあたりのセシウム137ベクレル数、ペクチン摂取後
A.A.N., 1993 F         40.2           15.3
B.I.S., 1992 F         36.0           12.6
B.Ju.E., 1990 F         34.9           13.9
G.A.N., 1993 F         34.5           15.4
G.E.V., 1993 M         34.0           14.1
G.E.V., 1990 F         33.9           15.3
G.N.O., 1992 M         32.5           11.7
G.V.V., 1991 F         32.5           12.7
G.M.N., 1992 F         31.8           12.2
G.V.N., 1990 F         31.3           13.9
Z.K.V., 1991 F         31.1           14.7
I.Ya.A., 1990 M         30.9 12.6
K.A.S., 1994 M 30.1 11.9
K.A.S., 1991 M 29.5 5.0
K.I.L., 1990 M 29.2 12.4
K.V.A., 1990 M 29.0   5.0
K.V.E., 1993 M 28.9 13.2
L.A.S., 1993 F 28.2 5.0
M.YA.N., 1992 F 28.1 5.0
M.R.S., 1992 M 27.9     11.6
P.E.M., 1993 M 27.8 11.9
S.E.F., 1993 F 26.2 12.3
T.A.V., 1993 F 25.8 10.2
T.V.S., 1991 M 25.8 11.0
F.D.A., 1992 M 25.6 9.2
Ch.D.V., 1993 M 25.4 10.0
Sh.R.A., 1990 M 25.3 11.9
Yu.A.L., 1993 F 25.3 5.0

連絡先
アレクセイ・ネステレンコ博士(Dr. Alexey Nesterenko)
ベルラド放射能安全研究所 (Institute of Radiation Safety Belrad )
所在地: 2 Marusinsky pereulok 27, Minsk, 220053, Belarus

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